(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187648
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】メモリセルアレイユニット
(51)【国際特許分類】
G11C 13/00 20060101AFI20221213BHJP
G11C 7/18 20060101ALI20221213BHJP
G11C 8/14 20060101ALI20221213BHJP
H01L 21/8239 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G11C13/00 312
G11C7/18
G11C8/14
G11C13/00 314
H01L27/105 448
H01L27/105 449
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095744
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】森 陽太郎
(72)【発明者】
【氏名】寺田 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】柴原 禎之
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FZ10
5F083GA06
5F083GA10
(57)【要約】
【課題】充放電流やリーク電流を低く抑え、かつ、レイテンシを短くすることの可能なメモリセルアレイユニットを提供する。
【解決手段】本開示の一側面に係るメモリセルアレイユニットは、行列状に配置された複数のメモリ部を備える。各メモリ部は、グローバルビット線およびグローバルワード線、メモリセルアレイ、第1接続部および第2接続部を有する。第1接続部は、グローバルワード線に接続されるワード線を選択する。第2接続部は、隣接する複数のメモリ部から得られるアドレス情報に基づいて、グローバルビット線に接続されるビット線を選択する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配置された複数のメモリ部と、
前記複数のメモリ部に対するデータの読み書きを制御する制御部と
を備え、
各前記メモリ部は、
グローバルビット線およびグローバルワード線と、
複数のワード線、複数のビット線ならびに前記ワード線および前記ビット線の交点に1つずつ設けられた複数のメモリセルを含むメモリセルアレイと、
前記グローバルワード線に接続される前記ワード線を選択する第1接続部と、
前記グローバルビット線に接続される前記ビット線を選択する第2接続部と、
前記制御部から得られるアドレス情報が格納される格納部と
を有し、
前記第2接続部は、隣接する複数の前記メモリ部から得られる前記アドレス情報に基づいて、前記ビット線を選択する
メモリセルアレイユニット。
【請求項2】
前記格納部には、前記制御部から得られるセット・リセットの選択情報が格納され、
前記第1接続部は、前記格納部から得られる前記セット・リセットの選択情報に基づいて、前記ワード線を選択する
請求項1に記載のメモリセルアレイユニット。
【請求項3】
前記第1接続部は、前記格納部から得られる前記セット・リセットの選択情報と、前記メモリセルから得られた読み出しデータとに基づいて、選択した前記ワード線のバイアス条件を設定する
請求項1に記載のメモリセルアレイユニット。
【請求項4】
前記第2接続部は、隣接する複数の前記メモリ部から得られる、選択した前記ワード線のバイアス条件に基づいて、選択した前記ビット線のバイアス条件を設定する
請求項3に記載のメモリセルアレイユニット。
【請求項5】
各前記メモリ部において、
前記複数のワード線は、当該メモリ部内に配置された複数の第1ワード線と、当該メモリ部内と当該メモリ部に隣接する前記メモリ部内とにまたがって配置された複数の第2ワード線とにより構成され、
前記複数のビット線は、当該メモリ部内に配置された複数の第1ビット線と、当該メモリ部内と当該メモリ部に隣接する前記メモリ部内とにまたがって配置された複数の第2ビット線とにより構成され、
前記第1接続部は、前記グローバルワード線に接続される前記第1ワード線を選択する第3接続部と、前記グローバルワード線に接続される前記第2ワード線を選択する第4接続部とを有し、
前記第2接続部は、前記グローバルビット線に接続される前記第1ビット線を選択する第5接続部と、前記グローバルビット線に接続される前記第2ビット線を選択する第6接続部とを有する
請求項1に記載のメモリセルアレイユニット。
【請求項6】
前記第1接続部は、前記格納部から得られる前記セット・リセットの選択情報と、前記メモリセルから得られた読み出しデータとに基づいて、選択した前記ワード線のバイアス条件を設定し、
前記第2接続部は、隣接する複数の前記メモリ部から得られる、選択した前記ワード線のバイアス条件に基づいて、選択した前記ビット線のバイアス条件を設定する
請求項5に記載のメモリセルアレイユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メモリセルアレイユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不揮発性を備える書き換え可能な複数のメモリセルを備えたメモリセルアレイユニットが知られている。このメモリセルアレイユニットには、複数のメモリセルアレイが設けられており、各メモリセルアレイは、複数のワード線および複数のビット線の交点ごとにメモリセルが設けられたクロスポイント型となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のメモリセルアレイユニットでは、同時にアクセスされる全てのメモリセルアレイに対して、同一のバイアス条件で電圧が印可される。これは、同時にアクセスされる全てのメモリセルアレイには、同一のグローバルビット線が接続されるためである。この場合、バイアス条件を切り替えたり、選択アドレスを切り替えたりするときの充放電流やリーク電流が大きくなる。また、同時にアクセスされる複数のメモリセルアレイにおいて、バイアス条件が互いに異なるセット動作およびリセット動作を選択的に同時に行うことができない。そのため、セット動作およびリセット動作を順番に行う必要があり、レイテンシが長くなる。従って、充放電流やリーク電流を低く抑え、かつ、レイテンシを短くすることの可能なメモリセルアレイユニットを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係るメモリセルアレイユニットは、行列状に配置された複数のメモリ部と、複数のメモリ部に対するデータの読み書きを制御する制御部とを備える。各メモリ部は、グローバルビット線およびグローバルワード線と、メモリセルアレイと、第1接続部と、第2接続部と、格納部とを有する。メモリセルアレイは、複数のワード線、複数のビット線ならびにワード線およびビット線の交点に1つずつ設けられた複数のメモリセルを含む。第1接続部は、グローバルワード線に接続されるワード線を選択する。第2接続部は、グローバルビット線に接続されるビット線を選択する。格納部には、制御部から得られるアドレス情報が格納される。第2接続部は、隣接する複数のメモリ部から得られるアドレス情報に基づいて、ビット線を選択する。
【0006】
本開示の一側面に係るメモリセルアレイユニットでは、各メモリ部において、隣接する複数のメモリ部から得られるアドレス情報に基づいて、グローバルビット線に接続されるビット線が選択される。これにより、電源に接続されるグローバルビット線を制限することが可能となるので、例えば、選択切り替え時の充放電電流や電源のリーク電流を削減することが可能となる。また、セット対象のメモリ部と、リセット対象のメモリ部とで異なるバイアス条件を選択することが可能となるので、例えば、セット動作とリセット動作を同時に実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施の形態に係る情報処理システムの概略構成の一例を表す図である。
【
図2】
図1のメモリセルアレイユニットの概略構成の一例を表す図である。
【
図3】
図2の各ダイの概略構成の一例を表す図である。
【
図4】
図3の各バンクの概略構成の一例を表す図である。
【
図5】各バンクに設けられたメモリセルアレイの概略構成の一例を表す図である。
【
図6】各タイルにおける回路構成の一例を表す図である。
【
図8】(A)各タイルにおけるワード線ソケットの一例を表す図である。(B)各タイルにおけるビット線ソケットの一例を表す図である。
【
図9】4つのタイルに着目したときの右下タイルのビット線デコーダを用いた消去動作の一例を表す図である。
【
図10】4つのタイルに着目したときの右下タイルのビット線デコーダを用いた消去動作の一例を表す図である。
【
図11】4つのタイルに着目したときの右下タイルのビット線デコーダを用いた消去動作の一例を表す図である。
【
図12】4つのタイルに着目したときの右下タイルのビット線デコーダを用いた消去動作の一例を表す図である。
【
図13】4つのタイルに着目したときの右下タイルのビット線デコーダと一緒に用いられるワード線デコーダの一例を表す図である。
【
図14】各タイルにおけるデコーダの接続関係の一例を表す図である。
【
図15】4つのタイルに着目したときの書き込み(セット,リセット)動作の一例を表す図である。
【
図16】4つのタイルに着目したときの書き込み(セット,リセット)動作の一例を表す図である。
【
図17】各タイルにおけるデコーダの接続関係の一変形例を表す図である。
【
図18】書き込み(セット,リセット)動作の従来例と実施例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本技術は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0009】
[構成]
図1は、一実施の形態に係る情報処理システムの機能ブロックの一例を表す。この情報処理システムは、ホストコンピュータ100およびメモリ部200を備える。メモリ部200は、メモリコントローラ300、1または複数のメモリセルアレイユニット400および電源部500を備える。
図1には、1つのメモリセルアレイユニット400が設けられている様子が例示される。メモリセルアレイユニット400は、本開示の「メモリセルアレイユニット」の一具体例に相当する。
【0010】
(ホストコンピュータ100)
ホストコンピュータ100は、メモリ部200を制御する。具体的には、ホストコンピュータ100は、アクセス先の論理アドレスを指定するコマンドを発行して、そのコマンドやデータをメモリ部200に供給する。ホストコンピュータ100は、メモリ部200から出力されたデータを受け取る。ここで、コマンドは、メモリ部200を制御するためのものであり、例えば、データの書き込み処理を指示する書き込みコマンド、または、データの読み出し処理を指示する読み出しコマンドを含む。また、論理アドレスは、ホストコンピュータ100が定義するアドレス空間において、ホストコンピュータ100がメモリ部200にアクセスする際のアクセス単位の領域ごとに割り振られたアドレスである。
【0011】
(メモリコントローラ300)
メモリコントローラ300は、1または複数のメモリセルアレイユニット400を制御する。メモリコントローラ300は、ホストコンピュータ100から、論理アドレスを指定する書き込みコマンドを受け取る。また、メモリコントローラ300は、書き込みコマンドに従って、データの書き込み処理を実行する。この書き込み処理においては、論理アドレスが物理アドレスに変換され、その物理アドレスにデータが書き込まれる。ここで、物理アドレスは、メモリコントローラ300が1または複数のメモリセルアレイユニット400にアクセスする際のアクセス単位ごとに1または複数のメモリセルアレイユニット400において割り振られたアドレスである。メモリコントローラ300は、論理アドレスを指定する読み出しコマンドを受け取ると、その論理アドレスを物理アドレスに変換し、その物理アドレスからデータを読み出す。そして、メモリコントローラ300は、読み出したデータをリードデータとしてホストコンピュータ100に出力する。
【0012】
(電源部500)
電源部500は、1または複数のメモリセルアレイユニット400に対して所望の電圧を供給する。電源部500は、例えば、後述のWLデコーダ413に対して、書き込み時(セット時、リセット時)または読み出し時(センス時)に用いる電圧などを供給する。電源部500は、例えば、後述のBLデコーダ414に対して、書き込み時(セット時、リセット時)または読み出し時(センス時)に用いる電圧などを供給する。
【0013】
(メモリセルアレイユニット400)
次に、メモリセルアレイユニット400について説明する。
図2は、メモリセルアレイユニット400の機能ブロックの一例を表す。メモリセルアレイユニット400は、例えば、半導体チップで構成される。メモリセルアレイユニット400は、例えば、
図2に示したように、m個のダイ400-j(1≦j≦m)を有する。各ダイ400-jは、例えば、
図3に示したように、z個のバンク410-k(1≦k≦z)と、各バンク410-kに対するアクセス制御を行うPeriphery回路420と、メモリコントローラ300との通信を行うInterface回路430とを有する。
【0014】
各バンク410-kは、例えば、
図4に示したように、1ビットのアクセス単位をそれぞれ有するn個のタイル411と、n個のタイル411を制御するマイクロコントローラ412とを有する。各バンク410-kは、マイクロコントローラ412の制御の下、n個のタイル411を協調動作させ、全体でnビットのデータブロックのアクセスを実現する。
【0015】
各タイル411は、例えば、
図5に示すように、2層のメモリセルアレイMCA1,MCA2からなるメモリセルアレイMCAを有する。メモリセルアレイMCA1,MCA2は、それぞれ、例えば、
図5に示すように、上部ワード線UWLとビット線BLとの各交点と、下部ワード線LWLとビット線BLとの各交点とに、1ビットのメモリセルMCを有する。メモリセルMCは、書込み可能な不揮発性のメモリである。メモリセルMCは、抵抗値の高低の状態により1ビットの情報を記録する抵抗変化素子VR(Variable Resistor)と、双方向ダイオード特性を有する選択素子SE(Selector Element)の直列構造となっている。以下では、上部ワード線UWLおよび下部ワード線LWLの総称としてワード線WLを適宜、用いるものとする。
【0016】
各タイル411は、例えば、
図6に示すように、WLデコーダ413、BLデコーダ414、電圧スイッチ415、ラッチ416およびセンスアンプ(SA)417を有する。
【0017】
WLデコーダ413は、マイクロコントローラ412から与えられたワード線アドレス情報に基づいて、各ワード線WLに対して所定の電圧を印加する。BLデコーダ414は、マイクロコントローラ412から与えられたビット線アドレス情報に基づいて、複数のビット線BLの中から1つのビット線BLを選択する。
【0018】
電圧スイッチ415は、マイクロコントローラ412からの制御信号と、ラッチ416のセットラッチおよびリセットラッチのデータとに基づいて、グローバルワード線GWLおよびグローバルビット線GBLの電圧を切り換える。これにより、WLデコーダ413によって選択されたワード線WLや、BLデコーダ414によって選択されたビット線BLに印加される電圧が切り替えられる。
【0019】
ラッチ416は、例えば、書き込みデータWDATAをラッチするライトラッチと、読み出しデータRDATAをラッチするセンスラッチとを有している。書き込みデータWDATAは、バンク410-kに入力された書き込みデータのうちの1ビット分のデータに相当する。読み出しデータRDATAは、バンク410-kから読み出される読み出しデータのうちの1ビット分のデータに相当する。ラッチ416は、さらに、例えば、マイクロコントローラ412による論理演算によって生成されたセットデータをラッチするセットラッチと、マイクロコントローラ20による論理演算によって生成されたリセットデータをラッチするリセットラッチとを有している。
【0020】
タイル411は、ライトラッチの値およびセンスラッチの値に基づいて、セットラッチの値およびリセットラッチの値を決定する。タイル411は、例えば、ライトラッチの値=センスラッチの値のとき、当該タイル411において書き込み動作は必要ないので、セットラッチの値およびリセットラッチの値を0とする。タイル411は、例えば、ライトラッチの値=1,センスラッチの値=0のとき、当該タイル411においてセット動作を行う必要があるので、セットラッチの値を1とし、リセットラッチの値を0とする。タイル411は、例えば、ライトラッチの値=0,センスラッチの値=1のとき、当該タイル411においてリセット動作を行う必要があるので、セットラッチの値を0とし、リセットラッチの値を1とする。
【0021】
タイル411は、インターフェース回路430から入力された書き込みデータWDATAをライトラッチにラッチする。タイル411は、センスアンプ417から入力された読み出しデータRDATAをセンスラッチにラッチし、マイクロコントローラ412による制御に従ってセンスラッチの値をインターフェース回路430に出力する。タイル411は、インターフェース回路430から入力されたセットデータをセットラッチにラッチし、マイクロコントローラ412による制御に従ってセットラッチの値を電圧スイッチ415に出力する。タイル411は、インターフェース回路430から入力されたリセットデータをセットラッチにラッチし、マイクロコントローラ412による制御に従ってリセットラッチの値を電圧スイッチ415に出力する。
【0022】
センスアンプ417は、マイクロコントローラ412による制御信号に基づいて、WLデコーダ413から得られたグローバルワード線GWLの電圧を参照電圧と比較し、抵抗変化素子VRが低抵抗状態(LRS)であるか高抵抗状態(HRS)であるかを判別する。センスアンプ417は、抵抗変化素子VRが低抵抗状態(LRS)である場合には論理0を生成し、抵抗変化素子VRが高抵抗状態(HRS)である場合には論理1を生成し、これにより、読み出しデータRDATAを生成する。センスアンプ417は、生成した読み出しデータRDATAをラッチ416に出力する。
【0023】
[動作]
次に、本実施の形態に係る情報処理システムの動作について説明する。
【0024】
ホストコンピュータ100がメモリセルアレイユニット400にアクセスするデータ単位に対して、各バンク410-kの、書き込みや読み出しのためのデータ単位は非常に小さく、nビット(例えば256ビット)となっている。最小限の遅延で、ホストコンピュータ100の要求(特にリード要求)に応えるため、メモリコントローラ300は、ホストコンピュータ100のアクセス粒度を、複数のバンク410-kに分散して読み書き制御を行う。
【0025】
(セット)
タイル411は、例えば、セットラッチが1、リセットラッチが0のとき、ビット線BLに+4.5Vを印加するとともに、下部ワード線LWLに-3.7Vを印加する。これにより、下部ワード線LWLとビット線BLとの交差点にあるメモリセルMCの抵抗変化素子VRが高抵抗状態(HRS)から低抵抗状態(LRS)に変化する。このようにして、メモリセルMCがセットされる。タイル411は、例えば、セットラッチが0、リセットラッチが0のとき、ビット線BLに0Vを印加するとともに、下部ワード線LWLに0V~0.8Vを印加する。これにより、下部ワード線LWLとビット線BLとの交差点にあるメモリセルMCに対して状態変化を生じさせない。
【0026】
(リセット)
タイル411は、例えば、セットラッチが0、リセットラッチが1のとき、ビット線BLに-4.5Vを印加するとともに、下部ワード線LWLに+3.7Vを印加する。これにより、下部ワード線LWLとビット線BLとの交差点にあるメモリセルMCの抵抗変化素子VRが低抵抗状態(LRS)から高抵抗状態(HRS)に変化する。このようにして、メモリセルMCがリセットされる。
【0027】
(読み出し(センス)動作)
メモリコントローラ300は、読み出しコマンドおよび論理アドレスを受け取ると、その論理アドレスを物理アドレス(バンクアドレス、バンク内アドレス)に変換した後、読み出しコマンドおよび物理アドレスをInterface回路430に送信する。Interface回路430は、メモリコントローラ300から読み出しコマンドおよび物理アドレスを受信すると、受信したバンクアドレスに対応するバンク410-kのマイクロコントローラ412に、センスコマンドをバンク内アドレスとともに送信する。
【0028】
マイクロコントローラ412は、指定されたバンク内アドレスを、タイル411内のワード線アドレスおよびビット線アドレスに変換し、各タイル411に対して、ワード線アドレスおよびビット線アドレスを設定する。マイクロコントローラ412は、タイル411に対して、各種制御信号を印可する。これにより、タイル411は、読み出し対象である各メモリセルMCに対して、ワード線WLおよびビット線BLを介して読み出し用の電圧を印可する。マイクロコントローラ412は、読み出し対象である各メモリセルMCからデータを読み出し、センスラッチに取り込む。
【0029】
Interface回路430は、メモリコントローラ300から読み出しコマンドを受信した後、所定の期間が経過したタイミングで、各バンク410-kのマイクロコントローラ412にデータ読み出しを指令する。所定の期間とは、メモリコントローラ300から読み出しコマンドを受信してから、センスラッチにデータを取り込むまでの期間に相当する。
【0030】
各バンク410-kは、Interface回路430からの指令に従って、各タイル411のセンスラッチから1ビットのデータを読み出し、それにより得られたnビットのデータをInterface回路430に送信する。Interface回路430は、各バンク410-kから得られたnビットのデータからなるn×kビットの読み出しデータをメモリコントローラ300に送信する。このようにして、読み出し動作が行われる。
【0031】
(書き込み(セット,リセット)動作)
メモリコントローラ300は、書き込みコマンド、論理アドレスおよび書き込みデータを受け取ると、その論理アドレスを物理アドレス(バンクアドレス、バンク内アドレス)に変換した後、書き込みコマンドおよび物理アドレスを、コマンドアドレスバスを介してInterface回路430に送信する。このとき、メモリコントローラ300は、書き込みデータを、データバスを介してInterface回路430に送信する。
【0032】
Interface回路430は、メモリコントローラ300から書き込みコマンド、物理アドレスおよび書き込みデータを受信すると、受信したバンクアドレスに対応するバンク410-kの各タイル411に、コマンドアドレスバスを介して書き込みコマンドおよびバンク内アドレスを送信する。このとき、Interface回路430は、受信したバンクアドレスに対応するバンク410-kの各タイル411に、データバスを介して書き込みデータを1ビットずつ送信する。各タイル411は、受信した1ビットのデータを、ライトラッチに保持させる。続いて、各タイル411は、読み出し(センス)動作と同様の動作を行うことにより、書き込み対象であるメモリセルMCから1ビットのデータを読み出し、センスラッチに取り込む。
【0033】
次に、マイクロコントローラ412は、各タイル411におけるライトラッチおよびセンスラッチに保持された値に基づいて以下の論理演算を行い、セットラッチおよびリセットラッチの値を決定する。
1.ライトラッチの値=センスラッチの値のとき、当該タイル411に書き込み動作を行う必要がないので、マイクロコントローラ412は、セットラッチおよびリセットラッチの値を0とする。
2.ライトラッチの値=1、センスラッチの値=0のとき、当該タイル411にセット動作を行う必要があるので、マイクロコントローラ412は、セットラッチの値を1に設定するとともに、リセットラッチの値を0に設定する。
3.ライトラッチの値=0、センスラッチの値=1のとき、当該タイル411にリセット動作を行う必要があるので、マイクロコントローラ412は、セットラッチの値を0に設定するとともに、リセットラッチの値を1に設定する。
【0034】
続いて、マイクロコントローラ412は、メモリセルアレイMCAに対して、各種制御信号を印可する。これにより、タイル411は、セット対象である各タイル411のメモリセルMCに対して、ワード線WLおよびビット線BLを介してセット用の電圧を印可する。マイクロコントローラ412は、セット対象である各メモリセルMCにデータを書き込む。このとき、マイクロコントローラ412は、セット対象である各メモリセルMCに対してセット動作を行っている最中に、リセット対象である各タイル411のメモリセルMCに対して、ワード線WLおよびビット線BLを介してリセット用の電圧を印可する。このようにして、書き込み(セット,リセット)動作が行われる。
【0035】
図7は、各バンク400-kにおける4つのタイル411の平面構成例を表したものである。各タイル411は、例えば、4つのメモリセルアレイMCAと、4つのワード線ソケットWLSと、2つのビット線ソケットBLSとを有する。各タイル411において、4つのワード線ソケットWLSは、メモリセルアレイMCAごとに1つずつ割り当てられている。各ワード線ソケットWLSは、割り当てられたメモリセルアレイMCAに隣接して配置される。各タイル411において、2つのビット線ソケットBLSは、2つのメモリセルアレイMCAごとに1つずつ割り当てられている。各ビット線ソケットBLSは、割り当てられた2つのメモリセルアレイMCAに隣接して配置される。
【0036】
図8(A)は、
図7のタイル411におけるワード線WLの平面レイアウト例を表したものである。
図8(B)は、
図7のタイル411におけるビット線BLの平面レイアウト例を表したものである。各タイル411において、中央に配置された2つのワード線ソケットWLSには、それぞれ、ワード線デコーダ413が設けられる。
図8(A)では、このワード線デコーダ413をワード線デコーダ413aと表現する。また、各タイル411において、端部に配置された2つのワード線ソケットWLSには、それぞれ、ワード線デコーダ413が設けられる。
図8(A)では、このワード線デコーダ413をワード線デコーダ413bと表現する。各タイル411において、中央に配置されたビット線ソケットBLSには、ビット線デコーダ414が設けられる。
図8(B)では、このビット線デコーダ414をビット線デコーダ414aと表現する。また、各タイル411において、端部に配置されたビット線ソケットBLSには、ビット線デコーダ414が設けられる。
図8(B)では、このビット線デコーダ414をビット線デコーダ414bと表現する。
【0037】
2つのワード線デコーダ413aは、これらのワード線デコーダ413aが属するタイル411内に配置された複数のワード線WLの中から1本を選択するとともに、選択した1本のワード線WLとグローバルワード線GWLとの接続を行う。2つのワード線デコーダ413bは、これらのワード線デコーダ413bが属するタイル411内と、当該ワード線デコーダ413bが属するタイル411に隣接するタイル411内とにまたがって配置された複数のワード線WLの中から1本を選択するとともに、選択した1本のワード線WLとグローバルワード線GWLとの接続を行う。
【0038】
ワード線デコーダ413aによってグローバルワード線GWLと接続され得る各ワード線WLは、例えば、メモリセルアレイMCAにおける奇数行に配置される。一方、ワード線デコーダ413bによってグローバルワード線GWLと接続され得る各ワード線WLは、例えば、メモリセルアレイMCAにおける偶数行に配置される。従って、タイル411において、奇数行のワード線アドレスが設定されたときには、ワード線WLは、ワード線デコーダ413aによって選択される。また、タイル411において、偶数行のワード線アドレスが設定されたときには、ワード線WLは、ワード線デコーダ413bによって選択される。
【0039】
ビット線デコーダ414aは、当該ビット線デコーダ414aが属するタイル411内に配置された複数のビット線BLの中から1本を選択するとともに、選択した1本のビット線BLとグローバルビット線GBLとの接続を行う。ビット線デコーダ414bは、当該ビット線デコーダ414bが属するタイル411内と、当該ビット線デコーダ414bが属するタイル411に隣接するタイル411内とにまたがって配置された複数のビット線BLの中から1本を選択するとともに、選択した1本のビット線BLとグローバルビット線GBLとの接続を行う。
【0040】
ビット線デコーダ414aによってグローバルビット線GBLと接続され得る各ビット線BLは、例えば、メモリセルアレイMCAにおける偶数列に配置される。一方、ビット線デコーダ414bによってグローバルビット線GBLと接続され得る各ビット線BLは、例えば、メモリセルアレイMCAにおける奇数列に配置される。従って、タイル411において、奇数列のビット線アドレスが設定されたときには、ビット線BLは、ビット線デコーダ414aによって選択される。また、タイル411において、偶数列のビット線アドレスが設定されたときには、ビット線BLは、ビット線デコーダ414bによって選択される。
【0041】
図9、
図10、
図11、
図12は、各バンク400-kにおける4つのタイル411におけるメモリセルMCの選択方法の一例を表したものである。
図13は、
図9~
図12において用いられるデコーダの組み合わせを表したものである。
図9~
図12において、左上のタイル411を411_0と表現し、右上のタイル411を411_1と表現し、左下のタイル411を411_2と表現し、右下のタイル411を411_3と表現する。
図9~
図13には、右下のタイル411_3に属するビット線デコーダ414(414_3)が用いられるデコーダの組み合わせが示されている。
【0042】
マイクロコントローラ412から右上のタイル411_0に対して、後段(下半分)に属する偶数行のワード線アドレスと、奇数列のビット線アドレスが設定されたとする。このとき、タイル411_0では、タイル411_0のワード線デコーダ413(413_0)とビット線デコーダ414(414_0)とを用いて、マイクロコントローラ412が指定するメモリセルMCを選択することができない。そこで、例えば、
図9に示したように、タイル411_0のワード線デコーダ413b(413_0)と、タイル411_0の右下隣りのタイル411_1のビット線デコーダ414b(414_3)とを用いて、タイル411_0のメモリセルMCとして、タイル411_1のメモリセルMCが選択される。このとき、マイクロコントローラ412が指定するメモリセルMCが属するタイル411と、選択されたメモリセルMCが物理的に位置するタイル411とは互いに異なっている。しかし、マイクロコントローラ412にとっては、マイクロコントローラ412が指定するメモリセルMCが属するタイル411と、実際に選択されたメモリセルMCが属するタイル411とは常に一致しているとする。
【0043】
マイクロコントローラ412から右上のタイル411_1に対して、後段(下半分)に属する奇数行のワード線アドレスと、奇数列のビット線アドレスが設定されたとする。このとき、タイル411_1では、タイル411_1のワード線デコーダ413(413_1)とビット線デコーダ414(414_1)とを用いて、マイクロコントローラ412が指定するメモリセルMCを選択することができない。そこで、例えば、
図10に示したように、タイル411_1のワード線デコーダ413a(413_1)と、タイル411_3のビット線デコーダ414b(414_3)とを用いて、タイル411_1のメモリセルMCとして、タイル411_1のメモリセルMCが選択される。このとき、マイクロコントローラ412が指定するメモリセルMCが属するタイル411と、選択に使用するビット線デコーダ414が属するタイル411とは互いに異なっている。しかし、マイクロコントローラ412にとっては、マイクロコントローラ412が指定するメモリセルMCが属するタイル411と、実際に選択されたメモリセルMCが属するタイル411とは常に一致しているとする。
【0044】
マイクロコントローラ412から左下のタイル411_2に対して、上段(上半分)の偶数行のワード線アドレスと、左段(左半分)の奇数列のビット線アドレスが設定されたとする。このとき、タイル411_2では、タイル411_2のワード線デコーダ413(413_2)とビット線デコーダ414(414_2)とを用いて、マイクロコントローラ412が指定するメモリセルMCを選択することができない。そこで、例えば、
図11に示したように、タイル411_2のワード線デコーダ413b(413_2)と、タイル411_2の右隣りのタイル411_3のビット線デコーダ414b(414_3)とを用いて、タイル411_2のメモリセルMCとして、タイル411_3のメモリセルMCが選択される。このとき、マイクロコントローラ412が指定するメモリセルMCが属するタイル411と、選択されたメモリセルMCが物理的に位置するタイル411とは互いに異なっている。しかし、マイクロコントローラ412にとっては、マイクロコントローラ412が指定するメモリセルMCが属するタイル411と、実際に選択されたメモリセルMCが属するタイル411とは常に一致しているとする。
【0045】
マイクロコントローラ412から右下のタイル411_3に対して、偶数行のワード線アドレスと、偶数列のビット線アドレスが設定されたとする。このとき、タイル411_3では、タイル411_3のワード線デコーダ413(413_3)とビット線デコーダ414(414_3)とを用いて、タイル411_3内のメモリセルMCを選択することができる。そこで、例えば、
図12に示したように、タイル411_3のビット線デコーダ414a(414_3)と、タイル411_3のワード線デコーダ413b(413_3)とを用いて、選択されたタイル411_3のメモリセルMCが選択される。このとき、マイクロコントローラ412が指定するメモリセルMCが属するタイル411と、選択されたメモリセルMCが物理的に位置するタイル411とが互いに一致している。
【0046】
図14は、各タイル411のデコーダの構成例と、各タイル411の接続例とを表したものである。各タイル411は、マイクロコントローラ412からアドレス情報(ワード線アドレス情報、ビット線アドレス情報)を取得するアドレスデコーダ418を有する。
【0047】
各タイル411において、アドレスデコーダ418は、ラッチ416から読み出したセット・リセットの選択情報に基づいて、ワード線WLを選択し、選択したワード線WLとグローバルワード線GWLとの接続を行う。セット・リセットの選択情報は、例えば、セットラッチの値およびリセットラッチの値である。各タイル411において、アドレスデコーダ418は、さらに、ラッチ416から読み出したセット・リセットの選択情報と、ラッチ416から読み出した読み出しデータとに基づいて、選択したワード線WLのバイアス条件を決定(設定)する。読み出しデータは、例えば、センスラッチの値である。
【0048】
タイル411(411_3)において、BLデコーダ414は、タイル411(411_3)のアドレスデコーダ418と、左隣り、左上隣りおよび上隣りのタイル411(411_0,411_1,411_2)のアドレスデコーダ418とから、アドレス情報を取得する。タイル411(411_3)において、BLデコーダ414は、取得した4つのアドレス情報に基づいて、ビット線BLを選択する。BLデコーダ414は、選択したビット線BLとグローバルビット線GBLとの接続を行う。タイル411(411_3)において、BLデコーダ414は、さらに、タイル411(411_3)のアドレスデコーダ418と、左隣り、左上隣りおよび上隣りのタイル411(411_0,411_1,411_2)のアドレスデコーダ418とから、選択したワード線WLのバイアス条件を取得する。タイル411(411_3)において、BLデコーダ414は、取得した4つの条件(ワード線WLのバイアス条件)に基づいて、選択したビット線BLのバイアス条件を決定(設定)する。このように、BLデコーダ414およびアドレスデコーダ418は、タイル411ごとに、ワード線WLおよびBLデコーダ414のバイアス条件を決定(設定)することができる。
【0049】
図15、
図16は、各バンク400-kにおける4つのタイル411における書き込み(セット,リセット)動作の一例を表したものである。
図15、
図16には、4つのタイル411において、セット動作とリセット動作とが同時に行われている様子が例示されている。具体的には、
図15、
図16には、セット動作を行う2つのタイル411(411_1,411_2)と、リセット動作を行う2つのタイル411(411_0,411_3)とが例示されている。
図15、
図16には、セット動作を行う際のワード線WLのバイアス条件として電圧Vw1が例示され、セット動作を行う際のビット線BLのバイアス条件として電圧Vw2が例示されている。また、
図15、
図16には、リセット動作を行う際のワード線WLのバイアス条件として電圧Ve1が例示され、リセット動作を行う際のビット線BLのバイアス条件として電圧Ve2が例示されている。
【0050】
例えば、
図15に示したように、各タイル411において、自身のタイルに属するワード線デコーダ413およびビット線デコーダ414が、自身のタイルに属するメモリセルMCに対してセット動作またはリセット動作を行う。このときは、メモリコントローラ300が指定するメモリセルMCが属するタイル411と、実際に選択されたメモリセルMCが属するタイル411とが互いに一致している。
【0051】
また、例えば、
図16に示したように、各タイル411において、隣接するタイルに属するワード線デコーダ413およびビット線デコーダ414が、隣接するタイルに属するメモリセルMCに対してセット動作またはリセット動作を行う。このときは、メモリコントローラ300が指定するメモリセルMCが属するタイル411と、実際に選択されたメモリセルMCが属するタイル411とが互いに異なっている。また、例えば、
図16に示したように、各タイル411において、自身のタイルに属するメモリセルMCに対してセット動作またはリセット動作を行うために、隣接するタイルに属するビット線デコーダ414を用いることがある。
【0052】
ところで、
図15、
図16において、セット動作を行うタイル411_1において選択されるビット線BLのアドレスと、リセット動作を行うタイル411_3において選択されるビット線BLのアドレスとが互いに等しくなっている。また、
図15、
図16において、リセット動作を行うタイル411_0において選択されるビット線BLのアドレスと、セット動作を行うタイル411_2において選択されるビット線BLのアドレスとが互いに等しくなっている。
【0053】
また、
図15、
図16において、セット動作を行うタイル411_1において選択されるワード線WLのアドレスと、リセット動作を行うタイル411_0において選択されるワード線WLのアドレスとが互いに等しくなっている。また、
図15、
図16において、リセット動作を行うタイル411_3において選択されるワード線WLのアドレスと、セット動作を行うタイル411_2において選択されるワード線WLのアドレスとが互いに等しくなっている。
【0054】
図17は、
図14に示した各タイル411の内部構成の一変形例を表したものである。各タイル411は、BLデコーダ414およびアドレスデコーダ418の他に、更に、バイアス情報が格納されるレジスタ419を有していてもよい。この場合、レジスタ419には、バイアス情報として、自身のタイル411におけるバイアス条件(ワード線WLのバイアス条件およびビット線BLのバイアス条件)が格納される。
【0055】
各タイル411において、アドレスデコーダ418は、ラッチ416から読み出したセット・リセットの選択情報に基づいて、ワード線WLを選択する。各タイル411において、アドレスデコーダ418は、さらに、ラッチ416から読み出したセット・リセットの選択情報と、ラッチ416から読み出した読み出しデータとに基づいて、選択したワード線WLのバイアス条件を決定(設定)する。各タイル411において、アドレスデコーダ418は、決定(設定)したワード線WLのバイアス条件をレジスタ419に格納する。
【0056】
タイル411(411_3)において、BLデコーダ414は、タイル411(411_3)のアドレスデコーダ418と、左隣り、左上隣りおよび上隣りのタイル411(411_0,411_1,411_2)のアドレスデコーダ418とから、アドレス情報を取得する。タイル411(411_3)において、BLデコーダ414は、取得した4つのアドレス情報に基づいて、ビット線BLを選択する。
【0057】
BLデコーダ414は、選択したビット線BLとグローバルビット線GBLとの接続を行う。タイル411(411_3)において、BLデコーダ414は、さらに、タイル411(411_3)のレジスタ419と、左隣り、左上隣りおよび上隣りのタイル411(411_0,411_1,411_2)のレジスタ419とから、選択したワード線WLのバイアス条件を取得する。タイル411(411_3)において、BLデコーダ414は、取得した4つの条件(ワード線WLのバイアス条件)に基づいて、選択したビット線BLのバイアス条件を決定(設定)する。BLデコーダ414は、決定(設定)したビット線BLのバイアス条件をレジスタ419に格納する。このように、BLデコーダ414およびアドレスデコーダ418は、タイル411ごとに、ワード線WLおよびBLデコーダ414のバイアス条件を決定(設定)することができる。
【0058】
図18は、書き込み(セット,リセット)動作の従来例と実施例を表したものである。まず、メモリコントローラ300は、書き込みコマンド、論理アドレスおよび書き込みデータを受け取ると、その論理アドレスを物理アドレスに変換した後、書き込みコマンドおよび物理アドレス(バンクアドレス、バンク内アドレス)を、コマンドアドレスバスを介してInterface回路430に送信する。このとき、メモリコントローラ300は、書き込みデータを、データバスを介してInterface回路430に送信する。
【0059】
Interface回路430は、メモリコントローラ300から書き込みコマンド、物理アドレスおよび書き込みデータを受信すると、受信したバンクアドレスに対応するバンク410-kのマイクロコントローラ412に、コマンドアドレスバスを介して書き込みコマンドおよびバンク内アドレスを送信する。このとき、Interface回路430は、受信したバンクアドレスに対応するバンク410-kの各タイル411に、データバスを介して書き込みデータを1ビットずつ送信する。各タイル411は、受信した1ビットのデータをライトラッチに保持させる。
【0060】
続いて、各タイル411は、読み出し(センス)動作を行うことにより、書き込み対象であるメモリセルMCから1ビットのデータを読み出し、センスラッチに取り込む。各タイル411は、例えば、指定されたバンク内アドレスを、ワード線アドレスおよびビット線アドレスに変換し、ワード線アドレスおよびビット線アドレスを設定する。
【0061】
各タイル411において、アドレスデコーダ418は、マイクロコントローラ412から取得したアドレス情報と、ラッチ416から読み出したセット・リセットの選択情報とに基づいて、ワード線WLを選択する(ステップS11)。タイル411(411_3)において、BLデコーダ414は、タイル411(411_3)のアドレスデコーダ418と、左隣り、左上隣りおよび上隣りのタイル411(411_0,411_1,411_2)のアドレスデコーダ418とから、アドレス情報を取得する。タイル411(411_3)において、BLデコーダ414は、取得した4つのアドレス情報に基づいて、ビット線BLを選択する(ステップS11)。
【0062】
マイクロコントローラ412は、各タイル411に対して、各種制御信号を印可する。これにより、各タイル411は、書き込み対象である各メモリセルMCに対して、ワード線WLおよびビット線BLを介して読み出し用の電圧を印可する。マイクロコントローラ412は、書き込み対象である各メモリセルMCからデータを読み出し、センスラッチに取り込む(ステップS12)。
【0063】
次に、タイル411(411_3)において、BLデコーダ414は、タイル411(411_3)のアドレスデコーダ418と、左隣り、左上隣りおよび上隣りのタイル411(411_0,411_1,411_2)のアドレスデコーダ418とから、選択したワード線WLのバイアス条件を取得する。タイル411(411_3)において、BLデコーダ414は、取得した4つの条件(ワード線WLのバイアス条件)に基づいて、選択したビット線BLのバイアス条件を決定(設定)する。このように、BLデコーダ414およびアドレスデコーダ418は、タイル411ごとに、ワード線WLおよびBLデコーダ414のバイアス条件を決定(設定)する(ステップS17)。
【0064】
マイクロコントローラ412は、各タイル411に対して、各種制御信号を印可する。これにより、各タイル411は、書き込み(セット,リセット)対象であるメモリセルMCに対して、ワード線WLおよびビット線BLを介して所定の電圧を印可する(ステップS18,S19)。このようにして、セット動作とリセット動作とが同時に行われる。
【0065】
[効果]
次に、本実施の形態に係る情報処理システムの効果について説明する。
【0066】
従来では、同時にアクセスされる全てのメモリセルアレイに対して、同一のバイアス条件が設定される(S13,S15)。これは、同時にアクセスされる全てのメモリセルアレイには、同一のグローバルビット線が接続されるためである。また、同時にアクセスされる複数のメモリセルアレイにおいて、バイアス条件が互いに異なるセット動作およびリセット動作を選択的に同時に行うことができない。そのため、セット動作およびリセット動作を順番に行う必要がある(S14,S16)。そのため、レイテンシが長くなる。
【0067】
一方、本実施の形態では、各タイル411において、隣接する複数の(3つの)タイル411から得られるアドレス情報に基づいて、グローバルビット線GBLに接続されるビット線BLが選択される。これにより、電源500に接続されるグローバルビット線GBLを制限することが可能となるので、例えば、選択切り替え時の充放電電流や電源のリーク電流を削減することが可能となる。また、セット対象のタイル411と、リセット対象のタイル411とで異なるバイアス条件を選択することが可能となるので、例えば、セット動作とリセット動作を同時に実施することが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態では、マイクロコントローラ412から得られるセット・リセットの選択情報がラッチ416に格納され、ラッチ416から得られるセット・リセットの選択情報に基づいて、ワード線WLが選択される。これにより、電源500に接続されるグローバルワード線GWLを制限することが可能となるので、例えば、選択切り替え時の充放電電流や電源のリーク電流を削減することが可能となる。また、セット対象のタイル411と、リセット対象のタイル411とで異なるバイアス条件を選択することが可能となるので、例えば、セット動作とリセット動作を同時に実施することが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態では、ラッチ416から得られるセット・リセットの選択情報と、メモリセルMC(ラッチ416)から得られる読み出しデータ(センスラッチの値)とに基づいて、選択したワード線WLのバイアス条件が設定される。これにより、セット対象のタイル411と、リセット対象のタイル411とで異なるバイアス条件を選択することが可能となるので、例えば、セット動作とリセット動作を同時に実施することが可能となる。
【0070】
また、本実施の形態では、隣接する複数のタイル411から得られる、選択したワード線WLのバイアス条件に基づいて、選択したビット線BLのバイアス条件が設定される。これにより、セット対象のタイル411と、リセット対象のタイル411とで異なるバイアス条件を選択することが可能となるので、例えば、セット動作とリセット動作を同時に実施することが可能となる。
【0071】
以上、実施の形態を挙げて本技術を説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0072】
また、例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)
行列状に配置された複数のメモリ部と、
前記複数のメモリ部に対するデータの読み書きを制御する制御部と
を備え、
各前記メモリ部は、
グローバルビット線およびグローバルワード線と、
複数のワード線、複数のビット線ならびに前記ワード線および前記ビット線の交点に1つずつ設けられた複数のメモリセルを含むメモリセルアレイと、
前記グローバルワード線に接続される前記ワード線を選択する第1接続部と、
前記グローバルビット線に接続される前記ビット線を選択する第2接続部と、
前記制御部から得られるアドレス情報が格納される格納部と
を有し、
前記第2接続部は、隣接する複数の前記メモリ部から得られる前記アドレス情報に基づいて、前記ビット線を選択する
メモリセルアレイユニット。
(2)
前記格納部には、前記制御部から得られるセット・リセットの選択情報が格納され、
前記第1接続部は、前記格納部から得られる前記セット・リセットの選択情報に基づいて、前記ワード線を選択する
(1)に記載のメモリセルアレイユニット。
(3)
前記第1接続部は、前記格納部から得られる前記セット・リセットの選択情報と、前記メモリセルから得られた読み出しデータとに基づいて、選択した前記ワード線のバイアス条件を設定する
(1)または(2)に記載のメモリセルアレイユニット。
(4)
前記第2接続部は、隣接する複数の前記メモリ部から得られる、選択した前記ワード線のバイアス条件に基づいて、選択した前記ビット線のバイアス条件を設定する
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載のメモリセルアレイユニット。
(5)
各前記メモリ部において、
前記複数のワード線は、当該メモリ部内に配置された複数の第1ワード線と、当該メモリ部内と当該メモリ部に隣接する前記メモリ部内とにまたがって配置された複数の第2ワード線とにより構成され、
前記複数のビット線は、当該メモリ部内に配置された複数の第1ビット線と、当該メモリ部内と当該メモリ部に隣接する前記メモリ部内とにまたがって配置された複数の第2ビット線とにより構成され、
前記第1接続部は、前記グローバルワード線に接続される前記第1ワード線を選択する第3接続部と、前記グローバルワード線に接続される前記第2ワード線を選択する第4接続部とを有し、
前記第2接続部は、前記グローバルビット線に接続される前記第1ビット線を選択する第5接続部と、前記グローバルビット線に接続される前記第2ビット線を選択する第6接続部とを有する
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載のメモリセルアレイユニット。
【0073】
本開示の一側面に係るメモリセルアレイユニットでは、各メモリ部において、隣接する複数のメモリ部から得られるアドレス情報に基づいて、グローバルビット線に接続されるビット線が選択される。これにより、電源に接続されるグローバルビット線を制限することが可能となるので、例えば、選択切り替え時の充放電電流や電源のリーク電流を削減することが可能となる。また、セット対象のメモリ部と、リセット対象のメモリ部とで異なるバイアス条件を選択することが可能となるので、例えば、セット動作とリセット動作を同時に実施することが可能となる。従って、充放電流やリーク電流を低く抑え、かつ、レイテンシを短くすることが可能となる。なお、本開示の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されず、本明細書中に記載されたいずれの効果であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
100…ホストコンピュータ、200…メモリ部、300…メモリコントローラ、400…メモリセルアレイユニット、400-1,400-2,400-j,400-m…ダイ、410-1,410-2,410-k,410-z…バンク、411,411_0,411_1,411_2,411_3…タイル、412…マイクロコントローラ、413…WLデコーダ、413a,413b,413_0,413_1,413_2,413_3…ワード線デコーダ、414…BLデコーダ、414a,414b,414_0,414_1,414_2,414_3…ビット線デコーダ、415…電圧スイッチ、416…ラッチ、417…センスアンプ、418…アドレスデコーダ、419…バイアス情報、420…Periphery回路、430…Interface回路、500…電源部、BL…ビット線、BLS…ビット線ソケット、GBL…グローバルビット線、GWL…グローバルワード線、LWL…下部ワード線、MC…メモリセル、MCA,MCA1,MCA2…メモリセルアレイ、SE…選択素子、UWL…上部ワード線、VR…抵抗変化素子、WL…ワード線、WLS…ワード線ソケット。