(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187556
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】義歯の取得システムおよび取得方法
(51)【国際特許分類】
A61C 13/34 20060101AFI20221213BHJP
A61C 13/007 20060101ALI20221213BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20221213BHJP
【FI】
A61C13/34 Z
A61C13/007
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095596
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】598119588
【氏名又は名称】株式会社コスモス・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100174090
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 光
(74)【代理人】
【識別番号】100205383
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 諭史
(74)【代理人】
【識別番号】100100251
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 操
(72)【発明者】
【氏名】濱口 慶一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】ユーザが手軽に、かつ速やかに義歯を入手可能な義歯の取得システムおよび取得方法を提供する。
【解決手段】義歯の取得システム1は、ユーザ端末装置3と、そのユーザ端末装置3にネットワークNを介して接続されたサーバ装置2とを備え、サーバ装置2は、ユーザの歯型の3Dプリンタ用データを取得する取得部と、3Dプリンタ用データをユーザ識別情報とともに保存する保存部と、ユーザ端末装置を介したユーザの要求に応じて、保存部に保存された3Dプリンタ用データを出力する出力部とを有し、ユーザ端末装置3は、3Dプリンタ用データに基づいて義歯を造形する3Dプリンタ3aを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの歯型の3Dプリンタ用データを取得する取得工程と、前記3Dプリンタ用データを前記ユーザのユーザ識別情報とともにサーバ装置に保存する保存工程と、前記ユーザの要求に応じて、前記サーバ装置に保存された前記ユーザの前記3Dプリンタ用データを提供する提供工程と、前記3Dプリンタ用データに基づいて、前記ユーザが自己が使用するための義歯を3Dプリンタで造形する造形工程とを有することを特徴とする義歯の取得方法。
【請求項2】
前記取得工程は、前記ユーザが作製した自己の歯型模型から得られた3Dプリンタ用データを取得する工程であることを特徴とする請求項1記載の義歯の取得方法。
【請求項3】
前記取得方法は、前記ユーザの操作により、前記サーバ装置に保存された前記ユーザの前記3Dプリンタ用データを更新する更新工程を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の義歯の取得方法。
【請求項4】
前記更新工程は、前記造形工程の後において前記義歯の形状が変更された場合に、その変更された義歯の3Dプリンタ用データに基づいて、前記ユーザの操作により、前記サーバ装置に保存された前記ユーザの前記3Dプリンタ用データを更新することを特徴とする請求項3記載の義歯の取得方法。
【請求項5】
ユーザ端末装置と、該ユーザ端末装置にネットワークを介して接続されたサーバ装置とを備える義歯の取得システムであって、
前記サーバ装置は、ユーザの歯型の3Dプリンタ用データを取得する取得部と、前記3Dプリンタ用データを前記ユーザのユーザ識別情報とともに保存する保存部と、前記ユーザ端末装置を介した前記ユーザの要求に応じて、前記保存部に保存された前記3Dプリンタ用データを出力する出力部とを有し、
前記ユーザ端末装置は、前記3Dプリンタ用データに基づいて義歯を造形する3Dプリンタを有することを特徴とする義歯の取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入れ歯などの義歯を取得する取得システムおよび取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に歯科治療では、患者の歯型模型が作製され、その歯型から入れ歯などの義歯が製造される。歯型模型は、印象材で歯型を取ったものを凹型として、そこに石膏を流し込むことなどで作製される。作製された歯型模型は、医療機関においてカルテなどとともに保管され、将来の患者の治療などに利用されている。しかしながら、歯型模型の保管はスペースなどの問題が生じうる。
【0003】
近年では、歯型模型をスキャンして、3次元データとして管理する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、治療済の歯型の3次元データと、この歯型データの更新可のフラグとを、歯型データに関連付けて登録された歯型DBから、歯型データに基づいて歯型を検索し、更新可のフラグが登録されている場合に、歯型データとして新たに取得した歯型データを上書きして歯型DBを更新することが記載されている。このように、歯型を3次元データとして管理することで、歯型模型の保管の問題を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、義歯は、経年劣化などによって定期的な交換(例えば3年~5年毎)が必要となる。その際には、医療機関を受診することになるが、医療機関での診療は、時間的にも精神的にも負担を感じる患者は多い。また、義歯の交換は急なタイミングで訪れる場合があり、その場合、ユーザはできるだけ早く新しい義歯に交換したいと感じる。そのため、より手軽に義歯を取得できるシステムなどが望まれている。
【0006】
また近年では、3Dプリンタの高性能化や、小型化、低価格化が進み、業務用だけでなく、一般用の3Dプリンタも急速に普及している。そのため、3Dプリンタを用いてユーザが立体物を入手しやすい環境になりつつある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが手軽に、かつ速やかに義歯を入手可能な義歯の取得システムおよび取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の義歯の取得方法は、ユーザの歯型の3Dプリンタ用データを取得する取得工程と、上記3Dプリンタ用データを上記ユーザのユーザ識別情報とともにサーバ装置に保存する保存工程と、上記ユーザの要求に応じて、上記サーバ装置に保存された上記ユーザの上記3Dプリンタ用データを提供する提供工程と、上記3Dプリンタ用データに基づいて、上記ユーザが自己が使用するための義歯を3Dプリンタで造形する造形工程とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明において、「義歯」とは、歯茎部分である床に人工歯が1歯以上配列されているものいう。例えば、全歯列が配列された義歯を総義歯(総入れ歯)といい、一部の歯列が配列された義歯を部分義歯(部分入れ歯)という。また、本発明において、歯型の3Dプリンタ用データは、歯型の表面の各位置の座標(x座標、y座標、z座標)を含み、ユーザの歯型を義歯として再現可能な3次元データをいう。
【0010】
上記取得工程は、上記ユーザが作製した自己の歯型模型から得られた3Dプリンタ用データを取得する工程であることを特徴とする。
【0011】
上記取得方法は、上記ユーザの操作により、上記サーバ装置に保存された上記ユーザの上記3Dプリンタ用データを更新する更新工程を有することを特徴とする。また、上記更新工程は、上記造形工程の後において上記義歯の形状が変更された場合に、その変更された義歯の3Dプリンタ用データに基づいて、上記ユーザの操作により、上記サーバ装置に保存された上記ユーザの上記3Dプリンタ用データを更新することを特徴とする。
【0012】
上記造形工程は、金属部材と樹脂とが一体化された上記義歯を造形する工程であることを特徴とする。
【0013】
本発明の義歯の取得システムは、ユーザ端末装置と、該ユーザ端末装置にネットワークを介して接続されたサーバ装置とを備える義歯の取得システムであって、上記サーバ装置は、ユーザの歯型の3Dプリンタ用データを取得する取得部と、上記3Dプリンタ用データを上記ユーザのユーザ識別情報とともに保存する保存部と、上記ユーザ端末装置を介した上記ユーザの要求に応じて、上記保存部に保存された上記3Dプリンタ用データを出力する出力部とを有し、上記ユーザ端末装置は、上記3Dプリンタ用データに基づいて義歯を造形する3Dプリンタを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の義歯の取得方法は、ユーザの歯型の3Dプリンタ用データを取得する取得工程と、3Dプリンタ用データをユーザ識別情報とともにサーバ装置に保存する保存工程と、ユーザの要求に応じて、サーバ装置に保存されたユーザの3Dプリンタ用データを提供する提供工程と、この3Dプリンタ用データに基づいてユーザが3Dプリンタで自己が使用するための義歯を造形する造形工程とを有するので、ユーザの必要なタイミングで3Dプリンタ用データを容易に取得でき、そのデータを元に3Dプリンタを利用することで義歯を速やかに取得することができる。これにより、ユーザは医療機関に行かずに済み、手軽にかつ速やかに義歯を入手することができる。
【0015】
上記取得工程は、ユーザが作製した自己の歯型模型から得られた3Dプリンタ用データを取得する工程であるので、ユーザは医療機関を受診して歯型模型を作製する必要がなく、手軽に当該義歯の取得方法を利用できる。
【0016】
また、上記取得方法は、ユーザの操作により、サーバ装置に保存されたユーザの3Dプリンタ用データを更新する更新工程を有するので、ユーザの必要なタイミングで3Dプリンタ用データを容易に更新することができる。また、更新工程が、造形工程の後において義歯の形状が変更された場合に、その変更された義歯の3Dプリンタ用データに基づいて、ユーザの操作により、サーバ装置に保存されたユーザの上記3Dプリンタ用データを更新する工程であるので、義歯を再度製造する際に、ユーザに合ったより精度の高い義歯を取得することができる。
【0017】
本発明の義歯の取得システムは、ユーザ端末装置と、該ユーザ端末装置にネットワークを介して接続されたサーバ装置とを備え、サーバ装置は、ユーザの歯型の3Dプリンタ用データを取得する取得部と、3Dプリンタ用データをユーザ識別情報とともに保存する保存部と、ユーザ端末装置を介したユーザの要求に応じて、保存部に保存された3Dプリンタ用データを出力する出力部とを有し、ユーザ端末装置は、3Dプリンタ用データに基づいて義歯を造形する3Dプリンタを有するので、必要なタイミングで、ユーザが端末装置を操作することで、3Dプリンタ用データを容易に取得でき、そのデータを元に3Dプリンタを利用することで義歯を速やかに取得することができる。これにより、ユーザは医療機関に行かずに済み、手軽にかつ速やかに義歯を入手することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の義歯の取得システムの一例を示す構成図である。
【
図3】本発明の義歯の取得方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の義歯の取得システムの一例について、
図1を用いて説明する。
図1において、取得システム1は、サーバ装置2と複数のユーザ端末装置3とを備える。各ユーザ端末装置3とサーバ装置2とは、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。ネットワークNは、インターネット回線などの電気通信回線で構成される。サーバ装置2は、例えば、歯型の3Dプリンタ用データを各ユーザに提供するサービス事業体に備えられるサーバである。なお、この事業体は、歯科治療を行う医療機関でもよく、当該医療機関とは異なる第三者機関であってもよい。
【0020】
ところで、義歯は、人体に直接装着されるものであり、薬事法において「医療機器」に指定され、業としての製造販売等には法的な規制が行われている。また近年では、「医療機器」の範囲にプログラムも加えられ、例えば、医療機器で得られたデータを加工・処理し、診断または治療に用いるための指標、画像、グラフなどを作成するプログラムは「医療機器」に該当するとされている。一方で、医療機器で取得したデータを、診療記録として用いるために転送、保管、表示を行うプログラムなどは医療機器に該当せず、薬事法の規制対象外となっている。また、ユーザが自己が使用するための義歯を3Dプリンタで造形することは、業としての製造にはならない。
【0021】
図1に示す取得システム1は、例えば、ヒトの歯の成長が止まった頃(例えば20歳以降)にユーザは、歯型を3Dプリンタ用データとしてサービス事業体に預けておき、将来、虫歯や歯周病、事故などの損傷によって義歯が必要になった時に、預けておいた3Dプリンタ用データを利用して、自ら義歯を取得できるというシステムである。医療機関に何度も足を運ぶ必要もなく、手軽さや利便性の面で特に優れている。
【0022】
まずサーバ装置2について、
図2を用いて説明する。
図2はサーバ装置の一例を示すブロック図である。サーバ装置2は、周知のCPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主体として構成されている。
図2において、サーバ装置2は、取得部2aと、保存部2bと、出力部2cと、制御部2dとを有する。
【0023】
取得部2aは、ユーザの歯型の3Dプリンタ用データを取得する。3Dプリンタ用データを取得する手段は特に限定されず、例えば、サーバ装置2がスキャナやデジタルカメラなどの3次元データ生成手段を備える場合には、その3次元データ生成手段を用いて、ユーザの歯型模型をスキャンする、またはユーザの口腔を撮影することなどにより、3Dプリンタ用データを取得することができる。また、取得部2aは、医療機関や歯科技工所などで生成された電子データをそのまま、または加工・処理などして3Dプリンタ用データとして取得してもよい。
【0024】
保存部2bは、取得部2aによって取得された3Dプリンタ用データをユーザのユーザ識別情報とともに保存する保存装置である。具体的には、
図2に示すように、3Dプリンタ用データとユーザ識別情報とが関連付けられて、ユーザ毎にデータが格納されている。ユーザ識別情報は、ユーザを一意に識別できる情報であればよく、ユーザのID番号や、氏名および生年月日などの情報が用いられる。なお、3Dプリンタ用データおよびユーザ識別情報に加えて、その他の情報が関連付けられて、保存されていてもよい。その他の情報としては、ユーザの個人情報(性別、年齢、住所、連絡先など)や、ユーザが受診した医療機関情報、3Dプリンタ用データの登録日時、更新履歴などが挙げられる。また、これらの情報は、保存部2bから特定の3Dプリンタ用データを検索する際の検索項目として使用されてもよい。
【0025】
出力部2cは、ユーザ端末装置を介したユーザの要求に応じて、保存部2bに保存された3Dプリンタ用データを出力する。具体的には、ユーザ識別情報などに基づいて保存部2bを検索し、そのユーザについて保存されている3Dプリンタ用データを取得して、外部に出力する。なお、データの出力形式は特に限定されず、ユーザ端末装置に送信する形式でもよく、ユーザ端末装置を介してダウンロードさせる形式でもよい。
【0026】
制御部2dは、サーバ装置2における各種の制御を行う。例えば、制御部2dは、保存部2bに保存されているユーザ毎のデータの編集機能などを有する。制御部2dは、データの編集機能として、特定のユーザについて新しい3Dプリンタ用データが取得された場合に、そのユーザの3Dプリンタ用データとして、新たに取得した3Dプリンタ用データを更新する機能を有することが好ましい。保存部2bに元々保存されていた3Dプリンタ用データを、新たに取得した3Dプリンタ用データに上書きして更新することで、よりユーザに合った義歯を取得しやすくなる。
【0027】
また、3Dプリンタ用データにおける歯形状等の寸法の一部をユーザの操作により修正して更新する機能を有する。本発明では、ユーザ自身が歯型模型を作製する場合があり、模型の精度が低く、義歯が合わない等のおそれがあるが、上記の更新機能を有することで、データの微調整が可能となり3Dプリンタにおける試作も容易であることから、調整と試作を数回行うこと等により、ユーザが自身の操作で精度の高い義歯を作製することができる。
【0028】
サーバ装置2の構成は
図2の構成に限定されず、更に他の機能などを備えさせることができる。
【0029】
図1において、各ユーザ端末装置3は、3Dプリンタ3aを備えている。3Dプリンタ3aは、3D CAD、3D CGなどの3Dプリンタ用データを元に3次元物体を造形する立体プリンタである。3Dプリンタとしては公知の3Dプリンタを用いることができ、特別な機能は必要とならない。3Dプリンタとしては、熱溶融積層(FDM)方式、インクジェット紫外線硬化方式、光造形方式、レーザー焼結方式などの3Dプリンタを用いることができる。例えば、FDM方式の3Dプリンタは、樹脂を加熱して溶融し、吐出して積層させて3次元物体を得る造形方式であり、低価格であることから好ましい。
【0030】
取得システム1では、3Dプリンタ3aによって義歯が造形される。義歯において、人工歯は、その一部である付け根が床に埋設し、残りの部分が床から突出するようにして、床に固定される。
【0031】
人工歯の材料としては、歯科用材料として汎用されている合成樹脂やセラミックを用いることができる。具体的には、歯科用硬質レジン、歯科用ハイブリッドセラミックス、ポリ乳酸、ポリ乳酸グリコール酸共重合体、ジルコニア、長石質セラミックスなどの材料を用いることができる。材料として、天然歯の色に予め着色したものを用いることができる。
【0032】
床の材料としては、歯科用材料として汎用されている合成樹脂を用いることができる。具体的には、熱硬化性のアクリル樹脂や熱可塑性のポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂を用いることができる。材料として、天然の歯茎の色に予め着色したものを用いることができる。また、床は、一部に金属部材を使用することもできる。この場合、金属床と呼ばれる床の一部を金属プレートとして、人工歯と接する部分は人工歯を埋没固定することから合成樹脂が用いられる。金属プレートには、例えば、チタンやコバルトクロムなどが使用される。
【0033】
人工歯および床の材料には、いずれも合成樹脂を用いることが好ましい。これらが異なる合成樹脂の場合、例えば、第1のフィラメント(床の合成樹脂)が装着される第1のノズルと、第2のフィラメント(人工歯の合成樹脂)が装着される第2のノズルを備える3Dプリンタが用いられる。また、樹脂製の義歯を造形する場合、耐摩耗性を向上させるため、一部に金属部材を入れることもできる。例えば、金属部材を配置した状態で樹脂を吐出して、金属部材と樹脂とが一体化された義歯を造形することができる。
【0034】
図1において、ユーザ端末装置3は、サーバ装置2から3Dプリンタ用データを受信すると、3Dプリンタ3aによって、3Dプリンタ用データに基づいて義歯を造形する。得られた義歯は、必要に応じて着色や加工が施されてもよい。
【0035】
本発明の取得システムは、
図1の構成に限られない。取得システムは少なくともサーバ装置を備えていればよく、ユーザ端末装置を省略することができる。なお、サーバ装置に保存された3Dプリンタ用データは、例えば、警察関係者や研究者などの当該データを必要とする者に提供されて、犯罪捜査や公的な統計データの作成などに役立てることもできる。
【0036】
また、本発明の義歯の取得方法の一例を
図3に示す。本発明の取得方法は、(a)~(d)の4つの工程を少なくとも備えていればよい。
図3の例では、(a)ユーザの歯型の3Dプリンタ用データを取得する取得工程と、(b)3Dプリンタ用データを保存する保存工程と、(c)3Dプリンタ用データを提供する提供工程と、(d)3Dプリンタ用データに基づいて、義歯を造形する造形工程と、(e)3Dプリンタ用データを更新する更新工程とを有する。
図3に示す取得方法の一連の流れについて、具体的に説明する。
【0037】
まず、ユーザが、歯の成長が止まった頃に、自身で歯型取りキットなどを用いて歯型模型を作製する、または、医療機関を受診して歯型模型を作製する(工程(a1))。なお、歯型模型には、EVA樹脂などの樹脂や、石膏などが用いられる。そして、ユーザは作製された歯型模型をサービス事業体に持ち込むなどして、その歯型模型が3Dスキャナでデータ化される(工程(a2))。これにより、3Dプリンタ用データが取得される。そして、取得された3Dプリンタ用データを、ユーザ識別情報とともに上述のサーバ装置で保存する(工程(b))。ユーザからすると、サービス事業体のサーバ装置に、自分の歯型の3Dプリンタ用データを将来に備えて預かってもらう。そして、ユーザは、入れ歯が必要になった時にサービス事業体に連絡などし、サービス事業体は、その要求に応じて、サーバ装置に保存されたデータの中から対象ユーザの3Dプリンタ用データを選択して、ユーザに提供する(工程(c))。
【0038】
データの提供を受けたユーザは、自分でその3Dプリンタ用データを元に3Dプリンタを用いて、樹脂などを選択して自分用に義歯を造形する(工程(d))。造形された義歯はそのまま使用することもできるが、必要に応じて医療機関で加工(微調整)され、形状が変更された義歯を使用することもできる。
【0039】
図3に示す取得方法では、造形工程後に義歯の形状が変更された場合に、3Dプリンタ用データを更新する更新工程を有している。この場合、形状が変更された義歯をスキャンして新たな3Dプリンタ用データを取得する。そして、サーバ装置に保存されている3Dプリンタ用データに、新たに取得した3Dプリンタ用データを上書きしてデータを更新することで、造形後の医師による微調整などをフィードバックすることができる。これにより、義歯を次回造形する際に、できるだけ医療機関での微調整をなしにすることができ、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の義歯の取得システムなどは、ユーザが手軽に、かつ速やかに義歯を入手可能なシステムであり、ユーザの必要なタイミングで容易に義歯を入手でき、医療機関に何度も足を運ぶ必要もなく、利便性の高いシステムとして広く利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 取得システム
2 サーバ装置
2a 取得部
2b 保存部
2c 出力部
2d 制御部
3 ユーザ端末装置
3a 3Dプリンタ
N ネットワーク