(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187521
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】移動式クレーンの下部走行体
(51)【国際特許分類】
B66C 23/36 20060101AFI20221213BHJP
B66C 23/62 20060101ALI20221213BHJP
B66C 23/26 20060101ALI20221213BHJP
B62D 55/10 20060101ALI20221213BHJP
B62D 21/18 20060101ALI20221213BHJP
E02F 9/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B66C23/36 A
B66C23/62
B66C23/26 D
B62D55/10 Z
B62D21/18 E
E02F9/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095534
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100214961
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 洋三
(72)【発明者】
【氏名】沖本 翔
(72)【発明者】
【氏名】前藤 鉄兵
(72)【発明者】
【氏名】島津 泰彦
【テーマコード(参考)】
3D203
3F205
【Fターム(参考)】
3D203AA27
3D203BA02
3D203DB13
3F205AA07
3F205JA05
3F205KA10
(57)【要約】
【課題】下部走行体の分解組立作業の作業性の低下を抑制するとともに下部走行体を構成する部品の寸法の増加を抑制しつつ、下部走行体よりも前側又は後側において吊り荷が上部旋回体から吊るされたときに下部走行体に生じる変形を小さくことが可能な移動式クレーンの下部走行体を提供する。
【解決手段】複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれにおいて、カーボディ接続部及びクローラ接続部のうちの一方は回動接続部であり、他方は着脱接続部である。複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれは、前記着脱接続部が前記被着脱部材から取り外された状態で前記回動接続部において回動することにより前記着脱接続部が張出位置に比べて前記被回動部材の近くに位置する接近位置に配置されることが可能なように構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式クレーンの下部走行体であって、
前記移動式クレーンの上部旋回体を旋回中心軸の周りに回転可能に支持するカーボディと、
前記カーボディの右側において前後方向に延びる右クローラフレームと、
前記カーボディの左側において前記前後方向に延びる左クローラフレームと、
複数の連結部材と、を備え、
前記複数の連結部材は、
前記カーボディに接続されるカーボディ接続部と前記右クローラフレームに接続されるクローラ接続部とを有し、前記クローラ接続部が前記カーボディ接続部の右斜め前に位置する張出位置において前記カーボディと前記右クローラフレームとを連結する右前連結部材と、
前記カーボディに接続されるカーボディ接続部と前記右クローラフレームに接続されるクローラ接続部とを有する右後連結部材であって、当該右後連結部材の前記クローラ接続部が当該右後連結部材の前記カーボディ接続部の右斜め後に位置する張出位置において前記カーボディと前記右クローラフレームとを連結する右後連結部材と、
前記カーボディに接続されるカーボディ接続部と前記左クローラフレームに接続されるクローラ接続部とを有する左前連結部材であって、当該左前連結部材の前記クローラ接続部が当該左前連結部材の前記カーボディ接続部の左斜め前に位置する張出位置において前記カーボディと前記左クローラフレームとを連結する左前連結部材と、
前記カーボディに接続されるカーボディ接続部と前記左クローラフレームに接続されるクローラ接続部とを有する左後連結部材であって、当該左後連結部材の前記クローラ接続部が当該左後連結部材の前記カーボディ接続部の左斜め後に位置する張出位置において前記カーボディと前記左クローラフレームとを連結する左後連結部材と、を含み、
前記複数の連結部材のそれぞれにおいて、前記カーボディ接続部及び前記クローラ接続部のうちの一方は回動接続部であり、他方は着脱接続部であり、前記回動接続部は、前記カーボディ、前記右クローラフレーム及び前記左クローラフレームのうち前記回動接続部が接続される部材である被回動部材に対して回動可能に接続され、前記着脱接続部は、前記カーボディ、前記右クローラフレーム及び前記左クローラフレームのうち前記着脱接続部が接続される部材である被着脱部材に対して着脱可能に接続され、
前記複数の連結部材のそれぞれは、前記着脱接続部が前記被着脱部材から取り外された状態で前記回動接続部において回動することにより前記着脱接続部が前記張出位置に比べて前記被回動部材の近くに位置する接近位置に配置されることが可能なように構成される、移動式クレーンの下部走行体。
【請求項2】
請求項1に記載の移動式クレーンの下部走行体であって、
前記複数の連結部材のうちの少なくとも1つの連結部材は、前記下部走行体を組み立てる組立作業及び前記下部走行体を分解する分解作業の少なくとも一方の作業において、前記張出位置に配置されて前記カーボディを持ち上げるためのリフト部材として用いられることが可能なように構成される、移動式クレーンの下部走行体。
【請求項3】
請求項2に記載の移動式クレーンの下部走行体であって、
前記少なくとも1つの連結部材は、
前記カーボディ接続部と前記クローラ接続部をつなぐ連結部材本体と、
前記連結部材本体に支持される脚部と、をさらに含み、
前記脚部は、地面から離れた離隔位置と、前記連結部材本体から下方に延びて地面に接する接触位置との間で変位することが可能なように構成される、移動式クレーンの下部走行体。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の移動式クレーンの下部走行体であって、
前記複数の連結部材を前記張出位置にそれぞれ固定するための複数の張出位置固定部材をさらに備える、移動式クレーンの下部走行体。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の移動式クレーンの下部走行体であって、
前記複数の連結部材を前記接近位置にそれぞれ固定するための複数の接近位置固定部材をさらに備える、移動式クレーンの下部走行体。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の移動式クレーンの下部走行体であって、
前記カーボディは、
前記右前連結部材よりも後側で前記右後連結部材よりも前側において前記右クローラフレームに接続される少なくとも1つの右中間接続部と、
前記左前連結部材よりも後側で前記左後連結部材よりも前側において前記左クローラフレームに接続される少なくとも1つの左中間接続部と、を有する、移動式クレーンの下部走行体。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の移動式クレーンの下部走行体であって、
前記右クローラフレームの前端部及び後端部に回転可能に支持される一対の右ホイールと、
前記左クローラフレームの前端部及び後端部に回転可能に支持される一対の左ホイールと、
前記一対の右ホイールの間で前記前後方向に間隔をおいて配置されて前記右クローラフレームの下部に回転可能に支持される複数の右ローラであって、最も前に位置する右前端ローラと最も後に位置する右後端ローラとを含む複数の右ローラと、
前記一対の左ホイールの間で前記前後方向に間隔をおいて配置されて前記左クローラフレームの下部に回転可能に支持される複数の左ローラであって、最も前に位置する左前端ローラと最も後に位置する左後端ローラとを含む複数の左ローラと、をさらに備え、
前記右前連結部材は、前記カーボディに対向する右前荷重受面と、前記右クローラフレームに対向する右前荷重伝達面と、を有し、
前記左前連結部材は、前記カーボディに対向する左前荷重受面と、前記左クローラフレームに対向する左前荷重伝達面と、を有し、
前記右前連結部材の前記右前荷重受面及び前記左前連結部材の前記左前荷重受面のそれぞれは、前記下部走行体よりも前側において前記上部旋回体に吊り荷が吊るされたときに前記カーボディが前記上部旋回体から受ける荷重である前側荷重を、前記カーボディから受けることができる面であり、前記右前荷重伝達面は、前記前側荷重を前記右クローラフレームに伝達することができる面であり、前記左前荷重伝達面は、前記前側荷重を前記左クローラフレームに伝達することができる面であり、
前記右前連結部材は、平面視において前記右前荷重受面に含まれる何れかの点と前記右前荷重伝達面に含まれる何れかの点とを通る直線である右前直線が前記右前端ローラ又は前記右前端ローラよりも前側を通るように構成され、
前記左前連結部材は、平面視において前記左前荷重受面に含まれる何れかの点と前記左前荷重伝達面に含まれる何れかの点とを通る直線である左前直線が前記左前端ローラ又は前記左前端ローラよりも前側を通るように構成される、移動式クレーンの下部走行体。
【請求項8】
請求項7に記載の移動式クレーンの下部走行体であって、
前記右前直線は、平面視において前記右前端ローラを通る直線であり、前記左前直線は、平面視において前記左前端ローラを通る直線である、移動式クレーンの下部走行体。
【請求項9】
請求項8に記載の移動式クレーンの下部走行体であって、
前記右前直線は、平面視において前記旋回中心軸をさらに通る直線であり、前記左前直線は、平面視において前記旋回中心軸をさらに通る直線である、移動式クレーンの下部走行体。
【請求項10】
請求項7~9の何れか1項に記載の移動式クレーンの下部走行体であって、
前記右前連結部材は、平面視において前記右前直線に沿って前記右前荷重受面から前記右前荷重伝達面まで連続する右前連続部分を有し、
前記左前連結部材は、平面視において前記左前直線に沿って前記左前荷重受面から前記左前荷重伝達面まで連続する左前連続部分を有する、移動式クレーンの下部走行体。
【請求項11】
請求項7~10の何れか1項に記載の移動式クレーンの下部走行体であって、
前記右後連結部材は、前記カーボディに対向する右後荷重受面と、前記右クローラフレームに対向する右後荷重伝達面と、を有し、
前記左後連結部材は、前記カーボディに対向する左後荷重受面と、前記左クローラフレームに対向する左後荷重伝達面と、を有し、
前記右後連結部材の前記右後荷重受面及び前記左後連結部材の前記左後荷重受面のそれぞれは、前記下部走行体よりも後側において前記上部旋回体に吊り荷が吊るされたときに前記カーボディが前記上部旋回体から受ける荷重である後側荷重を、前記カーボディから受けることができる面であり、前記右後荷重伝達面は、前記後側荷重を前記右クローラフレームに伝達することができる面であり、前記左後荷重伝達面は、前記後側荷重を前記左クローラフレームに伝達することができる面であり、
前記右後連結部材は、平面視において前記右後荷重受面に含まれる何れかの点と前記右後荷重伝達面に含まれる何れかの点とを通る直線である右後直線が前記右後端ローラ又は前記右後端ローラよりも後側を通るように構成され、
前記左後連結部材は、平面視において前記左後荷重受面に含まれる何れかの点と前記左後荷重伝達面に含まれる何れかの点とを通る直線である左後直線が前記左後端ローラ又は前記左後端ローラよりも後側を通るように構成される、移動式クレーンの下部走行体。
【請求項12】
請求項11に記載の移動式クレーンの下部走行体であって、
前記右後直線は、平面視において前記右後端ローラを通る直線であり、前記左後直線は、平面視において前記左後端ローラを通る直線である、移動式クレーンの下部走行体。
【請求項13】
請求項12に記載の移動式クレーンの下部走行体であって、
前記右後直線は、平面視において前記旋回中心軸をさらに通る直線であり、前記左後直線は、平面視において前記旋回中心軸をさらに通る直線である、移動式クレーンの下部走行体。
【請求項14】
請求項11~13の何れか1項に記載の移動式クレーンの下部走行体であって、
前記右後連結部材は、平面視において前記右後直線に沿って前記右後荷重受面から前記右後荷重伝達面まで連続する右後連続部分を有し、
前記左後連結部材は、平面視において前記左後直線に沿って前記左後荷重受面から前記左後荷重伝達面まで連続する左後連続部分を有する、移動式クレーンの下部走行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式クレーンの下部走行体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動式クレーンが知られている。例えば特許文献1の移動式クレーンは、地上を走行可能な下部走行体と、この下部走行体に搭載される上部旋回体と、を備える。上部旋回体は、ブーム及び吊りロープを含む作業装置を備える。下部走行体は、上部旋回体を旋回中心軸の周りに旋回可能に支持するカーボディと、カーボディの右側において前後方向に延びる右クローラフレームと、カーボディの左側において前後方向に延びる左クローラフレームと、カーボディから左右方向に平行に延びる前アクスルと、この前アクスルよりも後側においてカーボディから左右方向に平行に延びる後アクスルと、を備える。右クローラフレームは、前アクスルの右側の部分及び後アクスルの右側の部分を支持し、左クローラフレームは、前アクスルの左側の部分及び後アクスルの左側の部分を支持する。このようにカーボディから左右方向に平行に延びる前アクスル及び後アクスルは、カーボディと左右のクローラフレームとを連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-70339号公報
【特許文献2】特開2017-171090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カーボディから左右方向に平行に延びる前アクスル及び後アクスルがカーボディと左右のクローラフレームとを連結する構造を備える下部走行体では、前後方向の剛性が左右方向の剛性よりも低い。このため、移動式クレーンの吊り上げ作業(クレーン作業)において、下部走行体よりも前側又は後側において吊り荷が前記作業装置の前記吊りロープを介して上部旋回体から吊るされる場合にカーボディの前側部分又は後側部分が下方に変位する量は、下部走行体の側方において吊り荷が上部旋回体から吊るされる場合にカーボディの右側部分又は左側部分が下方に変位する量よりも大きくなりやすい。
【0005】
具体的には、下部走行体よりも前側又は後側において吊り荷が上部旋回体から吊るされる場合には、カーボディが上部旋回体から受ける荷重に起因して、前後のアクスルにおいてねじり変形、たわみ変形などの変形が生じるとともにカーボディにおいても変形が生じることにより、カーボディの前側部分又は後側部分が下方に変位しやすい。また、前後のアクスルの変形に追随するように左右のクローラフレームにおいても変形が生じやすい。その結果、上部旋回体の旋回位置の変化に伴って下部走行体において生じる変形の度合いに差が生じ、これにより、吊り荷の位置が上下に変動するため、吊り上げ作業の作業性が低下することがある。従って、下部走行体における前後方向の剛性を向上させることにより、下部走行体よりも前側又は後側において吊り荷が上部旋回体から吊るされたときに下部走行体に生じる変形を小さくすることが望まれる。
【0006】
特許文献2は、カーボディの前後の部分における剛性をそれぞれ向上させるために、カーボディの胴部内の前部及び後部に一対の補強部材をそれぞれ設ける技術を開示している。しかしながら、一対の補強部材が設けられるカーボディの胴部の周辺には、上部旋回体を旋回させるための旋回モータ、ギア、油圧配管、電気配線などの種々の部材が配置されるので、一対の補強部材を配置するためのスペースが十分に確保できない場合がある。この場合、一対の補強部材によりカーボディの変形を抑制する効果は限定的なものとなる。
【0007】
また、下部走行体における前後方向の剛性を向上させるための対策を講ずる際には、移動式クレーンの輸送を行うために下部走行体を分解する分解作業及び移動式クレーンの輸送後に下部走行体を組み立てる組立作業の作業性の低下を抑制することが必要であり、さらに、下部走行体を構成する部品の寸法が輸送時の輸送制限寸法の範囲内に含まれるように当該部品の寸法の増加を抑制することが必要である。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、下部走行体の分解作業及び組立作業の作業性の低下を抑制するとともに下部走行体を構成する部品の寸法の増加を抑制しつつ、下部走行体よりも前側又は後側において吊り荷が上部旋回体から吊るされたときに下部走行体に生じる変形を小さくことが可能な移動式クレーンの下部走行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
提供されるのは、移動式クレーンの下部走行体であって、前記移動式クレーンの上部旋回体を旋回中心軸の周りに回転可能に支持するカーボディと、前記カーボディの右側において前後方向に延びる右クローラフレームと、前記カーボディの左側において前記前後方向に延びる左クローラフレームと、複数の連結部材と、を備える。前記複数の連結部材は、前記カーボディに接続されるカーボディ接続部と前記右クローラフレームに接続されるクローラ接続部とを有し、前記クローラ接続部が前記カーボディ接続部の右斜め前に位置する張出位置において前記カーボディと前記右クローラフレームとを連結する右前連結部材と、前記カーボディに接続されるカーボディ接続部と前記右クローラフレームに接続されるクローラ接続部とを有する右後連結部材であって、当該右後連結部材の前記クローラ接続部が当該右後連結部材の前記カーボディ接続部の右斜め後に位置する張出位置において前記カーボディと前記右クローラフレームとを連結する右後連結部材と、前記カーボディに接続されるカーボディ接続部と前記左クローラフレームに接続されるクローラ接続部とを有する左前連結部材であって、当該左前連結部材の前記クローラ接続部が当該左前連結部材の前記カーボディ接続部の左斜め前に位置する張出位置において前記カーボディと前記左クローラフレームとを連結する左前連結部材と、前記カーボディに接続されるカーボディ接続部と前記左クローラフレームに接続されるクローラ接続部とを有する左後連結部材であって、当該左後連結部材の前記クローラ接続部が当該左後連結部材の前記カーボディ接続部の左斜め後に位置する張出位置において前記カーボディと前記左クローラフレームとを連結する左後連結部材と、を含む。前記複数の連結部材のそれぞれにおいて、前記カーボディ接続部及び前記クローラ接続部のうちの一方は回動接続部であり、他方は着脱接続部である。前記回動接続部は、前記カーボディ、前記右クローラフレーム及び前記左クローラフレームのうち前記回動接続部が接続される部材である被回動部材に対して回動可能に接続される。前記着脱接続部は、前記カーボディ、前記右クローラフレーム及び前記左クローラフレームのうち前記着脱接続部が接続される部材である被着脱部材に対して着脱可能に接続される。前記複数の連結部材のそれぞれは、前記着脱接続部が前記被着脱部材から取り外された状態で前記回動接続部において回動することにより前記着脱接続部が前記張出位置に比べて前記被回動部材の近くに位置する接近位置に配置されることが可能なように構成される。
【0010】
この下部走行体では、複数の連結部材のそれぞれにおいてカーボディ接続部及びクローラ接続部の一方が上記のような回動接続部であり他方が上記のような着脱接続部であるという構造が採用され、各連結部材がクレーン作業時には前記張出位置に配置され、移動式クレーンの輸送時には前記接近位置に配置されることが可能なように構成される。このことは、下部走行体の分解作業及び組立作業の作業性の低下を抑制することと、下部走行体を構成する部品の寸法の増加を抑制することと、下部走行体よりも前側又は後側において吊り荷が上部旋回体から吊るされたときに下部走行体に生じる変形を小さくことと、を同時に実現することを可能にする。具体的には次の通りである。
【0011】
クレーン作業時において前記張出位置に配置された右前連結部材は、下部走行体よりも前側において上部旋回体に吊り荷が吊るされたときにカーボディが上部旋回体から受ける荷重である前側荷重を、当該右前連結部材のカーボディ接続部において受け、このカーボディ接続部の右斜め前に位置するクローラ接続部を介して右クローラフレームに伝達することができる。同様に、左前連結部材は、前記前側荷重を、当該左前連結部材のカーボディ接続部において受け、このカーボディ接続部の左斜め前に位置するクローラ接続部を介して左クローラフレームに伝達することができる。すなわち、右前連結部材及び左前連結部材は、カーボディから前記前側荷重を受ける部位であるカーボディ接続部よりも前側においてカーボディを支えることができる。これにより、右前連結部材及び左前連結部材においてねじり変形が生じることが抑制されるので、カーボディの前側部分が下方に変位することが効果的に抑制される。右前連結部材及び左前連結部材においてねじり変形が生じることが抑制されると、左右のクローラフレームの変形も抑制される。よって、下部走行体よりも前側において吊り荷が上部旋回体から吊るされたときに下部走行体に生じる変形を小さくすることができる。下部走行体よりも後側において吊り荷が上部旋回体から吊るされたときに下部走行体に生じる変形を小さくすることができる理由も上記と同様である。
【0012】
しかも、下部走行体の分解作業では、作業者は、複数の連結部材のそれぞれにおいてカーボディ接続部及びクローラ接続部の一方の接続部(着脱接続部)を被着脱部材から取り外す一方で、カーボディ接続部及びクローラ接続部の他方の接続部(回動接続部)を被回動部材から取り外す必要がない。すなわち、作業者は、複数の連結部材のそれぞれにおいて着脱接続部を被着脱部材から取り外した後、複数の連結部材のそれぞれを回動接続部において回動させることにより前記張出位置から前記接近位置に変位させることができる。これにより、分解作業の作業性の低下が抑制され、しかも、下部走行体を構成する部品の寸法の増加が抑制される。また、下部走行体の組立作業では、作業者は、複数の連結部材のそれぞれを回動接続部において回動させて当該複数の連結部材のそれぞれを接近位置から張出位置に変位させ、その後、複数の連結部材のそれぞれにおいてカーボディ接続部及びクローラ接続部の一方の接続部(着脱接続部)を被着脱部材に取り付けることによりカーボディと左右のクローラフレームとを連結することができる。従って、組立作業の作業性の低下も抑制される。
【0013】
前記移動式クレーンの下部走行体において、前記複数の連結部材のうちの少なくとも1つの連結部材は、前記下部走行体を組み立てる組立作業及び前記下部走行体を分解する分解作業の少なくとも一方の作業において、前記張出位置に配置されて前記カーボディを持ち上げるためのリフト部材として用いられることが可能なように構成されることが好ましい。
【0014】
この態様では、前記少なくとも1つの連結部材がリフト部材(トランスリフタ)としての機能も兼ね備える。すなわち、当該連結部材は、クレーン作業において荷重をクローラフレームに伝達する荷重伝達部材として機能する一方で、下部走行体の組立作業及び分解作業の少なくとも一方の作業においてリフト部材として機能する。当該連結部材は、荷重伝達部材として機能するとき、及びリフト部材として機能するときの何れにおいても、前記張出位置に配置される。従って、当該連結部材を同じ位置(前記張出位置)に配置した状態で組立作業、分解作業及びクレーン作業のそれぞれを行うことができる。これにより、組立作業からクレーン作業への移行が円滑になり、クレーン作業から分解作業への移行も円滑になり、しかも、当該連結部材とは別にリフト部材を設けることに起因する部品点数の増加も抑制される。
【0015】
具体的には、前記少なくとも1つの連結部材は、前記カーボディ接続部と前記クローラ接続部をつなぐ連結部材本体と、前記連結部材本体に支持される脚部と、をさらに含み、前記脚部は、地面から離れた離隔位置と、前記連結部材本体から下方に延びて地面に接する接触位置との間で変位することが可能なように構成されることが好ましい。
【0016】
この態様では、前記脚部を前記離隔位置と前記接触位置との間で変位させることにより、組立作業からクレーン作業への移行及びクレーン作業から分解作業への移行を行うことができる。
【0017】
前記移動式クレーンの下部走行体は、前記複数の連結部材を前記張出位置にそれぞれ固定するための複数の張出位置固定部材をさらに備えることが好ましい。
【0018】
この態様では、下部走行体を組み立てる組立作業において、複数の連結部材が複数の張出位置固定部材によって張出位置にそれぞれ固定された状態で、各連結部材の着脱部が対応する着脱対象部材に取り付けられる。これにより、下部走行体の組立作業の作業性が向上する。
【0019】
前記移動式クレーンの下部走行体は、前記複数の連結部材を前記接近位置にそれぞれ固定するための複数の接近位置固定部材をさらに備えることが好ましい。
【0020】
この態様では、移動式クレーンの輸送時に複数の連結部材のそれぞれが着脱対象部材に対して変位することを防止できる。
【0021】
前記移動式クレーンの下部走行体は、前記カーボディは、前記右前連結部材よりも後側で前記右後連結部材よりも前側において前記右クローラフレームに接続される少なくとも1つの右中間接続部と、前記左前連結部材よりも後側で前記左後連結部材よりも前側において前記左クローラフレームに接続される少なくとも1つの左中間接続部と、を有することが好ましい。
【0022】
この態様では、右前連結部材及び右後連結部材がカーボディと右クローラフレームとを連結するだけでなく、これらの連結部材の間においてカーボディの右中間接続部が右クローラフレームに接続される。これにより、右クローラフレームのうち右前連結部材が接続される部分と右後連結部材が接続される部分との間の部分である中間部分の変形が抑制される。同様に、左前連結部材及び左後連結部材がカーボディと左クローラフレームとを連結するだけでなく、これらの連結部材の間においてカーボディの左中間接続部が左クローラフレームに接続される。これにより、左クローラフレームのうち左前連結部材が接続される部分と左後連結部材が接続される部分との間の部分である中間部分の変形が抑制される。また、この態様では、上部旋回体及び吊り荷の荷重は、複数の連結部材を介して左右のクローラフレームに伝達されるだけでなく、右中間接続部及び左中間接続部にも分散して左右のクローラフレームに伝達されるので、複数の連結部材を比較的簡易な部材により構成することができる。
【0023】
前記移動式クレーンの下部走行体は、前記右クローラフレームの前端部及び後端部に回転可能に支持される一対の右ホイールと、前記左クローラフレームの前端部及び後端部に回転可能に支持される一対の左ホイールと、前記一対の右ホイールの間で前記前後方向に間隔をおいて配置されて前記右クローラフレームの下部に回転可能に支持される複数の右ローラであって、最も前に位置する右前端ローラと最も後に位置する右後端ローラとを含む複数の右ローラと、前記一対の左ホイールの間で前記前後方向に間隔をおいて配置されて前記左クローラフレームの下部に回転可能に支持される複数の左ローラであって、最も前に位置する左前端ローラと最も後に位置する左後端ローラとを含む複数の左ローラと、をさらに備え、前記右前連結部材は、前記カーボディに対向する右前荷重受面と、前記右クローラフレームに対向する右前荷重伝達面と、を有し、前記左前連結部材は、前記カーボディに対向する左前荷重受面と、前記左クローラフレームに対向する左前荷重伝達面と、を有し、前記右前連結部材の前記右前荷重受面及び前記左前連結部材の前記左前荷重受面のそれぞれは、前記下部走行体よりも前側において前記上部旋回体に吊り荷が吊るされたときに前記カーボディが前記上部旋回体から受ける荷重である前側荷重を、前記カーボディから受けることができる面であり、前記右前荷重伝達面は、前記前側荷重を前記右クローラフレームに伝達することができる面であり、前記左前荷重伝達面は、前記前側荷重を前記左クローラフレームに伝達することができる面であり、前記右前連結部材は、平面視において前記右前荷重受面に含まれる何れかの点と前記右前荷重伝達面に含まれる何れかの点とを通る直線である右前直線が前記右前端ローラ又は前記右前端ローラよりも前側を通るように構成され、前記左前連結部材は、平面視において前記左前荷重受面に含まれる何れかの点と前記左前荷重伝達面に含まれる何れかの点とを通る直線である左前直線が前記左前端ローラ又は前記左前端ローラよりも前側を通るように構成されることが好ましい。
【0024】
この下部走行体の右前連結部材及び左前連結部材は、右前直線及び左前直線と、右前端ローラ及び左前端ローラとが上記の位置関係を有するように構成されるので、右クローラフレームにおいて右前連結部材を介して前側荷重が伝達される部分と、右クローラフレームの前端部との前後方向の距離を効果的に小さくすることができ、左クローラフレームにおいて左前連結部材を介して前側荷重が伝達される部分と、左クローラフレームの前端部との前後方向の距離を効果的に小さくすることができる。このことは、下部走行体よりも前側において吊り荷が上部旋回体から吊るされたときに左右のクローラフレームの前側部分に生じるたわみを小さくすることを可能にする。
【0025】
ここで、カーボディが上部旋回体から比較的大きな前側荷重を受けたときには右前端ローラ及び左前端ローラがおおよその転倒支点(前側転倒支点)となるので、前記右前直線は、平面視において前記右前端ローラを通る直線であり、前記左前直線は、平面視において前記左前端ローラを通る直線であることが好ましい。
【0026】
この態様では、右前連結部材及び左前連結部材は、前側荷重を、左右のクローラフレームのうち前側転倒支点に対応する部分に直接的に伝達することができる。このことは、前側荷重に起因して左右のクローラフレームの前記前側部分に生じるたわみをより効果的に小さくすることを可能にする。
【0027】
また、前記右前直線は、平面視において前記旋回中心軸をさらに通る直線であり、前記左前直線は、平面視において前記旋回中心軸をさらに通る直線であることがより好ましい。
【0028】
この態様は、平面視において右前連結部材の右前荷重受面の何れかの点と右前連結部材の右前荷重伝達面の何れかの点とを、旋回中心軸と右前端ローラとを通る右前直線上に位置させることができ、平面視において左前連結部材の左前荷重受面の何れかの点と左前連結部材の左前荷重伝達面の何れかの点とを、旋回中心軸と左前端ローラとを通る左前直線上に位置させることができる。これにより、右前連結部材により前側荷重が右クローラフレームに伝達される経路を旋回中心軸から右前端ローラに向かう方向に近づけることができ、左前連結部材により前側荷重が左クローラフレームに伝達される経路を旋回中心軸から左前端ローラに向かう方向に近づけることができるので、前側荷重は、左右のクローラフレームにおいて前側転倒支点に対応する部分に効率よく伝達される。
【0029】
前記移動式クレーンの下部走行体において、前記右前連結部材は、平面視において前記右前直線に沿って前記右前荷重受面から前記右前荷重伝達面まで連続する右前連続部分を有し、前記左前連結部材は、平面視において前記左前直線に沿って前記左前荷重受面から前記左前荷重伝達面まで連続する左前連続部分を有することが好ましい。
【0030】
この態様では、右前連続部分は、平面視において右前直線に沿って右前荷重受面から右前荷重伝達面まで途切れることなく連続し、左前連続部分は、平面視において左前直線に沿って左前荷重受面から左前荷重伝達面まで途切れることなく連続するので、右前荷重受面及び左前荷重受面が受ける前側荷重は、右前連続部分及び左前連続部分に沿って右前荷重伝達面及び左前荷重伝達面まで連続的に効率よく伝達され、これらの荷重伝達面から左右のクローラフレームに伝達される。
【0031】
前記移動式クレーンの下部走行体において、前記右後連結部材は、前記カーボディに対向する右後荷重受面と、前記右クローラフレームに対向する右後荷重伝達面と、を有し、前記左後連結部材は、前記カーボディに対向する左後荷重受面と、前記左クローラフレームに対向する左後荷重伝達面と、を有し、前記右後連結部材の前記右後荷重受面及び前記左後連結部材の前記左後荷重受面のそれぞれは、前記下部走行体よりも後側において前記上部旋回体に吊り荷が吊るされたときに前記カーボディが前記上部旋回体から受ける荷重である後側荷重を、前記カーボディから受けることができる面であり、前記右後荷重伝達面は、前記後側荷重を前記右クローラフレームに伝達することができる面であり、前記左後荷重伝達面は、前記後側荷重を前記左クローラフレームに伝達することができる面であり、前記右後連結部材は、平面視において前記右後荷重受面に含まれる何れかの点と前記右後荷重伝達面に含まれる何れかの点とを通る直線である右後直線が前記右後端ローラ又は前記右後端ローラよりも後側を通るように構成され、前記左後連結部材は、平面視において前記左後荷重受面に含まれる何れかの点と前記左後荷重伝達面に含まれる何れかの点とを通る直線である左後直線が前記左後端ローラ又は前記左後端ローラよりも後側を通るように構成されることがより好ましい。
【0032】
この下部走行体の右後連結部材及び左後連結部材は、右後直線及び左後直線と、右後端ローラ及び左後端ローラとが上記の位置関係を有するように構成されるので、右クローラフレームにおいて右後連結部材を介して後側荷重が伝達される部分と、右クローラフレームの後端部との前後方向の距離を効果的に小さくすることができ、左クローラフレームにおいて左後連結部材を介して後側荷重が伝達される部分と、左クローラフレームの後端部との前後方向の距離を効果的に小さくすることができる。このことは、下部走行体よりも後側において吊り荷が上部旋回体から吊るされたときに左右のクローラフレームの後側部分に生じるたわみを小さくすることを可能にする。
【0033】
また、カーボディが上部旋回体から比較的大きな後側荷重を受けたときには右後端ローラ及び左後端ローラがおおよその転倒支点(後側転倒支点)となるので、前記右後直線は、平面視において前記右後端ローラを通る直線であり、前記左後直線は、平面視において前記左後端ローラを通る直線であることが好ましい。
【0034】
この態様では、右後連結部材及び左後連結部材は、後側荷重を、左右のクローラフレームのうち後側転倒支点に対応する部分に直接的に伝達することができる。このことは、後側荷重に起因して左右のクローラフレームの前記後側部分に生じるたわみをより効果的に小さくすることを可能にする。
【0035】
また、前記右後直線は、平面視において前記旋回中心軸をさらに通る直線であり、前記左後直線は、平面視において前記旋回中心軸をさらに通る直線であることがより好ましい。
【0036】
この態様は、平面視において右後連結部材の右後荷重受面の何れかの点と右後連結部材の右後荷重伝達面の何れかの点とを、旋回中心軸と右後端ローラとを通る右後直線上に位置させることができ、平面視において左後連結部材の左後荷重受面の何れかの点と左後連結部材の左後荷重伝達面の何れかの点とを、旋回中心軸と左後端ローラとを通る左後直線上に位置させることができる。これにより、右後連結部材により後側荷重が右クローラフレームに伝達される経路を旋回中心軸から右後端ローラに向かう方向に近づけることができ、左後連結部材により後側荷重が左クローラフレームに伝達される経路を旋回中心軸から左後端ローラに向かう方向に近づけることができるので、後側荷重は、左右のクローラフレームにおいて後側転倒支点に対応する部分に効率よく伝達される。
【0037】
前記移動式クレーンの下部走行体において、前記右後連結部材は、平面視において前記右後直線に沿って前記右後荷重受面から前記右後荷重伝達面まで連続する右後連続部分を有し、前記左後連結部材は、平面視において前記左後直線に沿って前記左後荷重受面から前記左後荷重伝達面まで連続する左後連続部分を有することが好ましい。
【0038】
この態様では、右後連続部分は、平面視において右後直線に沿って右後荷重受面から右後荷重伝達面まで途切れることなく連続し、左後連続部分は、平面視において左後直線に沿って左後荷重受面から左後荷重伝達面まで途切れることなく連続するので、右後荷重受面及び左後荷重受面が受ける後側荷重は、右後連続部分及び左後連続部分に沿って右後荷重伝達面及び左後荷重伝達面まで連続的に効率よく伝達され、これらの荷重伝達面から左右のクローラフレームに伝達される。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、下部走行体よりも前側又は後側において吊り荷が上部旋回体から吊るされたときに下部走行体に生じる変形を小さくしながら、移動式クレーンの輸送時に下部走行体を構成する部品の寸法の増加を抑制し、下部走行体の分解作業及び組立作業の作業性の低下を抑制することが可能な移動式クレーンの下部走行体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】第1実施形態に係る下部走行体を備える移動式クレーンの一例を示す側面図である。
【
図2】第1実施形態に係る下部走行体を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る下部走行体を示す平面図である。
【
図4】第1実施形態に係る下部走行体を示す正面図である。
【
図5】第1実施形態に係る下部走行体の左クローラフレーム、左前連結部材及び左後連結部材を示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る下部走行体の左クローラフレーム、左前連結部材及び左後連結部材を示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係る下部走行体の左後連結部材のクローラ接続部と左クローラフレームの被接続部との接続構造を示す斜視図である。
【
図8】第1実施形態に係る下部走行体の左後連結部材のクローラ接続部と左クローラフレームの被接続部との接続構造を示す斜視図である。
【
図9】第1実施形態に係る下部走行体の左後連結部材のカーボディ接続部とカーボディの被接続部との接続構造を示す背面図である。
【
図10】第1実施形態に係る下部走行体の左後連結部材のカーボディ接続部とカーボディの被接続部との接続構造を示す背面図である。
【
図11】第1実施形態に係る下部走行体のカーボディの左中間接続部と左クローラフレームの左中間被接続部との接続構造を示す斜視図である。
【
図12】第1実施形態に係る下部走行体のカーボディの左中間接続部と左クローラフレームの左中間被接続部との接続構造を示す背面図である。
【
図13】第1実施形態の変形例に係る下部走行体を示す平面図である。
【
図14】第2実施形態に係る下部走行体を示す平面図である。
【
図15】第2実施形態に係る下部走行体のカーボディ及び複数の連結部材を示す平面図である。
【
図16】第2実施形態に係る下部走行体のカーボディ、右前連結部材及び左前連結部材を示す正面図である。
【
図17】第2実施形態に係る下部走行体のカーボディ、左前連結部材及び左後連結部材を示す左側面図である。
【
図18】第2実施形態に係る下部走行体のカーボディ及び複数の連結部材を示す正面図である。
【
図19】第2実施形態に係る下部走行体のカーボディ及び複数の連結部材を示す側面図である。
【
図20】第2実施形態に係る下部走行体のカーボディ及び左後連結部材を拡大した平面図である。
【
図21】第2実施形態の変形例に係る下部走行体を示す断面図である。
【
図22】第2実施形態の変形例に係る下部走行体のカーボディ、連結部材及びクローラフレームを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照しつつ、実施形態に係る移動式クレーンの下部走行体について説明する。なお、図面において、「前」、「後」、「右」、「左」、「上」及び「下」の文字が記載されているが、これらは、下部走行体が前進後退する方向を基準とするものである。すなわち、下部走行体の前後方向は、後述するクローラフレームが延びる水平な方向であり、下部走行体の左右方向は、前記前後方向に直交する水平な方向である。下部走行体の上下方向は、上部旋回体の旋回中心軸に平行な方向である。
【0042】
[移動式クレーンの全体構造]
図1に示すように、本実施形態に係る移動式クレーン100は、下部走行体101と、上部旋回体102と、を備える。下部走行体101は、上部旋回体102を旋回可能に下から支持するとともに、地上を走行することができるように構成されている。
【0043】
上部旋回体102は、下部走行体101上に配置される。上部旋回体102は、旋回フレーム103と、作業装置と、キャブ104と、カウンタウエイト105とを含む。前記作業装置、キャブ104及びカウンタウエイト105は、旋回フレーム103上に搭載されている。
【0044】
前記作業装置は、吊り荷の吊り上げ作業(クレーン作業)等を行うためのものである。本実施形態では、前記作業装置は、ブーム106と、吊用ウィンチ107と、吊りロープ108と、フック装置109と、ガントリ110と、起伏用ウィンチ111と、下部スプレッダ112と、起伏ロープ113と、上部スプレッダ114と、ガイライン115と、を含む。なお、前記作業装置は、
図1に示す具体例に限られず、例えば、ブームの先端部に取り付け可能な図略のジブをさらに備えていてもよい。また、
図1に示す具体例では、ブーム106は、ラチス構造を有するラチスブームであるが、これに限られず、伸縮することにより長さを変化させることが可能なテレスコピックブームであってもよい。
【0045】
ブーム106は、旋回フレーム103の前部に起伏可能に取り付けられており、そのブーム106の先端から吊りロープ108を介して吊り荷を吊るためのフック装置109が吊り下げられている。吊用ウィンチ107は、旋回フレーム103上に搭載されており、吊りロープ108の巻き取り又は繰り出しを行うことによりフック装置109の巻き上げ又は巻き下げを行う。ガントリ110は、旋回フレーム103の後部上に立設されている。ガイライン115は、その一端がブーム106の先端部に接続されており、その他端部が上部スプレッダ114に接続されている。下部スプレッダ112は、ガントリ110の上端部に設けられており、この下部スプレッダ112と上部スプレッダ114とは互いに離間して配置されている。下部スプレッダ112及び上部スプレッダ114には、起伏ロープ113が掛け回されている。起伏用ウィンチ111は、旋回フレーム103上に搭載されており、起伏ロープ113の巻き取り又は繰り出しを行うことにより下部スプレッダ112に対する上部スプレッダ114の離間距離を縮小又は拡大させる。この両スプレッダ112,114間の離間距離の縮小又は拡大に伴って、ブーム106が起伏される。
【0046】
[第1実施形態に係る下部走行体の構造]
図2は、第1実施形態に係る下部走行体101を示す斜視図であり、
図3は、その平面図である。本実施形態では、
図1及び
図3に示すように、下部走行体101の前後方向は、後述するクローラフレーム2R,2Lの長手方向であり、前記前後方向のうちの前方は、各クローラフレームのホイール24R(ドライブタンブラ)からホイール23R(アイドラ)に向かう方向であり、後方は、その反対方向である。ただし、下部走行体101の前後方向は、
図2及び
図3に規定される方向とは反対方向として規定されていてもよい。なお、
図2では、ホイール23R,24Rの図示は省略されている。
【0047】
下部走行体101は、カーボディ10と、カーボディ10の上部に支持される旋回ベアリング19と、右走行装置と、左走行装置と、複数の連結部材と、を備える。
【0048】
カーボディ10は、移動式クレーン100の上部旋回体102を、旋回ベアリング19を介して旋回中心軸Cの周りに旋回可能に支持する。上部旋回体102は、旋回ベアリング19上に取り付けられる。旋回中心軸Cは、地面が水平である場合には、鉛直方向にほぼ平行である。
【0049】
本実施形態では、カーボディ10は、略直方体形状を有するカーボディ本体10Aと、右アクスル13Rと、左アクスル13Lと、を含む。カーボディ10は、複数の被接続部を有する。カーボディ本体10Aには、旋回ベアリング19が取り付けられている。なお、カーボディ本体10Aの形状は略直方体形状に限定されるものではない。複数の被接続部については後述する。
【0050】
右走行装置及び左走行装置のそれぞれは、カーボディ10を支持しながら地上を走行するための装置である。右走行装置は、右クローラフレーム2Rと、一対の右ホイール23R,24Rと、右クローラベルト25Rと、複数の右ローラ26と、走行駆動装置29(
図1参照)と、を含む。同様に、左走行装置は、左クローラフレーム2Lと、一対の左ホイール23L,24Lと、左クローラベルト25Lと、複数の左ローラ26と、走行駆動装置29と、を含む。
【0051】
右クローラフレーム2Rは、右フレーム本体20Rと、複数の被接続部と、を含み、左クローラフレーム2Lは、左フレーム本体20Lと、複数の被接続部と、を含む。右フレーム本体20Rは、旋回中心軸Cよりも右側において前後方向に延びる形状を有する。左フレーム本体20Lは、旋回中心軸Cよりも左側において前後方向に延びる形状を有する。複数の被接続部については後述する。
【0052】
一対の右ホイール23R,24Rは、右フレーム本体20Rの前端部及び後端部にそれぞれ回転可能に支持される。本実施形態では、前側に位置する右ホイール23Rは、アイドラによって構成され、後側に位置する右ホイール24Rは、ドライブタンブラによって構成される。このドライブタンブラは、当該ドライブタンブラに隣接する位置において右フレーム本体20Rの後端部に支持される走行駆動装置29(
図1参照)に連結されている。走行駆動装置29は、例えば、走行モータと走行減速機とを含む。なお、
図1以外の図では、走行駆動装置29の図示は省略されている。
【0053】
右クローラベルト25Rは、一対の右ホイール23R,24Rに環状に架けられて周回移動可能なベルトである。言い換えると、右クローラベルト25Rは、一対の右ホイール23R,24Rに無端状に支持されている。この右クローラベルト25Rは、多数のクローラシューが連結されて構成されている。
【0054】
ドライブタンブラにより構成される右ホイール24Rの外周部には、右クローラベルト25Rの内周部と係合可能なように周方向に沿って複数の突起が形成されている。右ホイール24Rは、走行駆動装置29から駆動力を与えられ、この駆動力は、右クローラベルト25Rに伝達される。これにより、右クローラベルト25Rは周回移動する。アイドラにより構成される右ホイール23Rは、右クローラベルト25Rに従動して回転する。
【0055】
複数の右ローラ26は、右クローラフレーム2Rの右フレーム本体20Rの下部においてそれぞれ回転可能に支持されている。複数の右ローラ26は、一対の右ホイール23R,24Rの間で前後方向に間隔をおいて配置されている。複数の右ローラ26は、右クローラベルト25Rを地面に押し付けるとともに、右クローラベルト25Rの周回移動を案内する。
【0056】
以下では、複数の右ローラ26のうち最も前に位置する右ローラ26(本実施形態では、ホイール23Rに最も近い右ローラ26)を、右前端ローラ261と称し、複数の右ローラ26のうち最も後に位置する右ローラ26(本実施形態では、ホイール24Rに最も近い右ローラ26)を、右後端ローラ262と称する。
【0057】
左走行装置における一対の左ホイール23L,24L、左クローラベルト25L及び複数の左ローラ26の構造は、上述した右走行装置における一対の右ホイール23R,24R、右クローラベルト25R及び複数の右ローラ26の構造と、左右対称である点を除いて、同様であるので、詳細な説明は省略する。なお、以下では、複数の左ローラ26のうち最も前に位置する左ローラ26(本実施形態では、ホイール23Lに最も近い左ローラ26)を、左前端ローラ261と称し、複数の左ローラ26のうち最も後に位置する左ローラ26(本実施形態では、ホイール24Lに最も近い左ローラ26)を、左後端ローラ262と称する。
【0058】
右アクスル13Rは、カーボディ本体10Aの右側部から右側に延びる形状を有し、カーボディ本体10Aと右クローラフレーム2Rとを連結する。左アクスル13Lは、カーボディ本体10Aの左側部から左側に延びる形状を有し、カーボディ本体10Aと左クローラフレーム2Lとを連結する。
【0059】
本実施形態では、右アクスル13Rが右フレーム本体20Rに接続される部位は、右フレーム本体20Rにおける前後方向の中央付近であり、左アクスル13Lが左フレーム本体20Lに接続される部位は、左フレーム本体20Lにおける前後方向の中央付近であるが、これらの部位のそれぞれは、中央付近から前後方向にずれた位置であってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、右アクスル13Rは、右フレーム本体20Rに近づくにつれて前後方向の幅が小さくなるような先細り形状を有し、左アクスル13Lは、左フレーム本体20Lに近づくにつれて前後方向の幅が小さくなるような先細り形状を有するが、右アクスル13R及び左アクスル13Lの形状は、先細り形状に限られない。例えば、右アクスル13Rの形状は、カーボディ本体10Aに接続される基端部から右フレーム本体20Rに接続される先端部まで前後方向の幅がほぼ一定となるような形状であってもよく、左アクスル13Lの形状は、カーボディ本体10Aに接続される基端部から左フレーム本体20Lに接続される先端部まで前後方向の幅がほぼ一定となるような形状であってもよい。
【0061】
なお、カーボディ本体10A、右アクスル13R及び左アクスル13Lにより構成されるカーボディ10は、
図2に示すように単一の部材により構成されていてもよく、また、カーボディ本体10A、右アクスル13R及び左アクスル13Lが個別に作製された後にこれらが互いに接続されたものであってもよい。
【0062】
複数の連結部材は、右前連結部材11Rと、右後連結部材12Rと、左前連結部材11Lと、左後連結部材12Lと、を含む。
【0063】
右前連結部材11Rは、旋回中心軸Cよりも前側においてカーボディ10から右斜め前に延びる形状を有し、カーボディ10と右クローラフレーム2Rとを連結する。右後連結部材12Rは、旋回中心軸Cよりも後側においてカーボディ10から右斜め後に延びる形状を有し、カーボディ10と右クローラフレーム2Rとを連結する。右アクスル13Rは、右前連結部材11Rよりも後側で右後連結部材12Rよりも前側に配置されている。すなわち、右前連結部材11R、右アクスル13R及び右後連結部材12Rは、前後方向に間隔をおいてこの順に配置されている。
【0064】
左前連結部材11Lは、旋回中心軸Cよりも前側においてカーボディ10から左斜め前に延びる形状を有し、カーボディ10と左クローラフレーム2Lとを連結する。左後連結部材12Lは、旋回中心軸Cよりも後側においてカーボディ10から左斜め後に延びる形状を有し、カーボディ10と左クローラフレーム2Lとを連結する。左アクスル13Lは、左前連結部材11Lよりも後側で左後連結部材12Lよりも前側に配置されている。すなわち、左前連結部材11L、左アクスル13L及び左後連結部材12Lは、前後方向に間隔をおいてこの順に配置されている。
【0065】
[接続構造]
複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれをカーボディ10及びクローラフレームに接続するための接続構造、右アクスル13Rを右クローラフレーム2Rに接続するための接続構造、並びに左アクスル13Lを左クローラフレーム2Lに接続するための接続構造について説明する。
【0066】
カーボディ10は、上述したように複数の被接続部を含む。当該複数の被接続部は、右前被接続部51Rと、右後被接続部52Rと、左前被接続部51Lと、左後被接続部52Lと、を含む。
【0067】
右前被接続部51Rは、右前連結部材11Rが接続される部分であり、カーボディ本体10Aのうち、右アクスル13Rよりも前側でかつ旋回中心軸Cよりも右側の部位に設けられている。本実施形態では、右前被接続部51Rは、カーボディ本体10Aの右側面における前側の部位に設けられているが、例えば、カーボディ本体10Aの前面における右側の部位に設けられていてもよい。
【0068】
右後被接続部52Rは、右後連結部材12Rが接続される部分であり、カーボディ本体10Aのうち、右アクスル13Rよりも後側でかつ旋回中心軸Cよりも右側の部位に設けられている。本実施形態では、右後被接続部52Rは、カーボディ本体10Aの右側面における後側の部位に設けられているが、例えば、カーボディ本体10Aの後面における右側の部位に設けられていてもよい。
【0069】
左前被接続部51Lは、左前連結部材11Lが接続される部分であり、カーボディ本体10Aのうち、左アクスル13Lよりも前側でかつ旋回中心軸Cよりも左側の部位に設けられている。本実施形態では、左前被接続部51Lは、カーボディ本体10Aの左側面における前側の部位に設けられているが、例えば、カーボディ本体10Aの前面における左側の部位に設けられていてもよい。
【0070】
左後被接続部52Lは、左後連結部材12Lが接続される部分であり、カーボディ本体10Aのうち、左アクスル13Lよりも後側でかつ旋回中心軸Cよりも左側の部位に設けられている。本実施形態では、左後被接続部52Lは、カーボディ本体10Aの左側面における後側の部位に設けられているが、例えば、カーボディ本体10Aの後面における左側の部位に設けられていてもよい。
【0071】
右クローラフレーム2Rは、上述したように複数の被接続部を含む。当該複数の被接続部は、右前被接続部61Rと、右後被接続部62Rと、右中間被接続部63Rと、を含む。
【0072】
右中間被接続部63Rは、カーボディ10の右アクスル13Rが接続される部分であり、右フレーム本体20Rのうち、前後方向の位置が右アクスル13Rに対応する部位に設けられている。本実施形態では、右中間被接続部63Rは、右フレーム本体20Rにおける前後方向の中央付近に設けられている。
【0073】
右前被接続部61Rは、右前連結部材11Rが接続される部分であり、右フレーム本体20Rにおける右中間被接続部63Rよりも前側の部位に設けられている。
図3に示すように、右クローラフレーム2Rの右前被接続部61Rは、カーボディ10の右前被接続部51Rの右斜め前に配置されている。
【0074】
右後被接続部62Rは、右後連結部材12Rが接続される部分であり、右フレーム本体20Rにおける右中間被接続部63Rよりも後側の部位に設けられている。
図3に示すように、右クローラフレーム2Rの右後被接続部62Rは、カーボディ10の右後被接続部52Rの右斜め後に配置されている。
【0075】
左クローラフレーム2Lは、上述したように複数の被接続部を含む。当該複数の被接続部は、左前被接続部61Lと、左後被接続部62Lと、左中間被接続部63Lと、を含む。
【0076】
左中間被接続部63Lは、カーボディ10の左アクスル13Lが接続される部分であり、左フレーム本体20Lのうち、前後方向の位置が左アクスル13Lに対応する部位に設けられている。本実施形態では、左中間被接続部63Lは、左フレーム本体20Lにおける前後方向の中央付近に設けられている。
【0077】
左前被接続部61Lは、左前連結部材11Lが接続される部分であり、左フレーム本体20Lにおける左中間被接続部63Lよりも前側の部位に設けられている。
図3に示すように、左クローラフレーム2Lの左前被接続部61Lは、カーボディ10の左前被接続部51Lの右斜め前に配置されている。
【0078】
左後被接続部62Lは、左後連結部材12Lが接続される部分であり、左フレーム本体20Lにおける左中間被接続部63Lよりも後側の部位に設けられている。
図3に示すように、左クローラフレーム2Lの左後被接続部62Lは、カーボディ10の左後被接続部52Lの左斜め後に配置されている。
【0079】
右アクスル13Rは、右クローラフレーム2Rの右中間被接続部63Rに対して着脱可能に接続される右中間接続部43Rと、この右中間接続部43Rとカーボディ本体10Aをつなぐアクスル本体73Rと、を有する。右中間接続部43Rは、右アクスル13Rの先端部を構成する。アクスル本体73Rは、カーボディ本体10Aから右側に延びる形状を有する部分であり、右アクスル13Rの大半の部分を占めている。
【0080】
左アクスル13Lは、左クローラフレーム2Lの左中間被接続部63Lに対して着脱可能に接続される左中間接続部43Lと、この左中間接続部43Lとカーボディ本体10Aをつなぐアクスル本体73Lと、を有する。左中間接続部43Lは、左アクスル13Lの先端部を構成する。アクスル本体73Lは、カーボディ本体10Aから左側に延びる形状を有する部分であり、左アクスル13Lの大半の部分を占めている。
【0081】
右前連結部材11Rは、カーボディ10の右前被接続部51Rに接続されるカーボディ接続部31Rと、右クローラフレーム2Rの右前被接続部61Rに接続されるクローラ接続部41Rと、カーボディ接続部31Rとクローラ接続部41Rをつなぐ連結部材本体71Rと、を有する。右前連結部材11Rは、クローラ接続部41Rがカーボディ接続部31Rの右斜め前に位置する張出位置においてカーボディ10と右クローラフレーム2Rとを連結する。カーボディ接続部31Rは右前連結部材11Rの基端部を構成し、クローラ接続部41Rは右前連結部材11Rの先端部を構成する。連結部材本体71Rは、右前連結部材11Rが張出位置に配置されているときに、右斜め前に延びる姿勢で配置される部分であり、右前連結部材11Rの大半の部分を占めている。
【0082】
右後連結部材12Rは、カーボディ10の右後被接続部52Rに接続されるカーボディ接続部32Rと、右クローラフレーム2Rの右後被接続部62Rに接続されるクローラ接続部42Rと、カーボディ接続部32Rとクローラ接続部42Rをつなぐ連結部材本体72Rと、を有する。右後連結部材12Rは、クローラ接続部42Rがカーボディ接続部32Rの右斜め後に位置する張出位置においてカーボディ10と右クローラフレーム2Rとを連結する。カーボディ接続部32Rは右後連結部材12Rの基端部を構成し、クローラ接続部42Rは右後連結部材12Rの先端部を構成する。連結部材本体72Rは、右後連結部材12Rが張出位置に配置されているときに、右斜め後に延びる姿勢で配置される部分であり、右後連結部材12Rの大半の部分を占めている。
【0083】
左前連結部材11Lは、カーボディ10の左前被接続部51Lに接続されるカーボディ接続部31Lと、左クローラフレーム2Lの左前被接続部61Lに接続されるクローラ接続部41Lと、カーボディ接続部31Lとクローラ接続部41Lをつなぐ連結部材本体71Lと、を有する。左前連結部材11Lは、クローラ接続部41Lがカーボディ接続部31Lの左斜め前に位置する張出位置においてカーボディ10と左クローラフレーム2Lとを連結する。カーボディ接続部31Lは左前連結部材11Lの基端部を構成し、クローラ接続部41Lは左前連結部材11Lの先端部を構成する。連結部材本体71Lは、左前連結部材11Lが張出位置に配置されているときに、左斜め前に延びる姿勢で配置される部分であり、左前連結部材11Lの大半の部分を占めている。
【0084】
左後連結部材12Lは、カーボディ10の左後被接続部52Lに接続されるカーボディ接続部32Lと、左クローラフレーム2Lの左後被接続部62Lに接続されるクローラ接続部42Lと、カーボディ接続部32Lとクローラ接続部42Lをつなぐ連結部材本体72Lと、を有する。左後連結部材12Lは、クローラ接続部42Lがカーボディ接続部32Lの左斜め後に位置する張出位置においてカーボディ10と左クローラフレーム2Lとを連結する。カーボディ接続部32Lは左後連結部材12Lの基端部を構成し、クローラ接続部42Lは左後連結部材12Lの先端部を構成する。連結部材本体72Lは、左後連結部材12Lが張出位置に配置されているときに、左斜め後に延びる姿勢で配置される部分であり、左後連結部材12Lの大半の部分を占めている。
【0085】
本実施形態では、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lにおいて、カーボディ接続部31R,32R,31L,32Lは着脱接続部であり、クローラ接続部41R,42R,41L,42Lは回動接続部であり、カーボディ10は被着脱部材であり、右クローラフレーム2R及び左クローラフレーム2Lのそれぞれは被回動部材である。具体的には次の通りである。
【0086】
右前連結部材11Rのカーボディ接続部31Rは、カーボディ10の右前被接続部51Rに対して着脱可能に接続され、右前連結部材11Rのクローラ接続部41Rは、右クローラフレーム2Rの右前被接続部61Rに対して回動可能に接続される。
【0087】
右後連結部材12Rのカーボディ接続部32Rは、カーボディ10の右後被接続部52Rに対して着脱可能に接続され、右後連結部材12Rのクローラ接続部42Rは、右クローラフレーム2Rの右後被接続部62Rに対して回動可能に接続される。
【0088】
左前連結部材11Lのカーボディ接続部31Lは、カーボディ10の左前被接続部51Lに対して着脱可能に接続され、左前連結部材11Lのクローラ接続部41Lは、左クローラフレーム2Lの左前被接続部61Lに対して回動可能に接続される。
【0089】
左後連結部材12Lのカーボディ接続部32Lは、カーボディ10の左後被接続部52Lに対して着脱可能に接続され、左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lは、左クローラフレーム2Lの左後被接続部62Lに対して回動可能に接続される。
【0090】
上記のような接続構造を備える複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれは、
図2、
図3及び
図5に示す張出位置に配置される張出状態と、
図6に示す接近位置に配置される接近状態との間で変位することが可能なように構成される。すなわち、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれは、カーボディ接続部(着脱接続部)がカーボディ10(被着脱部材)から取り外された状態でクローラ接続部(回動接続部)においてそれぞれ回動することによりカーボディ接続部が張出位置に比べて、対応するクローラフレーム(被回動部材)の近くに位置する接近位置に配置されることが可能なように構成される。左前連結部材11L及び左後連結部材12Lを例に挙げて具体的に説明すると次の通りである。
【0091】
図2及び
図3は、左前連結部材11Lのカーボディ接続部31Lがカーボディ10の左前被接続部51Lに接続され、左後連結部材12Lのカーボディ接続部32Lがカーボディ10の左後被接続部52Lに接続され、左アクスル13Lの左中間接続部43Lが左クローラフレーム2Lの左中間被接続部63Lに接続された状態を示している。
図2及び
図3に示す状態では、左前連結部材11Lは、クローラ接続部41Lがカーボディ接続部31Lの左斜め前に位置する張出位置に配置され、左後連結部材12Lは、クローラ接続部42Lがカーボディ接続部32Lの左斜め後に位置する張出位置に配置されている。
【0092】
図5は、左前連結部材11Lのカーボディ接続部31Lがカーボディ10の左前被接続部51Lから取り外され、左後連結部材12Lのカーボディ接続部32Lがカーボディ10の左後被接続部52Lから取り外され、左アクスル13Lの左中間接続部43Lが左クローラフレーム2Lの左中間被接続部63Lから取り外された状態を示している。
図5に示す状態では、左前連結部材11Lのクローラ接続部41Lは左クローラフレーム2Lの左前被接続部61Lに接続されたままであり、左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lは左クローラフレーム2Lの左後被接続部62Lに接続されたままであり、左前連結部材11L及び左後連結部材12Lのそれぞれは、前記張出位置に配置されたままである。
【0093】
図6は、左前連結部材11Lが
図5に示す張出位置からクローラ接続部41Lにおける回動中心軸CAの周りに回動することにより接近位置に配置され、左後連結部材12Lが
図5に示す張出位置からクローラ接続部42Lにおける回動中心軸CAの周りに回動することにより接近位置に配置された状態を示している。本実施形態では、各回動中心軸CAは上下方向に平行である。
図6に示す状態では、左前連結部材11Lのクローラ接続部41Lは左クローラフレーム2Lの左前被接続部61Lに接続されたままであり、左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lは左クローラフレーム2Lの左後被接続部62Lに接続されたままである。
【0094】
図6に示す接近位置では、左前連結部材11Lのカーボディ接続部31L及び左後連結部材12Lのカーボディ接続部32Lは、張出位置に比べて、左クローラフレーム2Lの左フレーム本体20Lの近くに位置している。具体的には次の通りである。
【0095】
図6に示すように、左前連結部材11Lは、前記接近位置において、クローラ接続部41Lから左フレーム本体20Lに沿って後方に延びるように配置され、左後連結部材12Lは、前記接近位置において、クローラ接続部42Lから左フレーム本体20Lに沿って前方に延びるように配置される。言い換えると、左前連結部材11Lは、前記接近位置において、カーボディ接続部31Lが左フレーム本体20Lに隣接するように配置され、左後連結部材12Lは、前記接近位置において、カーボディ接続部32Lが左フレーム本体20Lに隣接するように配置される。これにより、移動式クレーン100の輸送時において、左クローラフレーム2L、左前連結部材11L及び左後連結部材12Lを含む部品の寸法(
図6では左右方向の幅)が増加することを効果的に抑制できる。
【0096】
本実施形態では、左前連結部材11Lは、
図5に示す張出位置から平面視において時計回りに回動することによって
図6に示す接近位置に配置され、この接近位置では、カーボディ接続部31Lがクローラ接続部41Lの後側に位置し、左後連結部材12Lは、
図5に示す張出位置から平面視において反時計回りに回動することによって
図6に示す接近位置に配置され、この接近位置では、カーボディ接続部32Lがクローラ接続部42Lの前側に位置している。ただし、このような態様に限られない。左前連結部材11Lは、張出位置から平面視において反時計回りに回動することにより接近位置に配置され、この接近位置では、カーボディ接続部31Lがクローラ接続部41Lの前側に位置していてもよい。同様に、左後連結部材12Lは、張出位置から平面視において時計回りに回動することにより接近位置に配置され、この接近位置では、カーボディ接続部32Lがクローラ接続部42Lの後側に位置していてもよい。
【0097】
また、本実施形態では、
図6に示すように、左前連結部材11Lのカーボディ接続部31Lの少なくとも一部は、左フレーム本体20Lの右側面20Sと、左クローラベルト25Lの上部の下面と、左クローラベルト25Lの下部の上面とにより画定される格納スペースに格納される。言い換えると、左前連結部材11Lのカーボディ接続部31Lの少なくとも一部は、平面視において左クローラベルト25Lに重なるような位置に配置される。同様に、左後連結部材12Lのカーボディ接続部32Lの少なくとも一部は、左フレーム本体20Lの右側面と、左クローラベルト25Lの上部の下面と、左クローラベルト25Lの下部の上面とにより画定される格納スペースに格納される。言い換えると、左後連結部材12Lのカーボディ接続部32Lの少なくとも一部は、平面視において左クローラベルト25Lに重なるような位置に配置される。これにより、移動式クレーン100の輸送時において、左クローラフレーム2L、左クローラベルト25L、左前連結部材11L及び左後連結部材12Lを含む部品の寸法(
図6では左右方向の幅)が増加することを効果的に抑制できる。
【0098】
右前連結部材11R及び右後連結部材12Rのそれぞれは、張出位置と接近位置との間で変位することが可能なように構成される。右前連結部材11R及び右後連結部材12Rが張出位置と接近位置との間で変位するための構造は、左右方向の向きが異なる以外は、
図5及び
図6を参照して説明した左前連結部材11L及び左後連結部材12Lと同様であるので説明を省略する。
【0099】
以上、第1実施形態に係る下部走行体101の主な特徴について説明したが、以下では、接続構造の具体例について説明する。なお、接続構造は、以下に説明する具体例に限定されるものではなく、種々の態様を採用することが可能である。
【0100】
まず、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれのクローラ接続部とクローラフレームとの接続構造について説明する。
図7及び
図8のそれぞれは、第1実施形態に係る下部走行体101の左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lと左クローラフレーム2Lの被接続部62Lとの接続構造を示す斜視図である。
【0101】
図7及び
図8に示すように、左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lは、左後連結部材12Lの先端部により構成される。クローラ接続部42Lは、当該クローラ接続部42Lを上下方向に貫通するピン挿通孔H11を有する。
【0102】
左クローラフレーム2Lの被接続部62Lは、左フレーム本体20Lの右側面20S(内側面)から右側に向かって突出する一対の突出片PL1を有する。これらの突出片PL1は、上下方向に互いに間隔をおいて配置されている。一対の突出片PL1同士の上下方向の距離(隙間)は、これらの間に左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lが嵌合することが可能なようにクローラ接続部42Lの上下方向の寸法(厚み)よりもわずかに大きな値に設定されている。
【0103】
一対の突出片PL1のそれぞれは、クローラ接続部42Lのピン挿通孔H11に対応する部位にピン挿通孔H12を有する。一対の突出片PL1のそれぞれのピン挿通孔H12は、クローラ接続部42Lが一対の突出片PL1の間に嵌合したときにクローラ接続部42Lのピン挿通孔H11と平面視で同じ位置に配置される。左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lが一対の突出片PL1の間に嵌合された状態で、クローラ接続部42Lのピン挿通孔H11と一対の突出片PL1のそれぞれのピン挿通孔H12にピンP11が挿入される。これにより、左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lが左クローラフレーム2Lの被接続部62Lに回動可能に接続される。左後連結部材12Lは、ピンP11の中心である回動中心軸CAの周りに左クローラフレーム2Lの被接続部62Lに対して回動することができる。左後連結部材12Lが回動することができる範囲は、
図2、
図3、
図5及び
図7に示す張出位置と、
図6及び
図8に示す接近位置とを含む。
【0104】
右前連結部材11Rのクローラ接続部41Rと右クローラフレーム2Rの被接続部61Rとの接続構造、右後連結部材12Rのクローラ接続部42Rと右クローラフレーム2Rの被接続部62Rとの接続構造、及び左前連結部材11Lのクローラ接続部41Lと左クローラフレーム2Lの被接続部61Lとの接続構造は、
図7及び
図8を参照して説明した左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lと左クローラフレーム2Lの被接続部62Lとの接続構造と向きが異なる以外は同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0105】
次に、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれを張出位置及び接近位置に一時的に固定するための固定構造について説明する。
【0106】
本実施形態に係る下部走行体101は、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれを前記張出位置及び前記接近位置にそれぞれ固定するための複数の固定部材P21をさらに備える。
【0107】
本実施形態では、複数の固定部材P21は、複数の張出位置固定部材であり、複数の接近位置固定部材でもある。すなわち、各固定部材P21は、張出位置固定部材としての機能と、接近位置固定部材としての機能とを兼ね備えている。張出位置固定部材は、連結部材を前記張出位置に一時的に固定するための部材であり、接近位置固定部材は、連結部材を前記接近位置に一時的に固定するための部材である。ただし、張出位置固定部材と接近位置固定部材とは互いに別の部材により構成されていてもよい。
【0108】
以下では、
図7及び
図8を参照して左後連結部材12Lを張出位置及び接近位置にそれぞれ固定するための固定構造について説明するが、右前連結部材11R、右後連結部材12R及び左前連結部材11Lのそれぞれの固定構造も、左後連結部材12Lの固定構造と向きが異なる以外は同様である。
【0109】
図7に示すように、左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lを構成する左後連結部材12Lの先端部は、当該先端部の上面から下方にそれぞれ穿孔された2つのピン挿通孔H21,H22を有する。本実施形態では、2つのピン挿通孔H21,H22のそれぞれは、クローラ接続部42Lの高さ方向の中間部に底を有する孔であるが、クローラ接続部42Lを上下方向に貫通する貫通孔であってもよい。2つのピン挿通孔H21,H22は、平面視において回動中心軸CAを中心とする同じ円弧上に設けられている。一方のピン挿通孔H21は、他方のピン挿通孔H22よりも左クローラフレーム2Lの左フレーム本体20Lから遠い位置に設けられている。
【0110】
左クローラフレーム2Lの被接続部62Lを構成する一対の突出片PL1のうち上側の突出片PL1は、当該突出片PL1を上下方向に貫通するピン挿通孔H23を有する。突出片PL1のピン挿通孔H23は、平面視において、クローラ接続部42Lの2つのピン挿通孔H21,H22が設けられている回動中心軸CAを中心とする円弧と同じ円弧上に設けられている。
【0111】
突出片PL1のピン挿通孔H23は、左後連結部材12Lが
図7に示す張出位置に配置されるときには平面視においてクローラ接続部42Lの一方のピン挿通孔H21と同じ位置に配置され、左後連結部材12Lが
図8に示す接近位置に配置されるときには、平面視において、クローラ接続部42Lの他方のピン挿通孔H22と同じ位置に配置される。
【0112】
本実施形態では、固定部材P21は、ピンにより構成される。左後連結部材12Lが
図7に示す張出位置に配置された状態で、突出片PL1のピン挿通孔H23及びクローラ接続部42Lの一方のピン挿通孔H21に固定部材P21が挿入される。これにより、左後連結部材12Lが左クローラフレーム2Lの被接続部62Lに対して回動することが規制され、左後連結部材12Lが前記張出位置に固定される。固定部材P21が突出片PL1のピン挿通孔H23及びクローラ接続部42Lの一方のピン挿通孔H21から取り出されると、左後連結部材12Lが左クローラフレーム2Lの被接続部62Lに対して回動することが可能になる。
【0113】
左後連結部材12Lが
図8に示す接近位置に配置された状態で、突出片PL1のピン挿通孔H23及びクローラ接続部42Lの他方のピン挿通孔H22に固定部材P21が挿入される。これにより、左後連結部材12Lが左クローラフレーム2Lの被接続部62Lに対して回動することが規制され、左後連結部材12Lが前記接近位置に固定される。固定部材P21が突出片PL1のピン挿通孔H23及びクローラ接続部42Lの一方のピン挿通孔H21から取り出されると、左後連結部材12Lが左クローラフレーム2Lの被接続部62Lに対して回動することが可能になる。
【0114】
このような固定構造を備える本実施形態に係る下部走行体101では、下部走行体101を組み立てる組立作業において、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lは、複数の固定部材P21によって張出位置にそれぞれ固定され、その後、各連結部材のカーボディ接続部がカーボディ10の被接続部に取り付けられる。これにより、下部走行体101の組立作業の作業性が向上する。また、移動式クレーンの輸送時には、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lは、複数の固定部材P21によって接近位置に固定されるので、左右のクローラフレーム2R,2Lのうちの対応するクローラフレームに対して変位することが防止される。
【0115】
次に、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれのカーボディ接続部とカーボディ10との接続構造について説明する。
図9及び
図10のそれぞれは、下部走行体101の左後連結部材12Lのカーボディ接続部32Lとカーボディ10の被接続部52Lとの接続構造を示す背面図である。
【0116】
図9及び
図10に示すように、左後連結部材12Lのカーボディ接続部32Lは、左後連結部材12Lの基端部により構成される。カーボディ接続部32Lは、左後連結部材12Lの連結部材本体72Lの基端部を構成する壁部W1から突出する一対の突出片PL2と、これらの突出片PL2の間にまたがるように配置されてこれらの突出片PL2に支持される棒状の係合部E1と、を有する。一対の突出片PL2が壁部W1から突出する方向は、左後連結部材12Lが
図5に示す張出位置に配置される状態で右側、すなわち、カーボディ本体10Aに近づく方向である。一対の突出片PL2は、前後方向に互いに間隔をおいて配置されている。一対の突出片PL2同士の前後方向の距離(隙間)は、これらの間にカーボディ10の被接続部52Lを構成する後述の突出片PL3が嵌合することが可能なように当該突出片PL3の前後方向の寸法(厚み)よりもわずかに大きな値に設定されている。一対の突出片PL2のそれぞれは、ピン挿通孔H31を有する。係合部E1は、ピン挿通孔H31の上方に設けられている。
【0117】
カーボディ10の被接続部52Lは、カーボディ本体10Aの右側部の前側の部分を構成する壁部W2から左側に向かって突出する突出片PL3を有する。突出片PL3は、ピン挿通孔H31に対応する位置に設けられたピン挿通孔H32と、係合部E1に対応する位置に設けられた被係合部E2と、を有する。被係合部E2は、上部が開口した凹形状を有する。
【0118】
棒状の係合部E1は、被係合部E2の開口を通じて被係合部E2内に配置されることにより、被係合部E2に係合することが可能なように構成される。
図10に示すように、左後連結部材12Lのカーボディ接続部32Lの係合部E1がカーボディ10の被接続部52Lの被係合部E2に係合した状態で、ピン挿通孔H31,H32にピンP31が挿通される。これにより、左後連結部材12Lのカーボディ接続部32Lがカーボディ10の被接続部52Lに着脱可能に接続される。移動式クレーン100を輸送するために左後連結部材12Lのカーボディ接続部32Lがカーボディ10の被接続部52Lから取り外される際には、上記の作業とは逆の手順の作業が行われる。
【0119】
右前連結部材11Rのカーボディ接続部31Rとカーボディ10の被接続部51Rとの接続構造、右後連結部材12Rのカーボディ接続部32Rとカーボディ10の被接続部52Rとの接続構造、及び左前連結部材11Lのカーボディ接続部31Lとカーボディ10の被接続部51Lとの接続構造は、
図9及び
図10を参照して説明した左後連結部材12Lのカーボディ接続部32Lとカーボディ10の被接続部52Lとの接続構造と向きが異なる以外は同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0120】
次に、右アクスル13Rの右中間接続部43Rと右クローラフレーム2Rの右中間被接続部63Rとの接続構造、及び左アクスル13Lの左中間接続部43Lと左クローラフレーム2Lの左中間被接続部63Lとの接続構造について説明する。
図11は、カーボディ10における左アクスル13Lの左中間接続部43Lと左クローラフレーム2Lの左中間被接続部63Lとの接続構造を示す斜視図であり、
図12は、その背面図である。
【0121】
図5、
図11及び
図12に示すように、左クローラフレーム2Lの左中間被接続部63Lは、左クローラフレーム2Lの左フレーム本体20Lから右側に向かって突出する一対の突出片PL5と、これらの突出片PL5の間にまたがるように配置されてこれらの突出片PL5に支持される棒状の係合部E3と、を有する。一対の突出片PL5のそれぞれは、ピン挿通孔H42を有する。係合部E3は、ピン挿通孔H42の上方に設けられている。
【0122】
左アクスル13Lの左中間接続部43Lは、左アクスル13Lのアクスル本体73Lの左端部を構成する壁部W3から左側に向かって突出する突出片PL4を有する。突出片PL4は、ピン挿通孔H41と、被係合部E4と、を有する。被係合部E4は、上部が開口した凹形状を有する。
【0123】
棒状の係合部E3は、被係合部E4の開口を通じて被係合部E4内に配置されることにより、被係合部E4に係合することが可能なように構成される。
図12に示すように、左クローラフレーム2Lの係合部E3が左アクスル13Lの被係合部E4に係合した状態で、ピン挿通孔H41,H42にピンP41が挿通される。これにより、左アクスル13Lの左中間接続部43Lが左クローラフレーム2Lの左中間被接続部63Lに接続される。移動式クレーン100を輸送するために左クローラフレーム2Lが左アクスル13Lから取り外される際には、上記の作業とは逆の手順の作業が行われる。
【0124】
なお、右アクスル13Rの右中間接続部43Rと右クローラフレーム2Rの右中間被接続部63Rとの接続構造は、
図11及び
図12に示す接続構造と同様であるので、説明を省略する。
【0125】
なお、
図3には、二点鎖線TLで示された4つのトランスリフタTLが図示されている。
図3に示すように、下部走行体101は、移動式クレーン100の組立作業及び分解作業においてカーボディ10を地面から浮かせた状態に保持可能な第1~第4のトランスリフタTLを備えている。
【0126】
移動式クレーン100の組立作業では、カーボディ10は、第1~第4のトランスリフタTLによって地面から浮いた状態に保持される。この状態で、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lがカーボディ10に接続される。その後、右クローラフレーム2Rが右前連結部材11R、右後連結部材12R及び右アクスル13Rに接続され、左クローラフレーム2Lが左前連結部材11L、左後連結部材12L及び左アクスル13Lに接続される。移動式クレーン100の分解作業は、上記の組立作業の逆の手順で行われる。
【0127】
[荷重伝達構造]
次に、下部走行体101が備える荷重伝達構造について詳細に説明する。
【0128】
図3に示すように、カーボディ10は、上部旋回体102から受ける荷重を複数の連結部材11R,12R,11L,12Lにそれぞれ伝達するための複数の荷重伝達面を有する。具体的には、複数の荷重伝達面は、右前連結部材11Rに前記荷重を伝達するための右前荷重伝達面5FRと、右後連結部材12Rに前記荷重を伝達するための右後荷重伝達面5BRと、左前連結部材11Lに前記荷重を伝達するための左前荷重伝達面5FLと、左後連結部材12Lに前記荷重を伝達するための左後荷重伝達面5BLと、を含む。
【0129】
右前荷重伝達面5FRは、カーボディ本体10Aのうち、右アクスル13Rよりも前側でかつ旋回中心軸Cよりも右側の部位に設けられている。カーボディ10の右後荷重伝達面5BRは、カーボディ本体10Aのうち、右アクスル13Rよりも後側でかつ旋回中心軸Cよりも右側の部位に設けられている。カーボディ10の左前荷重伝達面5FLは、カーボディ本体10Aのうち、左アクスル13Lよりも前側でかつ旋回中心軸Cよりも左側の部位に設けられている。カーボディ10の左後荷重伝達面5BLは、カーボディ本体10Aのうち、左アクスル13Lよりも後側でかつ旋回中心軸Cよりも左側の部位に設けられている。
【0130】
複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれは、カーボディ10から前記荷重を受けるための荷重受面を有する。具体的には、右前連結部材11Rは、カーボディ10の右前荷重伝達面5FRに対向する右前荷重受面3FRを有する。右後連結部材12Rは、カーボディ10の右後荷重伝達面5BRに対向する右後荷重受面3BRを有する。左前連結部材11Lは、カーボディ10の左前荷重伝達面5FLに対向する左前荷重受面3FLを有する。左後連結部材12Lは、カーボディ10の左後荷重伝達面5BLに対向する左後荷重受面3BLを有する。
【0131】
右前連結部材11Rの右前荷重受面3FR及び左前連結部材11Lの左前荷重受面3FLのそれぞれは、下部走行体101よりも前側において上部旋回体102に吊り荷が吊るされたときにカーボディ10が上部旋回体102から受ける荷重である前側荷重を、カーボディ10から受けることができる面である。右前荷重受面3FR及び左前荷重受面3FLがカーボディ10から受ける前側荷重は、下部走行体101よりも前側において上部旋回体102に吊り荷が吊るされたときにカーボディ10が上部旋回体102から受ける全ての荷重のうちの一部である。
【0132】
右後連結部材12Rの右後荷重受面3BR及び左後連結部材12Lの左後荷重受面3BLのそれぞれは、下部走行体101よりも後側において上部旋回体102に吊り荷が吊るされたときにカーボディ10が上部旋回体102から受ける荷重である後側荷重を、カーボディ10から受けることができる面である。右後荷重受面3BR及び左後荷重受面3BLがカーボディ10から受ける後側荷重は、下部走行体101よりも後側において上部旋回体102に吊り荷が吊るされたときにカーボディ10が上部旋回体102から受ける全ての荷重のうちの一部である。
【0133】
本実施形態では、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lの荷重受面3FR,3BR,3FL,3BL、及びカーボディ10の荷重伝達面5FR,5BR,5FL,5BLのそれぞれは、左右方向に直交する面により構成されているが、このような態様に限られない。
【0134】
複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれは、カーボディ10から受ける前記荷重をクローラフレームに伝達するための荷重伝達面を有する。具体的には、右前連結部材11Rは、右クローラフレーム2Rの右フレーム本体20Rに対向する右前荷重伝達面4FRを有する。右後連結部材12Rは、右クローラフレーム2Rの右フレーム本体20Rに対向する右後荷重伝達面4BRを有する。左前連結部材11Lは、左クローラフレーム2Lの左フレーム本体20Lに対向する左前荷重伝達面4FLを有する。左後連結部材12Lは、左クローラフレーム2Lの左フレーム本体20Lに対向する左後荷重伝達面4BLを有する。
【0135】
右前荷重伝達面4FRは、前記前側荷重を右クローラフレーム2Rに伝達することができる面であり、左前荷重伝達面4FLは、前記前側荷重を左クローラフレーム2Lに伝達することができる面であり、右後荷重伝達面4BRは、前記後側荷重を右クローラフレーム2Rに伝達することができる面であり、左後荷重伝達面4BLは、前記後側荷重を左クローラフレーム2Lに伝達することができる面である。
【0136】
右アクスル13Rは、当該右アクスル13Rがカーボディ本体10Aから受ける前記荷重を右クローラフレーム2Rに伝達するための右中間荷重伝達面4MRを有する。左アクスル13Lは、当該左アクスル13Lがカーボディ本体10Aから受ける前記荷重を左クローラフレーム2Lに伝達するための左中間荷重伝達面4MLを有する。
【0137】
右クローラフレーム2Rは、右前連結部材11Rから前記荷重を受けるための右前荷重受面6FRと、右後連結部材12Rから前記荷重を受けるための右後荷重受面6BRと、右アクスル13Rから前記荷重を受けるための右中間荷重受面6MRと、を有する。左クローラフレーム2Lは、左前連結部材11Lから前記荷重を受けるための左前荷重受面6FLと、左後連結部材12Lから前記荷重を受けるための左後荷重受面6BLと、左アクスル13Lから前記荷重を受けるための左中間荷重受面6MLと、を有する。
【0138】
カーボディ10の複数の荷重伝達面の具体例を挙げると次の通りである。すなわち、
図9に示すように、カーボディ10の左後荷重伝達面5BLは、カーボディ10の一部である壁部W4の側面(
図9では左側面)により構成されていてもよい。図示は省略するが、他の荷重伝達面5FR,5BR,5FLも
図9に示される左後荷重伝達面5BLと同様に構成されていてもよい。
【0139】
複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれの荷重受面の具体例を挙げると次の通りである。すなわち、
図9に示すように、例えば、左後連結部材12Lの左後荷重受面3BLは、左後連結部材12Lの一部である壁部W5の側面(
図9では右側面)により構成されていてもよい。図示は省略するが、他の荷重受面3FR,3BR,3FLも
図9に示される左後荷重受面3BLと同様に構成されていてもよい。
【0140】
複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれの荷重伝達面の具体例を挙げると次の通りである。すなわち、
図7に示すように、例えば、左後連結部材12Lの左後荷重伝達面4BLは、当該左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lに設けられていてもよい。この左後荷重伝達面4BLは、クローラ接続部42Lのピン挿通孔H11を画定する内周面により構成されていてもよい。この場合、左後連結部材12Lがカーボディ10から受ける前記荷重は、カーボディ接続部32L及び連結部材本体72Lを介してクローラ接続部42Lに伝達され、ピン挿通孔H11を画定する内周面により構成される左後荷重伝達面4BLからピンP11を介して左クローラフレーム2Lの左後被接続部62Lの一対の突出片PL1に伝達される。
【0141】
この場合、
図7に示すように、左クローラフレーム2Lの左後荷重受面6BLは、左後被接続部62Lの一対の突出片PL1にそれぞれ設けられていてもよい。左後荷重受面6BLは、一対の突出片PL1のそれぞれのピン挿通孔H12を画定する内周面により構成されていてもよい。前記荷重は、左後連結部材12Lのクローラ接続部42LからピンP11を介して左後荷重受面6BLに伝達され、左クローラフレーム2Lの左フレーム本体20Lにさらに伝達される。
【0142】
図示は省略するが、他の荷重伝達面4FR,4BR,4FLも
図7に示される左後荷重伝達面4BLと同様に構成されていてもよく、他の荷重受面6FR,6BR,6FLも
図7に示される左後荷重受面6BLと同様に構成されていてもよい。
【0143】
右アクスル13Rの右中間荷重伝達面4MR及び左アクスル13Lの左中間荷重伝達面4MLの具体例を挙げると次の通りである。すなわち、
図11に示すように、例えば、左アクスル13Lの左中間荷重伝達面4MLは、当該左アクスル13Lの一部である壁部W6の側面(
図11では左側面)により構成されていてもよい。
【0144】
この場合、
図11に示すように、左クローラフレーム2Lの左中間荷重受面6MLは、当該左クローラフレーム2Lの一部である壁部W7の側面(
図11では右側面)により構成されていてもよい。
【0145】
図示は省略するが、右アクスル13Rの右中間荷重伝達面4MRも
図11に示される左中間荷重伝達面4MLと同様に構成されていてもよく、右クローラフレーム2Rの右中間荷重受面6MRも
図11に示される左中間荷重受面6MLと同様に構成されていてもよい。
【0146】
右前連結部材11Rは、
図3に示す平面視において、右前連結部材11Rの右前荷重受面3FRに含まれる点A1と右前荷重伝達面4FRに含まれる点A2とを通る直線である右前直線LAが右前端ローラ261を通るような形状を有する。左前連結部材11Lは、
図3に示す平面視において、左前連結部材11Lの左前荷重受面3FLに含まれる点C1と左前荷重伝達面4FLに含まれる点C2とを通る直線である左前直線LCが左前端ローラ261を通るような形状を有する。また、本実施形態では、右前直線LAは、旋回中心軸Cをさらに通る直線であり、左前直線LCは、旋回中心軸Cをさらに通る直線である。
【0147】
ただし、右前直線LAを規定するための右前荷重受面3FRにおける点A1及び右前荷重伝達面4FRにおける点A2のそれぞれは、上記のような位置の点に限られない。点A1は、カーボディ10の右前荷重伝達面5FRから前側荷重を受けることが可能な右前荷重受面3FRに含まれる他の点であってもよく、点A2は、右クローラフレーム2Rの右前荷重受面6FRに前側荷重を伝達することが可能な右前荷重伝達面4FRに含まれる他の点であってもよい。具体的には、右前直線LAは、例えば、
図3に示す平面視において、右前荷重受面3FRのうち最も後の点と、右前荷重伝達面4FRのうち最も前の点とを通る直線であってもよい。
【0148】
同様に、左前直線LCを規定するための左前荷重受面3FLにおける点C1及び左前荷重伝達面4FLにおける点C2のそれぞれは、上記のような位置の点に限られない。点C1は、カーボディ10の左前荷重伝達面5FLから前側荷重を受けることが可能な左前荷重受面3FLに含まれる他の点であってもよく、点C2は、左クローラフレーム2Lの左前荷重受面6FLに前側荷重を伝達することが可能な左前荷重伝達面4FLに含まれる他の点であってもよい。具体的には、左前直線LCは、例えば、
図3に示す平面視において、左前荷重受面3FLのうち最も後の点と、左前荷重伝達面4FLのうち最も前の点とを通る直線であってもよい。
【0149】
また、右前連結部材11Rは、平面視において右前直線LAに沿って右前荷重受面3FRから右前荷重伝達面4FRまで連続する右前連続部分CXを有し、左前連結部材11Lは、平面視において左前直線LCに沿って左前荷重受面3FLから左前荷重伝達面4FLまで連続する左前連続部分CXと、を有する。具体的には、右前連続部分CXは、右前荷重受面3FRから右前荷重伝達面4FRまで平面視で右前直線LAに重なりながら連続し、左前連続部分CXは、左前荷重受面3FLから左前荷重伝達面4FLまで平面視で左前直線LCに重なりながら連続している。
【0150】
右後連結部材12Rは、
図3に示す平面視において、右後連結部材12Rの右後荷重受面3BRに含まれる点B1と右後荷重伝達面4BRに含まれる点B2とを通る直線である右後直線LBが右後端ローラ262を通るような形状を有する。左後連結部材12Lは、
図3に示す平面視において、左後連結部材12Lの左後荷重受面3BLに含まれる点D1と左後荷重伝達面4BLに含まれる点D2とを通る直線である左後直線LDが左後端ローラ262を通るような形状を有する。また、本実施形態では、右後直線LBは、旋回中心軸Cをさらに通る直線であり、左後直線LDは、旋回中心軸Cをさらに通る直線である。
【0151】
ただし、右後直線LBを規定するための右後荷重受面3BRにおける点B1及び右後荷重伝達面4BRにおける点B2のそれぞれは、上記のような位置の点に限られない。点B1は、カーボディ10の右後荷重伝達面5BRから後側荷重を受けることが可能な右後荷重受面3BRに含まれる他の点であってもよく、点B2は、右クローラフレーム2Rの右後荷重受面6BRに後側荷重を伝達することが可能な右後荷重伝達面4BRに含まれる他の点であってもよい。具体的には、右後直線LBは、例えば、
図3に示す平面視において、右後荷重受面3BRのうち最も前の点と、右後荷重伝達面4BRのうち最も後の点とを通る直線であってもよい。
【0152】
同様に、左後直線LDを規定するための左後荷重受面3BLにおける点D1及び左後荷重伝達面4BLにおける点D2のそれぞれは、上記のような位置の点に限られない。点D1は、カーボディ10の左後荷重伝達面5BLから後側荷重を受けることが可能な左後荷重受面3BLに含まれる他の点であってもよく、点D2は、左クローラフレーム2Lの左後荷重受面6BLに後側荷重を伝達することが可能な左後荷重伝達面4BLに含まれる他の点であってもよい。具体的には、左後直線LDは、例えば、
図3に示す平面視において、左後荷重受面3BLのうち最も前の点と、左後荷重伝達面4BLのうち最も後の点とを通る直線であってもよい。
【0153】
右後連結部材12Rは、平面視において右後直線LBに沿って右後荷重受面3BRから右後荷重伝達面4BRまで連続する右後連続部分CXを有し、左後連結部材12Lは、平面視において左後直線LDに沿って左後荷重受面3BLから左後荷重伝達面4BLまで連続する左後連続部分CXと、を有する。具体的には、右後連続部分CXは、右後荷重受面3BRから右後荷重伝達面4BRまで平面視で右後直線LBに重なりながら連続し、左後連続部分CXは、左後荷重受面3BLから左後荷重伝達面4BLまで平面視で左後直線LDに重なりながら連続している。
【0154】
以上説明したように、本実施形態に係る下部走行体101では、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれは、クレーン作業時には前記張出位置に配置され、移動式クレーン100の輸送時には前記接近位置に配置される。これにより、下部走行体101よりも前側又は後側において吊り荷が上部旋回体102から吊るされたときに下部走行体101に生じる変形を小さくすることと、移動式クレーン100の輸送時に下部走行体101を構成する部品の寸法の増加を抑制することと、下部走行体101の分解作業及び組立作業の作業性の低下を抑制することとを実現することができる。具体的には次の通りである。
【0155】
クレーン作業時において、前記張出位置に配置された右前連結部材11Rは、下部走行体101よりも前側において上部旋回体102に吊り荷が吊るされたときにカーボディ10が上部旋回体102から受ける荷重である前側荷重を、当該右前連結部材11Rのカーボディ接続部31Rにおいて受け、このカーボディ接続部31Rの右斜め前に位置するクローラ接続部41Rを介して右クローラフレーム2Rの右フレーム本体20Rに伝達することができる。同様に、左前連結部材11Lは、前記前側荷重を、当該左前連結部材11Lのカーボディ接続部31Lにおいて受け、このカーボディ接続部31Lの左斜め前に位置するクローラ接続部41Lを介して左クローラフレーム2Lの左フレーム本体20Lに伝達することができる。
【0156】
すなわち、右前連結部材11R及び左前連結部材11Lは、カーボディ10から前記前側荷重を受ける部位よりも前側においてカーボディ10を支持することができるので、前記前側荷重に起因するカーボディ10のたわみ変形を効果的に抑制すること、すなわち、前記前側荷重に対するカーボディ10の剛性を向上させることができる。しかも、この下部走行体101では、左右方向に平行に延びるアクスルを介して左右のクローラフレームに荷重が伝達される従来の下部走行体に比べて、前記前側荷重が左右のクローラフレーム2R,2Lに伝達される部位を、各クローラフレームのフレーム本体の前端部に近づけることができる。これにより、各クローラフレームのフレーム本体の前側の部分、すなわち、各クローラフレームのフレーム本体に前記前側荷重が伝達される部位と各クローラフレームのフレーム本体の前端部との間の部分に生じる変形を小さくすることができる。よって、下部走行体101よりも前側において吊り荷が上部旋回体102から吊るされたときに下部走行体101に生じる変形を小さくすることができる。なお、下部走行体101よりも後側において吊り荷が上部旋回体102から吊るされたときに下部走行体101に生じる変形を小さくすることができる理由も上記と同様である。
【0157】
また、この下部走行体101では、移動式クレーン100の輸送時には、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれは、カーボディ接続部がカーボディ10の被接続部から取り外された状態でクローラ接続部の回動中心軸CAの周りに回動することにより前記接近位置に配置される。この接近位置に配置された複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれのカーボディ接続部は、前記張出位置に比べて、対応するクローラフレームのフレーム本体の近くに位置する。従って、移動式クレーン100の輸送時において、下部走行体101を構成する部品の寸法が増加することを抑制できる。
【0158】
しかも、下部走行体101の分解作業では、作業者は、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれにおいてカーボディ接続部及びクローラ接続部の双方をカーボディ及びクローラフレームから取り外さなくてもよい。すなわち、作業者は、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれにおいてカーボディ接続部のみをカーボディ10の被接続部から取り外し、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれを対応するクローラ接続部において回動させることにより前記張出位置から前記接近位置に変位させる。これにより、作業者は、カーボディ10と左右のクローラフレーム2R,2Lとを分離することができる。従って、分解作業の作業性の低下が抑制される。
【0159】
また、分解作業では、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれのクローラ接続部は、クローラフレームの被接続部から取り外されない。従って、下部走行体101の組立作業では、作業者は、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれにおいてクローラ接続部をクローラフレームの被接続部に取り付ける作業を省略できる。すなわち、作業者は、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれをクローラ接続部において回動させて当該複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれを接近位置から張出位置に変位させ、カーボディ接続部をカーボディ10の被接続部に取り付ける。これにより、作業者は、カーボディ10と左右のクローラフレーム2R,2Lとを複数の連結部材11R,12R,11L,12Lによって連結することができる。従って、組立作業の作業性の低下が抑制される。
【0160】
[第1実施形態の変形例]
図13は、第1実施形態の変形例に係る下部走行体101を示す平面図である。この変形例に係る下部走行体101は、カーボディ10の荷重伝達面5FR,5BR,5FL,5BLの向き、及び複数の連結部材11R,12R,11L,12Lの荷重受面3FR,3BR,3FL,3BLの向きが
図3に示す下部走行体101と異なり、その他の基本的な構造は
図3に示す下部走行体101と同様である。具体的には次の通りである。
【0161】
図13に示すように、カーボディ10の右前荷重伝達面5FRは、右斜め前を向き、当該右前荷重伝達面5FRに対向する右前連結部材11Rの右前荷重受面3FRは、左斜め後を向いている。カーボディ10の右後荷重伝達面5BRは、右斜め後を向き、当該右後荷重伝達面5BRに対向する右後連結部材12Rの右後荷重受面3BRは、左斜め前を向いている。カーボディ10の左前荷重伝達面5FLは、左斜め前を向き、当該左前荷重伝達面5FLに対向する左前連結部材11Lの左前荷重受面3FLは、右斜め後を向いている。カーボディ10の左後荷重伝達面5BLは、左斜め後を向き、当該左後荷重伝達面5BLに対向する左後連結部材12Lの左後荷重受面3BLは、右斜め前を向いている。
【0162】
この変形例では、右前連結部材11Rがカーボディ10から右クローラフレーム2Rまで延びる方向、すなわち、前記前側荷重が右前連結部材11Rを介して右クローラフレーム2Rに伝達される方向に対して、右前荷重伝達面5FR及び右前荷重受面3FRの向きを近づけることができるので、右前荷重伝達面5FR及び右前荷重受面3FRは、当該前側荷重をカーボディ10から右前連結部材11Rに効率よく伝達することができる。同様に、左前連結部材11Lがカーボディ10から左クローラフレーム2Lまで延びる方向、すなわち、前記前側荷重が左前連結部材11Lを介して左クローラフレーム2Lに伝達される方向に対して、左前荷重伝達面5FL及び左前荷重受面3FLの向きを近づけることができるので、左前荷重伝達面5FL及び左前荷重受面3FLは、当該前側荷重をカーボディ10から左前連結部材11Lに効率よく伝達することができる。右後荷重伝達面5BR及び右後荷重受面3BR、並びに、左後荷重伝達面5BL及び左後荷重受面3BLは、上記と同様の理由から、後側荷重をカーボディ10から右後連結部材12R及び左後連結部材12Lにそれぞれ効率よく伝達することができる。
【0163】
この変形例では、右前荷重伝達面5FR及び右前荷重受面3FRが右前直線LAに直交する面であり、右後荷重伝達面5BR及び右後荷重受面3BRが右後直線LBに直交する面であり、左前荷重伝達面5FL及び左前荷重受面3FLが左前直線LCに直交する面であり、左後荷重伝達面5BL及び左後荷重受面3BLが左後直線LDに直交する面であることがより好ましい。この場合には、前側荷重及び後側荷重がカーボディ10から複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれにさらに効率よく伝達される。
【0164】
なお、
図13に示す変形例に係る下部走行体101では、
図3等に示す前記実施形態に係る下部走行体101と同様に、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれは、
図13において実線で示す張出状態と、
図13において二点鎖線で示す接近位置との間で変位することが可能なように構成される。
【0165】
[第2実施形態に係る下部走行体の構造]
図14は、第2実施形態に係る下部走行体101を示す平面図である。
図15は、第2実施形態に係る下部走行体101のカーボディ10及び複数の連結部材11R,12R,11L,12Lを示す平面図である。第2実施形態に係る下部走行体101は、主に次の3つの相違点(1)及び(2)において第1実施形態に係る下部走行体101と異なる。
【0166】
すなわち、(1)この第2実施形態では、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lにおいて、カーボディ接続部31R,32R,31L,32Lは回動接続部であり、クローラ接続部41R,42R,41L,42Lは着脱接続部であり、カーボディ10は被回動部材であり、右クローラフレーム2R及び左クローラフレーム2Lのそれぞれは被着脱部材である。
【0167】
(2)また、この第2実施形態では、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれは、下部走行体101を組み立てる組立作業及び下部走行体101を分解する分解作業において、前記張出位置に配置されてカーボディ10を持ち上げるためのリフト部材(トランスリフタ)として機能するように構成される。
【0168】
なお、第2実施形態に係る下部走行体101では、上記の2つの相違点(1)及び(2)以外の構成は、第1実施形態に係る下部走行体101と同様であるので、第1実施形態と同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0169】
まず、相違点(1)について説明する。
【0170】
第2実施形態に係る下部走行体101では、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれは、カーボディ接続部における回動中心軸CBの周りに回動することにより、
図14に示す張出位置に配置される張出状態と、
図15に示す接近位置に配置される接近状態との間で変位することが可能なように構成される。具体的には次の通りである。
【0171】
右前連結部材11Rのカーボディ接続部31Rは、カーボディ10の右前被接続部51Rに対して回動可能に接続され、右前連結部材11Rのクローラ接続部41Rは、右クローラフレーム2Rの右前被接続部61Rに対して着脱可能に接続される。右前連結部材11Rは、クローラ接続部41R(着脱接続部)が右クローラフレーム2R(被着脱部材)から取り外された状態でカーボディ接続部31R(回動接続部)において回動することによりクローラ接続部41Rが張出位置に比べてカーボディ10(被回動部材)の近くに位置する接近位置に配置されることが可能なように構成される。
【0172】
右後連結部材12Rのカーボディ接続部32Rは、カーボディ10の右後被接続部52Rに対して回動可能に接続され、右後連結部材12Rのクローラ接続部42Rは、右クローラフレーム2Rの右後被接続部62Rに対して着脱可能に接続される。右後連結部材12Rは、クローラ接続部42R(着脱接続部)が右クローラフレーム2R(被着脱部材)から取り外された状態でカーボディ接続部32R(回動接続部)において回動することによりクローラ接続部42Rが張出位置に比べてカーボディ10(被回動部材)の近くに位置する接近位置に配置されることが可能なように構成される。
【0173】
左前連結部材11Lのカーボディ接続部31Lは、カーボディ10の左前被接続部51Lに対して回動可能に接続され、左前連結部材11Lのクローラ接続部41Lは、左クローラフレーム2Lの左前被接続部61Lに対して着脱可能に接続される。左前連結部材11Lは、クローラ接続部41L(着脱接続部)が左クローラフレーム2L(被着脱部材)から取り外された状態でカーボディ接続部31L(回動接続部)において回動することによりクローラ接続部41Lが張出位置に比べてカーボディ10(被回動部材)の近くに位置する接近位置に配置されることが可能なように構成される。
【0174】
左後連結部材12Lのカーボディ接続部32Lは、カーボディ10の左後被接続部52Lに対して回動可能に接続され、左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lは、左クローラフレーム2Lの左後被接続部62Lに対して着脱可能に接続される。左後連結部材12Lは、クローラ接続部42L(着脱接続部)が左クローラフレーム2L(被着脱部材)から取り外された状態でカーボディ接続部32L(回動接続部)において回動することによりクローラ接続部42Lが張出位置に比べてカーボディ10(被回動部材)の近くに位置する接近位置に配置されることが可能なように構成される。
【0175】
図16は、第2実施形態に係る下部走行体101のカーボディ10、右前連結部材11R及び左前連結部材11Lを示す正面図である。
図17は、第2実施形態に係る下部走行体101のカーボディ10、左前連結部材11L及び左後連結部材12Lを示す左側面図である。
【0176】
複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのカーボディ接続部31R,32R,31L,32Lのそれぞれとカーボディ10との接続構造は、例えば、
図7及び
図8を参照して説明した接続構造と同様の構造を採用することができる。すなわち、
図14、
図16及び
図17に示す第2実施形態に係る複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれのカーボディ接続部は、
図7及び
図8に示す第1実施形態に係るクローラ接続部42Lと同様の構造を有し、第2実施形態に係るカーボディ10の被接続部51R,52R,51L,52Lのそれぞれは、
図7及び
図8に示す第1実施形態に係る被接続部62Lと同様の構造を有していてもよい。具体的には、
図16及び
図17に示すように、第2実施形態に係る複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのカーボディ接続部31R,32R,31L,32Lのそれぞれは、当該カーボディ接続部を上下方向に貫通するピン挿通孔H11を有し、カーボディ10の被接続部51R,52R,51L,52Lのそれぞれは、一対の突出片PL1を有し、一対の突出片PL1のそれぞれは、カーボディ接続部のピン挿通孔H11に対応する部位にピン挿通孔H12を有していてもよい。
【0177】
右前連結部材11R及び右後連結部材12Rのクローラ接続部41R,42Rのそれぞれと右クローラフレーム2Rとの接続構造、並びに左前連結部材11L及び左後連結部材12Lのクローラ接続部41L,42Lのそれぞれと左クローラフレーム2Lとの接続構造は、例えば、
図11及び
図12を参照して説明した接続構造と同様の構造を採用することができる。すなわち、
図14、
図16及び
図17に示す第2実施形態に係る複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれのクローラ接続部は、
図11及び
図12に示す第1実施形態に係る左中間接続部43Lと同様の構造を有し、第2実施形態に係る左右のクローラフレーム2R,2Lの被接続部61R,62R,61L,62Lのそれぞれは、
図11及び
図12に示す第1実施形態に係る被接続部63Lと同様の構造を有していてもよい。具体的には、
図16及び
図17に示すように、第2実施形態に係る複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのクローラ接続部41R,42R,41L,42Lのそれぞれは、突出片PL4を有し、当該突出片PL4は、ピン挿通孔H41と、被係合部E4と、を有していてもよい。図示は省略するが、第2実施形態に係る左右のクローラフレーム2R,2Lの被接続部61R,62R,61L,62Lのそれぞれは、
図11及び
図12に示すような一対の突出片PL5と、これらの突出片PL5の間にまたがるように配置されてこれらの突出片PL5に支持される棒状の係合部E3と、を有していてもよい。
【0178】
次に、相違点(2)について説明する。
【0179】
図18は、第2実施形態に係る下部走行体101のカーボディ10、右前連結部材11R及び左前連結部材11Lを示す正面図である。
図19は、第2実施形態に係る下部走行体101のカーボディ10、左前連結部材11L及び左後連結部材12Lを示す左側面図である。
図18及び
図19は、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれが、下部走行体101の組立作業及び分解作業において、前記張出位置に配置されてカーボディ10を持ち上げるためのリフト部材(トランスリフタ)として用いられるときの状態を示している。具体的には以下の通りである。
【0180】
図18及び
図19に示すように、右前連結部材11Rは、カーボディ接続部31Rと、クローラ接続部41Rと、これらの接続部31R,41Rをつなぐ連結部材本体71Rと、当該連結部材本体71Rに支持される脚部81と、を含む。同様に、左前連結部材11Lは、カーボディ接続部31Lと、クローラ接続部41Lと、これらの接続部31L,41Lをつなぐ連結部材本体71Lと、当該連結部材本体71Lに支持される脚部81と、を含み、左後連結部材12Lは、カーボディ接続部32Lと、クローラ接続部42Lと、これらの接続部32L,42Lをつなぐ連結部材本体72Lと、当該連結部材本体72Lに支持される脚部81と、を含む。詳細な図示は省略するが、右前連結部材11Rは、カーボディ接続部31Rと、クローラ接続部41Rと、これらの接続部31R,41Rをつなぐ連結部材本体71Rと、当該連結部材本体71Rに支持される脚部81と、を含む。
【0181】
各脚部81は、
図16及び
図17に示すように地面から離れた離隔位置と、
図18及び
図19に示すように連結部材本体71Rから下方に延びて地面Gに接する接触位置との間で変位することが可能なように構成される。各脚部81は、対応する連結部材本体に固定されるとともに上下方向に延びるシリンダ本体82と、当該シリンダ本体82に対して上下方向にスライド移動可能なロッド83と、当該ロッド83の下端83E(
図16及び
図17参照)に着脱可能に接続される下端部84と、を含む油圧シリンダによって構成される。
【0182】
脚部81の下端部84は、ロッド83の外径よりも大きな外径の下面を有し、地面Gとの接触面積を拡大するために設けられている。下端部84は、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれが
図18及び
図19に示すように下部走行体101の組立作業及び分解作業においてリフト部材(トランスリフタ)として用いられるときにロッド83の下端83Eに取り付けられ、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれがクレーン作業において荷重伝達部材として用いられるとき、及び移動式クレーン100が輸送されるときには、
図16及び
図17に示すようにロッド83の下端83Eから取り外される。
【0183】
第2実施形態では、カーボディ10は、右前連結部材11Rよりも後側で右後連結部材12Rよりも前側においてカーボディ本体10Aと右クローラフレーム2Rとを連結する複数の右アクスルと、左前連結部材11Lよりも後側で左後連結部材12Lよりも前側においてカーボディ本体10Aと左クローラフレーム2Lとを連結する複数の左アクスルと、を有する。
【0184】
具体的に、
図14及び
図15に示すように、カーボディ10は、2つの右アクスル13Rと、2つの左アクスル13Lと、を有する。2つの右アクスル13Rの一方は、旋回中心軸Cよりも前側においてカーボディ本体10Aから右クローラフレーム2Rまで延びている。2つの右アクスル13Rの他方は、旋回中心軸Cよりも後側においてカーボディ本体10Aから右クローラフレーム2Rまで延びている。2つの左アクスル13Lの一方は、旋回中心軸Cよりも前側においてカーボディ本体10Aから左クローラフレーム2Lまで延びている。2つの左アクスル13Lの他方は、旋回中心軸Cよりも後側においてカーボディ本体10Aから左クローラフレーム2Lまで延びている。
【0185】
右クローラフレーム2Rは、2つの右中間被接続部63Rを有し、左クローラフレーム2Lは、2つの左中間被接続部63Lを有する。
【0186】
2つの右アクスル13Rのそれぞれは、右クローラフレーム2Rの2つの右中間被接続部63Rのうち対応する右中間被接続部63Rに対してそれぞれ着脱可能に接続される右中間接続部43Rと、この右中間接続部43Rとカーボディ本体10Aをつなぐアクスル本体73Rと、を有する。右中間接続部43Rは、右アクスル13Rの先端部を構成する。アクスル本体73Rは、カーボディ本体10Aから右側に延びる形状を有する部分であり、右アクスル13Rの大半の部分を占めている。
【0187】
2つの左アクスル13Lのそれぞれは、左クローラフレーム2Lの2つの左中間被接続部63Lのうち対応する左中間被接続部63Lに対してそれぞれ着脱可能に接続される左中間接続部43Lと、この左中間接続部43Lとカーボディ本体10Aをつなぐアクスル本体73Lと、を有する。左中間接続部43Lは、左アクスル13Lの先端部を構成する。アクスル本体73Lは、カーボディ本体10Aから左側に延びる形状を有する部分であり、左アクスル13Lの大半の部分を占めている。
【0188】
第2実施形態では、各右アクスル13Rの右中間接続部43Rと右クローラフレーム2Rの右中間被接続部63Rとの接続構造、及び各左アクスル13Lの左中間接続部43Lと左クローラフレーム2Lの左中間被接続部63Lとの接続構造は、
図11及び
図12を参照して説明した第1実施形態に係る接続構造と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0189】
なお、第2実施形態に係る下部走行体101では、カーボディ10は、2つの右中間接続部43Rと、2つの左中間接続部43Lと、を有するが、単一の右中間接続部43R及び単一の左中間接続部43Lのみを有するものであってもよい。
【0190】
第2実施形態に係る下部走行体101は、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lのそれぞれを前記張出位置及び前記接近位置にそれぞれ固定するための複数の固定部材P51をさらに備える。
図20は、第2実施形態に係る下部走行体101のカーボディ10及び左後連結部材12Lを拡大した平面図である。
図20では、左後連結部材12Lを前記張出位置及び前記接近位置にそれぞれ固定するための構造のみを図示しているが、他の連結部材11R,12R,11Lのそれぞれも同様の構造を有する。
【0191】
第2実施形態においても、各固定部材P51は、第1実施形態における固定部材P21と同様に、張出位置固定部材としての機能と、接近位置固定部材としての機能とを兼ね備えている。張出位置固定部材は、連結部材を前記張出位置に一時的に固定するための部材であり、接近位置固定部材は、連結部材を前記接近位置に一時的に固定するための部材である。ただし、張出位置固定部材と接近位置固定部材とは別の部材により構成されていてもよい。
【0192】
第2実施形態では、固定部材P21は、ピンにより構成される。左後連結部材12Lが
図20において実線で示される張出位置に配置された状態で、カーボディ10に設けられたピン挿通孔H51及び左後連結部材12Lに設けられたピン挿通孔H52に固定部材P51が挿入される。これにより、左後連結部材12Lがカーボディ10に対して回動することが規制され、左後連結部材12Lが前記張出位置に固定される。固定部材P51がピン挿通孔H51,H52から取り出されると、左後連結部材12Lがカーボディ10に対して回動することが可能になる。
【0193】
左後連結部材12Lが
図20において二点鎖線で示される接近位置に配置された状態で、カーボディ10のピン挿通孔H51及び左後連結部材12Lに設けられたピン挿通孔H53に固定部材P51が挿入される。これにより、左後連結部材12Lがカーボディ10に対して回動することが規制され、左後連結部材12Lが前記接近位置に固定される。固定部材P51がピン挿通孔H51,H53から取り出されると、左後連結部材12Lがカーボディ10に対して回動することが可能になる。なお、2つのピン挿通孔H52,H53は、平面視において回動中心軸C2を中心とする同じ円弧上に設けられている。
【0194】
[第2実施形態の変形例]
図21は、第2実施形態の変形例に係る下部走行体101を示す断面図である。
図22は、第2実施形態の変形例に係る下部走行体のカーボディ、連結部材及びクローラフレームを示す斜視図である。
図21の断面図は、下部走行体101を、旋回中心軸Cを含み前後方向に平行な鉛直面で切断したときの断面を示している。
【0195】
図21及び
図22に示す変形例では、連結部材11R,12Rの右クローラ接続部41R,42Rがクローラフレーム2Rの被接続部に接続される接続構造、及び連結部材11L,12Lのクローラ接続部41L,42Lが左クローラフレーム2Lの被接続部に接続される接続構造が、
図16及び
図17に示す第2実施形態における接続構造と異なっている。具体的には次の通りである。
【0196】
図16及び
図17に示す第2実施形態は、各連結部材のクローラ接続部がピンによってクローラフレームの被接続部に接続される構造を有するが、
図21及び
図22に示す変形例では、各連結部材のクローラ接続部は、ピンを用いることなくクローラフレームの被接続部に接続される。なお、4つの連結部材11R,12R,11L,12Lの接続構造は同様であるので、
図21及び
図22では、左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lを左クローラフレーム2Lの被接続部21に接続する構造のみを概略図で示している。
【0197】
図21及び
図22に示す変形例では、例えば、左後連結部材12Lのクローラ接続部42L及び左クローラフレーム2Lの被接続部21の一方が他方に嵌合することによりこれらが接続されてもよい。具体的には、例えば左クローラフレーム2Lの被接続部21が左後連結部材12Lのクローラ接続部42Lの形状に対応する凹部を有し、この凹部にクローラ接続部42Lが嵌合するように構成されていてもよい。また、左後連結部材12Lにおける脚部81のロッドの下端に取り付けられたフロート(脚部の下端部)が、左クローラフレーム2Lの被接続部21に形成された凹部に嵌合するような構造であってもよい。また、フロートが取り外された前記ロッドの下端(例えば球面を有する下端)が、左クローラフレーム2Lの被接続部21に形成された凹部に嵌合するような構造であってもよい。ただし、各連結部材のクローラ接続部がピンを用いることなくクローラフレームの被接続部に接続される構造は、上記の具体例に限られない。
【0198】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されない。本発明は、例えば次のような態様を包含する。
【0199】
(A)回動接続部及び着脱接続部について
第1実施形態では、4つの連結部材の4つのカーボディ接続部がすべて着脱接続部であり、4つの連結部材の4つのクローラ接続部がすべて回動接続部であり、また、第2実施形態では、4つの連結部材の4つのカーボディ接続部がすべて回動接続部であり、4つの連結部材の4つのクローラ接続部がすべて着脱接続部であるが、これらの形態に限られない。例えば、4つ着脱接続部には、カーボディ接続部とクローラ接続部とが混在していてもよく、4つの回動接続部には、カーボディ接続部とクローラ接続部とが混在していてもよい。
【0200】
(B)右前直線、右後直線、左前直線及び左後直線について
第1及び第2実施形態では、複数の連結部材は、平面視において、右前直線LAが右前端ローラ261を通り、右後直線LBが右後端ローラ262を通り、左前直線LCが左前端ローラ261を通り、左後直線LDが左後端ローラ262を通るように構成されるが、このような態様に限られない。右前直線LAは、右前端ローラ261よりも前側又は後側を通ってもよく、右後直線LBは、右後端ローラ262よりも後側又は前側を通ってもよく、左前直線LCは、左前端ローラ261よりも前側又は後側を通ってもよく、左後直線LDは、左後端ローラ262よりも後側又は前側を通ってもよい。
【0201】
また、前記実施形態では、右前直線LAは、平面視において、右前端ローラ261の回転中心軸上であって右前端ローラ261の幅方向(左右方向)の中央の位置と、旋回中心軸Cとを結ぶ直線であり、右後直線LB、左前直線LC及び左後直線LDについても同様に規定されているが、このような態様に限られない。前記右前直線LAは、例えば、平面視において、旋回中心軸Cと、右前端ローラ261のうち予め選択された何れかの部位と、を結ぶ直線であってもよい。前記何れかの部位は、例えば、平面視において、右前端ローラ261における最も後で且つ最も右の部位を挙げることができる。同様に、前記右後直線LBは、平面視において、旋回中心軸Cと、右後端ローラ262のうち予め選択された何れかの部位と、を結ぶ直線であってもよく、前記左前直線LCは、例えば、平面視において、旋回中心軸Cと、左前端ローラ261のうち予め選択された何れかの部位と、を結ぶ直線であってもよく、前記左後直線LDは、平面視において、旋回中心軸Cと、左後端ローラ262のうち予め選択された何れかの部位と、を結ぶ直線であってもよい。
【0202】
(C)右アクスル及び左アクスルについて
第1実施形態に係るカーボディ10は、右アクスル13R及び左アクスル13Lを有するが、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lがカーボディ10を支持することができる剛性を備える場合には、右アクスル13R及び左アクスル13Lは省略されてもよい。
【0203】
同様に、第2実施形態に係るカーボディ10は、一対の右アクスル13R及び一対の左アクスル13Lを備えるが、複数の連結部材11R,12R,11L,12Lがカーボディ10を支持することができる剛性を備える場合には、一対の右アクスル13Rの少なくとも一方及び一対の左アクスル13Lの少なくとも一方は省略されてもよい。
【0204】
(D)上部旋回体に吊るされる吊り荷の向きについて
本発明は、吊り荷が下部走行体よりも前側又は後側に配置される状態で吊り荷が上部旋回体から吊るされる場合に各クローラフレームの変形を抑制することができるが、吊り荷が下部走行体の側方に配置される状態で吊り荷が上部旋回体から吊るされる場合に本発明を適用することを排除するものではない。
【0205】
(E)クレーンの仕様について
図1に示す前記実施形態に係るクレーンは、ジブ及びストラットを備えていないが、クレーンの仕様は、
図1に示すものに限定されない。本開示に係るクレーンは、ジブ、フロントストラット及びリヤストラットを備えるラッフィングクレーンであってもよく、ジブ及び1つのストラットを備える固定ジブ仕様のクレーンであってもよい。また、本開示に係るクレーンは、ガントリではなくマストを備えるクレーン(例えば大型のクレーン)であってもよい。
【符号の説明】
【0206】
2L :左クローラフレーム
2R :右クローラフレーム
10 :カーボディ
11L :左前連結部材
11R :右前連結部材
12L :左後連結部材
12R :右後連結部材
13L :左アクスル
13R :右アクスル
26 :右ローラ,左ローラ
261 :左前端ローラ,右前端ローラ
262 :右後端ローラ,左後端ローラ
100 :移動式クレーン
101 :下部走行体
102 :上部旋回体
C :旋回中心軸
C1 :回動中心軸
CX :右前連続部分,左前連続部分
LA :右前直線
LB :右後直線
LC :左前直線
LD :左後直線