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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187662
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】表面検査装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
G01N21/88 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095767
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】平松 崇
(72)【発明者】
【氏名】田崎 海渡
(72)【発明者】
【氏名】相川 清史
(72)【発明者】
【氏名】宇野 美穂
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕一
(72)【発明者】
【氏名】桑田 良隆
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB07
2G051BA08
2G051BB01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
2G051EC02
2G051ED21
(57)【要約】
【課題】表面の品質を表す数値の算出に使用する範囲の形状が固定である場合に比して、ユーザが注目する部分以外の影響が少ない数値の算出を可能にする。
【解決手段】表面検査装置は、検査の対象とする物体の表面を撮像する撮像デバイスと、撮像デバイスにより撮像された画像を処理して表面の品質を表す数値を算出するプロセッサとを有し、プロセッサに、画像内の指標により示される数値の算出に用いる範囲の変更を受け付ける機能を設ける。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査の対象とする物体の表面を撮像する撮像デバイスと、
前記撮像デバイスにより撮像された画像を処理して前記表面の品質を表す数値を算出するプロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、前記画像内の指標により示される前記数値の算出に用いる範囲の変更を受け付ける、
表面検査装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記画像内に、変更を受け付ける前の前記範囲を示す第1の指標と、変更を受け付けた後の前記範囲を示す第2の指標を表示する、
請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記第1の指標は、前記範囲の変更中も表示される、
請求項2に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記第2の指標は、前記第1の指標の位置の変更の操作を受け付けた後に表示される、
請求項2又は3に記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記第2の指標は、曲線による描画が可能である、
請求項4に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、変更後の前記範囲の面積が変更前に比して小さくなる変更を受け付ける、
請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、変更後の前記範囲の全体が変更前の当該範囲に含まれる変更を受け付ける、
請求項6に記載の表面検査装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記範囲の変更を受け付けた場合、変更後の当該範囲について前記数値を計算する、
請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記数値の算出後に前記範囲の変更を受け付けた場合、変更後の当該範囲について前記数値を再計算する、
請求項8に記載の表面検査装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記範囲の変更を受け付けた場合、前記数値が基準の範囲とは異なる条件で算出されることを画面上に表示させる、
請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、変更後の前記範囲の減少が閾値を超えた場合、算出される数値の精度の低下を警告する、
請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、変更後の前記範囲の外縁と前記画像の外縁との距離が予め定めた閾値より短くなった場合、算出される数値の精度の低下を警告する、
請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項13】
前記範囲の形状の変更を受け付けるための専用の操作子を更に有する、
請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項14】
前記操作子は、前記数値の算出の開始の指示に用いる第2の操作子とは別に設けられる、
請求項13に記載の表面検査装置。
【請求項15】
前記操作子は、前記画像の撮像に用いる第3の操作子とは別に設けられる、
請求項13又は14に記載の表面検査装置。
【請求項16】
装置本体の携帯が可能であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の表面検査装置。
【請求項17】
撮像デバイスにより撮像された画像を処理して、検査の対象である物体の表面の品質を表す数値を算出するコンピュータに、
前記画像内の指標により示される前記数値の算出に用いる範囲の変更を受け付ける機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面検査装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、様々な製品において、合成樹脂を成形した部品(以下「成形品」という)が用いられている。一方で、成形品の表面には、視覚的に観察が可能な不良が現れることがある。この種の不良には、意図せず形成される凹みである「ヒケ」、溶融した樹脂が合流する部分に形成される「ウェルド」等がある。また、表面に意図的に凹凸を形成するシボ加工の場合にも、想定する質感との違いが現れることがある。質感は、色、光沢、凹凸の複合的な要因により変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5966277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物体の表面の品質を検査する装置(以下「表面検査装置」ともいう)には、撮像された画像のうち品質を表す数値を算出する範囲を規定する基準線を表示する機能が設けられている。この範囲の形状は、表面検査装置により固定的に与えられ、範囲の変更は想定されていない。
しかし、物体の表面に現れる不良の形状や大きさは様々である。このため、表面検査装置が決定した範囲が、ユーザの着目する不良の大きさよりも広くなり過ぎることが起こり得る。この場合、算出される数値には、注目する不良よりもノイズの影響を受け易くなる。
また、特定の部分の質感を確認したい場合にも、表面検査装置が決定した範囲内に構造上の凹凸や他の不良が含まれることが起こり得る。この場合も、算出される数値には、注目する部分以外の情報が影響する。
【0005】
本発明は、表面の品質を表す数値の算出に使用する範囲の形状が固定である場合に比して、ユーザが注目する部分以外の影響が少ない数値の算出を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、検査の対象とする物体の表面を撮像する撮像デバイスと、前記撮像デバイスにより撮像された画像を処理して前記表面の品質を表す数値を算出するプロセッサと、を有し、前記プロセッサは、前記画像内の指標により示される前記数値の算出に用いる範囲の変更を受け付ける、表面検査装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、前記画像内に、変更を受け付ける前の前記範囲を示す第1の指標と、変更を受け付けた後の前記範囲を示す第2の指標を表示する、請求項1に記載の表面検査装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第1の指標は、前記範囲の変更中も表示される、請求項2に記載の表面検査装置である。
請求項4に記載の発明は、前記第2の指標は、前記第1の指標の位置の変更の操作を受け付けた後に表示される、請求項2又は3に記載の表面検査装置である。
請求項5に記載の発明は、前記第2の指標は、曲線による描画が可能である、請求項4に記載の表面検査装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセッサは、変更後の前記範囲の面積が変更前に比して小さくなる変更を受け付ける、請求項1に記載の表面検査装置である。
請求項7に記載の発明は、前記プロセッサは、変更後の前記範囲の全体が変更前の当該範囲に含まれる変更を受け付ける、請求項6に記載の表面検査装置である。
請求項8に記載の発明は、前記プロセッサは、前記範囲の変更を受け付けた場合、変更後の当該範囲について前記数値を計算する、請求項1に記載の表面検査装置である。
請求項9に記載の発明は、前記プロセッサは、前記数値の算出後に前記範囲の変更を受け付けた場合、変更後の当該範囲について前記数値を再計算する、請求項8に記載の表面検査装置である。
請求項10に記載の発明は、前記プロセッサは、前記範囲の変更を受け付けた場合、前記数値が基準の範囲とは異なる条件で算出されることを画面上に表示させる、請求項1に記載の表面検査装置である。
請求項11に記載の発明は、前記プロセッサは、変更後の前記範囲の減少が閾値を超えた場合、算出される数値の精度の低下を警告する、請求項1に記載の表面検査装置である。
請求項12に記載の発明は、前記プロセッサは、変更後の前記範囲の外縁と前記画像の外縁との距離が予め定めた閾値より短くなった場合、算出される数値の精度の低下を警告する、請求項1に記載の表面検査装置である。
請求項13に記載の発明は、前記範囲の形状の変更を受け付けるための専用の操作子を更に有する、請求項1に記載の表面検査装置である。
請求項14に記載の発明は、前記操作子は、前記数値の算出の開始の指示に用いる第2の操作子とは別に設けられる、請求項13に記載の表面検査装置である。
請求項15に記載の発明は、前記操作子は、前記画像の撮像に用いる第3の操作子とは別に設けられる、請求項13又は14に記載の表面検査装置である。
請求項16に記載の発明は、装置本体の携帯が可能であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の表面検査装置である。
請求項17に記載の発明は、撮像デバイスにより撮像された画像を処理して、検査の対象である物体の表面の品質を表す数値を算出するコンピュータに、前記画像内の指標により示される前記数値の算出に用いる範囲の変更を受け付ける機能、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、表面の品質を表す数値の算出に使用する範囲の形状が固定である場合に比して、ユーザが注目する部分以外の影響が少ない数値の算出を可能にできる。
請求項2記載の発明によれば、変更の前後の範囲の違いを比較できる。
請求項3記載の発明によれば、基準となる範囲を確認しながら範囲を変更できる。
請求項4記載の発明によれば、ユーザによる画像の視認性を向上できる。
請求項5記載の発明によれば、注目する部分だけを指定して数値を算出させることができる。
請求項6記載の発明によれば、注目する部分の品質をより正確に表した数値を算出できる。
請求項7記載の発明によれば、注目する部分の品質をより正確に表した数値を算出できる。
請求項8記載の発明によれば、注目する部分の品質をより正確に表した数値を算出できる。
請求項9記載の発明によれば、既に数値が算出されていても、範囲の変更を数値に反映できる。
請求項10記載の発明によれば、算出される数値が標準的な算出とは異なる値になることをユーザに報知できる。
請求項11記載の発明によれば、算出される数値が標準的な算出とは異なる値になることをユーザに報知できる。
請求項12記載の発明によれば、算出される数値の精度が基準を満たさない可能性をユーザに報知できる。
請求項13記載の発明によれば、数値の算出に用いる範囲を変更する場合の操作性を向上できる。
請求項14記載の発明によれば、数値の算出と範囲の変更の混同を回避できる。
請求項15記載の発明によれば、数値の算出と画像の撮像との混同を回避できる。
請求項16記載の発明によれば、検査の対象とする物体の表面と表面検査装置が撮像する範囲が不定でも、表面の品質の検査の精度を高めることができる。
請求項17記載の発明によれば、表面の品質を表す数値の算出に使用する範囲の形状が固定である場合に比して、ユーザが注目する部分以外の影響が少ない数値の算出を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1で想定する表面検査装置の使用例を説明する図である。
図2】検査対象の表面に現れる欠陥の例を説明する図である。(A)はヒケの例を示し、(B)はウェルドの例を示す。
図3】実施の形態1で使用する表面検査装置のハードウェア構成の一例を説明する図である。
図4】実施の形態1における表面検査装置の光学系の構造例を説明する図である。(A)は表面検査装置の筐体の内部構造を概略的に示し、(B)は検査の際に検査対象の表面に押し当てられる開口部の構造を示す。
図5】実施の形態1で使用する表面検査装置による検査動作の一例を説明するフローチャートである。
図6】ディスプレイに表示される操作画面の一例を説明する図である。
図7】スコアの算出の原理を説明する図である。(A)は検査の対象として取得された画像例を示し、(B)はY軸方向に形成された凹みのX方向の断面例を示し、(C)は画像の輝度プロファイルを示す。
図8】検査範囲を変更する機能を用意する理由を説明する図である。(A)は検査範囲を変更する前の輝度プロファイルを示し、(B)は検査範囲を変更した後の輝度プロファイルを示す。
図9】検査範囲の変更に伴い実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図10】検査範囲の変更に伴う操作画面の変化を説明する図である。(A)は検査範囲を規定する4本の基準線のうち左側の基準線が指定された時点の画面例を示し、(B)は変更線の移動中の画面例を示す。
図11】検査範囲の左辺の位置の変更が終了した時点における操作画面を説明する図である。
図12】検査範囲を追加で変更する場合における操作画面の変化を説明する図である。(A)は検査範囲を規定する4本の基準線のうち右側の基準線が指定された時点の画面例を示し、(B)は変更線の移動中の画面例を示す。
図13】検査範囲の右辺の位置の変更が終了した時点における操作画面を説明する図である。
図14】変更後の検査範囲が基準範囲の半分以下となる場合における操作画面を説明する図である。(A)は基準範囲の右辺を与える変更線の移動中の画面例を示し、(B)は基準範囲の変更が終了した時点の画面例を示す。
図15】基準範囲の他の変更例を説明する図である。
図16】検査範囲の下辺を与える変更線が撮像画像欄の下辺に設定された例を説明する図である。
図17】検査範囲の変更に伴い実行される処理動作の他の例を説明するフローチャートである。
図18】検査範囲の変更に伴う操作画面の変化を説明する図である。(A)は検査範囲を規定する4本の基準線のうち左側の基準線が指定された時点の画面例を示し、(B)は変更線の移動中の画面例を示す。
図19】検査範囲の左辺の位置の変更が終了した時点における操作画面を説明する図である。
図20】実施の形態3で使用する表面検査装置による検査動作の一例を説明するフローチャートである。
図21】検査範囲の変更を受け付ける専用のボタンを操作画面に配置する例を説明する図である。
図22】実施の形態5における表面検査装置の光学系の構造例を説明する図である。
図23】実施の形態3で想定する表面検査装置の使用例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
<実施の形態1>
<表面検査装置の使用例>
図1は、実施の形態1で想定する表面検査装置1の使用例を説明する図である。
実施の形態1で使用する表面検査装置1の撮像部は、いわゆるエリアカメラであり、撮像する範囲(以下「撮像範囲」という)が面で規定される。不図示の照明は、撮像範囲全体に対して、正反射条件となる成分を含むように構成する。
【0010】
図1の場合、撮像範囲は、検査の対象とする物体(以下「検査対象」ともいう)10の全体を含んでいる。もっとも、撮像範囲は、検査対象10のうち注目する一部分のみを含んでもよい。本実施の形態における検査対象10には、成形品を想定する。
エリアカメラによる検査の場合、表面検査装置1と検査対象10による検査は、静止した状態で実行される。換言すると、表面検査装置1と検査対象10が相対的に移動しない状態で、検査対象10の表面の検査が実行される。
【0011】
図1の場合、検査対象10は板状であるが、検査対象10の形状は任意である。例えば検査対象10は、例えば多面体の他、球体や円柱等の曲面を有する形状でもよい。
実際の検査対象10には、穴、切り欠き、突起、段差等が存在することがある。
また、検査対象10の表面の仕上げの種類には、無処理、鏡面仕上げ、準鏡面仕上げ、シボ加工等がある。
【0012】
表面検査装置1は、検査対象10の表面の欠陥や質感を検査する。
欠陥には、例えばヒケ、ウェルドがある。ヒケは、肉厚部分やリブ部に発生する表面の凹みであり、ウェルドは、溶融した樹脂の先端が金型内で合流する部分に発生する筋をいう。なお、欠陥には、物がぶつかることで生じる傷や打痕も含まれる。
質感は、視覚や触覚の印象であり、物体の表面の色、光沢、凹凸が影響する。表面の凹凸には、金型を切削する際に生じた筋も含まれる。この種の筋は、欠陥とは異なる。
【0013】
図2は、検査対象10の表面に現れる欠陥の例を説明する図である。(A)はヒケの例を示し、(B)はウェルドの例を示す。図2(A)及び図2(B)では、欠陥の箇所を破線で囲んで示している。図2(A)には4つのヒケがある。
本実施の形態における表面検査装置1は、欠陥と質感の検査に限らず、表面の汚れの検査にも使用される。
【0014】
表面検査装置1は、検査対象10の表面の欠陥を強調した画像を生成すると共に、質感を評価した結果を定量化して出力する。
ここでの欠陥は、本来は平坦であるべきに部分に出現している凹凸や筋、すなわちヒケやウェルドである。質感は、数値(以下「スコア」ともいう)により評価される。スコアは、検査対象10の表面の品質を表す数値の一例である。
【0015】
スコアの算出には、例えば多変量解析を使用する。多変量解析では、例えば輝度分布に現れる特徴が解析される。特徴の例には、例えばヒケの方向に沿って延びる筋状のパターンがある。
この他、スコアの算出には、人工知能を用いる方法もある。例えば欠陥を撮像した画像とスコアの関係を深層機械学習等した学習モデルにカメラで撮像された画像を与えることで、検査範囲内の部分領域のスコアが算出される。
【0016】
図1に示す検査対象10は、X軸とY軸で規定される面に対して平行に設置されている。この場合、検査対象10の表面の法線はZ軸と平行になる。
一方、表面検査装置1は、検査対象10の鉛直上方に配置される。換言すると、表面検査装置1が検査対象10の撮像に使用する光学系の光軸は、検査対象10の表面の法線に対して概略平行に設定される。以下、この光軸について要求される条件を「撮像条件」ともいう。
【0017】
このとき、表面検査装置1は、撮像条件を満たす位置に設置される。表面検査装置1の設置は、特定の部材への固定により行ってもよいし、特定の部材に対して取り外し可能に行われてもよい。
もっとも、表面検査装置1は、携帯型の装置でもよい。携帯が可能である場合、作業者は、例えば手に表面検査装置1を持ち、受光面を検査対象10に向けることで、任意の表面を検査する。
図1では、表面検査装置1と検査対象10の位置関係の説明を目的とするため、表面検査装置1の外観を簡略化して略直方体として表している。
【0018】
<表面検査装置の構成>
図3は、実施の形態1で使用する表面検査装置1のハードウェア構成の一例を説明する図である。
図3に示す表面検査装置1は、装置全体の動作を制御するプロセッサ101と、BIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)102と、プロセッサ101のワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)103と、プログラムや画像データを記憶する補助記憶装置104と、検査対象10の表面を撮像した画像や操作に関する情報が表示されるディスプレイ105と、作業者の操作を受け付ける操作受付装置106と、検査対象10の表面を撮像するカメラ107と、検査対象10の表面を照明する光源108と、外部との通信に用いられる通信IF(=InterFace)109と、を有している。なお、プロセッサ101と各部は、バス等の信号線110を通じて接続されている。
【0019】
プロセッサ101と、ROM102と、RAM103は、いわゆるコンピュータとして機能する。
プロセッサ101は、プログラムの実行を通じて各種の機能を実現する。例えばプロセッサ101は、プログラムの実行を通じ、撮像された検査対象10の表面の質感を評価したスコアの算出等を実行する。
検査対象10の表面を撮像した画像データは、補助記憶装置104に記憶される。補助記憶装置104には、例えば半導体メモリ、ハードディスク装置を使用する。補助記憶装置104には、ファームウェアやアプリケーションプログラムも記憶される。以下では、ファームウェアやアプリケーションプログラムを総称して「プログラム」という。
なお、本実施の形態及び後述する他の実施の形態等で説明する機能を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CDROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0020】
ディスプレイ105は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、検査対象10の全体や検査対象10の特定の部位の画像等を表示する。ディスプレイ105は、検査対象10に対する撮像範囲の位置決めにも使用される。
本実施の形態の場合、ディスプレイ105は、装置本体に一体的に設けられているが、通信IF109を通じて接続される外部の装置でもよいし、通信IF109を通じて接続される他の装置の一部でもよい。例えばディスプレイ105は、通信IF109を通じて接続された他のコンピュータのディスプレイでもよい。
【0021】
操作受付装置106は、ディスプレイ105に配置されるタッチセンサや筐体に配置される物理的なスイッチ、ボタン等で構成される。
本実施の形態の場合、物理的なボタンの一例として電源ボタンや撮像ボタンが設けられている。電源ボタンが操作されると、例えば光源108が点灯し、カメラ107による撮像が開始される。また、撮像ボタンが操作されると、操作時にカメラ107が撮像していた特定の画像が、検査用の画像として取得される。ここでの撮像ボタンは、第3の操作子の一例である。
【0022】
ディスプレイ105と操作受付装置106を一体化したデバイスは、タッチパネルと呼ばれる。タッチパネルは、ソフトウェア的に表示されたキー(以下「ソフトキー」とも呼ぶ)に対するユーザの操作の受け付けに使用される。
【0023】
本実施の形態の場合、カメラ107には、カラーカメラを使用する。カメラ107の撮像素子には、例えばCCD(=Charge Coupled Device)イメージングセンサ素子やCMOS(=Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージング素子を使用する。
カメラ107としてカラーカメラを使用するので、検査対象10の表面の輝度だけでなく色調の観察も原理的には可能である。カメラ107は、撮像デバイスの一例である。
【0024】
本実施の形態の場合、光源108には白色光源を使用する。白色光源は、可視光帯域の光が均等に混在された光を発生する。
本実施の形態の場合、光源108には平行光源を使用する。また、カメラ107の光軸上にテレセントリックレンズを配置する。
【0025】
本実施の形態における光源108は、検査対象10の表面で鏡面反射された光成分が主にカメラ107に入射する角度に配置される。
通信IF109は、有線や無線による通信規格に準拠したモジュールで構成される。通信IF109には、例えばイーサネット(登録商標)モジュール、USB(=Universal Serial Bus)、無線LANその他を使用する。
【0026】
<光学系の構造>
図4は、実施の形態1における表面検査装置1の光学系の構造例を説明する図である。(A)は表面検査装置1の筐体100の内部構造を概略的に示し、(B)は検査の際に検査対象10の表面に押し当てられる開口部111の構造を示す。
開口部111には、検査対象10の表面を照明する照明光と検査対象10の表面で反射した反射光が入出力される開口111Aと、その外縁を取り囲む鍔部111Bとが設けられている。
【0027】
図4の場合、開口111Aと鍔部111Bは、いずれも円形状である。もっとも、開口111Aと鍔部111Bは、他の形状でもよい。例えば矩形でもよい。
なお、開口111Aと鍔部111Bは相似形状である必要はなく、開口111Aは円形状で、鍔部111Bは矩形でもよい。
【0028】
鍔部111Bは、検査対象10の表面に対する表面検査装置1の撮像方向の位置決めに使用される。換言すると、鍔部111Bは、検査の対象である表面に対するカメラ107と光源108の位置決めに用いられる。鍔部111Bには、開口111Aへの外光又は環境光の入射を防止する又は低減する役割もある。
【0029】
図4(A)に示す筐体100は、概略筒状の2つの部材を結合した構造を有し、一方の部材側に光源108が取り付けられ、他方の部材側にカメラ107やプロセッサ101が取り付けられている。
また、カメラ107が取り付けられている側の筐体100の側面には、ディスプレイ105と操作受付装置106が取り付けられている。
【0030】
カメラ107の視野内のMTF(=Modulation Transfer Function)は概ね均一である。このため、視野内の位置の違いによるコントラストのばらつきは小さく、検査対象10の表面の忠実な撮像が可能である。
【0031】
図4(A)の場合、平板状の検査対象10のうち検査対象10の表面の法線をN0で示す。また、図4(A)では、光源108から出力される照明光の光軸をL1で示し、検査対象10の表面で鏡面反射された反射光の光軸をL2で示す。ここでの光軸L2は、カメラ107の光軸と一致する。
【0032】
なお、現実の検査対象10の表面は、構造上又はデザイン上の凹凸、曲面、段差、つなぎ目、成形の過程等で形成された微細な凹凸等を有している。
従って、検査対象10の法線N0として、検査対象10のうち注目する領域ARの法線N0の平均値や注目する特定の位置Pの法線N0を使用してもよい。
【0033】
また、検査対象10の法線N0として、検査対象10の平均的な仮想の表面や代表的な部分の法線N0を使用してもよい。
図4(A)の場合、光源108から出力される照明光の光軸L1とカメラ107の光軸L2は、いずれも法線N0に対して角度θで取り付けられる。角度θには、例えば概略30°や概略45°を使用する。
【0034】
<検査動作>
<基本動作>
図5は、実施の形態1で使用する表面検査装置1による検査動作の一例を説明するフローチャートである。図中に示す記号のSは、ステップを意味する。
図5に示す処理は、プロセッサ101(図4参照)によるプログラムの実行を通じて実現される。
本実施の形態における表面検査装置1は、電源ボタンの操作により光源108(図4参照)が点灯し、カメラ107(図4参照)による撮像が開始される。撮像された画像はディスプレイ105(図4参照)に表示される。
【0035】
図6は、ディスプレイ105に表示される操作画面120の一例を説明する図である。図6に示す操作画面120には、カメラ107で撮像された画像の表示欄(以下「撮像画像欄」という)121と、スコア欄122と、スコアの算出に寄与した部分領域の特徴を強調した画像の表示欄(以下「強調画像欄」という)123と、凡例124が配置されている。
撮像画像欄121には、輝度値の分布、すなわちグレースケール画像が表示される。図6の場合、スコアの計算に使用する検査範囲の外縁を与える基準線121Aが表示されている。基準線121Aは、変更前の検査範囲を示す第1の指標の一例である。
【0036】
図6の例では4本の基準線121Aで囲まれた範囲が検査範囲である。検査範囲内の画像について、表面の品質を表すスコアが算出される。
なお、撮像画像欄121の右隣には、凡例124が示されている。図6の場合、撮像画像欄121の濃淡は、階調値の「205」から「253」に対応する。
図6に示す操作画面120の場合、スコアの算出前であるので、スコア欄122は空白であり、強調画像欄123にも画像が表示されていない。
【0037】
図5の説明に戻る。
本実施の形態では、ディスプレイ105に表示されている画像を確認している作業者が撮像ボタンを操作すると、表面の品質の評価に使用する画像が確定される。
そこで、電源ボタンの操作により検査動作を開始したプロセッサ101は、撮像ボタンの操作を受け付けたか否かを判定する(ステップ1)。操作ボタンの操作は、検査の開始を指示する操作の一例である。
ステップ1で否定結果が得られている間、プロセッサ101は、ステップ1の判定を繰り返す。
【0038】
ステップ1で肯定結果が得られると、プロセッサ101は、検査に使用する画像を取得する(ステップ2)。具体的には、撮像ボタンが操作された時点にディスプレイ105に表示されていた画像が取得される。
本実施の形態の場合、撮像ボタンが操作されると、カメラ107による撮像が継続していても、撮像画像欄121(図6参照)に表示される画像の更新は停止される。
次に、プロセッサ101は、検査範囲内の輝度プロファイルを用いてスコアを算出する(ステップ3)。すなわち、撮像画像欄121に表示された4本の基準線121Aで囲まれた範囲内の画像を対象に、スコアが算出される。
【0039】
図7は、スコアの算出の原理を説明する図である。(A)は検査の対象として取得された画像例を示し、(B)はY軸方向に形成された凹みのX方向の断面例を示し、(C)は画像の輝度プロファイルSを示す。
図7(B)に示す凹みは、例えばヒケを表している。図7(B)では、説明上の都合により、断面の形状が二等辺三角形の場合を表しているが、勿論、この形状は一例である。
【0040】
この場合、図7(C)に示す輝度プロファイルSは、X軸方向の各座標を代表する輝度値(以下「代表輝度値」という)の変化として与えられる。
ここでの代表輝度値は、X座標が同じ各画素の輝度値の積分値で与えられる。輝度プロファイルSの凸波形は周囲に比べて明るい領域を示し、凹波形は周囲に比べて暗い領域を示す。
【0041】
スコアは、例えば輝度プロファイルSの最大値と最小値の差(すなわち波高)として算出される。
スコアは、表面に形成された凹凸の幅、高さ、深さ、数等に依存する。例えば凸部の高さや凹部の深さが同じでも、より長い幅を有する凸部や凹部が形成されている部分領域のスコアが高くなる。
【0042】
また、凸部や凹部の幅が同じでも、より高い凸部やより深い凹部が形成されている部分領域のスコアが高くなる。本実施の形態の場合、スコアが高いことは、品質が悪いことを意味する。
本実施の形態では、スコアの算出に寄与する部分領域を、図7(C)に示す輝度プロファイルSの凸波形の開始点と凹波形の終了点の間と規定する。
【0043】
図5の説明に戻る。
スコアが算出されると、プロセッサ101は、スコアが高い部分領域の特徴を強調した画像(以下「強調画像」という)を生成して別表示する(ステップ4)。
本実施の形態では、プロセッサ101は、抽出された部分領域から特定の方向に現れる特定の周期成分を抽出し、抽出された周期成分の逆変換により特徴画像を元画像に重ねることで強調画像を生成する。
【0044】
周期成分の抽出には、例えば2次元DCT(=Discrete Cosine Transform)、DST(=Discrete Sine Transform)、FFT(=Fast Fourier Transform)等を使用する。
なお、特徴画像への逆変換の際には、各画素の強度成分(すなわち輝度値)を最大値で正規化し、特徴画像の階調の範囲を拡張する。また、特徴画像の強度成分には色成分をマッピングすることで、グレースケールで表現される元画像部分との区別を可能にする。
【0045】
強調画像を表示することで、スコアが算出された部分領域の表面を撮像したグレースケール画像では微小な構造の目視が困難な場合でも、表面状態の確認が可能になる。
本実施の形態の場合、生成された強調画像は、カメラ107で撮像したグレースケール画像と同じ操作画面内に並べて表示される。
この他、プロセッサ101は、対応するスコアを操作画面120(図6参照)に表示する(ステップ5)。
【0046】
<検査範囲の変更>
本実施の形態における表面検査装置1には、作業者による検査範囲の変更が認められている。
図8は、検査範囲を変更する機能を用意する理由を説明する図である。(A)は検査範囲を変更する前の輝度プロファイルを示し、(B)は検査範囲を変更した後の輝度プロファイルを示す。
【0047】
図8(A)及び(B)に示す画像は、撮像画像欄121(図6参照)に表示される画像のうち4本の基準線121A(図6参照)で囲まれる検査範囲の画像を表している。
図8の場合、Y軸方向の各座標値の輝度プロファイルは、X軸方向の各座標値における輝度値の平均値として与えられる。
図8(A)に示す変更前の検査範囲の場合、検査範囲のX軸方向の幅に対してヒケの寸法が狭い。このため、輝度値の平均値で与えられる輝度プロファイの波高が小さくなる。すなわち、実際の欠陥よりもスコアが小さい値として計算される可能性がある。
【0048】
図8(B)に示す変更後の検査範囲の場合、X軸方向の幅が変更前に比して狭くなる。このため、輝度値の平均値で与えられる輝度プロファイルの波高は、変更前に比して大きくなる。その結果、検査範囲を変更する前よりもスコアの値は高くなり、作業者が注目するヒケ等の欠陥の状態をより反映したスコアの算出が可能になる。
また、注目する欠陥等の周囲に構造上の凹凸や注目していない他の欠陥がある場合にも、それらの影響を避け、特定の欠陥についてのスコアの算出が可能になる。
また、欠陥を除く表面の品質を検査したい場合にも、欠陥の影響を除いたスコアの算出が可能になる。
【0049】
<検査範囲の変更時の動作>
図9は、検査範囲の変更に伴い実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図9に示す処理も、プロセッサ101によるプログラムの実行を通じて実現される。なお、図9に示す処理動作は、図5で説明した処理動作とは独立に実行される。
【0050】
まず、プロセッサ101は、検査範囲を変更する操作の受付か否かを判定する(ステップ11)。
本実施の形態の場合、プロセッサ101は、4本の基準線121Aのうちの1本が選択されたことを、検知範囲を変更する操作の受付とみなす。基準線121Aの選択は、例えば作業者による特定の基準線121Aのタップ、ダブルタップ、ロングタップにより実行される。なお、タップは、表示面を指先で1回叩くこと、ダブルタップは、表示面を指先で2回叩くこと、ロングタップは、表示面を指先で長く押すことをいう。換言すると、ロングタップは、指先が予め定めた時間以上、同じ場所にとどまることをいう。
【0051】
ステップ11で否定結果が得られている間、プロセッサ101は、ステップ11の判定を繰り返す。
一方、ステップ11で肯定結果が得られた場合、プロセッサ101は、操作の対象である基準線121A(図6参照)とは別に変更線を表示する(ステップ12)。ここでの変更線は、基準線121Aとの区別が可能な形態で表示する。例えば基準線121Aを黄色で表示する場合、変更線は赤色で表示する。もちろん、色の組み合わせは一例である。
【0052】
次に、プロセッサ101は、操作量に応じて変更線を移動させる(ステップ13)。本実施の形態の場合、変更線の移動が可能な方向は、選択した基準線121A毎に決まっている。基本的には、変更線と直交する方向に移動が可能である。例えば基準線121Aが縦線の場合には水平方向にのみ移動が可能であり、基準線121Aが横線の場合には上下方向にのみ移動が可能である。
続いて、プロセッサ101は、操作の終了か否かを判定する(ステップ14)。例えば指先が画面から離れた場合、又は、指先の移動が停止した場合、又は、指先の停止が予め定めた時間以上継続した場合、プロセッサ101は、操作の終了と判定する。
【0053】
ステップ14で否定結果が得られた場合、プロセッサ101は、ステップ13に戻る。
一方、ステップ14で肯定結果が得られた場合、プロセッサ101は、変更後の検査範囲と画像の外縁との距離は閾値以下か否かを判定する(ステップ15)。
本実施の形態では、算出されるスコアの精度の低下を避けるため、撮像画像欄121(図6参照)の外縁付近の画像を含めない運用を採用する。
【0054】
ステップ15で肯定結果が得られた場合、プロセッサ101は、スコアの精度の低下の恐れを表示して処理を終了する(ステップ16)。本実施の形態の場合、検査範囲の変更の操作が終了しているので、検査範囲の再設定を促す表示を行う。なお、ステップ13とステップ14の間でステップ15の判定を実行する場合には、肯定結果を得てステップ16の表示の後にステップ13に戻ってもよい。
【0055】
ステップ15で否定結果が得られた場合、プロセッサ101は、変更後の検査範囲内の輝度プロファイルを用いてスコアを更新する(ステップ17)。
その後、プロセッサ101は、変更後の検査範囲は、基準範囲の半分以下か否かを判定する(ステップ18)。基準範囲は、4本の基準線121Aで囲まれた検査範囲のことである。また、変更後の検査範囲は、撮像画像欄121に表示されている変更線と変更の対象になっていない基準線121Aとで囲まれた範囲をいう。
【0056】
本実施の形態の場合、変更後の検査範囲の面積が基準範囲の面積の半分以下になった場合、ステップ18で肯定結果が得られる。
ステップ18で肯定結果が得られた場合、プロセッサ101は、スコアの精度の低下の恐れを表示する(ステップ16)。
一方、ステップ18で否定結果が得られた場合、プロセッサ101は、算出条件の変更を表示する(ステップ19)。
【0057】
<操作画面例>
以下では、表面検査装置1による検査対象10の検査時に表示される画面例について説明する。
【0058】
<画面例1>
図10は、検査範囲の変更に伴う操作画面120の変化を説明する図である。(A)は検査範囲を規定する4本の基準線121Aのうち左側の基準線121Aが指定された時点の画面例を示し、(B)は変更線121Bの移動中の画面例を示す。なお、図10には、図6との対応部分に対応する符号を付して示している。変更線121Bは、変更後の検査範囲を示す第2の指標の一例である。
【0059】
図10(A)及び(B)に示す撮像画像欄121には、ヒケに対応する概略円形の1つのパターンが含まれる。なお、操作画面120のスコア欄122には、この部分領域について算出されたスコアとして「3.1」の数値が表示されている。
図10(A)では、左側の基準線121Aが指先で選択されている。この選択は、検査範囲を変更する操作として受け付けられる。
操作の受付に伴い、基準線121Aの表示色は、変更線121Bの表示色に切り替わる。表示色が切り替わることで、作業者は、検査範囲の変更が可能になったことを知る。なお、図10(A)及び(B)では、表示色の違いを線種の違いで表現する。
【0060】
この後、指先の移動に伴い、変更線121Bは右方向に移動する。なお、変更線121Bの移動後は、移動の対象に選択された基準線121Aが最初の位置に表示される。これにより、作業者は、変更線121Bの移動量を目視により観察することが可能になる。
本実施の形態の場合、スコアの算出は、変更線121Bの移動が終了した時点で実行される。このため、図10(B)のスコア欄122のスコアは「3.1」のままである。
【0061】
図11は、検査範囲の左辺の位置の変更が終了した時点における操作画面120を説明する図である。図11には、図10との対応部分に対応する符号を付して示している。
図11の場合、変更線121Bは、対応する基準線121Aよりも右側であって、概略円形のパターンの左端よりも左側に位置する。
図11の場合、スコア欄122のスコアは「3.5」に更新されている。ここでのスコアは、左辺を与える変更線121Bと、上辺を与える基準線121Aと、右辺を与える基準線121Aと、下辺を与える基準線121Aで囲まれた範囲について算出される。
【0062】
また、操作画面120の下部には「スコアの算出条件が変更されました。」等の注意文125が追加的に表示される。
注意文125の表示により、作業者は、検査範囲の変更により、スコアの算出条件が変更されたことに気づくことが可能である。
なお、操作画面120の強調画像欄123に表示される強調画像は、検査範囲の変更の前後で同じである。
【0063】
図12は、検査範囲を追加で変更する場合における操作画面120の変化を説明する図である。(A)は検査範囲を規定する4本の基準線121Aのうち右側の基準線121Aが指定された時点の画面例を示し、(B)は変更線121Bの移動中の画面例を示す。なお、図12には、図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
すなわち、図12に示す操作画面120は、図11に示す操作画面120と同じである。このため、スコア欄122のスコアは「3.5」である。また、検査範囲は、初期状態から変更されているので、操作画面120の下部には、注意文125が表示されたままとなる。
【0064】
図12(A)では、右側の基準線121Aが指先で選択されている。この選択は、検査範囲を変更する操作として受け付けられる。
操作の受付に伴い、基準線121Aの表示色は、変更線121Bの表示色に切り替わる。表示色が切り替わることで、作業者は、検査範囲の変更が可能になったことを知る。図12(A)及び(B)でも、表示色の違いを線種の違いで表現する。
【0065】
この後、指先の移動に伴い、変更線121Bは左方向に移動する。なお、変更線121Bの移動後は、移動の対象に選択された基準線121Aが最初の位置に表示される。これにより、作業者は、変更線121Bの移動量を目視により観察することが可能になる。
本実施の形態の場合、スコアの算出は、変更線121Bの移動が終了した時点で実行される。このため、図12(B)のスコア欄122のスコアは「3.5」のままである。
【0066】
図13は、検査範囲の右辺の位置の変更が終了した時点における操作画面120を説明する図である。図13には、図12との対応部分に対応する符号を付して示している。
図13の場合、変更線121Bは、対応する基準線121Aよりも左側であって、概略円形のパターンの右端よりも右側に位置する。
図13の場合、スコア欄122のスコアは「4」に更新されている。
【0067】
ここでのスコアは、左辺を与える変更線121Bと、上辺を与える基準線121Aと、右辺を与える変更線121Bと、下辺を与える基準線121Aで囲まれた範囲について算出される。検査範囲のX軸方向の幅が狭まったことにより、スコアの数値は、円形のヒケの状態をより正確に与える。
なお、操作画面120の強調画像欄123に表示される強調画像は、検査範囲の変更の前後で同じである。
【0068】
<画面例2>
図14は、変更後の検査範囲が基準範囲の半分以下となる場合における操作画面120を説明する図である。(A)は基準範囲の右辺を与える変更線121Bの移動中の画面例を示し、(B)は基準範囲の変更が終了した時点の画面例を示す。図14には、図12との対応部分に対応する符号を付して示している。
図14(A)の場合、基準範囲の左辺を与える変更線121Bは、ヒケの左端に位置する。
一方、図14(B)の場合、基準範囲の右辺を与える変更線121Bは、ヒケの右端に位置している。
【0069】
ただし、左右の変更線121Bの間の距離は、左右の基準線121Aの間の距離の半分以下である。換言すると、変更後の検査範囲は、基準範囲に対する減少が閾値を超えている。ここでの閾値は、例えば基準範囲の半分である。
この場合、図14(B)に示す操作画面120の下部には、「範囲が狭すぎるため、精度が低下する可能性があります。」等の注意文126が表示され、作業者の注意を喚起する。この注意文126の表示は、警告の一種である。
なお、スコア欄122には、指定された検査範囲について算出されたスコアとして「4.5」が表示されている。ただし、このスコアは、信頼性が担保されない。
【0070】
<画面例3>
図15は、基準範囲の他の変更例を説明する図である。図15には、図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
図15の場合、撮像画像欄121の上端付近に検査対象10(図1参照)の構造上の外縁とその背景が写っている。この種の画像は、検査対象10が小さい場合や平面部が小さい場合に撮像される。なお、図15に示す撮像画像欄121の下端側には、高輝度と低輝度が隣り合う筋状のパターンが含まれている。
【0071】
この場合、作業者は、検査対象10の表面上の欠陥や質感に影響を与える筋状のパターンに着目する。しかし、スコア欄122には、検査範囲内の複数箇所について算出されるスコアのうち最も大きい数値が表示される。
このため、構造上の外縁とその背景との輝度差に対応する輝度プロファイルのスコアが、検査対象10の表面のヒケ等に対応する輝度プロファイルのスコアよりも大きくなる可能性がある。
【0072】
実際、強調画像欄123には、撮像画像欄121の上部の特徴を強調した強調画像が表示されている。
ただし、作業者が知りたいのは、検査対象10の表面のヒケ等に対応するスコアである。
このため、図15に示す操作画面120では、検査範囲の上辺が、基準線121Aから変更線121Bに変更されている。この例では、スコア欄122のスコアは「3.8」である。
ただし、検査範囲が変更されたので、操作画面120の下部には「スコアの算出条件が変更されました。」等の注意文125が追加的に表示されている。
【0073】
図16は、検査範囲の下辺を与える変更線121Bが撮像画像欄121の下辺に設定された例を説明する図である。図16には、図15との対応部分に対応する符号を付して示している。
図16の場合、検査範囲の下辺を与える変更線121Bが、基準線121Aよりも下方に位置している。具体的には、変更線121Bが、撮像画像欄121の下端に位置している。本実施の形態の場合、検査範囲の外縁と撮像画像欄121の外縁との距離は、いずれの辺についても閾値より長いことが要求される。
【0074】
しかし、図16の場合、検査範囲の下辺を与える変更線121Bは、撮像画像欄121の下端と一致しており、要求される規則を満たしていない。
この場合、操作画面120の下部には、「変更後の検査範囲の下辺が画像の外縁に近すぎます。精度が低下する可能性があります。」等の注意文126Aが表示され、作業者の注意を喚起する。この注意文126Aの表示も、警告の一種である。
注意文126Aの表示により、作業者は、検査範囲の再調整等が必要であることを知る。なお、図16の場合、スコア欄122にはスコアとして「4」が表示されている。
【0075】
<実施の形態2>
本実施の形態では、検査範囲を変更する際の他の操作画面120について説明する。
なお、本実施の形態における表面検査装置1の外観構成等は、実施の形態1で説明した表面検査装置1と同じである。
図17は、検査範囲の変更に伴い実行される処理動作の他の例を説明するフローチャートである。図17には、図9との対応部分に対応する符号を付して示している。
まず、プロセッサ101は、検査範囲を変更する操作の受付か否かを判定する(ステップ11)。
【0076】
ステップ11で否定結果が得られている間、プロセッサ101は、ステップ11の判定を繰り返す。
一方、ステップ11で肯定結果が得られた場合、プロセッサ101は、操作の対象である基準線121A(図6参照)の色を変更線121B(図10参照)の色に変更する(ステップ21)。
次に、プロセッサ101は、操作量に応じて変更線121Bを移動させる(ステップ13)。本実施の形態の場合、変更線121Bの移動中、対応する基準線121Aは表示されない。
【0077】
続いて、プロセッサ101は、操作の終了か否かを判定する(ステップ14)。
ステップ14で否定結果が得られた場合、プロセッサ101は、ステップ13に戻る。
一方、ステップ14で肯定結果が得られた場合、プロセッサ101は、変更線121Bの表示はそのままに、変更前の基準線121Aを再表示する(ステップ22)。対応する基準線121Aが再表示されることで、変更線121Bの移動量の確認が容易になる。
【0078】
次に、プロセッサ101は、変更後の検査範囲と画像の外縁との距離は閾値以下か否かを判定する(ステップ15)。
ステップ15で肯定結果が得られた場合、プロセッサ101は、スコアの精度の低下の恐れを表示する(ステップ16)。なお、ステップ13とステップ14の間でステップ15の判定を実行する場合には、肯定結果を得てステップ16の表示の後にステップ13に戻ってもよい。
【0079】
ステップ15で否定結果が得られた場合、プロセッサ101は、変更後の検査範囲内の輝度プロファイルを用いてスコアを更新する(ステップ17)。
その後、プロセッサ101は、変更後の検査範囲は、基準範囲の半分以下か否かを判定する(ステップ18)。
ステップ18で肯定結果が得られた場合、プロセッサ101は、スコアの精度の低下の恐れを表示して処理を終了する(ステップ16)。
一方、ステップ18で否定結果が得られた場合、プロセッサ101は、算出条件の変更を表示する(ステップ19)。
【0080】
<操作画面例>
以下では、表面検査装置1による検査対象10の検査時に表示される画面例について説明する。
【0081】
図18は、検査範囲の変更に伴う操作画面120の変化を説明する図である。(A)は検査範囲を規定する4本の基準線121Aのうち左側の基準線121Aが指定された時点の画面例を示し、(B)は変更線121Bの移動中の画面例を示す。なお、図18には、図10との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0082】
図18(A)の場合、検査範囲の左辺を規定する基準線121Aが指先で選択されている。このため、検査範囲の左辺の表示色は、変更線121Bの表示色に変更されている。表示色が切り替わることで、作業者は、検査範囲の変更が可能になったことを知る。なお、図18(A)及び(B)では、表示色の違いを線種の違いで表現している。
【0083】
この後、指先の移動に伴い、変更線121Bは右方向に移動する。なお、変更線121Bの移動を開始しても、対応する基準線121Aは表示されない。この点が、実施の形態1との違いの1つである。換言すると、本実施の形態では、指先による指定により、選択された基準線121Aは変更線121Bに変化し、そのまま指先により移動される。
【0084】
図19は、検査範囲の左辺の位置の変更が終了した時点における操作画面120を説明する図である。図19には、図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
図19の場合、検査範囲の変更が終了したので、変更線121Bに対応する基準線121Aが再び表示されている。このため、作業者は、変更線121Bの移動量の確認が容易である。
なお、変更前の基準線121Aを表示しない表示も可能である。
【0085】
<実施の形態3>
本実施の形態の場合、スコアの算出に際し、撮像ボタンの操作が不要な表面検査装置1(図1参照)について説明する。
なお、本実施の形態における表面検査装置1の外観構成等は、実施の形態1で説明した表面検査装置1と同じである。
【0086】
図20は、実施の形態3で使用する表面検査装置1による検査動作の一例を説明するフローチャートである。図20には、図5との対応部分に対応する符号を付して示している。
図20の場合、プロセッサ101(図4参照)は、電源ボタンの操作により光源108(図4参照)が点灯し、カメラ107(図4参照)による撮像を開始すると同時にスコアの算出等が実行される。
【0087】
このため、プロセッサ101は、カメラ107による撮像中の画像を取得する(ステップ21)と、検査範囲内の輝度プロファイルを用いてスコアを算出する(ステップ3)。
以下、プロセッサ101は、スコアが高い部分領域の特徴を強調した画像を生成して別表示し(ステップ4)、対応するスコアを操作画面120に表示する(ステップ5)。
【0088】
なお、ステップ5の終了後、プロセッサ101は、ステップ21に戻り、一連の処理を繰り返し実行する。この一連の処理の繰り返しにより、操作画面120(図6参照)に表示されるスコアは、カメラ107が撮像する画像の変化に応じて更新され続けることになる。
すなわち、カメラ107が撮像している位置が変化するとスコア欄122に表示されるスコアも変化する。
【0089】
<実施の形態4>
図21は、検査範囲の変更を受け付ける専用のボタン127を操作画面120に配置する例を説明する図である。図21には、図6との対応部分に対応する符号を付して示している。
ボタン127は、選択された基準線121Aの上方向への移動を指示するための移動ボタン127Aと、選択された基準線121Aの下方向への移動を指示するための移動ボタン127Bと、選択された基準線121Aの右方向への移動を指示するための移動ボタン127Cと、選択された基準線121Aの左方向への移動を指示するための移動ボタン127Dとで構成される。
【0090】
例えば検査範囲の上辺を規定する基準線121A又は下辺を規定する基準線121Aの選択後、移動ボタン127Aを操作すると、変更線121B(図10参照)が上方向に移動する。
例えば検査範囲の左辺を規定する基準線121A又は右辺を規定する基準線121Aの選択後、移動ボタン127Cを操作すると、変更線121Bが右方向に移動する。
ここでのボタン127は、撮像ボタンとは別の操作子である。
【0091】
本実施の形態の場合、移動ボタン127A、127B、127C、又は127Dが操作されている間、選択された基準線121Aに対応する変更線121Bが各ボタンに対応する方向に移動し続ける。
なお、移動ボタン127A、127B、127C、又は127Dがタップされた場合、予め定めた移動量だけ、各ボタンに対応する方向に変更線121Bが移動する。
【0092】
また、図21に示す操作画面120には、スコアの算出の開始を指示するためのボタン128が配置されている。
このため、実施の形態1のように撮像ボタンの操作によってスコアが算出されることはない。また、実施の形態2のように電源ボタンの操作によってスコアが算出されることもない。
本実施の形態の場合、ボタン128が操作されると、検査範囲を対象としたスコアの算出が開始され、スコア欄122にスコアが表示される。ボタン128は、第2の操作子の一例である。検査範囲の変更後のスコアの算出についても、ボタン128の操作により実行される。
【0093】
<実施の形態5>
本実施の形態では、検査範囲の変更用の物理的な操作子を筐体100(図4参照)に配置する例について説明する。
図22は、実施の形態5における表面検査装置1の光学系の構造例を説明する図である。図22には、図4との対応部分に対応する符号を付して示している。
図22の場合、筐体100の側面には、撮像ボタン106Aと検査範囲の変更を指示する操作ボタン106Bとが配置されている。
【0094】
ここでの操作ボタン106Bは、検査範囲の変更を受け付けるための専用のボタンの一例である。
操作ボタン106Bには、例えばダイヤル式のボタンを使用する。ダイヤル式のボタンの場合、回転方向により移動の方向が決まり、回転量により移動量が決まる。ダイヤル式のボタンには、例えばジョグダイヤルやアングルノブを使用する。ジョグダイヤルには、円筒の回転軸が筐体面と平行である取り付け方式と、円筒の回転軸が筐体面に垂直である取り付け方式がある。
【0095】
例えば検査範囲の上辺又は下辺を規定する基準線121Aが選択された状態で操作ボタン106Bが時計回りに回転されると変更線121Bは上方向に移動し、反時計回りに回転されると変更線121Bは下方向に移動する。
一方、検査範囲の左辺又は右辺を規定する基準線121Aが選択された状態で操作ボタン106Bが時計回りに回転されると変更線121Bは右方向に移動し、反時計回りに回転されると変更線121Bは左方向に移動する。移動量は、ダイヤル式のボタンの回転量により決まる。
【0096】
また、操作ボタン106Bは、図21に示すボタン127を構成する4つの移動ボタン127A、127B、127C及び127Dに対応する物理的なボタンで構成してもよい。
また、操作ボタン106Bは、上下方向への移動の指示に使用するシーソー型のスイッチと、左右方向への移動の指示に使用するシーソー型のスイッチとで構成してもよい。
【0097】
<実施の形態6>
図23は、実施の形態3で想定する表面検査装置1Aの使用例を説明する図である。図23には、図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
本実施の形態で使用する表面検査装置1Aの撮像部には、いわゆるラインカメラを使用する。このため、撮像範囲は線状である。
【0098】
本実施の形態の場合、検査の際、検査対象10は、1軸ステージ20の上に設置された状態で矢印の方向に移動される。1軸ステージ20が一方向に移動することにより、検査対象10の全体が撮像される。
なお、カメラ107(図4参照)としてラインカメラを用いる以外、カメラ107(図4参照)と光源108(図4参照)の位置関係等は、実施の形態1と同じである。
【0099】
<他の実施の形態>
(1)以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0100】
(2)前述の実施の形態においては、カメラ107(図4参照)としてカラーカメラを用いたが、モノクロカメラを用いてもよい。また、カラーカメラのうち緑(G)成分だけを使用して、検査対象10(図1参照)の表面を検査してもよい。
【0101】
(3)前述の実施の形態においては、光源108(図4参照)として白色光源を使用したが、照明光の色は任意でよい。
また、照明光は、可視光に限らず、赤外光や紫外光等でもよい。
【0102】
(4)前述の実施の形態では、光源108(図4参照)を1つ使用する表面検査装置1(図1参照)について説明したが、複数の光源を用いて検査対象10の表面を照明してもよい。
例えば2つの光源を使用してもよい。その場合、一方の光源は鏡面反射された光成分が主にカメラ107(図4参照)に入射する角度に配置し、他方の光源は拡散反射された光成分が主にカメラ107に入射する角度に配置してもよい。この場合、2つの光源は、カメラ107の光軸を挟んで両側に配置してもよいし、カメラ107の光軸に対して一方の側に並べて配置してもよい。
【0103】
(5)前述の実施の形態では、光源108(図4参照)として平行光源を使用したが、非平行光源である点光源や面光源を使用してもよい。また、カメラ107(図4参照)の光軸上に非テレセントリックレンズを使用してもよい。テレセントリックレンズや平行光を使用しない場合、実施の形態で説明した表面検査装置1(図1参照)に比して装置の小型化が可能になり、コストも安価に済む。
【0104】
(6)前述の実施の形態では、検査対象10(図1参照)を撮像する表面検査装置1(図1参照)のプロセッサ101(図3参照)がスコアの算出や検査範囲の変更を受け付ける機能を実現しているが、表面検査装置1から画像データを取得する外部のコンピュータやサーバのプロセッサにより同等の機能を実現してもよい。
【0105】
(7)前述の実施の形態では、検査範囲の外縁を規定する1辺の位置を変更しているが、2本の基準線121Aが交差する点を対角方向にドラッグすることにより、検査範囲の外縁を規定する2辺の位置を一度に変更してもよい。また、検査範囲の外縁を規定する4つの角部のうちの2つの角部の変更後の位置をタップ等により指定することにより、検査範囲を変更してもよい。
【0106】
(8)前述の実施の形態では、検査範囲を矩形形状により規定しているが、少なくとも変更後の検査範囲の外縁の一部には曲線を含んでもよい。この場合、変更後の検査範囲は、作業者がフリーハンドで撮像画像欄121上に描画してもよい。例えば変更後の検査範囲を、円や楕円、円弧、閉自由曲線で規定してもよい。
【0107】
(9)前述した各実施の形態におけるプロセッサは、広義的な意味でのプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)の他、専用的なプロセッサ(例えばGPU(=Graphical Processing Unit)、ASIC(=Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(=Field Programmable Gate Array)、プログラム論理デバイス等)を含む。
また、前述した各実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサが単独で実行してもよいが、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して実行してもよい。また、プロセッサにおける各動作の実行の順番は、前述した各実施の形態に記載した順番のみに限定されるものでなく、個別に変更してもよい。
【符号の説明】
【0108】
1、1A…表面検査装置、10…検査対象、20…1軸ステージ、101…プロセッサ、102…ROM、103…RAM、104…補助記憶装置、105…ディスプレイ、106…操作受付装置、106A…撮像ボタン、106B…操作ボタン、107…カメラ、108…光源、110…信号線、111…開口部、111A…開口、111B…鍔部、120…操作画面、121A…基準線、121B…変更線、122…スコア欄、125、126、126A…注意文、127…ボタン、127A、127B、127C、127D…移動ボタン、128…ボタン
図1
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