(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187657
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】オイルクーラ
(51)【国際特許分類】
F01M 11/03 20060101AFI20221213BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
F01M11/03 D
F01M11/03 C
F01M11/03 E
F28D9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095757
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000151209
【氏名又は名称】マーレジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】服部 隆利
(72)【発明者】
【氏名】武井 龍乃介
(72)【発明者】
【氏名】森下 直人
【テーマコード(参考)】
3G015
3L103
【Fターム(参考)】
3G015BG15
3G015CA20
3G015DA04
3L103AA31
3L103CC02
3L103CC08
3L103DD12
3L103DD61
(57)【要約】
【課題】オイルがコア部とオイルレシーバとの隙間に入り込むこと及びオイルが周辺部品に飛び散ることを抑制することが可能なオイルクーラを提供する。
【解決手段】オイルフィルタ10が着脱可能に装着されるオイルクーラ1は、オイルの熱を冷却するオイルクーラコア5と、オイルクーラコアに取り付けられるカバーディスク2と、オイルフィルタ10の着脱時に垂れるオイルを誘導するオイルレシーバ3とを備える。オイルレシーバ3は、オイルフィルタ10の取り付け方向に沿ってオイルフィルタ10とオイルクーラコア5との間に設けられ、且つカバーディスク2に一体的に取り付けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルフィルタが着脱可能に装着されるオイルクーラであって、
オイルの熱を冷却するコア部と、
前記コア部に取り付けられるカバー部と、
前記オイルフィルタの着脱時に垂れるオイルを誘導するオイルレシーバとを備え、
前記オイルレシーバは、前記オイルフィルタの取り付け方向に沿って前記オイルフィルタと前記コア部との間に設けられ、且つ前記カバー部に一体的に取り付けられていることを特徴とするオイルクーラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルクーラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オイルフィルタの着脱を容易に行え、かつ冷却水用ホースへのオイルの付着を防止できる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、オイルクーラコアの近傍にオイルレシーバ(カバー本体)を着脱可能に外付けされている。オイルフィルタの着脱時にオイルが垂れ落ちても、このオイルは、オイルレシーバで受け取られることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オイルフィルタの交換時にオイルが噴出すると、噴出したオイルがオイルクーラコアとオイルレシーバとの隙間に入り込んでしまい、オイルを拭き取ることが困難になるという問題がある。また、オイルフィルタとオイルレシーバとの距離が遠いので、噴出したオイルが跳ねて周辺部品に飛び散るおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、オイルがコア部とオイルレシーバとの隙間に入り込むこと及びオイルが周辺部品に飛び散ることを抑制することが可能なオイルクーラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、明細書に開示されたオイルクーラは、オイルフィルタが着脱可能に装着されるオイルクーラであって、オイルの熱を冷却するコア部と、前記コア部に取り付けられるカバー部と、前記オイルフィルタの着脱時に垂れるオイルを誘導するオイルレシーバとを備え、前記オイルレシーバは、前記オイルフィルタの取り付け方向に沿って前記オイルフィルタと前記コア部との間に設けられ、且つ前記カバー部に一体的に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
オイルがコア部とオイルレシーバとの隙間に入り込むこと及びオイルが周辺部品に飛び散ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態に係るオイルクーラの構成を示す斜視図である。
【
図2】本実施の形態に係るオイルクーラの構成を示す斜視図である。
【
図5】
図1のA方向から見た場合のオイルクーラの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
図1及び
図2は、本実施の形態に係るオイルクーラの構成を示す斜視図である。本実施の形態に係るオイルクーラ1は、カバーディスク2と、オイルレシーバ3と、ユニオンボルト4と、オイルクーラコア5と、ベースプレート6と、配管部7A,7Bとを備えている。カバーディスク2はカバー部として機能し、オイルクーラコア5はコア部として機能する。
【0011】
四角柱状のオイルクーラコア5は高温になったオイルの熱を冷却水で冷却する熱交換部として機能し、板状のベースプレート6に取り付けられている。配管部7A,7Bは、冷却水の入口と出口であり、オイルクーラコア5に取り付けられている。冷却水は、配管部7A,7Bを通じて不図示の内燃機関の冷却系とオイルクーラコア5との間を循環する。オイルクーラ1は、ベースプレート6の隅部に設けられたボルト孔8に挿通されたボルト9によって、内燃機関に取り付けられる。
【0012】
オイルフィルタ10は着脱可能にユニオンボルト4に固定される。例えば、ユニオンボルト4の先端に不図示のねじ溝が設けられおり、オイルフィルタ10を回転させることでユニオンボルト4に取り付ける又はユニオンボルト4から取り外すことができる。ユニオンボルト4の中央には貫通孔30が設けられており、オイルクーラコア5を通過した後のオイルがオイルフィルタ10に流れる。
図1の矢印Pはオイルクーラコア5に流れるオイルを示している。なお、
図1の矢印Qはオイルフィルタ10に流れるオイルを示している。
【0013】
カバーディスク2は、オイルクーラコア5の上面に取り付けられ、
図3に示すような形状の部材である。カバーディスク2は、板状であり、中央に、ユニオンボルト4をねじ込むためのねじ部(不図示)が形成された第1貫通孔11を備えている。ユニオンボルト4はカバーディスク2にねじ止めされると共にろう付け固定される。第1貫通孔11の周りには、第1貫通孔11よりも小さい直径の第2貫通孔12が複数設けられている。第2貫通孔12は、オイルをオイルフィルタ10に流すオイル通路として機能する。カバーディスク2は、第1面14a、第2面14b、第3面14cを有し、第1面14a及び第3面14cは水平面である。第2貫通孔12が設けられている第2面14bは、第1貫通孔11に向かって窪むようにテーパ状に傾斜している。
【0014】
また、カバーディスク2の両端には、オイルクーラコア5の上面に設けられた突起15と係合する凹部13が設けられている。凹部13はオイルクーラコア5に対するカバーディスク2の位置決めに利用される。
【0015】
オイルレシーバ3は、厚さ1.0~2.0mm程度の薄板である。このように、オイルレシーバ3は薄いので、加工が容易であり、設計の自由度を向上させることができる。
【0016】
オイルレシーバ3は、
図4に示すように、平板部20と、平板部20から前方に傾斜して突設されている、つまり
図4のB方向に突出している鍔部23とを備えている。鍔部23は前方下向き(B方向)に傾斜しており、鍔部23の下端にはV字状の溝部24が設けられているので、オイルフィルタ10の交換時にオイルフィルタ10又はユニオンボルト4から垂れたオイルを前方下向き(B方向)に流す。このため、フィルタの交換時に、作業者は、オイルレシーバ3の下に回収容器を置くことでオイルを回収することができる。
【0017】
図5に
図1のA方向から見た場合のオイルクーラ1の側面図を示す。
図5に示すように、オイルフィルタ10の取り外し方向又はオイルクーラコア5の高さ方向において、オイルレシーバ3(鍔部23)は、ユニオンボルト4よりも突出している。これにより、鍔部23はオイルフィルタ10又はユニオンボルト4から垂れたオイルを受け取ることができる。
【0018】
図4に戻り、オイルレシーバ3の平板部20は、中央にユニオンボルト4を貫通させる第1貫通孔21と、第1貫通孔21の周りに複数配置されている第2貫通孔22と、オイルフィルタ10との接触面25とを備えている。オイルフィルタ10との接触面25は、オイルが漏れないように一定のシール幅を確保している。第2貫通孔22は、カバーディスク2の第2貫通孔12と重なるように設けられており、オイルをオイルフィルタ10側に流すオイル通路として機能する。なお、第1貫通孔21を貫通するユニオンボルト4はオイルレシーバ3の位置決めに利用される。
【0019】
オイルレシーバ3は、アルミとろうのクラッド材で構成されており、カバーディスク2とろう付け(溶接)する。具体的には、オイルレシーバ3のろう側をカバーディスク2と対向するように配置して、カバーディスク2とろう付けする。ただし、ろう付けの手法は、上記に限定されるものではない。ブレージングシートを使うなど様々な方法でろう付けが行われてもよい。カバーディスク2と一体化されたオイルレシーバ3は、オイルフィルタ10の取り付け方向に沿って、オイルフィルタ10とオイルクーラコア5との間に配置されている。
【0020】
オイルレシーバ3をカバーディスク2にろう付けして一体化するので、オイルレシーバ3をオイルフィルタ10に近い位置に設置することができる。このため、オイルキャッチ性能を向上させることができ、オイルが周辺部品に飛び散ることを抑制することができる。
【0021】
また、従来技術のように、オイルレシーバを別体でオイルクーラに外付けする場合には、オイルがオイルクーラコアとオイルレシーバとの隙間に入り込み、オイルを拭き取ることが困難であった。本実施の形態では、オイルレシーバ3をカバーディスク2と一体化するので、オイルがオイルクーラコア5とオイルレシーバ3との隙間に入り込むことを抑制することができる。
【0022】
また、本実施の形態では、オイルレシーバ3をカバーディスク2と一体化するので、オイル通路となっている部分をシールすることができる。特に、オイルレシーバ3とカバーディスク2との間にオイルが流れることを抑制できる。さらに、オイルフィルタ交換時に噴出するオイルが付着する部品を1つの構成部品、すなわちオイルレシーバ3にすることができ、確実にかつ簡単にオイルを拭き取ることができる。
【0023】
特許文献1では、オイルフィルタの交換時にオイルレシーバの着脱が必要になるため、オイルフィルタの交換作業の作業時間が増大するが、本実施の形態では、オイルレシーバ3の着脱が不要なので、オイルフィルタ10の交換作業の作業時間を減らすことができる。
【0024】
以上説明したように、本実施の形態によれば、オイルレシーバ3は、オイルフィルタ10の取り付け方向に沿ってオイルフィルタ10とオイルクーラコア5との間に設けられ、且つカバーディスク2に一体的に取り付けられているので、オイルがオイルクーラコア5とオイルレシーバ3との隙間に入り込むこと及びオイルが周辺部品に飛び散ることを抑制することができる。
【0025】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 オイルクーラ、2 カバーディスク、3 オイルレシーバ、4 ユニオンボルト、5 オイルクーラコア、6 ベースプレート、7A,7B 配管部、10 オイルフィルタ