IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社UACJの特許一覧 ▶ 株式会社UACJ製箔の特許一覧

特開2022-187575保護シート、プレススルーパッケージ
<>
  • 特開-保護シート、プレススルーパッケージ 図1
  • 特開-保護シート、プレススルーパッケージ 図2
  • 特開-保護シート、プレススルーパッケージ 図3
  • 特開-保護シート、プレススルーパッケージ 図4
  • 特開-保護シート、プレススルーパッケージ 図5
  • 特開-保護シート、プレススルーパッケージ 図6
  • 特開-保護シート、プレススルーパッケージ 図7
  • 特開-保護シート、プレススルーパッケージ 図8
  • 特開-保護シート、プレススルーパッケージ 図9
  • 特開-保護シート、プレススルーパッケージ 図10
  • 特開-保護シート、プレススルーパッケージ 図11
  • 特開-保護シート、プレススルーパッケージ 図12
  • 特開-保護シート、プレススルーパッケージ 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187575
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】保護シート、プレススルーパッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/34 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
B65D75/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095632
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(71)【出願人】
【識別番号】000231626
【氏名又は名称】株式会社UACJ製箔
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 友樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 大洋
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB81
3E067AC04
3E067AC12
3E067BA34A
3E067BB12A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BC04A
3E067EA04
3E067EA11
3E067EB03
3E067EB29
3E067EC08
3E067FA01
3E067FB04
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】簡単な構造でチャイルドレジスタンス機能を実現する。
【解決手段】複数の収容部12を具備するシート状容器13と、前記複数の収容部12を密閉する蓋材14と、を有するプレススルーパッケージ10に貼り付けられる保護シート30Aであって、前記プレススルーパッケージ10から剥離可能とされ、剥離のきっかけとなる複数のスリット37を前記収容部12毎に有する樹脂層36と、前記樹脂層36に粘着されると共に、前記樹脂層36と反対側の表面が前記蓋材14と粘着可能である第1粘着層38と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収容部を具備するシート状容器と、前記複数の収容部を密閉する蓋材と、を有するプレススルーパッケージに貼り付けられる保護シートであって、
前記プレススルーパッケージから剥離可能とされ、剥離のきっかけとなる複数のスリットを前記収容部毎に有する樹脂層と、
前記樹脂層に粘着されると共に、前記樹脂層と反対側の表面が前記蓋材と粘着可能である第1粘着層と、を備える保護シート。
【請求項2】
前記複数のスリットは、前記樹脂層の前記収容部と平面視で重なる部分を挟む形で対向するように前記収容部毎に2つずつ設けられており、
前記各スリットは、前記樹脂層の外周縁の一部から前記外周縁と交わる方向に延出するように細長状をなしている請求項1に記載の保護シート。
【請求項3】
前記樹脂層の前記第1粘着層側の表面には、前記2つずつ設けられているスリットの延出端同士を結ぶように切り込みが設けられている請求項2に記載の保護シート。
【請求項4】
前記樹脂層の平面形状は全体として長方形状であり、
前記各スリットは、前記外周縁の長辺の一部から短辺方向に沿って延出している請求項2または請求項3に記載の保護シート。
【請求項5】
前記樹脂層の平面形状は全体として長方形状であり、
前記各スリットは、前記外周縁のうち短辺の一部から長辺方向に沿って延出している請求項2または請求項3に記載の保護シート。
【請求項6】
前記第1粘着層は、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、またはゴム系の材料からなる粘着剤若しくは粘着テープである請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の保護シート。
【請求項7】
前記樹脂層に対して前記第1粘着層と反対側に配される金属層と、
前記金属層上において前記スリットの少なくとも一部と平面に視て重なる位置に実装され、外部の機器と通信するためのICと、を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の保護シート。
【請求項8】
前記第1粘着層に対して前記樹脂層と反対側に配される剥離紙であって、前記蓋材に貼り付けられる前に前記第1粘着層から剥離されて前記第1粘着層を露出させる剥離紙を備える請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の保護シート。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の保護シートを備えるプレススルーパッケージ。
【請求項10】
前記保護シートの平面形状及び平面サイズは、前記シート状容器及び前記蓋材と実質的に同一である請求項9に記載のプレススルーパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、保護シート、及びプレススルーパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤等の被収容物を収容する収容部を備える包装材としてプレススルーパッケージ(PTP)が知られている。近年、PTPにおいては、子供が誤って開封しないようにするチャイルドレジスタンス機能が提案されており、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載のPTP(PTP包装体)は、プレススルー可能なアルミニウム箔(アルミ箔)を含む基材層と、基材層に対して剥離可能な状態で積層されるカバーフィルムとを含む蓋材と、を備える。また、蓋材の端部にある基材層と、カバーフィルムとの界面部には、接着処理がなされていない非接着処理領域が形成されている。PTPの開封時には、非接着処理領域が形成された部分のカバーフィルムを掴み代として用いることで、子供には簡単に開封できないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-82179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のPTPは、蓋材の積層構造が複雑であるため、製造工程が複雑にならざるを得ない。また、掴み代が形成されているカバーフィルムと基材層との接着部分以外に、他の層と層との間(例えば、基材層のアルミニウム箔と、それに隣接する層との間)の界面で剥離が生じてしまい、カバーフィルムの剥離が不安定となる懸念がある。
【0005】
本技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、簡単な構造でチャイルドレジスタンス機能を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
【0007】
<1>複数の収容部を具備するシート状容器と、前記複数の収容部を密閉する蓋材と、を有するプレススルーパッケージに貼り付けられる保護シートであって、前記プレススルーパッケージから剥離可能とされ、剥離のきっかけとなる複数のスリットを前記収容部毎に有する樹脂層と、前記樹脂層に粘着されると共に、前記樹脂層と反対側の表面が前記蓋材と粘着可能である第1粘着層と、を備える保護シート。
【0008】
<2>前記複数のスリットは、前記樹脂層の前記収容部と平面視で重なる部分を挟む形で対向するように前記収容部毎に2つずつ設けられており、前記各スリットは、前記樹脂層の外周縁の一部から前記外周縁と交わる方向に延出するように細長状をなしている上記<1>に記載の保護シート。
【0009】
<3>前記樹脂層の前記第1粘着層側の表面には、前記2つずつ設けられているスリットの延出端同士を結ぶように切り込みが設けられている上記<2>に記載の保護シート。
【0010】
<4>前記樹脂層の平面形状は全体として長方形状であり、前記各スリットは、前記外周縁の長辺の一部から短辺方向に沿って延出している上記<2>または<3>に記載の保護シート。
【0011】
<5>前記樹脂層の平面形状は全体として長方形状であり、前記各スリットは、前記外周縁のうち短辺の一部から長辺方向に沿って延出している上記<2>または<3>に記載の保護シート。
【0012】
<6>前記第1粘着層は、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、またはゴム系の材料からなる粘着剤若しくは粘着テープである上記<1>から<5>のいずれかに記載の保護シート。
【0013】
<7>前記樹脂層に対して前記第1粘着層と反対側に配される金属層と、前記金属層上において前記スリットの少なくとも一部と平面に視て重なる位置に実装され、外部の機器と通信するためのICと、を備える上記<1>から<6>のいずれかに記載の保護シート。
【0014】
<8>前記第1粘着層に対して前記樹脂層と反対側に配される剥離紙であって、前記蓋材に貼り付けられる前に前記第1粘着層から剥離されて前記第1粘着層を露出させる剥離紙を備える上記<1>から<7>のいずれかに記載の保護シート。
【0015】
<9>上記<1>から<7>のいずれかの保護シートを備えるプレススルーパッケージ。
【0016】
<10>前記保護シートの平面形状及び平面サイズは、前記シート状容器及び前記蓋材と実質的に同一である上記<9>に記載のプレススルーパッケージ。
【発明の効果】
【0017】
本技術によれば、簡単な構造でチャイルドレジスタンス機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1に係るPTPの分解斜視図
図2】PTP本体部の平面図
図3図2のA-A線断面図
図4】保護シートの平面図
図5図4のB-B線断面図
図6】PTPを図4のB-B線位置で切断した断面図
図7】保護シートを剥離した状態を示すPTPの斜視図
図8】実施形態2に係るPTPの上面図
図9図8のC-C線断面図
図10】他の実施形態に係るPTP本体部の平面図
図11】他の実施形態に係るPTP本体部の平面図
図12】他の実施形態に係る保護シートの平面図
図13】他の実施形態に係る保護シートの平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
実施形態1を図1から図7を参照して説明する。本実施形態では、保護シート30Aと、これが貼り付けられたプレススルーパッケージ(PTP、包装材の一例)10について例示する。なお、各図面の一部には、X軸、Y軸、及びZ軸を示しており、各軸方向が各図で共通した方向となるように描かれている。
【0020】
PTP10は、図1に示すように、被収容物T(錠剤の医薬品等)が収容されるPTP本体部11と、PTP本体部11に貼り付けられる保護シート30Aと、を備える。PTP本体部11は、図2及び図3に示すように、被収容物Tが収容される収容部12が設けられたシート状容器13と、収容部12の開口12Aを覆うように貼り付けられて収容部12を密閉する蓋材14と、を備える。PTP本体部11の平面形状は、矩形状(長方形状)をなしており、保護シート30Aもこれに倣う平面形状をなしている。また、保護シート30Aの平面サイズは、PTP本体部11全体を覆うことが可能な大きさとされ、本実施形態では両者の平面サイズは実質的に同一である。
【0021】
シート状容器13には、図2及び図3に示すように、蓋材14と反対側に窪んだ(略半球状に突出した)収容部12が複数形成されている。シート状容器13は、厚みが60μm~400μm程度の樹脂製シートが所定形状に加工されて形成されている。シート状容器13は、PTP用の公知の樹脂容器であり、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、非晶性ポリエチレンテレフタレート等の透明な熱可塑性樹脂からなる。各収容部12の平面形状は、被収容物Tの形状に倣う円形状をなしている。本実施形態では例えば、収容部12がX軸方向(長辺方向)に所定の間隔で5個ずつ、Y軸方向(短辺方向)に所定の間隔で2個ずつ、計10個形成されている。
【0022】
蓋材14は、平坦なシート状部材であって、プレススルー可能な薄手の素材からなる。蓋材14のうち収容部12の開口12Aを覆っている部分以外は、図3に示すように、シート状容器13に貼り合わされている。蓋材14は、熱封緘性接着層15、アルミニウム箔16、オーバーコート層18がシート状容器13側から順に積層された構成をなしている。熱封緘性接着層15は、蓋材14をシート状容器13に接着して、収容部12を密閉している。熱封緘性接着層15は、PTP用の既知の熱接着剤からなり、例えばポリエステル系接着剤、ポリプロピレン系接着剤、塩化ビニル系接着剤等を用いることができる。オーバーコート層18は、透明樹脂製の保護層であって、アルミニウム箔16を保護している。
【0023】
保護シート30Aは、図1に示すように、PTP本体部11の蓋材14のシート面に貼り付けられる。保護シート30Aには、図5に示すように、蓋材14への貼り付け前には、その下面を構成する弱粘着層38(第1粘着層の一例)の表面に剥離紙50が貼り付けられている。剥離紙50を弱粘着層38から剥がすことで、弱粘着層38が露出され、露出した弱粘着層38が、図6に示すように蓋材14に貼り付けられる。本明細書では、剥離紙50が剥がされた状態の開封検知シートを符号30Aとして記し、剥離紙50が剥がされる前の状態の開封検知シートを符号30として記す。開封検知シート30は、剥離紙50が設けられていることでPTP本体部11への貼り付け前には単体(別体)として保管、流通が可能になっている。
【0024】
保護シート30Aは、図5及び図6に示すように、樹脂層36と弱粘着層38との積層体である。弱粘着層38は、図6に示すように、樹脂層36とPTP本体部11の蓋材14とを粘着している。また、弱粘着層38は、保護シート30AがPTP本体部11に貼り付けられる前には、樹脂層36と剥離紙50とを剥離可能に粘着している。弱粘着層38は、例えばアクリル系、ウレタン系、シリコン系、またはゴム系の材料からなる粘着剤若しくは粘着テープとされる。樹脂層36は、弱粘着層38と粘着可能な樹脂製シートであって、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリイミド等の樹脂からなる。樹脂層36は、剥離される際に使用者が掴みやすいように、所定の厚さ以上であることが好ましい。
【0025】
樹脂層36及び弱粘着層38には、図4及び図6に示すように、複数の第1スリット37及び複数のハーフカット39が形成されている。第1スリット37は、樹脂層36及び弱粘着層38を貫通しているが、少なくとも樹脂層36を貫通していればよい。各第1スリット37は、平面に視て、長方形状をなす樹脂層36の外周縁36Aの長辺の一部から短辺方向(外周縁36Aの長辺と交わる方向)に沿って、細長状(より詳しくはI字状)に延出している。各第1スリット37の一端部37Aは樹脂層36の外周縁36Aに達しており、これにより使用者は、一端部37Aを剥離のきっかけとして、樹脂層36を一端部37A側から第1スリット37に沿って剥離することができる。また、第1スリット37は、樹脂層36の面内において、収容部12の外周縁(開口12Aの開口縁)と重なる部分を挟む形で対向するように、収容部12毎に2つずつ設けられている。これにより使用者は、図7に示すように、開封したい収容部12を覆う保護シート30Aを容易に剥離してめくり上げることができる。
【0026】
樹脂層36及び弱粘着層38には、図4に示すように、収容部12毎に2つずつ設けられている第1スリット37の延出端(他端部)37B同士を結ぶように切り込み(いわゆるハーフカット)39が形成されている。ハーフカット39は、弱粘着層38を貫通し、樹脂層36において弱粘着層38側の表面から層厚の半分程度の深さまで形成された切り込みである。これにより、図7に示すように、開封したい収容部12を覆う保護シート30Aを剥離してめくり上げた際に、剥離した部分がハーフカット39に沿って容易に折れ曲がるようになり、蓋材14が露出された状態を維持しやすくなる。
【0027】
以上説明したPTP10によれば、使用者は、開封したい収容部12を覆う保護シート30Aを剥離し、次にこの収容部12内の被収容物Tを蓋材14側へ押し込んで蓋材14を押し破ることで、PTP10を開封可能となる。PTP10の開封に際してピール後にプッシュという2段階作業が必要となるため、子供が誤って開封しにくくなり、チャイルドレジスタンス機能を実現できる。また、チャイルドレジスタンス機能を実現するために追加されるピール作業は、第1スリット37及びハーフカット39によって容易に行うことができるため、使用者への負担が小さいものとなっている。従って、PTP10は、子供に対しては開封しにくい一方、使用者(大人)には開封の負担が軽減された包装材である。
【0028】
また、保護シート30Aは、積層構造が複雑ではなく、一般的なPTP本体部11に広く用いる(貼り付ける)ことができるため、保護シート30A及びPTP10の製造工程が複雑化することはない。保護シート30Aによれば、簡易な構造でチャイルドレジスタンス機能を実現できる。
【0029】
<実施形態2>
実施形態2に係る保護シート130Aと、これが貼り付けられたPTP110について図8及び図9を参照して説明する。保護シート130Aは、樹脂層36上に上側強粘着層34A、基材層35、下側強粘着層34B、及び金属層32が積層され、金属層32上に外部通信機器と通信するためのIC(Integrated Circuit)40が実装されている点が実施形態1と異なる。実施形態2において、実施形態1と同様の構成、作用及び効果については重複する説明は省略する。
【0030】
保護シート130Aには、図9に示すように、下側(PTP本体部11側)から順に、弱粘着層38、樹脂層36、下側強粘着層34B、基材層35、上側強粘着層34A、金属層32が積層されている。金属層32は、例えばアルミニウム層であって、アンテナを構成する配線が形成されているアンテナ配線層とされる。アンテナ配線は、金属層32の面内全体に亘って一体的に形成されていても、金属層32の面内において分割して複数形成されていても構わない。分割形成する場合には例えば、図8の一点鎖線で示すように、収容部12の配置に対応する形で金属層32の面内を矩形状に区分し、区分された領域毎(本実施形態では例えば10分割)にアンテナ配線を形成してもよい。
【0031】
PTP110は、金属層32(アンテナ配線層)及びIC40によって外部通信機器との無線通信を実現可能に構成されている。IC40及び金属層32内のアンテナは例えば、外部通信機器から送信された信号を受信し、それに応答する形で、外部通信機器に対して信号を返信することができるように構成されている。無線通信方式としては、RFID等の近距離無線通信技術が採用されるが、通信方式は限定されない。
【0032】
金属層32には、図8に示すように、平面に視て細長状(より詳しくはI字状)をなす第2スリット33が収容部12毎に1つずつ、複数(本実施形態では10つ)形成されている。第2スリット33は、図8及び図9に示すように、収容部12毎に形成された2つずつの第1スリット37の一方と平面視で重なっている。各第2スリット33は、金属層32の外周縁32AからI字状に延出し、金属層32から上側強粘着層34Aまでを貫通するように形成されている。なお、本実施形態において、各第2スリット33はハーフカット39と重なる位置までI字状に延出しているが、第1スリット37の一部と平面視で重なっていればよく、必ずしもハーフカット39まで延出している必要はない。
【0033】
基材層35は、図8に示すように、上側強粘着層34Aによって金属層32と粘着され、金属層32を支持している。基材層35によって、金属層32の形状安定性、及び製造時の加工に対する耐熱性を向上することができる。基材層35は、絶縁性を有する樹脂材料からなり、層厚は樹脂層36に比して十分小さいものとされる(例えば25μmから50μm程度)。基材層35として具体的には、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムを用いることができる。
【0034】
上側強粘着層34Aは、図9に示すように、金属層32と基材層35との間に介在して両者を強固に粘着している。また、下側強粘着層34Bは、基材層35と樹脂層36との間に介在して両者を強固に粘着している。上側強粘着層34A及び下側強粘着層34Bは、例えばアクリル系、ウレタン系、シリコン系、またはゴム系の材料からなる粘着剤若しくは粘着テープとされる。上側強粘着層34A及び下側強粘着層34Bは、その粘着力が弱粘着層38に比して大きく、具体的には下側強粘着層34Bの樹脂層36に対する粘着力(JIS Z 0237(2000))は10N/25mm以上とされる。これにより、樹脂層36が第1スリット37に沿って剥離される際には、これに強固に粘着された基材層35及び金属層32も共に剥離され、ハーフカット39に沿って折れ曲がるものとされる。なお、基材層35には、剥離時に容易に破断されるように、第2スリット33と平面視で重なる位置にミシン目状の破断線等が形成されていてもよい。
【0035】
IC40は、図8に示すように、直方体状のICチップであり、第2スリット33毎(収容部12毎)に1つずつ、複数(本実施形態では10つ)実装されている。IC40は、金属層32において、第2スリット33の一部分を覆うように配されている。各IC40は、その端子が金属層32に形成されたアンテナを構成する配線と接続されている。本実施形態では、IC40は、第2スリット33の一端部(外周縁32A側の端部)33A寄りの部分を覆うように配されているが、それ以外の部分を覆うように配されていても構わず、また第2スリット33の延出長が小さい場合等にはその全てを覆うように配されていても構わない。
【0036】
上記した構成のPTP110によれば、実施形態1と同様のチャイルドレジスタンス機能に加えて、開封検知機能を実現できるようになる。より詳しくは、樹脂層36及び金属層32が第1スリット37に沿って剥離されると、IC40の端子が金属層32から剥がれ、IC40と金属層32内のアンテナ配線とが断線して非導通状態になり、IC40は外部通信機器と通信できないようになる。これにより、外部通信機器は、所定の信号を受信できるか否かで剥離の有無、ひいては開封の有無を判別可能となる。
【0037】
また、樹脂層36は、金属層32(アンテナ配線層)及びこれに実装されたIC40と、PTP本体部110の蓋材14(アルミニウム箔16)との間に介在している。これにより、開封検知を行うために通信する際に両者間で生じる電磁波干渉を樹脂層36の絶縁効果によって抑制できるようになる。その結果、通信性能が低下し、開封検知が困難となる事態を抑制できるようになる。従って、PTP110によれば、通信性能に優れた開封検知機能を実現することができる。
【0038】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0039】
(1)保護シート30A,130Aの形状、並びに第1スリット37及び第2スリット33の数や位置は、貼り付けられるPTP本体部11の形状、及び収容部12の数や位置に合わせて適宜変更可能である。例えば、図10図11に示すPTP本体部211,311に対しては、図12図13に示されるような保護シート230A,330Aがそれぞれ組み合わせられる。
【0040】
(2)第1スリット37の平面形状は、I字状に限らず、例えば略L字状や略J字状等、一端部37Aが樹脂層36の外周縁36Aに達しており、一端部37Aから収容部12の外周縁(開口12Aの開口縁)に部分的に沿う形で延在していればよい。このような形状によれば、使用者は保護シート30A,130A,230A,330Aを一端部37A側から第1スリット37に沿って剥離した後、収容部12の開口12Aを覆う蓋材14をプレススルー可能となる。
【0041】
(3)保護シート30A,130A,230A,330Aの平面サイズは、PTP本体部11,211,311より大きく形成されていても構わない。
【0042】
(4)PTP10,110は、収容部12毎に個別に切り離せるように構成されていても構わない。
【符号の説明】
【0043】
10,110…PTP(プレススルーパッケージ)、11,211,311…PTP本体部、12…収容部、13…シート状容器、14…蓋材、30,30A,130A,230A,330A…保護シート、32…金属層、36…樹脂層、37…第1スリット(スリット)、38…弱粘着層(第1粘着層)、39…ハーフカット(切り込み)、40…IC、50…剥離紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13