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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187647
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】試験システムおよびゲート試験装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/20 20060101AFI20221213BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
E02B7/20 Z
E02B7/20 105
G05B23/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095740
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】田中 和斗
(72)【発明者】
【氏名】植元 亮二
(72)【発明者】
【氏名】石津 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】深澤 勇人
(72)【発明者】
【氏名】井手 幸司郎
(72)【発明者】
【氏名】三松 洋平
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亮太
(72)【発明者】
【氏名】相澤 慶吾
(72)【発明者】
【氏名】泉 康俊
(72)【発明者】
【氏名】米山 響
【テーマコード(参考)】
2D019
3C223
【Fターム(参考)】
2D019AA43
3C223AA06
3C223BA02
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB04
3C223FF12
3C223FF23
3C223FF45
3C223FF52
(57)【要約】
【課題】 ダム管理システムの試験を簡便に実施可能とすること。
【解決手段】 実施形態に係わる試験システムは、機側伝送装置を備えるダム管理システムを試験する試験システムであって、機側伝送装置に接続可能なゲート試験装置を具備する。ゲート試験装置は、機側操作部と、カウントアップ/ダウン処理部と、状態信号出力部とを備える。機側操作部は、機側伝送装置から送信された制御信号に従ってダムゲートの開閉をシミュレートする。カウントアップ/ダウン処理部は、制御信号に応じて、ダムゲートの開度および放流量を、カウントアップまたはカウントダウンする。状態信号出力部は、カウントアップ/ダウン処理部によるカウントアップ、またはカウントダウンに伴って、ダムゲートの状態を示す状態信号を出力する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機側伝送装置を備えるダム管理システムを試験する試験システムであって、
前記機側伝送装置に接続可能なゲート試験装置を具備し、
前記ゲート試験装置は、
前記機側伝送装置から送信された制御信号に従ってダムゲートの開閉をシミュレートする機側操作部と、
前記制御信号に応じて、前記ダムゲートの開度および放流量を、カウントアップまたはカウントダウンするカウントアップ/ダウン処理部と、
前記カウントアップ/ダウン処理部によるカウントアップ、またはカウントダウンに伴って、前記ダムゲートの状態を示す状態信号を出力する状態信号出力部と
を備える、試験システム。
【請求項2】
前記ゲート試験装置は、前記ダムゲートの開度データ、および放流量データを前記機側伝送装置に出力するデータ出力部をさらに備える、
請求項1に記載の試験システム。
【請求項3】
前記データ出力部は、前記機側伝送装置の仕様に基づいて、前記開度データ、および放流量データをアナログまたはデジタルで出力する、
請求項2に記載の試験システム。
【請求項4】
前記ゲート試験装置は、前記ダムゲートの開度データの値、および放流量データの値の少なくともいずれかの設定を受け付ける設定受付部をさらに備える、
請求項2に記載の試験システム。
【請求項5】
前記設定受付部は、前記開度データの異常値、および前記放流量データの異常値の少なくともいずれかの設定を受け付ける、
請求項4に記載の試験システム。
【請求項6】
さらに、前記ゲート試験装置と通信可能な端末装置を具備し、
前記端末装置は、
タッチパネルと、
前記開度データの値、および前記放流量データの値の少なくともいずれかの設定入力操作を受け付けるGUI(Graphical User Interface)画面を前記タッチパネルに表示する表示制御部と
を備える、請求項4に記載の試験システム。
【請求項7】
前記機側伝送装置からの前記制御信号の電圧を管理者の操作に応じて切り替える電圧切替部を
さらに具備する、請求項1に記載の試験システム。
【請求項8】
前記ダムゲートは、互いに異なる第1ゲートおよび第2ゲートを含み、
前記機側操作部は、前記制御信号に従って前記第1ゲートおよび前記第2ゲートの開閉を個別にシミュレートし、
前記カウントアップ/ダウン処理部は、前記制御信号に応じて、前記第1ゲートおよび前記第2ゲートの開度および放流量を個別にカウントアップまたはカウントダウンし、
前記状態信号出力部は、前記第1ゲートおよび前記第2ゲートの個別の状態を示す状態信号を出力する、
請求項1に記載の試験システム。
【請求項9】
機側伝送装置を備えるダム管理システムの前記機側伝送装置に接続可能なコネクタ部と、
前記機側伝送装置から送信された制御信号に従ってダムゲートの開閉をシミュレートする機側操作部と、
前記制御信号に応じて、前記ダムゲートの開度および放流量を、カウントアップまたはカウントダウンするカウントアップ/ダウン処理部と、
前記カウントアップ/ダウン処理部によるカウントアップ、またはカウントダウンに伴って、前記ダムゲートの状態を示す状態信号を出力する状態信号出力部と
を備える、
ゲート試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、試験システムおよびゲート試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
河川等に設けられるダムでは、流入量に応じて放流量が適切となるように、ダムゲート(ゲート)を遠隔で開閉制御する機能を備えたダム管理システム(ダム管理用制御処理設備、ダムコン)が設けられている。ダムには、ゲートを電気的に駆動するための配線をまとめたゲート盤が設置されており、ダム管理システムの機側伝送装置からゲート盤を介して制御信号を与えることで、ゲートは開閉される。
【0003】
このようなダム管理システムの製造にあたり、出荷前の工場内試験では、ダムのゲートを模擬したゲート盤を用いて、製造したダム管理システムを接続して動作試験を行うのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-180494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゲート試験装置は、工場内に配置スペースを確保しなければならないので、筐体のサイズが大きいと場所をとる。また、試験対象の機側伝送装置の数に応じたゲート試験装置が必要なので、機側伝送装置が多数ある場合には広いスペースを確保しなくてはならない。また、試験は複数人での作業になるので、互いの意思疎通や指示の伝達が困難なこともしばしば起こる。広い空間で作業員同士の距離が離れていればなおさらである。
【0006】
加えて、試験に時間がかかることも課題である。例えば、1つのゲートの挙動を確認するのに、2人作業で10時間ほどかかっていた。ゲートの数が多くなればなるほど、試験時間はさらに長くなる。さらには、ゲート試験装置は、ダムサイトごとのハードウェアをワンオフで開発しなくてはならなかったので、コストがかかることも課題である。
そこで、目的は、ダム管理システムの試験を簡便に実施可能とする試験システムおよびゲート試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係わる試験システムは、機側伝送装置を備えるダム管理システムを試験する試験システムであって、機側伝送装置に接続可能なゲート試験装置を具備する。ゲート試験装置は、機側操作部と、カウントアップ/ダウン処理部と、状態信号出力部とを備える。機側操作部は、機側伝送装置から送信された制御信号に従ってダムゲートの開閉をシミュレートする。カウントアップ/ダウン処理部は、制御信号に応じて、ダムゲートの開度および放流量を、カウントアップまたはカウントダウンする。状態信号出力部は、カウントアップ/ダウン処理部によるカウントアップ、またはカウントダウンに伴って、ダムゲートの状態を示す状態信号を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ダム管理システムの一例を示すブロック図。
図2】実施形態に係わる試験システム100の一例を示すブロック図。
図3】実施形態に係わるゲート試験装置50を適用した試験環境の一例を示すブロック図。
図4図3に示されるタッチパネル80の一例を示す外観図。
図5】実施形態に係わるゲート試験装置50の一例を示す機能ブロック図。
図6】制御電圧切替回路57の一例を示す回路図。
図7】ゲート試験装置50の制御ブロック501に実装される機能の詳細を示す図。
図8】ゲート試験装置50への制御信号の入力に係わる詳細を示す図。
図9】ゲート試験装置50を用いて実施される試験について説明するための図。
図10】ゲート試験装置50の処理手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施形態に係わるダム管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
このダム管理システム200は、情報入力・提供装置1、および表示制御装置2、放流操作装置10、入出力装置20、遠方手動操作装置3を備え、各装置が情報系LAN(Local Area Network)と制御系LANを介して接続されている。情報入力・提供装置1、および表示制御装置2は情報系LANに接続される。また、この放流操作装置10は、情報系LANと、制御系LANとに接続される。は、入出力装置20、および、遠方手動操作装置3は制御系LANに接続され、ダムの各種設備を遠隔から制御可能となっている。
【0010】
情報入力・提供装置1は、ダム管理システム200に各種の情報を入力したり、各種の情報を提供するために用いられる。表示制御装置2は、各種の情報を液晶パネルディスプレイ(表示装置)などに表示するための制御を行う。情報入力・提供装置1は、例えば工場用コンピュータ(Factory Automation PC:FA-PC)として実現される。放流操作装置10は、例えばFAパソコンを備えて構成される。
【0011】
放流操作装置10は、管理者の操作に応じて、起動指令、ゲートの開放指令、閉鎖指令、あるいは目標開度などを、制御系LANを介して入出力装置20に与える。遠方手動操作装置3は、ダムの各種設備を遠隔から制御するための装置である。
【0012】
ところで、入出力装置20は、光ケーブル接続盤60に接続される。光ケーブル接続盤60は、機側伝送装置31、32に接続される。入出力装置20、遠方手動操作装置3は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)を備えて構成される。
光ケーブル接続盤60は、LANインタフェースを光インタフェースに変換する盤であり、入出力装置20と機側伝送装置31,32との間を接続するケーブル類(メタルケーブル、光ファイバなど)を収容する。
機側伝送装置31,32は、例えばPLCを備えて構成される。
【0013】
ダム管理システム200の動作について説明する。
入出力装置20は、放流操作装置10と機側伝送装置31,32との間での情報の入出力を仲介する。入出力装置20は、例えば、放流操作装置10からの起動指令と目標開度とを機側伝送装置31,32に送信する。また入出力装置20は、目標開度アンサーバック、あるいは目標開度到達信号を機側伝送装置31,32から受信し、放流操作装置10に送信する。
管理者は、放流操作装置10を操作してダムゲートを開閉する。すなわち、放流操作装置10から制御信号(開制御、閉制御)がゲート盤に伝達され、各ゲート盤が制御信号に応じて正しく動作することにより、ダムゲートは開閉される。
【0014】
また、管理者は、放流操作装置10によりダムゲートを監視する。すなわち、監視対象の信号(ゲート開度信号、ゲート放流量信号、ゲート状態信号)が、ゲート盤から放流操作装置10に伝達され、当該信号に応じた表示を放流操作装置10が正確に実行することで、ダムゲートの監視が可能になる。さらに、異常信号が、ゲート盤から放流操作装置10に伝達された場合にも、この異常信号に応じた表示を放流操作装置10が正確に実行することで、ダムゲートの監視が可能になる。
【0015】
このような動作が正しく行われることを、実地運用の開始前に十分に試験する必要がある。ダム管理システムの製造段階では、設置される予定の現地のダムのゲートに設けられているゲート盤に、ダム管理システムを実際に接続することが出来ない。このため、工場試験の際にはゲート盤を模擬する機能などを備えたゲート試験装置が用いられる。工場試験では、主に、次の試験が実施される。
<ゲート制御試験>
ゲート制御試験は、放流操作装置10からゲート試験装置に制御信号を入力し、ゲート試験装置が制御信号に応じた動作をすることを確認する試験である。
<入力処理試験>
入力処理試験は、ゲート試験装置から放流操作装置10に監視対象の信号を入力し、放流操作装置10が当該信号に応じた表示を正しくすることを確認する試験である。
<警報判定試験>
警報判定試験は、ゲート試験装置から放流操作装置10に異常信号を入力し、放流操作装置10が異常信号に応じた表示および警報を正しくすることを確認する試験である。
【0016】
図2は、実施形態に係わる試験システム100の一例を示すブロック図である。
図2において、試験システム100は、ダム管理システム200を試験するゲート試験装置50を備える。ゲート試験装置50は、ケーブルC1~C4を介して、ダム管理システム200の機側伝送装置31,32に接続される。
【0017】
ケーブルC1は、機側伝送装置31,32からの制御信号をゲート試験装置50に伝送する。ケーブルC2は、ゲート試験装置50からの開度データを機側伝送装置31,32に伝送する。ケーブルC3は、ゲート試験装置50からの放流量データを機側伝送装置31,32に伝送する。ケーブルC4は、ゲート試験装置50からの状態信号、および異常信号を機側伝送装置31,32に伝送する。
【0018】
状態信号は、ゲートの開閉制御における状態情報を含む。状態情報とは、ゲートの開放又は閉鎖に関する状態を表す情報であり、例えば全開、開中、閉中、および全閉等の情報である。全開は、ゲートの開放時の開度が目標開度に達して、ゲートが開放されたことを表す。開中は、ゲートが開放中であることを表す。閉中は、ゲートが閉鎖中であることを表す。全閉は、ゲートの閉鎖時の開度が目標開度に達して、ゲートが閉鎖されたことを表す。
【0019】
ゲート試験装置50は、機側操作部51、カウント処理部52、状態信号出力部53、データ出力部54、および設定受付部55を備える。
【0020】
機側操作部51は、ダム管理システム200の機側伝送装置31,32から送信された制御信号に従ってダムゲートの開閉をシミュレートする。例えば、「開放」の起動指令が与えられると、機側操作部51は、ゲートの開放制御をシミュレートする。また、「閉鎖」の起動指令が与えられると、機側操作部51は、ゲートの閉鎖制御をシミュレートする。ここで、ダムゲートの開閉をシミュレートするとは、実際にゲートの開放又は閉鎖の制御を行わずに、ゲートの開放又は閉鎖の制御が行われた際に発生する情報(開度、放流量など)を模擬的に生成することである。
【0021】
また、ゲート試験装置50は、例えば異常状況をシミュレートすることができる。異常状況をシミュレートするとは、実際に異常状況が発生していなくても、異常状況が発生していると認識させる状況を作ることを意味する。
【0022】
カウントアップ/ダウン処理部としてのカウント処理部52は、上記制御信号に応じて、ダムゲートの開度および放流量を、カウントアップまたはカウントダウンする。
【0023】
状態信号出力部53は、カウント処理部52によるカウントアップ、またはカウントダウンに伴って、ダムゲートの状態を示す状態信号を出力する。
【0024】
データ出力部54は、ダムゲートの開度データ、および放流量データを、ダム管理システム200の機側伝送装置31,32に出力する。開度データ、および放流量データは、機側伝送装置31,32の仕様に基づいて、アナログまたはデジタルで出力される。
【0025】
設定受付部55は、ダムゲートの開度データの値、および放流量データの値の、少なくともいずれかの値を設定するための操作を受け付ける。これらの値は、例えば管理者により、タッチパネルなどの操作端末を用いて設定される。設定受付部55により、開度データ、放流量データを、カウント処理部52によるカウント値とは別に任意の値に設定することができる。
【0026】
図3は、実施形態に係わるゲート試験装置50を適用した試験環境の一例を示すブロック図である。
図3において、試験設備は、ダム管理システム200に接続されるゲート試験装置50と、このゲート試験装置50と無線信号を送受信可能なタッチパネル80とを備えて構成される。すなわち、タッチパネル80は無線LAN(Local Area Network)91に接続され、ゲート試験装置50の無線LAN92と無線で通信することが可能である。ここで、無線LAN92は、ゲート試験装置50の制御ブロック501に接続される。さらに、ゲート試験装置50は、ダム管理システム200の機側伝送装置31,32に接続可能なコネクタ部502を備える。
【0027】
図4は、タッチパネル80の一例を示す外観図である。タッチパネル80は、CPU(Central Processing Unit)とメモリを備えるコンピュータ端末の一部である。実施形態において、タッチパネル80は、CPUの処理機能である表示制御部により、図4のGUI(Graphical User Interface)画面を表示する。このGUI画面は、ダムゲートの開度データの値を設定入力するためのエリアと、放流量データの値を設定入力するためのエリアとを備える。
【0028】
図5は、ゲート試験装置50の一例を示す機能ブロック図である。
【0029】
ゲート試験装置50は、プロセッサユニットを含む制御ブロック501と、コネクタ部502とを含む。このうちコネクタ部502は、機側伝送装置31,32からの制御信号の電圧を、試験対象の装置に対応させて、管理者の操作に応じて切り替える制御電圧切替回路57を備える。
【0030】
制御ブロック501に、図2に示される機側操作部51、カウント処理部52、状態信号出力部53、データ出力部54、および設定受付部55が実装される。図5において、例えばデータ出力部54は、開度出力部(ゲート1)、開度出力部(ゲート2)、放流量出力部(ゲート1)、放流量出力部(ゲート2)を備え、複数のダムゲートに対応できるようになっている。
【0031】
さらに、制御ブロック501は、異常信号出力部(ゲート1)581、異常信号出力部(ゲート2)582、および制御信号入力部59を備える。異常信号出力部581,582は、それぞれのゲートについて、タッチパネル80で設定された開度の異常値、および放流量の異常値を異常信号として出力する。制御信号入力部59は、機側伝送装置31,32から出力された制御信号の入力を受け付ける。制御信号は、制御電圧切替回路57を介して制御信号入力部59に入力される。
【0032】
図6は、制御電圧切替回路57の一例を示す回路図である。
【0033】
制御電圧切替回路57は、複数のリレー回路と、互いに連動して動作する複数のロータリースイッチとを備える。制御電圧切替回路57のロータリースイッチを切り替えることにより、「無電圧」「有電圧DC24V」「有電圧DC48V」「有電圧DC100V」を選択出力することができる。すなわち、機側伝送装置31,32の仕様に合わせて、放流操作装置10からゲート試験装置50に入力される制御信号の印加電圧を、「無電圧」、「有電圧DC24V」、「有電圧DC48V」、または「有電圧DC100V」のいずれかから選択することができる。
【0034】
図7は、ゲート試験装置50の制御ブロック501に実装される機能の詳細を示す図である。制御信号入力部59(図5)は、制御信号入力部(ゲート1)591、制御信号入力部(ゲート2)592を含む。制御信号入力部(ゲート1)591、制御信号入力部(ゲート2)592は、放流操作装置10から入力された制御信号をタッチパネル80に表示させる。制御信号入力部591,592のいずれも、遠隔でゲートを制御するための遠方開/遠方閉/停止の各制御信号を入力することができる。
【0035】
機側操作部51(図5)は、機側操作部(ゲート1)511、機側操作部(ゲート2)512を含む。機側操作部(ゲート1)511、機側操作部(ゲート2)512は、それぞれゲート試験装置50側でゲート1、ゲート2を制御する機能である。
【0036】
カウント処理部52(図5)は、カウント処理部(ゲート1)521、カウント処理部(ゲート2)522を含む。カウント処理部(ゲート1)521、カウント処理部(ゲート2)522は、放流操作装置10から入力される制御信号に応じて、ゲートの開度および放流量を自動でカウントアップ/ダウンする機能である。開度/放流量の上限値/下限値の設定や、開度の変化スピードの切替に応じて、カウントアップ/ダウンの設定値も変化する。
【0037】
設定受付部55(図2)は、図7において開度データ値/異常値設定部(ゲート1)、開度データ値/異常値設定部(ゲート2)、放流量データ値/異常値設定部(ゲート1)、放流量データ値/異常値設定部(ゲート2)に対応する。
【0038】
開度データ値/異常値設定部(ゲート1)、開度データ値/異常値設定部(ゲート2)は、タッチパネル80から任意の開度データを設定し、正常値または異常値を選択するための機能である。
【0039】
放流量データ値/異常値設定部(ゲート1)、放流量データ値/異常値設定部(ゲート2)は、タッチパネル80から任意の放流量データを設定し、正常値または異常値を選択するための機能である。
【0040】
状態信号出力部53(図5)は、状態信号出力部(ゲート1)531、状態信号出力部(ゲート2)532を含む。状態信号出力部(ゲート1)531、状態信号出力部(ゲート2)532は、カウント処理部(ゲート1)521、カウント処理部(ゲート2)522による開度のカウントアップ/ダウンに伴い、状態信号((全開/全閉/開中/閉中))を出力する機能である。例えば、カウントアップにより開度が上昇している場合は、「開中」が出力される。カウントアップにより開度が上限値に達すると、「全開」が出力される。さらに、タッチパネル80で設定した状態信号(遠方/機側)を出力することも可能である。
【0041】
データ出力部54(図2)は、開度出力部、放流量出力部を含む。開度出力部は、ゲート1,2のそれぞれの開度を、アナログまたはデジタルで出力する。放流量出力部は、ゲート1,2のそれぞれの放流量を、アナログまたはデジタルで出力する。いずれの出力値も、開度データ値/異常値設定部(ゲート1)、開度データ値/異常値設定部(ゲート2)、放流量データ値/異常値設定部(ゲート1)、放流量データ値/異常値設定部(ゲート2)で設定することができる。
【0042】
開度データ、および放流量データは機側伝送装置31,32の仕様に対応して、デジタル、または、アナログのいずれかでゲート試験装置50から機側伝送装置31,32に入力する必要がある。実施形態によれば、デジタルデータ、アナログデータのいずれにも対応することができる。
【0043】
さらに、異常信号出力部(ゲート1)581は、ゲート1に関する異常信号を出力する。異常信号出力部(ゲート2)582は、ゲート2に関する異常信号を出力する。
【0044】
図8は、ゲート試験装置50への制御信号の入力に係わる詳細を示す図である。
図8に示されるように、ゲート試験装置50のコネクタ部502に、「ゲート1開」「ゲート1閉」「ゲート2開」「ゲート2閉」の信号を割り付ける。
【0045】
すなわち、機側伝送装置31からゲート試験装置50に入力される制御信号(開制御)を「ゲート1開」に入力されるように接続し、制御信号(閉制御)を「ゲート1閉」に入力されるように接続する。また機側伝送装置32からゲート試験装置50に入力される制御信号(開制御)を「ゲート2開」」に入力されるように接続し、制御信号(閉制御)を「ゲート2閉」に入力されるように接続する。このような接続形態により、ゲート1とゲート2を1つのゲート試験装置50で対応することができる。
【0046】
図9は、実施形態に係わるゲート試験装置50を用いた試験について説明するための図である。
図9において、試験者Aは、放流操作装置10の動作、およびゲート試験装置50の動作を、いずれもタッチパネル80を用いて確認することができる。すなわち、ゲート制御試験において、試験者Aは、放流操作装置10を操作して制御信号を出力するとともに、ゲート試験装置50が制御信号に応じた動作をしているかをタッチパネル80で確認する。
【0047】
入力処理試験において、試験者Aはタッチパネル80を操作して、ゲート試験装置50から監視信号を出力する。試験者Aは、放流操作装置10が監視信号に応じた表示をしているかを確認する。警報判定試験において、試験者Aはタッチパネル80を操作して、ゲート試験装置50から異常信号を出力させる。試験者Aは、放流操作装置10が異常信号に応じた正しい表示を行い、警報を出力しているかを確認する。
【0048】
図10は、ゲート試験装置50によるゲート試験時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0049】
図10において、ステップS1において、ゲート試験装置50は、制御モードが「遠方」モード、または「機側」モードのいずれであるかを判定する。ここで、「遠方」モードは、放流操作装置10からゲート制御を行うモードである。「機側」モードは、ゲート試験装置50からゲート制御を行うモードである。
【0050】
「機側」モードであれば、ステップS2において、ゲート試験装置50は、状態信号出力部53により「機側」設定信号を機側伝送装置31,32に出力する。これにより、機側操作部51による開制御/閉制御が選択された状態になる。
【0051】
「遠方」モードであれば、ステップS3において、ゲート試験装置50は、状態信号出力部53により「遠方」設定信号を機側伝送装置31,32に出力するこの結果、放流操作装置10からの制御信号(開制御/閉制御)を待ち受ける状態になる。制御信号入力部59により入力された制御信号は、タッチパネル80に表示される。
【0052】
次に、ステップS4において、ゲート試験装置50は、放流操作装置10からの制御信号(開制御/閉制御)、または、機側操作部51による開制御/閉制御に伴って、カウント処理部52による開度データ、放流量データのカウントアップ/ダウンを開始する。
【0053】
ステップS5において、カウント処理部52は、タッチパネル80で設定された上限値/下限値に到達するか、または、制御信号(開制御/閉制御)の出力が停止するまでカウントアップ/ダウンを繰り返す。
【0054】
ここで、カウント値が上限値または下限値に達すれば(ステップS5でYesの場合)、ステップS10において、ゲート試験装置50はゲート全開、または全閉を示す状態信号を出力し、ゲート試験を終了する。
【0055】
ステップS5においてカウント値が上限値/下限値のいずれでもない場合(Noの場合)、ステップS6において、ゲート試験装置50は、現在のカウント値が、タッチパネル80で設定された異常値であるか否かを判定する。
【0056】
次に、ステップS6において、現在のカウント値が、異常値であれば(Yesの場合)、ステップS11において、ゲート試験装置50は異常信号を出力して、ゲート試験を終了する。
【0057】
ステップS6で、カウント値が異常値でなければ(Noの場合)、ステップS7において、ゲート試験装置50は、ゲートが開中、または閉中であることを示す状態信号を出力する。
【0058】
また、ステップS8において、ゲート試験装置50は、カウントアップ/ダウンされた開度データを出力する。
【0059】
次に、ステップS9において、放流量データをアナログ、またはデジタルで出力する。その後、ステップS4に戻ってカウントアップ/ダウンを継続する。 以上説明したように実施形態によれば、ゲート試験装置50の操作と動作の確認がタッチパネル80上で行えるようになる。しかも、ゲート試験装置50とタッチパネル80が無線LANで通信可能に接続されているので、タッチパネル80を、無線LANの範囲内でどこにでも配置することができる。
【0060】
既存のシステムでは、ゲートごとに専用のゲート試験装置を開発して試験を行っていたので、サイズが大きく、コンパクト化が必要であった。つまり機側伝送装置の個数(n個)と同じ個数(n個)のゲート試験装置を準備する必要があり、n個分の装置を配置できるスペースを確保する必要があった。
【0061】
また、既存のシステムでは、複数人による作業が必要であったことから、ゲート制御試験、入力処理試験、警報判定処理試験のいずれにおいても、試験者同士の意思疎通や指示が困難な場合が生じていた。
【0062】
これに対し実施形態によれば、複数のゲートに対する試験を1つのゲート試験装置50で実施できるので、コンパクト化が行える。さらに、実施形態のゲート試験装置50は、既存の複数のゲート試験装置の機能を実装しているので、機側伝送装置の個数(n個)に対して半分の個数(n/2)で済むことから、さらなる省スペース化が行える。しかも、全ての試験工程を一人の試験者が実施することができ、省力化にも貢献することができる。
【0063】
これらのことから、実施形態によれば、ダム管理システムの試験を簡便に実施可能とする試験システムおよびゲート試験装置を提供することが可能となる。
【0064】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では、複数の機側伝送装置31,32を備えるダム管理システム200を想定したが、機側伝送装置の数は2に限られるものではない。また、機側伝送装置31,32からゲート試験装置50に入力される制御信号の電圧レベルは、「無電圧」「有電圧DC24V」「有電圧DC48V」「有電圧DC100V」に限られるものではない。
【0065】
実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1…情報入力・提供装置、2…表示制御装置、3…遠方手動操作装置、10…放流操作装置、20…入出力装置、31…機側伝送装置、32…機側伝送装置、50…ゲート試験装置、51…機側操作部、52…カウント処理部、53…状態信号出力部、54…データ出力部、55…設定受付部、57…制御電圧切替回路、59…制御信号入力部、60…光ケーブル接続盤、80…タッチパネル、100…試験システム、200…ダム管理システム、501…制御ブロック、502…コネクタ部、511…機側操作部、512…機側操作部、521…カウント処理部、522…カウント処理部、531…状態信号出力部、532…状態信号出力部、581…異常信号出力部、582…異常信号出力部、591…制御信号入力部、592…制御信号入力部、C1~C4…ケーブル、92…無線LAN。
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