IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和ハウス工業株式会社の特許一覧 ▶ 有限会社ウィルコンサルタントの特許一覧

<>
  • 特開-土サンプラー 図1
  • 特開-土サンプラー 図2
  • 特開-土サンプラー 図3
  • 特開-土サンプラー 図4
  • 特開-土サンプラー 図5
  • 特開-土サンプラー 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187617
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】土サンプラー
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/04 20060101AFI20221213BHJP
   G01N 1/08 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
E02D1/04
G01N1/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095698
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304028128
【氏名又は名称】有限会社ウィルコンサルタント
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 茂良
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 芳彦
【テーマコード(参考)】
2D043
2G052
【Fターム(参考)】
2D043BA08
2D043BB09
2G052AA19
2G052AC04
2G052AD12
2G052BA13
2G052BA29
2G052DA22
(57)【要約】
【課題】回転動力を必要とせずにロッドの位置を短時間かつ簡単に固定及び解除できるロック機構を備える土サンプラーを提供することである。
【解決手段】土サンプラーは、ロッド1と、ロッド1が挿通される筒体2と、を備えている。ロッド1は、ロッド1の先端部10が筒体2の先端部20を閉じる第1位置と、ロッド1の先端部10が筒体2の先端部20を開けて筒体2の内部に土を採取する第2位置との間で移動可能に構成される。土サンプラーは、ロッド1を第2位置で固定及び解除するロック機構3を備えている。ロック機構3は、ロッド1の先端部10を下方に向けると固定し、ロッド1の先端部10を上方に向けると解除するように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドと、前記ロッドが挿通される筒体と、を備え、
前記ロッドが、前記ロッドの先端部が前記筒体の先端部を閉じる第1位置と、前記ロッドの先端部が前記筒体の先端部を開けて前記筒体の内部に土を採取する第2位置との間で移動可能に構成される土サンプラーであって、
前記土サンプラーは、前記ロッドを前記第2位置で固定及び解除するロック機構を備えており、
前記ロック機構は、前記ロッドの先端部を下方に向けると固定し、前記ロッドの先端部を上方に向けると解除するように構成されている、土サンプラー。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記ロッドに設けられた溝部と、前記ロッドと前記筒体との間に配置される球体と、を備え、前記球体が前記溝部に配置されて前記ロッドを固定し、前記球体が前記溝部から離れて前記ロッドを解除するように構成されている、請求項1に記載の土サンプラー。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記筒体の内周面に設けられた凹部を備えており、
前記凹部は、前記筒体の先端側に配置される第1凹部と、前記筒体の基端側に配置される第2凹部とで構成されており、
前記第1凹部及び前記第2凹部は連続して形成され、
前記第1凹部の幅は、前記第2凹部の幅より小さく構成されている、請求項2に記載の土サンプラー。
【請求項4】
前記第1凹部は、前記筒体の先端側に向けて傾斜する第1傾斜面を有し、前記第2凹部は、前記筒体の先端側に向けて傾斜する第2傾斜面を有している、請求項3に記載の伸縮部材。
【請求項5】
前記ロッドは、前記ロッドが前記第2位置に配置されて前記土を前記筒体の内部に採取するとき、前記土と共に採取される空気を前記筒体の外部に抜く排出機構を備える、請求項1~4のいずれかに記載の土サンプラー。
【請求項6】
前記排出機構は、前記ロッドが前記第2位置に配置されるときに、前記筒体の内部に配置される第1空気孔と、前記筒体の外部に配置される第2空気孔と、前記第1空気孔及び前記第2空気孔を連通する連通管とからなる、請求項5に記載の土サンプラー。
【請求項7】
前記ロッドは、前記空気が前記第2空気孔から流出可能かつ流入不能なように、前記第2空気孔を塞ぐゴムリングを備える、請求項6に記載の土サンプラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中の土をサンプリングする土サンプラーに関する。
【背景技術】
【0002】
標準貫入試験は、土サンプラーを動的貫入して土を採取することによって、地盤の硬軟、締まり具合の判定、及び土層構成を把握する。標準貫入試験では、質量63.5kgのハンマーを760mmの高さから落下して土サンプラーを地中に打ち込む。N値は、土サンプラーを自重や予備打ちにより貫入させた後に300mm打ち込むために必要な打撃回数である。また、土サンプラーで回収された土は、粒度組成分析や地質構成判別に利用される。さらに、標準貫入試験のN値はさまざまな基準体系に組み込まれ、土木建築構造物の設計や施工に欠かせない情報として取り扱われる。
【0003】
特許文献1に示すように、土サンプラー1は、ロッド2と、ロッド2が挿通される筒体3と、を備え、ロッド2は、ロッド2の先端が筒体3の先端を閉じる第1位置と、ロッド2の先端が筒体3の先端を開ける第2位置との間で移動可能に構成される(符号は特許文献1を参照)。標準貫入試験において、ロッド2の先端が筒体3の先端を閉じた状態で土サンプラー1を採取したい深度まで地中に貫入する。その後、ロッド2の先端が筒体3の先端を開けた状態で土サンプラー1を地中に貫入して、筒体3の内部に土を採取する。
【0004】
ところで、土サンプラー1は、ロッド2の先端が筒体3の先端を開ける第2位置でロッド2を筒体3に固定するためのロック機構を備えるが、従来の土サンプラー1では、ロック機構は、ロッド2及び筒体3に設けられたネジ部で構成される。そのため、ネジ部の間に土がはさまることがあり、ロッド2の位置を固定できず、筒体3の先端が閉じされて土を採取できない問題がある。また、ロッド2の位置を固定するためには、ロッド2を貫入機で回転させる必要があり、回転動力が必要になると共に、試験の時間が長くなり、試験の効率が悪くなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-283426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記問題を解決するために、回転動力を必要とせずにロッドの位置を短時間かつ簡単に固定及び解除できるロック機構を備える土サンプラーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る土サンプラーは、ロッドと、ロッドが挿通される筒体と、を備えている。ロッドは、ロッドの先端部が筒体の先端部を閉じる第1位置と、ロッドの先端が筒体の先端を開けて筒体の内部に土を採取する第2位置との間で移動可能に構成される。土サンプラーは、ロッドを第2位置で固定及び解除するロック機構を備えている。ロック機構は、ロッドの先端部を下方に向けると固定し、ロッドの先端部を上方に向けると解除するように構成されている。
【0008】
また、ロック機構は、ロッドに設けられた溝部と、ロッドと筒体との間に配置される球体と、を備えている。球体が溝部に配置されてロッドを固定し、球体が溝部から離れてロッドを解除するように構成されていることが望ましい。
【0009】
また、ロック機構は、筒体の内周面に設けられた凹部を備えており、凹部は、筒体の先端側に配置される第1凹部と、筒体の基端側に配置される第2凹部とで構成されており、第1凹部及び第2凹部は連続して形成され、第1凹部の幅は、第2凹部の幅より小さく構成されていることが望ましい。
【0010】
また、第1凹部は、筒体の先端側に向けて傾斜する第1傾斜面を有し、第2凹部は、筒体の先端側に向けて傾斜する第2傾斜面を有していることが望ましい。
【0011】
好ましくは、ロッドは、ロッドが第2位置に配置されて土を筒体の内部に採取するとき、土と共に採取される空気を筒体の外部に抜く排出機構を備える。
【0012】
さらに、排出機構は、ロッドが第2位置に配置されるときに、筒体の内部に配置される第1空気孔と、筒体の外部に配置される第2空気孔と、第1空気孔及び第2空気孔を連通する連通管とからなることが望ましい。
【0013】
望ましくは、ロッドは、空気が第2空気孔から流出可能かつ流入不能なように、第2空気孔を塞ぐゴムリングを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る土サンプラーは、ロッドの先端が筒体の先端を開けた位置において、回転動力を必要とせずにロッドの位置を短時間かつ簡単に固定及び解除できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ロッドが第1位置に配置された土サンプラーを示す一部断面側面図。
図2A】ロッドが第1位置に配置された土サンプラーを示す一部拡大断面側面図。
図2B】球体を省略した図2AのB-B線断面図。
図3】ロッドが第2位置に配置された土サンプラーを示す一部断面側面図。
図4】ロック機構の固定を説明する一部拡大断面側面図。
図5】ロッドが第2位置に配置され、ロッド及び筒体の先端を上方に向けた土サンプラーを示す一部断面側面図。
図6】ロック機構の解除を説明する一部拡大断面側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明に係る土サンプラーの一実施形態を説明する。
【0017】
図1に示される通り、土サンプラーは、ロッド1と、ロッド1が挿通される筒体2とを備えている。ロッド1は、全体が略円柱形で構成されており、その先端側1aに先端部10を備えている。ロッド1の先端部10は、地中に進入しやすいように先鋭な円錐形に構成されている。筒体2は、全体が略円筒形で構成されており、その先端側2aに先端部20を備えている。筒体2の先端部20は、ロッド1の先端部10と共に先鋭な円錐形になるよう構成されている。
【0018】
ロッド1は、その基端側1bにヘッド部11を備える。ヘッド部11は、ロッド1の基端側1bに、雄雌ネジ機構等の連結手段で連結されている。ヘッド部11の径は、ロッド1の径より大きく構成されている。そのため、ロッド1の先端部10と筒体2の先端部20の位置が一致するとき、ヘッド部11が筒体2の基端側2bに当接して、ロッド1が位置決めされるように構成されている。また、ロッド1は、先端部10に隣接して係止部13を備えている。係止部13の外径は、先端部10の外径より大きく構成されており、筒体2の内径に略同一に構成されている。そして、筒体2は、先端部20に隣接する段差部21を備えている。そのため、ロッド1の先端部10と筒体2の先端部20の位置が一致するとき、係止部13が段差部21で係止するように構成されている。
【0019】
また、ヘッド部11は、ロッド1と反対側に長尺な連結ロッド12が連結されている。ヘッド部11と連結ロッド12とは、雄雌ネジ機構等の連結手段で連結されている。標準貫入試験等を行うとき、ロッド1の先端側1a及び筒体2の先端側2aが下方に向けられて、ヘッド部11が筒体2の基端側2bに当接すると共に、ロッド1の係止部13が筒体2の段差部21に係止して、その結果、ロッド1の先端部10及び筒体2の先端部20の位置が一致するよう規制される。
【0020】
ロッド1の先端部10と筒体2の先端部20の位置が一致するとき、ロッド1の先端部10が筒体2の先端部20の開口を閉じる。このとき、ロッド1は第1位置に配置されている(図1)。そして、貫入機のハンマーの打撃によって、土をサンプリングしたい深度まで土サンプラーを地中に貫入する。その際、ロッド1の先端部10が筒体2の先端部20を閉じるので、筒体2の内部に土が入ることがなく、土サンプラーを地中に貫入することができる。
【0021】
また、後述するが、土をサンプリングしたい深度まで土サンプラーを地中に貫入したときに、ロッド1の先端部10を筒体2の基端側2b(上方)に移動して、筒体2の先端部20が開口して、筒体2の内部に土が採取できるように、ロッド1を第2位置に移動する(図3)。土サンプラーは、ロッド1を第2位置で固定及び解除するロック機構3を備えている。
【0022】
図1に示される通り、ロック機構3は、ロッド1の先端側1aにロッド1の外周に設けられた環状の溝部30を備えている。また、ロック機構3は、複数の球体37を備えている。複数の球体37は、筒体2の基端側2bの内部に、ロッド1と筒体2との間に配置されている。
【0023】
図2A及び図2Bに示される通り、第2支柱2の内径が、第1支柱1の先端部10の外径に略同一に構成されており、第1支柱1が第2支柱2の内周面に接触することによって、第1支柱1が第2支柱2に対して径方向に揺動しないように構成されている。そして、筒体2は、その内周面に複数の凹部32が放射状に備えられている。また、凹部32は、筒体2の中心側に向けて開口するように窪んでいる。凹部32は、筒体2の先端側2aに配置される第1凹部33と、筒体2の基端側2bに配置される第2凹部34とで構成されている。
【0024】
第1凹部33と第2凹部34とは連続して形成されている。また、第1凹部33は、筒体2の先端側2aに向けて傾斜する第1傾斜面330を有している。さらに、第2凹部34は、筒体2の先端側2aに向けて傾斜する第2傾斜面340を有している。第1凹部33の幅は、第2凹部34の幅より小さく構成されている。第2凹部34の幅は、ロッド1が第1位置に配置されているときに、球体37第2凹部34に配置するように構成されている。ロッド1の外周面と第2凹部34の端部との距離は、本実施形態では、球体37の径と略同一に構成されている。そして、球体37は、ロッド1の外周面、第2凹部34の内周面及び第2傾斜面340に当接して、第2凹部34に配置されるようになっている。
【0025】
また、後述するが、ロッド1は、ロッド1が第2位置に配置されて土を筒体2の内部に採取するとき、土と共に採取される空気を筒体2の外部に抜く排出機構4を備えている(図3)。排出機構4は、ロッド1が第2位置に配置されるときに、筒体2の内部に配置される第1空気孔41と、筒体2の外部に配置される第2空気孔42と、第1空気孔41及び第2空気孔42を連通する連通管43とからなる。第1空気孔41及び第2空気孔42は、ロッド1の係止部13から基端側1bに配置される。また、ロッド1は、空気が第2空気孔42から流出可能かつ流入不能なように、第2空気孔42を塞ぐゴムリング44を備える。ゴムリング44は、平ゴム形状からなる。
【0026】
図3に示される通り、土をサンプリングしたい深度まで土サンプラーを地中に貫入したとき、ロッド1の先端部10を筒体2の基端側2b(上方)に移動して、ロッド1の先端部10が筒体2の先端部20を開口して、筒体2の内部に土が採取されるように、ロッド1を第2位置に移動する。ロック機構3によってロッド1が第2位置で固定されて、土サンプラーが地中に貫入されることによって、筒体2の先端部20から内部に土が採取される。
【0027】
筒体2の先端部20から内部に土と共に空気(水も含まれることがある)が入ると、土は、係止部13で止められるが、空気(及び水)は、係止部13と筒体2の間を通じてロッド1の基端側1bに移動して、筒体2の内部に配置される第1空気孔41を通過する。そして、第2空気孔42はゴムリング44で覆われているが、ゴムリング44の弾性によって、空気が、連通管43を通じて、筒体2の外部に配置される第2空気孔42から排出されると共に、第2空気孔42から流入されないように構成されている。従って、余分な空気(及び水)を筒体2から排出して流入しないようにできるので、筒体2の内部を土で充填することができる。その結果、筒体2に所望な量の土をサンプリングすることができる。
【0028】
<ロック機構3の固定>
図4に示される通り、ロッド1は、溝部30の両側(ロッド1の先端側1a及び基端側1b)に、溝部30と平行に第1テーパ部301及び第2テーパ部302を備えている。第1テーパ部301及び第2テーパ部302は、溝部30からロッド1の外周面に傾斜するように形成されている。第1テーパ部301は、ロッド1の先端側1aに設けられており、また、第2テーパ部302は、ロッド1の基端側1bに設けられている。溝部30と第1凹部33の位置が一致するとき、球体37が第1凹部33に配置されるよう、第1凹部33が窪んでいる。
【0029】
土をサンプリングしたい深度まで土サンプラーを地中に貫入したとき、ロッド1が上方(筒体2の基端側2b)に移動して、溝部30が第2凹部34に配置されると、溝部30の端部と第2凹部34の端部との距離が球体37より大きいため、球体37が、重力によって第2傾斜面340に沿って溝部30に向けて転がって移動する。その後、ロッド1が下方(筒体2の先端側2a)に移動して、溝部30が第1凹部33に配置されると、球体37が、それに伴って第1凹部33に転がって嵌め込まれて、第2テーパ部302及び第1傾斜面330に挟まれて係止する(図4)。その結果、ロッド1が下方(筒体2の先端側2a)に移動することができず、ロッド1を第2位置に固定することができる。このように、ロッド1を上方に移動するだけで、回転動力を必要とせずに短時間かつ簡単に、ロック機構3でロッド1を第2位置に固定することができる。
【0030】
<ロック機構3の解除>
図5に示される通り、土をサンプリングした後、土サンプラーを地上に移動して、ヘッド部11に連結されていた連結ロッド12を取り外す。そして、筒体2の内部にサンプリングされた土を取り出す。その後、筒体2の先端側2aが下方から上方に向くように土サンプラーを反転して配置する。図6に示される通り、球体37がロッド1の溝部30と第1凹部33との間に配置されており(図6A)、その後、ロッド1を下方に移動(または、筒体2を上方に移動)して、ロッド1の溝部30を第2凹部34に配置する(図6B)。このとき、溝部30の外周面と第2凹部34の端部との間の距離が球体37の外径よりも大きく、また、ロッド1の外周面と第2凹部34の端部との間の距離が球体37の外径と略同一であることから、球体37が重力によって第2凹部34に転がって下がり、横方向に第2凹部34の端部側に移動できるようになる。その結果、ロッド1が筒体2の先端側2a(上方)に移動でき、ロッド1を第1位置に移動することができるようになる(図6C)。このように、筒体2の先端側2aが上方に向くように土サンプラーを配置して、ロッド1を所定距離だけ下方に移動(又は、筒体2を所定距離だけ上方に移動)するだけで、短時間かつ簡単に、ロック機構3を解除することができ、ロッド1を第1位置に移動することができる。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されない。例えば、以下のように変更することもできる。
・筒体2は軸方向に分割可能に構成され、分割することで採取された土を容易に取り出すことができる。
・上記実施形態では、複数の球体37を備えており、安定的にロッド1の位置を固定することができるように構成されているが、1個の球体37であってもよい。
・上記実施形態では、複数の凹部32が放射状に設けられおり、安定的にロッド1の位置を固定することができるように構成されているが、筒体2の全周方向に設けられた環状の凹部であってもよい。全周方向に設けられた凹部32に対して、複数の球体37が配置されていてもよい。
・上記実施形態では、溝部30はロッド1の全周方向に設けられた環状であるが、それぞれの凹部32に対応した位置で窪んだ溝部30が設けられてもよい。
・上記実施形態では、第2空気孔42を塞ぐゴムリング44が設けられており、簡易な構成で逆止弁として機能するよう構成されているが、それぞれの第2空気孔42に設けられる様々な構成の逆止弁でもよい。
【0032】
本発明の効果について説明する。
【0033】
本発明に係る土サンプラーは、ロッド1と、ロッド1に対してスライド可能に挿入される筒体2と、を備えている。ロッド1は、ロッド1の先端10が筒体2の先端20を閉じる第1位置と、ロッド1の先端10が筒体2の先端20を開口して筒体2の内部に土を採取する第2位置との間で移動可能に構成される。そして、土サンプラーは、ロッド1を第2位置で固定及び解除するロック機構3を備えている。さらに、ロック機構3は、ロッド1の先端10を下方に向けると固定し、ロッド1の先端10を上方に向けると解除するように構成されている。
【0034】
ロック機構3によって、ロッド1の先端10を下方に向けて、ロッド1を第2位置に移動するだけで、回転動力が不要で、簡単かつ迅速にロッド1を第2位置に固定することができるため、標準貫入試験の時間を短くすることができ、複雑な操作を必要としないため、試験効率がよくなると共に、不慣れなオペレータであっても簡単かつ確実にロッド1の位置を固定することができる。
【0035】
また、ロック機構3は、ロッド1に設けられた溝部30と、ロッド1と筒体2との間に配置される球体37と、を備えていることが望ましい。そして、球体37が溝部30に配置されてロッド1を固定し、球体37が溝部30から離れてロッド1を解除するように構成されている。
【0036】
球体37が溝部30に転がって配置されることで、ロッド1の位置を固定することができると共に、球体37が溝部30から転がって離れることで、ロッド1の位置を解除することができるので、複雑な構成を必要とせず、生産効率及び費用効率に優れていると共に、土や水などが入り込んだとしても、保守作業を容易に行うことができる。
【0037】
また、ロック機構3は、筒体2の内周面に設けられた凹部32を備えており、凹部32は、筒体2の先端2a側に配置される第1凹部33と、筒体2の基端2b側に配置される第2凹部34とで構成されており、第1凹部33及び第2凹部34は連続して形成され、第1凹部33の幅は、第2凹部34の幅より小さく構成されていることが望ましい。
【0038】
幅が異なり互いに連続する第1凹部33及び第2凹部34で形成された凹部32を構成して、凹部32に球体37を配置することで、第1凹部33及び第2凹部34に対するロッド1の溝部30の位置と、ロッド1及び筒体2の上下方向とを操作するだけで、ロッド1の位置を固定及び解除することができる。そのため、不慣れなオペレータであっても簡単かつ確実にロッド1の位置を固定及び解除することができる。このように、幅が異なり互いに連続する第1凹部33及び第2凹部34で形成された凹部32を構成するため、ロック機構3の構成が複雑になることがなく、その製造コストを削減することができ、土や水などが入り込んだとしても、容易に取り除くことができる。
【0039】
また、第1凹部33は、筒体2の先端側2aに向けて傾斜する第1傾斜面330を有し、第2凹部34は、筒体2の先端側2aに向けて傾斜する第2傾斜面340を有していることが望ましい。
【0040】
第1及び第2傾斜面330,340によって、球体37が、第1凹部33と第2凹部34との間で転がりやすくなるので、ロック機構3でロッド1を固定及び解除する際に、不慣れな使用者であっても、確実にロッド1を固定及び解除することができる。
【0041】
望ましくは、ロッド1は、ロッド1が第2位置に配置されて土を筒体2の内部に採取するとき、土と共に採取される空気を筒体2の外部に抜く排出機構4を備えている。
【0042】
地中には土の他に空気(及び水等)が存在するため、土サンプラーを地中に貫入して土をサンプリングする際に、筒体2の内部に土と共に空気が浸入することがある。筒体2の内部に大量の空気が浸入しても、排出機構4によって、土と共に採取される空気を筒体2の外部に抜くことができるので、サンプリングに必要な量の土を確実に採取することができる。
【0043】
また、排出機構4は、ロッド1が第2位置に配置されるときに、筒体2の内部に配置される第1空気孔41と、筒体2の外部に配置される第2空気孔42と、第1空気孔41及び第2空気孔42を連通する連通管43とからなることが望ましい。
【0044】
ロッド1が第2位置に配置されると、筒体2の内部に土等を採取することができると共に、排出機構4によって筒体2の外部に空気を排気することができるが、排出機構4の構成を簡略化するとともに、その製造コストを削減するためには、第1空気孔41、第2空気孔42及び連通孔43で構成されていることが望ましい。
【0045】
好ましくは、ロッド1は、空気が第2空気孔42から流出可能かつ流入不能なように、第2空気孔42を塞ぐゴムリング44を備えている。
【0046】
第2空気孔42によって空気が筒体2の外部に排気されることによって、筒体2の内部に所望量の土をサンプリングできるが、第2空気孔42から空気が浸入すると、所望量の土をサンプリングできなくなる。そのため、第2空気孔42から空気が流出できるが流入できないような逆止弁を設けることが望ましい。特に、第2空気孔42を塞ぐようにゴムリング44を取り付けることで、この逆止弁として機能させることができ、簡易な構成で、かつ、容易に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ロッド
10 ロッドの先端部
2 筒体
20 筒体の先端部
3 ロック機構
30 溝部
32 凹部
33 第1凹部
34 第2凹部
37 球体
4 排出機構
41 第1空気孔
42 第2空気孔
43 連通管
44 ゴムリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6