IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大同の特許一覧

<>
  • 特開-標的枠体 図1
  • 特開-標的枠体 図2
  • 特開-標的枠体 図3
  • 特開-標的枠体 図4
  • 特開-標的枠体 図5
  • 特開-標的枠体 図6
  • 特開-標的枠体 図7
  • 特開-標的枠体 図8
  • 特開-標的枠体 図9
  • 特開-標的枠体 図10
  • 特開-標的枠体 図11
  • 特開-標的枠体 図12
  • 特開-標的枠体 図13
  • 特開-標的枠体 図14
  • 特開-標的枠体 図15
  • 特開-標的枠体 図16
  • 特開-標的枠体 図17
  • 特開-標的枠体 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187550
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】標的枠体
(51)【国際特許分類】
   F41J 1/10 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
F41J1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095587
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】521247814
【氏名又は名称】株式会社大同
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】荒木 茂生
【テーマコード(参考)】
2C014
【Fターム(参考)】
2C014PP01
(57)【要約】
【課題】紙含有材料からなる標的枠体に銃弾が複数個所貫通しても標的枠体が崩れにくくなり、標的枠体として使用できる期間を延ばすことができる標的枠体を提供することを課題とする。
【解決手段】左右に離隔して配設した、垂直方向の2本の紙含有材料からなる筒状又は柱状の垂直枠部材を有し、紙含有材料からなる標的紙体を保持可能な標的枠体であって、前記2本の垂直枠部材のそれぞれの上端部と固定連結する、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の第一横設補強材と、左右それぞれの前記垂直枠部材の下端部近傍の所定の位置で固定連結し、かつ前記第一横設補強材の左右方向の中央部と左右の端部とのそれぞれの間の所定の位置で固定連結した、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の2本の略ハ字状に斜設した斜設連結補強材と、を備える.標的枠体により課題解決できた。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に離隔して配設した、垂直方向の2本の紙含有材料からなる筒状又は柱状の垂直枠部材を有し、紙含有材料からなる標的紙体を保持可能な標的枠体であって、
前記2本の垂直枠部材のそれぞれの上端部と固定連結する、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の第一横設補強材と、
左右それぞれの前記垂直枠部材の下端部近傍の所定の位置で固定連結し、かつ前記第一横設補強材の左右方向の中央部と左右の端部とのそれぞれの間の所定の位置で固定連結した、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の2本の略ハ字状に斜設した斜設連結補強材と、を備えることを特徴とする標的枠体。
【請求項2】
左右に離隔して配設した、垂直方向の2本の紙含有材料からなる筒状又は柱状の垂直枠部材と、該垂直枠部材の上端部同士を固定連結する紙含有材料からなる筒状又は柱状の上横枠部材を有し、紙含有材料からなる標的紙体を保持可能な標的枠体であって、
前記上横枠部材に長手方向で全長に亘って添設状態で固定した、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の第一横設補強材と、
左右それぞれの前記垂直枠部材の下端部近傍の所定の位置で固定連結し、かつ前記第一横設補強材の左右方向の中央部と左右の端部とのそれぞれの間の所定の位置で固定連結した、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の2本の略ハ字状に斜設した斜設連結補強材と、を備えることを特徴とする標的枠体。
【請求項3】
前記上横枠部材及び前記第一横設補強材と上下方向で下方に所定の間隔をあけ、かつ前記第一横設補強材と略平行に、前記2本の垂直枠部材のそれぞれの上端部と、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の第二横設補強材を固定連結する2段構成としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の標的枠体。
【請求項4】
前記第一横設補強材、前記第二横設補強材又は前記斜設連結補強材の各補強材と、前記上横枠部材又は前記垂直枠部材の各枠部材との固定連結部に、前記各補強材支持用の貫通孔又は受け部を形成した連結継手を設けたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の標的枠体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射撃訓練に使用される標的紙体を保持する、紙含有材料からなる筒状又は柱状の枠体を備えた標的枠体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、左右一対の上下方向の支持部と、該支持部の中間部を連結する連結部とを一体に形成してなり、前記各支持部の上部には、内向きに対向する上端開放の標的板用の保持溝を形成し、前記支持部、連結部を含む全体を段ボールの積層体とする標的板保持フレームが開示されている。
【0003】
特許文献2には、水平な紙管材製土台用角筒の両端に、相平行して鉛直方向に嵌合穴を設けると共 に、該嵌合穴に合致する孔を有する補強部材を土台用角筒に固着し、下端を前記嵌合穴に圧嵌する二本の紙管材製支柱筒の相対向する母線に沿って上端から下方に向かって切欠部を形成すると共に,該切欠部に合致する凹溝を設けたところの補強芯材を支柱筒内に嵌装し、かつ支柱筒の上端に切欠部と凹溝に合致する切込を設けた天板を固着し,前記切欠部と凹溝と切込とで嵌合溝を形成し、相対向する嵌合溝に段ボール製標的板の左右両端を上方から嵌合してなる標的枠体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-104638号公報
【特許文献1】特開2002-267399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、保持フレームがダンボールであるので銃弾が複数当たると複数の貫通孔ができ保持フレームが折れ、これにより標的紙体が折れ曲がるので標的として使用できない。このため、保持フレームの使用耐用期間が短いという問題があった。
【0006】
特許文献2は、複数の銃弾が紙管材製支柱筒を貫通すると前記紙管材製支柱筒が折れ、これにより標的紙体が折れ曲がるので標的として使用できない。このため、保持フレームの使用耐用期間が短いという問題があった。
【0007】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、紙含有材料からなる筒状又は柱状の枠体を備えた標的枠体に銃弾が複数個所貫通しても標的枠体が崩れにくくなり、使用できる期間を延ばすことができる標的枠体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の標的枠体は、左右に離隔して配設した、垂直方向の2本の紙含有材料からなる筒状又は柱状の垂直枠部材を有し、紙含有材料からなる標的紙体を保持可能な標的枠体であって、前記2本の垂直枠部材のそれぞれの上端部と固定連結する、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の第一横設補強材と、左右それぞれの前記垂直枠部材の下端部近傍の所定の位置で固定連結し、かつ前記第一横設補強材の左右方向の中央部と左右の端部とのそれぞれの間の所定の位置で固定連結した、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の2本の略ハ字状に斜設した斜設連結補強材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の標的枠体は、左右に離隔して配設した、垂直方向の2本の紙含有材料からなる筒状又は柱状の垂直枠部材と、該垂直枠部材の上端部同士を固定連結する紙含有材料からなる筒状又は柱状の上横枠部材を有し、紙含有材料からなる標的紙体を保持可能な標的枠体であって、前記上横枠部材に長手方向で全長に亘って添設状態で固定した、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の第一横設補強材と、左右それぞれの前記垂直枠部材の下端部近傍の所定の位置で固定連結し、かつ前記第一横設補強材の左右方向の中央部と左右の端部とのそれぞれの間の所定の位置で固定連結した、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の2本の略ハ字状に斜設した斜設連結補強材と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の標的枠体は、請求項1又は2において、前記上横枠部材及び前記第一横設補強材と上下方向で下方に所定の間隔をあけ、かつ前記第一横設補強材と略平行に、前記2本の垂直枠部材のそれぞれの上端部と、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の第二横設補強材を固定連結する2段構成としたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の標的枠体は、請求項1~3のいずれかにおいて、前記第一横設補強材、前記第二横設補強材又は前記斜設連結補強材の各補強材と、前記上横枠部材又は前記垂直枠部材の各枠部材との固定連結部に、前記各補強材支持用の貫通孔又は受け部を形成した連結継手を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の標的枠体は、紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の第一横設補強材及び斜設連結補強材により標的枠体の強度を増加できたので、銃弾が当たったときに銃弾の破壊力を抑制でき、紙含有材料からなる筒状又は柱状の垂直枠部材が銃弾を受けて崩れても、垂直枠部材の上端部に固定連結された第一横設補強材を斜設連結補強材が支持するので、標的紙体を保持する、上部の挿通ブラケットの高さの維持期間、及び、下部の挿通ブラケットの高さの維持期間の延長化ができ、標的枠体としての耐久性を高めることができるという効果を奏する。
【0013】
請求項2に記載の標的枠体は、紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の第一横設補強材及び斜設連結補強材により標的枠体の強度を増加できたので、銃弾が当たったときに銃弾の破壊力を抑制でき、紙含有材料からなる筒状又は柱状の垂直枠部材が銃弾を受けて崩れても、垂直枠部材の上端部に固定連結された第一横設補強材を斜設連結補強材が支持し、紙含有材料からなる上横枠部材が銃弾を受けても第一横設補強材が重ねられているので折れにくくなり、標的紙体を保持する、上部の挿通ブラケットの高さの維持期間、及び、下部の挿通ブラケットの高さの維持期間の延長化ができ、標的枠体としての耐久性を高めることができるという効果を奏する。
【0014】
請求項3に記載の標的枠体は、上横枠部材に沿って添設した第一横設補強材に加えて、かつ上横枠部材とは上下方向で離隔させて、左右の前記垂直枠部材の上端部間を固定連結させた第二横設補強材を追加したので、前記上横枠部材及び前記第一横設補強材と、第二横設補強材とのダブル補強をしたので垂直枠部材の上端部が崩れにくくなり、標的紙体を保持する、上部の挿通ブラケットの高さの維持期間、及び、下部の挿通ブラケットの高さの維持期間の延長化ができ、標的枠体としての耐久性を高めることができるという効果を奏する。
【0015】
請求項4に記載の標的枠体は、前記第一横設補強材、前記第二横設補強材又は前記斜設連結補強材の各補強材の、前記上横枠部材又は前記垂直枠部材の各枠部材への接触範囲を拡大化できるので、各補強材の各枠部材に対する維持・固定力を高めることができ、標的枠体としての耐久性を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の吊下げタイプで第一横設補強体と斜設連結補強材を備えた標的枠体の概要説明図である。
図2】本発明の吊下げタイプで第一横設補強体と第二横設補強体と斜設連結補強材を備えた標的枠体の概要説明図である。
図3】本発明の吊下げタイプで連結継手を備えた場合の標的枠体の概要説明図である。
図4】本発明の床タイプで第一横設補強体と斜設連結補強材を備えた標的枠体の概要説明図である。
図5】本発明の床タイプで第一横設補強体と第二横設補強体と斜設連結補強材を備えた標的枠体の概要説明図である。
図6】本発明の床タイプで連結継手を備えた場合の標的枠体の概要説明図である。
図7】第一横設補強体と斜設連結補強材からなる補強体の概要説明図である。
図8】第一横設補強体と第二横設補強体と斜設連結補強材からなる補強体の概要説明図である。
図9】連結継手を備えた場合の補強体の概要説明図である。
図10】連結継手の説明図で、(a)は一面側の説明図で、(b)は側面側の2段で支持可能な支持体の説明図で、(c)は(b)に第一横設補強体と第二横設補強体を設けたときの側面側の説明図である。
図11】吊下げタイプの場合の標的紙体セット標的枠体の説明図で、(a)は下横枠部材を有さない形態の銃弾が撃ち込まれる前の説明図で、(b)は下横枠部材を有さない形態の銃弾が撃ち込まれた状態の説明図で、(c)は下横枠部材を有さない形態の銃弾による貫通した穴により垂直枠部材が折れて下がる途中の状態の説明図で、(d)は下横枠部材を有する形態の銃弾による貫通した穴により垂直枠部材と上横枠部材が折れて下がった状態の説明図である。
図12】床タイプの場合の標的紙体セット標的枠体の説明図で、(a)は銃弾が撃ち込まれる前の説明図で、(b)は銃弾が撃ち込まれた状態の説明図で、(c)は銃弾による貫通した穴により横枠部材及び垂直枠部材が折れ曲がった状態の説明図である。
図13】従来の吊下げタイプの標的枠体の概要説明図で、(a)は下横枠部材がない場合、(b)は下横枠部材がある場合の概要説明図である。
図14】従来の床タイプの標的枠体の概要説明図で、(a)は下横枠部材がない場合、(b)は下横枠部材がある場合の概要説明図である。
図15】標的枠体に標的紙体を挿通させて取り付ける状態の説明図で、(a)は図12(a)のA―A断面図で、(b)は図13(a)のB-B断面図で、(c)は図13(a)のC-C断面図である。
図16図1において斜設連結補強材を吊下げ部まで延長させて固定化させた事例の説明図である。
図17図2において斜設連結補強材を吊下げ部まで延長させて固定化させた事例の説明図である。
図18図3において斜設連結補強材を吊下げ部まで延長させて固定化させた事例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の標的枠体1、2は、図11図12に示すように、射撃訓練に使用されるダンボール等の紙含有材料からなる、例えば6重丸の標的11を描いた標的紙体10を保持し、例えば、図4に示すように、床面に設置した固定台13の穴に、又は、床面に設置した移動用軌道に沿って移動する走行駆動台(図示なし)の穴に挿入され立設されて使用されたり、図1に示すように、天井に設置した移動用軌道に沿って移動する走行駆動機構(図示なし)に吊下げ部12を吊り下げられて使用される。
【0018】
従来から使用されている標的枠体20、30の場合、図13(a)、(b)、又は、図14(a)、(b)に示すように、ダンボールなどで造られる標的紙体10を保持可能な標的枠体20、30は、短手方向の断面が円形枠状、楕円形枠状、四角形枠状又は多角形枠状の紙管で作られる場合がある。紙管で造られる標的枠体20、30としては、例えば図14に示すような床タイプと、例えば図13に示すような吊下げタイプがあり、垂直枠部材17a、17bと上横枠部材15又は下横枠部材16を主な構成要件とし、それぞれの接合部における固定化方法は、両者を固定化できる方法であればいずれの方法でもよく、例えば結束バンド又はワイヤーを巻いたり、あるいは、可撓性を有する締付部材を何重にも巻いて強固に固定している。この固定化方法は本発明の標的枠体1、2にも実施される。前記締付部材としては、ガムテープ等の粘着テープ、紙テープ、布テープ、ビニールテープ等のテープ類や紐体等が該当する。
【0019】
図11(a)又は図12(a)に示すような紙管の標的枠体20、30を使用して標的紙体をセットした標的枠体21、31は、図11(b)又は図12(b)に示すように、短手方向の断面が円形枠状、楕円形枠状、四角形枠状又は多角形枠状の紙管に多数の銃弾が撃ち込まれると紙管の強度が低下し、図11(c)、(d)、図12(c)に示すように、例えば垂直枠部材17aが崩れて使用の継続が困難となる。標的枠体20、30の材質が平板状の湿気で軟化するダンボール製、又は、銃弾で破断しやすい合成樹脂製に比較して、銃弾が当たると貫通孔があく紙管製の方が耐用期間は長いが、発明者はさらに延ばすことはできないかという取り組みをしてきた。
【0020】
前記標的紙体10自体は平板状を維持できる強度を有し、銃弾が当たったときに銃弾による貫通孔ができるが、銃弾が当たってバラバラになったり銃弾をはね返さない材質を有しており、例えば材質としてはダンボール等の紙製がある。そして、前記標的紙体10の前記標的枠体20、30への取付手段としては、例えば、図15(b)又は(c)に示すように、標的枠体20、30の左右の上端に前記標的紙体10を上下方向で挿通可能な隙間を形成する挿通用ブラケット18aと、標的枠体20、30の左右の下端に前記標的紙体10を上下方向で挿入可能な隙間を形成し標的紙体10の下降阻止の受け部19を具備した挿通用ブラケット18bがあり、図15(a)に示すように標的紙体10を標的枠体20、30に取り付けている。前記挿通用ブラケット18a、18bは、標的枠体1、2にも標的紙体10の取付手段として備えることができる。
【0021】
そこで、銃弾が撃ち込まれても標的枠体20、30として形状の崩れを生じにくくし、耐用期間の延長化ができるようにするため、発明者は種々のトライを行って本発明を想到した。その結果、標的枠体20、30を銃弾が貫通しても標的紙体10の垂直状態をより長く保持し続けるためには、標的紙体10の取付手段である前記挿通ブラケット18aの高さ及び前記挿通ブラケット18bの高さを維持させることである。前記挿通ブラケット18aは垂直枠部材17a、17bの上端部に取付られていることから、前記垂直枠部材17a、17bの上端部の高さを維持させる機能の強化を図ること、並びに、前記挿通ブラケット18bは垂直枠部材17a、17bの下端部に取付られていることから、前記垂直枠部材17a、17bの下端部の高さを維持させる機能の強化を図ることに着目した。
【0022】
そこで、標的枠体1には、図1図3に示すように、左右の前記垂直枠部材17a、17bの上端を上横枠部材15で固定連結するタイプ(以下、吊下げタイプという。)と、図4図6に示すように、左右の前記垂直枠部材17a、17bの上端を上横枠部材15で固定連結していないタイプ(以下、床タイプという。)があり、それぞれについて本発明を説明する。
【0023】
床タイプの標的枠体2、30の場合は、図14(a)に示すように下横枠部材16を有さない形
態と、図14(b)に示すように下横枠部材16を有する形態があるが、上横枠部材15を有さず左右の垂直枠部材17a、17bを備えた点は共通である。床タイプの従来の標的枠体30の場合は、垂直枠部材17a、17bの上端の高さを維持させる機能は、現状では垂直枠部材17a、17b自体しかない。そのため、例えば、図12(c)に示すように、例えば一方の垂直枠部材17aが銃弾の貫通孔が多くなると、垂直枠部材17aが前記貫通孔の集中箇所から折れ、その影響を受けて標的紙体10も折れ曲がり標的11の一部が隠れて使用困難になる。床タイプの標的枠体2、30の場合は、挿通用ブラケット18bは台13の孔に挿入された前記垂直枠部材17a、17bの下端部に取り付けられるので、銃弾の影響をほとんど受けにくく前記挿通用ブラケット18bの高さを長期間維持できる。
【0024】
このときに、図12(c)に示すように、他方の垂直枠部材17bの強度がまだ十分である場合が多いので、その垂直枠部材17bと略直角に可撓性を有する締付部材で多重に巻いて固定連結させた第一横設補強材4を追加で補強すると、たとえ垂直枠部材17aの強度が低下しても、片持ち梁状態で第一横設補強材4が垂直枠部材17aの上端の高さを維持でき、これにより前記挿入ブラケット18aの高さを維持できる。
【0025】
さらに、前記第一横設補強材4と左右の垂直枠部材17a、17bとの固定連結強度のさらなる強化を図るために、前記第一横設補強材4の左右の両端で前記垂直枠部材17a、17bにより、例えば垂直枠部材17aの強度が低下したときに他方の垂直枠部材17bによる片持ち梁状態にさせるのみでなく、追加の支持手段を備える。この追加の支持手段が、左右の垂直枠部材17a、17bの下方側と前記第一横設補強材4の中央部から左右側の所定の位置とを結ぶ線上に配設する斜設連結補強材6a、6bである。前記斜設連結補強材6a、6bのそれぞれの両端を可撓性を有する締付部材で多重に巻いてハ字状に支持するように固定連結させる。これにより、垂直枠部材17a、17bの上端の高さ、すなわち前記挿入ブラケット18aの高さを維持させる機能をより一層強化できた。
【0026】
そこで、本発明の床タイプの場合の標的枠体2は、図4図6に示すように、左右に離隔して配設した、垂直方向の2本の紙含有材料からなる筒状又は柱状の垂直枠部材17a、17bを有し、紙含有材料からなる標的紙体10を保持可能な標的枠体2であって、前記2本の垂直枠部材17a、17bのそれぞれの上端部と固定連結する、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の第一横設補強材4と、左右それぞれの前記垂直枠部材17a、17bの下端部近傍の所定の位置で固定連結し、かつ前記第一横設補強材4の左右方向の中央部と左右の端部とのそれぞれの間の所定の位置で固定連結した、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の2本の略ハ字状に斜設した斜設連結補強材6a、6bと、を備える。
【0027】
前記紙含有材料とは、材料に紙が含有されている材料であって、例えば、紙、木材の繊維原料から造られるパルプ、麻や竹や藁等の非木材の繊維原料から造られるパルプ、合成樹脂と紙材との混合物、ダンボール材などがあり、これらに限定されることなく紙材が含有されている材料を意味する。
【0028】
前記筒状とは、筒状の短手方向の断面が円形枠状、楕円形枠状、四角形枠状又は多角形枠状などがあり、これらのうちのいずれの形状でもよく、前記柱状とは、柱状の短手方向の断面が円形状、楕円状、四角形状又は多角形状などがあり、これらのうちのいずれの形状でもよい。
【0029】
次に、吊下げタイプの標的枠体1、20の場合は、図13(a)に示すように下横枠部材16を
有さない形態と、図13(b)に示すように下横枠部材16を有する形態があるが、上横枠部材15と、左右の垂直枠部材17a、17bは共通に備えている。
【0030】
図11(a)に示すように例えば下横枠部材16を有さない形態の場合は、図11(b)に示すように銃弾が撃ち込まれると、図11(c)に示すように垂直枠部材17aが中途で破断され傾き落下する状況に陥り使用困難になる。また、下横枠部材16を有する形態の場合は図11(d)に示すように垂直枠部材17aと上横枠部材15の一方側が下方に折れ垂れ下がり使用困難となる。
【0031】
そこで、吊下げタイプの標的枠体1、20の場合は、上部の挿通ブラケット18aの高さの維持期間の延長化の実現、及び、下部の挿通ブラケット18bの高さの維持期間の延長化の実現が、吊下げタイプの標的枠体1を長い期間を使用できることにつながる。
【0032】
よって、吊下げタイプの場合の本発明の標的枠体1は、図1図3に示すように、左右に離隔して配設した、垂直方向の2本の紙含有材料からなる筒状又は柱状の垂直枠部材17a、17bと、該垂直枠部材17a、17bの上端部同士を固定連結する紙含有材料からなる筒状又は柱状の上横枠部材15を有し、紙含有材料からなる標的紙体10を保持可能な標的枠体1であって、前記上横枠部材15に長手方向で全長に亘って添設状態で固定した、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の第一横設補強材4と、左右それぞれの前記垂直枠部材17a、17bの下端部近傍の所定の位置で固定連結し、かつ前記第一横設補強材4の左右方向の中央部と左右の端部とのそれぞれの間の所定の位置で固定連結した、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の2本の略ハ字状に斜設した斜設連結補強材6a、6bと、を備える。
【0033】
また、図16に示すように、図1における標的枠体1aにおいて前記斜設連結補強材6a、6bの上端側を吊下げ部12まで延長させ前記斜設連結補強材6a、6bの上端を前記吊下げ部12に固定させた標的枠体1Aは本発明の標的枠体1の実施例の一つであり、図17に示すように、図2における標的枠体1bにおいて前記斜設連結補強材6a、6bの上端側を吊下げ部12まで延長させ前記斜設連結補強材6a、6bの上端を前記吊下げ部12に固定させた標的枠体1Bは本発明の標的枠体1の実施例の一つであり、さらに、図18に示すように、図3における標的枠体1cにおいて前記斜設連結補強材6a、6bの上端側を吊下げ部12まで延長させ前記斜設連結補強材6a、6bの上端を前記吊下げ部12に固定させた標的枠体1Cも本発明の標的枠体も本発明の標的枠体1の実施例の一つである。
【0034】
標的枠体1A、標的枠体1B又は標的枠体1Cは、さらに第一横設補強材4等の高さの維持期間の延長化、及び、吊下げ部12と上横枠部材15との固定化の強度を高めることができる。
【0035】
前記床タイプと前記吊下げタイプで共通な構成であり、本発明の主要な構成要件は、図7に示すように前記第一横設補強材4と前記斜設連結補強材6a、6bである。図7に示す補強材3aの形態を使用した標的枠体1、2の例として、図1に吊下げタイプの標的枠体1aを、図3に床タイプの標的枠体2aを示している。
【0036】
前記第一横設補強材4は竹材又は紙含有材料の筒状、柱状又は板状からなり、上横枠部材15を有さず左右の垂直枠部材17a、17bを備えたタイプの標的枠体2の場合は、図4図6に示すように、垂直枠部材17a、17bの上端に架設状態で可撓性を有する締付部材で多重に巻いて固定連結する。また、左右の垂直枠部材17a、17b、及び前記垂直枠部材17a、17bの上端に架設状態で上横枠部材15を締付部材で巻いて固定連結したタイプの標的枠体1の場合は、図1図3に示すように、前記上横枠部材15に沿って可撓性を有する締付部材で多重に巻いて固定する。
【0037】
また、前記第一横設補強材4と左右の垂直枠部材17a、17bと固定連結のさらなる強化を図るために、前記斜設連結補強材6a、6bを設ける。前記斜設連結補強材6a、6bは、左右それぞれの前記垂直枠部材17a、17bの下端部近傍の所定の位置で固定連結し、かつ前記第一横設補強材4の左右方向の中央部と左右の端部とのそれぞれの間の所定の位置で固定連結した、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の2本の略ハ字状に斜設する。
【0038】
前記斜設連結補強材6a、6bは、前記垂直枠部材17a、17bの上端部から中央部までの間が銃弾で破損しても、前記上横枠部材15の高さを少なくとも片持ち梁構造よりも維持しやすくするので、前記挿通ブラケット18aの高さをより長期間維持しやすい。このため、標的枠体1、2の耐用性を高めることができる。
【0039】
さらに、上部の挿通ブラケット18aの高さの維持期間の延長化を図るため、図8に示すように、前記第一横設補強材4と略同じ機能を期待できる第二横設補強材5を配設する。前記第二横設補強材5は、前記上横枠部材15及び前記第一横設補強材4と上下方向で下方に所定の間隔をあけ、かつ前記第一横設補強材4と略平行に、前記2本の垂直枠部材17a、17bのそれぞれの上端部と固定連結する2段構成を実現させた、竹材又は紙含有材料からなる筒状、柱状又は板状の補強材である。前記第二横設補強材5の固定連結方法は可撓性を有する締付部材を多重に巻いて固定させる方法で行う。図8に示す補強材3bの形態を使用した標的枠体1、2の例として、図2に吊下げタイプの標的枠体1bを、図5に床タイプの標的枠体2bを示している。
【0040】
さらに、前記第一横設補強材4と左右の垂直枠部材17a、17bとの固定連結のさらなる強化を図るために、例えば、図9に示すように、前記第一横設補強材4、前記第二横設補強材5又は前記斜設連結補強材6a、6bの各補強材3と、前記上横枠部材15又は前記垂直枠部材17a、17bの各枠部材との固定連結部に、図10(b)に示すように、前記各補強材支持用の貫通孔41又は受け部42を具備する連結継手7を設け、図10(c)に示すように、例えば第一横設補強材4を受け部42に載置し第二横設補強材5を貫通孔41に貫通させる。この状態の上から可撓性を有する締付部材で多重に巻き付ける。図9に示す補強材3cの形態を使用した標的枠体1、2の例として、図3に吊下げタイプの標的枠体1cを、図6に床タイプの標的枠体2cを示している。また、前記連結継手7の前記各枠部材との接触面形状は、図10(a)に示すように全面当たりの平面状でもよく、線状当たりの円形状でもよく、前記締付部材で巻いて固定可能な形状であればいずれの形状でもよい。
【0041】
各補強材3a、3b、3cを貫通させた又は載置させた前記連結継手7を各枠部材15、16、17a、17bに広い範囲で接触させ、多重に巻いた可撓性を有する締付部材で固定連結するので、各補強材3a、3b、3cの端部を直接に各枠部材15、16、17a、17bに多重に巻いた締付部材で固定連結する場合より、さらに連結固定部の強度を向上させることができる。これにより、標的枠体1、2の強度を高め、上部の挿通ブラケット18aの高さの維持期間、及び、下部の挿通ブラケット18bの高さの維持期間をさらに延ばすことができる。したがって、本発明の標的枠体1、2は従来の標的枠体20、30より耐用性を大きく高めることができた。
【0042】
本発明の標的枠体1、2の主要な構成要件の一つである補強材3は、図7に示すように前記第一横設補強材4及び前記斜設連結補強材6a、6bを備えた補強材3a、図8に示すように前記第一横設補強材4、前記第二横設補強材5及び前記斜設連結補強材6a、6bを備えた補強材3b、又は、図9に示すように前記第一横設補強材4、前記第二横設補強材5、前記斜設連結補強材6a、6b及び前記連結継手7を備えた補強材3cである。いずれも、標的紙体10を保持する挿通用ブラケット18a、18bの位置を、万一銃弾で上横枠部材15、下横枠部材16又は垂直枠部材17a、17bに貫通孔があいても従来よりも長期間にわたって維持させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 標的枠体
2 標的枠体
3 補強材
4 第一横設補強材
5 第二横設補強材
6 斜設連結補強材
7 連結継手
10 標的紙体
11 標的
12 吊下げ部
13 台
15 上横枠部材
16 下横枠部材
17 垂直枠部材
18 挿通用ブラケット
19 受け部
20 標的枠体
21 標的枠体
30 標的枠体
31 標的枠体
41 貫通孔
42 受け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18