(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187528
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20221213BHJP
H04L 43/00 20220101ALI20221213BHJP
【FI】
G06F13/00 353A
H04L12/70 100Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095544
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 禎浩
【テーマコード(参考)】
5B089
5K030
【Fターム(参考)】
5B089GA11
5B089GA21
5B089GB01
5B089KA06
5B089MC03
5K030GA12
5K030HB06
5K030JA10
5K030JT06
5K030MA06
5K030MB01
5K030MC03
5K030MC09
(57)【要約】
【課題】サーバから装置への送信が繰り返し行われるのを抑制することができる通信システムとすること。
【解決手段】通信手段を備えた少なくとも1つの装置と、装置に接続され、装置との間で通信を行うサーバと、を備える通信システムであって、サーバは、装置の通信手段が受信可能な状態であるか否かを判定する判定手段を備え、判定手段により、装置の通信手段が受信可能な状態であると判定した場合に、サーバが装置に対して通信をする通信システムとする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段を備えた少なくとも1つの装置と、装置に接続され、装置との間で通信を行うサーバと、を備える通信システムであって、
サーバは、装置の通信手段が受信可能な状態であるか否かを判定する判定手段を備え、
判定手段により、装置の通信手段が受信可能な状態であると判定した場合に、サーバが装置に対して通信をする通信システム。
【請求項2】
判定手段は、所定期間内における装置からサーバへの通信の有無によって、装置の通信手段が受信可能な状態であるか否かを判定する請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
判定手段により、装置の通信手段が受信可能な状態でないと判定された場合には、その後に装置からサーバへの通信があった後に、サーバから装置に対して通信をする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
サーバとの間で通信を行う電子デバイスを備え、
判定手段により装置の通信手段が受信可能な状態であると判定した場合に、
サーバを介して、電子デバイスから装置に対して通信をする請求項1から3の何れかに記載の通信システム。
【請求項5】
判定手段は、装置の通信手段が受信可能な状態であるか否かの判定を普段から継続的に行い、
その判定結果をサーバで記憶する請求項1から4の何れかに記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置とサーバ間における通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、従来から、通信インターフェースの性能をあげることを回避できるシステムが検討されている。特許文献1に記載の技術では、装置とサーバとの間の通信において、複数の装置間でサーバへ送信するタイミングを調整することで、通信インターフェースの性能をあげることを回避できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、装置のファームウェア更新や緊急停止指示などを行うために、サーバから装置に情報を送信する場合、装置で正常に受信されれば、受信した旨の信号が装置からサーバへ送信される。このため、サーバは正常に通信が行われたことを把握できる。しかし、装置が受信不可能な状態である場合などには、サーバから装置への送信後、装置からサーバへ信号が送られることはない。したがって、サーバは正常に通信が行われていないと判断し、時間をあけて繰り返し装置へ送信し続ける。一方、サーバから装置への送信が何度も繰り返されると、サーバのリソース(CPUやメモリなど)が多く利用されることとなる。そのような状況に備えて、サーバのリソースをハイスペックなものとすることも考えられるが、それだとサーバの維持費用が高額となってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、サーバから装置への送信が繰り返し行われるのを抑制することができる通信システムとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、通信手段を備えた少なくとも1つの装置と、装置に接続され、装置との間で通信を行うサーバと、を備える通信システムであって、サーバは、装置の通信手段が受信可能な状態であるか否かを判定する判定手段を備え、判定手段により、装置の通信手段が受信可能な状態であると判定した場合に、サーバが装置に対して通信をする通信システムとする。
【0007】
また、判定手段は、所定期間内における装置からサーバへの通信の有無によって、装置の通信手段が受信可能な状態であるか否かを判定する構成であることが好ましい。
【0008】
また、判定手段により、装置の通信手段が受信可能な状態でないと判定された場合には、その後に装置からサーバへの通信があった後に、サーバから装置に対して通信をする構成とすることが好ましい。
【0009】
また、サーバとの間で通信を行う電子デバイスを備え、判定手段により装置の通信手段が受信可能な状態であると判定した場合に、サーバを介して、電子デバイスから装置に対して通信をする構成とすることが好ましい。
【0010】
また、判定手段は、装置の通信手段が受信可能な状態であるか否かの判定を普段から継続的に行い、その判定結果をサーバで記憶する構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、サーバから装置への送信が繰り返し行われるのを抑制することができる通信システムとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】サーバと車両用充電装置の関係を表す概念図である。
【
図3】装置がサーバからの情報を受信可能であるとサーバで判定した後に、サーバから装置に向けて情報を送る例を表す図である。
【
図4】装置がサーバからの情報を受信可能であるとサーバで判定した後に、電子デバイスからの情報を基にサーバから装置に向けて情報を送る例を表す図である。
【
図5】電子デバイスから装置に情報を送る指示がサーバに送られたが、装置の通信手段が情報の受信ができない状態であった場合に、電子デバイス側に、その旨が理解される情報を送る一方、装置からサーバ側に情報が送られた後にサーバから装置に情報を送る例を表す図である。
【
図6】装置の通信手段が情報の受信ができない状態であった場合に、装置からサーバ側に情報が送られた後にサーバから装置に情報を送る例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1乃至
図3に示されていることから理解されるように、本実施形態の通信システムは、通信手段を備えた少なくとも1つの装置2と、装置2に接続され、装置2との間で通信を行うサーバ4と、を備える通信システムであって、サーバ4は、装置2の通信手段が受信可能な状態であるか否かを判定する判定手段を備え、判定手段により、装置2の通信手段が受信可能な状態であると判定した場合に、サーバ4が装置2に対して通信をする。このため、サーバ4から装置2への送信が繰り返し行われるのを抑制することができる通信システムとすることが可能となる。
【0014】
なお、判定手段は、所定期間内における装置2からサーバ4への通信の有無によって、装置2の通信手段が受信可能な状態であるか否かを判定することができるようにするのが好ましい。
【0015】
また、判定手段により、装置2の通信手段が受信可能な状態でないと判定された場合には、その後に装置2からサーバ4への通信があった後に、サーバ4から装置2に対して通信をするようにするのが好ましい。
【0016】
ところで装置2は、サーバ4との間で通信を行う通信手段を備えているものであるなら如何なるものであってもよく、例えば、感震センサ、電流センサ、電圧センサ、温度センサ、放電検出センサなどの特定の事象を検出するセンサ若しくは特定の事象によるデータを計測するセンサであってもよいし、工業材料を加工する工作機械や板金機械などであってもよい。
【0017】
以下に記す実施形態においては、電気自動車やハイブリッドカー、電動バイク、電動自転車などの車両8に対して、充電を行う車両用充電装置を装置2の例に挙げて説明を行う。
【0018】
図2に示すことから理解されるように、実施形態の車両用充電装置2は、充電ケーブルにより接続された車両8に対して充電を行う。車両用充電装置2で車両8に充電を行う場合、車両用充電装置2に対して認証操作を行うことで、充電が許可され車両8に対して充電が開始される。認証操作は、車両用充電装置2にIDや暗証番号などを入力するものであってもよいし、認証情報が記録されたカードなどの媒体を車両用充電装置2にかざすものであってもよい。また、車両用充電装置2に接続されるサーバ4を介して認証操作を行うものであってもよい。
【0019】
例えば、車両8に対して充電を行う者が保有するパソコンやタブレット端末、スマートフォンなどの電子デバイス6とサーバ4を接続させておき、電子デバイス6のアプリケーションソフトウェアを利用して、IDや暗証番号などを入力したり、指紋認証や顔認証、虹彩認証などの生体認証を行うことで、認証情報がサーバ4を介して車両用充電装置2に通信されて車両に対する充電が開始されるものであってもよい。
【0020】
サーバ4との間で通信を行う電子デバイス6を備える場合、判定手段により装置2の通信手段が受信可能な状態であると判定した場合に、サーバ4を介して、電子デバイス6から装置2に対して通信をするようにするのが好ましい。
【0021】
また、車両用充電装置2とサーバ4が接続されることにより、車両用充電装置2の情報が定期的にサーバ4へ通信され、サーバ4上でそれらの情報が管理されていることが好ましい。
【0022】
例えば、「IDや設置場所、型番、製造ロット、急速充電器か普通充電器などの車両用充電装置2の個体識別情報」、「充電中か、停止中か、メンテナンス中か、電源オン状態か、電源オフ状態か、異常状態かなどの車両用充電装置2の状態情報」、「車両8に対して充電中の場合における電流値(現在の電流値)、総充電量(充電開始から現在まで)、充電開始時間、充電継続時間、充電終了予定時間などの車両用充電装置2における充電に関する情報」、「最大電流値(充電中に許容される最大の電流値)や、最大充電量、最大充電時間、充電スケジュール、認証方法などの車両用充電装置2に設定されている設定情報」などであるが、これらの情報をサーバ4上で管理すれば、サーバ4に接続される電子デバイス6から車両用充電装置2の情報を確認することが可能となる。
【0023】
さらに、電子デバイス6のアプリケーションソフトウェアを利用して、車両用充電装置2の状態情報、充電に関する情報、設定情報などの車両用充電措置の情報を変更できるようにするのが好ましい。
【0024】
例えば、状態情報の変更としては、停止中の状態から電子デバイス6上で認証操作することにより、充電中の状態に変更することや、充電中の状態から停止中の状態に変更すること、電源オン状態から電源オフ状態に変更することなどが挙げられる。
【0025】
また、充電に関する情報の変更としては、エネルギーマネジメント等の観点から現在車両8に充電している充電電流の電流値を下げることや、充電完了時間の短縮等の観点から現在車両8に充電している充電電流の電流値を上げることなどが例示できる。
【0026】
設定情報の変更としては、最大電流値や最大充電量、最大充電時間などの車両用充電装置2の数値データを変更することや、充電可能な時間帯や認証操作が可能な時間帯を設定するスケジュールを変更すること、認証方法をID及びパスワードから、認証無しに変更することなどが例示できる。
【0027】
また、サーバ4が車両用充電装置2の変更を行うようにしてもよいことは言うまでもない。例えば、車両用充電装置2のファームウェアの更新を行うため、サーバ4から車両用充電装置2へ通信を行うことができるようにしても良い。
【0028】
その他にも、サーバ4に複数台の車両用充電装置2が接続され、それぞれから情報が通信される場合、ある地域内に設置された車両用充電装置2から通信される情報から得られる数値データと、地域に設定されている閾値を比較して、数値データが閾値を超える若しくは超えることが予測される場合又は数値データが閾値範囲を逸脱する場合に数値データを改善するように車両用充電装置2の情報を変更できるようにしてもよい。
【0029】
例えば、ある地域内に設置される車両用充電装置2が充電に使用することが予想される電流値の総量と、地域の許容電流値とを比較し、予想される電流値の総量が許容電流値を超える場合には、車両用充電装置2の設定情報である最大電流値や最大充電量、最大充電時間などの数値データを変更することで、予想される電流値の総量が許容電流値を超えないようにするようにしてもよい。
【0030】
このように、サーバ4や電子デバイス6が車両用充電装置2の情報を変更するためには、サーバ4から車両用充電装置2に対して、変更情報を通信することがある。例えば、この変更情報をサーバ4から車両用充電装置2に対して通信する前に、サーバ4の判定手段により、車両用充電装置2の通信手段が受信可能な状態であるか否かを判定するものとするのが好ましい。そして、受信可能な状態であると判定された場合に、変更情報を車両用充電装置2に通信し、車両用充電装置2の情報を変更するようにするのが好ましい(
図3、
図4参照)。
【0031】
車両用充電装置2の情報の変更が完了した場合には、その旨が車両用充電装置2からサーバ4へ通信され、電子デバイス6から変更するための通信が行われた場合には、サーバ4から電子デバイス6へ通信されるようにしても良い。
【0032】
一方、判定手段により車両用充電装置2の通信手段が受信可能な状態にないと判定されている状態において、電子デバイス6から変更するための通信が行われた場合には、サーバ4から電子デバイス6へ、車両用充電装置2の通信手段が受信可能な状態にないことがわかる情報を通信するのが好ましい(
図5参照)。
【0033】
この場合、車両用充電装置2からサーバ4へ通信手段が受信可能な状態になったという旨の通信が行われた後に、先ほどの変更情報を再度車両用充電装置2に通信するようにしてもよいが、再度通信するか否かを電子デバイス6からの信号の有無で判断するものとしてもよい。
【0034】
例えば、車両用充電装置2の通信手段が受信状態にない旨の通信が、サーバ4から電子デバイス6へ通信された場合に、電子デバイス6上に再度通信を許可するか否かの表示を行い、その表示に対して許可する意思を示すアクションが行われた場合には、通信手段が受信可能な状態となった後に再度通信が行われるようにしても良い。
【0035】
なお、サーバ4から車両用充電装置2に送られる変更情報が電子デバイス6からの指示でない場合は、
図6に示すことから理解されるように、車両用充電装置2からサーバ4へ通信手段が受信可能な状態になったという旨の通信が行われた後に、先ほどの変更情報を再度車両用充電装置2に通信するようにすればよい。
【0036】
判定手段による車両用充電装置2の通信手段が受信可能な状態であるか否かの判定は、サーバ4や電子デバイス6から車両用充電装置2への通信を行うタイミングでなされるものであってもよいが、普段から継続的にサーバ4の判定手段により車両用充電装置2の通信手段の状態を判定するものであることがより好ましい。この場合、その判定結果をサーバ4で記憶するのが好ましい。
【0037】
つまり、車両用充電装置2からサーバ4への定期的な通信や、サーバ4から車両用充電装置2への通信に対する応答など、サーバ4と車両用充電装置2との間の日常的な通信から、車両用充電装置2の通信手段の状態をサーバ4の判定手段で判定しておくなど、サーバ4上で車両用充電装置2の通信手段の状態を常に管理した状態としておくことが好ましい。
【0038】
そうすることにより、車両用充電装置2の情報の変更の通信が電子デバイス6から行われた場合であっても、サーバ4の判定手段は、車両用充電装置2の通信手段の状態を即座に判定し、その後の対応を行うことができる。この場合、電子デバイス6から車両用充電装置2の情報の変更の通信を行うための条件として、サーバ4上で管理される車両用充電装置2の通信手段が受信可能な状態であることを必須条件としてもよい。
【0039】
サーバ4上で管理される車両用充電装置2の通信手段が受信可能な状態であるという情報を電子デバイス6から車両用充電装置2の情報の変更の通信を行うための必須条件とすることにより、電子デバイス6による変更の通信に対して、即座に車両用充電装置2の情報を変更することが可能となる。したがって、電子デバイス6により現在車両8に充電している充電電流の電流値を上げたり、下げたりすることを目的とした変更情報の通信に対しても、車両用受電装置2は即材に対応し、充電電流の電流値を上げたり、下げたりすることができる。
【0040】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
2 装置
4 サーバ
6 電子デバイス
8 車両