(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187601
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】環境影響評価システム、環境影響評価方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221213BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095678
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】397041222
【氏名又は名称】株式会社ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ
(71)【出願人】
【識別番号】518094577
【氏名又は名称】一般財団法人グリーンスポーツアライアンス
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 悟
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大喜
(72)【発明者】
【氏名】澤田 陽樹
(72)【発明者】
【氏名】伊坪 徳宏
(72)【発明者】
【氏名】安倍 孝明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 毅一郎
(72)【発明者】
【氏名】中峯 良介
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】温室効果ガスの排出量削減の行動を促すことが可能な環境影響評価システム、環境影響評価方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】環境影響評価システムでは、環境影響評価を行う際の評価プロセス・評価範囲となるシステム境界の主体毎に生成された会計データ6がサーバ1に投入され、サーバ1では、会計データ6とマッチングデータとの結合処理が実行される。そして、排出量の算出が行われた後、ユーザ側では、表TやグラフC等にて主体毎の排出量が見える化された状態で表示される。環境影響評価システムでは、簿記の要素に着目して環境影響評価が行われる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境影響評価を行う際の評価範囲の会計データを記憶する会計データ記憶手段と、
環境負荷原単位に基づいて生成されたマッチングデータを記憶するマッチングデータ記憶手段と、
前記会計データと前記マッチングデータとから温室効果ガス排出量の算出を行う排出量算出手段と、
前記排出量算出手段にて算出された前記温室効果ガス排出量を可視化可能な状態に出力する排出量出力手段と、を備える、環境影響評価システム。
【請求項2】
前記温室効果ガス排出量の算出の前に前記会計データと前記マッチングデータとを結合して結合データを生成する結合データ生成手段を更に備える、
請求項1に記載の環境影響評価システム。
【請求項3】
前記会計データに含まれる会計側所定ワードと前記マッチングデータに含まれるマッチング側所定ワードとを突合させて、当該会計側所定ワードが当該マッチング側所定ワードに該当するか否かを判断するワード突合判断手段と、
前記ワード突合判断手段において前記会計側所定ワードが否と判断された場合に、当該否と判断された会計側所定ワードが該当するようなマッチング側所定ワードを探索するワード探索手段と、
前記否と判断された会計側所定ワードを前記ワード探索手段により探索されたマッチング側所定ワードに紐づけて登録するワード紐づけ登録手段と、を更に備える、
請求項1又は2に記載の環境影響評価システム。
【請求項4】
前記評価範囲としてのシステム境界は、複数の主体に分類され、当該複数の主体毎に前記会計データが生成される、
請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の環境影響評価システム。
【請求項5】
環境影響評価システムが実行する環境影響評価方法であって、
環境影響評価を行う際の評価範囲の会計データを記憶する会計データ記憶ステップと、
環境負荷原単位に基づいて生成されたマッチングデータを記憶するマッチングデータ記憶ステップと、
前記会計データ及び前記マッチングデータから温室効果ガス排出量の算出を行う排出量算出ステップと、
前記排出量算出ステップにて算出された前記温室効果ガス排出量を可視化可能な状態に出力する排出量出力ステップと、を含む、環境影響評価方法。
【請求項6】
環境影響評価システムを制御するコンピュータに、
環境影響評価を行う際の評価範囲の会計データを記憶する会計データ記憶ステップと、
環境負荷原単位に基づいて生成されたマッチングデータを記憶するマッチングデータ記憶ステップと、
前記会計データ及び前記マッチングデータから温室効果ガス排出量の算出を行う排出量算出ステップと、
前記排出量算出ステップにて算出された前記温室効果ガス排出量を可視化可能な状態に出力する排出量出力ステップと、を含む制御処理を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境影響評価システム、環境影響評価方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からCO2排出量を削減する取り組みが提案されている。例えば下記特許文献1では、省エネ活動ポイントを算出し、その省エネ活動ポイントを例えば家庭の機器に提示することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術にあっては、例えば家庭に設置される機器に省エネ活動ポイントが提示される。しかしながら、省エネ活動ポイントが提示されても、家庭(需要家としての主体)において様々な活動がなされることに関し、どれだけの二酸化炭素(CO2)が排出されているのかを把握できるまでには至っていない。家庭に限らず企業や団体、地域において、これら主体の活動毎にどれだけの二酸化炭素が排出されているのかを把握することができるようになれば、二酸化炭素の排出量削減(温室効果ガスの排出量削減)の行動を促すことができると考えられる。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、温室効果ガスの排出量削減の行動を促すことが可能な環境影響評価システム、環境影響評価方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の環境影響評価システムは、
環境影響評価を行う際の評価範囲の会計データを記憶する会計データ記憶手段と、
環境負荷原単位に基づいて生成されたマッチングデータを記憶するマッチングデータ記憶手段と、
前記会計データと前記マッチングデータとから温室効果ガス排出量の算出を行う排出量算出手段と、
前記排出量算出手段にて算出された前記温室効果ガス排出量を可視化可能な状態に出力する排出量出力手段と、を備える。
【0007】
本発明の一態様の環境影響評価方法は、上述の本発明の一態様の環境影響評価システムに対応する方法である。
【0008】
また、本発明の一態様のプログラムは、上述の本発明の一態様の環境影響評価システムに対応するプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、温室効果ガスの排出量削減の行動を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る環境影響評価システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の環境影響評価システムのうち、サーバ及びユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2のサーバの機能的構成のうち、排出量に関する処理等を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】会計側所定ワードがマッチング側所定ワードに該当するか否かを判断するワード突合判断に関する処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図5】
図2のユーザ端末の機能的構成のうち、会計データに関する処理等を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る環境影響評価システムを示す概要図である。
【
図7】
図6の環境影響評価システムにおいて会計データとマッチングデータとを結合して結合データを生成する処理の説明図である。
【
図8】
図6の環境影響評価システムにおいて排出量を算出して結合データにおけるマッチングデータの横に並べる処理の説明図である。
【
図9】環境影響評価を行う際の評価範囲としてシステム境界の主体の分類に関する一例を示す説明図である。
【
図10】
図9のシステム境界の主体が地域においてどのように位置するのかの一例を示すマップ図である。
【
図11】主体別CFP結果と内訳の一例を円グラフで示す図である。
【
図12】
図11における主催者のCFP結果内訳のうちトップチームを棒グラフで示す図である。
【
図13】
図11における来場者の移動のCFP結果内訳を円グラフで示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る環境影響評価システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
本サービスは、サービス提供者により提供されて、ユーザにより利用されるサービスである。
サービス提供者(図示省略)は、サーバ1を管理する者であり、ユーザ2に対して本サービスを提供することができる。
サービス提供者は、本サービスを提供することにより、ユーザ2に対し温室効果ガスの排出量削減の行動を促すことができる。
【0013】
ユーザ2は、例えばスポーツ団体2A、スポーツ団体2B、スポーツ団体2C、スポーツ団体2Dである。
なお、本実施形態では「スポーツ団体」を例に挙げているが、「スポーツ団体」以外であってもよいものとする。即ち、企業や大学、国際的な連盟等、様々な組織をユーザ2とすることができるものとする。
図1ではユーザ2の数が4つであるが、この数に限定されないものとする。例えば、数十の組織がユーザ2となってもよいものとする。この他、個人をユーザ2としても勿論よいものとする。
【0014】
ユーザ2は、自身が操作するユーザ端末3を有する。ユーザ2は、ユーザ端末3を操作して本サービスの提供を受ける。ユーザ2は、本サービスの提供を受けることにより、自身が排出する温室効果ガスの排出量を詳細に知ることができる(後述するが、例えば見える化された状態で詳細に知ることができる)。そして、その排出量から、削減に向けた例えば団体としての戦略的な削減実施策の策定に繋げることができる。
戦略的な削減実施策の策定に繋げることができる本サービスは、有用であることは勿論である。
【0015】
なお、上述の温室効果ガスは、環境負荷の範囲に含まれるものとする。この環境負荷とは、環境に悪影響を及ぼす負荷物質のことであり、具体的には、温室効果ガス(例えば、二酸化炭素(CO2)、メタンガス等)、人体等に悪影響を及ぼす微粒子(例えば、PM2.5)、放射性物質等である。
CO2は、物品の生産や配送、設備や施設の使用、人の移動等、様々な活動や行動により発生する。
【0016】
サービス提供者(図示せず)が管理するサーバ1は、本サービスを提供するために必要な各種処理を実行する。サーバ1には、インターネット等の所定のネットワークNを介してユーザ端末3が接続される。また、サーバ1には、所定のネットワークNを介して産業連関表サーバ5も接続される。
【0017】
所定のネットワークNを介してサーバ1に接続されるユーザ端末3は、本実施形態において、例えば、スポーツ団体2Aに設置されるユーザ端末3A、スポーツ団体2Bに設置されるユーザ端末3B、スポーツ団体2Cに設置されるユーザ端末3C、スポーツ団体2Dに設置されるユーザ端末3Dが該当する。ユーザ端末3は、予めサーバ1との接続が許可された端末である。
【0018】
所定のネットワークNを介してサーバ1に接続される産業連関表サーバ5は、マスターデータに環境負荷原単位(例えば、産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EDI)2015)が含まれるものである。
産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EDI)は、「産業連関表」を用いて算出された「環境負荷原単位」が収録されたデータブックである。産業連関表は、生産活動の種類によって区分された約400の部門で構成されており、3EDIの環境負荷原単位には、各部門の単位生産活動(百万円相当の生産)に伴い発生する環境負荷量(エネルギー消費量やCO2等の温室効果ガス排出量等)が示される。
産業連関表は、製品の生産過程で排出されるCO2量を計算したり、ライフサイクルアセスメント(LCA)といった環境負荷の評価(環境影響評価)等に活用したりすることができるものである。
【0019】
以上のような環境負荷原単位は、本発明において、CO2排出量原単位(単位価格当たりのCO2排出量、例えばトン/円(以下、単にトン/円で表す))を知るために必要となる公知のデータである。
なお、環境負荷原単位をダウンロードして、サーバ1内の後述する環境負荷原単位記憶部182に記憶させてもよいものとする。
本発明においては、後述する会計データの「tekiyou」のワード(物品名等)について、CO2排出量原単位(トン/円)を知る必要があることから、所定のデータ加工を施してもよいものとする。
【0020】
図2は、
図1の環境影響評価システムのうち、サーバ1及びユーザ端末3のハードウェア構成を示すブロック図である。先ず、サーバ1について説明する。
【0021】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、表示部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備える。
【0022】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0023】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続される。このバス14には、入出力インターフェース15が接続される。
入出力インターフェース15には、表示部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続される。
【0024】
表示部16は、ディスプレイにより構成され、各種画像を表示する。入力部17は、各種ハードウェア等で構成され、各種情報を入力する。
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含む所定のネットワークNを介して他の装置(
図1の例では、ユーザ端末3A、ユーザ端末3B、ユーザ端末3C、ユーザ端末3D、産業連関表サーバ5)との間で行う通信を制御する。
【0025】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。
ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0026】
ユーザ端末3(ユーザ端末3A、ユーザ端末3B、ユーザ端末3C、及びユーザ端末3D)のハードウェア構成は、サーバ1の構成と基本的に同様である。
即ち、CPU31と、ROM32と、RAM33と、バス34と、入出力インターフェース35と、表示部36と、入力部37と、記憶部38と、通信部39と、ドライブ40と、リムーバブルメディア41を備える。
【0027】
以上のような
図2のサーバ1及びユーザ端末3(ユーザ端末3A、ユーザ端末3B、ユーザ端末3C、及びユーザ端末3D)の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、後述する各種処理が実現される。
【0028】
産業連関表サーバ5のハードウェア構成は、サーバ1の構成と基本的に同様である。そのため、ここでの説明は省略する。
【0029】
図3は、
図2のサーバ1の機能的構成のうち、排出量に関する処理等を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0030】
図3において、サーバ1は、排出量に関する処理等を実行するため、CPU11、記憶部18、及び通信部19が主に機能する。
なお、上述の排出量として、ここではCO
2排出量を採用するものとする(CO
2排出量に限らないものとする)。
【0031】
サーバ1のCPU11は、
図3に示すように、マッチングデータ管理部111と、マッチングデータ生成部112と、会計データ管理部113と、主体確認部114と、勘定項目確認部115と、結合データ生成部116と、ワード突合判断部117と、ワード探索部118と、ワード紐づけ登録部119と、排出量算出部120と、排出量出力部121と、表示情報生成部122と、表示要求受付部123とを備えて構成され、これらが機能する。
【0032】
サーバ1の記憶部18は、
図3に示すように、マッチングデータ記憶部181と、環境負荷原単位記憶部182と、会計データ記憶部183とを備えて構成される。
【0033】
マッチングデータ管理部111は、後述するマッチングデータの各種管理等に関する制御を実行する。
具体的には、例えば、マッチングデータをマッチングデータ記憶部181に記憶させたり、マッチングデータ記憶部181に記憶させたマッチングデータを取り出して例えば排出量の算出用として提供したり、或いは表示部16に表示させたり、必要に応じてマッチングデータを外部に出力したり、マッチングデータのデータ更新や変更をしたりする等、マッチングデータの各種管理等に関する制御を実行する。
【0034】
マッチングデータ生成部112は、後述するマッチングデータの生成に関する制御を実行する。具体的には、予めマッチングデータを生成するにあたり必要な制御を実行する。生成されたマッチングデータは、マッチングデータ管理部111を介してマッチングデータ記憶部181に記憶される。
【0035】
マッチングデータは、後述する会計データの「tekiyou(摘要)」のワード(物品名等)について、CO
2排出量原単位(トン/円)を知るために、「産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EDI)2015」と紐づけるように生成される。
マッチングデータは、所定の項目のデータが並ぶように生成される。所定の項目としては、本実施形態において、例えば、0から始まる整数によるインデックス番号、「match_word」、「code_number」、「department」、「basic_unit」が挙げられる(
図8の枠b参照)。
【0036】
上述の「match_word」は、上述の「産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EDI)2015」(以下、単にデータブックと略記する)上に存在するワードであって、後述する会計データの「tekiyou(摘要)」のワード(物品名等)を可能な限り一般化・抽象化した時のワードに相当する。
「code_number」は、「match_word」がデータブック上、どこに属するかを示すコード番号である。「code_number」は、「department」毎に付された番号である。「department」は、「match_word」のデータブック上の分類名である。「basic_unit」は、CO
2排出量原単位(トン/円)である。
後の説明で分かるようになるが、「basic_unit」の数値と、後述する会計データにおける「cost」の数値とが用いられて、CO
2排出量が算出される。なお、以上のような所定の項目のデータが並ぶマッチングデータについては、
図7を参照しながら後述するものとする。
【0037】
本実施形態において、上述のデータブックの他に、サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.2.4)を参照してもよいものとする。
【0038】
会計データ管理部113は、後述する会計データの各種管理等に関する制御を実行する。
具体的には、所定のネットワークNを介してユーザ2から(ユーザ端末3から)送信された会計データを受信し、これを会計データ記憶部183に記憶させたり、会計データ記憶部183に記憶させた会計データを取り出して例えば排出量の算出用として提供したり、或いは表示部16に表示させたり、必要に応じて会計データを外部に出力したり、会計データのデータ内容をチェックするよう主体確認部114や勘定項目確認部115に指示したりする等、会計データの各種管理等に関する制御を実行する。
【0039】
会計データは、主体の活動毎にどれだけの二酸化炭素(CO
2)が排出されているのかを把握するにあたり、サーバ1に投入されるデータである。本発明では、CO
2排出量を把握するためのデータとして、主体毎の会計データが採用される。
主体は、システム境界を構成する。ここでの主体は、活動や行動の主体である。システム境界とは、LCA(ライフサイクルアセスメント)と言われる環境影響評価を行う際の評価プロセス・評価範囲である(システム境界については
図9を参照しながら後述する)。以下、会計データや主体について、もう少し詳しく説明する。
【0040】
会計データは、環境影響評価を行う際の評価プロセス・評価範囲となるシステム境界において、主体を広い範囲で設定する場合、ユーザ2毎に二酸化炭素がどれだけ排出されているのかを把握するために投入されるデータになる。一方、主体をもう少し狭い範囲で設定する場合は、例えば、ユーザ2における様々な活動毎に二酸化炭素がどれだけ排出されているのかを把握するために投入されるデータになる。
会計データは、簿記の要素を構成に含むデータになり、これが特徴になる。具体的には、勘定項目(勘定科目と読み替えてもよい)を設定し、この勘定項目に基づくようにデータが生成される点が特徴になる。
なお、本発明を環境影響評価システムを「環境簿記システム」と読み替えてもよいものとする。
【0041】
本発明では、勘定項目に基づくようにデータが生成され、この生成された会計データによって、主体による様々な活動毎のCO2排出量を把握することができる。本発明は、簿記の要素に着目して環境影響評価を行うことができる。
【0042】
例えば、プロのサッカーチーム(スポーツ団体)を想定した場合の、上述の勘定項目の一例としては、(1)遠征費、(2)広告宣伝費、(3)グッズ売上、(4)付帯経費、(5)用具・備品費、(6)その他経費、(7)交通・出張費、(8)業務委託費、(9)運搬費、(10)強化・運営費、(11)事務用消耗品費、(12)スタジアム使用料、(13)接待交際費、(14)水道光熱費、(15)保険治療費、(16)選手寮家賃費、(17)賃借料、(18)通信費、(19)地代家賃、(20)バスツアー、(21)地代使用料、(22)接待飲食費、(23)会議費、(24)保険料、が挙げられる(これらに限定されないものとする)。
【0043】
会計データは、上述のような勘定項目に基づき生成される。会計データは、所定の項目のデータが並ぶように生成される。
所定の項目としては、本実施形態において、例えば、0から始まる整数による通し番号、「classification(分類、類別、種別)」、「tekiyou(摘要)」、「cost(費用)」、「subject(科目)」が挙げられる。「cost」は、費用の把握のみならず、上述のように、CO
2排出量の算出に用いられる。
なお、勘定項目として上述の(3)グッズ売上を取り上げ、また、上述の所定の項目の並びを採用し、そして、これらに基づくように生成された会計データについては、
図6を参照しながら後述するものとする。
【0044】
主体確認部114は、会計データ管理部113にて取得した会計データの主体が、例えば予め設定された主体と一致するか否かを確認する制御を実行する。仮に、不一致であると判断された場合には、会計データ管理部113を介してその旨が出力されるような制御を実行する。
なお、主体確認部114は、会計データ管理部113の機能の一つとしてもよいものとする。
【0045】
勘定項目確認部115は、会計データ管理部113にて取得された会計データの「classification」における分類が勘定項目と照らし合わせて適切であるか否かを確認する制御を実行する。仮に、不適切であると判断された場合には、会計データ管理部113を介してその旨が出力されるような制御を実行する。
なお、勘定項目確認部115は、会計データ管理部113の機能の一つとしてもよいものとする。
【0046】
結合データ生成部116は、CO2排出量の算出(温室効果ガス排出量の算出)の前に上述の会計データとマッチングデータとを結合して結合データを生成する制御を実行する。結合データの生成により、会計データとマッチングデータとが紐づき、その結果としてCO2排出量の算出をスムーズに行うことができる。
【0047】
結合データは、例えば、上述の「classification」、「tekiyou」、「cost」、「subject」、「match_index」、「match_word」、「code_number」、「department」、「basic_unit」がこの順に並ぶように生成される。結合データの生成により、「cost」と「basic_unit」とが対応するように紐づけられる。
【0048】
なお、上述のような結合データの生成にあたり、ワード突合判断部117では、上述の会計データに含まれる会計側所定ワードと、上述のマッチングデータに含まれるマッチング側所定ワードとを突合させて、会計側所定ワードがマッチング側所定ワードに該当するか否かを判断するような制御を実行する。
【0049】
上述の会計側所定ワードは、上述の会計データの「tekiyou」に該当するワードである。「tekiyou」に該当するワードとは、公知の簿記において、摘要欄に記載されるような例えば物品等に一致するワードである。即ち、ユーザ2側で例えば物品に使用される名称に一致するワードである。
一方、上述のマッチング側所定ワードは、上述の会計側所定ワード(「tekiyou」に該当するワード)を可能な限り一般化・抽象化したワードであって、上述のマッチングデータの「match_word」のワードに該当する。
【0050】
なお、上述の会計側所定ワードと上述のマッチング側所定ワードとを突合させて、会計側所定ワードがマッチング側所定ワードに該当しない(否)と判断された場合は、ワード探索部118及びワード紐づけ登録部119により、会計側所定ワードが該当するようなマッチング側所定ワード、即ち「match_word」となるワードが探索され、そして登録される。具体的には、
図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0051】
図4は、上述の会計側所定ワードが上述のマッチング側所定ワードに該当するか否かを判断するワード突合判断に関する処理の流れを説明するフローチャートである。
【0052】
図4において、ステップSS1では、会計側所定ワードを特定する処理を実行する。即ち、「tekiyou」のワードを特定する処理を実行する。具体例としては、例えば「〇〇ちゃん特大ぬいぐるみ(赤色)」を特定する処理を実行する。ステップSS1の処理を実行した後はステップSS2の処理に移行する。
【0053】
ステップSS2では、会計側所定ワードとマッチング側所定ワードとを突合する処理を実行する。即ち、「tekiyou」のワードと「match_word」のワードとを突合する処理を実行する。
具体例としては、例えば「〇〇ちゃん特大ぬいぐるみ(赤色)」と登録済みの「match_word」のワードとを突合する処理を実行する。ステップSS2の処理を実行し、「〇〇ちゃん特大ぬいぐるみ(赤色)」が登録済みの「match_word」のワードに該当しない(否)の場合(N)は、ステップSS3の処理に移行する。一方、該当する場合(Y)には、ステップSS7の処理に移行する。
【0054】
ステップSS3では、会計側所定ワードから固有名詞を削除する処理を実行する。即ち、「tekiyou」のワードから固有名詞を削除する処理を実行する。
具体例としては、例えば「〇〇ちゃん特大ぬいぐるみ(赤色)」から固有名詞を削除して「特大ぬいぐるみ(赤色)」にする処理を実行する。ステップSS3の処理を実行した後はステップSS4の処理に移行する。
【0055】
ステップSS4では、ステップSS3で処理された会計側所定ワードからサイズや色等の言葉を削除する処理を実行する。即ち、ステップSS3で処理された「tekiyou」のワードからサイズや色等の言葉を削除する処理を実行する。
具体例としては、例えば「特大ぬいぐるみ(赤色)」からサイズや色等の言葉を削除して「ぬいぐるみ」にする処理を実行する。ステップSS4の処理を実行した後はステップSS5の処理に移行する。
【0056】
ステップSS5では、ステップSS4で処理された会計側所定ワードに基づき上述のデータブックから該当する部門を探す処理を実行する。即ち、ステップSS4で処理された「tekiyou」のワードに基づき、マッチングデータ管理部111を介して産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EDI)2015)から該当する部門を探す処理を実行する。
具体例としては、例えば「ぬいぐるみ」が上述のデータブックのどの部門に該当するのかを探す処理を実行する。このステップSS5の処理により、「ぬいぐるみ」は「コードXXXX がん具」であることが探し当てられる。ステップSS5の処理を実行した後はステップSS6の処理に移行する。なお、該当する部門が探し当てられなかった場合が想定されるが、その場合は例えば「その他」等で対応することが考えられる。
【0057】
ステップSS6では、ステップSS1で特定された会計側所定ワードに対し、例えば「ぬいぐるみ」とステップSS5で探し当てられた「コードXXXX がん具」とを紐づける処理、及び登録する処理を実行する。
具体例としては、「tekiyou」のワードが例えば「〇〇ちゃん特大ぬいぐるみ(赤色)」であるのに対し、「match_word」のワードとして「ぬいぐるみ」を新たに登録する。また、「code_number」に「コードXXXX」、「department」に「がん具」を登録する。また、「basic_unit」としてCO2排出量原単位(トン/円)を登録する。
以上から分かるように、会計側所定ワードがマッチング側所定ワードに該当せず、そのためCO2排出量を算出することができないという事態を避けることができる。
ステップSS6の処理を実行した後はステップSS7の処理に移行する。即ち、CO2排出量の算出に関する処理に移行する。
【0058】
図3に戻り、排出量算出部120は、CO
2排出量を算出する制御を実行する。具体的には、「cost」の数値と「basic_unit」の数値とを掛け合わせて会計側所定ワード毎のCO
2排出量を算出する制御を実行する。算出されたCO
2排出量は、例えば上述の結合データに紐づけるようにして登録する(
図8参照)。
【0059】
排出量出力部121は、算出されたCO2排出量を、通信部19を介してユーザ2のユーザ端末3に対し出力する制御を実行する。排出量出力部121は、ユーザ2における主体の活動により発生したCO2排出量を見える化した状態で出力する制御を実行する。
【0060】
表示情報生成部122は、排出量出力部121により出力するCO2排出量の見える化状態に関する表示情報を生成する制御を実行する。この表示情報の生成にあたっては、表示要求受付部123を介してユーザ2側から要求を受け付けた表示形態に基づいて生成されるものとする(一例であるものとする)。
【0061】
CO2排出量を見える化した状態で出力することにより、ユーザ2側でのCO2排出量削減の行動を促すことができるのは勿論のこと、戦略的な削減実施策の策定に繋げることもできる。
【0062】
図5は、
図2のユーザ端末3の機能的構成のうち、上述の会計データに関する処理等を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0063】
図5において、ユーザ端末3は、上述の会計データに関する処理等を実行するため、CPU31、表示部36、及び通信部39が主に機能する。
【0064】
ユーザ端末3のCPU31は、
図5に示すように、会計データ生成部311と、会計データ出力部312と、表示形態要求部313と、排出量表示管理部314と、削減策検討部315とを備えて構成され、これらが機能する。
【0065】
会計データ生成部311は、環境影響評価を行う際の評価プロセス・評価範囲となるシステム境界(後述する)の主体を設定し、その上で上述の会計データを生成する制御を実行する。
【0066】
会計データ出力部312は、会計データ生成部311で生成された会計データを、通信部39を介してサーバ1に出力する制御を実行する。
【0067】
表示形態要求部313は、サーバ1に対し、CO2排出量の表示形態を要求する制御を実行する。具体的には、例えば、CO2排出量をグラフや表、或いはこれらの組み合わせ等で表示する、表示要求をサーバ1に対して要求する制御を実行する。
【0068】
排出量表示管理部314は、サーバ1から受け取ったCO2排出量の結果情報を表示する制御、及び管理に関する制御を実行する。排出量表示管理部314では、特に図示しないが、上述の結果情報を記憶部38に記憶させたり取り出したりする制御を実行する。
【0069】
削減策検討部315は、CO2排出量の結果を受けて分析し、削減に向けた戦略的な削減実施策の策定や検討に関する制御、或いはCO2の排出量を削減しようとする行動を促すことに関する制御を実行する。削減策検討部315は、例えば、AI等を用いて削減策をユーザ2に対し提案するような制御を実行してもよい。
【0070】
ユーザ2側では、ユーザ端末3に主体毎のCO2排出量が見える化された状態で出力される。この出力を見ることにより、ユーザ2側では、例えば主体毎に発生しているCO2の排出量を削減しようとする行動が促される。
【0071】
ユーザ2側では、主体毎に発生するCO2の排出量が見える化されることにより、次に何をすべきかが分かり易くなる。
【0072】
以下、ユーザ2側で主体が複数設定され、そして、これら主体毎の排出量が見える化された状態になるまでの具体的な一例を説明する。
以下での本サービスのサービス提供者は、例えばスポーツを通じた気候行動枠組みに取り組んでいるものとする。
もう少し具体的には、スポーツに関わる気候変動対策の重要性を示し、気候変動対策に向けて協同で貢献していく枠組みに取り組んでいるものとする。
【0073】
図6は、本発明の一実施形態に係る環境影響評価システムを示す概要図である。また、
図7は、
図6の環境影響評価システムにおいて、会計データとマッチングデータとを結合して結合データを生成する処理の説明図である。また、
図8は、
図6の環境影響評価システムにおいて排出量を算出して結合データにおけるマッチングデータの横に並べる処理の説明図である。
【0074】
図6に示す環境影響評価システムにおいて、環境影響評価を行う際の評価プロセス・評価範囲となるシステム境界(後述する)の主体毎に生成された会計データ6がサーバ1に投入される。サーバ1では、
図7に示す結合処理が実行される。そして、
図8に示す排出量の算出が行われた後、ユーザ2側では、例えば
図6に示す表TやグラフC等にて主体毎の排出量が見える化された状態で表示される。環境影響評価システムでは、上述のように、簿記の要素に着目して環境影響評価を行うことができる。
【0075】
会計データ6は、主体の様々な活動毎に二酸化炭素(CO2)がどれだけ排出されているのかを把握するために投入されるデータであって、構成に簿記の要素を含んだデータに生成される。会計データ6は、勘定項目(勘定科目と読み替えてもよい)が設定され、この設定された勘定項目に基づくようにデータが生成される。
具体的には、例えば、0から始まる整数による通し番号、「classification(分類、類別、種別)」、「tekiyou(摘要)」、「cost(費用)」、「subject(科目)」がこの順に並ぶように生成される。以下、名称や数値の例を入れて、会計データ6をもう少し具体的に説明する。
【0076】
会計データ6における通し番号が「0」の行では、「classification」のデータが「Goods」、「tekiyou」のデータが「ラッピング」、「cost」のデータが「6400.0(単位は円)」、「subject」のデータが「なし」で並ぶように生成される。
なお、「tekiyou」のデータは、簿記の摘要欄に記載されるような例えば物品等の名称に関するワードデータであり、特許請求の範囲に記載された会計側所定ワードに相当する(以下同様)。
また、通し番号が「1」の行では、「classification」のデータが「Goods」、「tekiyou」のデータが「送料」、「cost」のデータが「0.0(単位は円)」、「subject」のデータが「なし」で並ぶように生成される。
また、通し番号が「2」の行では、「classification」のデータが「Goods」、「tekiyou」のデータが「タツゥーシール」、「cost」のデータが「37.3(単位は円)」、「subject」のデータが「なし」で並ぶように生成される。
また、通し番号が「3」の行では、「classification」のデータが「Goods」、「tekiyou」のデータが「ステッカー(小、白)」、「cost」のデータが「212.0(単位は円)」、「subject」のデータが「なし」で並ぶように生成される。
また、通し番号が「4」の行では、「classification」のデータが「Goods」、「tekiyou」のデータが「ステッカー(長、青)」、「cost」のデータが「212.0(単位は円)」、「subject」のデータが「なし」で並ぶように生成される。なお、図示しないが、以降も同様に生成される。
【0077】
以上のような会計データ6は、サーバ1に投入された後、マッチングデータ7と結合される。
【0078】
マッチングデータ7は、会計データ6における「tekiyou」のデータ(会計側所定ワード)について、CO2排出量原単位(トン/円)を知るために産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EDI)と紐づける必要があり、そのため生成される。
具体的には、例えば、0から始まる整数によるインデックス番号、「match_word」、「code_number」、「department」、「basic_unit」がこの順に並ぶように生成される。以下、名称や数値の例を入れて、マッチングデータ7をもう少し具体的に説明する。
【0079】
マッチングデータ7におけるインデックス番号が「0」の行では、「match_word」のデータが「ラッピング」、「code_number」のデータが「163201」、「department」のデータが「洋紙・和紙」、「basic_unit」のデータが「0.000012(単位価格当たりのCO2排出量、例えばトン/円(以下、単にトン/円で表す)」で並ぶように生成される。
なお、「match_word」のデータは、上述の会計側所定ワードを可能な限り一般化・抽象化したワードデータであり、予め登録されるものとする(以下同様)。
また、インデックス番号が「1」の行では、「match_word」のデータが「色紙」、「code_number」のデータが「163201」、「department」のデータが「洋紙・和紙」、「basic_unit」のデータが「0.000012(トン/円)」で並ぶように生成される。
また、インデックス番号が「2」の行では、「match_word」のデータが「シール」、「code_number」のデータが「191101」、「department」のデータが「印刷・製版・製本」、「basic_unit」のデータが「0.000003(トン/円)」で並ぶように生成される。
また、インデックス番号が「3」の行では、「match_word」のデータが「ステッカー」、「code_number」のデータが「191101」、「department」のデータが「印刷・製版・製本」、「basic_unit」のデータが「0.000003(トン/円)」で並ぶように生成される。
また、インデックス番号が「4」の行では、「match_word」のデータが「送料」、「code_number」のデータが「572201」、「department」のデータが「道路貨物輸送(自家輸送を除く)」、「basic_unit」のデータが「0.000004(トン/円)」で並ぶように生成される。
なお、図示しないが、以降も同様に生成される。
上述の「basic_unit」のデータは、この後に説明する結合データ8の表示(例えば1.15e―05)と同じであってもよいものとする。
【0080】
サーバ1では、CO
2排出量を算出する前に会計データ6とマッチングデータ7とを結合する結合処理が実行される。この結合処理により
図7に示す結合データ8が生成される。
結合処理においては、会計データ6の「tekiyou」のデータ(会計側所定ワード)とマッチングデータ7の「match_word」のデータ(マッチング側所定ワード)とが突合され、その上で結合データ8が生成される。結合データ8が生成されると、会計データ6の「cost」のデータと、これに対応するマッチングデータ7の「basic_unit」のデータとが同じ行に並ぶような状態になり、これらを掛け合わせることによってCO
2排出量が容易に算出される(効率よくCO
2排出量が算出される)。以下、
図7の結合データ8をもう少し具体的に説明する。
【0081】
結合データ8は、会計データ6の「classification」、「tekiyou」、「cost」、「subject」の各データ、及び、マッチングデータ7のインデックス番号、「match_word」、「code_number」、「department」、「basic_unit」の各データがこの順に並ぶように生成される。
【0082】
例えば、「tekiyou」のデータが「タツゥーシール」の場合を例に挙げて説明すると、結合データ8は、「classification」のデータが「Goods」、「tekiyou」のデータが「タツゥーシール」、「cost」のデータが「37.3(単位は円)」、「subject」のデータが「なし」、インデックス番号が「2」、「match_word」のデータが「シール」、「code_number」のデータが「191101」、「department」のデータが「印刷・製版・製本」、「basic_unit」のデータが「3.47e―06」で並ぶように生成される。
なお、「basic_unit」のデータを「3.47e―06」でなく0.000003で表示してもよいものとする(小数点第7位を四捨五入している)。「e―06」は10-6を示すものとする。
【0083】
結合データ8がサーバ1内に生成された後は、「cost」のデータと、これに対応する「basic_unit」のデータとを掛け合わせる処理が実行され、GHG排出量(本実施形態ではCO
2排出量)が算出される。算出されたCO
2排出量は、「basic_unit」のデータの隣に並べられる。
図8において、表Tにおける枠a内には、会計データ6のデータが配置される。また、枠aの右隣の枠b内には、マッチングデータ7のデータが配置される。そして、枠bの右隣の枠c内には、CO
2排出量のデータが配置される。このようなデータ配置の表Tは、サーバ1から出力され、ユーザ2側で表示される(グラフCの形態で出力・表示されてもよいものとする)。
【0084】
以下、システム境界における複数の主体について、また、この複数の主体毎に排出量が見える化された状態について、例えばプロのサッカーチーム(スポーツクラブ(スポーツ団体))を例に挙げて説明する。なお、プロのサッカーチームに限らず、他の競技のスポーツクラブでも適用可能であるものとする。即ち、イベントや試合開催のような興行活動であれば、以下の例は適用可能であるものとする。
【0085】
図9は、環境影響評価を行う際の評価プロセス・評価範囲としてシステム境界の主体の分類に関する一例を示す説明図である。また、
図10は、
図9のシステム境界の主体が地域(ホームタウン)においてどのように位置するのかの一例を示すマップ図である。また、
図11は、主体別CFP結果と内訳の一例を円グラフで示す図である。また、
図12は、
図11における主催者のCFP結果内訳のうちトップチームを棒グラフで示す図である。また、
図13は、
図11における来場者の移動のCFP結果内訳を円グラフで示す図である。なお、「CFP」については後述するもとする。
【0086】
図9において、例えばプロのサッカーチームに関し、LCA(ライフサイクルアセスメント)と言われる環境影響評価を行う際の評価プロセス・評価範囲であるシステム境界Bは、大きく分けて「主催者(フロント・チーム)SH1」、「スタジアム・クラブ施設SH2」、「来場者SH3」の3つが主体となり、これら3つの主体を評価することになる。3つの主体は、スポーツ興行活動を行うにあたり、ホームタウンに携わる主体である。3つの主体は、主体毎に「原材料調達、製造、輸送、販売、使用、廃棄、再利用」と言ったライフサイクルが考えられる。ライフサイクルの具体的な分類は以下で説明する。
【0087】
図9に示すシステム境界Bにおける主体「主催者(フロント・チーム)SH1」のライフサイクルとしては、例えば、「製作・調達・販売L1」、「広告宣伝L2」、「搬入L3」、「移動L4」、「搬出・廃棄L5」、「宿泊・帰宅L6」、「販売・購入物品L7」、「来場者への配布物(プログラム等)L8」、「会場内の設営・撤去L9」、「選手・スタッフ(運営・警備等)L10」が挙げられる。
主体「スタジアム・クラブ施設SH2」のライフサイクルとしては、例えば、「電力・燃料の使用等L11」が挙げられる。主体「スタジアム・クラブ施設SH2」においては、主体「主催者(フロント・チーム)SH1」のライフサイクル、「販売・購入物品L7」、「来場者への配布物(プログラム等)L8」、「会場内の設営・撤去L9」、「選手・スタッフ(運営・警備等)L10」が関連する。
主体「来場者SH3」のライフサイクルとしては、例えば、「会場への移動L12」、「帰宅L13」が挙げられる。
図9のライフサイクルにおいては、図中の矢印に示すように、「製作・調達・販売L1」及び「会場への移動L12」が「販売・購入物品L7」に関係し、「広告宣伝L2」及び「搬入L3」は「来場者への配布物(プログラム等)L8」に関係する。また、「搬入L3」は「会場内の設営・撤去L9」に関係し、「移動L4」は「選手・スタッフ(運営・警備等)L10」に関係する。また、「販売・購入物品L7」は「搬出・廃棄L5」及び「帰宅L13」に関係し、「来場者への配布物(プログラム等)L8」及び「会場内の設営・撤去L9」は「搬出・廃棄L5」に関係する。また、「選手・スタッフ(運営・警備等)L10」は「宿泊・帰宅L6」に関係する。
上述のようなライフサイクルに合わせて勘定項目が設定され、その上で例えば主体毎に会計データ6が生成される。
【0088】
例えば、主体の1つである
図9の「主催者(フロントチーム)SH1」では、「クラブオフィス、トップチーム、アカデミー、グッズショップ等」が該当しており、グッズやプログラム等の制作、ボール、ユニフォーム、スパイク等の調達、チケット、グッズ、バスツアー等の販売が評価の範囲に入る。
【0089】
「調達」に関しては、購入品も該当するため、選手の負傷等に伴う費用やクラブオフィスでの事務用品、電気代等業務に係る購入品も入る。「広告宣伝」は、ポスター、プログラム、カレンダー等の制作費・広告料が評価の範囲に入る。「移動」は、1年間の興行活動で、試合開催だけでなくキャンプ合宿に伴う遠征、スタッフの移動等でも使用するレンタカーのガソリン代等も評価の範囲に入る。
【0090】
主体「スタジアム・クラブ施設SH2」では、試合を開催するホームタウンのスタジアム、そしてホームタウンチームの練習場やクラブハウス、選手寮等の施設が評価の範囲に入る。主体「来場者SH3」では、主にホームタウンのサポーターとアウェイサポーターが評価の範囲に入る。なお、上述のホームタウンの一例を
図10に示す。
【0091】
図10において、上述のプロのサッカーチームのホームタウンには、クラブハウスM1、スポーツクラブM2、選手寮M3、百貨店M4、プラザM5、河川敷グランドM6、スタジアムM7、及び大学グランドM8が点在する。
図10からは、例えば、スタジアムM7が駅から離れていることが分かる(約10km離れているものとする)。スタジアムM7において試合が開催されると、来場者は、自家用車を使用したり、駅からのシャトルバス、タクシーを利用したりする必要があることが分かる。なお、後述するが、
図13を見ると、来場者の移動によるCO
2排出量が分かる。
【0092】
プロのサッカーチーム(スポーツクラブ。ここでは単にクラブと呼ぶこともある)を例に挙げた場合のシステム境界は、試合開催におけるホームチームを軸に考えられる。そして、ホームチームに関わる全ての主体は、ホームタウンの地域のみならずスポーツクラブという組織の一部として考えられる。例えば、海外に日本のスポーツクラブの事業拠点があったとしても、組織の1つとして考えられる。そのため、ホームタウンにいるサポーターを巻き込んだCO2排出量の削減活動が重要で、規模が大きいクラブになるとグローバルに排出削減活動が見込める。
【0093】
システム境界を「主催者(フロント・チーム)SH1」、「スタジアム・クラブ施設SH2」、「来場者SH3」の3つの主体に分け、更に各主体を人や場所、施設、行動、活動等の、主体に合った分類で細分化し、その上で上述の(1)~(24)の勘定項目に基づき会計データ6を生成する。そして、生成した会計データ6をサーバ1に投入すると、後に、例えば主体別CFP結果と内訳が円グラフで示されるような排出量の結果が見える化された状態で得られる。
【0094】
なお、
図11から分かるように、主体「主催者(フロント・チーム)」は、トップチーム、クラブオフィス、アカデミー、プラザ、及び百貨店に細分化され、主体「スタジアム・クラブ施設」は、スタジアム、グラウンド、選手寮、河川敷グラウンド、クラブハウス、管理棟、及び大学グラウンドに細分化され、主体「来場者」は、その移動として、自家用車、公共交通機関、シャトルバス、タクシー、及びその他に細分化される。これらの細分化により分けられたCFP結果が得られる。
【0095】
上述のCFPとは、カーボンフットプリント(Carbon Footprint of Products)の略称であり、一般的に商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに分かり易く表示する仕組みのことである。
【0096】
図11の円グラフPC1(グラフC)を見ると、内円から主体別CFP結果の割合が視覚的にすぐ分かる。また、外円から主体別CFP内訳結果の割合も視覚的に分かる。また、パーセント(%)表示や、数値の表示からも分かる。
【0097】
そして、
図11の主体「主催者(フロント・チーム)」におけるトップチームをその内訳で見ると、
図12の棒グラフBC(グラフC)で示すようなCFP結果が得られる。
図12では、CO
2排出量がGHG emissions[t-CO
2eq/year]として0.00E+00トンから7.00E+00トンまでの範囲で表示される。
図12中の「A」は航空輸送、「B」は織物製衣服、「C」は宿泊業、「D」は鉄道旅客輸送、「E」は運動用品、「F」は革製履物、「G」は医療(入院外診療)、「H」はその他の繊維既製品、「I」は情報サービス、「J」はそう菜・すし・弁当、「K」はその他を示す。「A」~「K」は、上述の会計データ6における「tekiyou」のデータに該当する。即ち、上述の会計側所定ワードに該当する。
図12中で最も大きい「A」の航空輸送を見てその量を把握することにより、モーダルシフトや環境に配慮した機体の選択、排出権取引等の実施をすべきであると考えることができる。
【0098】
図13の、来場者(主体)の移動に関する円グラフPC2(グラフC)を見ると、内円から大会別CFP結果の割合が視覚的にすぐ分かる。なお、大会とは、リーグ、〇〇カップ、△△杯である。また、外円から移動手段別CFP内訳結果の割合も視覚的に分かる。また、パーセント(%)表示や、数値の表示からも移動手段別CFP内訳結果が分かる。
【0099】
以上のようなCO2排出量の見える化は、ユーザ2の事業活動に伴うCO2排出量を把握し分析することができることから、CO2排出量の多い項目に関して、環境配慮型の行動、若しくは商品の選択を促すことが期待できる。
例えば、環境配慮型のスタジアムに変更できるように、太陽光発電設備の設置や再生可能エネルギーの購入、来場者やチーム・スタッフの移動に伴うCO2排出量を抑制するため、モーダルシフトやシャトルバス等の工夫が期待できる。
来場者への配布物に関しても、電子化の推進等が考えられ、ユニフォームもリサイクル素材を徹底する等が考えられる。
【0100】
また、スポーツという観点では、近年、地球温暖化に伴い試合開催が危ぶまれることもあり、主催者(フロントチーム)が企業のリスクマネジメントの一環として「CO2排出量の見える化」を行うことで、「持続可能なスポーツビジネス」を手助けすることが期待できる。
【0101】
スポーツクラブのCO2排出量削減のためには、一般企業と同様の考え方に加えて、地域性や大会方式を考慮する必要がある。特に、来場者の移動や大会等での遠征は、立地、移動手段がCO2排出量の削減に大きく影響する。また、大会方式も1度に同じ会場で開催されるサッカーワールドカップやオリンピックがあるが、リーグ戦の遠征は日本国内だけの大会もあれば、アジア、ヨーロッパ各地と様々である。
地域密着型からCO2排出量の削減に貢献をしていくことで、その地域の付加価値となるのがスポーツクラブの役割と考えられる。
【0102】
以上、本発明の環境影響評価システムの一実施形態について説明したが、本発明は上述した本実施形態に限るものではないものとする。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果の列挙に過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではないものとする。
【0103】
例えば、勘定項目として上述の実施形態では、(1)~(24)の勘定項目を挙げているが、これらに限定されないものとする。また、上述の実施形態では、産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EDI)2015)を利用しているが、この利用に限定されないものとする。
【0104】
また、
図2に示すハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されないものとする。換言すると、
図3や
図5に示す機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されないものとする。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が環境影響評価システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図3や
図5の例に限定されないものとする。
【0105】
また、機能ブロックの存在場所も、
図3や
図5に特に限定されず、任意でよいものとする。例えば、サーバ1の機能ブロックをユーザ端末3に移譲させてもよいものとする。また、サーバ1の機能ブロックを産業連関表サーバ5に移譲させてもよいものとする。また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよいものとする。
【0106】
また、例えば、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされるものとする。また、コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれるコンピュータであってもよいものとする。
コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよいものとする。
【0107】
また、例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、利用者にプログラムを提供するために、装置本体とは別に配布される図示しないリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で利用者に提供される記録媒体等で構成されるものであってもよいものとする。
【0108】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理は勿論、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものとする。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0109】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される
図2のリムーバブルメディア21(41)により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ2に提供される記録媒体等で構成される。
リムーバブルメディア21(41)は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。
装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている
図2のROM12や、
図3の記憶部18に含まれるハードディスク等で構成される。
【0110】
以上まとめると、本発明が適用される環境影響評価システムは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される環境影響評価システム(例えば
図1のサーバ1を含むシステム)は、
環境影響評価を行う際の評価範囲の会計データ(例えば
図6の会計データ6)を記憶する会計データ記憶手段(例えば
図3の会計データ記憶部183)と、
環境負荷原単位に基づいて生成されたマッチングデータ(例えば
図7のマッチングデータ7)を記憶するマッチングデータ記憶手段(例えば
図3のマッチングデータ記憶部181)と、
前記会計データと前記マッチングデータとから温室効果ガス排出量の算出を行う排出量算出手段(例えば
図3の排出量算出部120)と、
前記排出量算出手段にて算出された前記温室効果ガス排出量を可視化可能な状態に出力する排出量出力手段(例えば
図3の排出量出力部121)と、を備える。
【0111】
本発明によれば、会計データとマッチングデータとから温室効果ガス排出量を算出し、そして、算出した温室効果ガス排出量を可視化可能な状態に出力することができる。即ち、見える化した状態に出力することができる。これにより、会計データを基にして温室効果ガスをどれだけ排出しているのかを把握することができる。温室効果ガスの排出量を把握できることにより、温室効果ガスの排出量削減の行動を促すことができる。
【0112】
また、本発明が適用される環境影響評価システムは、
前記温室効果ガス排出量の算出の前に前記会計データと前記マッチングデータとを結合して結合データ(例えば
図7の結合データ8)を生成する結合データ生成手段(例えば
図3の結合データ生成部116)を更に備える。
【0113】
本発明によれば、温室効果ガス排出量の算出の前に会計データとマッチングデータとを結合して結合データを生成することから、温室効果ガス排出量の算出を効率よく行うことができる。
【0114】
また、本発明が適用される環境影響評価システムは、
前記会計データに含まれる会計側所定ワード(例えば
図6の会計データ6における「tekiyou」のデータ)と前記マッチングデータに含まれるマッチング側所定ワード(例えば
図7のマッチングデータ7における「match_word」のデータ)とを突合させて、当該会計側所定ワードが当該マッチング側所定ワードに該当するか否かを判断するワード突合判断手段(例えば
図3のワード突合判断部117)と、
前記ワード突合判断手段において前記会計側所定ワードが否と判断された場合(例えば
図4のステップSS2でN)に、当該否と判断された会計側所定ワードが該当するようなマッチング側所定ワードを探索するワード探索手段(例えば
図3のワード探索部118)と、
前記否と判断された会計側所定ワードを前記ワード探索手段により探索されたマッチング側所定ワードに紐づけて登録するワード紐づけ登録手段(例えば
図3のワード紐づけ登録部119)と、を更に備える。
【0115】
本発明によれば、マッチング側所定ワードの探索・紐づけ・登録をすることができることから、会計側所定ワードがマッチング側所定ワードに該当せず、そのため温室効果ガス排出量を算出することができないという事態を避けることができる。
【0116】
また、本発明が適用される環境影響評価システムは、
前記評価範囲としてのシステム境界(例えば
図9のシステム境界)は、複数の主体(例えば
図9の3つの主体)に分類され、当該複数の主体毎に前記会計データが生成される。
【0117】
本発明によれば、LCA(ライフサイクルアセスメント)と言われる環境影響評価を行う際の評価プロセス・評価範囲であるシステム境界を複数の主体で構成し、これら主体を組織の一部として考えることができる。複数の主体によって広い範囲で組織を捉えるとすれば、例えば地域ぐるみで温室効果ガスの排出量削減の行動に取り組むことができる。
【0118】
本発明が適用される環境影響評価方法は、
環境影響評価システムが実行する環境影響評価方法であって、
環境影響評価を行う際の評価範囲の会計データを記憶する会計データ記憶ステップと、
環境負荷原単位に基づいて生成されたマッチングデータを記憶するマッチングデータ記憶ステップと、
前記会計データ及び前記マッチングデータから温室効果ガス排出量の算出を行う排出量算出ステップと、
前記排出量算出ステップにて算出された前記温室効果ガス排出量を可視化可能な状態に出力する排出量出力ステップと、を含む。
【0119】
本発明によれば、会計データとマッチングデータとから温室効果ガス排出量を算出し、そして、算出した温室効果ガス排出量を可視化可能な状態に出力することができる。即ち、見える化した状態に出力することができる。これにより、会計データを基にして温室効果ガスをどれだけ排出しているのかを把握することができる。温室効果ガスの排出量を把握できることにより、温室効果ガスの排出量削減の行動を促すことができる。
【0120】
本発明が適用されるプログラムは、
環境影響評価システムを制御するコンピュータに、
環境影響評価を行う際の評価範囲の会計データを記憶する会計データ記憶ステップと、
環境負荷原単位に基づいて生成されたマッチングデータを記憶するマッチングデータ記憶ステップと、
前記会計データ及び前記マッチングデータから温室効果ガス排出量の算出を行う排出量算出ステップと、
前記排出量算出ステップにて算出された前記温室効果ガス排出量を可視化可能な状態に出力する排出量出力ステップと、を含む制御処理を実行させる。
【0121】
本発明によれば、会計データとマッチングデータとから温室効果ガス排出量を算出し、そして、算出した温室効果ガス排出量を可視化可能な状態に出力することができる。即ち、見える化した状態に出力することができる。これにより、会計データを基にして温室効果ガスをどれだけ排出しているのかを把握することができる。温室効果ガスの排出量を把握できることにより、温室効果ガスの排出量削減の行動を促すことができる。
【符号の説明】
【0122】
1・・・サーバ、2・・・ユーザ、3・・・ユーザ端末、5・・・産業連関表サーバ、6・・・会計データ、7・・・マッチングデータ、8・・・結合データ、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・表示部、17・・・入力部、18・・・記憶部、19・・・通信部、20・・・ドライブ、21・・・リムーバブルメディア、111・・・マッチングデータ管理部、112・・・マッチングデータ生成部、113・・・会計データ管理部、114・・・主体確認部、115・・・勘定項目確認部、116・・・結合データ生成部、117・・・ワード突合判断部、118・・・ワード探索部、119・・・ワード紐づけ登録部、120・・・排出量算出部、121・・・排出量出力部、122・・・表示情報生成部、123・・・表示要求受付部、181・・・マッチングデータ記憶部、182・・・環境負荷原単位記憶部、183・・・会計データ記憶部、311・・・会計データ生成部、312・・・会計データ出力部、313・・・表示形態要求部、314・・・排出量表示管理部、315・・・削減策検討部、N・・・所定のネットワーク