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特開2022-187643収納器具の組み立てセット及び前記セットを用いて組み立てられた収納器具
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  • 特開-収納器具の組み立てセット及び前記セットを用いて組み立てられた収納器具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187643
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】収納器具の組み立てセット及び前記セットを用いて組み立てられた収納器具
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20221213BHJP
   A47G 25/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
A47G29/00 B
A47G25/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095730
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】521249922
【氏名又は名称】株式会社Central River
(74)【代理人】
【識別番号】100145953
【弁理士】
【氏名又は名称】真柴 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 義健
【テーマコード(参考)】
3K099
3K100
【Fターム(参考)】
3K099AA01
3K099BA25
3K099CA09
3K099CB51
3K099DA01
3K099DA05
3K099DA13
3K099EA06
3K099EA08
3K099EA19
3K100AA06
3K100AA18
3K100AB07
3K100AE01
3K100AE14
3K100AF04
3K100AG01
3K100AG03
3K100AH30
3K100AJ05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐久性が高く、組み立てが容易な収納器具を提供する。
【解決手段】棒状部材と、前記棒状部材を建物の構造部材及び/又は非構造部材に固定するための固定具2とを含み、前記棒状部材がその長さ方向の面において少なくともその一端部付近に少なくとも1つの穴を有しており、前記固定具が、平板状の土台部21と、前記土台部から垂直方向に伸びた壁22により形成される中空の棒状部材収容部23とを含み、前記壁には前記壁を貫通する少なくとも1つのネジ穴24が設けられており、前記棒状部材収容部を形成する内壁から中空の中心方向に突起した少なくとも1つのストッパー25が設けられている、事を特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状部材と、前記棒状部材を建物の構造部材及び/又は非構造部材に固定するための固定具とを含み、
前記棒状部材がその長さ方向の面において少なくともその一端部付近に少なくとも1つの穴を有しており、
前記固定具が、平板状の土台部と、前記土台部から垂直方向に伸びた壁により形成される中空の棒状部材収容部とを含み、前記壁には前記壁を貫通する少なくとも1つのネジ穴が設けられており、
前記棒状部材収容部を形成する内壁から中空の中心方向に突起した少なくとも1つのストッパーが設けられている、
事を特徴とする、収納器具の組み立てセット。
【請求項2】
さらに棒先の止めねじを含む、請求項1に記載の収納器具の組み立てセット。
【請求項3】
前記固定具の土台部にネジ穴が設けられており、当該ネジ穴が、前記壁に開けられたネジ穴の軸方向に前記棒状部材収容部を挟んで対向する位置に少なくとも1つずつ、前記壁に開けられたネジ穴の軸方向に対して垂直方向に前記棒状部材収容部を挟んで対向する位置に少なくとも1つずつ設けられている、請求項1又は2に記載の収納器具の組み立てセット。
【請求項4】
さらに前記棒状部材同士を連結する連結具を含み、前記連結具には、パイプ連結部の壁を貫通する少なくとも1つのネジ穴及び前記壁の内側に突起からなるストッパーが少なくとも1つ設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の収納器具の組み立てセット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の組み立てセットを用いて組み立てられた収納器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収納器具の組み立てセット及び前記セットを用いて組み立てられた収納器具の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、衣類の収納は、衣類を掛けたハンガーをハンガー掛けに吊り下げて行われることが一般的である。このようなハンガー掛けは、例えば、特許文献1に開示されるように、数本のパイプの柱の間にパイプによる梁を数本掛け渡し、当該梁にハンガーを掛けて収納する形態のものが存在する。しかしながら、前記のような収納器具は、その構造がより複雑で見た目も煩雑である為、人目につく箇所に設置する事が好まれず、一般的には、クロゼット等普段人が余り出入りしない場所に設置される場合がほとんどである。
【0003】
一方で、近年、人目につく場所にあえて収納器具を設置し、収納される衣類をインテリアとしても活用できる、いわゆる「見せる収納」という収納形式が注目を集めている。「見せる収納」は、室内の壁や天井にパイプ等を固定して、当該パイプ等にハンガーを掛けるタイプの収納器具がこれに当たる。見せる収納においては、収納器具の構造が複雑になるとその見た目が煩雑となるため、収納器具の構造自体をよりシンプルにすることが重要である。また、より多くのハンガーを掛ける事ができれば収納できる衣類の数を増やせるだけでなく、衣類による装飾効果をより高めることができるため、ハンガーを掛けるパイプの長さをより長くする事が好ましいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3147576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
「見せる収納」におけるパイプをできるだけ長くした方が良い一方で、パイプ自体の長さが長ければ長いほど、掛けられた衣類の重さ及びパイプ自体の自重によりパイプが曲がってしまう恐れが高くなる。前記のような問題を解決するためには剛性の高い金属、例えば、鉄鋼やステンレス鋼等のパイプを使用される場合が多い。このような金属製のパイプは剛性が高い一方でパイプ自体の重さがある為、固定具を用いて長いパイプを固定する際に取り回しが難しくなる。例えば、パイプを固定する固定具を壁等に固定して、当該固定具にパイプを固定する際に、パイプ自体が重いため、固定具に対するパイプの位置決めに手間がかかる。このようなパイプの位置決めを行う際にパイプと固定具とが繰り返し接触する事によりパイプの表面が傷つけられ、パイプの金属光沢が損なわれ又はパイプ表面に施された塗膜が剥がれ落ちてしまう場合がある。このようにパイプの見た目が損なわれることは「見せる収納」にとって好ましくないことから、このような問題の解決が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本発明者が鋭意検討を重ねた結果、特定構造の組み立てセット及び当該セットを組み立てた収納器具により前記課題が解決できることを見いだし、本発明に至った。
即ち、本発明は、
[1]棒状部材と、前記棒状部材を建物の構造部材及び/又は非構造部材に固定するための固定具とを含み、
前記棒状部材がその長さ方向の面において少なくともその一端部付近に少なくとも1つの穴を有しており、
前記固定具が、平板状の土台部と、前記土台部から垂直方向に伸びた壁により形成される中空の棒状部材収容部とを含み、前記壁には前記壁を貫通する少なくとも1つのネジ穴が設けられており、
前記棒状部材収容部を形成する内壁から中空の中心方向に突起した少なくとも1つのストッパーが設けられている、
事を特徴とする、収納器具の組み立てセット、
[2]さらに棒先の止めねじを含む、[1]に記載の収納器具の組み立てセット、
[3]前記固定具の土台部にネジ穴が設けられており、当該ネジ穴が、前記壁に開けられたネジ穴の軸方向に前記棒状部材収容部を挟んで対向する位置に少なくとも1つずつ、前記壁に開けられたネジ穴の軸方向に対して垂直方向に前記棒状部材収容部を挟んで対向する位置に少なくとも1つずつ設けられている、[1]又は[2]に記載の収納器具の組み立てセット、
[4]さらに前記棒状部材同士を連結する連結具を含み、前記連結具には、パイプ連結部の壁を貫通する少なくとも1つのネジ穴及び前記壁の内側に突起からなるストッパーが少なくとも1つ設けられている、[1]~[3]のいずれかに記載の収納器具の組み立てセット、並びに
[5][1]~[4]のいずれかに記載の組み立てセットを用いて組み立てられた収納器具、
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の組み立てセットを用いることにより、より組み立てが容易でかつ組み立て時において棒状部材表面に傷がつく可能性を極力排除できる。また、本発明のセットを用いて組み立てられた収納器具は、剛性の高い材質の棒状部材を使用できるため、見た目がシンプルでかつより多くの衣類を掛けることができ、「見せる収納」による装飾効果をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】棒状部材の(A)正面図、(B)側面図(C)斜視図及び(D)折り曲げられた棒状部材の正面図である。
図2】固定具の(A)平面図、(B)正面図、(C)側面図、(D)(A)におけるA-B断面図及び(E)(C)におけるC-D断面図である。
図3】(A)図2とは別形態の固定具の平面図、(B)図2の固定具を柱及び壁材に固定したときの模式図及び(C)(A)の固定具を柱及び梁に固定したときの模式図である。
図4】棒先止めねじの(A)正面図、(B)平面図及び(C)底面図である。
図5】(A)連結具の正面図、(B)(A)の連結具の左側面図、(C)(A)の連結具の底面図、(D)(A)におけるE-F断面図、(E)~(G)(A)とは別形態の連結具の正面図である。
図6】本発明の収納器具の一形態である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、 図面等を参照しながら、具体的な実施形態に基づいて本発明を説明する。なお、図面及び以下の説明はあくまでも本発明の一形態を説明するものであり、本発明の範囲に何ら制限を加えるものではない。また、文中における「上下」、「前後」及び「左右」は、各図面に記載の方向を意味する。
【0010】
前記の通り、本発明の収納器具の組み立てセットは、
棒状部材1と、前記棒状部材1を建物の構造部材及び/又は非構造部材に固定するための固定具2とを含み、
前記棒状部材1がその長さ方向の面において少なくともその一端部付近に少なくとも1つの穴12を有しており、
前記固定具2が、平板状の土台部21と、前記土台部21から垂直方向に伸びた壁22により形成される中空の棒状部材収容部23とを含み、前記壁22には前記壁22を貫通する少なくとも1つのネジ穴24が設けられており、
前記棒状部材収容部23を形成する内壁から中空の中心方向に突起した少なくとも1つのストッパー25が設けられている、
ものである。以下に、部材ごとに説明した後、本発明の収納器具について説明する。
【0011】
1.棒状部材
棒状部材1は、図1に示すとおり棒状の部材である。棒状部材の断面形状に特に制限はなく、例えば、楕円を含む円形や、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよい。また、棒状部材は、その長さ方向に中空を有する、いわゆるパイプ状の棒状部材でも良いし、中空を有しない棒でもよい。棒状部材1の素材に特に制限は無く、このような収納器具を製造する際に一般的に使用されている素材、例えば、鉄、鉄鋼、ステンレス、アルミニウム及び銅等の金属素材、樹脂及びセラミック等の素材を特に制限無く使用できる。より剛性の高い棒状部材1を製造効率よく得ることを目的として、金属素材を使用することがより好ましい。棒状部材1の長さは、収納器具として使用できる長さであることを条件として適宜調整可能である。特に本発明の収納器具の組み立てセットにおいては、「見せる収納」を実現するために、棒状部材1を長く、例えば、具体的には、2から5mにする事もできる。棒状部材1の太さについても、収納器具として使用できる太さであることを条件として適宜調整可能である。また、棒状部材1は、図1(D)に示すように、1箇所以上の箇所で折り曲げられていても良い。
【0012】
棒状部材は、本体部11の長さ方向の面において、その一端部付近に少なくとも1つの穴12を有している。図1において、穴12は、本体部11の両端部付近に1つずつ、合計2個開けられている。図1に示すように、一方の端部付近に1つの穴12を設けても良いし、2以上設けても良い。穴12は、棒状部材1(棒状部材がパイプ状である場合には、パイプを形成する壁)を貫通する孔でもよいし、貫通しない穴であってもよい。なお、「一端部付近」とは、棒状部材1の本体部11の端部が含まれることは勿論のこと、端部周囲の領域、例えば、後述する固定具2の棒状部材収容部23に収容される領域も含まれる。穴12の大きさ及び形は、後述するように棒状部材1と固定具2とをネジ締結できる程度の大きさ及び形であれば、特に制限されない。棒状部材1と固定具2とのネジ締結において、後述する止めねじ3を使用する場合には穴12にネジ山を切る必要はない。一方で、棒状部材1と固定具2とを通常のネジでネジ締結する場合には、穴12にネジ山を切ってもよい。
【0013】
棒状部材1の表面を、塗料による塗装又は樹脂製の着色シートを用いたラミネート加工等してもよい。このような加工をすることにより、より装飾性が高まり、棒状部材1を用いた見せる収納における装飾効果をより高めることができる。
【0014】
2.固定具
図2は、本発明の固定具2の代表的な形態を示す図面である。固定具2は、図2に示すように、平板状の土台部21と、前記土台部21から垂直方向に伸びた壁22により形成される中空の棒状部材収容部23とを含んでいる。前記「平板状」とは、土台部21を正面から見た際の形状が、上下面共が平面であるいわゆる「平板」の形状を含むことは勿論のこと、例えば、土台部21の厚みに変化を持たせて、例えば、端から中央に向けて盛り上がるように厚みの変化を持たせた形状も含まれる。
【0015】
壁22の土台部21からの高さは、棒状部材1を収容して固定できる程度の深さを有する棒状部材収容部23が形成できることを条件として、適宜調整可能である。なお、「垂直方向」とは、土台部21を平面に置いた際に、当該平面から見て壁22が垂直方向に伸びていることを意味する。したがって、壁22が、土台部21の上側の面との間で90°の角度を有していなければならないわけではない。また、壁22は、棒状部材1を収容する後述の棒状部材収容部23を形成出来ればよく、壁22において垂直方向に1以上の切れ目が入っても良いし、図2に示すように壁22が切れ目無く連続していても良い。なお、棒状部材1の保持を確実にして強度を保つために、壁22は切れ目無く連続している方がより好ましい。土台部21の表面における壁22の位置は、土台部21に後述するネジ穴26を設けることができることを条件として、適宜調整可能である。
【0016】
固定具2における前記土台部21及び棒状部材収容部23の平面方向から見た形状は、後述するように棒状部材1が収容できる事を条件として特に制限されない。例えば、図2に示すように楕円を含む円形であっても良いし、三角形、四角形、五角形及び六角形等の多角形であってもよい。土台部21の平面形状と、棒状部材収容部23の平面形状を同じ形状にしてもよいし、異なる形状としてもよい。また、固定具2の素材も、前記棒状部材1を保持固定できることを条件として、収納器具で一般的に使用されているいかなる素材も利用できる。なお、前述のように、固定具2により固定される棒状部材1が、例えば金属素材製である場合には、重さのある棒状部材1を確実に保持固定して支えることができるように、固定具2の素材を、例えば、鉄、鉄鋼、ステンレス、アルミニウム及び銅等の金属素材とすることがより好ましい。
【0017】
前記壁22には、壁22を貫通する少なくとも1つのネジ穴24が設けられている。図2の例においては、ネジ穴24が1つ設けられている。後述するように、このネジ穴24と、前述した棒状部材1の穴12の位置を合わせ、ネジ(図示せず)締結することにより、棒状部材1を固定具2により強固に固定できる。
【0018】
前記棒状部材収容部23は、前記のように壁22により形成される中空の空間である。棒状部材収容部23は、土台部21によりその下部が閉じられた貫通しない穴であっても良いし、図2に示すように土台部21を突き抜けて貫通した孔であってもよい。棒状部材収容部23を形成する内壁には、前記内壁から棒状部材収容部23の中心方向に突起した少なくとも1つのストッパー25が設けられている。ストッパー25の数及び設けられる位置は、後述するように棒状部材1を棒状部材収容部23に収容し、棒状部材1が所定の位置、具体的には、棒状部材1の穴12と前記ネジ穴26とが連通する位置でストップできるような数及び位置であることを条件として、特に制限されない。例えば、図2の例においては、ストッパー25は、棒状部材収容部23を形成する内壁、具体的には、棒状部材収容部23を形成する、土台部21の内壁において2カ所設けられている。ストッパー25の上端からネジ穴24の下端までの距離(図2におけるL2)は、棒状部材1の端部から穴12の端までの距離(図1におけるL1)と略同一である。このようなストッパー25、25が設けられることにより、棒状部材1を棒状部材収容部23に挿入して固定具2により固定する際に、棒状部材1の位置決めをスムーズに行うことができる。具体的には、棒状部材1と壁22の内側が繰り返し接触することにより、棒状部材1そのものの表面や、棒状部材1の表面に施された塗膜やラミネート膜等が傷つく恐れをより減少させ、棒状部材1を用いた見せる収納をより美しく実現できる。
【0019】
前記固定具2の土台部21には、固定具2を建物の構造部材及び/又は非構造部材にネジ締結により固定する際に用いるネジ穴26が開けられる。ネジ穴26の個数及び開ける位置は、固定具2を固定する位置、使用されるネジの大きさ等により適宜変更可能である。ここで、「構造部材」とは、建物を安全に使用するために必要な部材を意味する。構造部材の具体的な例として、例えば、柱、梁、床及び壁等が挙げられる。また、「非構造部材」とは、建物や人命の安全性の確保を直接の目的としない部材を意味する。非構造部材の具体的な例として、例えば、天井板、床板、壁材等の化粧材が挙げられる。
【0020】
なお、例えば、固定具2を壁に固定した後には、棒状部材1を棒状部材収容部23に収容して、ネジ穴24を用いてネジ締結する。この際に、作業者がネジ穴24に対するネジ止めの作業をしやすくするため、ネジ穴24の軸方向が作業者から見て垂直又は水平であることがより好ましい。ネジ穴24の軸方向が斜めになると、棒状部材1を棒状部材収容部23に収容した後に後述する止めねじ3によりネジ止めする際に、ドライバー等のネジ止めの道具を作業者から見て斜めに傾けてネジ止めをしなければならない。このようにネジ止めの道具を斜めにして行う固定作業は、作業者の腕に負担を掛けることになり、作業効率が悪くなる恐れがある。
【0021】
しかしながら、例えば、図3(B)に示すように、ネジ穴24の軸方向に沿っていない方向にネジ穴26が設けられている場合において、ネジ穴24を作業者から見て垂直にしようとすると、ネジ穴26の一部(図3(B)においては左側の2つのネジ穴26)のみを柱P又は梁B等の構造部材に固定できても、残りのネジ穴26を柱P又は梁B等の構造部材に固定することができず、壁材等の非構造部材に固定することとなる。一般的に壁材や天井板等の非構造部材は薄い板材からなるものが大半である。このような薄い板材に固定具2をネジ止めして固定すると、金属製の棒状部材1を固定具2で固定した際に、ネジ穴26に止めたネジ27がこれら部材の重みに耐えることが困難であり、固定具2が壁材から剥がれ落ちてしまう恐れがある。
【0022】
そこで、具体的なネジ穴26の形態として、図3(A)に示すように、固定具2の土台部21にネジ穴26が設けられており、当該ネジ穴26が、前記壁22に開けられたネジ穴24の軸方向(図3(A)における軸線vの方向)に前記棒状部材収容部23を挟んで対向する位置に少なくとも1つずつ、前記壁22に開けられたネジ穴24の軸方向に対して垂直方向(図3(A)における線hの方向)に前記棒状部材収容部23を挟んで対向する位置に少なくとも1つずつ設ける事がより好ましい。住宅の構造部材である柱と梁とは十字を描くように組み上げられており、その表面に非構造部材である壁材等が貼り付けられている。図3(C)に示すように、図3(A)の固定具2を用いることにより、ネジ穴24の軸方向がネジ止めをする作業者から見て垂直又は水平となると同時に、全てのネジ穴26(図3(C)においては、4つのネジ穴26)を用いて固定具2を柱P及び梁Bの両方の構造部材に固定でき、固定具2をより強固に固定可能となる。
【0023】
3.止めねじ
本発明の収納器具の組み立てセットは、さらに、棒先の止めねじ3を含んでも良い。止めねじ3を用いて、棒状部材1を固定具2に固定できる。図4は、このような止めねじ3の具体的な形態の一例を示している。棒先の止めねじ3は、頭部を有していないネジであって、ネジ山が切られているネジ部31と、その下部にネジ山が切られていないネジ部31よりも細い円筒状の棒先部32を有している。ネジ部31の平面端部には、止めねじ3を締める際に使用される切り込み部33(図3においては六角形の切り込み)が備えられている。例えば、六角レンチを切り込み部33に差し込んで止めねじ3を回転させることにより、止めねじ3を締めたり緩めたりすることができる。このような止めねじ3は、通常のネジのような頭部を有していないため、棒状部材1と固定具2とを固定した場合、ネジ穴24からネジの頭部がはみ出すことがないため、ネジ締結部の見た目をすっきりとさせ、見せる収納の装飾性をより向上できる。また、棒先部32が棒状部材の穴12に入り込むことにより、棒状部材1をより強固に固定具2に固定できる。
【0024】
4.連結具
本発明の収納器具の組み立てセットは、さらに、前記棒状部材同士を連結する連結具4を含んでも良い。連結具4として、例えば、棒上部材1の端部を収容するための連結部41の壁を貫通する少なくとも1つのネジ穴42及び前記壁の内側に突起からなるストッパー43が少なくとも1つ設けられた連結具が挙げられる。このような連結具4を含むことにより、本発明の収納器具の組み立てセットを用いて収納器具を組み立てる際に、例えば、棒状部材1の方向を変えることもできるし、短い棒状部材1を連結させてより長い棒状部材1として利用することもできる。
【0025】
このような連結具4の具体的な形態が、図5(A)~(C)に示されている。図5(A)~(C)の連結具4は、L字型に曲げられたパイプからなり、その両端部付近に、連結部41の壁を貫通するネジ穴42が開けられている。また、その連結部41の壁の内側に突起からなるストッパー43が設けられている。連結部41の断面形状は、棒状部材1を収容出来ることを条件として、特に制限されない。例えば、楕円を含む円形(図5参照)や、三角形、四角形、五角形及び六角形等の多角形でも良い。連結部41の端部からネジ穴42の端部までの距離(図4におけるL3)と、棒状部材1の端部から穴12の端部までの距離(図1におけるL1)とは略同一である。このような構成を有することにより、棒状部材1を連結具4に挿入して固定する際に、棒状部材1の位置決めをスムーズに行うことができる。具体的には、棒状部材1と連結部41の内側とが繰り返し接触することにより、棒状部材1そのものの表面や、棒状部材1の表面に施された塗膜やラミネート膜等が傷つく恐れをより減少させ、棒状部材1を用いた見せる収納をより美しく実現できる。
【0026】
連結具4の形状及び素材は、前記のような機能を発揮でき、かつ、棒状部材の重量に耐えることができる事を条件として特に制限されない。素材としては、例えば、鉄、鉄鋼、ステンレス、アルミニウム及び銅等の金属や、セラミック等が挙げられる。また、形状については、図4(E)に示すように、曲げられていないパイプの形状でも良い。図4(F)に示すように、連結具4は三つ叉の形状であってもよい。図4(G)に示すように、連結具4は、連結具4を建物の構造部材及び/又は非構造部材に固定するための連結具固定部44を含んでも良い。このような連結具固定部44を含むことにより、連結具4自体を建物の構造部材及び/又は非構造部材に固定して収納器具全体の耐久性を向上させ、例えば、より長い棒状部材1を有する収納器具を組み立てることが可能となる。
【0027】
5.収納器具
本発明の収納器具の組み立てセットを組み立てることにより、より容易に耐久性の高い収納器具を組み立てることができる。具体的には、固定具2を図3(B)や(C)に記載するように、ネジ27を用いて構造部材及び/又は非構造部材に固定する。本発明の収納器具においては、固定具2を構造部材に固定することで、収納器具をより強固に固定できる。また、「建物」は、一般住宅が含まれることはもちろんのこと、店舗、病院、役所、高齢者施設等、人が定住しない建物も含まれる。
【0028】
固定具2を固定した後、固定具2の棒状部材収容部23に棒状部材1の端部を差し込む。このときに、棒状部材1の端部が固定具2のストッパー25にぶつかることで棒状部材1の穴12と固定具2のネジ穴26との位置を極めて容易に合わせることができる。穴12とネジ穴26との位置を合わせた後、ネジ(組み立てセットが前記止めねじ3を含む場合には止めねじ3)によりこれらをネジ締結する。棒状部材1をより長くしたり、棒状部材1の方向を変えたりする場合には、連結具4を使用する。連結具4を用いた棒状部材1の連結は、固定具2により棒状部材1を固定する場合と同様に、連結具4の連結部41に棒状部材1をストッパー43にぶつかる位置まで差し込み、ネジ締結することにより固定できる。
【0029】
図6は、本発明の組み立てセット組み立てることにより得られる収納器具の具体的な形態を示している。図6(A)に示すように、収納器具を一方の壁側とこれに相対する他方の壁側とを差し渡すように収納器具を設置することができる。また、連結具4を使用することにより、図6(B)に示すように、収納器具を壁側と天井側とで固定したり、図6(C)に示すように、収納器具を天井側のみで固定したりすることも可能である。また、図6に示すように2つの固定具2を用いて固定してもよいし、3つ以上の固定具2を用いて固定してもよい(図示せず)。固定される箇所についても、建物の天井側及び壁側に限られず、床側に固定してもよい。また固定される場所は屋内外を問わない。本発明の収納器具はそのレイアウトを自由に変更可能である為、収納器具を設置する場所に併せて自由にその形態を変更でき、より効果的な見せる収納を実現できる。本発明の収納器具を、収納以外の目的、例えば、物干しや手すり等として使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明により、耐久性が高くかつ組み立てが容易な見せる収納を提供できる。本発明により「見せる収納」がより普及し、より有効な空間利用が可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1:棒状部材、11:本体部、12:穴
2:固定具、21 :土台部、22:壁、23:棒状部材収容部、24:ネジ穴、25:ストッパー、26:ネジ穴、27:ネジ
3:止めねじ、31:ネジ部、32:棒先部、33:切り込み部
4:連結具、41:連結部、42:ネジ穴、43:ストッパー、44:連結具固定部


図1
図2
図3
図4
図5
図6