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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187503
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 25/06 20200101AFI20221213BHJP
   B62J 15/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B62J25/06
B62J15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095511
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】野原 貴裕
(57)【要約】
【課題】左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを取り付けるための構造が大型化することを抑制でき、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを着脱する作業が容易な鞍乗型車両を提供すること。
【解決手段】タンデムフートレスト装置30は、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに着脱可能に支持されたブラケット34と、ブラケット34の左端部34Lに支持された左タンデムフートレスト35Lと、ブラケット34の右端部34Rに支持された右タンデムフートレスト35Rと、を有している。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方かつ上方に延びる左シートフレームと、
前記左シートフレームの右方に配置され、後方かつ上方に延びる右シートフレームと、
前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに支持されたシートと、
前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに支持され、前記シートに座る同乗者の足を支持するタンデムフートレスト装置と、を備え、
前記タンデムフートレスト装置は、
左端部および右端部を有し、前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに着脱可能に支持されたブラケットと、
前記ブラケットの前記左端部に支持された左タンデムフートレストと、
前記ブラケットの前記右端部に支持された右タンデムフートレストと、
を有している、鞍乗型車両。
【請求項2】
前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに固定されたプレートを備え、
前記ブラケットは、前記プレートに着脱可能に取り付けられている、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記プレートは、前記左シートフレームおよび前記右シートフレームの下方に配置され、車両側面視において前記左シートフレームおよび前記右シートフレームと平行に配置されている、請求項2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記プレートにボルトにより固定され、
前記ボルトは、上方に延びている、請求項2または3に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記プレートの中央部に穴が形成されている、請求項2~4のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記ブラケットは、前記プレートの前記穴を下方から覆っている、請求項5に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに支持された電装品と、
前記電装品を固定する固定ボルトと、を備え、
前記固定ボルトの一部は、前記プレートの前記穴の内部に配置されている、請求項5または6に記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに支持された電装品を備え、
前記ブラケットは、前記電装品の後方かつ下方に配置されている、請求項1~6のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記ブラケットは、前記ブラケットの前記左端部の右方かつ前記右端部の左方に位置する中央部を有し、
前記中央部は、前記左端部および前記右端部に対して上方に凹んでいる、請求項1~8のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
車両平面視において、前記ブラケットの全体が前記シートと重なっている、請求項1~9のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項11】
前記タンデムフートレスト装置は、
前記左タンデムフートレストを前記ブラケットの前記左端部に回転可能に連結する左連結軸と、
前記右タンデムフートレストを前記ブラケットの前記右端部に回転可能に連結する右連結軸と、を有し、
前記左タンデムフートレストおよび前記右タンデムフートレストは、後方に延びる格納位置と、側方に延びる展開位置との間で回転可能に構成されている、請求項1~10のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項12】
前記左タンデムフートレストおよび前記右タンデムフートレストが前記格納位置にあるときに、前記左タンデムフートレストの全体および前記右タンデムフートレストの全体は、車両平面視において前記シートと重なっている、請求項11に記載の鞍乗型車両。
【請求項13】
前記左タンデムフートレストは、前記左連結軸に接続された棒状の左アーム部と、前記同乗者の足が載せられる左足置き部と、前記左アーム部と前記左足置き部との間に位置する左段差部と、を有し、
前記右タンデムフートレストは、前記右連結軸に接続された棒状の右アーム部と、前記同乗者の足が載せられる右足置き部と、前記右アーム部と前記右足置き部との間に位置する右段差部と、を有し、
前記左段差部は、前記左タンデムフートレストが前記展開位置にあるときに、前記左アーム部から前記左足置き部に向けて下方に延びており、
前記右段差部は、前記右タンデムフートレストが前記展開位置にあるときに、前記右アーム部から前記右足置き部に向けて下方に延びている、請求項11または12に記載の鞍乗型車両。
【請求項14】
前記左タンデムフートレストおよび前記右タンデムフートレストが前記格納位置にあるときに、車両側面視において、前記左アーム部は前記左シートフレームと平行に配置され、前記右アーム部は前記右シートフレームと平行に配置されている、請求項13に記載の鞍乗型車両。
【請求項15】
車両平面視において、前記左タンデムフートレストの長さは、車両中心線と前記ブラケットの左端との距離よりも長く、
車両平面視において、前記右タンデムフートレストの長さは、車両中心線と前記ブラケットの右端との距離よりも長い、請求項1~14のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項16】
後輪と、
少なくとも一部が前記後輪の上方に位置するリアフェンダと、を備え、
前記リアフェンダは、前記ブラケットよりも後方に配置され、前記ブラケットから離間している、請求項1~15のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同乗者の足を支持するタンデムフートレスト装置を備えた鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特開2018-199405号公報に開示されているように、シートを支持する左シートフレームおよび右シートフレームと、左シートフレームおよび右シートフレームに支持されたタンデムフートレスト装置とを備えた鞍乗型車両が知られている。このタンデムフートレスト装置は、ボルトにより左シートフレームに固定された左のブラケットと、ボルトにより右シートフレームに固定された右のブラケットと、左のブラケットに支持された左タンデムフートレストと、右のブラケットに支持された右タンデムフートレストとを有している。
【0003】
上記鞍乗型車両では、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストは、それぞれブラケットを介して左シートフレームおよび右シートフレームに別々に取り付けなければならない。左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを取り付けるための構造が大型化する場合があった。また、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを取り外すときには、それらを別々に取り外さなければならない。
【0004】
特開平6-329066号公報には、左タンデムフートレスト、左のブラケット、右タンデムフートレスト、および右のブラケットが、リアフェンダの一部と一体化された鞍乗型車両が開示されている。この鞍乗型車両によれば、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストは、左右のブラケットおよびリアフェンダの一部と共に、互いに一体化されている。左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを、左シートフレームおよび右シートフレームに対して一緒に取り付けることができる。また、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを取り外すときに、一緒に取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-199405号公報
【特許文献2】特開平6-329066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特開平6-329066号公報に開示された鞍乗型車両では、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを左シートフレームおよび右シートフレームに取り付ける際に、リアフェンダの一部も一緒に取り付けなければならない。左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを取り外す際には、リアフェンダの一部も一緒に取り外さなければならない。そのため、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを着脱する作業が面倒である。
【0007】
本発明の目的は、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを取り付けるための構造が大型化することを抑制でき、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを着脱する作業が容易な鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示される鞍乗型車両は、後方かつ上方に延びる左シートフレームと、前記左シートフレームの右方に配置され、後方かつ上方に延びる右シートフレームと、前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに支持されたシートと、前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに支持され、前記シートに座る同乗者の足を支持するタンデムフートレスト装置と、を備える。前記タンデムフートレスト装置は、左端部および右端部を有し、前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに着脱可能に支持されたブラケットと、前記ブラケットの前記左端部に支持された左タンデムフートレストと、前記ブラケットの前記右端部に支持された右タンデムフートレストと、を有している。
【0009】
上記鞍乗型車両によれば、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストは、共通のブラケットに支持されている。左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストのそれぞれに別々のブラケットを設ける場合に比べて、部品点数の削減および構成の小型化を図ることができる。また、上記鞍乗型車両によれば、上記ブラケットを左シートフレームおよび右シートフレームに着脱するだけで、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを一緒に着脱することができる。よって、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを着脱する作業が容易である。
【0010】
前記鞍乗型車両は、前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに固定されたプレートを備えていてもよい。前記ブラケットは、前記プレートに着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0011】
このことにより、ブラケットはプレートを介して左シートフレームおよび右シートフレームに固定される。ブラケットをプレートに着脱するだけで、ブラケットを左シートフレームおよび右シートフレームに着脱することができる。ブラケットの着脱が容易である。
【0012】
前記プレートは、前記左シートフレームおよび前記右シートフレームの下方に配置され、車両側面視において前記左シートフレームおよび前記右シートフレームと平行に配置されていてもよい。
【0013】
このことにより、プレートは下方に突出しない。そのため、タンデムフートレスト装置をコンパクトに配置することができる。また、プレートからブラケットを取り外すことによってタンデムフートレスト装置を取り外したときに、左シートフレームおよび右シートフレームの下方に十分なスペースを確保することができる。
【0014】
前記ブラケットは、前記プレートにボルトにより固定されていてもよい。前記ボルトは上方に延びていてもよい。
【0015】
このことにより、ブラケットを固定するボルトは左右に出っ張らない。そのため、タンデムフートレスト装置をコンパクトに配置することができる。
【0016】
前記プレートの中央部に穴が形成されていてもよい。
【0017】
このことにより、プレートは軽量化される。タンデムフートレスト装置を軽量化することができる。
【0018】
前記ブラケットは、前記プレートの前記穴を下方から覆っていてもよい。
【0019】
このことにより、路面から巻き上げられる泥等がプレートの穴を通って上方に浸入することを、ブラケットによって防止することができる。
【0020】
前記鞍乗型車両は、前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに支持された電装品と、前記電装品を固定する固定ボルトと、を備えていてもよい。前記固定ボルトの一部は、前記プレートの前記穴の内部に配置されていてもよい。
【0021】
このことにより、固定ボルトを避けるためにプレートをより下方に配置しなくても済む。よって、タンデムフートレスト装置をコンパクトに配置することができる。
【0022】
前記鞍乗型車両は、前記左シートフレームおよび前記右シートフレームに支持された電装品を備えていてもよい。前記ブラケットは、前記電装品の後方かつ下方に配置されていてもよい。
【0023】
このことにより、路面から巻き上げられる泥等が電装品に付着することを、ブラケットによって防止することができる。
【0024】
前記ブラケットは、前記ブラケットの前記左端部の右方かつ前記右端部の左方に位置する中央部を有していてもよい。前記中央部は、前記左端部および前記右端部に対して上方に凹んでいてもよい。
【0025】
このことにより、左シートフレームおよび右シートフレームの後方かつ下方に配置された後輪とブラケットとの間に、十分なクリアランスを確保することができる。
【0026】
車両平面視において、前記ブラケットの全体が前記シートと重なっていてもよい。
【0027】
このことにより、ブラケットがシートよりも左方および右方に出っ張っていないので、タンデムフートレスト装置をコンパクトに配置することができる。
【0028】
前記タンデムフートレスト装置は、前記左タンデムフートレストを前記ブラケットの前記左端部に回転可能に連結する左連結軸と、前記右タンデムフートレストを前記ブラケットの前記右端部に回転可能に連結する右連結軸と、を有していてもよい。前記左タンデムフートレストおよび前記右タンデムフートレストは、後方に延びる格納位置と、側方に延びる展開位置との間で回転可能に構成されていてもよい。
【0029】
このことにより、同乗者が乗車しないときには、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを格納位置に格納することにより、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストが邪魔にならないようにすることができる。同乗者が乗車するときには、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを展開位置に展開することにより、同乗者は左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストに足を載せることができる。
【0030】
前記左タンデムフートレストおよび前記右タンデムフートレストが前記格納位置にあるときに、前記左タンデムフートレストの全体および前記右タンデムフートレストの全体は、車両平面視において前記シートと重なっていてもよい。
【0031】
このことにより、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを格納位置に格納したときに、左タンデムフートレストはシートよりも左方に出っ張らず、右タンデムフートレストはシートよりも右方に出っ張らない。左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストは邪魔になりにくい。
【0032】
前記左タンデムフートレストは、前記左連結軸に接続された棒状の左アーム部と、前記同乗者の足が載せられる左足置き部と、前記左アーム部と前記左足置き部との間に位置する左段差部と、を有していてもよい。前記右タンデムフートレストは、前記右連結軸に接続された棒状の右アーム部と、前記同乗者の足が載せられる右足置き部と、前記右アーム部と前記右足置き部との間に位置する右段差部と、を有していてもよい。前記左段差部は、前記左タンデムフートレストが前記展開位置にあるときに、前記左アーム部から前記左足置き部に向けて下方に延びていてもよい。前記右段差部は、前記右タンデムフートレストが前記展開位置にあるときに、前記右アーム部から前記右足置き部に向けて下方に延びていてもよい。
【0033】
このことにより、左段差部によって、左足置き部に載せた同乗者の左足が左アーム部に移動してしまうことを抑制することができる。また、右段差部によって、右足置き部に載せた同乗者の右足が右アーム部に移動してしまうことを抑制することができる。よって、同乗者は適切な姿勢を維持しやすい。
【0034】
前記左タンデムフートレストおよび前記右タンデムフートレストが前記格納位置にあるときに、車両側面視において、前記左アーム部は前記左シートフレームと平行に配置されていてもよく、前記右アーム部は前記右シートフレームと平行に配置されていてもよい。
【0035】
このことにより、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストをコンパクトに格納することができる。
【0036】
車両平面視において、前記左タンデムフートレストの長さは、車両中心線と前記ブラケットの左端との距離よりも長くてもよい。車両平面視において、前記右タンデムフートレストの長さは、車両中心線と前記ブラケットの右端との距離よりも長くてもよい。
【0037】
このことにより、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストは長いので、同乗者は左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストに足を載せやすい。同乗者は適切な姿勢をとりやすい。
【0038】
前記鞍乗型車両は、後輪と、少なくとも一部が前記後輪の上方に位置するリアフェンダと、を備えていてもよい。前記リアフェンダは、前記ブラケットよりも後方に配置され、前記ブラケットから離間していてもよい。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを取り付けるための構造が大型化することを抑制でき、左タンデムフートレストおよび右タンデムフートレストを着脱する作業が容易な鞍乗型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
図2】シートフレームおよびタンデムフートレスト装置の左側面図である。
図3】シートフレームおよびタンデムフートレスト装置の背面図である。
図4】シートフレームおよびタンデムフートレスト装置の底面図である。
図5】左右のタンデムフートレストが格納位置にあるときのタンデムフートレスト装置等の斜視図である
図6】左右のタンデムフートレストが展開位置にあるときのタンデムフートレスト装置等の斜視図である。
図7】タンデムフートレスト装置を取り外した状態の図4相当図である。
図8】タンデムフートレスト装置を取り外した状態の図2相当図である。
図9】自動二輪車の車両中心線を通る断面の部分断面図である。
図10】展開位置にある左タンデムフートレストの斜視図である。
図11】左右のタンデムフートレストが展開位置にあるときの自動二輪車の部分平面図である。
図12】左右のタンデムフートレストが格納位置にあるときの自動二輪車の部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照しながら、実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る鞍乗型車両は自動二輪車1である。自動二輪車1は、車体フレーム10と、前輪3と、後輪4と、内燃機関5と、シート6と、タンデムフートレスト装置30と、を備えている。
【0042】
以下の説明では特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、乗員が乗車せずかつ荷物が載せられていない自動二輪車1が水平面上に直立した状態で停止している場合に、シート6に着座した仮想的な乗員から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図中のF、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。
【0043】
前方とは、車両中心線CLに沿って水平に前向きに延びる方向だけでなく、当該方向から90度未満の角度で傾いた方向も含まれるものとする。後方とは、車両中心線CLに沿って水平に後向きに延びる方向だけでなく、当該方向から90度未満の角度で傾いた方向も含まれるものとする。左方とは、車両中心線CLに垂直な線に沿って水平に左向きに延びる方向だけでなく、当該方向から90度未満の角度で傾いた方向も含まれるものとする。右方とは、車両中心線CLに垂直な線に沿って水平に右向きに延びる方向だけでなく、当該方向から90度未満の角度で傾いた方向も含まれるものとする。上方とは、鉛直線に沿って上向きに延びる方向だけでなく、当該方向から90度未満の角度で傾いた方向も含まれるものとする。下方とは、鉛直線に沿って下向きに延びる方向だけでなく、当該方向から90度未満の角度で傾いた方向も含まれるものとする。
【0044】
車体フレーム10は、ヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11から後方に延びる左右のメインフレーム12と、左のメインフレーム12から後方かつ上方に延びる左シートフレーム15Lと、右のメインフレーム12から後方かつ上方に延びる右シートフレーム15Rと、左のメインフレーム12から後方かつ上方に延びる左シートフレーム13Lと、右のメインフレーム12から後方かつ上方に延びる右シートフレーム13Rと、を備えている。
【0045】
右シートフレーム15Rは左シートフレーム15Lの右方に配置されている。右シートフレーム13Rは左シートフレーム13Lの右方に配置されている。左シートフレーム13Lは左シートフレーム15Lの下方に配置されている。右シートフレーム13Rは右シートフレーム15Rの下方に配置されている。左シートフレーム13Lの前端部は、左シートフレーム15Lの前端部よりも下方に配置されている。左シートフレーム13Lの後端部は、左シートフレーム15Lの中途部に接続されている。右シートフレーム13Rの前端部は、右シートフレーム15Rの前端部よりも下方に配置されている。右シートフレーム13Rの後端部は、右シートフレーム15Rの中途部に接続されている。
【0046】
ヘッドパイプ11には、ステアリング軸2が左右に回転可能に支持されている。ステアリング軸2の上部には、ハンドルバー7が固定されている。ステアリング軸2の下部には、フロントフォーク8が固定されている。フロントフォーク8は前輪3を回転可能に支持している。
【0047】
内燃機関5は、自動二輪車1の走行のための駆動力を発生させる駆動源の一例である。内燃機関5は、車体フレーム10に支持されている。内燃機関5は、チェーン9などの動力伝達部材を介して後輪4に連結されている。後輪4は、駆動源の動力が伝達される駆動輪の一例である。メインフレーム12には、リアアーム21の前端部が揺動可能に連結されている。リアアーム21の後端部には、後輪4が回転可能に支持されている。
【0048】
ヘッドパイプ11の後方かつ内燃機関5の上方には、燃料タンク22が配置されている。シート6は燃料タンク22の後方に配置されている。シート6は、左シートフレーム13Lおよび15Lと、右シートフレーム13Rおよび15Rとに支持されている。シート6は、運転者が座るライダーシート6Aと、同乗者が座るタンデムシート6Bとを有している。タンデムシート6Bはライダーシート6Aの後方に位置している。ライダーシート6Aとタンデムシート6Bとは別体であってもよいが、本実施形態では一体的に形成されている。なお、運転者とは、自動二輪車1の運転を行う乗員のことである。同乗者とは、自動二輪車1の運転を行わない乗員のことである。
【0049】
タンデムフートレスト装置30は、シート6に座る同乗者の足を支持する装置である。同乗者は、タンデムフートレスト装置30に足を載せることにより、安定した姿勢でシート6に座ることができる。次に、タンデムフートレスト装置30の構成について説明する。
【0050】
図2図3図4図5は、それぞれタンデムフートレスト装置30等の左側面図、背面図、底面図、斜視図である。図2図5に示すように、タンデムフートレスト装置30は、ブラケット34と、ブラケット34の左端部34Lに支持された左タンデムフートレスト35Lと、ブラケット34の右端部34Rに支持された右タンデムフートレスト35Rと、を有している。左タンデムフートレスト35Lは、左連結軸36Lにより、ブラケット34に回転可能に連結されている。右タンデムフートレスト35Rは、右連結軸36Rにより、ブラケット34に回転可能に連結されている。左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rは、ブラケット34に回転可能に支持されている。
【0051】
左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rは、後方に延びる格納位置と、側方に延びる展開位置との間で回転可能に構成されている。図2図5は、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rが格納位置にある状態を表している。図6は、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rが格納位置にあるときのタンデムフートレスト装置30等の斜視図である。
【0052】
図5に示すように、タンデムフートレスト装置30は、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに支持されている。タンデムフートレスト装置30は、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに直接支持されていてもよいが、ここでは、プレート32を介して間接的に支持されている。
【0053】
図7は、プレート32からタンデムフートレスト装置30を取り外した状態の図4相当図である。図8は、プレート32からタンデムフートレスト装置30を取り外した状態の図2相当図である。図7に示すように、プレート32は、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに固定されている。ここでは、プレート32は、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに溶接されている。ただし、プレート32の固定方法は特に限定されない。
【0054】
プレート32には、ボルト締結用の複数の穴32aが形成されている。また、プレート32の中央部には、貫通した穴32hが形成されている。穴32hは、左シートフレーム13Lよりも右方、かつ、右シートフレーム13Rよりも左方に形成されている。穴32hは、車両中心線CLを跨がって左右に延びている。穴32hの左縁は車両中心線CLよりも左方に位置し、穴32hの右縁は車両中心線CLよりも左方に位置している。穴32hは周囲が閉じた開口である。
【0055】
図8に示すように、プレート32は、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rの下方に配置されている。プレート32は、車両側面視において、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rと平行に配置されている。
【0056】
図9に示すように、プレート32の上方には、電装品の一例である慣性計測装置(Inertial Measurement Unit。以下、IMUと称する。)40が配置されている。IMU40は、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに支持されている。左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rにはブラケット42が固定されている。IMU40は、ブラケット42に固定ボルト44a,44bにより固定されている。IMU40は、ブラケット42を介して左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに間接的に支持されている。固定ボルト44bの一部は、プレート32の穴32hの内部に配置されている。
【0057】
図4に示すように、タンデムフートレスト装置30のブラケット34は、プレート32にボルト38により固定されている。ボルト38はプレート32の穴32a(図7参照)に挿入されている。ボルト38は上方かつ前方に延びている(図2参照)。ボルト38は着脱自在である。ブラケット34はプレート32に着脱可能に取り付けられている。ブラケット34は、プレート32を介して、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに着脱可能に支持されている。
【0058】
図9に示すように、ブラケット34はIMU40の後方かつ下方に配置されている。ブラケット34はプレート32の穴32hを下方から覆っている。図5に示すように、ブラケット34は、上方に凹んだ中央部34Cを有している。中央部34Cは、左端部34Lの右方かつ右端部34Rの左方に位置している。中央部34Cは、左端部34Lおよび右端部34Rに対して上方に凹んでいる。
【0059】
図10に示すように、左タンデムフートレスト35Lは、左連結軸36Lに接続された棒状の左アーム部351Lと、同乗者の左足が載せられる左足置き部353Lと、左アーム部351Lと左足置き部353Lとの間に位置する左段差部352Lとを有している。左段差部352Lは、左タンデムフートレスト35Lが展開位置にあるときに、左アーム部351Lから左足置き部353Lに向けて下方に延びている。左段差部352Lは、左足置き部353Lから上方に延びる壁部を形成している。そのため、同乗者が左足置き部353Lに左足を載せているときに、左足が滑って左アーム部351L上に移動することは左段差部352Lによって抑制される。左段差部352Lの上下方向の寸法は特に限定されないが、例えば、20mm~40mmが好ましく、25mm~35mmが特に好ましい。
【0060】
右タンデムフートレスト35Rは、左タンデムフートレスト35Lと左右対称の形状を有している。図6に示すように、右タンデムフートレスト35Rは、右連結軸36Rに接続された棒状の右アーム部351Rと、同乗者の右足が載せられる右足置き部353Rと、右アーム部351Rと右足置き部353Rとの間に位置する右段差部352Rとを有している。右段差部352Rは、右タンデムフートレスト35Rが展開位置にあるときに、右アーム部351Rから右足置き部353Rに向けて下方に延びている。右段差部352Rは、右足置き部353Rから上方に延びる壁部を形成している。そのため、同乗者が右足置き部353Rに右足を載せているときに、右足が滑って右アーム部351R上に移動することは右段差部352Rによって抑制される。右段差部325Rの上下方向の寸法は特に限定されないが、例えば、20mm~40mmが好ましく、25mm~35mmが特に好ましい。
【0061】
図2に示すように、左タンデムフートレスト35Lが格納位置にあるときに、車両側面視において、左アーム部351Lは左シートフレーム13Lと平行に配置されている。同様に、右タンデムフートレスト35Rが格納位置にあるときに、車両側面視において、右アーム部351Rは右シートフレーム13Rと平行に配置されている。
【0062】
図11は、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rが展開位置にあるときのシート6およびタンデムフートレスト装置30の平面図である。図12は、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rが格納位置にあるときのシート6およびタンデムフートレスト30の平面図である。
【0063】
図12に示すように、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rが格納位置にあるときに、左タンデムフートレスト35Lの全体および右タンデムフートレスト35Rの全体は、車両平面視においてシート6と重なっている。左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rが格納位置にあるときに、自動二輪車1を上方から見て、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rは、シート6によって隠されている。左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rが格納位置にあるときに、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rは、シート6よりも左方および右方に出っ張っていない。
【0064】
本実施形態に係るタンデムフートレスト装置30では、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rは比較的長い。車両平面視において、左タンデムフートレスト35Lの長さL1は、車両中心線CLとブラケット34の左端34LEとの距離L2よりも長い。車両平面視において、右タンデムフートレスト35Rの長さR1は、車両中心線CLとブラケット34の右端34REとの距離R2よりも長い。
【0065】
図11に示すように、左タンデムフートレスト35Lが展開位置にあるときに、車両平面視において、左タンデムフートレスト35Lの先端と車両中心線CLとの距離L3は、シート6の横幅W6以上である。なお、シート6の横幅はシート6の前後位置によって異なる。ここでいうシート6の横幅W6とは、シート6の横幅のうち最大値のことである。同様に、右タンデムフートレスト35Rが展開位置にあるときに、車両平面視において、右タンデムフートレスト35Rの先端と車両中心線CLとの距離R3は、シート6の横幅W6以上である。
【0066】
図1に示すように、自動二輪車1はリアフェンダ24を備えている。リアフェンダ24の少なくとも一部は、後輪4の上方に位置している。タンデムフートレスト装置30は、リアフェンダ24と別体に形成されている。リアフェンダ24は、タンデムフートレスト装置30のブラケット34よりも後方に配置されている。リアフェンダ24は、ブラケット34から離間している。タンデムフートレスト装置30は、リアフェンダ24を取り外さなくても取り外すことができる。
【0067】
以上が自動二輪車1の構成である。次に、タンデムフートレスト装置30の利用方法について説明する。
【0068】
シート6に同乗者が座る場合、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rは、展開位置に展開される(図6および図11参照)。すなわち、左タンデムフートレスト35Lは左方に延びるように位置付けられ、右タンデムフートレスト35Rは右方に延びるように位置付けられる。これにより、シート6に座る同乗者は、左足を左タンデムフートレスト35Lの上に載せ、右足を右タンデムフートレスト35Rの上に載せることができる。
【0069】
シート6に同乗者が座らない場合、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rは、格納位置に格納することができる(図5および図12参照)。左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rが展開位置にある場合、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rを後方へ向けて回転させることにより、格納位置に格納させることができる。左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rを格納位置に格納することにより、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rは左方および右方に出っ張らなくなる。
【0070】
タンデムフートレスト装置30が不要な場合、タンデムフートレスト装置30は取り外すことができる。ボルト38を取り外すと、プレート32からブラケット34を取り外すことができる。左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rは共通のブラケット34に支持されているので、ブラケット34を取り外すことにより、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rを一緒に取り外すことができる。
【0071】
次に、本実施形態によってもたらされる様々な効果について説明する。本実施形態に係る自動二輪車1に備えられるタンデムフートレスト装置30は、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに着脱可能に支持されたブラケット34と、ブラケット34の左端部34Lに支持された左タンデムフートレスト35Lと、ブラケット34の右端部34Rに支持された右タンデムフートレスト35Rとを有している。左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rは、共通のブラケット34に支持されている。よって、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rのそれぞれに別々のブラケットを設ける場合に比べて、部品点数の削減および構成の小型化を図ることができる。また、本実施形態によれば、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rにブラケット34を着脱するだけで、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rを一緒に着脱することができる。よって、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rを着脱する作業が容易である。したがって、本実施形態によれば、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rを取り付けるための構造が大型化することを抑制でき、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rを着脱する作業が容易な自動二輪車1を得ることができる。
【0072】
本実施形態によれば、ブラケット34は、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに固定されたプレート32に着脱可能に取り付けられている。ブラケット34はプレート32を介して左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに固定される。ブラケット34をプレート32に着脱するだけで、ブラケット34を左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに着脱することができる。よって、ブラケット34の着脱が容易である。
【0073】
図8に示すように、プレート32は、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rの下方に配置されている。プレート32は、車両側面視において左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rと平行に配置されている。プレート32は下方に突出しない。そのため、タンデムフートレスト装置30をコンパクトに配置することができる。また、タンデムフートレスト装置30を取り外したときに、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rから下方に突出する突起物がない。タンデムフートレスト装置30を取り外したときに、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rの下方に十分なスペースを確保することができる。
【0074】
本実施形態によれば、ブラケット34はプレート32にボルト38により固定されている。ボルト38は上方に延びている。ブラケット34を固定するボルト38は、左右に出っ張らない(図3参照)。そのため、タンデムフートレスト装置30をコンパクトに配置することができる。
【0075】
本実施形態によれば、プレート32の中央部に比較的大きな穴32hが形成されている(図7参照)。そのため、プレート32を軽量化することができる。タンデムフートレスト装置30を軽量化することができる。
【0076】
本実施形態によれば、ブラケット34はプレート32の穴32hを下方から覆っている(図9参照)。そのため、路面から巻き上げられる泥等がプレート32の穴32hを通って上方に浸入することを、ブラケット34によって防止することができる。
【0077】
図9に示すように、本実施形態に係る自動二輪車1は、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに支持されたIMU40と、IMU40を固定する固定ボルト44bとを備えている。固定ボルト44bの一部は、プレート32の穴32hの内部に配置されている。そのため、固定ボルト44bを避けるためにプレート32をより下方に配置しなくても済む。プレート32を比較的上方に配置することができるので、タンデムフートレスト装置30をコンパクトに配置することができる。
【0078】
本実施形態によれば、ブラケット34はIMU40の後方かつ下方に配置されている。そのため、路面から巻き上げられる泥等がIMU40に付着することを、ブラケット34によって防止することができる。
【0079】
本実施形態によれば、ブラケット34の中央部34Cは、左端部34LEおよび右端部34REに対して上方に凹んでいる(図5参照)。そのため、後輪4とブラケット34との間に、十分なクリアランスを確保することができる。
【0080】
本実施形態によれば、図12に示すように車両平面視において、ブラケット34の全体がシート6と重なっている。ブラケット34は、シート6よりも左方および右方に出っ張っていない。タンデムフートレスト装置30をコンパクトに配置することができる。
【0081】
本実施形態によれば、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rは、後方に延びる格納位置と側方に延びる展開位置との間で回転可能に構成されている。同乗者が乗車しないときには、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Lを格納位置に格納することにより、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rが邪魔にならないようにすることができる。同乗者が乗車するときには、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rを展開位置に展開することにより、同乗者は左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rに足を載せて乗車することができる。
【0082】
本実施形態によれば、図12に示すように、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rが格納位置にあるときに、左タンデムフートレスト35Lの全体および右タンデムフートレスト35Rの全体は、車両平面視においてシート6と重なっている。左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rを格納位置に格納したときに、左タンデムフートレスト35Lはシート6よりも左方に出っ張らず、右タンデムフートレスト35Rはシート6よりも右方に出っ張らない。左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rは邪魔になりにくい。
【0083】
本実施形態によれば、左タンデムフートレスト35Lは、左アーム部351Lと左足置き部353Lとの間に位置する左段差部352Lを有している(図10参照)。右タンデムフートレスト35Rは、右アーム部351Rと右足置き部353Rとの間に位置する右段差部352Rを有している。左段差部352Lによって、左足置き部353Lに載せた同乗者の左足が左アーム部351Lに移動してしまうことを抑制することができる。また、右段差部352Rによって、右足置き部353Rに載せた同乗者の右足が右アーム部351Rに移動してしまうことを抑制することができる。よって、同乗者は適切な姿勢を維持しやすい。
【0084】
本実施形態によれば、図2に示すように、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rが格納位置にあるときに、車両側面視において、左アーム部351Lは左シートフレーム13Lと平行に配置され、右アーム部351Rは右シートフレーム13Rと平行に配置されている。そのため、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rをコンパクトに格納することができる。
【0085】
本実施形態によれば、図12に示すように車両平面視において、左タンデムフートレスト35Lの長さL1は、車両中心線CLとブラケット34の左端34LEとの距離L2よりも長い。車両平面視において、右タンデムフートレスト35Rの長さR1は、車両中心線CLとブラケット34の右端34REとの距離R2よりも長い。本実施形態では、ブラケット34は車両中心線CLの近くに配置されているが、左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rは比較的長い。よって、同乗者は左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rに足を載せやすい。同乗者は適切な姿勢をとりやすい。
【0086】
以上、一実施形態について説明したが、前記実施形態は一例に過ぎない。他にも様々な実施形態が可能である。
【0087】
タンデムフートレスト装置30のブラケット34は、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに直接支持されていてもよい。例えば、ブラケット34は、左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rにボルトにより着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0088】
プレート32の形状および配置は特に限定されない。プレート32は、車両側面視において左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rと平行に配置されていなくてもよい。
【0089】
ブラケット34をプレート32に固定するボルト38は、上方に延びていなくてもよい。例えば、プレート34の左端部および右端部が下方に屈曲し、ボルト38はそれら左端部および右端部に締結され、左方または右方に延びていてもよい。
【0090】
ブラケット34は、プレート32の穴32hを下方から覆っていなくてもよい。プレート32の中央部に穴32hが形成されていなくてもよい。
【0091】
左シートフレーム13Lおよび右シートフレーム13Rに支持された電装品はIMU40に限定されない。なお、電装品とは、電気信号を発信または受信する電子機器のことである。ブラケット34は電装品の後方かつ下方に配置されていなくてもよい。
【0092】
ブラケット34の中央部34Cは、左端部34Lおよび右端部34Rに対して上方に凹んでいなくてもよい。
【0093】
車両平面視において、ブラケット34の全体がシート6と重なっていなくてもよい。左タンデムフートレスト35Lおよび右タンデムフートレスト35Rが格納位置にあるときに、左タンデムフートレスト35Lの全体および右タンデムフートレスト35Rの全体は、車両平面視においてシート6と重なっていなくてもよい。
【0094】
左タンデムフートレスト35Lの左段差部352Lおよび右タンデムフートレスト35Rの右段差部352Rは、無くてもよい。
【0095】
左タンデムフートレスト35Lが格納位置にあるときに、車両平面視において、左アーム部351Lは左シートフレーム13Lと平行に配置されていなくてもよい。右タンデムフートレスト35Rが格納位置にあるときに、車両平面視において、右アーム部351Rは右シートフレーム13Rと平行に配置されていなくてもよい。
【0096】
車両平面視において、左タンデムフートレスト35Lの長さL1は、車両中心線CLとブラケット34の左端34LEとの距離L2以下であってもよい。車両平面視において、右タンデムフートレスト35Rの長さR1は、車両中心線CLとブラケット34の右端34REとの距離R2以下であってもよい。
【0097】
自動二輪車1の走行のための駆動力を発生させる駆動源は内燃機関5に限定されない。駆動源は電動モータであってもよい。
【0098】
鞍乗型車両とは、乗員が跨がって乗車する車両のことである。鞍乗型車両は自動二輪車1に限定されない。鞍乗型車両は、例えば、自動三輪車、ATV(All Terrain vehicle)、スノーモービルであってもよい。
【0099】
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0100】
1…自動二輪車(鞍乗型車両)、4…後輪、6…シート、13L…左シートフレーム、13R…右シートフレーム、24…リアフェンダ、30…タンデムフートレスト装置、32…プレート、32h…穴、34…ブラケット、34C…ブラケットの中央部、34L…ブラケットの左端部、34R…ブラケットの右端部、35L…左タンデムフートレスト、35R…右タンデムフートレスト、36L…左連結軸、36R…右連結軸、38…ボルト、40…IMU(電装品)、44b…固定ボルト、351L…左アーム部、352L…左段差部、353L…左足置き部、351R…右アーム部、352R…右段差部、353R…右足置き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12