(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187557
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 7/02 20060101AFI20221213BHJP
H05B 6/76 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
F24C7/02 521H
F24C7/02 521J
H05B6/76 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095597
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】大都 紀之
(72)【発明者】
【氏名】上甲 康之
【テーマコード(参考)】
3K090
3L086
【Fターム(参考)】
3K090AA12
3K090AB02
3K090GC01
3K090GC02
3L086AA01
3L086AA13
3L086BA07
3L086BB11
3L086BC06
3L086BC07
3L086DA02
(57)【要約】
【課題】マイクロ波加熱手段を用いる場合において、庫内の視認性を損なうことなく、マイクロ波遮蔽ガラスのアースをとることが可能な加熱調理器を提供する。
【解決手段】被加熱物を収容する加熱室2と、被加熱物をマイクロ波加熱するレンジ加熱手段と、加熱室2に対して開閉可能なドア20Aと、ドア20Aの外周に設けられたチョーク構造部26を有するドアベース21と、を備える。ドア20Aは、加熱室2と対向して配置される庫内側ガラス41および庫外側ガラス42と、庫内側ガラス41と庫外側ガラス42との間に配置される導電性部材43と、を備えたマイクロ波遮蔽ガラス40Aを有する。導電性部材43は、ドアベース21と電気的に接続されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容する加熱室と、
前記被加熱物をマイクロ波加熱する加熱源と、
前記加熱室に対して開閉可能なドアと、
前記ドアの外周に設けられたドアベースと、を備え、
前記ドアは、前記加熱室と対向して配置される透明なガラスと、前記ガラスに積層される導電性部材と、を備えたマイクロ波遮蔽ガラスを有し、
前記導電性部材は、前記ドアベースと全周に渡って電気的に接続されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記導電性部材は、メッシュ状に形成した金属メッシュであることを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記導電性部材は、金属を印刷によってメッシュ状に形成したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
前記導電性部材は、前記ドアベースに対して全周に渡って連続的に接続されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
前記導電性部材は、前記ドアベースに対して全周に渡って断続的に接続されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項6】
請求項5に記載の加熱調理器において、
前記断続的に接続される電気的接続部は、溶接、かしめ、またはねじ留めによって接続されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項7】
請求項6に記載の加熱調理器において、
前記断続的に接続される電気的接続部のピッチは、前記加熱源の発振周波数の(1/4)波長以下であることを特徴とする加熱調理器。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
前記マイクロ波遮蔽ガラスは、前記加熱室側に位置する庫内側ガラスと、前記加熱室とは反対側に位置する庫外側ガラスとによって前記導電性部材を間に挟み、接着して構成されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項9】
請求項8に記載の加熱調理器において、
前記庫外側ガラスは、前記庫内側ガラスよりも外周が短く形成され、前記庫内側ガラスの庫外側の面に前記導電性部材が露出していることを特徴とする加熱調理器。
【請求項10】
請求項8に記載の加熱調理器において、
前記庫外側ガラスを押し付けて保持する保持部材を備え、
前記庫内側ガラスは、前記庫外側ガラスよりも外周が短く形成され、前記庫外側ガラスの庫内側の面に前記導電性部材が露出していることを特徴とする加熱調理器。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
前記ドアは、前記ガラスの庫外側に配置される透明な外側ドアガラスを備え、
前記マイクロ波遮蔽ガラスは、単層ガラスであり、
前記単層ガラスには、庫外側の面に前記導電性部材が設けられていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
前記ドアベースにはチョーク構造部が設けられ、
前記チョーク構造部の内側には、当該チョーク構造部とは別のチョーク構造部が追加して設けられていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項13】
請求項12に記載の加熱調理器において、
前記別のチョーク構造部は、前記ガラスの面方向に対して内側と外側の二段に配置されたチョーク構造部であることを特徴とする加熱調理器。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の加熱調理器において、
前記別のチョーク構造部は、前記導電性部材と隙間を空けて配置されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
前記導電性部材と前記ドアベースは、シール剤によって固定されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項16】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
前記導電性部材と前記ドアベースは、導電性のシール剤によって固定されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項17】
被加熱物を収容する加熱室と、前記被加熱物をマイクロ波加熱する加熱源と、前記加熱室に対して開閉可能なドアと、前記ドアの庫外側と庫内側に設けられる一対のガラスと、ドアベースと、を備え、
前記一対のガラスの少なくとも一方は、接着固定された複層ガラスによって構成されていることを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器は、加熱室に被調理物を載置して加熱調理するものであり、被加熱物を本体に格納するために、本体筐体の前部に開閉可能なドアを備えている。このドアには、加熱室内の被調理物の状態を確認するのぞき窓が設けられており、のぞき窓は、マイクロ波加熱の際にマイクロ波が本体外に漏洩することを防止するために、複数のパンチング孔が形成された金属板(パンチングメタル)によって構成されている。
【0003】
特許文献1には、内外のドアガラスの間に、透明耐熱性樹脂シートに導電膜を設けて、調理の状況を見ながら調理を進められるようにした構造が記載されている。特許文献2には、パンチングメタルの一部またはすべてを取り除いて透明導電体を用いて庫内の視認性を向上する構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-60015号公報
【特許文献2】特開2005-26092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の加熱調理器では、導電膜を電気的に接続する具体的な構造について検討されていない。また、特許文献2に記載の加熱調理器では、透明導電体をパンチングメタルに電気的に接続する具体的な構造について検討されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被加熱物を収容する加熱室と、前記被加熱物をマイクロ波加熱する加熱源と、前記加熱室に対して開閉可能なドアと、前記ドアの外周に設けられたドアベースと、を備え、前記ドアは、前記加熱室と対向して配置される透明なガラスと、前記ガラスに積層される導電性部材と、を備えたマイクロ波遮蔽ガラスを有し、前記導電性部材は、前記ドアベースと全周に渡って電気的に接続されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の加熱調理器の外観斜視図である。
【
図2】第1実施形態の加熱調理器のドアを開けた状態を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態の加熱調理器の縦断面斜視図である。
【
図5】第1実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図である。
【
図6】第1実施形態の加熱調理器のマイクロ波遮蔽ガラスを示す斜視図である。
【
図7】
図6のマイクロ波遮蔽ガラスの角部の拡大斜視図である。
【
図8】別の実施形態のマイクロ波遮蔽ガラスを示す斜視図である。
【
図9】
図8のマイクロ波遮蔽ガラスの角部の拡大斜視図である。
【
図10】第1実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
【
図11】第2実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
【
図12】第2実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図である。
【
図13】第3実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
【
図14】第4実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
【
図15】第5実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図である。
【
図16】第5実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
【
図17】第6実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
【
図18】第7実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図である。
【
図19】第7実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
【
図20】第8実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図である。
【
図21】第8実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
【
図22】第9実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図である。
【
図23】第9実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
【
図24】第10実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図である。
【
図25】第10実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
【
図26】第11実施形態の加熱調理器をドア側から見たときの断面斜視図である。
【
図27】第11実施形態の加熱調理器を庫内側から見たときの断面斜視図である。
【
図28】第11実施形態の加熱調理器のドアを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、
図1に示す方向を基準として説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の加熱調理器の外観斜視図である。
図1に示すように、加熱調理器1Aは、外周を覆うキャビネット11で覆われる本体10と、本体10の前面に回動可能なドア20Aと、を備えて構成されている。ドア20Aは、ドアベース21(
図3参照)と、ドア枠22と、ハンドル23と、操作パネル24と、外側ドアガラス25と、を備えている。
【0010】
ドア枠22は、ドア20の外周を構成する樹脂成型部品であり、ドア20Aの上下左右の全周を囲むように構成されている。ハンドル23は、ドア20Aを開閉する際の持ち手であり、樹脂成型部品によってドア枠22と一体に形成されている。操作パネル24は、操作部および表示部を備えている。外側ドアガラス25は、透明なガラス板によって構成され、ドア枠22に嵌め込まれている。
【0011】
また、ドア20Aは、被調理物を加熱するときに使用するマイクロ波の漏洩を防止し、ヒータの熱を封じ込め、効率良く加熱することを可能とする。
【0012】
図2は、第1実施形態の加熱調理器のドアを開けた状態を示す斜視図である。
図2に示すように、加熱調理器1Aは、本体10の内側に被加熱物である被調理物(不図示)を収納する加熱室2を備えている。この加熱室2は、底板2a、奥板2b、上板2c、右側板2d、左側板2eを有し、前面に矩形状の開口が形成されている。なお、
図2では、加熱室2の底板2a上にトレーが収納されている状態を示している。
【0013】
ドア20Aの裏側(ドア20Aを閉じたときの本体10側)には、四角枠状の外周面20aが形成されている。この外周面20aと対向する加熱室2の入口周囲には、加熱室前板3が設けられている。この加熱室前板3は、左側と右側において鉛直方向(上下方向)に延びる縦面部3aと、縦面部3aの間における上端および下端から水平方向(左右方向)に延びる横面部3bとを有し、四角枠状に形成されている。縦面部3aおよび横面部3bは、平らな面で形成され、ドア20Aを閉じたときに、ドア20Aの外周面20aと面で接するようになっている。
【0014】
図3は、第1実施形態の加熱調理器の縦断面斜視図である。なお、
図3は、キャビネット11(
図1参照)、底板2aより下側に設けられる部品の図示を一部省略している。
図3に示すように、ドア20Aの外周の内部(ドア枠22の内側)には、マイクロ波の漏洩を防止するためのチョーク構造部26を備えたドアベース21が設けられている。ドアベース21は、ドア20Aの骨格を成すものであり、鉄などの金属製の板材を切削や抜き、曲げ、絞りなどの加工することによって構成されている。
【0015】
チョーク構造部26は、ドア20Aの外周全体に渡って形成されている。なお、
図3では、ドア20Aの上部と下部において水平方向に延びるチョーク構造部26の一部が図示され、ドア20Aの左右において上下方向に向けて延びるチョーク構造部の図示を省略している。
【0016】
底板2aの下方には、被調理物をレンジ加熱する際に作動するレンジ加熱手段30が設けられている。このレンジ加熱手段30は、マイクロ波を発生させるマグネトロン、マイクロ波を加熱室2に送る導波管などによって構成されている。なお、本実施形態の加熱調理器1Aは、ヒータ(不図示)によるオーブン加熱手段などを備えていてもよい。また、第1実施形態の加熱調理器1Aは、レンジ加熱手段30のみを備えた単機能タイプに適用してもよく、レンジ加熱手段30やオーブン加熱手段などを備えたオーブンレンジタイプのものに適用してもよい。
【0017】
また、ドア20Aには、外側ドアガラス25より庫内側に、透明なマイクロ波遮蔽ガラス40Aが設けられている。このマイクロ波遮蔽ガラス40Aは、マイクロ波を遮断させて加熱室2の外部にマイクロ波が漏洩するのを防止する機能を有する。つまり、第1実施形態の加熱調理器1Aでは、従来からある庫内の視認性とマイクロ波漏洩防止の両立を図るものとして使用されていたパンチングメタルを搭載しないものである。
【0018】
図4は、
図3のX方向矢視図である。なお、
図4は、ドア20Aが完全に閉じた状態であり、ドア20Aの外周面20aが、加熱室2の前部開口の周囲に設けられた加熱室前板3に面で接して閉じた状態である。
【0019】
図4に示すように、マイクロ波遮蔽ガラス40Aは、加熱室2側に位置する庫内側ガラス41(ガラス)、加熱室2とは反対側(庫外側)に位置する庫外側ガラス42(ガラス)と、庫内側ガラス41と庫外側ガラス42との間に設けられる導電性部材43と、を備えて構成されている。また、庫内側ガラス41と庫外側ガラス42は、可視光線を透過する性質を有し、庫外から加熱室2内の被調理物を視認できるようにしたものである。また、庫内側ガラス41と庫外側ガラス42とは、間に導電性部材43を挟んで、接着剤を介して互いに固定されている。このように、マイクロ波遮蔽ガラス40Aは、庫内側ガラス41と庫外側ガラス42とが接着、固定された複層ガラスである。
【0020】
また、庫内側ガラス41と庫外側ガラス42は、耐熱性および耐衝撃性などに優れたガラス板によって構成されている。また、庫内側ガラス41と庫外側ガラス42は、いずれも同じ形状のものであり、上下左右の4辺が互いに一致するように構成されている。
【0021】
導電性部材43は、金属製の縦糸と金属製の横糸とを格子状に編んだ金属メッシュを適用することができる。また、金属メッシュの開口率は、一般的に使用されているパンチングメタルの開口率(例えば、50%)よりも大きく(例えば、70%又は78%以上)設定されている。これにより、庫外(加熱調理器1Aの外側)から加熱室2内を覗いたときの視認性をパンチングメタル(鉄板に複数の丸孔が形成されたもの)を用いた場合よりも高めることができる。また、導電性部材43は、加熱室2内の視認性を損なわなければ、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明な導電体に限定されるものではなく、有色の導電体を適用してもよい。
【0022】
なお、導電性部材43に金属メッシュを採用することは、導電性部材43の一部破損や剥離を検出する点でも好ましい。金属メッシュを採用すると、加熱室2内の視認性を損なわない範囲で、導電性部材43を薄く目視できる状態になる。導電性部材43は、一部が破損や剥離した場合に、それを導通検査では検出することは難しいので、目視での検出が必要になるが、従来技術でも挙げた導電膜のような目視できない透明な部材を採用すると、一部に生じた破損や剥離を検出するのは難しくなる。そのため、この導電性部材43を、加熱室2内の視認性を損なわない範囲で目視できる金属メッシュのような部材とすることが、導電性部材43の一部破損や剥離を検出する点で好ましい。
【0023】
また、導電性部材43としては、金属メッシュに限定されるものではなく、金属を格子状(メッシュ状)に印刷したものであってもよい。例えば、庫内側ガラス41の面上または庫外側ガラス42の面上にペースト状にした導電性部材をスクリーン印刷によって形成することができる。
【0024】
図5は、第1実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図である。
図5に示すように、チョーク構造部26は、例えば鉄製の金属板を複数回曲げるとともに周方向に沿って櫛歯状に構成されたものである。なお、
図5では、チョーク構造部26がドア20Aの上部の一部しか図示していないが、ドア20Aの上部、下部、左側部および右側部の全周に渡って連続して形成されているものである。ちなみに、ドアベース21の一部は、加熱室前板3に接触する構造であり、ドアベース21と加熱室前板3とが隙間なく接触していればドア20Aの周囲からマイクロ波は漏洩しない。しかし、オーブン加熱などでドアベース21や加熱室前板3が高温に加熱された場合、金属の膨張により表面の平面度が変わることがある。この場合、ドアベース21と加熱室前板3の間にわずかな隙間が生じ、隙間からマイクロ波が漏洩する可能性がある。そこで、ドアベース21の周囲には、前記したチョーク構造部26が備えられている。
【0025】
ドアベース21は、チョーク構造部26の前端において下方に延びる板部21aと、この板部21aの下端において後方(加熱室前板3側)に向けて延びる板部21bと、を有している。また、ドアベース21は、板部21bの後端から下方(マイクロ波遮蔽ガラス40Aの上端側)に向けて延びる板部21cと、この板部21cの下端から前方に延びた後に下方に延びるL字状の板部21dと、を有している。板部21cは、ドア閉時に加熱室前板3に接触するようになっている。板部21dは、庫外側ガラス42の外周縁部の庫外側の面と対向する位置に配置される。なお、
図5では、ドアベース21がドア20Aの上部の一部しか図示していないが、チョーク構造部26と同様に、ドア20Aの上部、下部、左側部および右側部の全周に渡って連続して形成されている。
【0026】
図6は、第1実施形態の加熱調理器のマイクロ波遮蔽ガラスを示す斜視図、
図7は、
図6のマイクロ波遮蔽ガラスの角部の拡大斜視図である。なお、
図6は、マイクロ波遮蔽ガラス40Aの右側半分の図示を省略している。また、
図6において二点鎖線で示すものは、折り畳む前の導電性部材43の形状を示している。
【0027】
図6の二点鎖線で示すように、マイクロ波遮蔽ガラス40Aは、導電性部材43が庫内側ガラス41と庫外側ガラス42との間から外側に突出するように形成されている。また、マイクロ波遮蔽ガラス40Aは、導電性部材43の角部に四角形状に切り欠かれた切欠部43Sが形成されている。
【0028】
また、
図6の実線で示すように、マイクロ波遮蔽ガラス40Aは、庫内側ガラス41および庫外側ガラス42の上端縁部から飛び出した導電性部材43Aが、庫外側ガラス42の上端縁部において前方に曲げられた後、庫外側ガラス42の前端面において下方に曲げられる。また、マイクロ波遮蔽ガラス40Aは、庫内側ガラス41および庫外側ガラス42の左側端縁部から飛び出した導電性部材43Bが、庫外側ガラス42の左側端縁部において前方に曲げられた後、庫外側ガラス42の前端面において右側方に曲げられる。また、マイクロ波遮蔽ガラス40Aは、庫内側ガラス41および庫外側ガラス42の下端縁部から飛び出した導電性部材43Cが、庫外側ガラス42の下端縁部において前方に曲げられた後、庫外側ガラス42の前端面において上方に曲げられる。なお、図示していないが、マイクロ波遮蔽ガラス40Aについても、庫内側ガラス41および庫外側ガラス42の右側端縁部から飛び出した導電性部材43が、庫外側ガラス42の右側端縁部において前方に曲げられた後、庫外側ガラス42の前端面において左側方に曲げられる。
【0029】
導電性部材43Aは、庫外側ガラス42の前端面の外周縁部と重なるように前方に折り返される。導電性部材43Bは、庫外側ガラス42の前端面の外周縁部と重なるように折り返される。そして、導電性部材43Aと導電性部材43Bとは角部において一部が重なる。なお、図示していないが、その他の3つの角部についても、前記と同様にして、飛び出した導電性部材43が重なるようにして折り曲げられる。このように、角部に切欠部43Sを形成した導電性部材43を用いることで、導電性部材43を折り曲げ易くなり、マイクロ波遮蔽ガラス40Aの生産性を上げることができる。
【0030】
図8は、別の実施形態のマイクロ波遮蔽ガラスを示す斜視図であり、
図9は、
図8のマイクロ波遮蔽ガラスの角部の拡大斜視図である。なお、
図8において二点鎖線で示すものは、折り畳む前の導電性部材43の形状を示している。
図8の二点鎖線で示すように、マイクロ波遮蔽ガラス40Bは、導電性部材43の折り畳む前の形状が、
図6に示す切欠部43Sが形成されていない点で異なっている。なお、庫内側ガラス41および庫外側ガラス42から飛び出す導電性部材43の幅は
図6および
図7と同様である。
【0031】
図9に示すように、マイクロ波遮蔽ガラス40Bは、庫内側ガラス41および庫外側ガラス42の上端縁部から飛び出した導電性部材43Eが、庫外側ガラス42の上端縁部において前方に曲げられた後、庫外側ガラス42の前端面において下方に曲げられる。そして、庫内側ガラス41と庫外側ガラス42の左側端縁部から飛び出した導電性部材43Fを折り畳んで折り返す。なお、角部については、重なり合った導電性部材43が外側にはみ出さないように折り畳まれる。
【0032】
このように、
図8および
図9に示すマイクロ波遮蔽ガラス40Bは、庫外側ガラス42の外周縁部の全体を導電性部材43によって覆うことができるので、マイクロ波漏洩リスクをマイクロ波遮蔽ガラス40Aよりも抑制することができる。
【0033】
図10は、第1実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
図10に示すように、導電性部材43Aの前方に折り曲げられた外周縁部43sは、庫外側ガラス42の前方を向く外周面42aと重なった状態で配置される。また、導電性部材43Aの外周縁部43sは、ドアベース21の板部21dの前面と重なった状態で配置される。また、導電性部材43Aの外周縁部43sは、板部21dの後面21d1に対して庫内側(加熱室2側)から押し付けられた状態でドアベース21に固定される。すなわち、シリコーンシール剤50(シール剤)を導電性部材43A(庫内側ガラス41および庫外側ガラス42から外側に飛び出した導電性部材43)とドアベース21(板部21c,21d)とに跨るように塗布することによって、導電性部材43Aの外周縁部43sがドアベース21の板部21dに密着した状態で固定される。なお、シリコーンシール剤50は、耐熱性、接着性などを有するものである。
【0034】
なお、図示省略しているが、シリコーンシール剤50は、マイクロ波遮蔽ガラス40Aの上端縁部、下端縁部、左端縁部および右端縁部の全体(全周)に連続的に塗布されている。これによって、マイクロ波遮蔽ガラス40Aに設けられた導電性部材43は、ドアベース21(チョーク構造部26)と電気的に接続される。そして、ドアベース21は、本体10(筐体)を介してアースに接地される。
【0035】
以上説明したように、第1実施形態の加熱調理器1Aは、被加熱物を収容する加熱室2と、被加熱物をマイクロ波加熱するレンジ加熱手段30と、加熱室2に対して開閉可能なドア20Aと、ドア20Aの外周に設けられたドアベース21と、を備える。ドア20Aは、加熱室2と対向して配置される庫内側ガラス41および庫外側ガラス42と、庫内側ガラス41および庫外側ガラス42に積層される導電性部材43と、を備えたマイクロ波遮蔽ガラス40Aを有する。この導電性部材43は、ドアベース21と全周に渡って電気的に接続されている。これによれば、マイクロ波遮蔽ガラス40Aの導電性部材43がドアベース21に電気的に接続されるので、ガラス(庫内側ガラス41および庫外側ガラス42)から漏洩するマイクロ波を抑えることができる。
【0036】
また、第1実施形態において、導電性部材43は、メッシュ状に形成した金属メッシュである。これによれば、従来において一般的に使用されているパンチングメタルよりも開口率を高めることができるので、ドア20Aを閉めて庫外から加熱室2内を覗いたときの視認性を高めることが可能になる。その結果、加熱室2内の被調理物の調理状況をより明確に認識できる。
【0037】
また、第1実施形態において、導電性部材43は、金属を印刷によってメッシュ状に形成したもの、換言すると、メッシュ状の金属膜であってもよい。これによれば、金属メッシュなどのように編む形状のものに比べて、容易にメッシュ形状を構成することができ、導電性部材43の生産性を高めることが可能になる。
【0038】
また、第1実施形態において、導電性部材43は、ドアベース21に対して全周に渡って連続的に接続されている。これによれば、マイクロ波の漏れをより確実に抑えることができる。
【0039】
また、第1実施形態において、マイクロ波遮蔽ガラス40Aは、導電性部材43の加熱室2側に位置する庫内側ガラス41と、加熱室2とは反対側に位置する庫外側ガラス42とによって導電性部材43を間に挟み、接着して構成されている。これによれば、庫内側ガラス41と庫外側ガラス42とが接着固定されていることで、衝撃などで破損したときのガラスの飛散を抑制できる。
【0040】
また、第1実施形態において、導電性部材43とドアベース21は、シリコーンシール剤50によって固定されている。これによれば、導電性部材43とドアベース21との密着させた状態で固定することができ、マイクロ波の漏洩をより確実に抑制できるとともに、マイクロ波遮蔽ガラス40Aとドアベース21との隙間からドア20A内に異物が入り込むのを防止できる。
【0041】
また、第1実施形態では、ドア20Aにパンチングメタルを搭載しないことで、ドア20Aの軽量化が可能になり、操作性を向上できる。
【0042】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
図12は、第2実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する(第3実施形態以降についても同様である)。
図11に示すように、第2実施形態の加熱調理器1Bは、マイクロ波遮蔽ガラス40Cを備えたドア20Bを有している。このマイクロ波遮蔽ガラス40Cは、庫内側ガラス41と、庫外側ガラス42と、導電性部材43と、を備えて構成されている。また、マイクロ波遮蔽ガラス40Cは、庫内側ガラス41と庫外側ガラス42の上端縁部(外周縁部)から鉛直方向の上方に飛び出した外周縁部43tを有している。この外周縁部43tは、ドアベース21の板部21cと重なる位置まで飛び出している。なお、外周縁部43tは、加熱室前板3と重ならない位置まで延びている。
【0043】
そして、導電性部材43の外周縁部43tは、シリコーンシール剤50を介して、マイクロ波遮蔽ガラス40Cがドアベース21(板部21cの後面)に対して庫内側から押し付けられた状態で固定される。
【0044】
図12に示すように、ドアベース21の板部21cと導電性部材43の外周縁部43tは、溶接によって固定されている。すなわち、スポット溶接によって形成された溶接部(電気的接続部、アースポイント)60がドアベース21の周方向に沿って断続的に形成されている。また、図示省略しているが、溶接部60は、マイクロ波遮蔽ガラス40Cの上部だけではなく、下部、左側部および右側部の周方向の全体に渡って断続的に形成されている。なお、板部21cと外周縁部43tとの接続方法としては、溶接に限定されるものではなく、かしめであってもよく、ネジ留めであってもよく、適宜選択することができる。
【0045】
また、溶接部60と溶接部60との間隔(ピッチP)は、レンジ加熱手段30の発振周波数の(1/4)波長以下に設定される。例えば、周波数が2.45GHzの場合、ピッチPは31mm以下に設定される。なお、ピッチPが短くなればなるほど、マイクロ波の遮断性を高めることができる。
【0046】
なお、溶接部60を断続的に形成する構成に限定されるものではなく、溶接部を周方向に沿って連続的に形成する構成であってもよい。
【0047】
このように構成された第2実施形態において、導電性部材43は、ドアベース21に対して全周に渡って断続的に接続されている。これによれば、全周に渡って連続的に形成する場合よりも、製造が容易になるとともに、コスト的に安価になる。
【0048】
また、第2実施形態において、断続的に接続される溶接部60は、溶接によって形成されている。これによれば、電気的接続部を確実かつ迅速に形成することができる。
【0049】
また、第2実施形態において、断続的に接続される溶接部60のピッチは、レンジ加熱手段30の発振周波数の(1/4)波長以下である。これによれば、マイクロ波を確実に遮断することができる。
【0050】
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
図13に示すように、第3実施形態の加熱調理器1Cは、第1実施形態のシリコーンシール剤50に替えてシリコーンシール剤51(導電性のシール剤)にしたドア20Cを備えている。このシリコーンシール剤51は、第1実施形態のシリコーンシール剤50とは異なり、導電性を有するものである。例えば、シリコーンシール剤51は、シリコーン樹脂にカーボンブラックなどの導電材を混合したものである。第1実施形態と同様に、導電性部材43Aの外周縁部43sは、板部21dの後面に対して庫内側(加熱室2側)から押し付けられた状態でドアベース21に固定される。これにより、導電性部材43とドアベース21とが電気的に接続される。
【0051】
このように構成された第3実施形態では、導電性部材43とドアベース21が導電性のシリコーンシール剤51によって固定されている。これによれば、第1実施形態のシリコーンシール剤50に比べて、より確実に電気的接続を得ることができる。
【0052】
(第4実施形態)
図14は、第4実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
図14に示すように、第4実施形態の加熱調理器1Dは、第1実施形態のマイクロ波遮蔽ガラス40Aに替えてマイクロ波遮蔽ガラス40Dとしたドア20Dを備えている。このマイクロ波遮蔽ガラス40Dは、庫内側ガラス41と、庫外側ガラス44と、導電性部材43と、を備えている。
【0053】
庫外側ガラス44は、庫内側ガラス41よりも外周が短く形成され、庫内側ガラス41よりも一回り外形が小さく形成されている。また、庫外側ガラス44は、庫内側ガラス41から外周に突出しないように積層され、庫内側ガラス41との間に段差部40aが形成されている。導電性部材43の外周縁部は、庫外側ガラス44の外周縁部より大きく形成されている。これにより、段差部40aには、導電性部材43の外周縁部43uが庫外側を向いて露出している。また、ドアベース21の板部21dは、庫外側ガラス44に当たらない長さに設定されている。
【0054】
導電性部材43の外周縁部43uは、ドアベース21の板部21dの後面に押し付けられた状態で、シリコーンシール剤50を介して固定される。なお、図示省略しているが、外周縁部43uは、庫内側ガラス41の上部、下部、左側部、右側部の4辺に露出して形成され、ドアベース21の全周と接して電気的に接続されている。
【0055】
このように構成された第4実施形態では、庫外側ガラス44が庫内側ガラス41よりも外周が短く形成され、庫内側ガラス41の庫外側の面に導電性部材43が露出している。これによれば、導電性部材43を庫内側ガラス41や庫外側ガラス44から飛び出させて配置する必要がないので、導電性部材43をドアベース21(板部21d)に安定して押し付けることができ、電気的接続を確実に得ることができる。
【0056】
(第5実施形態)
図15は、第5実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図、
図16は、第5実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
図15に示すように、第5実施形態の加熱調理器1Eは、第1実施形態の加熱調理器1Aに別のチョーク構造部27を追加したドア20Eを備えている。このチョーク構造部27は、チョーク構造部26と同様に、加熱室2から漏れ出るマイクロ波を遮断させるものであり、ドアベース21と一体に形成されている。このチョーク構造部27は、ドア20Eの外周に設けられるチョーク構造部26の内側に設けられる。換言すると、チョーク構造部27は、外側ドアガラス25とマイクロ波遮蔽ガラス40Aの外周縁部との間に位置している。
【0057】
チョーク構造部27は、チョーク構造部26と同様に、鉄製の金属板を複数回曲げるとともに周方向に沿って櫛歯状に構成されたものである。なお、
図15では、チョーク構造部27をドア20Eの上部の一部しか図示していないが、ドア20Eの上部、下部、左側部および右側部の全周に渡って形成されている。
【0058】
図16に示すように、チョーク構造部27は、ドアベース21の板部21dの下端に連続して形成されている。すなわち、板部21dの下端から前方に延びる板部27aと、この板部27aの前端から鉛直方向下方に延びる板部27bと、この板部27bの下端から後方に延びる板部27cと、この板部27cの後端から鉛直方向上方に板部27bよりも短く延びる板部27dと、板部27dの上端から前方に短く延びる板部27eと、を有している。
【0059】
また、チョーク構造部27の板部27dは、マイクロ波遮蔽ガラス40Aの庫外側ガラス42との間に隙間S1が形成されている。これにより、庫外側ガラス42にチョーク構造部27が接触して、庫外側ガラス42が傷付くのを防止できる。
【0060】
また、チョーク構造部27がマイクロ波遮蔽ガラス40Aの外周部に位置しているので、庫外から加熱室2内を見たときの視認性が損なわれるのを抑制できる。
【0061】
このように構成された第5実施形態では、チョーク構造部26の内側に当該チョーク構造部26とは別のチョーク構造部27を備える。これによれば、加熱室2からのマイクロ波の漏洩をさらに抑えることができる。
【0062】
なお、第5実施形態では、チョーク構造部27をドアベース21と一体にした場合を例に挙げて説明したが、チョーク構造部27とドアベース21とを別部品(別体)で構成してもよい。その場合、チョーク構造部27とドアベース21とを、溶接、かしめ、またはねじ留めによって接続することができる。また、溶接部と溶接部とのピッチ、かしめ部とかしめ部とのピッチ、ねじ留め部とねじ留め部とのピッチは、レンジ加熱手段30の発振周波数の1/4波長以下に設定される。
【0063】
(第6実施形態)
図17は、第6実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
図17に示すように、第6実施形態の加熱調理器1Fは、第4実施形態のマイクロ波遮蔽ガラス40Dに、別のチョーク構造としてチョーク構造部28を追加したドア20Fを備えている。このチョーク構造部28は、ドアベース21と一体に形成されている。
【0064】
チョーク構造部28は、板部21dの下端から前方に延びる板部28aと、この板部28aの前端から鉛直方向下方に延びる板部28bと、この板部28bの下端から後方に延びる板部28cと、この板部28cの後端から鉛直方向上方に板部28bよりも短く延びる板部28dと、板部28dの上端から前方に短く延びる板部28eと、を有している。板部28a,28b,28d,28eは、第5実施形態の板部27a,27b,27d,27eと同様に構成されている。板部28cは、第5実施形態の板部27cよりも、庫外側ガラス44の板厚分以上短く形成されている。これにより、チョーク構造部28の板部28dと庫外側ガラス44との間に隙間S2が形成されている。このようにチョーク構造部28によって庫外側ガラス44が傷付くのを防止できる。
【0065】
(第7実施形態)
図18は、第7実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図である。
図19は、第7実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
図18に示すように、第7実施形態の加熱調理器1Gは、チョーク構造部26,27,28とはさらに別のチョーク構造部29を備えたドア20Gを有している。このチョーク構造部29は、上下二段にチョーク構造部29a,29b(いわゆる、ダブルチョーク構造)を備え、ドアベース21と一体に形成されている。
【0066】
図18に示すように、チョーク構造部29aは、チョーク構造部29bよりも下側(内側)に位置し、周方向に沿って櫛歯状に形成されている。チョーク構造部29bは、チョーク構造部29aの櫛歯の欠けた位置に形成され、周方向に沿って櫛歯状に形成されている。このようなチョーク構造部29を備えることにより、単段のチョーク構造部27,28に比べて、マイクロ波の遮断性を高めることができる。また、チョーク構造部29を適用することで、製品のばらつきに対する許容度を高めることもできる。
【0067】
図19に示すように、チョーク構造部29は、導電性部材43の外周縁部43sよりも内側に位置している。また、チョーク構造部29aと庫外側ガラス42との間には、隙間S3が形成されている。また、チョーク構造部29bと庫外側ガラス42との間には、隙間S4が形成されている。これにより、チョーク構造部29によって庫外側ガラス42が傷付くのを防止できる。
【0068】
なお、第7実施形態では、チョーク構造部29がドアベース21と一体に形成された場合を例に挙げて説明したが、第5実施形態において説明したように、チョーク構造部29とドアベース21とを別部品(別体)で構成してもよい。その場合、チョーク構造部29とドアベース21とが、溶接、かしめ、またはねじ留めによってお互いが接続される。また、溶接部と溶接部とのピッチ、かしめ部とかしめ部とのピッチ、ねじ留め部とねじ留め部とのピッチは、レンジ加熱手段30の発振周波数の1/4波長以下に設定される。
【0069】
(第8実施形態)
図20は、第8実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図である。
図21は、第8実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
図20に示すように、第8実施形態の加熱調理器1Hは、第4実施形態のマイクロ波遮蔽ガラス40Dに替えてマイクロ波遮蔽ガラス40Eとしたドア20Hを備えている。このマイクロ波遮蔽ガラス40Eは、庫内側ガラス45と、庫外側ガラス42と、導電性部材43と、を備えている。
【0070】
庫内側ガラス45は、庫外側ガラス42よりも外周が短く形成され、庫外側ガラス42よりも一回り外形が小さく形成されている。また、庫内側ガラス45は、庫外側ガラス42の外周部よりも内側に位置し、庫外側ガラス42と庫内側ガラス45との間に段差部40bが形成されている。この段差部40aには、導電性部材43の外周縁部43vが露出している。また、導電性部材43は、庫外側ガラス42から外側にはみ出さないように構成されている。
【0071】
また、ドア20Hは、マイクロ波遮蔽ガラス40Eを保持するための保持部材70を備えている。この保持部材70は、ドアベース21の板部21aに沿って配置される保持板部70aと、板部21bに沿って配置される保持板部70bと、板部21cに沿って配置される保持板部70cと、板部21dに沿って配置される保持板部70dと、を備えて構成されている。例えば、保持板部70aは、板部21aに、溶接、かしめ、ねじ留めなどによって互いに固定されている。また、保持部材70の固定方法としては、ドアベース21の板部21aと保持板部70aとを、ねじを用いてドア枠22の樹脂部材に共締めするようにしてもよい。
【0072】
図21に示すように、保持部材70の保持板部70dの後面に庫外側ガラス42の外周面が押し付けられるとともに、ドアベース21の板部21dが導電性部材43の外周縁部43vに押し付けられた状態で、シリコーンシール剤50を用いてマイクロ波遮蔽ガラス40Eがドアベース21に固定される。なお、シリコーンシール剤50は、ドアベース21の板部21dと庫内側ガラス45とに跨って塗布される。
【0073】
このように構成された第8実施形態では、庫外側ガラス42を押し付けて保持する保持部材70を備える。庫内側ガラス45は、庫外側ガラス42よりも外周が短く形成され、庫外側ガラス42の庫内側(加熱室2側)の面に導電性部材43が露出している。これによれば、庫外側ガラス42が庫内側ガラス45よりも大きく形成され、露出した導電性部材43(外周縁部43v)が庫内側を向く構成であっても、ドアベース21を導電性部材43に押し付けるようにして固定することができ、電気的な接続を得ることができる。
【0074】
(第9実施形態)
図22は、第9実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図である。
図23は、第9実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
図22に示すように、第9実施形態の加熱調理器1Iは、単層ガラス46(ガラス)からなるマイクロ波遮蔽ガラス40Fを備えたドア20Iを有している。このマイクロ波遮蔽ガラス40Fは、透明な単層ガラス46と、この単層ガラス46の庫外側の面に設けられる導電性部材43と、を有している。また、単層ガラス46と導電性部材43の外周縁部は互いに一致する形状である。なお、単層ガラス46は、マイクロ波遮蔽ガラス40Aに用いられる庫内側ガラス41や庫外側ガラス42と同様なものである。
【0075】
図23に示すように、マイクロ波遮蔽ガラス40Fは、導電性部材43が庫外側(加熱室2とは反対側)を向いた状態で配置される。また、導電性部材43は、単層ガラス46と外側ドアガラス25との間の空間Qに配置される。そして、導電性部材43の外周縁部43wがドアベース21の板部21dの後面に押し付けられた状態で、シリコーンシール剤(図示省略)を介して固定される。
【0076】
このように構成された第9実施形態では、ドア20Iがマイクロ波遮蔽ガラス40Fの庫外側に配置される透明な外側ドアガラス25を備える。マイクロ波遮蔽ガラス40Fは、単層ガラス46である。単層ガラス46には、庫外側の面に導電性部材43が設けられている。これによれば、導電性部材43が外側ドアガラス25と単層ガラス46との間の封止された空間Qに位置するので、導電性部材43(金属メッシュなど)が傷付くのを防止することができる。また、単層ガラス46にすることで、マイクロ波遮蔽ガラス40Fを軽量化することができ、ドア20Iの軽量化が可能になる。
【0077】
(第10実施形態)
図24は、第10実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面斜視図である。
図25は、第10実施形態の加熱調理器のドア内部構造を示す断面図である。
図24に示すように、第10実施形態の加熱調理器1Jは、第9実施形態のドア20Iに、チョーク構造部27を追加したドア20Jを備えている。チョーク構造部27は、第5実施形態のチョーク構造部27と同様である。
【0078】
図25に示すように、導電性部材43とチョーク構造部27の板部27dとの間には、隙間S5が形成されている。これにより、チョーク構造部27によって導電性部材43が傷付くのを防止することができる。なお、
図24および
図25では、導電性部材43を板部21dに押し付けた状態で固定するシリコーンシール剤の図示を省略している。
【0079】
(第11実施形態)
図26は、第11実施形態の加熱調理器のドア内部構造をドア側から見たときの断面斜視図、
図27は、第11実施形態の加熱調理器のドア内部構造を庫内側から見たときの断面斜視図、
図28は、第11実施形態の加熱調理器のドアの構造を示す平面図である。
図26および
図27に示すように、第11実施形態の加熱調理器1Kは、被加熱物を収容する加熱室2と、被加熱物をマイクロ波加熱するレンジ加熱手段30(加熱源)と、加熱室2に対して開閉可能なドア20Kと、ドア20Kの庫外側と庫内側に設けられる外側ドアガラス91および内側ドアガラス92と、ドアベース21と、を備える。
【0080】
外側ドアガラス91と内側ドアガラス92の少なくとも一方は、接着固定された複層ガラスによって構成されている。すなわち、外側ドアガラス91と内側ドアガラス92のうちの外側ドアガラス91のみを複層ガラスにしてもよく、または内側ドアガラス92のみを複層ガラスにしてもよく、あるいは双方を複層ガラスにしてもよい。なお、複層ガラスは、2枚またはそれ以上の枚数のガラス板を接着剤を介して固定して得られたものである。
【0081】
なお、パンチングメタル93は、ドアベース21と一体に形成され、電気的接続が行われている。このパンチングメタル93は、
図28に示すように、鉄板に複数の丸孔が上下左右に配置されたものである。
【0082】
ところで、加熱調理器を落下したり、ドアガラスに衝撃を与えたりすると、ガラスが飛散するという課題がある。そこで、第11実施形態のような構成にすることで、外側ドアガラス91と内側ドアガラス92の少なくとも一方を複層ガラスにすることで、落下や衝撃によるガラスの飛散を抑制することが可能になる。
【0083】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例が含まれる。例えば、第1実施形態と第10実施形態とを適宜組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1A~1I 加熱調理器
2 加熱室
3 加熱室前板
20A~20I ドア
21 ドアベース
21a,21b,21c,21d 板部
25 外側ドアガラス
26 チョーク構造部
27,28 チョーク構造部(別のチョーク構造部)
29 チョーク構造部(二段のチョーク構造部)
30 レンジ加熱手段(加熱源)
40A~40F マイクロ波遮蔽ガラス
41,45 庫内側ガラス(ガラス)
42,44 庫外側ガラス(ガラス)
43 導電性部材
43s,43t,43u,43v,43w 外周縁部
46 単層ガラス(ガラス)
50 シリコーンシール剤(シール剤)
51 シリコーンシール剤(導電性のシール剤)
60 溶接部(電気的接続部)
70 保持部材
P ピッチ
Q 空間
S5 隙間