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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187509
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】ペダル補助装置
(51)【国際特許分類】
   G10G 7/00 20060101AFI20221213BHJP
   G10H 1/32 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G10G7/00
G10H1/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095520
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】595148567
【氏名又は名称】株式会社 総合ピアノサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100121773
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 正
(72)【発明者】
【氏名】洲之内 孝造
【テーマコード(参考)】
5D182
5D478
【Fターム(参考)】
5D182BB07
5D182CC10
5D478CC33
(57)【要約】
【課題】ペダルの高さをかさ上げする場合であっても、演奏者が補助ペダルを踏む際の違和感を低減することのできる補助ペダル装置を提供する。
【解決手段】演奏者の足が楽器のペダル5に届かない場合に使用するペダル補助装置1は、ペダル5に固定されるベース部10と、補助ペダル20と、幅方向の水平な揺動軸40周りに、補助ペダル20をベース部10に対して揺動可能に連結する揺動連結部材30と、を備え、揺動連結部材30は、圧縮状態で設置され、補助ペダル20をペダル5から離れる先端側に回動するように押す圧縮コイルバネ42を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏者の足が楽器のペダルに届かない場合に使用するペダル補助装置において、
前記ペダルに固定されるベース部と、
補助ペダルと、
幅方向の水平な揺動軸周りに、前記補助ペダルを前記ベース部に対して揺動可能に連結する揺動連結部材と、を備え、
前記揺動連結部材は、圧縮状態で設置され、前記補助ペダルを前記ペダルから離れる先端側に回動するように押す圧縮コイルバネを備えることを特徴とするペダル補助装置。
【請求項2】
前記揺動連結部材は、
前記補助ペダルに連結固定されると共に、前記ベース部に対して、前記揺動軸周りに揺動可能に連結される補助ペダル側固定部と、を備え、
前記圧縮コイルバネは、前記揺動軸よりも根元側において前記ベース部と前記補助ペダル側固定部との間に設置され、前記補助ペダル側固定部を先端側に回動するように押していることを特徴とする請求項1記載のペダル補助装置。
【請求項3】
前記揺動連結部材は、前記揺動軸よりも先端側において、前記ベース部と前記補助ペダル側固定部との間に設置され、前記補助ペダル側固定部の先端側への回動を制限する揺動角調整部材をさらに備えることを特徴とする請求項2記載のペダル補助装置。
【請求項4】
前記揺動角調整部材は、前記ベース部と前記補助ペダル側固定部との間にその先端部が突出して前記補助ペダル側固定部の下面又は前記ベース部の上面に接触することで回動を制限する、前記ベース部又は前記補助ペダル側固定部にねじ留めされた揺動角調整ボルトであることを特徴とする請求項3記載のペダル補助装置。
【請求項5】
前記補助ペダルは、互いに着脱可能に構成され、積み上げることで前記補助ペダルの高さを調節可能な複数の連結ブロックをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載のペダル補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽器のペダルを補助するペダル補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピアノやオルガン等のペダルが設置された楽器を演奏する際、演奏者が子供の場合には、足がペダルまで届かないケースがある。このような場合に、子供であっても楽器のペダルを操作することができるように、ペダルに取り付けて使用されるペダル補助装置が従来から提供されている。
【0003】
このようなペダル補助装置は、例えば、下記特許文献1~3に開示されている。下記特許文献1~3においては、楽器のペダルに高さ調整可能に補助ペダルを固定設置することで、ペダルの高さをかさ上げし、補助ペダルを介して楽器のペダルを操作可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-56680号公報
【特許文献2】実用新案登録第3197741号公報
【特許文献3】実用新案登録第3137551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ペダルの高さをかさ上げした場合、楽器のペダルの揺動中心から補助ペダルの位置が離れ、補助ペダルを踏んだ際の移動距離が楽器のペダルを踏む際の移動距離よりも増加するため、補助ペダルを踏む演奏者が違和感を感じてしまう。このような違和感は、補助ペダルのかさ上げの高さが増すほど増してしまうと考えられる。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ペダルの高さをかさ上げする場合であっても、演奏者が補助ペダルを踏む際の違和感を低減することのできる補助ペダル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る補助ペダル装置は、演奏者の足が楽器のペダルに届かない場合に使用するペダル補助装置において、前記ペダルに固定されるベース部と、補助ペダルと、幅方向の水平な揺動軸周りに、前記補助ペダルを前記ベース部に対して揺動可能に連結する揺動連結部材と、を備え、前記揺動連結部材は、圧縮状態で設置され、前記補助ペダルを前記ペダルから離れる先端側に回動するように押す圧縮コイルバネを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る補助ペダル装置によれば、演奏者が補助ペダルを踏む際の違和感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係るペダル補助装置の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るペダル補助装置の分解斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るペダル補助装置の使用状態を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る連結ブロックの構成を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る連結ブロックの連結状態を示す側面図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るベース側固定部の構成を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る補助ペダル側固定部の構成を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る揺動連結部材の揺動状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、ペダル補助装置として、足がペダルに届かない子供がピアノを演奏する際に、ピアノのペダル5に取り付けて使用するペダル補助装置(アシストペダル)1について説明する(図3参照)。
【0011】
ペダル補助装置1は、ピアノペダル5に取り付けて固定されるベース部10と、補助ペダル部20と、ベース部10と補助ペダル部20とを揺動可能に連結する揺動連結30とを備えている(図1及び図2等参照)。
【0012】
本実施形態では、平面視において、ペダル補助装置1のピアノペダル5に取り付けられる側を根元側、演奏者が位置する側であってピアノペダル5から離れる反対側を先端側と称し、根元側と先端側を結ぶ方向を前後方向、前後方向に直交する方向を幅方向と称する。
【0013】
ベース部10は、ベースプレート11と、ピアノペダル5に固定するためのペダル固定部12とを備える。ベースプレート11は、正面視において、階段状に二度直角に折れ曲がった金属製プレートであり、スプリング42を通すための小穴や、ねじ留めのための雌ネジが所定の場所に形成されている。ピアノ固定部12は、ピアノペダル挿入フレーム13と、ピアノペダル固定ネジ14と、ペダル押さえ材15とを備えている。
【0014】
ベースプレート11の下段部11bには、上方に突出するピアノペダル挿入フレーム13が設置されている。ペダル補助装置1をピアノペダル5に取り付ける際には、下段部11bとピアノペダル挿入フレーム13に囲まれた空間内にピアノペダル5が挿入される。下段部11bの上面には、シート状のクッション材11cが設置されている。
【0015】
ピアノペダル固定ネジ14は、図示しない雄ネジ部を備え、ピアノペダル挿入フレーム13の上面に形成された雌ネジ部(不図示)にねじ込まれ、その先端がピアノペダル挿入フレーム13内に突出している。雄ネジ部の先端には、プレート状のペダル押さえ材15が連結されている。ペダル押さえ材15は、ピアノペダル固定ネジ14の先端に対して、ネジ軸回りに相対的に回動可能に、図示しない連結ネジによりねじ留めされている。
【0016】
ピアノペダル5をピアノペダル挿入フレーム13内に挿入した状態で、ピアノペダル固定ネジ14を締める方向に回転させて雄ネジ部の先端を下降させると、ペダル押さえ材15がピアノペダル5の上面に押し付けられる。すなわち、ピアノペダル5がペダル押さえ材15とベースプレート11の下段部11bのクッション材11cとの間に挟まれて固定され、ベース部10がピアノペダル5に対して確実に固定される。
【0017】
補助ペダル部20は、補助ペダル21と、複数の種類の連結ブロック25とを備えており、連結して積み上げる連結ブロック25の種類や個数を変えることで、補助ペダル21の高さを調節可能である。
【0018】
図4は、本実施形態に係る連結ブロック25の構成を示す図であり、図4(A)は、3種類の連結ブロック25を横に並べた正面図であり、図4(B)は、3種類の連結ブロック25を横に並べた側面図である。図5は、補助ペダル部20の側面図であり、3種類の連結ブロック25を全て連結させて積み上げた状態を示している。
【0019】
補助ペダル21は、ピアノのペダルに似た形状であり、下面に設置された連結凹部21bと、抜け防止スライダー22とを備えている。抜け防止スライダー22は、連結凹部21bの入口を閉じる抜け防止位置と、上方に移動して当該入口を開放する開放位置との間で、垂直方向にスライド自在に設置されている。
【0020】
連結ブロック25は、本実施形態では、一段、二段、三段の3種類の連結ブロック25が用意されている。二段の連結ブロック25は、一段の連結ブロック25の2倍の高さ、三段の連結ブロック25は、一段の連結ブロック25の3倍の高さである。図1図2及び図8では、一段の連結ブロック25のみを使用している状態を示している。
【0021】
全ての連結ブロック25の上面には、連結凸部25aが形成され、下面には、連結凹部25bが形成されている。全ての連結ブロック25は、抜け防止スライダー26を備えている。抜け防止スライダー26は、連結凹部25bの入口を閉じる抜け防止位置と、上方に移動して当該入口を開放する開放位置との間で、垂直方向にスライド自在に設置されている。
【0022】
後述する揺動連結部材30の補助ペダル側固定部35の上面に設置されている連結凸部35aを含め、全ての連結凸部25a,35aは同じ形状であり、全ての連結凹部21b,25bも同じ形状である。
【0023】
連結凸部25a,35aは、連結凹部21b,25bの側方の開口から水平方向に移動させることで、連結凹部21b,25b内部に進入可能である。連結凸部25a,35a全体が連結凹部21b,25b内に入ることで、連結凸部25a,35aを上面に有する部材(連結ブロック25、補助ペダル側固定部35)と、連結凹部21b,25bを下面に有する部材(補助ペダル21,連結ブロック25)とが垂直方向に連結される。
【0024】
この連結は、連結凸部25a,35aが水平方向に移動して、連結凹部21b,25bから抜け出さない限り解除されない。よって、連結凸部25a,35aを連結凹部21b,25b内に挿入した後に、抜け防止スライダー22,26を垂直方向にスライドさせて抜け防止位置に位置させておくことで、連結状態を確実に維持することができる。
【0025】
ここで、図4では、全ての連結ブロック25において、抜け防止スライダー26が上方の開放位置に位置している。また、図5では、既に連結されている、補助ペダル21の抜け防止スライダー22が下方の抜け防止位置に位置しているが、三段の連結ブロック25の抜け防止スライダー26は全て上方の開放位置に位置している。
【0026】
補助ペダル部20は、設置する連結ブロック25の数や種類を変えることで、ベース部10に対する補助ペダル21の設置高さを適宜調整可能である。連結ブロック25を使用せずに、補助ペダル側固定部35に直接補助ペダル21を連結する場合に設置高さが最も低くなる。また、図5に示すように、3種類の連結ブロック25を全て積み上げて設置する場合に、補助ペダル21の設置高さが最も高くなる。
【0027】
揺動連結部材30は、ベース側固定部31と、補助ペダル側固定部35と、揺動軸40と、圧縮コイルバネであるスプリング42と、揺動角調整ボルト45とを備えている。図6は、ベース側固定部31の構成を示す図であり、図6(A)は、上方から見た斜視図、図6(B)は、下方から見た斜視図である。
【0028】
図7は、補助ペダル側固定部35の構成を示す図であり、図7(A)は、上方から見た斜視図、図7(B)は、下方から見た斜視図、図7(C)は、正面図であり、一部断面を示している。図8は、揺動連結部材30の揺動状態を説明するための図であり、図8(A)は、揺動角度が水平0°の状態、図8(B)は、揺動角度が先端側に5°の状態、図8(C)は、揺動角度が根元側に3°の状態を示している。
【0029】
ベース側固定部31は、ベース部10に固定される部材であり、幅方向中心のピアノペダル5側(根元側)寄りの部分には、スプリング42を収納するために、その上面側に開口する円柱状の凹部であるスプリング収納部32が形成されている。
【0030】
スプリング収納部32内の中心には、円筒状のコイルバネのスプリング42内に挿入されることで、垂直に立った状態でスプリング42を保持する垂直軸であるスプリング支持軸32aが設置されている。ベース側固定部31は、ベースプレート11の下段部11bの下面に、固定ネジ33により固定されている。
【0031】
ベース側固定部31は、平面視においてH形形状であり、その前後方向の中心部分は、幅方向において細くなっており、幅方向に延在する揺動軸挿通穴31aが形成されている。
【0032】
補助ペダル側固定部35は、ベースプレート11の上段部11aの上面に位置しており、ベース側固定部31に対して、水平な揺動軸40により揺動自在に連結設置されている。本実施形態では、補助ペダル側固定部35の上面が水平となる際、すなわち、補助ペダル部20が直立状態となる際の揺動角度を0°とする(図8(A)参照)。
【0033】
補助ペダル側固定部35は、その上面に連結凸部35aを備えている。連結凸部35aは、補助ペダル21の連結凹部21b又は連結ブロック25の連結凹部25bと連結される。
【0034】
補助ペダル側固定部35は、ベースプレート11の上段部11aの下方側に突出する揺動軸挿通部36を幅方向の両側に備えている。揺動軸挿通部36には、揺動軸挿通穴36aが形成されており、揺動軸40の両端が揺動軸挿通穴36aに挿入さる。
【0035】
補助ペダル側固定部35の下面の幅方向中心のピアノペダル5寄りの部分であって、ベース側固定部31のスプリング収納部32に対向する部分には、下面側に開口する円柱状の凹部であるスプリング収納部37が形成されている。スプリング収納部37の中心には、スプリング支持軸37aが設置されている。
【0036】
補助ペダル側固定部35の下面は、前後方向において、最下部の中心から離れるに従って上昇する傾斜面が形成されている。先端側が第一傾斜面35bであり、根元側が第二傾斜面35cである。傾斜面35b,35cの傾斜角度はそれぞれ上方に5°である。但し、ピアノペダル5側に位置する第二傾斜面35cには、さらに、上方に3°の傾斜面である第二突出傾斜面35dが下方に突出するように形成されている。
【0037】
補助ペダル側固定部35が揺動軸40周りに揺動する際、ピアノペダル5から離れる先端側に回動すると、第一傾斜面35bがベースプレート11の上段部11aの上面に衝突して回動が停止する。このときの揺動角度は、補助ペダル側固定部35の上面が水平となる0°の位置から先端側に5°である(図8(B)参照)。
【0038】
また、補助ペダル側固定部35が根元側に回動すると、第二傾斜面35cの第二突出傾斜面35dが上段部11aの上面に衝突して回動が停止する。このときの揺動角度は、0°の位置から根元側に3°である(図8(C)参照)。
【0039】
すなわち、補助ペダル側固定部35は、その上面が0°となる水平位置から先端側に5°、根元側に3°、の合計8°の範囲内で揺動自在である。なお、補助ペダル部20が補助ペダル側固定部35の上面に連結固定されると、補助ペダル21の上面は補助ペダル側固定部35の上面と水平であり、揺動角度が0°のときに、補助ペダル21は水平状態となり、ピアノペダル5と略水平である。
【0040】
スプリング42は、下端側がベース側固定部31のスプリング収納部32に収納され、上端側が補助ペダル側固定部35のスプリング収納部37に収納されている。スプリング収納部32,37は、揺動軸40よりも根元側に設置されている。圧縮コイルバネであるスプリング42は、揺動軸40よりも根元側に圧縮状態で直立して収納されており、その反力により、補助ペダル側固定部35が先端側に回動するように、その根元側の下面を上方に押し付けている。
【0041】
よって、外力が加わっていない、初期状態において、補助ペダル側固定部35に連結された補助ペダル部20の揺動角度は先端側に5°である。一方、演奏者が補助ペダル21を踏み込むことで、スプリング42の弾性力に抗して、根元側に補助ペダル部20が回動し、最大で、根元側に3°の揺動角度の位置まで回動可能である。
【0042】
このように、補助ペダル部20を弾性部材であるスプリング42により先端方向に回動するように押すと共に、補助ペダル21が演奏者により踏まれると、弾性力に抗して根元側に回動可能に構成することで、演奏者がかさ上げされた補助ペダル21を踏む際の移動距離を減少させることができ、ピアノペダル5を直接踏む際と比べた違和感を減少させることができる。
【0043】
なお、演奏者が補助ペダル21から足を外せば、ピアノペダル5が上昇するのに応じてペダル補助装置1も上昇すると共に、根元側に回動していた補助ペダル部20は、スプリング42の弾性力により先端側に押されて、先端側に5°傾斜する初期状態に戻る。
【0044】
揺動角調整ボルト45は、この初期状態における揺動角度を調整する初期揺動角調整部材(ねじ部材)であり、ボルトの先端がベースプレート11の上方に突出するように、ベースプレート11(ベース側固定部31)に対して下方からねじ込まれてねじ留めされている。
【0045】
揺動角調整ボルト45の先端は、補助ペダル側固定部35の第一傾斜面35bに形成されている角度調整用凹部38内に位置しており、揺動角調整ボルト45をねじ送り方向に回すことで、その先端が上昇し、角度調整用凹部38の底面に衝突する位置までねじ込むことで、初期状態では先端側に5°の初期揺動角度を、適宜調整することができる。
【0046】
揺動角調整ボルト45は、根元側への最大揺動角度3°の揺動状態にある補助ペダル側固定部35の角度調整用凹部38の底面に接触する位置までねじ送り可能に設置されている。
【0047】
すなわち、揺動角調整ボルト45により、補助ペダル部20の初期揺動角度は、先端側に5°から根元側に3°の位置まで調整可能である。初期揺動角度が根元側に3°の位置に調整された場合には、補助ペダル部20は揺動不可の状態となる。
【0048】
以上、本実施形態について説明したが、本実施形態によれば、ピアノペダル5に足の届かない子供がピアノを演奏する際に、ペダル補助装置1をピアノペダル5に取り付けることで、ペダルの高さをかさ上げすることができ、子供であっても補助ペダル21を介して間接的にピアノペダル5を操作することができる。
【0049】
また、本実施形態においては、補助ペダル部20に設置する連結ブロック25の種類や数を変更することで、補助ペダル21の高さを適宜調整することができ、ペダルのかさ上げ高さを演奏者の足の長さに適宜合わせることができる。
【0050】
また、本実施形態では、補助ペダル部20が水平な揺動軸40周りに前後方向に揺動自在に設置されると共に、スプリングにより先端方向に常時押されているため、ペダルをかさ上げすることにより、演奏者が補助ペダル21を踏んだ際に感じる違和感を減少させることができる。
【0051】
また、本実施形態では、補助ペダル部20を押し付ける弾性部材であるスプリング42として、圧縮コイルバネを採用しているため、スプリングを揺動連結部材30内に設置することができる。これにより、ペダル補助装置1の外観を良くし、コイルバネが露出することによる危険性を防ぐこともできる。
【0052】
また、本実施形態では、揺動角調整ボルト45により補助ペダル部20の揺動範囲を適宜調整することができるため、様々な状況において、補助ペダル21を踏んだ際に感じる違和感を減少させることができる
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、ペダル補助装置を構成する部材の形状やサイズ、素材等は適宜変更可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、ベース部に対して補助ペダルを回動自在に連結する揺動連結部材のベース側固定部をベース部(ベースプレート)に固定したが、ベース側固定部をベース部と一体に形成しても良く、補助ペダル側固定部を揺動軸によりベース部に対して揺動可能に連結するように構成できれば良い。
【0055】
また、上記実施形態では、補助ペダル側固定部の先端側への回動を制限する揺動角調整部材として、ベース部と補助ペダル側固定部との間にその先端部が突出する揺動角調整ボルトを採用したが、揺動軸の先端側において、ベース部と補助ペダル側固定部との間に介在して補助ペダル側固定部の先端側への回動を制限できる部材であれば、適宜揺動角調整部材として採用することができる。
【0056】
また、揺動角調整ボルトは、ベース部側にねじ留めするのではなく、補助ペダル側固定部にねじ留めし、その先端をベース部側の上面に接触させるように構成しても良い。
【0057】
また、ペダル補助装置は、ピアノのペダルに取り付けて使用するだけでなく、オルガンのペダルやドラムのペダル等、適宜、かさ上げしたい楽器のペダルに取り付けて使用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 ペダル補助装置
10 ベース部
11 ベースプレート
11a 上段部
11b 下段部
11c クッション材
12 ペダル固定部
13 ピアノペダル挿入フレーム
14 ピアノペダル固定ネジ
15 ペダル押さえ材
20 補助ペダル部
21 補助ペダル
21b 連結凹部
22 抜け防止スライダー
25 連結ブロック
25a 連結凸部
25b 連結凹部
26 抜け防止スライダー
30 揺動連結部材
31 ベース側固定部
31a 揺動軸挿通穴
32 スプリング収納部
32a スプリング支持軸
33 固定ネジ
35 補助ペダル側固定部
35a 連結凸部
35b 第一傾斜面
35c 第二傾斜面
35d 第二突出傾斜面
36 揺動軸挿通部
36a 揺動軸挿通穴
37 スプリング収納部
37a スプリング支持軸
38 角度調整用凹部
40 揺動軸
42 スプリング
45 揺動角調整ボルト
5 ピアノペダル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8