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  • 特開-加工機 図1
  • 特開-加工機 図2
  • 特開-加工機 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187531
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】加工機
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20221213BHJP
   B23Q 3/12 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B23Q11/00 A
B23Q3/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095552
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】秋月 啓作
【テーマコード(参考)】
3C011
3C016
【Fターム(参考)】
3C011AA04
3C016FA09
(57)【要約】
【課題】ワークを加工する際における切削工具の振動を好適に抑制することが可能な加工機を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明にかかる加工機100の代表的な構成は、工具を保持するホルダを装着する工具主軸130と、工具主軸130の前面に配置されホルダ120の側面を回転可能に支持する振れ止め140とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を保持するホルダを装着する工具主軸と、
工具主軸の前面に配置され前記ホルダの側面を回転可能に支持する振れ止めとを備えたことを特徴とする加工機。
【請求項2】
前記ホルダの側面は、先端に向かうにしたがって径が細くなるテーパ形状であることを特徴とする請求項1に記載の加工機。
【請求項3】
前記ホルダの側面には、前記振れ止めのローラが走行する円弧溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の加工機。
【請求項4】
前記ホルダの側面には、前記振れ止めのローラが走行するテーパ溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具の振動を抑えることが可能な加工機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワークを切削することによる切削加工が知られている。例えば特許文献1では、旋盤加工を行う工作機械が開示されている。特許文献1では、被削材Wの受台10の軸承面11a・11bを被覆可能で被削材Wの回転方向にずれないように片側で止着状態とした可撓性の防振材20を設けている。特許文献1によれば、かかる構成により、切削加工中の被削材に発生するビビリ及び撓みを抑制することが可能であるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4714506号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切削加工については、特許文献1のような旋盤加工の他にスカイビング加工が知られている。スカイビング加工は、工作物の回転と工具の回転とを同期させつつ、工作物の回転軸に対して工具の回転軸を傾けて行われる。これによって、工作物の回転方向と工具の回転方向とに差異が生じ、工作物に工具を干渉させた際に“すべり”が生じる。このすべりを利用して工作物から干渉部分をそぎ落とし、工作物に歯溝などを加工する。このようなスカイビング加工は、近年では他の旋削加工や穴あけ加工と共に複合加工機の機能としても実装されている。
【0005】
ここで、旋盤加工においてはワーク(被削材)のみが回転するため、特許文献1のように受台10および防振材20を設けることによりワークのびびり、所謂ワークの振動や撓みを抑制することができる。しかしながら、特許文献1の技術では、ワークの振動を抑制することはできても、切削工具の振動を抑制することができない。
【0006】
これに対しスカイビング加工では、ワークと切削工具(スカイビングカッタ)の両方が同期しながら回転する。スカイビングカッタはホルダに保持されて、ホルダを工具主軸に固定されて、ホルダごと回転する。このため、切削ポイントはどうしても工具主軸から突出した位置になり、片持ち(カンチレバー)の状態となる。さらにスカイビングカッタは円錐台形状をしていて、切削ポイントはカッタの軸中心から偏心した位置になること、スカイビングカッタは歯車形状をしていて切削負荷が断続的に生じることから、振動が生じやすい。このため、特許文献1の技術ではスカイビング加工においては十分な振動抑制効果を得ることができず、更なる改良の余地がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、ワークを加工する際における切削工具の振動を好適に抑制することが可能な加工機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明にかかる加工機の代表的な構成は、工具を保持するホルダを装着する工具主軸と、工具主軸の前面に配置されホルダの側面を回転可能に支持する振れ止めとを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、工具主軸に配置された振れ止めによって工具主軸のホルダに保持された切削工具であるカッタの振動を抑制することができる。したがって、ワークを高い精度で加工することが可能となる。
【0010】
上記ホルダの側面は、先端に向かうにしたがって径が細くなるテーパ形状であるとよい。かかる構成によれば、加工機が作動して振動が生じた際に、振れ止めを工具主軸側に引き込む方向の力が作用する。これにより、振れ止めによる振動抑制効果を高めることが可能となる。
【0011】
上記ホルダの側面には、振れ止めのローラが走行する円弧溝が形成されているとよい。また上記ホルダの側面には、振れ止めのローラが走行するテーパ溝が形成されているとよい。かかる構成によれば、ホルダがより強固に振れ止めのローラに保持される。したがって、上述した効果を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ワークを加工する際における切削工具の振動を好適に抑制することが可能な加工機を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態にかかる加工機を説明する図である。
図2図1の加工機のホルダの近傍の断面図である。
図3】ホルダの他の形状を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示または説明を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態にかかる加工機の例としてのスカイビング加工機100を説明する図である。図1(a)は、ワークを加工中の状態のスカイビング加工機100を示している。図1(b)は、加工を停止している状態のスカイビング加工機100を示している。図2は、図1のスカイビング加工機100のホルダの近傍の断面図である。
【0016】
図1および図2に示すように、本実施形態のスカイビング加工機100は、工具の例としてのスカイビングカッタ110を保持するホルダ120を装着する工具主軸130と、工具主軸130の前面に配置されてホルダ120の側面を回転可能に支持する振れ止め140とを備えている。振れ止め機は市販されているものであり、例えば特開2017-217753号公報に開示されている装置(ワークの心出し用)と同様の装置である。なお工具としてはスカイビングカッタに限らず、エンドミル、ドリル、片持ちのホブカッターなどについて本発明を適用することができる。
【0017】
振れ止め140は、2本のアーム142の先端に、それぞれローラ144を備えている。またアーム142の間にも1つのローラ144が備えられていて、都合3つのローラ144が備えられている。アーム142は固定対象を回り込むように延長されていて、3つのローラ144によって固定対象(本発明ではホルダ120)を3方向から把持することができる。
【0018】
スカイビング加工機100が稼動していない状態では、図1(b)に示すように、振れ止め140のアーム142は開いていて、3つのローラ144は工具主軸130に装着されたホルダ120から離れた状態となっている。これにより、工具交換装置150によって加工対象のワークに応じてスカイビングカッタ110およびホルダ120を交換することが可能となる。
【0019】
そしてスカイビング加工機100が稼動した状態では、図1(a)に示すように、工具主軸130に装着されたホルダ120は、振れ止め140の3つのローラ144によって保持される。このとき、図2(a)に示すように、ホルダ120には振れ止め140のローラ144が接触した状態となる。このように、工具主軸130に装着されたホルダ120が振れ止め140によって保持されることにより、かかるホルダ120に保持されたスカイビングカッタ110の振動を抑制することができる。したがって、ワークを高い精度で加工することが可能となる。
【0020】
図2(b)は、ホルダの他の形状を示す図である。図2(b)に示すホルダ120aは、側面が、先端に向かうにしたがって径が細くなるテーパ形状(傾斜角αの円錐台形状)となっている。これにより、ローラによって把持する力はテーパ面に直交する方向の成分とテーパ面に平行な方向の成分に分かれるため、ホルダ120aを工具主軸130側に引き込む方向の力が作用する。したがって、振れ止め140による振動抑制効果を高めることが可能となる。
【0021】
図3は、ホルダの他の形状を説明する図である。図3(a)に示すホルダ120bの側面には、振れ止め140のローラ144が走行する円弧溝122(U溝)が形成されている。また図3(b)に示すホルダ120cの側面には、振れ止め140のローラ144が走行するテーパ溝124が形成されている。テーパ溝とは、溝の縁がテーパ形状になっている溝であり、有底のV溝ということができる。これらの構成によれば、ローラ144とホルダ120b,122cとのずれが生じないため、ホルダがより強固に振れ止め140のローラ144に保持される。したがって、ホルダ120に保持されたスカイビングカッタ110の振動を抑制する効果をさらに高めることが可能となる。
【0022】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、工具の振動を抑えることが可能な加工機として利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
100…スカイビング加工機、110…スカイビングカッタ、120…ホルダ、120a…ホルダ、120b…ホルダ、120c…ホルダ、122…円弧溝、124…テーパ溝、130…工具主軸、140…振れ止め、142…アーム、144…ローラ、150…工具交換装置
図1
図2
図3