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  • 特開-電子式電力量計 図1
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  • 特開-電子式電力量計 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018765
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】電子式電力量計
(51)【国際特許分類】
   G01R 22/06 20060101AFI20220120BHJP
   G01R 1/04 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
G01R22/06 130H
G01R1/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122098
(22)【出願日】2020-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000205661
【氏名又は名称】大崎電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】小峯 正敏
(72)【発明者】
【氏名】菊池 一博
(72)【発明者】
【氏名】伊東 大介
(57)【要約】
【課題】容易に製造することができ、且つ、外観及び耐候性に優れた筐体を備える、電子式電力量計を提供する。
【解決手段】電子回路基板が配置される下側ケースと、電子回路基板を覆うように下側ケースに固定される上側ケースと、を備える電子式電力量計であって、上側ケースは、全体に透明であり、電子式電力量計は、さらに、上側ケースを部分的に覆うカバー部材を備え、カバー部材は、全体に不透明である、電子式電力量計。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路基板が配置される下側ケースと、前記電子回路基板を覆うように前記下側ケースに固定される上側ケースと、を備える電子式電力量計であって、
前記上側ケースは、全体に透明であり、
前記電子式電力量計は、さらに、
前記上側ケースを部分的に覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材は、全体に不透明である、電子式電力量計。
【請求項2】
請求項1に記載の電子式電力量計であって、
前記カバー部材の前面側が開放されており、
前記カバー部材は、少なくとも上面部及び左右の側面部を含む、電子式電力量計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子式電力量計に関する。
【背景技術】
【0002】
電子式電力量計では、使用電力量を演算する電子回路を実装した基板が、電力量計の筐体に内蔵される。図5は、従来の電子式電力量計10の一例を示す図である。従来、電子式電力量計10の筐体は、樹脂製であり、例えば、上部が開放され、図示されない電子回路基板が固定される下側ケース11と、下部が開放され、電子回路基板を覆うように下側ケース11に外嵌される上側ケース12と、を備えることができる。
【0003】
この種の電子式電力量計では、従来、上側ケース12は、全体に不透明な(例えば、着色樹脂で形成された)本体14と、透明な板材で構成される窓部16とを有する。具体的には、本体14は、その前面に開口部14aを有し、開口部14aに窓部16が配置される。液晶表示板18及びその周囲に設けられる銘板20が、透明な窓部16を通して外部から視認可能にされる。液晶表示板18は、使用電力量を表示するように電子回路基板に取り付けられている。銘板20は、JIS規格により電力量計への取り付けが義務付けられており、計器名称、相及び線式、計器定数等の所定の記載内容が表記される。なお、図1において、銘板20上の表記は図示を省略されている。
【0004】
上側ケース12を製造する際、不透明な本体部14と透明な窓部16は別々の部品として製造され、その後、一体化される。一般に、電力量計は屋外に設置されることが多いので、電力量計の筐体は、優れた耐候性を有することが望ましい。特に、電子部品を内蔵する電子式電力量計10の筐体は、高い防水性を必要とする。従って、本体部14と窓部16は、インサート成形または強力な接着剤の使用等により強固に一体化されている。
【0005】
電子式電力量計10の製造工程を簡略化するために、例えば、本体部14及び窓部16を含む上側ケース12を、透明な単一部品として成形することが考えられる。しかし、上側ケース12の全体が透明であることによって内部の電子部品が可視化され、これは、外観上好ましくない。また、電子部品が紫外線の影響を受けて故障する虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、容易に製造することができ、且つ、外観及び耐候性に優れた筐体を備える、電子式電力量計を提供することを課題の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、電子回路基板が配置される下側ケースと、電子回路基板を覆うように下側ケースに固定される上側ケースと、を備える電子式電力量計が提供される。上側ケースは、全体に透明である。電子式電力量計は、さらに、上側ケースを部分的に覆うカバー部材を備える。カバー部材は、全体に不透明である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態が適用される電子式電力量計の全体概要を示す図である。
図2図1の下側ケースを示す図である。
図3図1の上側ケースを単体で示す図である。
図4図1のカバー部材を単体で示す図である。
図5】従来の電子式電力量計の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図4を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明はあくまでも一例を示すものであって、本発明の技術的範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。また、図面では、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0010】
図1は、本実施形態が適用される電子式電力量計100(以下、電力量計100)の全体概要を示す図である。電力量計100は、下側ケース102と上側ケース104を備える。下側ケース102に、図示されない端子ブロックに電気的に接続される端子金具106が配置される。上側ケース104は、下側ケース102の上部を覆うように下側ケース102に外嵌される。電力量計100は、さらに上側ケース104を部分的に覆うように構成されたカバー部材108を備える。電力量計100は、端子金具106が下側に位置する向きで、家屋またはビル等の壁面に設置することができ、配電線に接続された端子ブロックが、端子金具106に接続される。以下の説明において、特に断りのない限り、上、下、前、後等の方向を示す用語は、電力量計100の設置状態に関して用いられる。
【0011】
図2は、図1に示される下側ケース102を示す図である。図2には、下側ケース102に配置される電子回路基板110及び付属の電子部品等も示されている。一例として、下側ケース102は、端子金具収容部116及び基板収容部118を含むことができる。端子金具収容部116に、端子ブロックと電気的に接続可能な端子金具106が配置される。下側ケース102の開放された上部開口120を通して、基板収容部118内に電子回路基板110及び付属の電子部品等を受け入れることができる。電子回路基板110には、使用電力量を表示する液晶表示板112が固定されており、液晶表示板112の周囲に銘板114が配置される。
【0012】
図3は、図1に示される上側ケース104を単体で示す図である。上側ケース104は、前面部104aと背面部104bを有する。また、上側ケース104は、前面部104aと背面部104bの間に延在する上面部104c及び左右の側面部104dを有する。上側ケース104の下部は開放されている。上側ケース104は、下側ケース102に配置された電子回路基板110を覆うように、下側ケース102に外嵌されるように構成されている。既知の様々な方法で、上側ケース104を下側ケース102に固定することができる。上側ケース104が下側ケース102に固定されるとき、電子回路基板110が収容される空間を外部に対して閉じることができる。例えば、図示の例では、下側ケース102の外周縁部102a(図2を参照)の上面に上側ケース104の外周縁部104eの下面を密着させることができ、これにより、電子回路基板110が収容される空間を外部に対して閉じることができる。
【0013】
本実施形態では、上側ケース104を、全体に透明な単一部品として形成することができる。全体に透明な上側ケース104によって、内部の液晶表示板112及び銘板114が外部から視認可能である。また、上側ケース104は、単一部品であるので、従来の上側ケース12と異なり継ぎ目が無く、従って、防水性に優れる。また、単一部品の上側ケース104は、従来のインサート成形や接着剤の使用に依らずに、容易に製造することができる。図3に示すように、上側ケース104の左右の側面部104dには、カバー部材108を固定する際に使用可能な爪部104fを設けることができる。
【0014】
なお、下側ケース102及び上側ケース104の具体的形状は、図示されるものに限られない。必要に応じて、様々な形状の下側ケース102及び上側ケース104が設けられてよい。
【0015】
図4は、カバー部材108を単体で示す図である。本実施形態では、カバー部材108は、上面部108a及び左右の側面部108bを備えており、前面側及び背面側が開放されている。カバー部材108は、上側ケース104の上面部104c及び左右の側面部104dを覆うように、上側ケース104に固定可能である。カバー部材108は、例えば、左右の側面部108bに係止穴108cを有することができ、上側ケース104の爪部104fを係止穴108cに係止することにより、カバー部材108を上側ケース104に固定することができる。しかし、カバー部材108を上側ケース104に固定する方法は、特に限られない。既知の様々な方法による固定が可能である。
【0016】
カバー部材108は、全体に不透明である。不透明なカバー部材108は、例えば、着色された樹脂で形成することができる。透明な上側ケース104の上面部104c及び側面部104dを、不透明なカバー部材108の上面部108a及び側面部108bによって覆うことができるので、液晶表示板112及び銘板114を除く、内部部品の外部からの可視化を防止することができる。また、紫外線から電子部品を保護することができるので、紫外線による電子部品の故障を防止することができる。
【0017】
なお、電力量計100は、通常、壁面に設置されるので、カバー部材108によって上側ケース104の背面側を覆う必要はない。しかし、カバー部材108は、上側ケース104の背面部104bを覆う背面部を有していてもよい。また、カバー部材108は、上側ケース104の前面部104aを部分的に覆う前面部を有していてもよい。この場合、前面部には、液晶表示部112及び銘板114を視認可能にする開口部が形成される。
【0018】
カバー部材108が不透明である限り、カバー部材108の材質は、特に限られない。カバー部材108は、着色樹脂で形成されることができ、または、金属で形成されてもよい。金属製のカバー部材108は、外部の電波ノイズを低減するシールド機能を奏することができる。シールド機能の観点から、カバー部材108は、樹脂に金属が埋め込まれた材料で形成されてもよい。また、外観または意匠性の観点から、様々な色のカバー部材108を用意することができる。
【0019】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0020】
本発明は、以下の態様を含む。
1. 電子回路基板が配置される下側ケースと、電子回路基板を覆うように下側ケースに固定される上側ケースと、を備える電子式電力量計であって、
上側ケースは、全体に透明であり、
電子式電力量計は、さらに、
上側ケースを部分的に覆うカバー部材を備え、
カバー部材は、全体に不透明である、電子式電力量計。
2. 上記1.に記載の電子式電力量計であって、
カバー部材の前面側が開放されており、
カバー部材は、少なくとも上面部及び左右の側面部を含む、電子式電力量計。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、電子式電力量計に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0022】
10 電子式電力量計
11 下側ケース
12 上側ケース
14 本体
14a 開口部
16 窓部
18 液晶表示板
20 銘板
100 電子式電力量計
102 下側ケース
102a 外周縁部
104 上側ケース
104a 前面部
104b 背面部
104c 上面部
104d 側面部
104e 外周縁部
104f 爪部
106 端子金具
108 カバー部材
108a 上面部
108b 側面部
108c 係止穴
110 電子回路基板
112 液晶表示板
114 銘板
116 端子金具収容部
118 基板収容部
120 上部開口

図1
図2
図3
図4
図5