(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187611
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】接客支援システム、接客支援装置、接客支援方法および接客支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221213BHJP
G06F 16/90 20190101ALI20221213BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20221213BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G06Q30/02 470
G06F16/90 100
G06T7/00 660B
G10L15/10 200W
G10L15/10 500T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095689
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】大角 卓生
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
5B175DA01
5B175DA04
5B175EA01
5L049AA02
5L049BB05
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA02
5L096GA51
5L096HA09
(57)【要約】
【課題】 接客状況に応じた通知を行う接客支援システム、接客支援装置、接客支援方法および接客支援プログラムを提供すること。
【解決手段】 本発明の一実施形態に係る接客支援システム1は、第1の店員と顧客とのそれぞれの感情を分析する感情分析手段10と、店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて、第2の店員への接客支援通知の出力を指示する通知指示手段20と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の店員と顧客との画像に基づき、前記第1の店員と前記顧客との感情を分析する感情分析手段と、
前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに基づいて、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示する通知指示手段と、
を備える、接客支援システム。
【請求項2】
前記通知指示手段は、前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに所定値以上の乖離がある場合に、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示する、請求項1に記載の接客支援システム。
【請求項3】
前記第1の店員と前記顧客との会話を分析するテキスト分析手段を更に備え、
前記通知指示手段は、前記テキスト分析手段が所定のキーワードを検出した場合に前記接客支援通知の出力を指示する、
請求項1又は2に記載の接客支援システム。
【請求項4】
前記テキスト分析手段の結果から、会話内容の分類を判定する判定手段を更に備え、
前記判定手段の判定結果によって前記接客支援通知の出力を指示しない、
請求項3に記載の接客支援システム。
【請求項5】
前記接客支援通知は、前記第1の店員が前記顧客に行った接客に関する接客情報を含む、
請求項1から4のいずれか1つに記載の接客支援システム。
【請求項6】
前記第1の店員に対して前記感情分析結果を出力する結果出力手段を更に備える、
請求項1から5のいずれか1つに記載の接客支援システム。
【請求項7】
前記結果出力手段は、前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とを同一画面で時系列に示す感情分析結果比較画面を出力する、
請求項6に記載の接客支援システム。
【請求項8】
第1の店員と顧客との画像に基づき、前記第1の店員と前記顧客との感情を分析する感情分析部と、
前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに基づいて、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示する通知指示部と、
を備える、接客支援装置。
【請求項9】
第1の店員と顧客との画像に基づき、前記第1の店員と前記顧客との感情を分析し、
前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに基づいて、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示する、
接客支援方法。
【請求項10】
第1の店員と顧客との画像に基づき、前記第1の店員と前記顧客との感情を分析し、
前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに基づいて、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示する、
ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接客支援システム、接客支援装置、接客支援方法および接客支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
接客業務において、顧客の状況を適切に評価し、質の良い接客を行うことが必要とされている。また、質の良い接客のためには、状況に応じて別の店員の接客支援が必要となる場合もある。
【0003】
上述のニーズに対応する技術として、特許文献1では、顧客と係員の画像及び音声を取得し、取得した画像及び音声から、顧客の理解度を評価することで顧客満足度向上に役立てる技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、顧客と接客対応者との間で行われる会話の内容と接客対応者の状態を取得し、過去事例との類似度と接客対応者の状態とに基づいて、接客対応者を支援する必要性の度合いを表す情報を生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-124604号公報
【特許文献2】国際公開第2019/163700号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
顧客と店員の間での接客状況によっては別の店員による接客支援を必要とする場合があるが、接客支援が必要であることを別の店員が把握することは難しい。また、接客中の店員が、別の店員による接客支援を要請することも容易でない。そのため、接客中の店員とは異なる店員に対して、接客支援が必要であることを適切に通知するシステムが求められている。
【0007】
そこで、本発明の目的の1つは、顧客と店員との感情分析結果に基づいて、接客状況に応じた通知を行う接客支援システム、接客支援装置、接客支援方法および接客支援プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の接客支援システムの一態様は、第1の店員と顧客との画像に基づいて前記第1の店員と前記顧客との感情を分析する感情分析手段と、前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに基づいて、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示する通知指示手段と、を備える。
【0009】
本発明の接客支援装置の一態様は、第1の店員と顧客との画像に基づいて前記第1の店員と前記顧客との感情を分析する感情分析部と、前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに基づいて、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示する通知指示部と、を備える。
【0010】
本発明の接客支援方法の一態様は、第1の店員と顧客との画像に基づいて前記第1の店員と前記顧客との感情を分析し、前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに基づいて、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示する。
【0011】
本発明の接客支援プログラムの一態様は、第1の店員と顧客との画像に基づいて前記第1の店員と前記顧客との感情を分析し、前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに基づいて、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示することをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、接客中の店員とは異なる店員に対して、接客支援が必要であることを通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る接客支援システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る接客支援システムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図3】第2の実施形態に係る接客支援システムの概要を示す図である。
【
図4】分析システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図5】感情分析結果の組み合わせと接客支援通知の出力有無の対応例である。
【
図6】感情分析結果の変化の組み合わせと接客支援通知の出力有無の対応例である。
【
図7】第2の実施形態に係る接客支援システムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図8】第3の実施形態に係る分析システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図9】第3の実施形態に係る接客支援システムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図10】第3の実施形態に係る接客支援システムの動作の変形例を示すフローチャートである。
【
図11】第4の実施形態に係る分析システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図12】リアルタイム分析結果の画面出力の例である。
【
図14】接客支援システムの各部を構成するハードウェアの例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る接客支援システム1の構成を示す機能ブロック図である。
図1において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、
図1に示すブロックは単一の接客支援装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてもよい。接客支援システム1は感情分析手段10、通知指示手段20を備える。
【0015】
感情分析手段10は、第1の店員と顧客との画像に基づいて第1の店員と顧客とのそれぞれの感情を分析する。感情分析には周知の技術を適用可能である。
【0016】
通知指示手段20は、店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知の出力を指示する。また、通知指示手段が接客支援通知を出力してもよい。接客支援通知は、接客中の第1の店員とは異なる第2の店員に対して出力される。第2の店員は、第1の店員の上司や先輩、店長、同僚などが挙げられるが、第1の店員と異なる店員であればこれに限定されない。また、接客支援通知は1人の第2の店員に対して出力されてもよく、複数人に対して出力されてもよい。出力方法は、第2の店員が使用する携帯端末への出力、第2の店員が確認可能な店舗端末への出力などがあるが、これらに限られない。その他、通知指示手段20は、接客支援通知が出力されたことを知らせる通知を第1の店員に対して出力するよう指示してもよい。第1の店員への通知の出力は第2の店員へ出力した通知と同じ通知を出力してもよく、第1の店員向けの異なる通知を出力してもよい。
【0017】
第1の実施形態に係る接客支援システムの動作について図面を用いて説明する。
図2は接客支援システム1の動作の例を示すフローチャートである。
【0018】
感情分析手段10は、第1の店員と顧客との画像に基づいて第1の店員と顧客との感情を分析する(ステップS1)。そして、感情分析手段10は第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力するか判定する(ステップS2)。第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力すると判定した場合(ステップS2でYES)、通知指示手段20は第2の店員への接客支援通知の出力を指示し(ステップS3)、ステップS1に戻る。
【0019】
一方、第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力しないと判定した場合(ステップS2でNO)、処理はステップS1に戻る。
なお、接客支援通知を出力するかの判定(ステップS2)は、図示しない判定部で行ってもよく、通知指示手段20にて行ってもよい。
【0020】
第1の実施形態に係る接客支援システムでは、第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力することができる。これにより、顧客満足度の低下を抑止することもできる。
【0021】
[第2の実施形態]
第2の実施形態における接客支援システム2では、分析システム100が第1の実施形態における接客支援システム1に相当するが、分析システム100は情報取得部110を更に備える点で接客支援システム1とは異なる。また、接客支援システム2は接客支援通知の出力先として店員端末200を更に備える。以下、図面を用いながら詳細に説明する。
【0022】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る接客支援システム2の概要を示す図である。接客支援システム2は、分析システム100と、店員端末200とを含み、分析システム100と店員端末200はネットワーク300を介して通信可能に接続されている。また、分析システム100は店員端末200に実装されてもよく、分析システム100の構成の一部が店員端末200に実装されてもよい。
【0023】
店員端末200は複数台あってもよい。好ましくは各店員が店員端末200を1台ずつ使用することが望ましい。
【0024】
分析システム100について説明する。
図4は分析システム100の構成の例を示すブロック図である。
図4において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、
図4に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてもよい。分析システム100は情報取得部110、感情分析部120、通知指示部130を備える。ただし、分析システム100の構成はこれに限定されない。
【0025】
情報取得部110は、第1の店員と顧客との画像を取得する。画像は図示しないカメラから取得してもよい。また、画像データとして入力されてもよい。カメラを用いる場合、カメラは分析システム100に含まれてもよいし、外付けデバイスとして設けられ分析システム100に通信可能に接続されていてもよい。また、カメラは店員端末200に備えられていてもよく、店員端末200のカメラが撮像した画像を情報取得部110が取得してもよい。
【0026】
情報取得部110は、取得した画像を感情分析部120に送信する。取得される第1の店員と顧客の画像は、同一フレームに第1の店員と顧客とが含まれているものでもよく、第1の店員が含まれる画像と顧客が含まれる画像とが別々の画像として取得されてもよい。
【0027】
感情分析部120は、第1の店員と顧客との画像に基づいて、第1の店員と顧客とのそれぞれの感情を分析する。感情分析には周知の技術を適用可能である。情報取得部110は、第1の店員と顧客との画像に代えて、第1の店員と顧客とのバイタルデータを取得してもよい。この場合、感情分析部120は、情報取得部110が取得した第1の店員と顧客とのバイタルデータに基づいて感情分析を行う。又は、情報取得部110は、第1の店員と顧客との画像に加えて、第1の店員と顧客とのバイタルデータを取得する構成でもよい。この場合、感情分析部120は、情報取得部110が取得した第1の店員と顧客との画像と、第1の店員と顧客とのバイタルデータと、に基づいて感情分析を行う。バイタルデータは体表面温度や心拍数などが挙げられるが、この他感情分析に用いることが可能な生体情報であればこれらに限られない。各種のバイタルデータを取得する方法の一例として、図示しないウェアラブルデバイスによる取得が挙げられるが、その他の方法によってバイタルデータを取得してもよい。情報取得部110が取得するデータとしては、感情分析に用いることが可能なデータであればよく、例示されるデータに限られない。
【0028】
感情分析部120は、第1の店員と顧客とのそれぞれの感情分析結果に基づいて接客支援通知を出力するかを判定する。接客支援通知を出力するかの判定は図示しない判定部で行ってもよく、通知指示部130で行ってもよい。判定に用いる条件は、予め一律に定められてもよく、店員ごとに定められていてもよい。店員ごとに条件を定める場合、各店員の勤続年数や経験、スキルなどの店員情報を考慮して定めることができ、店員ごとに合わせた接客支援通知を出力することができる。店員情報を考慮して所定の値を定める場合、生体認証によって接客を行う店員を特定して店員情報を取得する方法や、店員情報に紐づく店員識別情報を予め登録する方法、店員情報を直接入力する方法などがあるが、店員情報を取得することができればこれらの方法に限られない。
【0029】
接客支援通知を出力するかの判定について、具体的に例示する。第1の例として、第1の店員と顧客のそれぞれの感情分析結果を分類分けし、感情分析結果の分類の組み合わせによって接客支援通知を出力するかを判定する。ここで、感情分析結果の分類の一例として、「ポジティブ」「ニュートラル」「ネガティブ」の何れかに分類することが考えられる。具体的には、「うれしい」「共感」といった良い感情は「ポジティブ」、「恐怖」「困惑」「嫌悪」「軽蔑」などの悪い感情は「ネガティブ」、「ポジティブ」と「ネガティブ」に分類されない感情を「ニュートラル」と判定することができる。ただし、感情分析結果の分類はこれらに限られない。ここでは感情分析結果が「ポジティブ」「ニュートラル」「ネガティブ」の何れかに分類される場合を例として説明する。
【0030】
図5は第1の店員と顧客のそれぞれの感情分析結果の分類の組み合わせと接客支援通知の出力有無の対応例である。第1の店員と顧客との感情分析結果の分類がともに「ポジティブ」の場合、接客支援通知を出力しないと判定し、通知指示部130は接客支援通知の出力を指示しない。第1の店員と顧客との感情分析結果の分類の何れか一方が「ポジティブ」であり、もう一方が「ニュートラル」の場合も、接客支援通知を出力しないと判定し、通知指示部130は接客支援通知の出力を指示しない。また、第1の店員と顧客との感情分析結果の分類がともに「ニュートラル」である場合も、接客支援通知を出力しないと判定し、通知指示部130は接客支援通知の出力を指示しない。
【0031】
一方、第1の店員と顧客との感情分析結果の分類の何れか一方が「ネガティブ」であり、もう一方が「ポジティブ」又は「ニュートラル」の場合、接客支援通知を出力すると判定し、通知指示部130は接客支援通知の出力を指示する。さらに、第1の店員と顧客との感情分析結果の分類がともに「ネガティブ」の場合も、接客支援通知を出力すると判定し、通知指示部130は接客支援通知の出力を指示する。
【0032】
さらに、接客支援通知を出力する場合、第1の店員と顧客との感情分析結果の分類の組み合わせによって接客支援通知の詳細を変更してもよい。例えば、第1の店員と顧客との感情分析結果の分類がともに「ネガティブ」の場合、第1の店員と顧客との関係が険悪になっていることなどが考えられる。そのため、このような場合に接客支援通知を変更することで、接客支援の必要性が高いことを把握しやすくすることができる。接客支援通知の詳細の変更としては、出力先の変更、出力形式の変更などが考えられるが、これに限定されない。
【0033】
出力先の変更としては、第1の店員の先輩、第1の店員の上司、店長や責任者などへ通知先を変更することが考えられる。この場合、接客状況ごとに適切な対応がとることのできる第2の店員へ通知することができる。
【0034】
出力形式の変更としては、通知内容の変更や通知時の音、光、振動の変更が考えられるが、これらに限られない。通知内容の変更は具体的には、通知文の内容を変更することや、文字の色やフォントの変更、通知画面の色やマークなどのデザインの変更が考えられる。出力形式を変更した場合、接客支援通知を受け取った第2の店員が接客状況を把握しやすくなるため便利である。
【0035】
第2の例として、店員と顧客とのそれぞれの感情分析結果の変化によって分類分けし、感情分析結果の変化による分類の組み合わせによって接客支援通知を出力するかを判定する。
図6は感情分析結果の変化による分類の組み合わせと接客支援通知の出力有無の対応例である。感情分析結果の変化による分類は、例えば、「ポジティブ側に所定以上の変化がある」「ネガティブ側に所定以上の変化がある」「所定以上の変化がない」に分類することができる。感情分析結果の変化の判定方法は、所定期間における感情の変化履歴から判定する方法や、接客開始時の感情分析結果と接客中の感情分析結果を比べて判定する方法などが挙げられるが、これらに限定されない。また、所定期間内における感情分析結果の変化量に基づいて接客支援通知の詳細を変更してもよい。
【0036】
第1の店員と顧客との感情分析結果の変化による分類がともに「ポジティブ側に所定以上の変化がある」の場合、接客支援通知を出力しないと判定し、通知指示部130は接客支援通知の出力を指示しない。第1の店員と顧客との感情分析結果の変化による分類の何れか一方が「ポジティブ側に所定以上の変化がある」であり、もう一方が「所定以上の変化がない」の場合も、接客支援通知を出力しないと判定し、通知指示部130は接客支援通知の出力を指示しない。また、第1の店員と顧客との感情分析結果の変化による分類がともに「所定以上の変化がない」である場合も、接客支援通知を出力しないと判定し、通知指示部130は接客支援通知の出力を指示しない。
【0037】
一方、第1の店員と顧客との感情分析結果の変化による分類の何れか一方が「ネガティブ側に所定以上の変化がある」であり、もう一方が「ポジティブ側に所定以上の変化がある」又は「所定以上の変化がない」の場合、接客支援通知を出力すると判定し、通知指示部130は接客支援通知の出力を指示する。さらに、第1の店員と顧客との感情分析結果の変化の分類がともに「ネガティブ側に所定以上の変化がある」の場合も、接客支援通知を出力すると判定し、通知指示部130は接客支援通知の出力を指示する。
【0038】
さらに、接客支援通知を出力する場合、感情分析結果の変化による分類の組み合わせによって接客支援通知の詳細を変更してもよい。例えば、第1の店員と顧客との感情分析結果の変化による分類がともに「ネガティブ側に所定以上の変化がある」の場合、第1の店員と顧客との関係が険悪になっていることなどが考えられる。そのため、このような場合に接客支援通知の詳細を変更することで、接客支援の必要性が高いことを把握しやすくすることができる。接客支援通知の詳細の変更としては、出力先の変更、出力形式の変更などが考えられるが、これに限定されない。
【0039】
第3の例として、第1の店員と顧客との感情分析結果が数値で表される場合、第1の店員と顧客との感情分析結果が所定値以上の乖離したときに、接客支援通知を出力すると判定することができる。第1の店員と顧客とのそれぞれの感情分析結果に所定値以上の乖離がある場合、質の良い接客や満足度の高い接客ができていない可能性が高い。そこで、第1の店員と顧客とのそれぞれの感情分析結果に所定値以上の乖離がある場合に接客支援通知を出力することで、必要なタイミングで第2の店員による接客支援を促すことができ、顧客満足度を向上させることができる。
【0040】
接客支援通知を出力するかの判定は前述の例に限られない。また、前述の判定例を組み合わせてもよい。
【0041】
接客支援通知を出力すると判定された場合、通知指示部130は、店員端末200に接客支援通知の出力を指示する。通知指示部130は、店員端末に実装された図示しない通知手段に通知の出力を指示してもよい。また、通知指示部130が通知手段として機能し、通知指示部130が通知を出力してもよい。接客支援通知は、接客中の第1の店員とは異なる第2の店員が使用する店員端末200へ出力される。具体的には、店員端末200-1を使用している店員Aが顧客Cに対して接客を行っている際に、店員Aと顧客Cとの感情分析結果に基づいて、接客支援通知を出力すると判定された場合、別の店員Bが使用している店員端末200-2に対して接客支援通知の出力を指示する。接客支援通知は接客状況に応じて出力形式を変化させてよい。具体的には、接客状況に応じて通知内容や、音、光、振動を変化させて通知を出力させてよい。また、接客支援通知を店員端末200に表示する場合は表示する色や文字のフォント、画面のデザインを接客状況に応じて変更してもよい。
【0042】
接客支援通知の出力先は店員ごとに予め設定されていてよい。接客支援通知の出力先としては、第1の店員の上司や先輩の店員端末200が考えられる。また、接客支援通知の出力先は予め設定されておらず、接客支援通知が出力される時点で接客をしていない店員の店員端末200に対して接客支援通知を出力する構成であってもよい。さらに、接客支援通知は第1の店員とは異なる複数の店員の店員端末200に対して出力されてもよい。また、接客状況に応じて出力先を変更してもよい。接客状況に応じて出力先を変更する一例として、顧客が怒っている場合は出力先を店舗責任者に変更するなどが考えられるが、出力先を変更する接客状況や変更する出力先はこれに限られない。
【0043】
また、接客支援通知は第1の店員が行った接客に関する接客情報を含んでもよい。接客情報としては、接客中に第1の店員が取得した顧客に関する情報や、第1の店員が提案した商品履歴などである。接客中に第1の店員が取得した顧客に関する情報としては、顧客の好みや希望商品、悩みなどが挙げられるが、顧客に関する情報であればこれらに限定されない。
【0044】
接客支援通知が第1の店員が行った接客に関する接客情報を含む場合、接客支援を行う第2の店員は事前に接客情報を確認できるため、接客支援を行いやすくなる。具体的には、第2の店員は接客支援を行う前に第1の店員が行った接客情報を確認することで、顧客に対して第1の店員が行ったものと同様の質問や商品提案を繰り返し行ってしまうことを回避できる。これにより接客の質を向上することができる。
【0045】
第2の実施形態に係る接客支援システムの動作について図面を用いて説明する。
図7は接客支援システム2の動作の例を示すフローチャートである。
【0046】
情報取得部110は、第1の店員と顧客との画像を取得し(ステップS10)、感情分析部120は、取得した画像に基づいて第1の店員と顧客との感情を分析する(ステップS11)。そして、感情分析部120は第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力するか判定する(ステップS12)。ステップS12は、図示しない判定部で行ってもよく、通知指示部130で行ってもよい。
【0047】
第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力すると判定した場合(ステップS12でYES)、通知指示部130は第2の店員への接客支援通知の出力を指示し(ステップS13)、ステップS10に戻る。
【0048】
一方、第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力しないと判定した場合(ステップS12でNO)、処理はステップS10に戻る。
【0049】
第2の実施形態に係る接客支援システムでは、接客支援が必要な場合に接客支援通知を出力することができる。その理由は、第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力するか判定し、接客支援通知を出力すると判定した場合に接客支援通知の出力を指示するためである。
【0050】
さらに、第2の実施形態に係る接客支援システムにおいて、感情分析に第1の店員と顧客の画像を用いた場合、表情や仕草に基づいて感情分析を行って接客支援通知を出力することができる。
【0051】
また、第2の実施形態に係る接客支援システムにおいて、接客支援通知の詳細(通知内容)として第1の店員が行った接客に関する接客情報を含む場合、第2の店員による接客支援が行いやすくなる。その理由は、接客支援を行う際に事前に接客情報を確認できるためである。
【0052】
[第3の実施形態]
第3の実施形態における接客支援システム3は、第2の実施形態における接客支援システム2と比較すると、テキスト分析部140を更に備える点で異なる。以下、第2の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
本発明の第3の実施形態に係る接客支援システム3の概要は
図3と同様である。ただし、接客支援システム3における分析システム100は、テキスト分析部140を更に備える点で第2の実施形態に係る接客支援システム2と異なる。感情分析部120とテキスト分析部140は単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてもよい。分析システム100は店員端末200に実装されてもよく、分析システム100の構成の一部が店員端末200に実装されてもよい。なお、テキスト分析部140は、第1の店員と顧客との会話を分析するテキスト分析手段を担う。
【0054】
第3の実施形態に係る分析システム100について説明する。
図8は第3の実施形態に係る分析システム100の構成の例を示すブロック図である。
図8において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、
図8に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてもよい。第3の実施形態に係る分析システム100は情報取得部110、感情分析部120、通知指示部130、テキスト分析部140を備える。ただし、分析システム100の構成はこれに限定されない。
【0055】
情報取得部110は、第1の店員と顧客との音声を取得する。音声は図示しないマイクから取得してもよい。また、図示しないサーバから音声データとして入力されてもよい。マイクは分析システム100に含まれてもよいし、外付けデバイスとして設けられネットワーク300を介して分析システム100に通信可能に接続されていてもよい。また、マイクは店員端末200が備えていてもよく、店員端末200のマイクが取得した音声を情報取得部110が取得してもよい。
【0056】
情報取得部110は、取得した音声をテキスト分析部140に送信する。テキスト分析部140は、第1の店員と顧客との音声に基づいて、第1の店員と顧客の会話をテキスト分析する。テキスト分析には周知の技術を適用可能である。
【0057】
テキスト分析部140は第1の店員と顧客との会話内容に所定のキーワードが含まれているかを判定する。所定のキーワードが含まれているかの判定は図示しない判定部で行ってもよい。所定のキーワードは、例えば店員が発することで顧客が不快に感じる言葉や、顧客が不満を感じているときに発しやすい言葉などである。所定のキーワードは予め登録されていてよく、接客を進める中で更新されてもよい。
【0058】
接客を進める中で所定のキーワードを更新する場合、感情分析結果に基づいて接客支援通知を出力すると判定された場合に頻出するキーワードを新たに所定のキーワードとして登録してもよい。また、所定のキーワードとして登録しているが、当該キーワードが発された場合に感情分析結果に基づいて接客支援通知を出力すると判定されることが少ない場合は当該キーワードを所定のキーワードから削除してもよい。これらの登録・削除は自動で行われてよい。
【0059】
第1の店員と顧客との会話内容に所定のキーワードが含まれていると判定された場合、通知指示部130は、店員端末200に接客支援通知の出力を指示する。通知指示部130は、店員端末に実装された図示しない通知手段に通知の出力を指示してもよい。また、通知指示部130が通知手段として機能し、通知指示部130が通知を出力してもよい。接客支援通知は、接客中の第1の店員とは異なる第2の店員が使用する店員端末200へ出力される。具体的には、店員端末200-1を使用している店員Aが顧客Cに対して接客を行っている際に、店員Aと顧客Cとの会話内容に所定のキーワードが含まれていると判定された場合、別の店員Bが使用している店員端末200-2に対して接客支援通知の出力を指示する。
【0060】
また、第1の店員と顧客との会話内容に所定のキーワードが含まれていると判定されたが、第1の店員と顧客とのそれぞれの感情分析結果に基づいて接客支援通知を出力しないと判定された場合は接客支援通知の出力を指示しない構成としてもよい。
【0061】
接客支援通知の出力先は店員ごとに予め設定されていてよい。接客支援通知の出力先としては、第1の店員の上司や先輩の店員端末200が考えられる。また、接客支援通知の出力先は予め設定されておらず、接客支援通知が出力される時点で接客をしていない店員の店員端末200に対して接客支援通知を出力する構成であってもよい。さらに、接客支援通知は第1の店員とは異なる複数の店員の店員端末200に対して接客支援通知を出力してもよい。また、検出された所定のキーワードに応じて出力先を変更してもよい。例えば、顧客が怒っている際に発しやすいキーワードが検出された場合は出力先を店舗責任者に変更するなどが考えられるが、これに限らない。
【0062】
接客支援通知は第1の店員と接客の会話内容を接客情報として含んでもよい。会話内容はテキスト化されて出力されてもよい。
【0063】
また、テキスト分析部140はテキスト分析結果に基づいて会話内容の分類を判定してもよい。会話内容の分類の判定は図示しない判定部で行ってもよい。よって、テキスト分析部140や判定部は、テキスト分析手段の結果から、会話内容の分類を判定する判定手段を担う。会話内容の分類は具体的には、商品提案や注意事項説明、取扱方法説明、雑談などであるが、これらに限られない。会話内容の分類を判定する方法の一例として、予め接客中に用いられる単語を登録しておき、検出された単語で会話内容の分類を判定する方法が考えられる。例えば、接客中によく用いられる単語を商品提案や取扱方法説明などの会話内容ごとにグループ分けして予め登録しておき、所定時間内で検出された単語のうち最も多く検出された単語が属するグループから会話内容の分類を判定してよい。もしくは、各グループに属する単語が所定時間内に何回検出されたかをカウントし、最も検出回数が多かったグループを求めることで会話内容の分類を判定してもよい。また、予め登録した接客中に用いられる単語の検出回数が所定時間内に所定回数以下であった場合、会話内容の分類を雑談と判定してもよい。会話内容の分類が商品提案と判定された場合は、提案している商品を特定してもよい。さらに、特定した商品を提案済み商品として記憶し、接客支援通知に含まれる接客情報として出力してもよい。
【0064】
さらに、会話内容の分類が雑談と判定された場合には、接客支援通知の出力を指示しない構成としてもよい。会話内容の分類に基づいて接客支援通知の出力を指示しない構成とする場合、テキスト分析部140が接客支援通知の出力を指示しない構成としてもよく、通知指示部130が接客支援通知の出力を指示しない構成としてもよい。もしくは、図示しない判定部で接客支援通知の出力を指示しない構成としてもよい。また、会話内容の分類が雑談と判定された場合に、接客支援通知を出力する判定条件を変化させてもよい。これにより、商品に関する会話ではない会話部分での誤通知を抑制することができる。
【0065】
第3の実施形態に係る接客支援システムの動作について図面を用いて説明する。
図9は接客支援システム3の動作の例を示すフローチャートである。
【0066】
情報取得部110は、第1の店員と顧客との画像を取得し(ステップS20)、第1の店員と顧客との音声を取得する(ステップS21)。ただし、ステップS20とステップS21の処理順は逆であってもよく、また並列に行われてもよい。
【0067】
感情分析部120は取得した画像に基づいて第1の店員と顧客との感情を分析し(ステップS22)、テキスト分析部140は取得した音声に基づいて第1の店員と顧客との会話をテキスト分析する(ステップS23)。ただし、ステップS22とステップS23の処理順は逆であってもよく、また並列に行われてもよい。また、ステップS20とステップS22を先に行い、その後、ステップS21とステップS23を行ってもよく、その逆の順で処理を行ってもよい。又は、ステップS20とステップS22の処理とステップS21とステップS23の処理を並列に行ってもよい。
【0068】
感情分析部120は第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力するか判定する(ステップS24)。ステップS24は、図示しない判定部で行ってもよく、通知指示部130で行ってもよい。第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力すると判定した場合(ステップS24でYES)、通知指示部130は第2の店員への接客支援通知の出力を指示し(ステップS25)、ステップS20に戻る。
【0069】
一方、第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力しないと判定した場合(ステップS24でNO)、テキスト分析部140は第1の店員と顧客との会話内容に所定のキーワードが含まれているかを判定する(ステップS26)。第1の店員と顧客との会話内容に所定のキーワードが含まれていた場合(ステップS26でYES)、通知指示部130は第2の店員への接客支援通知の出力を指示し(ステップS27)、ステップS20に戻る。
【0070】
一方、第1の店員と顧客との会話内容に所定のキーワードが含まれていない場合(ステップS26でNO)、処理はステップS20に戻る。ただし、ステップS24とステップS26の処理順は入れ替えてもよい。すなわち、ステップS23の後にステップS26を実行し、ステップS26でNOの場合にステップS24を実行してもよい。
【0071】
第3の実施形態に係る接客支援システムでは、接客支援が必要な場合に接客支援通知を出力することができる。その理由は、感情分析の結果に加えてテキスト分析の結果に基づいて接客支援通知を出力するか判定し、接客支援通知を出力すると判定した場合に接客支援通知の出力を指示するためである。
【0072】
さらに、第3の実施形態に係る接客支援システムでは、テキスト分析結果から会話内容の分類を判定し、会話内容の分類が雑談と判定された場合は、接客支援通知の出力を指示しないことも可能である。これにより、接客支援通知の誤通知を抑制することができる。その理由は、商品に関する会話時と商品とは関係ない雑談時で接客支援通知の出力を指示するか否かを変えるためである。
【0073】
[第3の実施形態の変形例]
第3の実施形態の変形例について説明する。第3の実施形態の変形例では、接客支援システムの動作が異なる。
図10は接客支援システム3の動作の変形例を示すフローチャートである。
【0074】
ステップS20からステップS23までの動作は
図9の説明と同様である。ステップS23の後、感情分析部120は第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力するか判定する(ステップS34)。ステップS34は、図示しない判定部で行ってもよく、通知指示部130で行ってもよい。第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力すると判定した場合(ステップS34でYES)、テキスト分析部140は第1の店員と顧客の会話内容に所定のキーワードが含まれているかを判定する(ステップS35)。第1の店員と顧客の会話内容に所定のキーワードが含まれていた場合(ステップS35でYES)、通知指示部130は第2の店員への接客支援通知の出力を指示し(ステップS36)、ステップS20に戻る。ただし、ステップS34とステップS35の処理順は入れ替えてもよい。
【0075】
一方、第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力しないと判定した場合(ステップS34でNO)、又は、第1の店員と顧客との会話内容に所定のキーワードが含まれていない場合(ステップS35でNO)、処理はステップS20に戻る。
【0076】
第3の実施形態の変形例に係る接客支援システムでは、接客支援の必要性が高い場合に接客支援通知を出力することができる。その理由は、感情分析の結果に加えてテキスト分析の結果に基づいて接客支援通知を出力するか判定し、接客支援通知を出力すると判定した場合に接客支援通知の出力を指示するためである。
【0077】
より詳細には、第3の実施形態の変形例に係る接客支援システムでは、第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力すると判定され、且つ、所定のキーワードが検出された場合に接客支援通知を出力している。第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とに基づいて接客支援通知を出力すると判定され、且つ、所定のキーワードが検出された場合は、支援の必要性が高い場合が多い。そのため、第3の実施形態の変形例に係る接客支援システムでは、接客支援の必要性が高い場合に接客支援通知を適切に出力することができる。
【0078】
[第4の実施形態]
第4の実施形態における接客支援システム4は、第3の実施形態における接客支援システム3と比較すると、結果出力部を更に備える点で異なる。以下、第3の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
本発明の第4の実施形態に係る接客支援システム4の概要は
図3と同様である。ただし、接客支援システム4は、結果出力部150を更に備える点で第3の実施形態に係る接客支援システム3と異なる。結果出力部150は、第1の店員に対して感情分析結果を出力する結果出力手段を担う。
【0080】
第4の実施形態に係る分析システム100について説明する。
図11は第4の実施形態に係る分析システム100の構成の例を示すブロック図である。
図11において、各ブロックは機能単位の構成を示している。したがって、
図11に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてもよい。第4の実施形態に係る分析システム100は情報取得部110、感情分析部120、通知指示部130、テキスト分析部140、結果出力部150を備える。ただし、分析システム100の構成はこれに限定されない。
【0081】
また、分析システム100の通知指示部130が結果出力部150の機能を果たしてもよい。分析システム100は店員端末200に実装されてもよく、分析システム100の構成の一部が店員端末200に実装されてもよい。
【0082】
結果出力部150について説明する。結果出力部150は、感情分析部120の感情分析結果とテキスト分析部140のテキスト分析結果を出力する。
【0083】
感情分析結果とテキスト分析結果の出力は、例えば、接客中にリアルタイムで出力されるリアルタイム分析結果と、接客終了後に出力される接客結果とに分けられるが、出力内容はこれらに限定されない。
【0084】
リアルタイム分析結果の表示としては、例えば、感情分析結果のグラフ、分析結果に基づいた接客サポートコメント、所定のキーワードの検出有無などが挙げられるが、これらすべてを表示する必要はなく、またこれら以外の表示を行ってもよい。
【0085】
接客結果には、例えば、分析結果から求めた接客スコア、提案商品の購入有無、所定のキーワードの検出回数、接客支援通知回数などが挙げられる。その他、日時、担当者、接客時間、顧客情報、評価できる点、改善すべき点などを表示してもよい。接客結果に関しても、ここで述べた表示内容すべてを表示する必要はなく、またこれら以外の表示を行ってもよい。
【0086】
感情分析結果とテキスト分析結果との出力先は例えば接客をしている第1の店員が使用する店員端末200である。また、第1の店員とは異なる第2の店員が使用する店員端末200に感情分析結果とテキスト分析結果とを出力してもよい。第2の店員が使用する店員端末200に感情分析結果とテキスト分析結果とを出力する場合、第2の店員は感情分析結果とテキスト分析結果とを用いて第1の店員の接客評価を行うことができる。
【0087】
また、結果出力部150は、リアルタイム分析結果を第1の店員の使用する店員端末200へ出力し、接客終了後に接客結果を第1の店員の使用する店員端末200及び第2の店員の使用する店員端末200へ出力してもよい。この場合、第1の店員はリアルタイム分析結果を確認しながら接客を行うことができ、接客終了後は接客結果を確認することで自身の接客を振り返ることができる。また、第2の店員は接客結果から第1の店員の接客を評価することができる。
【0088】
結果出力部150は、第1の店員の感情分析結果と顧客の感情分析結果とを同一画面で時系列に示す感情分析結果比較画面を出力する。
図12はリアルタイム分析結果の画面出力の例である。
図12に示すリアルタイム分析結果の画面では、感情分析結果グラフ410、サポートコメント欄440が表示されている。感情分析結果グラフ410は、横軸に接客時間、縦軸に感情分析結果をとったグラフである。感情分析結果グラフ410では、第1の店員の感情分析結果420-1と、顧客の感情分析結果420-2とが同一画面で時系列に表示されている。第1の店員の感情分析結果420-1と顧客の感情分析結果420-2とを同一画面で時系列に表示する場合、一目で第1の店員の感情分析結果420-1と顧客の感情分析結果420-2との乖離が認識できるため、便利である。さらに感情分析結果グラフ410には、会話内容の分類430が表示される。これらの表示内容は一例であり、リアルタイム分析結果の画面出力内容はこれらに限定されない。
【0089】
会話内容の分類430は、会話の内容が雑談か商品提案かを示している。商品提案の場合、提案している商品名や画像を表示してもよい。会話の内容が雑談か商品提案かの判定はテキスト分析の結果に基づいて判定してよい。
【0090】
感情分析結果グラフ410の黒丸は所定のキーワード(
図12ではNGワードと記載)が検出されたタイミングを示している。
【0091】
サポートコメント欄440は分析結果を基に、接客中の店員に対して接客をサポートするコメントを表示する。表示内容の例として、顧客が興味を示しているか、所定のキーワードを検出したか、接客支援通知を行ったかなどであるが、接客をサポートするコメントであればこれらに限られない。また、サポートコメントは内容に応じて枠の形や色、文字のフォントや色などを変更してよい。例えば、「興味を示しています」などの良い内容であればオレンジなどの暖色系の色で表示し、「興味を失くしています」などの悪い内容であれば青などの寒色系の色で表示するなどである。
【0092】
また、サポートコメント欄440には感情変化の予測や、会話の流れに沿った言葉や話題の提案などが表示されてもよい。感情変化の予測や適切な言葉・話題の提案を行うことで、顧客の感情を良い状態に保つことができる。
【0093】
図13は接客結果の画面出力の例である。
図13に示す接客結果の画面では、接客日510、接客時の動画520、感情分析結果の平均値との比較530、感情分析結果グラフ540、短期間ごとの感情分析結果550が表示されている。
図13では感情分析の項目の例として、「うれしい(Happy)」、「注目(Attention)」、「恐怖(Fear)」、「困惑(Confusion)」、「驚き(Surprise)」、「嫌悪(Disgust)」、「共感(Empathy)」、「軽蔑(Contempt)」が表示されているが、分析項目はこれに限らない。
【0094】
感情分析結果グラフ540は横軸に接客時間、縦軸に感情分析結果をとったグラフで、感情分析項目ごとにグラフを表示している。複数の感情分析項目それぞれについて感情分析結果が求められる場合、ある時間における感情分析結果のうち最もスコアが高い感情をその時間における感情として判定してもよい。また、複数の感情分析項目それぞれの結果を統計処理することで一つの感情分析結果としてもよい。
【0095】
短期間ごとの感情分析結果550では、各期間の各感情の割合が示されている。期間の設定は、例えば所定の時間ごとに期間を区切ってもよく、テキスト分析結果から会話内容の分類ごとに期間を区切ってもよい。会話内容の分類ごとに期間を区切る場合、具体的には、「雑談」、「商品Iの提案」、「商品IIの提案」などである。
【0096】
その他、接客結果として、接客スコアを算出して表示してもよい。接客スコアとしては、店員接客スコア、全体接客スコア、商品接客スコアなどである。店員接客スコアは、店員の感情分析結果から算出される。全体接客スコアは、接客開始から接客終了までの期間での顧客の感情分析結果から算出される。商品接客スコアは、接客開始から接客終了までの期間のうち、商品に関する会話の期間での顧客の感情分析結果から算出される。
【0097】
接客スコアの算出方法としては、感情推移の平均値、感情推移の最大値及び最小値などの統計値である。接客結果での接客スコアの表示内容としては、接客スコアの平均値、最低値、最高値、直近複数回の接客スコアの比較、同じ顧客に対する接客スコアの比較などである。また、接客スコアは感情分析項目ごとに算出及び表示されてもよい。
【0098】
また、接客結果には接客中の会話をテキスト化したデータを含んでもよい。さらに、接客結果は接客を行った店員やその上司以外の全店員の店員端末200へ出力されてもよい。全店員の店員端末200へ接客結果を出力した場合、接客スキルの共有を容易に行うことができる。
【0099】
第4の実施形態に係る接客支援システムでは、接客を行う店員の接客サポートができる。その理由は、分析結果をリアルタイムに接客中の店員が確認できるように出力し、接客に役立つ接客サポート情報を提供することができるためである。
【0100】
接客を行う店員ごとの接客状況を別の店員が把握することは難しいため、上司や管理者による店員の接客評価が困難な場合があるが、第4の実施形態に係る接客支援システムでは、適切な店員の接客評価ができる。その理由は、接客を行った店員の上司へ接客結果を出力できるためである。
【0101】
さらに、第4の実施形態に係る接客支援システムでは、第1の店員が自身の接客を振り返る際に便利である。その理由は、第1の店員と顧客の感情分析結果が同一画面で時系列に表示されているためである。
【0102】
本発明は実店舗での接客のみならず、オンライン上で接客が行われる際にも適用可能である。店員ごとの接客状況の把握が困難になりやすいオンライン接客でも本発明の適用は有効である。
【0103】
一例として、本開示における第4の実施形態をオンライン接客に適用した場合、第2の店員による第1の店員への接客支援が容易になり、また、各店員の評価を適切に行うことも容易になる。その理由は、第1の店員の接客状況が把握しにくい第2の店員に対して、接客支援通知、接客情報、第1の店員のリアルタイム分析結果、第1の店員の接客結果の少なくとも一つを出力できるためである。
【0104】
以上、説明した本発明の各実施形態において、接客支援システムの各構成要素は、機能単位のブロックを示している。
【0105】
各構成要素の処理は、たとえば、コンピュータシステムが、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体により記憶された、その処理をコンピュータシステムに実行させるプログラムを、読み込み、実行することによって、実現されてもよい。「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」は、たとえば、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、および不揮発性半導体メモリ等の可搬媒体、ならびに、コンピュータシステムに内蔵されるROM(Read Only Memory)およびハードディスク等の記憶装置である。「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントにあたるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、プログラムを一時的に保持しているものも含む。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、更に前述した機能をコンピュータシステムにすでに記憶されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0106】
「コンピュータシステム」とは、一例として、以下のような構成を含むコンピュータ900を含むシステムである。
・CPU(Central Processing Unit)901
・ROM902
・RAM(Random Access Memory)903
・RAM903へロードされるプログラム904Aおよび記憶情報904B
・プログラム904Aおよび記憶情報904Bを格納する記憶装置905
・記憶媒体906の読み書きを行うドライブ装置907
・通信ネットワーク909と接続する通信インタフェース908
・データの入出力を行う入出力インタフェース910
・各構成要素を接続するバス911
たとえば、各実施形態における各装置の各構成要素は、その構成要素の機能を実現するプログラム904AをCPU901がRAM903にロードして実行することで実現される。各装置の各構成要素の機能を実現するプログラム904Aは、例えば、予め、記憶装置905やROM902に格納される。そして、必要に応じてCPU901がプログラム904Aを読み出す。記憶装置905は、たとえば、ハードディスクである。プログラム904Aは、通信ネットワーク909を介してCPU901に供給されてもよいし、予め記憶媒体906に格納されており、ドライブ装置907に読み出され、CPU901に供給されてもよい。なお、記憶媒体906は、たとえば、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、および不揮発性半導体メモリ等の、可搬媒体である。
【0107】
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、各装置は、構成要素毎にそれぞれ別個のコンピュータ900とプログラムとの可能な組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つのコンピュータ900とプログラムとの可能な組み合わせにより実現されてもよい。
【0108】
また、各装置の各構成要素の一部または全部は、その他の汎用または専用の回路、コンピュータ等やこれらの組み合わせによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。
【0109】
各装置の各構成要素の一部または全部が複数のコンピュータや回路等により実現される場合には、複数のコンピュータや回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、コンピュータや回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0110】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された構成、動作、処理を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0111】
本開示は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本開示のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0112】
[付記1]
第1の店員と顧客との画像に基づき、前記第1の店員と前記顧客との感情を分析する感情分析手段と、
前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに基づいて、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示する通知指示手段と、
を備える、接客支援システム。
[付記2]
前記通知指示手段は、前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに所定値以上の乖離がある場合に、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示する、
付記1に記載の接客支援システム。
[付記3]
前記第1の店員と前記顧客との会話を分析するテキスト分析手段を更に備え、
前記通知指示手段は、前記テキスト分析手段が所定のキーワードを検出した場合に前記接客支援通知の出力を指示する、
付記1又は2に記載の接客支援システム。
[付記4]
前記テキスト分析手段の結果から、会話内容の分類を判定する判定手段を更に備え、
前記判定手段の判定結果によって前記接客支援通知の出力を指示しない、
付記3に記載の接客支援システム。
[付記5]
前記接客支援通知は、前記第1の店員が前記顧客に行った接客に関する接客情報を含む、
付記1から4のいずれか1つに記載の接客支援システム。
[付記6]
前記第1の店員に対して前記感情分析の結果を出力する結果出力手段を更に備える、
付記1から5のいずれか1つに記載の接客支援システム。
[付記7]
前記結果出力手段は、前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とを同一画面で時系列に示す感情分析結果比較画面を出力する、
付記6に記載の接客支援システム。
[付記8]
オンライン接客に適用されることを特徴とする、
付記1から7のいずれか1つに記載の接客支援システム。
[付記9]
第1の店員と顧客との画像に基づき、前記第1の店員と前記顧客との感情を分析する感情分析部と、
前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに基づいて、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示する通知指示部と、
を備える、接客支援装置。
[付記10]
第1の店員と顧客との画像に基づき、前記第1の店員と前記顧客との感情を分析し、
前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに基づいて、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示する、
接客支援方法。
[付記11]
第1の店員と顧客との画像に基づき、前記第1の店員と前記顧客との感情を分析し、
前記第1の店員の感情分析結果と前記顧客の感情分析結果とに基づいて、前記第1の店員とは異なる第2の店員への接客支援通知の出力を指示する、
ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0113】
10 感情分析手段
20 通知指示手段
100 分析システム
110 情報取得部
120 感情分析部
130 通知指示部
140 テキスト分析部
150 結果出力部
200 店員端末
300 ネットワーク
410 感情分析結果グラフ
420-1 第1の店員の感情分析結果
420-2 顧客の感情分析結果
430 会話内容の分類
440 サポートコメント欄
510 接客日
520 接客時の動画
530 感情分析結果の平均値との比較
540 感情分析結果グラフ
900 コンピュータ
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904A プログラム
904B 記憶情報
905 記憶装置
906 記憶媒体
907 ドライブ装置
908 通信インタフェース
909 通信ネットワーク
910 入出力インタフェース
911 バス