(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187505
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】電磁アクチュエータ駆動システム
(51)【国際特許分類】
H01F 7/18 20060101AFI20221213BHJP
H01F 7/16 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H01F7/18 Q
H01F7/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095515
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】橋本 英明
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄介
(72)【発明者】
【氏名】松井 健志
【テーマコード(参考)】
5E048
【Fターム(参考)】
5E048AA08
5E048AD02
(57)【要約】
【課題】コイルに蓄積された電流の立ち下りを促進することで、応答性を向上させることが可能な電磁アクチュエータを提供する。
【解決手段】本発明にかかるアクチュエータ駆動システム100の構成は、電磁アクチュエータ200と、電磁アクチュエータ200を駆動する駆動回路110とを含み、電磁アクチュエータは、ハウジング202と、ハウジングの内側に配置された円筒状の駆動コイル210と、駆動コイルの内側に配置された駆動プランジャ220と、駆動プランジャに挿通されたシャフト10と、駆動コイルが励磁されたときに駆動プランジャとシャフトとを係合するロック機構と、を備え、駆動回路は、駆動コイルにパルス電流を送出するスイッチ(駆動スイッチ122)と、駆動コイルとグランドとの間に閉ループを形成するツェナーダイオード(駆動側ツェナーダイオード124)とを備えていることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁アクチュエータと、該電磁アクチュエータを駆動する駆動回路とを含む電磁アクチュエータ駆動システムであって、
前記電磁アクチュエータは、
ハウジングと、
前記ハウジングの内側に配置された円筒状の駆動コイルと、
前記駆動コイルの内側に配置された駆動プランジャと、
前記駆動プランジャに挿通されたシャフトと、
前記駆動コイルが励磁されたときに前記駆動プランジャと前記シャフトとを係合するロック機構と、
を備え、
前記駆動回路は、
前記駆動コイルにパルス電流を送出するスイッチと、
前記駆動コイルとグランドとの間に閉ループを形成するツェナーダイオードとを備えていることを特徴とする電磁アクチュエータ駆動システム。
【請求項2】
前記電磁アクチュエータは、
前記ハウジングの内側に配置された円筒状の解除コイルと、
前記解除コイルの内側に配置され前記シャフトが挿通された解除プランジャと、
前記解除プランジャの動作によって前記ロック機構を解除する解除機構と、
をさらに備え、
前記駆動回路は、
前記解除コイルにパルス電流を送出するスイッチと、
前記解除コイルとグランドとの間に閉ループを形成するツェナーダイオードとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ駆動システム。
【請求項3】
前記駆動回路の動作を制御する制御回路を備え、
前記制御回路は、前記解除コイルにパルス電流を送出するスイッチに対し、ONおよびOFFを断続して繰り返すことにより、前記シャフトを徐々に初期位置に戻すことを特徴とする請求項2に記載の電磁アクチュエータ駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁アクチュエータと、電磁アクチュエータを駆動する駆動回路とを含む電磁アクチュエータ駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、パーキングロック機構等に電磁アクチュエータが用いられている。例えば特許文献1に開示されているアクチュエータは、従動部材と、駆動機構と、ロック装置と、解除機構とを備えている。そして、従動部材が往復移動することにより、変速機の出力軸をロックするパーキングロック状態と、出力軸がロックされていないロック解除状態とを切り換えるように構成される。特許文献1によれば、装置を大型化することなく、従動部材の移動距離を長くすることができるアクチュエータを提供可能であるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電磁アクチュエータでは、コイルに対して電流を断続的に流すことにより(パルス電流)、可動鉄心の動きに合わせて可動鉄心とシャフトとの係合と解除を繰り返すステップ送りを行う(ステッピングアクチュエータ)。これによってシャフトを少しずつ繰り出すことで大きな移動距離を得ることができる。
【0005】
しかしながら、コイルに対して電流を流し、その電流を止めた際、コイルには電流が蓄積された状態となるため、立ち下がりの波形が鈍る。蓄積された電流が残っている状態では可動鉄心に残留磁場による吸引力が発生しているため、可動鉄心が元の位置に復帰しない。そのため、蓄積された電流が放出されるのを待ってから次のパルスを開始する必要がある。しかしながら、コイルに蓄積された電流が放出されるのを待っていると、パルス間のタイミングを短縮することが難しく、電磁アクチュエータの動作の応答性が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、コイルに蓄積された電流の立ち下りを促進することで、応答性を向上させることが可能な電磁アクチュエータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかるアクチュエータ駆動システムの代表的な構成は、電磁アクチュエータと、電磁アクチュエータを駆動する駆動回路とを含む電磁アクチュエータ駆動システムであって、電磁アクチュエータは、ハウジングと、ハウジングの内側に配置された円筒状の駆動コイルと、駆動コイルの内側に配置された駆動プランジャと、駆動プランジャに挿通されたシャフトと、駆動コイルが励磁されたときに駆動プランジャとシャフトとを係合するロック機構と、を備え、駆動回路は、駆動コイルにパルス電流を送出するスイッチと、駆動コイルとグランドとの間に閉ループを形成するツェナーダイオードとを備えていることを特徴とする。
【0008】
上記電磁アクチュエータは、ハウジングの内側に配置された円筒状の解除コイルと、解除コイルの内側に配置されシャフトが挿通された解除プランジャと、解除プランジャの動作によってロック機構を解除する解除機構と、をさらに備え、駆動回路は、解除コイルにパルス電流を送出するスイッチと、解除コイルとグランドとの間に閉ループを形成するツェナーダイオードとを備えているとよい。
【0009】
駆動回路の動作を制御する制御回路を備え、制御回路は、解除コイルにパルス電流を送出するスイッチに対し、ONおよびOFFを断続して繰り返すことにより、シャフトを徐々に初期位置に戻すことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コイルに蓄積された電流の立ち下りを促進することで、応答性を向上させることが可能な電磁アクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態にかかる電磁アクチュエータ駆動システムにおける電磁アクチュエータの全体構成を説明する図である。
【
図2】本実施形態の電磁アクチュエータの動作を説明する図である。
【
図3】本実施形態の駆動システムの全体構成を説明するブロック図である。
【
図4】コイルにおける電流の波形を説明する図である。
【
図5】駆動コイルを動作させた際の測定データを示す図である。
【
図6】解除コイルを動作させた際の測定データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態にかかる電磁アクチュエータ駆動システム(以下、駆動システム100と称する)における電磁アクチュエータ200の全体構成を説明する図である。本実施形態における駆動システム100の構成要素である電磁アクチュエータ200は、シャフト10の送り出しおよび引込みを行う。
【0014】
図1に示すように、電磁アクチュエータ200は、筒状のハウジング202、およびハウジング202の両側に取り付けられたハウジングカバー204a・204bを有する。ハウジング202の内部にはシャフト10が挿通されていて、またハウジングカバー204aの内部には、リターンスプリング206が収容されている。
【0015】
ハウジング202の内側には、円筒状の駆動コイル210が配置されている。駆動コイル210の内側には、シャフト10を送り出すための駆動プランジャ220が配置されている。かかる駆動プランジャ220にはシャフト10が挿通されている。また電磁アクチュエータ200には、駆動コイル210が励磁されたときに駆動プランジャ220とシャフト10とを係合するロック機構が設けられている。
【0016】
ロック機構は、第1テーパリング222および第1転動体224、並びに第2テーパリング252および第2転動体254を含んで構成される。第1テーパリング222は、駆動プランジャ220の内周側に配置されていて、シャフト送り側に向かって径が広がるテーパ形状を有する。第1テーパリング222とシャフト10の間には、第1テーパリング222およびシャフト10と係合する第1転動体224が配置されている。
【0017】
第2テーパリング252は、固定鉄心250の内周側に配置されていて、シャフト送り側に向かって径が広がるテーパ形状を有する。第2テーパリング252とシャフト10の間には、第2テーパリング252と係合する第2転動体254が配置されている。第1転動体224および第2転動体254は、シャフト10の軸と直行する方向に配置されたローラないし玉である。
【0018】
ハウジング202の内側には、円筒状の解除コイル230が配置されている。解除コイル230の内側には解除プランジャ240が配置されている。かかる解除プランジャ240もシャフト10が挿通されている。また電磁アクチュエータ200には、解除プランジャ240の動作によってロック機構を解除する解除機構を備え、解除プランジャ240が動作することにより、駆動プランジャ220によって送り出されたシャフト10が初期位置に戻る。
【0019】
解除機構は、第3テーパリング242および第3転動体244を含んで構成される。第3テーパリング242は、解除プランジャ240の内周側に配置されていて、シャフト送り側と反対側に向かって径が広がるテーパ形状を有する。第3テーパリング242とシャフト10との間には、第3テーパリング242を係合する第3転動体244が配置されている。
【0020】
図2は、本実施形態の電磁アクチュエータ200の動作を説明する図である。
図2(a)は、シャフト10の送り出し時の電磁アクチュエータ200の状態を例示していて、
図2(b)は、シャフト10の戻り時の電磁アクチュエータ200の状態を例示している。
【0021】
駆動コイル210および解除コイル230のいずれにも電力が流れていない非励磁状態では、
図1に示すように、シャフト10はリターンスプリング206の付勢力によってシャフト送り方向と逆側に付勢されている。この状態では、第1テーパリング222と第1転動体224、第2テーパリング252と第2転動体254、第3テーパリングと第3転動体は、すべて係合した状態となっている。
【0022】
シャフト10を送り出す際には、まず駆動コイル210に電力を流す。すると、駆動プランジャ220が固定鉄心250に吸着されてシャフト送り側に向かって移動する。すると第1転動体224が第1テーパリング222とシャフト10に噛み合い、くさび効果によってこれらの相対的な移動を抑制するため、
図2(a)に示すように、シャフト10が1ステップ送り出される。シャフト10が移動しているときは第2転動体254は第2テーパリング252から離間しているが、駆動プランジャ220が戻るときにシャフト10も戻ろうとすると第2転動体254が第2テーパリング252とシャフト10との間に噛み合うため、シャフト10は戻ることができずにその位置に留まる。そして駆動コイル210に対して電力を断続的に流すことにより(パルス電流)、シャフト10が任意のステップ分送り出される。
【0023】
一方、シャフト10を初期位置に戻す際には、解除コイル230に電力を流す。すると、解除プランジャ240が固定鉄心270に吸着されてシャフト送り側に向かって移動する。解除プランジャ240と共にリテーナ260をシャフト送り側に移動すると、リテーナ260は第1転動体224を第1テーパリング222から離間させると共に、第2転動体254を第2テーパリング252から離間させる。第3転動体244は、シャフト10が戻る方向には係合しない。これにより、
図2(b)に示すように、第1転動体224、第2転動体254、第3転動体は、すべて係合が解除される。そして、シャフト10はリターンスプリング206の付勢力によってシャフト送り側とは逆側に移動し、初期位置に戻る。
【0024】
図3は、本実施形態の駆動システム100の全体構成を説明するブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の駆動システム100では、
図1および
図2を用いて説明した電磁アクチュエータ200と、かかる電磁アクチュエータ200を駆動する駆動回路110と、駆動回路110の動作を制御する制御回路140とを含んで構成される。
【0025】
図3に示すように、本実施形態の駆動システム100では、駆動回路110において、電源102から電磁アクチュエータ200の駆動コイル210に電力を供給する駆動電力回路120を有する。駆動電力回路120には、駆動スイッチ122が設けられている。制御回路140から駆動信号(パルス電流)が送出されているときには、駆動スイッチ122はONの状態となり、電源102から駆動コイル210に対して電力が供給される。制御回路140から駆動信号(パルス電流)が送出されていない場合には、駆動スイッチ122はOFFの状態となる。
【0026】
また駆動回路110には、電源102から電磁アクチュエータ200の解除コイル230に電力を供給する解除電力回路130が設けられている。解除電力回路130には、解除スイッチ132が設けられている。制御回路140から解除信号(パルス電流)が送出されているときは、解除スイッチ132はONの状態となり、電源102から解除コイル230に対して電力が供給される。制御回路140から解除信号(パルス電流)が送出されていない場合には、解除スイッチ132がOFFの状態となる。
【0027】
本実施形態の駆動システム100の特徴として、駆動回路110では、駆動コイル210とグランドとの間に閉ループを形成する還流ダイオード123および駆動側ツェナーダイオード124が設けられている。
【0028】
駆動コイル210と還流ダイオード123は並列に接続されていて、電源102から駆動コイル210に電力が供給されるときには還流ダイオード123には電流が流れない。還流ダイオード123と駆動側ツェナーダイオード124は背中合わせに配置されている。スイッチを切ったときに駆動コイル210において電磁誘導によって発生した電流は、グランドを介して駆動コイル210に還流し、駆動側ツェナーダイオード124において消費される。
【0029】
同様に、解除コイル230とグランドとの間に閉ループを形成する還流ダイオード133および解除側ツェナーダイオード134が設けられている。
【0030】
解除コイル230と還流ダイオード133は並列に接続されていて、電源102から解除コイル230に電力が供給されるときには還流ダイオード133には電流が流れない。還流ダイオード133と解除側ツェナーダイオード134は背中合わせに配置されている。スイッチを切ったときに解除コイル230において電磁誘導によって発生した電流は、グランドを介して解除コイル230に還流し、解除側ツェナーダイオード134において消費される。
【0031】
図4は、コイルにおける電流の波形を説明する図である。駆動スイッチ122または解除スイッチ132がONとなると、駆動コイル210または解除コイル230に電力が供給される。このとき、スイッチをONの状態とすると、電流は所定の時定数を以て緩やかに立ち上がる。そして、駆動スイッチ122または解除スイッチ132をOFFとすると、
図4の破線カーブに示すように電流は緩やかに立ち下がる。
【0032】
しかしながら、
図4の破線カーブのように電流の立ち下りが緩やかであると、電流が立ち下がり終わった時間t1まで次の駆動信号または解除信号が送出されないこととなる。すると、パルス電流の周期を短縮することができず、シャフト10を送り出すまたは戻す動作の応答性を向上させることができない。
【0033】
しかしながら上述したように駆動コイル210とグランドとの間に閉ループを形成する還流ダイオード123および駆動側ツェナーダイオード124を設け、解除コイル230とグランドとの間に閉ループを形成する還流ダイオード133および解除側ツェナーダイオード134を設けている(
図3参照)。これにより、スイッチがOFFとなった際の駆動コイル210または解除コイル230に蓄積された電流が駆動コイル210または解除コイル230に還流し、駆動側ツェナーダイオード124または解除側ツェナーダイオード134において消費される。
【0034】
上記構成によれば、
図4実線カーブに示すように、スイッチがOFFとなった後、電流は、急激に立ち下り、時間t2で立ち下がり終わる。したがって、本実施形態の駆動システム100によれば、従来の電磁アクチュエータと比して、早いタイミングで次の駆動信号または解除信号を送出することができ、シャフト10を送り出すまたは戻す動作の応答性を向上させることが可能となる。
【0035】
図5は、駆動コイル210を動作させた際の測定データの例を示す図である。
図5(a)に示すように、駆動スイッチをONにすると、電流が緩やかに立ち上がる(図示A1)。そして、駆動回路110において還流ダイオード123および駆動側ツェナーダイオード124が設けられている場合、駆動スイッチ122がOFFになると、電流が急峻に立ち下がる(図示B1)。このことから、駆動側ツェナーダイオード124を設けることにより、電流の立ち下りを促進可能であることが理解できる。これにより、パルス電流の周期T1を短縮することができる。なお
図5に示す波形はあくまでも例示であって、ON時間およびOFF時間はいずれもさらに短縮することができ、確実に行える時間さえ取ればよい。
【0036】
また
図5(b)に示すように、駆動スイッチ122がONになって駆動コイル210に電力が供給されると、駆動プランジャ220が移動する。そして駆動スイッチ122がOFFになって駆動コイル210への電力の供給が止まると、駆動プランジャ220の移動が停止し、初期位置(ハウジングカバー204b側)に戻る。そして、
図5(a)に示すように駆動スイッチ122へのONおよびOFFを断続的に繰り返すことにより、
図5(c)に示すように、シャフト10が徐々に送り出される。
【0037】
図6は、解除コイル230を動作させた際の測定データを示す図であって、
図6(a)は実施例、
図6(b)は比較例である。
図6(b)の比較例は、単一の解除パルスを印加してシャフト10を一度で初期位置に戻した例である。
【0038】
図6(a)に示すように、解除スイッチ132をONにすると、電流がゆるやかに立ち上がる(図示A2)。そして、駆動回路110において還流ダイオード133および解除側ツェナーダイオード134が設けられている場合、解除スイッチ132がOFFになると、電流が急峻に立ち下がる(図示B2)。このことから、解除側ツェナーダイオード134を設けることにより、シャフト10の解除においても、電流の立ち下りを促進可能であることが理解できる。これにより、パルス電流の周期T2を短縮することができる。
【0039】
また
図6(a)では、解除スイッチ132のONおよびOFFを断続して繰り返し、シャフト10を徐々に初期位置に戻している。このときの騒音のピーク値は101.3dBであった。これに対し
図6(b)に示すようにシャフト10を一度で初期位置に戻した比較例では、騒音のピーク値は110.1dBであった。このように、本発明によればシャフト10を戻すときの騒音を平均化させることができ、戻ったシャフト10とハウジング202との衝突時のエネルギーを低減することができる。したがって、衝突音(騒音)を減らすことが可能となる。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、電磁アクチュエータと、電磁アクチュエータを駆動する駆動回路とを含む電磁アクチュエータ駆動システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10…シャフト、100…駆動システム、102…電源、110…駆動回路、120…駆動電力回路、122…駆動スイッチ、123…還流ダイオード、124…駆動側ツェナーダイオード、130…解除電力回路、132…解除スイッチ、133…還流ダイオード、134…解除側ツェナーダイオード、140…制御回路、200…電磁アクチュエータ、202…ハウジング、204a…ハウジングカバー、204b…ハウジングカバー、206…リターンスプリング、210…駆動コイル、220…駆動プランジャ、222…第1テーパリング、224…第1転動体、230…解除コイル、240…解除プランジャ、242…第3テーパリング、244…第3転動体、250…固定鉄心、252…第2テーパリング、254…第2転動体、260…リテーナ、270…固定鉄心