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  • 特開-落花生薄皮含有食品組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187645
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】落花生薄皮含有食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 25/00 20160101AFI20221213BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20221213BHJP
【FI】
A23L25/00
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095736
(22)【出願日】2021-06-08
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Qなっつ
(71)【出願人】
【識別番号】521249955
【氏名又は名称】青野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】青野 茂
【テーマコード(参考)】
4B018
4B036
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE03
4B018MD53
4B018MD57
4B018ME01
4B018ME10
4B018ME11
4B018ME14
4B018MF07
4B018MF14
4B036LC06
4B036LC07
4B036LE01
4B036LH28
4B036LH29
4B036LP04
4B036LP05
4B036LP19
4B036LP24
(57)【要約】
【課題】落花生の実および薄皮を含み、機能性食品として利用可能であり、且つ摂取しやすい落花生薄皮含有食品組成物を提供する。
【解決手段】落花生の実の粉末と、落花生の薄皮の粉末と、を含有し、この落花生の薄皮の粉末の含有量が、落花生の実の粉末100質量部に対して5質量部以上13質量部以下である落花生薄皮含有食品組成物により、前記課題を解決する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
落花生の実の粉末と、落花生の薄皮の粉末と、を含有し、
前記落花生の薄皮の粉末の含有量が、前記落花生の実の粉末100質量部に対して5質量部以上13質量部以下である、落花生薄皮含有食品組成物。
【請求項2】
前記落花生の実の粉末が千葉P114号の実の粉末であり、且つ前記落花生の薄皮の粉末が千葉P114号の薄皮の粉末である、請求項1に記載の落花生薄皮含有食品組成物。
【請求項3】
前記落花生の薄皮の粉末が目開き0.6mmの篩を通過する質量割合が、前記落花生の実の粉末が目開き0.6mmの篩を通過する質量割合よりも高い、請求項1または2に記載の落花生薄皮含有食品組成物。
【請求項4】
さらに、ショウガ粉末を前記落花生の実の粉末100質量部に対して1質量部以上3質量部以下含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の落花生薄皮含有食品組成物。
【請求項5】
前記落花生薄皮含有食品組成物が、目開き0.6mmの篩を40質量%以上通過する粉末状食品組成物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の落花生薄皮含有食品組成物。
【請求項6】
前記落花生の実の粉末および前記落花生の薄皮の粉末を有効成分とする、便通改善用、ダイエット用、肌の保湿用、および目の老化予防用からなる群から選ばれる1以上の用途の食品組成物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の落花生薄皮含有食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落花生薄皮含有食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、落花生の実を覆っている薄皮の健康機能、生理機能が注目されている。そして、この落花生の薄皮を利用した機能性食品の開発なども進められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、落花生種皮加工物、ならびに、グルコサミンまたはその塩、およびコンドロイチン硫酸からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、優れたヒアルロニダーゼ阻害作用に基づいて抗老化効果、美肌効果、抗炎症効果、または抗アレルギー効果を発揮しえる食品組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-240285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、落花生の薄皮を含有する食品組成物については、その機能(機能性食品としての有効性)などについてさらなる研究や開発が求められており、また、その摂取のしやすさ(食べやすさ)などの点においてもさらなる改善の余地があった。さらに、この落花生の薄皮だけでなく落花生の実も含有する食品組成物の具体的な機能等、つまり落花生の薄皮と実とを併用して加工などがされた食品組成物の具体的な機能等については不明であった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、落花生の実および薄皮を含み、機能性食品として利用可能であり、且つ摂取しやすい落花生薄皮含有食品組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、落花生の実の粉末と、落花生の薄皮の粉末と、を含有し、落花生の種子(実および薄皮)をそのまま摂取する場合よりも落花生の薄皮の含有割合が高い落花生薄皮含有食品組成物とすることにより、便通改善用やダイエット用などの機能性食品として利用可能であり、且つ摂取しやすいものとなり得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち本発明は、落花生の実の粉末と、落花生の薄皮の粉末と、を含有し、この落花生の薄皮の粉末の含有量が、上記した落花生の実の粉末100質量部に対して5質量部以上13質量部以下である落花生薄皮含有食品組成物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、落花生の実および薄皮を含み、機能性食品として利用可能であり、且つ摂取しやすい落花生薄皮含有食品組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物の製造方法の一例を、工程図として示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
本発明は、落花生の実の粉末と、落花生の薄皮の粉末と、を含有し、この落花生の薄皮の粉末の含有量が、この落花生の実の粉末100質量部に対して5質量部以上13質量部以下である落花生薄皮含有食品組成物である。以下においては、これを「本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物」という場合もある。
以下、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物の構成、製造方法等について詳細に説明する。
【0013】
本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、落花生の実(胚)の粉末および落花生の薄皮(種皮)の粉末をいずれも含有する。
落花生(Arachis hypogaea)は、マメ目、マメ科、ラッカセイ属に属する植物であり、その実は固い莢殻中にあって薄皮に覆われており、広く食用として利用されている。一方で、この実を覆っている薄皮は、実とともに(つまり薄皮付きの実として)食用に利用される場合はあるが、通常は食用となる落花生の実から分離、除去されるものである。
【0014】
本発明においては、公知のあらゆる落花生の実および薄皮を使用することができ、品種等について制限はされないが、後述する効果がより発揮されやすいことから、千葉県が育成し平成30年に品種登録された千葉P114号(Qなっつ)の実および薄皮を使用するのが好適である。しかしながら、例えば千葉半立、中手豊、郷の香、おおまさり等の品種の実および薄皮を使用しても良く、これらの2以上を混合して用いても良い。また、使用する落花生の実と落花生の薄皮とが品種が異なるものであっても良い。
【0015】
そして、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物では、その機能を十分に発揮させ且つ摂取しやすくするために、このような落花生の実および薄皮をいずれも粉末としてから使用する。本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物に使用する落花生の実の粉末は、粉末としての性状を保つことが可能な粒子サイズであれば良く、特段限定されるものではないが、目開き0.6mmの篩を好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上通過する粉末であるのが好適である。なお、落花生の実は摩砕または破砕により粒子サイズを小さくしすぎると油分が多く出てしまい粉末としての性状を保つことができない可能性があるため、粉末としての性状を保つことが可能な粒子サイズとする必要がある。例えば、目開き0.6mmの篩を通過する割合が80質量%未満であるのが好ましく、70質量%未満であるのがより好ましく、65質量%未満であるのがさらに好ましい。
【0016】
さらに、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物に使用する落花生の薄皮の粉末は、これも粉末としての性状を保つことが可能な粒子サイズであれば良く、特段限定されるものではないが、目開き0.6mmの篩を好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上通過する粉末であるのが好適である。なお、落花生の薄皮は摩砕または破砕により油分がほとんど出ないため、さらに粒子サイズを小さくする(例えば目開き0.6mmの篩を70質量%以上、さらには80質量%以上、さらには90質量%以上、さらには95質量%以上通過する粉末とする)ことも可能である。
【0017】
このような落花生の実の粉末および落花生の薄皮の粉末は、例えば、落花生の実と薄皮とを分離し、この落花生の実あるいは落花生の薄皮を摩砕機など(ブレード式摩砕機、石臼式摩砕機、剪断式粉砕機、クラッシャー、ファイバーミキサー等)によって摩砕処理または粉砕処理して粉末化することにより取得することができる。
【0018】
特に、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物では、落花生の薄皮に含まれる成分をより効率良く吸収しやすくなり、且つ香味や食感などが向上してより摂取しやすいものとなることから、使用する落花生の薄皮の粉末が目開き0.6mmの篩を通過する質量割合(質量%)が、使用する落花生の実の粉末が目開き0.6mmの篩を通過する質量割合(質量%)よりも高くなるようにする、つまり落花生の薄皮の粉末が落花生の実の粉末よりも細かい粒子が多い粉末となるように調整するとより好適である。本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、落花生の実と薄皮とを分離してそれぞれ粉末化し、これらを混合する方法などにより製造することができるため、このような粉末の粒子サイズの調整も容易である。
【0019】
そして、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物においては、落花生の実の粉末と落花生の薄皮の粉末との相乗効果(機能性および摂取のしやすさ)が十分に発揮されるようにするために、落花生の薄皮の粉末の含有量が、落花生の実の粉末100質量部に対して5質量部以上、好ましくは6質量部以上、より好ましくは7質量部以上、さらに好ましくは7.5質量部以上、さらに好ましくは9質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは11質量部以上となるようにする。
【0020】
落花生の薄皮は、前述したように、通常は落花生の実を食べる時などにおいて分離されて除去されることが多く、落花生の薄皮がその実とともに食べられる場合もあるが、その場合でも、落花生の実1粒分(約0.8g)に対して落花生の薄皮も1粒分(約0.02g)の質量比、つまり落花生の実100質量部に対して落花生の薄皮が約2.5質量部の割合で摂取されるだけである。また、落花生の薄皮は、渋皮などとも呼ばれているものであって、それ自体は香味や食感などの点において食べにくいものである。一方で、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、落花生の実と薄皮とをいずれも粉末状とし、さらに落花生の種子(薄皮で覆われた実)をそのまま摂取した場合よりも薄皮の質量比が明らかに高くなるように落花生の実の粉末と落花生の薄皮の粉末とを混合した食品組成物とすることにより、落花生の実に含まれる成分に加えて落花生の薄皮に含まれる成分をより多く摂取することができ、落花生の薄皮に多く含まれるポリフェノールなどの成分の機能と落花生の実に含まれるビタミン、アミノ酸、不飽和脂肪酸などの成分の機能との相乗効果により健康機能、生理機能が十分に発揮されるものとなっており、且つ、これらのバランス良い配合量や性状等によって、落花生の薄皮が多く含まれていても香味や食感などの点において非常に摂取しやすいものとなっている。
【0021】
また、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物においては、香味や食感のバランス等を保ち、摂取のしやすさを維持するために、落花生の薄皮の粉末の含有量が、落花生の実の粉末100質量部に対して13質量部以下、好ましくは12.5質量部以下、より好ましくは11質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは9質量部以下、さらに好ましくは8.5質量部以下となるようにする。このように、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、落花生の実の粉末と落花生の薄皮の粉末とが所定の範囲内の質量比で混合されていることにより、その機能が十分に発揮されるだけでなく、落花生の実の香味と薄皮の香味とのバランスなどが高度に保たれ、食味、食感等も非常に良好なものとなっている。
【0022】
そして、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、さらにショウガ粉末を所定量含有するのが好ましい。摂取のしやすさが保たれつつ、後述する便通改善効果やダイエット効果などとともに発汗作用を発揮させることができるからである。
【0023】
このショウガ粉末は、乾燥ショウガ(例えば水分10質量%以下の乾燥ショウガ)を摩砕機などによって摩砕処理または粉砕処理して粉末化することにより得られるものであり、その粒子サイズは、これも粉末としての性状を保つことが可能である限り限定されるものではないが、目開き0.6mmの篩を好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上通過する粉末であるのが好適である。
【0024】
そして、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物においては、落花生の実の粉末および落花生の薄皮の粉末の効果(これらの相乗効果)とともにショウガ粉末の効果が十分に発揮されるようにするために、このショウガ粉末を落花生の実の粉末100質量部に対して1質量部以上含有するのが好ましく、1.5質量部以上含有するのがより好ましく、1.8質量部以上含有するのがさらに好ましい。また、その上限は、落花生の実の粉末100質量部に対して3質量部以下とするのが好ましく、2.5質量部以下とするのがより好ましく、2.2質量部以下とするのがさらに好ましい。
【0025】
さらには、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物においては、このショウガ粉末を、上記した落花生の実の粉末に対する含有量範囲内において、落花生の薄皮の粉末1質量部に対して0.1質量部以上含有するのが好ましく、0.12質量部以上含有するのがより好ましく、0.15質量部以上含有するのがさらに好ましい。また、その上限は、落花生の薄皮の粉末1質量部に対してこのショウガ粉末を1質量部以下とするのが好ましく、0.5質量部以下とするのがより好ましく、0.3質量部以下とするのがさらに好ましい。特に、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、落花生の薄皮の粉末がショウガ粉末よりも質量割合として多く含まれる構成であると、落花生の実の粉末および落花生の薄皮の粉末の効果(相乗効果)とショウガ粉末の効果がいずれもより発揮されやすいため好適である。
【0026】
なお、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物には、前述した落花生の実の粉末、落花生の薄皮の粉末、およびショウガ粉末以外に、本発明の効果に影響を与えない範囲内において、公知の食品原料をさらに使用することができる。例えば、糖類(グルコース、フルクトース、ショ糖、マルトース、オリゴ糖など)、塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)、有機酸(クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、酒石酸など)またはその塩、食物繊維、調味料(アミノ酸、核酸など)、酸化防止剤等が使用可能な食品原料の例として挙げられる。しかしながら、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、前述した落花生の実の粉末および落花生の薄皮の粉末を合計で85質量%以上、さらには90質量%以上、さらには95質量%以上含む構成であるのが好適であり、そして、前述した落花生の実の粉末、落花生の薄皮の粉末、およびショウガ粉末からなるものであっても良く、さらには、前述した落花生の実の粉末および落花生の薄皮の粉末からなるものであっても良い。このような構成であると、本発明の効果(機能性および摂取のしやすさ)がいずれもより発揮されやすい。
【0027】
そして、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、粉末状食品組成物であるのが好ましい。そして、この粉末状食品組成物は、目開き0.6mmの篩を好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上通過するものであるのがより好適である。これにより、例えば高齢者でも他の食品との混合等によって非常に摂取しやすい食品組成物となりやすく、且つ落花生の実や薄皮に含まれる成分(アミノ酸、ポリフェノール等)の吸収などもよりしやすくなるからである。また、小袋などの容器への充填もしやすくなる。なお、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物が粉末状食品組成物である場合において、その粒子サイズが大きすぎると、スープや味噌汁などに添加混合して摂取した際に食感などの点において摂取しにくくなる可能性がある。また、上限は、この食品組成物が粉末としての性状を保つ範囲であれば限定されないが、例えば、目開き0.6mmの篩を通過する割合が85質量%未満であって良く、80質量%未満であって良く、75質量%未満であって良く、70質量%未満であって良く、65質量%未満であって良い。そして、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物がこのような粉末状食品組成物である場合において、これに含まれる落花生の薄皮の粉末が目開き0.6mmの篩を通過する質量割合(質量%)が、これに含まれる落花生の実の粉末が目開き0.6mmの篩を通過する質量割合(質量%)よりも高い構成であるとより好ましい。
【0028】
このように、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は粉末状食品組成物であるのがより好ましいが、粉末状以外の形態を完全に除外するものではない。例えば、落花生の実の粉末、落花生の薄皮の粉末、およびショウガ粉末を含む原料をブロック状や板状などに成型(加圧成型等)した成型食品組成物などであっても良い。
【0029】
このような本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、落花生の種子(実および薄皮)をそのまま摂取した場合よりも薄皮を多く摂取することができるものであり、また、この落花生の実の粉末と薄皮の粉末とのバランス良い配合による相乗効果によって、香味や食感などの点において摂取がしやすいだけでなく、便通改善効果、ダイエット効果、肌の保湿効果、目の老化予防効果などが十分に発揮されるものである。つまり、落花生の実の粉末および落花生の薄皮の粉末を有効成分とする、便通改善用、ダイエット用、肌の保湿用、および目の老化予防用からなる群から選ばれる1以上の用途の食品組成物として好適に用いることができる。特に、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、便通改善用またはダイエット用の食品組成物として非常に好適である。また、活力増進用、生殖能力向上用などの用途の食品組成物として用いることも可能であり、さらに、前述したショウガ粉末を含む場合には発汗用の食品組成物として用いることも可能である。そして、落花生の薄皮は、その食経験などから、この粉末を含む食品組成物としての安全性も問題がない。
【0030】
なお、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、上記効果をより発揮させやすくなることから、1回当たり0.1~0.15g/kg体重の落花生の実の粉末、および1回当たり0.005~0.016g/kg体重の落花生の薄皮の粉末が、ヒトに対して1日1回給与されるように用いられる食品組成物であると好適である(ヒトの体重は50~60kgを基準)。さらに、1回当たり0.002~0.003g/kg体重のショウガ粉末が、ヒトに対して1日1回給与されるように用いられる食品組成物としても良い。そして、これらは好ましくは3か月以上、より好ましくは4か月以上、さらに好ましくは5か月以上継続(毎日連続)して給与される食品組成物であるとより好適である。
そして、これも限定されるものではないが、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物の用量を1日1回当たり5~10gとすると、上記範囲内としやすいため好ましい。
【0031】
このような本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、上記したような効果を低コストで得られることも特徴である。具体的には、従来、落花生の実を毎日30粒程度(約24g)継続摂取すれば長生きできるとも言われていたが、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物では、1日当たり5~10g程度(落花生の実6~12粒分程度、および落花生の薄皮12~58粒分程度)の継続摂取で上記したような効果を得ることができ、落花生の薄皮は前述したように通常は除去されるものであるため、落花生の実を毎日30粒程度継続摂取する場合と比較してコストが1/2.5~1/5程度も低くなり得る。
【0032】
本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、落花生の実と薄皮とを分離する工程、落花生の実を粉末化する工程、落花生の薄皮を粉末化する工程、および、落花生の実の粉末100質量部に対して落花生の薄皮の粉末が5質量部以上13質量部以下となるように混合する工程(再混合する工程)を含めば、他は食品製造における常法にしたがえば良く、特段限定はされない。また、得られる落花生薄皮含有食品組成物が粉末状食品組成物となるように各工程を調整するとより好適である。なお、落花生の実と落花生の薄皮とを所定量混合してから粉末化を行っても良いが、上記工程のように、それぞれを粉末化してから混合を行うのが好ましい。
【0033】
例えば、図1に示すような工程により本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物を製造することができる。具体的には、まず落花生の実と薄皮とを分離し、それぞれを別に摩砕、粉末化する。そして、得られた各粉末を所定の質量比となるようにあらためて混合して攪拌、均質化する。ショウガ粉末を含有させる場合には、これもこの工程で混合を行う。さらに、この混合物(粉末状食品組成物)を所定量計量し、小袋やパウチなどの容器に充填して密封することにより、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物を簡便に製造することができる。
【0034】
なお、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物は、上記した小袋やパウチなどの可撓性容器だけでなく、紙容器や金属容器などに充填した容器詰品としても良い。このような可撓性容器などの容器詰品とすることにより、香味などの経時劣化を抑制しやすいだけでなく、流通や販売などにおける利便性がより高まる。特に、アルミ蒸着されたプラスチックフィルムにより形成された可撓性容器(小袋など)に充填され、密封された形態であると、香味維持などの観点からより好ましい。
【0035】
以上、本発明に係る落花生薄皮含有食品組成物の実施形態を説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の実施態様も含む。
また、上記実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、適宜に組み合わせることができる。
【0036】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでもなく、前述のように、本発明の技術的思想内において様々な変形等が可能である。
【実施例0037】
(実施例1)
下記表1に示す原料を使用して、落花生薄皮含有食品組成物を作製した。
【0038】
具体的には、まず、千葉県八街産落花生(品種:千葉P114号(Qなっつ))の莢殻から種子を取り出し、実(胚)と薄皮(種皮)とに分離した。そして、この落花生の実および薄皮をそれぞれファイバーミキサー(パナソニック社製、MX-X501N)にかけて粉末化した。なお、この粉末化においては、落花生の実は目開き0.6mmの篩を50質量%以上通過する粉末とし、落花生の薄皮は2回ファイバーミキサーにかけた後に目開き0.6mmの篩で仕上げてこの篩を全て通過する粉末とした。つまり、落花生の薄皮の粉末が目開き0.6mmの篩を通過する質量割合が、落花生の実の粉末が目開き0.6mmの篩を通過する質量割合よりも高くなるように調整した。さらに、高知県産の乾燥ショウガを粉末化したショウガ粉末(目開き0.6mmの篩を50質量%以上通過するもの)も別途準備した。
【0039】
そして、これらを下記表1に示す質量比で混合し、その混合物粉末をアルミ蒸着プラスチックフィルムの小袋に小分け充填して密封し、サンプル1~3の落花生薄皮含有食品組成物を作製した。なお、サンプル1は1回分(7g)で落花生の実が約7.6粒分、落花生の薄皮が約37.8粒分(落花生の実の粉末100質量部に対して落花生の薄皮の粉末が12.4質量部)含まれ、サンプル2は1回分(7g)で落花生の実が約7.8粒分、落花生の薄皮が約31.5粒分(落花生の実の粉末100質量部に対して落花生の薄皮の粉末が10.1質量部)含まれ、サンプル3は1回分(7g)で落花生の実が約8粒分、落花生の薄皮が約25.2粒分(落花生の実の粉末100質量部に対して落花生の薄皮の粉末が7.9質量部)含まれる。
【0040】
【表1】
【0041】
(実施例2)
実施例1で作製した3種類の落花生薄皮含有食品組成物を使用して、長期摂取による効果を確認した。
【0042】
具体的には、主として50~70代の男女76名(被験者)を3群に分け、サンプル1の落花生薄皮含有食品組成物を摂取する群をグループ1(G1)、サンプル2の落花生薄皮含有食品組成物を摂取する群をグループ2(G2)、サンプル3の落花生薄皮含有食品組成物を摂取する群をグループ3(G3)とした。そして、それぞれについて、各サンプルを味噌汁やスープなどに添加する等の方法で1人・1日・1回・7g継続して摂取してもらい、摂取開始から3か月後(3か月摂取継続後)および5か月後(5か月摂取継続後)において以下の項目をアンケートした。
【0043】
<活力増進>
1:変わらない
2:元気になった
3:とても元気になった
<便通改善>
1:変わらない
2:少し良い(少し良くなった)
3:良い(非常に良くなった)
<ダイエット効果>
1:変わらない
2:少し効果あり
3:非常に効果あり
<肌の保湿効果>
1:変わらない
2:少し良い(少し効果あり)
3:満足(大変効果あり)
<目の老化予防>
1:変わらない
2:少し良い(少し効果あり)
3:非常に良い(とても効果あり)
<生殖機能向上>
1:変わらない
2:良くなった
3:とても良くなった
<発汗作用>
1:変わらない
2:効果あり
3:とても効果あり(非常に効果あり)
【0044】
この結果を下記表2に示した。この結果から、サンプル1~3のいずれについても、長期の継続摂取により、便通改善効果、ダイエット効果、肌の保湿効果、目の老化予防効果などが発揮されることが示された。特に、3か月摂取継続後の結果と5か月摂取継続後の結果との比較から、ダイエット効果は、落花生の薄皮の含有割合がより高いサンプルを摂取したグループ1やグループ2において、長期摂取により効果を感じた被験者の割合がより高まっていた。また、便通改善効果は、どのグループでも長期摂取により効果を感じた被験者の割合がより高まっていた。
さらに、ショウガ粉末を含むことにより、発汗作用も発揮されることが示された。そして、これらのサンプルはいずれも、味噌汁やスープなどに添加しても違和感がなく且つ容易に摂取することができることも示され、つまり高齢者でも香味や食感などの点において非常に摂取しやすいものであることが明らかとなった。特に、サンプル3は香味、食感、機能の点においていずれも非常に優れたものであり、落花生の実の粉末と落花生の薄皮の粉末との配合バランスおよび性状が非常に良いものであることが明らかとなった。
【0045】
【表2】
【0046】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)落花生の実の粉末と、落花生の薄皮の粉末と、を含有し、前記落花生の薄皮の粉末の含有量が、前記落花生の実の粉末100質量部に対して5質量部以上13質量部以下である、落花生薄皮含有食品組成物。
(2)前記落花生の実の粉末が千葉P114号の実の粉末であり、且つ前記落花生の薄皮の粉末が千葉P114号の薄皮の粉末である、(1)に記載の落花生薄皮含有食品組成物。
(3)前記落花生の薄皮の粉末が目開き0.6mmの篩を通過する質量割合が、前記落花生の実の粉末が目開き0.6mmの篩を通過する質量割合よりも高い、(1)または(2)に記載の落花生薄皮含有食品組成物。
(4)さらに、ショウガ粉末を前記落花生の実の粉末100質量部に対して1質量部以上3質量部以下含有する、(1)~(3)のいずれか1つに記載の落花生薄皮含有食品組成物。
(5)前記落花生薄皮含有食品組成物が、目開き0.6mmの篩を40質量%以上通過する粉末状食品組成物である、(1)~(4)のいずれか1つに記載の落花生薄皮含有食品組成物。
(6)前記落花生の実の粉末および前記落花生の薄皮の粉末を有効成分とする、便通改善用、ダイエット用、肌の保湿用、および目の老化予防用からなる群から選ばれる1以上の用途の食品組成物である、(1)~(5)のいずれか1つに記載の落花生薄皮含有食品組成物。
図1