(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187640
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】取付用具
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20221213BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20221213BHJP
F16B 9/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
E04B2/74 531E
F16B7/18 D
F16B9/02 H
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095725
(22)【出願日】2021-06-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】520007329
【氏名又は名称】有限会社甲林工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100141092
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英生
(72)【発明者】
【氏名】林 穣二
【テーマコード(参考)】
3J023
3J039
【Fターム(参考)】
3J023AA01
3J023BA02
3J023BB01
3J023CA02
3J023DA01
3J039AA08
3J039BB02
3J039GA00
3J039GA04
3J039GA06
(57)【要約】
【課題】リップ溝形鋼の端部を取付対象に取付可能とするものであって、構成の簡素化が可能となる取付用具を提供する。
【解決手段】第1方向に延びるリップ溝形鋼の第1方向一方側端部を取付対象に取付可能とする取付用具であって、前記リップ溝形鋼の第1方向一方側端から内側へ挿入され、当該リップ溝形鋼の内面に固定可能な挿入部と、前記挿入部の第1方向一方側端から第1方向と略直交する第2方向へ張り出し、前記取付け対象に固定可能な張り出し部と、を備えた取付用具とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びるリップ溝形鋼の第1方向一方側端部を取付対象に取付可能とする取付用具であって、
前記リップ溝形鋼の第1方向一方側端から内側へ挿入され、当該リップ溝形鋼の内面に固定可能な挿入部と、
前記挿入部の第1方向一方側端から第1方向と略直交する第2方向へ張り出し、前記取付け対象に固定可能な張り出し部と、を備えたことを特徴とする取付用具。
【請求項2】
前記挿入部は、
前記リップ溝形鋼の溝底壁部の内面に対向し、当該内面に固定可能な溝底壁対応部を有する請求項1に記載の取付用具であって、
前記リップ溝形鋼のリップ片部の外面に対向し、当該外面に固定可能なリップ片対応部が、前記挿入部に連接して設けられ、
前記張り出し部は、
前記溝底壁対応部の第1方向一方側端から第2方向一方側へ張り出す第1張り出し部と、前記リップ片対応部の第1方向一方側端から第2方向他方側へ張り出す第2張り出し部と、を有することを特徴とする取付用具。
【請求項3】
前記挿入部は、前記溝底壁対応部の第1方向他方側端と前記リップ片対応部の第1方向他方側端とを第2方向に連結する連結部を有し、
前記第1張り出し部、前記溝底壁対応部、前記連結部、前記リップ片対応部、および前記第2張り出し部がこの順に連接するように、金属板材が折り曲げられて形成されていることを特徴とする請求項2に記載の取付用具。
【請求項4】
前記溝底壁対応部は、前記溝底壁部へのねじ止めに用いられる孔として、第2方向に貫通する第1貫通孔を有し、
前記リップ片対応部は、第2方向に貫通する第2貫通孔を有し、
前記第2貫通孔は、前記第1貫通孔と第2方向に視て重なり、前記第1貫通孔よりも径が大きいことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の取付用具。
【請求項5】
前記挿入部は、前記溝底壁対応部の第1方向他方側端と前記リップ片対応部の第1方向他方側端とを第2方向に連結する連結部を有し、
前記連結部の第1方向および第2方向に略直交する第3方向両側端部は、前記リップ溝形鋼の溝側壁部の内面に当接可能であり、
前記連結部における前記リップ片対応部の直近部分には、前記リップ片部を通すスリットが形成されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の取付用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リップ溝形鋼を取付対象に取付可能とする取付用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の間仕切り構造は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1の間仕切り構造は、天井に設置された天井ランナーと、床に設置された床ランナーと、上記天井ランナーと上記床ランナーとの間に立設されたC型鋼の複数のライトゲージと、上記天井ランナーを介して上記複数のライトゲージを天井に固定する複数の固定金具と、上記床ランナーを介して上記複数のライトゲージを床に固定する複数の固定金具と、を備えている。
【0003】
上記固定金具は、ウェブ部と、当該ウェブ部と略垂直をなすフランジ部と、からなり、当該フランジ部は、左右にそれぞれ、少なくとも二股に分岐している挟着片を有する。左右の挟着片それぞれについて、上記少なくとも二股に分岐している挟着片の少なくとも一つの分岐片が上記ライトゲージのリップ部の外側面に当接し、他の分岐片が上記リップ部の内側面に当接して、上記ライトゲージに挟着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1の固定金具は、挟着片等を設けるため比較的複雑な構成となっており、製造コストや製品管理等の面で問題が生じ得る。本発明は上記問題点に鑑み、リップ溝形鋼の端部を取付対象に取付可能とするものでありながら、構成の簡素化が可能となる取付用具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る取付用具は、第1方向に延びるリップ溝形鋼の第1方向一方側端部を取付対象に取付可能とする取付用具であって、前記リップ溝形鋼の第1方向一方側端から内側へ挿入され、当該リップ溝形鋼の内面に固定可能な挿入部と、前記挿入部の第1方向一方側端から第1方向と略直交する第2方向へ張り出し、前記取付け対象に固定可能な張り出し部と、を備えた構成とする。本構成によれば、リップ溝形鋼の端部を取付対象に取付可能とするものでありながら、構成の簡素化が可能となる。
【0007】
また、前記挿入部は、前記リップ溝形鋼の溝底壁部の内面に対向し、当該内面に固定可能な溝底壁対応部を有する上記構成の取付用具において、前記リップ溝形鋼のリップ片部の外面に対向し、当該外面に固定可能なリップ片対応部が、前記挿入部に連接して設けられ、前記張り出し部は、前記溝底壁対応部の第1方向一方側端から第2方向一方側へ張り出す第1張り出し部と、前記リップ片対応部の第1方向一方側端から第2方向他方側へ張り出す第2張り出し部と、を有する構成としても良い。
【0008】
上記構成としてより具体的には、前記挿入部は、前記溝底壁対応部の第1方向他方側端と前記リップ片対応部の第1方向他方側端とを第2方向に連結する連結部を有し、前記第1張り出し部、前記溝底壁対応部、前記連結部、前記リップ片対応部、および前記第2張り出し部がこの順に連接するように、金属板材が折り曲げられて形成されている構成としても良い。
【0009】
上記構成としてより具体的には、前記溝底壁対応部は、前記溝底壁部へのねじ止めに用いられる孔として、第2方向に貫通する第1貫通孔を有し、前記リップ片対応部は、第2方向に貫通する第2貫通孔を有し、前記第2貫通孔は、前記第1貫通孔と第2方向に視て重なり、前記第1貫通孔よりも径が大きい構成としても良い。
【0010】
上記構成としてより具体的には、前記挿入部は、前記溝底壁対応部の第1方向他方側端と前記リップ片対応部の第1方向他方側端とを第2方向に連結する連結部を有し、前記連結部の第1方向および第2方向に略直交する第3方向両側端部は、前記リップ溝形鋼の溝側壁部の内面に当接可能であり、前記連結部における前記リップ片対応部の直近部分には、前記リップ片部を通すスリットが形成されている構成としても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明の取付用具によれば、リップ溝形鋼の端部を取付対象に取付可能とするものでありながら、構成の簡素化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の取付用具が利用された開口部形成構造の概略正面図である。
【
図2】開口部形成構造の構成例を示す斜視図である。
【
図5】取付用具をライトゲージに挿入した状態を示す一部斜視図である。
【
図6】取付用具をライトゲージに固定した状態を示す一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について各図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の取付用具が利用された開口部形成構造5の概略正面図である。なお、
図1および後述する
図2において、上下方向および左右方向を示している。開口部形成構造5は、間仕切り構造に含まれている。間仕切り構造は、開口部形成構造5の他に、下ランナー3と、上ランナー4と、を有する。なお、
図1では、便宜上、ランナーに収容される構成が透過により視認された状態を示す(実際にはランナーに収容される構成は正面から見て隠れている)。
【0015】
下ランナー3は、断面視コ字状の左右方向に延びる部材であり、コ字状の開口側が上方を向く。下ランナー3は、床6に固定される。上ランナー4は、断面視コ字状の左右方向に延びる部材であり、コ字状の開口側が下方を向く。上ランナー4は、天井7に固定される。なお、下ランナー3は、
図1に示すように、開口部形成構造5の箇所で左側の下ランナー3Lと、右側の下ランナー3Rとに分かれている。
【0016】
図2は、開口部形成構造5の斜視図である。ここで、
図1に加えて
図2も参照して説明する。開口部形成構造5は、左ライトゲージ1Aと、右ライトゲージ1Bと、水平ライトゲージ1Cと、取付用具2A~2Fと、を有している。
【0017】
左ライトゲージ1A、右ライトゲージ1B、および水平ライトゲージ1Cは、いずれも断面視C字状のいわゆるリップ溝形鋼により構成される。リップ溝形鋼の寸法や形状等はJIS規格に規定されており、本実施形態の取付用具の寸法や形状等は、JIS規格のリップ溝形鋼に使用されることを想定して設定されている。また本実施形態の説明において、ライトゲージ(リップ溝形鋼)の各部位の名称を、便宜的に、溝底壁部11、溝側壁部12、および、リップ片部13とする(
図4等を参照)。
【0018】
左ライトゲージ1Aは、上下方向に延び、C字状の開口側(後述するリップ片部側)が左方を向くように配置される。右ライトゲージ1Bは、上下方向に延び、C字状の開口側が右方を向くように配置される。水平ライトゲージ1Cは、左ライトゲージ1Aと右ライトゲージ1Bとの間に配置され、左右方向(水平方向)に延び、C字状の開口側が上方を向くように配置される。左ライトゲージ1A、右ライトゲージ1B、および水平ライトゲージ1Cに囲まれて開口部50が形成される。
【0019】
取付用具2A~2Fは、ライトゲージを取付対象に固定させるための固定金具である。取付用具2Aは、左ライトゲージ1Aの下端部を下ランナー3Lを介して床6に固定する。取付用具2Bは、左ライトゲージ1Aの上端部を上ランナー4を介して天井7に固定する。取付用具2Cは、右ライトゲージ1Bの下端部を下ランナー3Rを介して床6に固定する。
【0020】
取付用具2Dは、右ライトゲージ1Bの上端部を上ランナー4を介して天井7に固定する。取付用具2Eは、水平ライトゲージ1Cの左端部を左ライトゲージ1Aに固定する。取付用具2Fは、水平ライトゲージ1Cの右端部を右ライトゲージ1Bに固定する。
【0021】
なお、間仕切り構造は、図示しない上下方向に延びるスタッドを有してもよい。この場合、スタッドは、上ランナー4と下ランナー3との間に配置され、左右方向に複数並べられる。
【0022】
図3は、取付用具2の斜視図である。なお、以下、
図3などの図面において、第1方向をX方向として、第1方向一方側をX1、第1方向他方側をX2として示す。また、第2方向をY方向として、第2方向一方側をY1、第2方向他方側をY2として示す。また、第3方向をZ方向として、第3方向一方側をZ1、第3方向他方側をZ2として示す。第1方向、第2方向、および第3方向は、互いに直交する。
【0023】
取付用具2は、先述した取付用具2A~2Fのそれぞれに相当する。取付用具2は、挿入部21と、張り出し部22と、リップ片対応部23を備えており、取付用具2を第3方向に二分する平面を対称面とした対称の形状となっている。
【0024】
挿入部21は、溝底壁対応部211と連結部213を有する。溝底壁対応部211は、第1方向かつ第3方向に広がる板状部であり、後述するライトゲージ(リップ溝形鋼)1の溝底壁部11に対応する。連結部213は、溝底壁対応部211の第1方向他方側端とリップ片対応部23の第1方向他方側端とを第2方向に連結し、第2方向かつ第3方向に広がる板状部である。
【0025】
溝底壁対応部211は、第2方向に貫通する貫通孔211Aを有する。
図3の例では、貫通孔211Aは、第3方向一方側、第3方向他方側のそれぞれに第1方向に2つ並んで設けられる(すなわち、貫通孔211Aは4つ)。貫通孔211Aは、後述するビスB1を用いて、溝底壁対応部211を溝底壁部11にねじ止めにより固定するための孔である。貫通孔211Aの径寸法は、ビスB1の頭部の径寸法よりも小さい。
【0026】
リップ片対応部23は、溝底壁対応部211の第2方向他方側に配置され、溝底壁対応部211と第2方向に対向する。リップ片対応部23は、第1方向かつ第3方向に広がる板状部であり、その第3方向両端寄りの部分はライトゲージ1のリップ片部13に対応する。
【0027】
リップ片対応部23は、第2方向に貫通する貫通孔212Aを有する。
図3の例では、貫通孔212Aは、第3方向一方側、第3方向他方側のそれぞれに第1方向に2つ並んで設けられる(すなわち、貫通孔212Aは4つ)。貫通孔212Aは、ビスB1を用いて、リップ片対応部23をリップ片部13にねじ止めにより固定するための孔である。貫通孔212Aの径寸法は、ビスB1の頭部の径寸法よりも小さい。
【0028】
リップ片対応部23は、第2方向に貫通する貫通孔212Bをさらに有する。貫通孔212Bは、貫通孔211Aと第2方向に視て重なり、貫通孔211Aよりも径が大きい。より具体的に説明すると、貫通孔212Bの径寸法は、ビスB1の頭部の径寸法よりも大きく、ねじ止め工具(ねじ止めに用いる工具であり、電動ドライバー或いはこれに準ずる工具)の軸の径寸法よりも大きい。そのため、ねじ止め工具の軸の先端にビスB1をセットしておき、貫通孔212Bに当該軸を通しながらビスB1を貫通孔211Aに近づけて、ビスB1のねじ止めを行うことも可能である。
【0029】
張り出し部22は、第1張り出し部221と、第2張り出し部222と、を有する。第1張り出し部221は、溝底壁対応部211の第1方向一方側端から第2方向一方側へ張り出す。第2張り出し部222は、リップ片対応部23の第1方向一方側端から第2方向他方側へ張り出す。
【0030】
第1張り出し部221は、第1方向に貫通する貫通孔221Aを有する。貫通孔221Aは、第3方向に2つ並んで配置される。貫通孔221Aは、第1張り出し部221を取付対象にビスB2(後述の
図6を参照)により固定するための孔である。
【0031】
第1張り出し部221は、第1方向に貫通する貫通孔221Bをさらに有する。貫通孔221Bは、貫通孔221Aにより第3方向両側から挟まれて配置される。貫通孔221Bは、第1張り出し部221を取付対象にアンカーボルトB3(後述の
図6を参照)により固定するための孔である。
【0032】
第2張り出し部222は、貫通孔222A,222Bを有する。貫通孔222A,222Bの用途は、先述の貫通孔221A,221Bと同様である。
【0033】
取付用具2は、第1張り出し部221、溝底壁対応部211、連結部213、リップ片対応部23、および第2張り出し部222がこの順に連接するように、金属板材が折り曲げられて形成されている。より具体的には、取付用具2は、予め各貫通孔を設けた当該金属板材が第1張り出し部221と溝底壁対応部211の間、溝底壁対応部211と連結部213の間、連結部213とリップ片対応部23の間、および、リップ片対応部23と第2張り出し部222の間のそれぞれにおいて、第3方向に見て90°に折り曲げられて形成されている。これにより、強度の高い取付用具2を容易に製造することが可能となっている。
【0034】
次に、このような構成の取付用具2を用いてライトゲージ1を取付対象に固定する方法について説明する。
図4は、ライトゲージ1と、取付用具2の斜視図である。ライトゲージ1は、先述した各ライトゲージ1A~1Cに相当する。
【0035】
ライトゲージ1は、第1方向に延びるリップ溝形鋼であり、第2方向かつ第3方向に広がる平面内にC字状の断面を有する。ライトゲージ1は、リップ溝形鋼の有する溝の底部を構成する溝底壁部11を有する。また、ライトゲージ1は、溝底壁部11の第3方向両側端から第2方向他方側へ延びる溝側壁部12を有する。溝側壁部12は、互いに第3方向に対向する。さらに、ライトゲージ1は、溝側壁部12の第2方向他方側端から互いに第3方向に近づく方向に延びるリップ片部13を有する。
【0036】
図4において、取付用具2の挿入部21は、ライトゲージ1の第1方向一方側端から第1方向他方側(内側)へ挿入される。このとき、スリットSにリップ片部13が挿入される。スリットSは、連結部213におけるリップ片対応部23の直近部分に形成されている。
【0037】
図5は、取付用具2をライトゲージ1に挿入した状態を示す要部斜視図である。溝底壁対応部211は、溝底壁部11の内面(第2方向他方側の面)に対向し、リップ片対応部23は、リップ片部13の外面(第2方向他方側の面)に対向する。連結部213は、ライトゲージ1の溝内部に配置される。取付用具2は、挿入部21をライトゲージ1の内部に挿入することにより、第2方向と第3方向について位置決めされるようになっている。
【0038】
本実施形態の例では、取付用具2をライトゲージ1に挿入した状態において、溝底壁対応部211は溝底壁部11の内面に当接し、リップ片対応部23はリップ片部13の外面に当接する。また本実施形態の例では、取付用具2をライトゲージ1に挿入した状態において、溝底壁対応部211および連結部213の第3方向両端端部は、溝側壁部12の内面に当接する。そのため、取付用具2をライトゲージ1の内部に挿入しただけで、取付用具2を第2方向と第3方向について精度良く位置決めすることが可能である。
【0039】
そしてこのように位置決めされた状態では、貫通孔211Aが溝底壁部11に対応するように位置決めされるとともに、貫通孔212Aがリップ片部13に対応するように位置決めされる。これにより、貫通孔211Aおよび貫通孔212Aを用いたねじ止めを容易かつ適切に行うことが可能となる。但し、取付用具2をライトゲージ1に挿入した状態において、第2方向または第3方向について、取付用具2とライトゲージ1の間に多少の隙間が形成されるようになっていても良い。
【0040】
図6は、取付用具2をライトゲージ1に固定した状態を示している。なお理解容易のため、
図6では、張り出し部22にビスB2およびアンカーボルトB3をセットした状態を示す。
図5に示す状態で、ねじ止め工具を用いて貫通孔212Aを通すようにリップ片部13へビスB1をねじ込むことで、リップ片対応部23がリップ片部13にねじ止め固定される。
【0041】
また
図5に示す状態で、貫通孔212Bに第2方向他方側からねじ止め工具の軸を挿入し、これを用いて貫通孔211Aを通すように溝底壁部11へビスB1をねじ込むことで、溝底壁対応部211が溝底壁部11にねじ止め固定される。この際、ねじ止め工具の軸の先端にビスB1を予めセットしておいても良い。このように取付用具2は、貫通孔212Bを設けたことにより、溝底壁対応部211のねじ止めの作業が実施し易くなっている。
【0042】
また、リップ片対応部23がリップ片部13の外側に配置され、かつ溝底壁対応部211が溝底壁部11の内側に配置されるため、ライトゲージ1に押し当てる同じ方向(第2方向一方側)に力を加えて、リップ片対応部23と溝底壁対応部211の両方をライトゲージ1にねじ止め固定することが可能である。そのため、リップ片対応部23のねじ止め固定の際に力を加える方向と、溝底壁対応部211のねじ止め固定の際に力を加える方向とが異なる場合に比べ、ねじ止めの作業を効率良く行うことが可能である。また更に、リップ片対応部23と溝底壁対応部211の両方とも、ライトゲージ1とビスB1の頭部で挟むようにしてねじ止めすることが可能である。そのためリップ片対応部23と溝底壁対応部211の両方とも、ねじ止めの際にビスB1に押されて撓むことは回避される。
【0043】
また、貫通孔222AにビスB2を挿入し、ねじ止め工具を使用して第2張り出し部22が取付対象に、ビスB2のねじ止めにより固定される(
図6を参照)。同様に、貫通孔221AにビスB2を挿入し、ねじ止め工具を使用して第1張り出し部221が取付対象に、ビスB2のねじ止めにより固定される。
【0044】
なお、ライトゲージ1が左ライトゲージ1Aまたは右ライトゲージ1Bの場合、取付対象が床6の場合は、ビスB2は貫通孔221A,222Aと下ランナー3L,3Rを貫通する。取付対象が天井7の場合、ビスB2は貫通孔221A,222Aと上ランナー4を貫通する。また、ライトゲージ1が水平ライトゲージ1Cの場合は、取付対象は左ライトゲージ1Aまたは右ライトゲージ1Bとなり、張り出し部22は直接、取付対象に固定される。
【0045】
また、取付対象が床6または天井7等の場合、貫通孔222Bに挿入されるアンカーボルトB3により、第2張り出し部222を取付対象に固定することができる(
図6を参照)。貫通孔221Bについても同様である。なお、取付対象が左ライトゲージ1Aまたは右ライトゲージ1Bの場合、貫通孔221B,222Bを使った固定は省略されても良い。このようにして、取付用具2は、ライトゲージ1の第1方向一方側端部を取付対象に取付可能とする。
【0046】
なお、挿入部21をライトゲージ1に挿入した状態で、連結部213の第3方向両側端部213A(
図3)は、溝側壁部12の内面に当接するようにしている。従って、連結部213の第3方向の幅を広くしているが、それだけでは挿入部21の挿入時にリップ片部13が干渉してしまうため、連結部213におけるリップ片対応部23の直近部分のみ第3方向の幅を狭くし、スリットSが形成されるようにしている。なお第1方向に視て、スリットSの縁全体の形状および寸法は、リップ片部13の縁全体の形状および寸法と概ね一致する。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る取付用具2によれば、ライトゲージ1を溝底壁対応部211、リップ片対応部23、第1張り出し部221、および第2張り出し部222を介して取付対象に固定させることができるため、固定強度を高めることができる。さらに、挿入部21をライトゲージ1に挿入した状態でのライトゲージ1に対する溝底壁対応部211およびリップ片対応部23の配置位置が適切となるため、取付用具2をライトゲージ1に固定する作業性が向上する。
【0048】
なお、挿入部21はライトゲージ1に挿入した状態で第1方向にスライド可能であるため、ライトゲージ1の第1方向長さが短い場合でも、挿入部21の位置を調整して取付用具2を取付対象およびライトゲージ1に固定することができる。例えば、ライトゲージ1の第1方向長さが、挿入部21の挿入方向長さの半分程度短い場合は、挿入部21を半分程度だけライトゲージ1に挿入した状態で取付用具2をライトゲージ1に固定すれば、取付用具2がライトゲージ1の長さの不足分を補うことができる。
【0049】
また、取付用具2にはライトゲージ1へのねじ止め固定に用いる貫通孔211A,212Aが予め設けられているため、当該貫通孔の位置に合わせてねじ止めの作業を行うだけで、適切な位置でのねじ止めを実現することが可能である。特に、リップ片部13は幅(第3方向に対応する方向の寸法)が小さいため、リップ片部13へのねじ止めの際にはねじ止め位置の正確性が特に重要となるが、本実施形態では貫通孔212Aの位置に合わせてねじ止めの作業を行うだけで良い。
【0050】
以上に説明したとおり、本実施形態に係る取付用具2は、第1方向に延びるリップ溝形鋼の第1方向一方側端部を取付対象に取付可能とする取付用具であって、リップ溝形鋼の第1方向一方側端から内側へ挿入され、当該リップ溝形鋼の内面に固定可能な挿入部21と、挿入部21の第1方向一方側端から第1方向と略直交する第2方向へ張り出し、前記取付け対象に固定可能な張り出し部22と、を備える。
【0051】
そのため取付用具2によれば、リップ溝形鋼の端部を取付対象に取付可能とするものでありながら、挿入部21をリップ溝形鋼の端から内側へ挿入してその内面に固定することができ、例えば特許文献1のものに比べて構成が簡素化されている。また取付用具2は、リップ溝形鋼への装着のし易さも良好であり、挿入部21のリップ溝形鋼内への挿入量を調整して、リップ溝形鋼の第1方向の長さの不足分を補うこともできる。
【0052】
挿入部21は、リップ溝形鋼の溝底壁部の内面に対向し、当該内面に固定可能な溝底壁対応部211を有している。また取付用具2は、リップ溝形鋼のリップ片部の外面に対向し、当該外面に固定可能なリップ片対応部23が、挿入部21に連接して設けられている。張り出し部22は、溝底壁対応部211の第1方向一方側端から第2方向一方側へ張り出す第1張り出し部221と、リップ片対応部23の第1方向一方側端から第2方向他方側へ張り出す第2張り出し部222と、を有する。
【0053】
挿入部21は、溝底壁対応部211の第1方向他方側端とリップ片対応部23の第1方向他方側端とを第2方向に連結する連結部213を有し、連結部213の第1方向および第2方向に略直交する第3方向両側端部213Aは、リップ溝形鋼の溝側壁部12の内面に当接可能であり、連結部213におけるリップ片対応部23の直近部分には、リップ片部13を通すスリットSが形成されている。
【0054】
また、開口部形成構造5は、複数の取付用具2と、上下方向に延び、かつ前記取付用具により床6および天井7にそれぞれ固定される左ライトゲージ1Aと、上下方向に延び、かつ前記取付用具により床および天井にそれぞれ固定される右ライトゲージ1Bと、左右方向に延び、かつ前記取付用具により前記左ライトゲージおよび前記右ライトゲージにそれぞれ固定される水平ライトゲージ1Cと、を有する構成となっている。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限られず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、例えば、間仕切り構造に利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 ライトゲージ
1B 右ライトゲージ
1C 水平ライトゲージ
2 取付用具
2A~2F 取付用具
3 下ランナー
3L,3R 下ランナー
4 上ランナー
5 開口部形成構造
6 床
7 天井
11 溝底壁部
12 溝側壁部
13 リップ片部
21 挿入部
22 張り出し部
23 リップ片対応部
221 第1張り出し部
222 第2張り出し部
50 開口部
211 溝底壁対応部
211A 貫通孔
212A,212B 貫通孔
213 連結部
213A 第3方向両側端部
221 第1張り出し部
221A,221B 貫通孔
222 第2張り出し部
222A,222B 貫通孔
B1,B2 ビス
B3 アンカーボルト
S スリット
【手続補正書】
【提出日】2022-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びるリップ溝形鋼の第1方向一方側端部を取付対象に取付可能とする取付用具であって、
前記リップ溝形鋼の第1方向一方側端から内側へ挿入され、前記リップ溝形鋼の溝底壁部の内面に対向して当該内面に固定可能な溝底壁対応部を有する挿入部と、
前記挿入部に連接して設けられ、前記リップ溝形鋼のリップ片部の外面に対向して当該外面に固定可能なリップ片対応部と、
前記溝底壁対応部の第1方向一方側端から第1方向と略直交する第2方向一方側へ張り出し、前記取付対象に固定可能な第1張り出し部と、
前記リップ片対応部の第1方向一方側端から第2方向他方側へ張り出し、前記取付対象に固定可能な第2張り出し部と、を備えたことを特徴とする取付用具。
【請求項2】
前記挿入部は、前記溝底壁対応部の第1方向他方側端と前記リップ片対応部の第1方向他方側端とを第2方向に連結する連結部を有し、
前記第1張り出し部、前記溝底壁対応部、前記連結部、前記リップ片対応部、および前記第2張り出し部がこの順に連接するように、金属板材が折り曲げられて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の取付用具。
【請求項3】
前記溝底壁対応部は、前記溝底壁部へのねじ止めに用いられる孔として、第2方向に貫通する第1貫通孔を有し、
前記リップ片対応部は、第2方向に貫通する第2貫通孔を有し、
前記第2貫通孔は、前記第1貫通孔と第2方向に視て重なり、前記第1貫通孔よりも径が大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の取付用具。
【請求項4】
前記挿入部は、前記溝底壁対応部の第1方向他方側端と前記リップ片対応部の第1方向他方側端とを第2方向に連結する連結部を有し、
前記連結部の第1方向および第2方向に略直交する第3方向両側端部は、前記リップ溝形鋼の溝側壁部の内面に当接可能であり、
前記連結部における前記リップ片対応部の直近部分には、前記リップ片部を通すスリットが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の取付用具。