(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187558
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】ディスクブレーキ装置用モータギヤユニット及びディスクブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
B60T 13/74 20060101AFI20221213BHJP
F16D 65/18 20060101ALI20221213BHJP
F16D 65/22 20060101ALI20221213BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20221213BHJP
F16H 25/22 20060101ALI20221213BHJP
F16H 37/12 20060101ALI20221213BHJP
F16H 37/06 20060101ALI20221213BHJP
H02K 7/102 20060101ALI20221213BHJP
F16D 121/18 20120101ALN20221213BHJP
F16D 125/20 20120101ALN20221213BHJP
F16D 125/34 20120101ALN20221213BHJP
F16D 125/40 20120101ALN20221213BHJP
F16D 127/06 20120101ALN20221213BHJP
F16D 129/14 20120101ALN20221213BHJP
【FI】
B60T13/74 G
F16D65/18
F16D65/22
F16H25/20 A
F16H25/22 Z
F16H37/12 Z
F16H37/06 C
H02K7/102
F16D121:18
F16D125:20
F16D125:34
F16D125:40
F16D127:06
F16D129:14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095598
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000516
【氏名又は名称】曙ブレーキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 理夫
(72)【発明者】
【氏名】黒木 健
(72)【発明者】
【氏名】山寺 伸一
【テーマコード(参考)】
3D048
3J058
3J062
5H607
【Fターム(参考)】
3D048BB21
3D048CC49
3D048HH13
3D048HH18
3D048QQ12
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA63
3J058AA69
3J058AA73
3J058AA78
3J058AA84
3J058AA87
3J058AB19
3J058BA03
3J058BA12
3J058CA78
3J058CC22
3J058CC33
3J058CC35
3J058CC73
3J058CC77
3J058DC03
3J058FA01
3J062AA02
3J062AB01
3J062AB22
3J062AC07
3J062CD04
3J062CD22
3J062CD49
3J062CG01
3J062CG19
3J062CG72
3J062CG83
3J062CG95
5H607AA12
5H607EE07
5H607EE31
(57)【要約】
【課題】無励磁作動型ブレーキに潤滑剤が付着するのを防止できる、ディスクブレーキ装置用モータギヤユニットレーキを実現する。
【解決手段】電動モータ40を構成するモータ軸58のうち、第1接続部60に減速機構41を接続し、かつ、第2接続部61に無励磁作動型ブレーキ42を接続する。ディスクブレーキ装置1を車体に取り付けた状態で、モータ軸58を上下方向に向けて配置し、かつ、無励磁作動型ブレーキ42を電動モータ40よりも上方に配置する。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、電動モータと、減速機構と、無励磁作動型ブレーキと、を備えたディスクブレーキ装置用モータギヤユニットであって、
前記ハウジングは、モータ収容部と、ギヤ収容部と、ブレーキ収容部とを有し、ディスクブレーキ装置を構成するキャリパに支持固定されるものであり、
前記電動モータは、軸方向一方側部に前記減速機構に接続される第1接続部を有し、かつ、軸方向他方側部に前記無励磁作動型ブレーキに接続される第2接続部を有するモータ軸を備え、前記モータ収容部の内側に配置されており、
前記減速機構は、前記第1接続部に接続され、前記電動モータの回転を前記キャリパのシリンダ内に配置された回転直動変換機構に伝達するもので、前記ギヤ収容部の内側に配置されており、
前記無励磁作動型ブレーキは、前記第2接続部に接続され、無通電時に前記モータ軸の回転を阻止するもので、前記ブレーキ収容部の内側に配置されており、
前記ディスクブレーキ装置を車体に取り付けた状態で、前記モータ軸が上下方向に向けて配置され、かつ、前記無励磁作動型ブレーキが前記電動モータよりも上方に配置される、
ディスクブレーキ装置用モータギヤユニット。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記モータ収容部と前記ギヤ収容部とを仕切る、第1仕切り壁をさらに有する、
請求項1に記載したディスクブレーキ装置用モータギヤユニット。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記モータ収容部と前記ブレーキ収容部とを仕切る、第2仕切り壁をさらに有する、
請求項1~2のうちのいずれか1項に記載したディスクブレーキ装置用モータギヤユニット。
【請求項4】
前記減速機構は、前記第1接続部に接続されたウォームと、前記ウォームと噛合したウォームホイールと、複数の歯車とを有し、
前記ウォームホイール及び前記複数の歯車のそれぞれの回転中心軸は、前記回転直動変換機構の中心軸と略平行に配置される、
請求項1~3のうちのいずれか1項に記載したディスクブレーキ装置用モータギヤユニット。
【請求項5】
前記減速機構は、前記第1接続部に接続されたウォームと、前記ウォームと噛合したウォームホイールと、それぞれが前記回転直動変換機構に直接又は他の部材を介して接続される複数の最終歯車と、入力された動力を複数の前記最終歯車に分配して伝達する動力分配機構とを有する、
請求項1~4のうちのいずれか1項に記載したディスクブレーキ装置用モータギヤユニット。
【請求項6】
前記最終歯車が2つ備えられており、
2つの前記最終歯車のそれぞれの回転中心軸に対して直交する仮想線と、前記モータ軸とが、略平行に配置されている、
請求項5に記載したディスクブレーキ装置用モータギヤユニット。
【請求項7】
ロータよりも軸方向内側にシリンダを有するキャリパと、
前記シリンダ内に嵌装されたピストンと、
前記シリンダ内に配置され、回転運動を直線運動に変換することで前記ピストンを前記ロータに向けて押し出す、回転直動変換機構と、
前記キャリパに対して支持固定され、前記回転直動変換機構を駆動する、モータギヤユニットと、を備え、
前記モータギヤユニットが、請求項1~6のうちのいずれか1項に記載したディスクブレーキ装置用モータギヤユニットである、
ディスクブレーキ装置。
【請求項8】
前記シリンダ、前記ピストン及び前記回転直動変換機構を複数ずつ有する、
請求項7に記載したディスクブレーキ装置。
【請求項9】
前記回転直動変換機構は、スピンドルと、ナットとを含んで構成されており、
前記減速機構は、前記スピンドルに対して前記電動モータの回転を伝達する、
請求項7~8のうちのいずれか1項に記載したディスクブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクブレーキ装置用モータギヤユニット及びディスクブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクブレーキ装置は、放熱性に優れるとともに、走行時における制動力の細かな調節が可能であるなどの理由から、自動車の前輪だけでなく、後輪にも採用されるケースが増えている。
【0003】
ディスクブレーキ装置は、制動力を得るために作動油を利用する油圧式のディスクブレーキ装置と、制動力を得るために電気的に駆動可能なアクチュエータを利用する電動式のディスクブレーキ装置とに、大別することができる。
【0004】
電動式のディスクブレーキ装置としては、特開2018-184093号公報などに開示されるように、サービスブレーキによる制動力を、シリンダ内にブレーキオイル(フルード)を送り込むことにより発生させ、パーキングブレーキによる制動力を、電動モータにより回転直動変換機構などの電動式のアクチュエータを駆動して発生させる、電動パーキングブレーキ式の構造が知られている。
【0005】
電動パーキングブレーキ式のディスクブレーキ装置においては、自動車のエンジンを停止し、電動モータへの通電が停止した状態においても、パーキングブレーキによる制動力を保持する必要がある。
【0006】
そこで、特開2016-50629号公報などに開示されるように、電動モータと、パッドを押圧するピストンとの間に、セルフロック機能を備えたウォーム減速機構を設けることが考えられている。このような構成によれば、電動モータへの通電を停止した状態においても、パッドをロータに押し付けたままの状態に維持することが可能になり、パーキングブレーキによる制動力を保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-184093号公報
【特許文献2】特開2016-50629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ただし、セルフロック機能を備えたウォーム減速機構は、セルフロック機能を備えていないウォーム減速機構に比べて、摩擦抵抗(エネルギロス)が大きく、入出力特性(効率)が低くなりやすい。
【0009】
このような事情に鑑みて、本発明者等は、セルフロック機能を備えたウォーム減速機構に代えて、無励磁作動型ブレーキを使用することにより、電動モータへの通電を停止した状態で、パーキングブレーキによる制動力を保持することを考えた。そして、無励磁作動型ブレーキを、モータギヤユニット(MGU)に組み込む、すなわち、電動モータ及び減速機構を収容したハウジングに収容することを考えた。
【0010】
ところが、無励磁作動型ブレーキを、電動モータ及び減速機構を収容したハウジングに単に収容しただけでは、減速機構を潤滑するためのグリースなどの潤滑剤が、無励磁作動型ブレーキに付着する可能性がある。このため、電動モータへの通電を停止した際に、パーキングブレーキによる制動力を十分に保持できなくなる可能性がある。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、潤滑剤が、無励磁作動型ブレーキに付着するのを防止できる、ディスクブレーキ装置用モータギヤユニット及びディスクブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置用モータギヤユニットは、ハウジングと、電動モータと、減速機構と、無励磁作動型ブレーキと、を備える。
前記ハウジングは、モータ収容部と、ギヤ収容部と、ブレーキ収容部とを有し、ディスクブレーキ装置を構成するキャリパに支持固定される。
前記電動モータは、軸方向一方側部に前記減速機構に接続される第1接続部を有し、かつ、軸方向他方側部に前記無励磁作動型ブレーキに接続される第2接続部を有するモータ軸を備え、前記モータ収容部の内側に配置されている。
前記減速機構は、前記第1接続部に接続され、前記電動モータの回転を前記キャリパのシリンダ内に配置された回転直動変換機構に伝達するもので、前記ギヤ収容部の内側に配置されている。
前記無励磁作動型ブレーキは、前記第2接続部に接続され、無通電時に前記モータ軸の回転を阻止するもので、前記ブレーキ収容部の内側に配置されている。
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置用モータギヤユニットは、前記ディスクブレーキ装置を車体に取り付けた状態で、前記モータ軸が上下方向に向けて配置され、かつ、前記無励磁作動型ブレーキが前記電動モータよりも上方に配置される。
【0013】
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置用モータギヤユニットでは、前記ハウジングを、前記モータ収容部と前記ギヤ収容部とを仕切る、第1仕切り壁をさらに有するものとすることができる。
【0014】
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置用モータギヤユニットでは、前記ハウジングを、前記モータ収容部と前記ブレーキ収容部とを仕切る、第2仕切り壁をさらに有するものとすることができる。
【0015】
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置用モータギヤユニットでは、前記減速機構を、前記第1接続部に接続されたウォームと、前記ウォームと噛合したウォームホイールと、複数の歯車とを有するものとし、前記ウォームホイール及び前記複数の歯車のそれぞれの回転中心軸を、前記回転直動変換機構の中心軸と略平行に配置することができる。
【0016】
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置用モータギヤユニットでは、前記減速機構を、前記第1接続部に接続されたウォームと、前記ウォームと噛合したウォームホイールと、それぞれが前記回転直動変換機構に直接又は他の部材を介して接続される複数の最終歯車と、入力された動力を複数の前記最終歯車に分配して伝達する動力分配機構とを有するものとすることができる。
【0017】
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置用モータギヤユニットでは、前記最終歯車を2つ備え、2つの前記最終歯車のそれぞれの回転中心軸に対して直交する仮想線と、前記モータ軸とを、略平行に配置することができる。
【0018】
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置では、ロータよりも軸方向内側にシリンダを有するキャリパと、前記シリンダ内に嵌装されたピストンと、前記シリンダ内に配置され、回転運動を直線運動に変換することで前記ピストンを前記ロータに向けて押し出す回転直動変換機構と、前記キャリパに対して支持固定され、前記回転直動変換機構を駆動するモータギヤユニットと、を備え、前記モータギヤユニットを、本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置用モータギヤユニットとすることができる。
【0019】
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置では、前記シリンダ、前記ピストン及び前記回転直動変換機構を複数ずつ備えることができる。
【0020】
本発明の一態様にかかるディスクブレーキ装置では、前記回転直動変換機構を、スピンドルと、ナットとを含んで構成し、前記減速機構を、前記スピンドルに対して前記電動モータの回転を伝達するものとすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、潤滑剤が、無励磁作動型ブレーキに付着するのを防止できる、ディスクブレーキ装置用モータギヤユニット及びディスクブレーキ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置を、懸架装置に取り付けた状態での姿勢で、軸方向外側から見た正面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置を、懸架装置に取り付けた状態での姿勢で、軸方向内側から見た背面図であるである。
【
図3】
図3は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置を、
図1の上側から見た平面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置を、軸方向外側かつ径方向外側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置を、軸方向内側かつ径方向外側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置から取り外したモータギヤユニットを、軸方向外側から見た正面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の第1例のディスクブレーキ装置から取り外したモータギヤユニットを、軸方向内側から見た背面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態の第1例にかかるモータギヤユニットを、
図8の上側から見た平面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態の第1例にかかるモータギヤユニットを、
図9の右側から見た側面図である。
【
図12】
図12は、実施の形態の第1例にかかるモータギヤユニットを示す、斜視図である。
【
図13】
図13は、実施の形態の第1例にかかるモータギヤユニットを、
図12とは別の角度から見た斜視図である。
【
図14】
図14は、実施の形態の第1例にかかるモータギヤユニットを、
図9に示した状態から塞ぎ板部を取り外して示す背面図である。
【
図15】
図15は、実施の形態の第1例にかかるモータギヤユニットを、
図13に示した状態から塞ぎ板部及び蓋体を取り外して示す斜視図である。
【
図16】
図16は、実施の形態の第1例にかかるモータギヤユニットを、塞ぎ板部及び蓋体を取り外した状態で、
図15とは別の角度から見た斜視図である。
【
図18】
図18は、実施の形態の第1例にかかるモータギヤユニットを、
図14に示した状態から、ウォーム以外の減速機構を取り外して示す図である。
【
図19】
図19は、実施の形態の第1例にかかるモータギヤユニットを、ハウジングを省略して示す斜視図である。
【
図20】
図20は、実施の形態の第1例にかかるモータギヤユニットを構成する無励磁作動型ブレーキを示す平面図である。
【
図21】
図21は、実施の形態の第1例にかかるモータギヤユニットを構成する無励磁作動型ブレーキの分解斜視図である。
【
図23】
図23は、実施の形態の第1例にかかる減速機構を示す、模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、
図1~
図23を用いて説明する。
【0024】
〔ディスクブレーキ装置の全体構成〕
本例のディスクブレーキ装置1は、電動パーキングブレーキ式のディスクブレーキ装置であり、油圧式のサービスブレーキとしての機能と、電動式のパーキングブレーキとしての機能を併せ持っている。
【0025】
ディスクブレーキ装置1は、フローティング型のディスクブレーキ装置であり、サポート2と、キャリパ3と、1対のパッド4a、4b(アウタパッド4a、インナパッド4b)と、2個のピストン5a、5b(第1ピストン5a、第2ピストン5b)と、2個の回転直動変換機構6a、6b(第1回転直動変換機構6a、第2回転直動変換機構6b)と、モータギヤユニット7とを備える。
【0026】
なお、本例は、本発明を比較的大型の車両に組み込まれるディスクブレーキ装置に適用した場合を示している。このため、ディスクブレーキ装置は、ピストン及び回転直動変換機構を2個ずつ備えているが、一般的な乗用車用のディスクブレーキ装置に適用する場合には、ピストン及び回転直動変換機構を1個ずつ備えることができる。
【0027】
ディスクブレーキ装置1は、サービスブレーキによる制動力を、キャリパ3に備えられた第1シリンダ20a及び第2シリンダ20bに、作動油であるブレーキオイル(圧油)を送り込むことによって得る。これに対し、ディスクブレーキ装置1は、パーキングブレーキによる制動力を、作動油を利用せず、モータギヤユニット7により第1回転直動変換機構6a及び第2回転直動変換機構6bを駆動することによって得る。
【0028】
【0029】
〈サポート〉
サポート2は、鋳鉄などの鉄系合金の鋳造品であり、ロータ8の軸方向内側に配置されたサポート基部9と、ロータ8の軸方向外側に配置された外側連結部10と、これらサポート基部9の周方向両外側の端部と外側連結部10の周方向両外側の端部とをそれぞれ軸方向に連結する1対の連結腕部11a、11bとを備えている。連結腕部11a、11bのそれぞれの径方向外側部(ロータパス部)には、軸方向内側に開口した図示しない案内孔が形成されている。サポート2は、サポート基部9の径方向内側部に形成された複数(図示の例では4つ)の取付孔12を利用して、車体を構成する懸架装置に固定される。
【0030】
本例のディスクブレーキ装置1は、サポート2を懸架装置に固定した状態で、
図1及び
図2に示すように、一方の連結腕部11aが上下方向に関して上側に配置され、他方の連結腕部11bが上下方向に関して下側に配置される。
【0031】
〈アウタパッド及びインナパッド〉
アウタパッド4a及びインナパッド4bは、ロータ8の軸方向両側に配置されている。具体的には、アウタパッド4aは、ロータ8の軸方向外側に配置されており、サポート2に対して軸方向に関する変位を可能に支持されている。また、インナパッド4bは、ロータ8の軸方向内側に配置されており、サポート2に対して軸方向に関する変位を可能に支持されている。
【0032】
アウタパッド4a及びインナパッド4bのそれぞれは、ライニング(摩擦材)13と、該ライニング13の裏面を支持した金属製の裏板(プレッシャプレート)14とを備えている。
【0033】
〈キャリパ〉
キャリパ3は、アルミニウム系合金製又は鉄系合金製で、逆U字形状を有している。キャリパ3は、軸方向外側部に押圧部15を有しており、軸方向内側部にクランプ基部16を有している。また、キャリパ3は、ロータ8の径方向外側に配置され、かつ、押圧部15とクランプ基部16とを軸方向に連結するブリッジ部17を有している。
【0034】
クランプ基部16は、基部本体18と、該基部本体18から周方向両外側にそれぞれ伸長した1対の腕部19a、19bとを備えている。基部本体18は、内部に、それぞれが略円柱状の空間である第1シリンダ20a及び第2シリンダ20bを有している。第1シリンダ20a及び第2シリンダ20bのそれぞれは、軸方向外側には開口しているが、軸方向内側の開口は底部21a、21bによって塞がれている。第1シリンダ20a及び第2シリンダ20bは、ディスクブレーキ装置1を懸架装置に取り付けた状態で、
図6に示すように、上下方向に配置される。
【0035】
第1シリンダ20a内には、第1ピストン5aが嵌装されており、第2シリンダ20b内には、第2ピストン5bが嵌装されている。第1ピストン5a及び第2ピストン5bのそれぞれは、たとえばS10CやS45Cなどの炭素鋼製で、有底円筒状に構成されている。
【0036】
第1ピストン5a及び第2ピストン5bの内周面には、雌スプライン23a、23bが備えられている。第1ピストン5aの外周面と第1シリンダ20aの内周面との間部分、及び、第2ピストン5bの外周面と第2シリンダ20bの内周面との間部分は、環状のピストンシール24a、24bにより密閉されている。ピストンシール24a、24bは、第1シリンダ20a及び第2シリンダ20bの軸方向外側部の内周面に形成された、シール溝25a、25bに装着されている。
【0037】
第1ピストン5a及び第2ピストン5bのそれぞれの軸方向外側部は、図示しない回り止め機構により、インナパッド4bの裏板14に対して回り止めされている。第1ピストン5aの外周面の軸方向外側部と第1シリンダ20aの軸方向外側の開口縁部との間部分、及び、第2ピストン5bの外周面の軸方向外側部と第2シリンダ20bの軸方向外側の開口縁部との間部分には、ピストンブーツ26a、26bが掛け渡されている。
【0038】
キャリパ3は、サポート2に対して軸方向に関する変位を可能に支持されている。このために、クランプ基部16を構成する1対の腕部19a、19bに、それぞれガイドピン27a、27bの軸方向内側の端部を固定し、ガイドピン27a、27bの軸方向外側の端部乃至中間部を、サポート2を構成する1対の連結腕部11a、11bに形成した案内孔の内側に、軸方向に関する相対変位を可能に挿入している。また、ガイドピン27a、27bの外周面と案内孔の開口部との間に、ブーツ28a、28bを架け渡している。
【0039】
〈回転直動変換機構〉
第1回転直動変換機構6a及び第2回転直動変換機構6bのそれぞれは、
図6及び
図7に示すように、回転運動を直線運動に変換し、作動時に軸方向に関する全長を変化させる送りねじ機構(ボールねじ装置)であり、回転部材であるスピンドル29a、29bと、直動部材であるナット30a、30bと、複数個のボール31a、31bとを備えている。第1回転直動変換機構6aは、第1ピストン5aをロータ8に向けて押し出し、第2回転直動変換機構6bは、第2ピストン5bをロータ8に向けて押し出す。なお、本発明を実施する場合には、スピンドルとナットとを、ボールを介さずに直接接触させる、滑り式の送りねじ装置を利用することもできる。
【0040】
スピンドル29a、29bは、先端部(軸方向外側部)から中間部にわたる外周面に、螺旋状の軸側ボールねじ溝32a、32bを有している。スピンドル29a、29bの基端部(軸方向内側部)は、クランプ基部16の底部21a、21bに形成された貫通孔33a、33bに挿通されており、後述する第1出力軸72及び第2出力軸73の先端部に対して相対回転不能に接続されている。
【0041】
スピンドル29a、29bの基端寄り部分には、円環状の支承リング34a、34bが相対回転不能に外嵌されている。支承リング34a、34bの軸方向内側面と底部21a、21bの軸方向外側面との間には、スラストベアリング35a、35bを配置している。これにより、スピンドル29a、29bに作用する軸方向荷重(軸力)を底部21a、21bによって支承可能とし、かつ、底部21a、21bに対するスピンドル29a、29bの相対回転を可能としている。
【0042】
ナット30a、30bは、内周面に螺旋状のナット側ボールねじ溝36a、36bを有しており、外周面に雄スプライン37a、37bを有している。ナット30aは、第1ピストン5aの内側に配置された状態で、雄スプライン37aを第1ピストン5aに備えられた雌スプライン23aにスプライン係合させている。また、ナット30bは、第2ピストン5bの内側に配置された状態で、雄スプライン37bを第2ピストン5bに備えられた雌スプライン23bにスプライン係合させている。これにより、ナット30aは、第1ピストン5aに対して、軸方向の相対変位を可能にかつ相対回転を不能に係合しており、ナット30bは、第2ピストン5bに対して、軸方向の相対変位を可能にかつ相対回転を不能に係合している。
【0043】
複数個のボール31a、31bは、軸側ボールねじ溝32a、32bとナット側ボールねじ溝36a、36bとの間に形成される螺旋状の負荷路の内側に、転動可能に配置されている。負荷路の始点と終点とは、ナット30a、30bに固定された循環部品38a、38bにより接続されている。
【0044】
本例の第1回転直動変換機構6a及び第2回転直動変換機構6bは、スピンドル29a、29bを回転駆動することで、ナット30a、30bを軸方向に移動させる。具体的には、スピンドル29a、29bを正回転方向に回転駆動した場合には、ナット30a、30bを、ロータ8に対して近づく方向(軸方向外側)に移動させる。これに対し、スピンドル29a、29bを逆回転方向に回転駆動した場合には、ナット30a、30bを、ロータ8から離れる方向(軸方向内側)に移動させる。
【0045】
〈モータギヤユニット〉
モータギヤユニット(MGU、電動駆動装置)7は、第1回転直動変換機構6a及び第2回転直動変換機構6bを電気的に駆動するためのもので、ハウジング39と、電動モータ40と、減速機構41と、無励磁作動型ブレーキ42とを備える。
【0046】
《ハウジング》
ハウジング39は、合成樹脂製又は金属製で、キャリパ3を構成するクランプ基部16に対して支持固定されている。具体的には、ハウジング39は、クランプ基部16の外周面に備えられた1対の取付フランジ部43a、43bを挿通した取付ボルト44a、44b、及び、ハウジング39の径方向内側部を軸方向に挿通した取付ボルト44cを利用して、クランプ基部16の軸方向内側に支持固定されている。
【0047】
ハウジング39は、ハウジング本体45と塞ぎ板部46と蓋体47とから構成されている。ハウジング39は、それぞれが中空状に構成された、モータ収容部48と、ギヤ収容部49と、ブレーキ収容部50とを備えている。
【0048】
モータ収容部48は、内側に電動モータ40を収容する部分である。図示の例では、モータ収容部48は、電動モータ40を構成する後述のモータ本体57の外径よりもわずかに大きな内径を有する、円筒形状を有している。モータ収容部48の中心軸は、周方向に向けて配置されている。本例では、ディスクブレーキ装置1を懸架装置に取り付けた状態で、モータ収容部48の中心軸は上下方向に向けて配置される。
【0049】
ギヤ収容部49は、内側に減速機構41を収容する部分である。図示の例では、ギヤ収容部49は、モータ収容部48よりも容積の大きい筐体に構成されている。
【0050】
ギヤ収容部49は、モータ収容部48に対してのみ連通しており、ブレーキ収容部50に対しては連通していない。本例では、モータ収容部48とギヤ収容部49との間に、モータ収容部48とギヤ収容部49とを仕切る第1仕切り壁51を備えることで、モータ収容部48とギヤ収容部49との連通位置及び連通範囲を限定している。具体的には、
図17に示すように、モータ収容部48とギヤ収容部49とは、電動モータ40を構成する後述のモータ軸58の第1接続部60を挿通可能な、第1仕切り壁51に形成された第1連通孔52によってのみ連通している。第1仕切り壁51は、ハウジング本体45と一体に備えられている。
【0051】
図12に示すように、ギヤ収容部49の軸方向内側面には、スピンドル29a、29bのそれぞれの基端部を挿入可能な2つの挿通孔53a、53bが開口している。挿通孔53a、53bの中心軸は、軸方向に向けて配置されている。ギヤ収容部49の軸方向外側の開口部は、塞ぎ板部46により塞がれている。
【0052】
ブレーキ収容部50は、内側に無励磁作動型ブレーキ42を収容する部分である。図示の例では、ブレーキ収容部50は、矩形筐状に構成されている。
【0053】
ブレーキ収容部50は、モータ収容部48に対してのみ連通している。本例では、
図17に示すように、モータ収容部48とブレーキ収容部50との間に、モータ収容部48とギヤ収容部49とを仕切る第2仕切り壁54を備えることで、モータ収容部48とブレーキ収容部50との連通位置及び連通範囲を限定している。具体的には、モータ収容部48とブレーキ収容部50とは、電動モータ40を構成する後述のモータ軸58の第2接続部61を挿通可能な、第2仕切り壁54に形成された第2連通孔55によって連通している。本例では、第2仕切り壁54は、ハウジング本体45とは別体に構成されており、ハウジング本体45に対して取り付けられている。なお、第2仕切り壁54には、電動モータ40とモータ電極部の逃げとして機能する小通孔56が形成されているが、小通孔56は、第2仕切り壁54に重ねて配置される後述の固定プレート91により実質的に塞がれている。
【0054】
ブレーキ収容部50の上側の開口部は、蓋体47によって塞がれている。
【0055】
図1及び
図2に示すように、ディスクブレーキ装置1を懸架装置に取り付けた状態で、ブレーキ収容部50は、モータ収容部48よりも上方に配置される。したがって、ブレーキ収容部50の内側に配置される無励磁作動型ブレーキ42は、モータ収容部48の内側に配置される電動モータ40よりも上方に配置される。
【0056】
《電動モータ》
電動モータ40は、モータ収容部48の内側に配置されている。電動モータ40は、モータ本体57と、モータ軸58とを有する。なお、
図23では、これらの構成要素(モータ本体57及びモータ軸58)が模式的に示されている。
【0057】
モータ本体57は、円筒形状を有するモータハウジング59と、モータハウジング59の内側に配置された図示しないロータ及びステータとを備える。前記ロータは、モータ軸58の軸方向中間部に支持されている。前記ステータは、前記ロータの周囲に配置され、モータハウジング59の内側に支持されている。
【0058】
モータ軸58は、電動モータ40をモータ収容部48の内側に配置した状態で、モータ収容部48の中心軸と同軸に配置される。ディスクブレーキ装置1を懸架装置に取り付けた状態で、モータ軸58は、上下方向に向けて配置される。
【0059】
モータ軸58の軸方向両側の端部は、モータ本体57から軸方向両側に突出している。モータ軸58は、モータ本体57から突出した軸方向一方側の端部に、減速機構41に接続される軸状の第1接続部60を有する。また、モータ軸58は、モータ本体57から突出した軸方向他方側の端部に、無励磁作動型ブレーキ42に接続される軸状の第2接続部61を有する。モータ軸58は上下方向に向けて配置されるため、第1接続部60は上下方向に関して下側に配置され、第2接続部61は上下方向に関して上側に配置される。
【0060】
電動モータ40は、図示しない制御装置からの指令信号に基づいて、モータ軸58を所定方向に所定角度だけ回転させる。
【0061】
《減速機構》
減速機構41は、電動モータ40のトルク(動力)を増大して、第1回転直動変換機構6a及び第2回転直動変換機構6bに伝達するものである。このため、減速機構41は、電動モータ40の回転を、2本のスピンドル29a、29bに対してそれぞれ伝達する。減速機構41は、ギヤ収容部49の内側に収容されている。
【0062】
減速機構41は、ウォーム減速機構62と、動力分配機構(ディファレンシャル)63と、複数の歯車(平歯車)64a~64eとを有する。なお、
図23では、これらの構成要素(ウォーム減速機構62、動力分配機構63及び複数の歯車64a~64e)の一部が模式的に示されている。
【0063】
ウォーム減速機構62は、電動モータ40を構成するモータ軸58の第1接続部60に接続されている。ウォーム減速機構62は、ウォーム65と、ウォームホイール66とからなり、セルフロック機能を備えていない。このため、本例のウォーム減速機構62は、電動モータ40の回転を、第1回転直動変換機構6a及び第2回転直動変換機構6bに伝達するだけでなく、第1回転直動変換機構6a及び第2回転直動変換機構6bから逆入力された回転を、電動モータ40のモータ軸58に伝達可能である。
【0064】
ウォーム65は、外周面の軸方向中間部にウォーム歯67を有しており、電動モータ40のモータ軸58と同軸に配置されている。ウォーム65は、軸方向他方側の端部(基端部)がモータ軸58の第1接続部60に対して相対回転不能に固定されている。ウォーム65の軸方向一方側の端部は、ギヤ収容部49の内側に、図示しない軸受を介して回転自在に支持されている。
【0065】
ウォームホイール66は、外周面にホイール歯68を有している。ホイール歯68は、ウォーム65に備えられたウォーム歯67と噛合している。ウォームホイール66は、ギヤ収容部49の内側に回転自在に支持された第1中間軸69に対して、相対回転不能に外嵌固定されている。第1中間軸69は、第1回転直動変換機構6aのスピンドル29a及び第2回転直動変換機構6bのスピンドル29bの中心軸と、略平行に配置されている。このため、ウォームホイール66の回転中心軸は、スピンドル29a、29bの中心軸と略平行に配置されている。なお、略平行とは、完全な平行だけでなく、実質的に平行な場合を含む意味である。
【0066】
ギヤ収容部49の内側には、第1中間軸69の他に、第2中間軸70、1対の支持軸71a、71b、第1出力軸72及び第2出力軸73が支持されている。第2中間軸70、1対の支持軸71a、71b、第1出力軸72及び第2出力軸73は、第1中間軸69と略平行に配置されている。第1中間軸69、第2中間軸70、1対の支持軸71a、71b、第1出力軸72及び第2出力軸73は、減速機構41を構成する。
【0067】
第1中間軸69には、ウォームホイール66から軸方向に外れた部分に、第1の歯車64aが相対回転不能に外嵌固定されている。第1の歯車64aは、ホイール歯68よりも歯数が少なく、第2中間軸70に対して相対回転不能に外嵌固定された第2の歯車64bと噛合している。第2中間軸70には、第2の歯車64bから軸方向に外れた部分に、第2の歯車64bよりも歯数の少ない第3の歯車64cが相対回転不能に外嵌固定されている。第3の歯車64cは、動力分配機構63を構成する入力部材74と噛合している。したがって、動力分配機構63は、電動モータ40の動力の伝達方向に関して、ウォーム減速機構62よりも下流側に位置している。
【0068】
動力分配機構63は、入力部材74に入力された動力を、第1出力軸72に相対回転不能に固定された最終歯車である第4の歯車64d、及び、第2出力軸73に相対回転不能に固定された最終歯車である第5歯車64eに対して、分配して伝達する機能を有する。具体的には、スピンドル29a、29bの回転負荷の大きさ(回転しやすさ)に応じた動力を、第4の歯車64d及び第5の歯車64eに分配する。これにより、第1回転直動変換機構6a及び第2回転直動変換機構6bの効率の差などに拘らず、第1回転直動変換機構6aにより第1ピストン5aがインナパッド4bを押圧する力と、第2回転直動変換機構6bにより第2ピストン5bがインナパッド4bを押圧する力とに差が生じることを防止する。
【0069】
動力分配機構63は、1対の支持軸71a、71bと、入力部材(キャリア)74と、第1中間歯車75と、第2中間歯車76と、第1出力部材77と、第2出力部材78とを有する。なお、入力部材74、第1出力部材77及び第2出力部材78についても、外周面に歯部を有する歯車である。
【0070】
1対の支持軸71a、71bは、同軸に配置されており、ギヤ収容部49の内側に回転不能に支持されている。支持軸71a、71bは、動力分配機構63の中心に配置されている。
【0071】
入力部材74は、それぞれが円環形状を有する1対の支持環79a、79bと、1対の支持環79a、79bの間に架け渡された複数本のピン80a、80bとを有する。一方の支持環79aは、外周面に第3の歯車64c噛合する歯部を有しており、内側に第2出力部材78が挿通されている。他方の支持環79bの内側には、第1出力部材77が挿通されている。ピン80a、80bは、支持軸71a、71bと平行に配置されている。
【0072】
第1中間歯車75及び第2中間歯車76は、入力部材74に対して回転自在に支持されている。具体的には、第1中間歯車75及び第2中間歯車76は、ピン80a、80bの周囲に回転自在に支持されており、1対の支持環79a、79bの間部分に配置されている。第1中間歯車75と第2中間歯車76とは、互いに噛合している。
【0073】
第1出力部材77は、中空筒状に構成されており、支持軸71bの周囲に回転自在に支持されている。第1出力部材77は、入力歯部77aと出力歯部77bとを有する。入力歯部77aは、第1中間歯車75に対して噛合している。これに対し、出力歯部77bは、第1出力軸72に対して相対回転不能に外嵌固定された、最終歯車である第4の歯車64dに対して噛合している。
【0074】
第2出力部材78は、中空筒状に構成されており、支持軸71aの周囲に回転自在に支持されている。第2出力部材78は、入力歯部78aと出力歯部78bとを有する。入力歯部78aは、第2中間歯車76に対して噛合している。これに対し、出力歯部78bは、第2出力軸73に対して相対回転不能に外嵌固定された、最終歯車である第5の歯車64eに対して噛合している。
【0075】
このため、第1出力部材77の回転は、出力歯部77bと最終歯車である第4の歯車64dとの噛合部を通じて、第1出力軸72に伝達される。また、第2出力部材78の回転は、出力歯部78bと最終歯車である第5の歯車64eとの噛合部を通じて、第2出力軸73に伝達される。
【0076】
第1出力軸72及び第2出力軸73は、スピンドル29a、29bの中心軸と略平行に配置されている。このため、最終歯車である第4の歯車64d及び第5の歯車64eの回転中心軸は、スピンドル29a、29bの中心軸と略平行に配置されている。また、最終歯車である第4の歯車64d及び第5の歯車64eの回転中心軸に対して直交する仮想線L(
図14参照)と、電動モータ40を構成するモータ軸58とは、略平行に配置されている。
【0077】
第1出力軸72及び第2出力軸73の軸方向外側の端部には、係合孔(セレーション孔)81a、81bが備えられている。本例では、スピンドル29a、29bの軸方向内側の端部(基端部)を、係合孔81a、81に対して相対回転不能に係合させている。これにより、第1出力軸72とスピンドル29aとを、同軸にかつ相対回転不能に接続している。また、第2出力軸73とスピンドル29bとを、同軸にかつ相対回転不能に接続している。
【0078】
動力分配機構63の作動時には、入力部材74が、支持軸71aを中心として回転(自転)することで、第1中間歯車75及び第2中間歯車76を公転させる。
【0079】
そして、第1出力部材77及び第2出力部材78の回転負荷の大きさ、つまり、スピンドル29a、29bの回転負荷の大きさ(回転しやすさ)が互いに同じである場合には、第1中間歯車75及び第2中間歯車76は、互いに噛合したままの状態で、自転せずに公転のみ行い、第1出力部材77及び第2出力部材78に動力を伝達する。このため、第1中間歯車75と噛合した第1出力部材77、及び、第2中間歯車76と噛合した第2出力部材78はともに、同一方向に同一速度で回転する。スピンドル29a、29bの回転負荷の大きさが互いに同じである場合とは、ナット30a、30bの先端部が第1ピストン5a及び第2ピストン5bを押圧せずに、スピンドル29a、29bが無負荷回転している状態をいう。
【0080】
これに対し、第1出力部材77及び第2出力部材78の回転負荷の大きさ、つまり、スピンドル29a、29bの回転負荷の大きさが互いに異なる場合には、第1中間歯車75及び第2中間歯車76は、互いに噛合したままの状態で、公転だけでなく自転を行い、第1出力部材77と第2出力部材78との一方又は両方に動力を伝達する。スピンドル29a、29bの回転負荷の大きさが互いに異なる場合とは、第1回転直動変換機構6aと第2回転直動変換機構6bとの効率の差などに起因して、第1ピストン5aと第2ピストン5bとがインナパッド4bを同時に押圧せず、第1ピストン5aと第2ピストン5bとがインナパッド4bを押圧するタイミングがずれる場合に生じる。
【0081】
たとえば、第1ピストン5aが、第2ピストン5bよりも先にインナパッド4bを押圧する場合、第1回転直動変換機構6aを構成するスピンドル29aの回転負荷は、第2回転直動変換機構6bを構成するスピンドル29bの回転負荷よりも大きくなる。この場合、動力分配機構63は、第1出力部材77の回転数が、第2の出力部材78の回転数よりも小さくなるように、入力部材74の回転を第1出力部材77及び第2出力部材78に分配して伝達する。反対に、第2ピストン5bが、第1ピストン5aよりも先にインナパッド4bを押圧する場合、第1回転直動変換機構6aを構成するスピンドル29aの回転負荷は、第2回転直動変換機構6bを構成するスピンドル29bの回転負荷よりも小さくなる。この場合、動力分配機構63は、第1出力部材77の回転数が、第2の出力部材78の回転数よりも大きくなるように、入力部材74の回転を第1出力部材77及び第2出力部材78に分配して伝達する。
【0082】
上述したような減速機構41には、円滑な動作を確保するために、グリースなどの潤滑剤が塗布されている。このため、減速機構41を収容したギヤ収容部49には、潤滑剤が充填されている。
【0083】
本例では、最終歯車である第4の歯車64dを、第1出力軸72を介して、スピンドル29aに接続し、かつ、最終歯車である第5の歯車64eを、第2出力軸73を介して、スピンドル29bに接続している。ただし、本発明を実施する場合には、第1出力軸とスピンドル及び/又は第2出力軸とスピンドルを一体に構成し、最終歯車をスピンドルに対して直接接続することもできる。
【0084】
《無励磁作動型ブレーキ》
無励磁作動型ブレーキ42は、
図17に示すように、電動モータ40を構成するモータ軸58の第2接続部61に接続されている。具体的には、無励磁作動型ブレーキ42は、第2接続部61に対して、接続軸82を介して接続されている。接続軸82は、第2接続部61に対して相対回転不能に接続されている。無励磁作動型ブレーキ42は、摩擦ブレーキであり、通電時にモータ軸58の回転を許容し、かつ、無通電時にモータ軸58の回転を阻止する機能を有する。
【0085】
本例のディスクブレーキ装置1においては、無励磁作動型ブレーキ42は、ハウジング39のうち、電動モータ40を収容するモータ収容部48よりも上方に位置するブレーキ収容部50の内側に配置されている。このため、無励磁作動型ブレーキ42は、電動モータ40よりも上方に配置されている。
【0086】
無励磁作動型ブレーキ42は、ケーシング83と、電磁コイル84と、複数(図示の例では3枚)の回転側ディスク85と、複数(図示の例では2枚)の静止側ディスク86と、押圧プレート(アーマチュア)87と、押圧ばね88と、複数(図示の例では3つ)の離間ばね89とを有する。
【0087】
ケーシング83は、ケーシング本体90と、固定プレート91とを、複数本(図示の例では3本)のリベット92とから構成されている。
【0088】
ケーシング本体90は、磁性金属製で、全体が円環状に構成されている。ケーシング本体は、略U字形の断面形状を有するコイル収容部90aと、コイル収容部90aの径方向外側に備えられた外向フランジ部90bとを有する。固定プレート91は、金属製で、全体が中空三角形状に構成されている。固定プレート91は、第2仕切り壁54の上面に固定されている。リベット92は、ケーシング本体90と固定プレート91とを、互いに離隔した状態で連結している。リベット92は、ケーシング本体90の外向フランジ部90bと固定プレート91の径方向外側部との間に配置されている。
【0089】
電磁コイル84は、円環状に構成されており、ケーシング本体90のコイル収容部90aの内側に配置されている。
【0090】
回転側ディスク85及び静止側ディスク86は、それぞれ円輪状に構成されており、電動モータ40のモータ軸58の軸方向に関して交互に配置されている。
【0091】
回転側ディスク85は、モータ軸58の第2接続部61に固定された接続軸82に対して、モータ軸58の軸方向に関する相対変位を可能にかつモータ軸58の円周方向に関する相対変位を不能に係合している。このために、本例では、回転側ディスク85の内周縁部に備えられた雌スプライン85aを、接続軸82の外周面に備えられた雄スプライン82aに対してスプライン係合している。これにより、回転側ディスク85を、モータ軸58と同期して回転できるようにしている。
【0092】
これに対し、静止側ディスク86は、ケーシング83に対して、モータ軸58の軸方向に関する相対変位を可能にかつモータ軸58の円周方向に関する相対変位を不能に支持されている。このために、静止側ディスク86の外周縁部に備えられた二股状の係合突起部86aを、リベット92に対して係合させている。これにより、静止側ディスク86が、使用時にも回転しないようにしている。
【0093】
押圧プレート87は、磁性金属製で、全体が円環状に構成されている。押圧プレート87は、回転側ディスク85及び静止側ディスク86のうちで最も電磁コイル84側に配置されたディスク(図示の例では回転側ディスク85)と、電磁コイル84との間に配置されている。押圧プレート87は、静止側ディスク86と同様に、ケーシング83に対して、モータ軸58の軸方向に関する相対変位を可能にかつモータ軸58の円周方向に関する相対変位を不能に支持されている。このために、押圧プレート87の外周縁部に備えられた係合孔87aに、リベット92を挿通している。
【0094】
押圧ばね88は、押圧プレート87と、ケーシング本体90に備えられた爪部90cとの間に、弾性変形した状態で配置されている。押圧ばね88は、押圧プレート87を、固定プレート91に近づく方向に弾性的に押圧する。
【0095】
離間ばね89は、リベット92のそれぞれの周囲に配置されている。離間ばね89は、静止側ディスク86及び押圧プレート87を、固定プレート91から離れる方向に弾性的に押圧する。
【0096】
本例の無励磁作動型ブレーキ42は、電磁コイル84に通電した際に、電磁コイル84の周囲に配置されたケーシング本体90及び押圧プレート87に磁気回路を形成する。これにより、押圧プレート87は、ケーシング本体90に引き寄せられて、押圧ばね88を弾性的に圧縮変形させる。このため、回転側ディスク85と静止側ディスク86とは、押圧プレート87によって互いに強く押し付けられずに済む。したがって、モータ軸58の回転が許容される。
【0097】
これに対し、電磁コイル84への通電が停止した無通電時には、ケーシング本体90及び押圧プレート87に、通電時のような磁気回路は形成されない。このため、回転側ディスク85と静止側ディスク86とは、押圧ばね88により、押圧プレート87を介して、固定プレート91に強く押し付けられる。これにより、回転側ディスク85と静止側ディスク86とは、互いに強く押し付けられて摩擦係合する。この結果、モータ軸58の回転が阻止される。
【0098】
[ディスクブレーキ装置の動作説明]
本例のディスクブレーキ装置1によりサービスブレーキを作動させる際には、キャリパ3に備えられた第1シリンダ20a及び第2シリンダ20bに、図示しない通油路を通じてブレーキオイルを送り込む。これにより、第1ピストン5a及び第2ピストン5bを、第1シリンダ20a及び第2シリンダ20bから押し出し、インナパッド4bをロータ8の軸方向内側面に押し付ける。また、押し付けに伴う反力により、キャリパ3を、サポート2に対し軸方向内側に変位させる。そして、キャリパ3の押圧部15により、アウタパッド4aをロータ8の軸方向外側面に押し付ける。これにより、1対のパッド4a、4bとロータ8との接触面に作用する摩擦により、制動力を得る。このように、ディスクブレーキ装置1は、サービスブレーキによる制動力を、ブレーキオイルの導入により、第1ピストン5a及び第2ピストン5bを押し出すことにより得る。
【0099】
ディスクブレーキ装置1によりパーキングブレーキを作動させる際には、モータギヤユニット7を構成する電動モータ40に通電し、減速機構41を介して、第1回転直動変換機構6aを構成するスピンドル29a及び第2回転直動変換機構6bを構成するスピンドル29bを正回転方向に回転駆動する。これにより、ナット30a、30bを軸方向外側に移動させる。そして、第1ピストン5a及び第2ピストン5bをロータ8に向けて押し出すことで、インナパッド4bをロータ8の軸方向内側面に押し付ける。また、押し付けに伴う反力により、キャリパ3を、サポート2に対し軸方向内側に変位させる。そして、キャリパ3の押圧部15により、アウタパッド4aをロータ8の軸方向外側面に押し付ける。これにより、1対のパッド4a、4bとロータ8との接触面に作用する摩擦により、制動力を得る。このように、ディスクブレーキ装置1は、パーキングブレーキによる制動力を、モータギヤユニット7を利用して第1ピストン5a及び第2ピストン5bを押し出すことにより得る。
【0100】
また、自動車のエンジンを停止し、電動モータ40への通電が停止した無通電時には、無励磁作動型ブレーキ42を構成する電磁コイル84への通電も停止する。このため、無励磁作動型ブレーキ42によって、モータ軸58の回転を阻止することができる。このため、本例のディスクブレーキ装置1は、電動モータ40への通電が停止した状態においても、パーキングブレーキによる制動力を保持することができる。
【0101】
以上のような本例のディスクブレーキ装置1によれば、潤滑剤が、無励磁作動型ブレーキ42に付着するのを防止できる。
すなわち、本例のディスクブレーキ装置1では、電動モータ40を構成するモータ軸58のうち、軸方向一方側の端部に備えられた第1接続部60に減速機構41を接続し、軸方向他方側の端部に備えられた第2接続部61に無励磁作動型ブレーキ42を接続している。このため、無励磁作動型ブレーキ42を、モータ軸58の軸方向に関して、減速機構41とは反対側に配置することができる。つまり、無励磁作動型ブレーキ42を、潤滑剤が塗布された減速機構41から遠い位置に配置することができる。したがって、減速機構41に塗布した潤滑剤が、無励磁作動型ブレーキ42に付着することを防止できる。
【0102】
また、ディスクブレーキ装置1を、車体を構成する懸架装置に取り付けた状態で、電動モータ40のモータ軸58を上下方向に向けて配置し、かつ、無励磁作動型ブレーキ42を電動モータ40よりも上方に配置している。このため、本例では、重力の作用により、潤滑剤が無励磁作動型ブレーキ42に付着することを抑制することもできる。したがって、本例のディスクブレーキ装置1によれば、潤滑剤が、無励磁作動型ブレーキ42に付着するのを効果的に防止できるため、電動モータ40に通電を停止した状態においても、パーキングブレーキによる制動力を十分に保持することができる。
【0103】
また、ハウジング39のうちで、減速機構41を収容するギヤ収容部49と電動モータ40を収容するモータ収容部48とを第1仕切り壁51により仕切り、かつ、モータ収容部48とギヤ収容部49とを、モータ軸58の第1接続部60を挿通可能な第1連通孔52によってのみ連通している。このため、減速機構41に塗布した潤滑剤が、モータ収容部48の内側にまで移動すること有効に防止できる。
【0104】
さらに本例では、ハウジング39のうちで、電動モータ40を収容するモータ収容部48と無励磁作動型ブレーキ42を収容するブレーキ収容部50とを第2仕切り壁54により仕切り、かつ、モータ収容部48とブレーキ収容部50とを、モータ軸58の第2接続部61を挿通可能な第2連通孔55によって連通している。このため、潤滑剤がモータ収容部48の内側にまで達した場合にも、モータ収容部48の内側からブレーキ収容部50の内側にまで移動すること有効に防止できる。したがって、潤滑剤が、無励磁作動型ブレーキ42に付着することを有効に防止できる。
【0105】
さらに本例によれば、無励磁作動型ブレーキ42を含んでユニット化することにより、コンパクトで、かつ、組み付け性の高いモータギヤユニット7を実現することができる。
【0106】
本例では、無励磁作動型ブレーキ42を備える代わりに、セルフロック機能を備えていないウォーム減速機構62を使用している。このため、セルフロック機能を備えたウォーム減速機構を使用した場合に比べて、摩擦抵抗(エネルギロス)を抑えることができ、入出力特性を高くすることができる。
【0107】
また、ギヤ収容部49に収容された、ウォーム65以外のすべての歯車、すなわち、ウォームホイール66、歯車64a~64e、入力部材74、第1中間歯車75、第2中間歯車76、第1出力部材77及び第2出力部材78のそれぞれの回転中心軸を、スピンドル29a、29bの中心軸と略平行に配置している。このため、ギヤ収容部49の内側に減速機構41を組み込む作業の作業性の向上を図れる。
【0108】
また、最終歯車である第4の歯車64d及び第5の歯車64eの回転中心軸に対して直交する仮想線L(
図14参照)と、電動モータ40を構成するモータ軸58とを、略平行に配置しているため、モータギヤユニット7の径方向に関する幅寸法(
図14の左右寸法)を小さく抑えることができる。
【0109】
また、減速機構41が動力分配機構63を備えているため、第1ピストン5aによるインナパッド4bへの押圧力と、第2ピストン5bによるインナパッド4bへの押圧力との均一化を図ることができる。
【0110】
また、電動モータ40の回転を、ウォーム減速機構62を介して動力分配機構63に伝達するため、動力分配機構から1対のウォーム減速機構に伝達する構造を採用した場合に比べて、第1回転直動変換機構6aを構成するスピンドル29a及び第2回転直動変換機構6bを構成するスピンドル29bに伝達されるトルク差を小さくすることができる。
【0111】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、発明の技術思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0112】
本発明は、実施の形態に限定されず、たとえば、無励磁作動型ブレーキ、及び、動力分配機構などは、従来から知られた構造に適宜変更することができる。また、本発明のディスクブレーキ装置用モータギヤユニットは、フローティング型のディスクブレーキ装置に限らず、対向ピストン型のディスクブレーキ装置に適用することもできる。さらに、本発明のディスクブレーキ装置は、シリンダ、ピストン及び回転直動変換機構を、3個以上ずつ備えることもできる。
【符号の説明】
【0113】
1 ディスクブレーキ装置
2 サポート
3 キャリパ
4a アウタパッド
4b インナパッド
5a 第1ピストン
5b 第2ピストン
6a 第1回転直動変換機構
6b 第2回転直動変換機構
7 モータギヤユニット
8 ロータ
9 サポート基部
10 外側連結部
11a、11b 連結腕部
12 取付孔
13 ライニング
14 裏板
15 押圧部
16 クランプ基部
17 ブリッジ部
18 基部本体
19a、19b 腕部
20a 第1シリンダ
20b 第2シリンダ
21a、21b 底部
23a、23b 雌スプライン
24a、24b ピストンシール
25a、25b シール溝
26a、26b ピストンブーツ
27a、27b ガイドピン
28a、28b ブーツ
29a、29b スピンドル
30a、30b ナット
31a、31b ボール
32a、32b 軸側ボールねじ溝
33a、33b 貫通孔
34a、34b 支承リング
35a、35b スラストベアリング
36a、36b ナット側ボールねじ溝
37a、37b 雄スプライン
38a、38b 循環部品
39 ハウジング
40 電動モータ
41 減速機構
42 無励磁作動型ブレーキ
43a、43b 取付フランジ部
44a、44b、44c 取付ボルト
45 ハウジング本体
46 塞ぎ板部
47 蓋体
48 モータ収容部
49 ギヤ収容部
50 ブレーキ収容部
51 第1仕切り壁
52 第1連通孔
53a、53b 挿通孔
54 第2仕切り壁
55 第2連通孔
56 小通孔
57 モータ本体
58 モータ軸
59 モータハウジング
60 第1接続部
61 第2接続部
62 ウォーム減速機構
63 動力分配機構
64a~64e 歯車
65 ウォーム
66 ウォームホイール
67 ウォーム歯
68 ホイール歯
69 第1中間軸
70 第2中間軸
71a、71b 支持軸
72 第1出力軸
73 第2出力軸
74 入力部材
75 第1中間歯車
76 第2中間歯車
77 第1出力部材
77a 入力歯部
77b 出力歯部
78 第2出力部材
78a 入力歯部
78b 出力歯部
79a、79b 支持環
80a、80b ピン
81a、81b 係合孔
82 接続軸
82a 雄スプライン
83 ケーシング
84 電磁コイル
85 回転側ディスク
85a 雌スプライン
86 静止側ディスク
86a 係合突起部
87 押圧プレート
87a 係合孔
88 押圧ばね
89 離間ばね
90 ケーシング本体
90a コイル収容部
90b 外向フランジ部
90c 爪部
91 固定プレート
92 リベット