IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187667
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】インクジェット記録用インク
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/30 20140101AFI20221213BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221213BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
C09D11/30
B41J2/01 501
B41M5/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095773
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】池滝 何以
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056FC01
2H186BA08
2H186DA09
2H186DA10
2H186DA14
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB22
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB48
2H186FB55
4J039AB02
4J039BC07
4J039BC09
4J039BC13
4J039BE01
4J039BE12
4J039BE23
4J039CA03
4J039EA47
4J039FA02
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】低吸収性基材及び非吸収性基材に画像を形成する場合であっても、形成した画像に滲みが発生することを抑制できるインクジェット記録用インクを提供する。
【解決手段】インクジェット記録用インクは、顔料と、セルロース誘導体と、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを含む。第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルである。第2水溶性有機溶媒は、グリコールエーテル以外の水溶性有機溶媒である。セルロース誘導体の含有率が、インクジェット記録用インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である。グリコールエーテルの含有率が、インクジェット記録用インクの質量に対して、6質量%以上24質量%以下である。グリコールエーテルの含有率が、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上80質量%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料と、セルロース誘導体と、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを含む、インクジェット記録用インクであって、
前記第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルであり、
前記第2水溶性有機溶媒は、前記グリコールエーテル以外の水溶性有機溶媒であり、
前記セルロース誘導体の含有率が、前記インクジェット記録用インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下であり、
前記グリコールエーテルの含有率が、前記インクジェット記録用インクの質量に対して、6質量%以上24質量%以下であり、
前記グリコールエーテルの含有率が、前記第1水溶性有機溶媒及び前記第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上80質量%以下である、インクジェット記録用インク。
【請求項2】
前記セルロース誘導体が、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩である、請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
【請求項3】
前記グリコールエーテルが、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インク。
【請求項4】
前記第2水溶性有機溶媒が、1,2-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~3の何れか一項に記載のインクジェット記録用インク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用インクに関する。
【背景技術】
【0002】
ラベル及びパッケージの印刷には、水の吸収性が低い低吸収性基材、及び水を吸収しない非吸収性基材が用いられることがある。例えば、特許文献1には、ポリ塩化ビニル基材のような非吸収性基材に吐出する工程で使用されるインクジェット記録用インクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-94084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット記録用インクは、低吸収性基材及び非吸収性基材に対する印刷に用いた場合に、形成画像に滲みが発生することを抑制する点で不十分であることが、本発明者の検討により判明した。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低吸収性基材及び非吸収性基材に画像を形成する場合であっても、形成した画像に滲みが発生することを抑制できるインクジェット記録用インクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るインクジェット記録用インクは、顔料と、セルロース誘導体と、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを含む。前記第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルである。前記第2水溶性有機溶媒は、前記グリコールエーテル以外の水溶性有機溶媒である。前記セルロース誘導体の含有率が、前記インクジェット記録用インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である。前記グリコールエーテルの含有率が、前記インクジェット記録用インクの質量に対して、6質量%以上24質量%以下である。前記グリコールエーテルの含有率が、前記第1水溶性有機溶媒及び前記第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上80質量%以下である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るインクジェット記録用インクを用いれば、低吸収性基材及び非吸収性基材上に画像を形成した場合でも、形成画像に滲みが発生し難い。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、本明細書に記載の用語について説明する。以下、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の質量平均分子量を意味する。動的表面張力は、最大泡圧法により測定される50ミリ秒における表面張力を意味する。最大泡圧法による動的表面張力の測定には、例えば、動的表面張力計(クルス社製、商品名:BP100)を用いることができる。インクの粘度は、「JIS(日本産業規格)Z 8803:2011 液体の粘度測定方法」に記載の方法に準拠して、25℃の環境下で測定された値である。明細書に記載の各成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以上、本明細書に記載の用語について説明した。
【0009】
<インクジェット記録用インク>
本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インク(以下、単に「インク」と記載することがある)は、顔料と、セルロース誘導体と、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを含む。第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルである。第2水溶性有機溶媒は、グリコールエーテル以外の水溶性有機溶媒である。セルロース誘導体の含有率が、インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である。グリコールエーテルの含有率が、インクの質量に対して、6質量%以上24質量%以下である。グリコールエーテルの含有率が、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上80質量%以下である。
【0010】
本実施形態のインクは、水を含有する水性インクである。通常、水性インクは、水の吸収性が低い低非吸収性基材及び水を吸収しない非吸収性基材に吸収され難く、これらの基材に印刷された場合に滲むことがある。しかしながら、本実施形態のインクは、上記所定の構成を有するため、低吸収性基材及び非吸収性基材に印刷された場合であっても、形成画像にインクの滲みが発生することを好適に抑制することができる。以下、「低吸収性基材及び非吸収性基材」を、「所定基材」と記載することがある。
【0011】
(セルロース誘導体)
本実施形態のインクがセルロース誘導体を含むことで、所定基材に着弾したインクを適度に増粘させることができる。その結果、所定基材に着弾したインク液滴の合一が抑制され、滲みが少ない高画質な画像を得ることができる。
【0012】
既に述べたように、セルロース誘導体の含有率は、インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下である。セルロース誘導体の含有率がインクの質量に対して0.01質量%未満であると、所定基材に着弾したインクが適度に増粘せずにインク滴が合一されてしまい、所定基材に形成した画像にインクの滲みが発生する。セルロース誘導体の含有率がインクの質量に対して0.20質量%より高いと、インクの粘度が高くなり過ぎ、ノズルからのインクの吐出安定性が低下することがある。セルロース誘導体の含有率がインクの質量に対して0.01質量%以上0.20質量%以下であると、ノズルからインクが安定的に吐出されるとともに、所定基材に着弾したインク液滴の合一が抑制され、滲みが少ない高画質な画像が得られやすくなる。
【0013】
セルロース誘導体としては、例えば、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(以下「カルボキシメチルセルロースナトリウム」と記載することがある)、カルボキシメチルセルロースのカルシウム塩、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、及びメチルエチルセルロースが挙げられる。
【0014】
インクの吐出安定性を確保する観点から、セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロースナトリウムが好ましい。カルボキシメチルセルロースは、セルロースの無水グルコース単位中の水酸基にカルボキシメチル基がエーテル結合した構造(換言すると、無水グルコース単位中の水酸基の水素原子がカルボキシメチル基に置換された構造)を有する。
【0015】
インクの吐出安定性を確保する観点から、カルボキシメチルセルロースナトリウムのエーテル化度は、0.6以上1.5以下であることが好ましく、0.8以上1.0未満又は1.0以上1.5以下であることがより好ましい。本明細書において、カルボキシメチルセルロースナトリウムのエーテル化度は、無水グルコース単位1モル当たりのカルボキシメチル基のモル数の平均値を意味する。
【0016】
カルボキシメチルセルロースナトリウムとしては、市販品を用いることができる。エーテル化度が0.6以上1.5以下であるカルボキシメチルセルロースナトリウムの市販品としては、例えば、ダイセルミライズ株式会社製のCMCダイセル(登録商標)1120、CMCダイセル1130、CMCダイセル1140、CMCダイセル1150、CMCダイセル1220、CMCダイセル1240、CMCダイセル1250、CMCダイセル1260、CMCダイセル1330、及びCMCダイセル1350が挙げられる。
【0017】
カルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液の25℃における粘度は、10mPa・s以上300mPa・s以下であることが好ましい。カルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液の25℃における粘度がこの範囲内の値であると、インクの粘度をインクジェット記録に適した粘度に調整しやすい。カルボキシメチルセルロースナトリウムの1質量%水溶液の粘度の測定には、例えば、振動粘度計(株式会社セコニック製、商品名:VM-10A-L)を用いることができる。
【0018】
(第1水溶性有機溶媒)
第1水溶性有機溶媒は、グリコールエーテルである。インクがグリコールエーテルを含むことで、所定基材に対してインクがぬれ易くなり、所定基材に形成した画像におけるインクの滲みの発生が抑制される。
【0019】
グリコールエーテルとしては、炭素原子数2以上6以下のアルキレングリコールの炭素原子数1以上6以下のアルキルエーテルが好ましく、炭素原子数2以上3以下のアルキレングリコールの炭素原子数1以上4以下のアルキルエーテルがより好ましい。グリコールエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種(例えば、1種)がさらに好ましい。
【0020】
所定基材に対するインクのぬれ性を向上させて、所定基材に形成した画像に滲みが発生することを抑制する観点から、グリコールエーテルの含有率は、インクの質量に対して、6質量%以上24質量%以下である。
【0021】
所定基材に着弾したインクの乾燥性を向上させる観点から、グリコールエーテルの含有率は、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上80質量%以下である。インクの乾燥性を向上させることにより、基材に着弾したインク液滴の合一が抑制され、にじみが少ない高画質な画像を得ることができる。同じ観点から、グリコールエーテルの含有率は、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、40質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
【0022】
(第2水溶性有機溶媒)
第2水溶性有機溶媒は、グリコールエーテル以外の水溶性有機溶媒である。第2水溶性有機溶媒としては、例えば、1,2-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エチレングリコール、2-ピロリドン、及びグリセリンが挙げられる。
【0023】
第2水溶性有機溶媒としては、アルカンポリオール又はポリアルキレングリコールが好ましく、アルカンジオール又はジアルキレングリコールがより好ましく、炭素原子数3以上6以下のアルカンジオール又は炭素原子数4以上6以下のジアルキレングリコールがさらに好ましい。第2水溶性有機溶媒としては、1,2-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種(例えば、1種)が一層好ましい。
【0024】
(水)
本実施形態のインクに含まれる水は、イオン交換水(脱イオン水)であることが好ましい。所定基材に着弾したインクの乾燥性を向上させる観点から、水の含有率は、インクの質量に対して、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることがさらに好ましい。水の含有率の上限は特に限定されないが、水の含有率は、インクの質量に対して、例えば70質量%以下である。
【0025】
(顔料)
本実施形態のインクに含まれる顔料としては、特に限定されないが、例えば、ブラック顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料、ホワイト顔料、及びこれら以外の顔料(以下、その他の顔料と記載することがある)が挙げられる。
【0026】
ブラック顔料としては、例えば、ファーネス法又はチャンネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、アディティア・ビルラ・ケミカルズ社製である、Raven(登録商標) 5000 Ultra II、Raven 3500、Raven 2000、Raven 1255、Raven 1250、Raven 1200、Raven 1190 Ultra、Raven 1170、Raven 1080 Ultra、及びRaven 1060 Ultraが挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、キャボット社製である、MONARCH(登録商標) 1300、MONARCH 1000、MONARCH 800、MONARCH 700、MOGUL(登録商標) L、REGAL(登録商標) 400R、REGAL 660R、及びREGAL 330Rも挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製である、三菱(登録商標)カーボンブラック#2300、三菱カーボンブラック#980、三菱カーボンブラック#970、三菱カーボンブラック#960、三菱カーボンブラック#950、三菱カーボンブラック#900、三菱カーボンブラック#850、三菱カーボンブラックMCF88、三菱カーボンブラックMA600、三菱カーボンブラック#52、三菱カーボンブラック#47、三菱カーボンブラック#45、三菱カーボンブラック#40、三菱カーボンブラック#33、三菱カーボンブラック#25、三菱カーボンブラックMA7、三菱カーボンブラックMA8、及び三菱カーボンブラックMA100も挙げられる。カーボンブラックの市販品としては、例えば、オリオンエンジニアードカーボンズ社製である、COLOUR BLACK FW 1、COLOUR BLACK FW 2、COLOUR BLACK FW 200、COLOUR BLACK FW 18、SPECIAL BLACK 6、COLOUR BLACK S 160、SPECIAL BLACK 5、PRINTEX(登録商標) U、PRINTEX V、SPECIAL BLACK 4、SPECIAL BLACK 4A、PRINTEX 140 U、PRINTEX 140 V、及びPRINTEX 35も挙げられる。
【0027】
シアン顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Vat Blue 4、及びC.I.Vat Blue 6が挙げられる。
【0028】
マゼンタ顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.Pigment Red 57:1、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 202、及びC.I.Pigment Violet 19が挙げられる。
【0029】
イエロー顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow 94、C.I.Pigment Yellow 95、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 128、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、及びC.I.Pigment Yellow 185が挙げられる。
【0030】
ホワイト顔料としては、例えば、C.I.Pigment White 4、C.I.Pigment White 5、C.I.Pigment White 6、C.I.Pigment White 6:1、C.I.Pigment White 7、C.I.Pigment White 18、C.I.Pigment White 19、C.I.Pigment White 20、C.I.Pigment White 21、C.I.Pigment White 23、C.I.Pigment White 24、C.I.Pigment White 25、C.I.Pigment White 26、C.I.Pigment White 27、及びC.I.Pigment White 28が挙げられる。
【0031】
その他の顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 10、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Brown 3、C.I.Pigment Brown 5、C.I.Pigment Brown 25、C.I.Pigment Brown 26、C.I.Pigment Orange 2、C.I.Pigment Orange 5、C.I.Pigment Orange 7、C.I.Pigment Orange 13、C.I.Pigment Orange 14、C.I.Pigment Orange 15、C.I.Pigment Orange 16、C.I.Pigment Orange 24、C.I.Pigment Orange 34、C.I.Pigment Orange 36、C.I.Pigment Orange 38、C.I.Pigment Orange 40、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Orange 62、C.I.Pigment Orange 63、C.I.Pigment Orange 64、及びC.I.Pigment Orange 71が挙げられる。
【0032】
インクの吐出安定性を確保する観点から、顔料の含有率は、インクの質量に対して、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
【0033】
顔料は、通常、分散媒(例えば、水)中に分散させて用いられる。顔料の分散方法としては、特に限定されないが、例えば、分散剤を用いて顔料を分散媒中に分散させる方法、又は分散剤なしで顔料を分散媒中に分散させる方法が挙げられる。顔料は、例えば、分散剤により分散媒中に分散している顔料(非自己分散型顔料)であってもよい。分散剤としては、例えば、界面活性剤及び高分子分散剤(以下、「顔料分散樹脂」と記載することがある)が挙げられる。なお、界面活性剤については、後述する。
【0034】
顔料分散樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。顔料を安定に分散させる観点から、顔料分散樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、及びスチレン-(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
【0035】
顔料分散樹脂の質量平均分子量は、5000以上100000以下であることが好ましく、10000以上50000以下であることがより好ましく、15000以上30000以下であることがさらに好ましい。顔料分散樹脂の質量平均分子量が5000以上であると、インクの分散安定性が向上する。顔料分散樹脂の質量平均分子量が100000以下であると、インクの吐出安定性が向上する。
【0036】
顔料の質量に対する顔料分散樹脂の質量の比率は、0.02以上0.45以下であることが好ましく、0.04以上0.40以下であることがより好ましく、0.05以上0.35以下であることがさらに好ましい。顔料の質量に対する顔料分散樹脂の質量の比率が0.45以下であると、顔料分散体及びインクの粘度が所望の値に調整され易い。顔料の質量に対する顔料分散樹脂の質量の比率が0.02以上であると、インクの分散安定性が向上する。
【0037】
顔料分散樹脂としては、市販品を用いることができる。顔料分散樹脂の市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社製であるJoncryl(登録商標) 586、及びJoncryl 611;ビックケミー・ジャパン株式会社製である、DISPERBYK(登録商標)-190、及びDISPERBYK-191;並びに日本ルーブリゾール株式会社製である、Solsperse 20000、及びSolsperse 27000が挙げられる。
【0038】
(バインダー樹脂)
得られる画像の耐擦過性を向上させる観点から、本実施形態のインクは、バインダー樹脂を含んでいてもよい。バインダー樹脂は、インクの着弾後に、インク中の顔料と基材とを互いに結合する。
【0039】
バインダー樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル-ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及び変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、及びスチレン-(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
【0040】
バインダー樹脂は、水性の樹脂エマルションの形態で用いることが好ましい。樹脂エマルションとしては、市販品を用いることができる。
【0041】
ウレタン樹脂は、特に限定されず、分子中にウレタン結合を有するものであればよい。ウレタン樹脂のエマルションの市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製である、スーパーフレックス(登録商標)170、スーパーフレックス210、スーパーフレックス820、及びスーパーフレックス870;並びに三井化学株式会社製である、タケラック(登録商標)W-6010、及びタケラックW-6020が挙げられる。
【0042】
(メタ)アクリル樹脂のエマルションの市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製である、モビニール(登録商標)6718、モビニール6751D、モビニール6750、モビニール6760、モビニール6770、モビニール6800、モビニール6969D、モビニール6899D、及びモビニール6820が挙げられる。
【0043】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂のエマルションの市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製である、モビニール6960、モビニール6963、及びモビニールRS-009C22;並びに星光PMC株式会社製であるQE-1042が挙げられる。
【0044】
インクの吐出安定性を確保する観点から、バインダー樹脂の含有率は、インクの質量に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0045】
(界面活性剤)
本実施形態のインクは、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、例えば、アセチレン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、市販品を用いることができる。
【0046】
本明細書において、アセチレン系界面活性剤は、その分子内にアセチレン結合(炭素原子間三重結合)を有する界面活性剤を意味する。アセチレン系界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社製である、サーフィノール(登録商標)420、サーフィノール440、オルフィン(登録商標)E1010、オルフィンEXP.4200、及びオルフィンEXP.4300が挙げられる。
【0047】
本明細書において、アクリル系界面活性剤は、(メタ)アクリル酸又はその誘導体の重合物である界面活性剤を意味する。アクリル系界面活性剤の市販品としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製である、BYK(登録商標)-380 N、及びBYK-381;並びに共栄社化学株式会社製であるポリフローKL-850が挙げられる。
【0048】
本明細書において、シリコーン系界面活性剤は、その分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤を意味する。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社製である、シルフェイス(登録商標)SAG002、及びシルフェイスSAG503Aが挙げられる。
【0049】
本明細書において、フッ素系界面活性剤は、その分子内にフルオロ基を有する界面活性剤を意味する。フッ素系の界面活性剤の市販品としては、例えば、ケマーズ株式会社製である、Capstone FS-30、Capstone FS-31、Capstone FS-65、及びCapstone FS-3100が挙げられる。
【0050】
インクの吐出安定性を確保する観点から、界面活性剤としては、アセチレン系界面活性剤及びアクリル系界面活性剤が好ましい。
【0051】
界面活性剤の含有率は、インクの質量に対して、0.05質量%以上2質量%以下であることが好ましい。界面活性剤の含有率がこの範囲内の値であると、インクの動的表面張力をインクジェット記録に適した範囲に調整しやすい。
【0052】
(その他の成分)
本実施形態のインクは、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、及び防かび剤が挙げられる。その他の成分の含有量は、特に限定されないが、必要に応じて適宜設定することができる。
【0053】
(インクの粘度及び動的表面張力)
インクの吐出安定性を確保する観点から、本実施形態のインクの25℃における粘度は、4mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上9mPa・s以下であることがより好ましい。
【0054】
インクの連続吐出安定性を確保する観点から、本実施形態のインクの動的表面張力は、30mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。インクの動的表面張力が30mN/m以上であると、高速印刷時の連続吐出安定性が向上する。
【0055】
(顔料分散体の製造方法)
顔料分散体の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、顔料と、水と、必要に応じて分散剤とを混合した後、分散機を用いて分散する方法が挙げられる。
【0056】
分散機としては、特に限定されないが、例えば、ボールミル、及びビーズミルが挙げられる。これらの中でも、ビーズミルを用いることが好ましい。ビーズミルとしては、例えば、アトライタ(登録商標)(日本コークス工業株式会社製)、サンドグラインダー(アイメックス株式会社製)、ダイノ(登録商標)ミル(WAB社製)、及びウルトラアペックスミル(株式会社広島メタル&マシナリー製)が挙げられる。
【0057】
得られた顔料分散体中に粗大粒子が含まれる場合には、ろ過又は遠心分離により、粗大粒子を除去することが好ましい。粗大粒子を除去することにより、記録ヘッドのノズルの目詰まりを防止することができる。
【0058】
(インクの製造方法)
本実施形態のインクの製造方法は、例えば、顔料を含む顔料分散体と、セルロース誘導体と、第1水溶性有機溶媒と、第2水溶性有機溶媒と、水とを混合する工程を含む。必要に応じて、バインダー樹脂、界面活性剤、及びその他の成分からなる群から選択される少なくとも1種をさらに混合してもよい。本実施形態のインクの製造方法は、ろ過により不溶物を除去する工程をさらに含んでいてもよい。
【0059】
(インクジェット記録方法)
次に、インクジェット記録方法の一例を説明する。インクジェット記録方法は、例えば、インクジェット記録装置の記録ヘッドからインクを吐出して基材にインクを着弾させることで、画像を形成する工程を含む。インクジェット記録方法に使用されるインクは、本実施形態のインクである。インクジェット記録方法は、公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。
【0060】
インクジェット記録方法は、基材を加熱する工程をさらに含んでいてもよい。
【0061】
加熱工程の一例において、インク液滴を基材に着弾させる際に、基材を加熱する。基材に着弾したインクの乾燥性を向上させる観点から、加熱された基材の表面温度としては、30℃以上70℃以下が好ましい。インクの乾燥性を向上させることにより、基材に着弾したインク液滴の合一が抑制され、滲みが少ない高画質な画像を得ることができる。
【0062】
加熱工程の別の例において、記録ヘッドからインクを吐出して基材にインクを着弾させることで画像を記録した後に、基材を加熱してもよい。得られる画像の耐擦過性を向上させる観点から、加熱された基材の表面温度としては、40℃以上100℃以下が好ましい。基材の表面温度がこの範囲内の温度であると、バインダー樹脂の造膜性を向上させることができる。バインダー樹脂の造膜性を向上させることにより、耐擦過性に優れた画像が得られやすくなる。
【0063】
基材を加熱する方法としては、特に限定されないが、例えば、熱風により加熱する方法、及び赤外線により加熱する方法が挙げられる。これらは、1種を単独で実施してもよく、2種以上を組み合わせて実施してもよい。
【0064】
既に述べたように、本実施形態のインクは、所定基材に形成した画像におけるインクの滲みの発生を抑制できるため、所定基材への印刷に好適に用いることができる。
【0065】
インクジェット記録方法に使用される基材は、特に限定されないが、例えば、普通紙、上質紙、及び所定基材が挙げられる。
【0066】
所定基材のうちの低吸収性基材としては、例えば、アート紙、コート紙及びキャストコート紙が挙げられる。
【0067】
所定基材のうちの非吸収性基材としては、例えば、ホイル紙、合成紙、及びプラスチック基材が挙げられる。プラスチック基材としては、例えば、ポリエステル(PET)基材、ポリプロピレン基材、ポリスチレン基材、及びポリ塩化ビニル基材が挙げられる。
【0068】
所定基材の片面又は両面は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、及びプライマー処理が挙げられる。
【実施例0069】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
<顔料分散体の製造>
まず、インクの製造に使用するための顔料分散体を製造した。顔料としてC.I.Pigment Blue 15:3(BASFジャパン株式会社製、商品名:Heliogen(登録商標) Blue D 7088)15質量部、顔料分散樹脂(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名:DISPERBYK-190、不揮発分:40質量%、分散媒:水)10質量部、及び水75質量部を混合し、ディスパーを用いて予備分散し、予備分散体を得た。次いで、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミル(WAB社製「ダイノ(登録商標)ミル」)を用いて、予備分散体をさらに分散させ、顔料分散体(具体的には、シアン顔料分散体)を得た。
【0071】
<インクの製造>
次に、実施例に係るインク(A-1)~(A-16)及び比較例に係るインク(B-1)~(B-5)を製造した。これらのインクの組成を、後述する表1~表5に示す。
【0072】
(インク(A-1)の製造)
攪拌機を用いて、表1のインク(A-1)欄に示す組成になるように各成分を混合し、混合物を得た。目開き5μmのメンブレンフィルターを用いて、混合液を濾過し、インク(A-1)を得た。
【0073】
(インク(A-2)~(A-16)及び(B-1)~(B-5)の製造)
表1~表5のインク(A-2)~(A-16)及び(B-1)~(B-5)欄の各々に示す組成になるように各成分を混合したこと以外は、インク(A-1)と同じ方法により、インク(A-2)~(A-16)及び(B-1)~(B-5)の各々を製造した。
【0074】
<滲み抑制の評価>
評価機として、記録ヘッド(京セラ株式会社製、商品名:KJ4B-QA、解像度:600dpi×600dpi)を備えるインクジェット記録装置を使用した。評価機のシアン用インクタンクに、上記<インクの製造>で得られたインクを充填した。インクの液滴量を5pLに設定した。
【0075】
評価機を用いて、下記基準基材に、1ドットラインを印刷した。光学顕微鏡を用いて観察することにより、基準基材に印刷された1ドットラインの線幅を測定し、基準基材線幅とした。次に、評価機を用いて、下記所定基材1に、1ドットラインを印刷した。光学顕微鏡を用いて観察することにより、所定基材1に印刷された1ドットラインの線幅を測定し、所定基材線幅とした。そして、基準基材線幅に対する所定基材線幅の比率(線幅比率)を算出した。所定基材1を下記所定基材2及び3に変更したこと以外は所定基材1と同じ方法により、所定基材2及び3の線幅比率も算出した。
【0076】
基準基材:マット紙(セイコーエプソン株式会社製、商品名:スーパーファイン紙)
所定基材1(低吸収性基材):キャストコート紙(王子製紙株式会社製、商品名:ミラーコート(登録商標)・ゴールド、紙厚:88μm)
所定基材2(非吸収性基材):合成紙(株式会社ユポ・コーポレーション製、商品名:ニューユポFGS、紙厚:80μm)
所定基材3(非吸収性基材):PETフィルム(東レ株式会社製、商品名:ポリエステルフィルム ルミラー(登録商標)#150-T60)
【0077】
得られた線幅比率から、下記基準に従って、所定基材に形成した画像おいてインクの滲みの発生が抑制されているか否かを評価した。線幅比率が小さい値であるほど、所定基材に形成した画像においてインクの滲みの発生が抑制されていることを示す。評価がA又はBであるインクを、合格と判定し、評価がCであるインクを、不合格と判定した。評価結果を、表1~表5に示す。
【0078】
(インクの滲み抑制の評価基準)
A:線幅比率が1.0未満である。
B:線幅比率が1.0以上1.1未満である。
C:線幅比率が1.2以上である。
【0079】
なお、表1~表5に記載の用語の意味は、次のとおりである。
部:質量部。
顔料分散体:上記<顔料分散体の製造>で得られた顔料分散体。
CMCダイセル1330:カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルミライズ株式会社製、商品名:CMCダイセル1330、エーテル化度:1.3)。
CMCダイセル1220:カルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセルミライズ株式会社製、商品名:CMCダイセル1220、エーテル化度:0.9)。
メトローズMCE-100:メチルセルロース(信越化学工業株式会社製、商品名:メトローズ(登録商標)MCE-100)。
メトローズNE-100:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製、商品名:メトローズNE-100)。
バインダー樹脂:ウレタン樹脂のエマルション(第一工業製薬株式会社製、商品名:スーパーフレックス870、不揮発分:30質量%、分散媒:水)。
界面活性剤:アセチレン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、商品名:サーフィノール(登録商標)440、有効成分濃度:100質量%)。
水:イオン交換水。
(1)/[(1)+(2)]:第1水溶性有機溶媒(グリコールエーテル)及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対するグリコールエーテルの含有率(単位:質量%)。
-:該当する成分を使用していないこと。
残:残量、即ちインクに含有される成分の合計質量が100.00質量部になるような量であること。例えば、インク(A-1)に含有される水の量は、39.54質量部(=100.00-(20.00+0.06+12.00+18.00+10.00+0.40))である。
吐出不可:インクを安定的に吐出できなかったため、滲みの発生の抑制を評価できなかったこと。
【0080】
また、100.00質量部のインクが得られるように各成分を添加しているため、表1~表5の「組成」欄に示す各成分の量(単位:質量部)は、インクの質量に対する各成分の含有率(単位:質量%)に相当する。例えば、表1~表5の「セルロース誘導体」欄に示す量(単位:質量部)は、インクの質量に対するセルロース誘導体の含有率(単位:質量%)に相当する。表1~表5の「(1)グリコールエーテル」欄に示す量(単位:質量部)は、インクの質量に対するグリコールエーテルの含有率(単位:質量%)に相当する。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】
表5に示すように、インク(B-1)は、セルロース誘導体を含有していなかった。インク(B-3)のグリコールエーテルの含有率はインクの質量に対して24質量%超であり、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対するグリコールエーテルの含有率は、80質量%超であった。インク(B-4)のグリコールエーテルの含有率はインクの質量に対して6質量%未満であり、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対するグリコールエーテルの含有率は、20質量%未満であった。インク(B-5)は、第1水溶性有機溶媒であるグリコールエーテルを含有していなかった。このため、インク(B-1)及び(B-3)~(B-5)の滲み抑制の評価はCであり、所定基材に形成した画像においてインクの滲みの発生を抑制できなかった。
【0087】
表5に示すように、インク(B-2)のセルロース誘導体の含有率は、インクの質量に対して、0.20質量%超であった。このため、インクジェット記録装置の記録ヘッドのノズルからインク(B-2)を安定的に吐出できなかった。
【0088】
一方、表1~4に示すように、インク(A-1)~(A-16)は、セルロース誘導体と、第1水溶性有機溶媒であるグリコールエーテルと、第2水溶性有機溶媒とを少なくとも含有していた。セルロース誘導体の含有率が、インクの質量に対して、0.01質量%以上0.20質量%以下であった。グリコールエーテルの含有率が、インクの質量に対して、6質量%以上24質量%以下であった。グリコールエーテルの含有率が、第1水溶性有機溶媒及び第2水溶性有機溶媒の合計質量に対して、20質量%以上80質量%以下であった。このため、インク(A-1)~(A-16)の滲み抑制の評価はA又はBであり、所定基材にインクを用いて形成した画像においてインクの滲みが発生することが抑制されていた。
【0089】
以上のことから、インク(A-1)~(A-16)を包含する本発明のインクは、所定基材に画像を形成した場合であっても、形成した画像に滲みが発生することを抑制できることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係るインクは、例えば、インクジェット記録装置を用いて記録媒体に画像を形成するために利用できる。