(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187670
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/10 20060101AFI20221213BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20221213BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20221213BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221213BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W40/02
B60W60/00
G08G1/16 A
G01C21/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095778
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】二村 光宏
(72)【発明者】
【氏名】長坂 秀則
(72)【発明者】
【氏名】小川 啓太
【テーマコード(参考)】
2F129
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129CC16
2F129DD29
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2F129FF02
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3D241BA08
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3D241BA15
3D241BB46
3D241CE01
3D241CE02
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3D241DC01Z
3D241DC25Z
3D241DC37Z
3D241DC44Z
5H181AA01
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5H181FF22
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】車両が加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を走行する場合において、適切な運転支援を実施することを可能にした運転支援装置を提供する。
【解決手段】車両が走行する走行予定経路において加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点がある場合には、高精度地図情報16を用いて加速車線の開始点を始点として第1距離前方の位置を合流開始点、合流開始点から第2距離前方の位置を合流完了点として夫々特定し、加速車線の開始点から合流開始点まで加速し、合流開始点で加速車線から本線車線への車線移動を開始して合流完了点で完了させる合流動作を行うに際して車両に走行が推奨される走行軌道並びに速度計画を生成するように構成する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する走行予定経路を取得する走行予定経路取得手段と、
前記走行予定経路において加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点がある場合に、加速車線の長さ、加速車線の車線幅、本線車線の車線幅に関する情報を含む地図情報を用いて、加速車線を走行する車両が本線車線への合流を行う為の設定速度まで車速を変移するのに必要な第1距離と、車両の車速が前記設定速度に到達した後に加速車線から本線車線への車線移動を開始してから完了するまでに必要な第2距離と、を夫々算出する距離算出手段と、
前記加速車線の開始点を始点として前記第1距離前方の位置を合流開始点、合流開始点から前記第2距離前方の位置を合流完了点として夫々特定する地点特定手段と、
前記加速車線の開始点から前記合流完了点に到達するまでの速度計画を生成する速度計画生成手段と、
前記速度計画生成手段によって生成された速度計画に基づいて車両の運転支援を行う運転支援手段と、を有する運転支援装置。
【請求項2】
前記本線車線を走行する他車両の情報を取得する他車両情報取得手段と、
前記速度計画生成手段によって生成された速度計画に基づいて走行した場合に、加速車線から本線車線への合流を行うことによって前記他車両への走行に影響が生じるか否かを判定する影響判定手段と、
前記影響判定手段によって前記他車両への走行に影響が生じると判定された場合に、速度計画の修正候補を複数生成する修正速度計画生成手段と、
前記複数の速度計画の修正候補に対してコストを算出するコスト算出手段と、
前記コスト算出手段により算出されたコストを比較して前記複数の速度計画の修正候補の内から推奨される速度計画の修正候補を選択する候補選択手段と、
前記候補選択手段により選択された速度計画の修正候補に従って前記速度計画生成手段によって生成された速度計画を修正する速度計画修正手段と、を有する請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記修正速度計画生成手段は、前記設定速度が異なる複数の速度計画の修正候補を生成する請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記本線車線が渋滞している場合において、前記本線車線を走行する他車両の走行速度を前記設定速度として取得し、
前記修正速度計画生成手段は、加速車線を走行する車両が前記設定速度へ減速するとともに、減速を開始するタイミングが異なる複数の速度計画の修正候補を生成する請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記コスト算出手段は、加速車線から本線車線への合流を完了するまでに必要な時間に基づく第1のコストと、本線車線に合流した際の前方車両までの距離に基づく第2のコストと、本線車線に合流した際の後方車両までの距離とその後の後方車両の走行に与える影響に基づく第3のコストと、の少なくとも一以上を算出する請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項6】
車両が走行する走行予定経路を取得する走行予定経路取得手段と、
前記走行予定経路において加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点がある場合に、加速車線の長さ、加速車線の車線幅、本線車線の車線幅に関する情報を含む地図情報を用いて、加速車線を走行する車両が本線車線への合流を行う為の設定速度まで車速を変移するのに必要な第1距離と、車両の車速が前記設定速度に到達した後に加速車線から本線車線への車線移動を開始してから完了するまでに必要な第2距離と、を夫々算出する距離算出手段と、
前記加速車線の開始点を始点として前記第1距離前方の位置を合流開始点、合流開始点から前記第2距離前方の位置を合流完了点として夫々特定する地点特定手段と、
前記加速車線の開始点から前記合流完了点に到達するまでに車両に走行が推奨される走行軌道を生成する走行軌道生成手段と、
前記走行軌道生成手段によって生成された走行軌道に基づいて車両の運転支援を行う運転支援手段と、を有する運転支援装置。
【請求項7】
前記本線車線を走行する他車両の情報を取得する他車両情報取得手段と、
前記走行軌道生成手段によって生成された走行軌道に基づいて走行した場合に、加速車線から本線車線への合流を行うことによって前記他車両への走行に影響が生じるか否かを判定する影響判定手段と、
前記影響判定手段によって前記他車両への走行に影響が生じると判定された場合に、前記走行軌道における合流開始点及び合流完了点の少なくとも一方の位置を変更した走行軌道の修正候補を複数生成する修正走行軌道候補生成手段と、
前記複数の走行軌道の修正候補に対してコストを算出する軌道コスト算出手段と、
前記軌道コスト算出手段により算出されたコストを比較して前記複数の走行軌道の修正候補の内から推奨される走行軌道の修正候補を選択する軌道候補選択手段と、
前記軌道候補選択手段により選択された走行軌道の修正候補に従って前記走行軌道生成手段によって生成された走行軌道を修正する走行軌道修正手段と、を有する請求項6に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転支援を行う運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行形態として、ユーザの運転操作に基づいて走行する手動走行以外に、ユーザの運転操作の一部又は全てを車両側で実行することにより、ユーザによる車両の運転を補助する自動運転支援システムについて新たに提案されている。自動運転支援システムでは、例えば、車両の現在位置、車両が走行する車線、周辺の他車両の位置を随時検出し、予め設定された経路に沿って走行するようにステアリング、駆動源、ブレーキ等の車両制御が自動で行われる。
【0003】
また、自動運転支援による走行を行う場合において、車両の走行予定経路や地図情報等に基づいて走行が推奨される走行軌道を車両が走行する道路上に予め生成し、生成された走行軌道に沿って車両を走行させる制御が行われている。ここで、特に高速道路等の加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を対象として自動運転支援による走行を行う場合に、合流地点でのスムーズな合流を行わせるためには、上記の車両の走行軌道だけではなく走行軌道を走行する際の走行速度が重要である。例えば特開2020-93578号公報には車両が加速車線から本線車線へと合流する合流地点を走行する場合において、本線車線を走行する他車両との相対速度に基づいて事前速度を決定し、合流までに事前速度となるように車速を調整して合流を行わせる技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-93578号公報(第5-8頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では最終的に車両を合流させる際の速度である事前速度については決定しているが、加速車線の走行中にどのように加速してどのタイミングで事前速度に到達させるかといった詳細な速度計画を事前に生成することは行っていない。その結果、車両の乗員に負担の生じる急な加減速が行われたり、事前速度まで到達できないなどの事象が生じる虞があった。特に自動運転支援による走行を行う場合には、車両が走行する経路に対してどの地点でどの速度に達するかを予め決める必要があるが、上記特許文献1では最終的に合流が行われる地点の速度しか決めておらず、自動運転支援による走行を適切に実施することができない問題もある。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、車両が加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を走行する場合において、合流地点でのスムーズな合流を行わせる為の詳細な速度計画を生成することによって、適切な運転支援を実施することを可能にした運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る第1の運転支援装置は、車両が走行する走行予定経路を取得する走行予定経路取得手段と、前記走行予定経路において加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点がある場合に、加速車線の長さ、加速車線の車線幅、本線車線の車線幅に関する情報を含む地図情報を用いて、加速車線を走行する車両が本線車線への合流を行う為の設定速度まで車速を変移するのに必要な第1距離と、車両の車速が前記設定速度に到達した後に加速車線から本線車線への車線移動を開始してから完了するまでに必要な第2距離と、を夫々算出する距離算出手段と、前記加速車線の開始点を始点として前記第1距離前方の位置を合流開始点、合流開始点から前記第2距離前方の位置を合流完了点として夫々特定する地点特定手段と、前記加速車線の開始点から前記合流完了点に到達するまでの速度計画を生成する速度計画生成手段と、前記速度計画生成手段によって生成された速度計画に基づいて車両の運転支援を行う運転支援手段と、を有する。
尚、「運転支援」とは、運転者の車両操作の少なくとも一部を運転者に代わって行う又は補助する機能、或いは運転を支援する為の表示案内や音声案内を行うことをいう。
また、「設定速度」はその後の加速車線から本線車線への移動を行う際の車両の速度と同じ速度であっても良いし、「設定速度」はその後の加速車線から本線車線への移動を行う際の車両の速度よりも遅い又は速い速度であっても良い。即ち、合流開始点の通過後に加速或いは減速しながら加速車線から本線車線への移動を行う速度計画であっても良い。
また、「速度計画」は、具体的な速度を特定する計画であっても良いし、速度を調整する為の加速及び減速を特定する計画であっても良い。
【0008】
また、本発明に係る第2の運転支援装置は、車両が走行する走行予定経路を取得する走行予定経路取得手段と、前記走行予定経路において加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点がある場合に、加速車線の長さ、加速車線の車線幅、本線車線の車線幅に関する情報を含む地図情報を用いて、加速車線を走行する車両が本線車線への合流を行う為の設定速度まで車速を変移するのに必要な第1距離と、車両の車速が前記設定速度に到達した後に加速車線から本線車線への車線移動を開始してから完了するまでに必要な第2距離と、を夫々算出する距離算出手段と、前記加速車線の開始点を始点として前記第1距離前方の位置を合流開始点、合流開始点から前記第2距離前方の位置を合流完了点として夫々特定する地点特定手段と、前記加速車線の開始点から前記合流完了点に到達するまでに車両に走行が推奨される走行軌道を生成する走行軌道生成手段と、前記走行軌道生成手段によって生成された走行軌道に基づいて車両の運転支援を行う運転支援手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
前記構成を有する本発明に係る第1の運転支援装置によれば、車両が加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を走行する場合において、合流地点周辺の道路形状に基づいて、合流地点でのスムーズな合流を行わせる為の詳細な速度計画を生成することが可能となる。その結果、生成された速度計画を用いて適切な運転支援を実施することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る第2の運転支援装置によれば、車両が加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を走行する場合において、合流地点周辺の道路形状に基づいて、合流地点でのスムーズな合流を行わせる為の詳細な走行軌道を生成することが可能となる。その結果、生成された走行軌道を用いて適切な運転支援を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る運転支援システムを示した概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る運転支援システムの構成を示したブロック図である。
【
図3】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る自動運転支援プログラムのフローチャートである。
【
図5】高精度地図情報の取得されるエリアを示した図である。
【
図6】動的走行軌道の一つである回避軌道の一例を示した図である。
【
図7】自車両によって検出される本線車線を走行する他車両の情報を示した図である。
【
図8】静的走行軌道生成処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【
図9】車両の走行予定経路の一例を示した図である。
【
図10】
図9に示す走行予定経路に対して構築されたレーンネットワークの一例を示した図である。
【
図11】特に高速道路の合流地点付近に対して構築されたレーンネットワークの一例を示した図である。
【
図12】合流走行軌道算出処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【
図13】高速道路の合流地点付近における自車両の走行軌道の一例を示した図である。
【
図14】高速道路の合流地点付近において合流動作を行う際の自車両の走行軌道の一例を示した図である。
【
図15】速度計画生成処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【
図16】高速道路の合流地点付近を走行する際の自車両の速度計画の一例を示した図である。
【
図17】速度計画修正処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【
図18】本線車線が渋滞していない場合における速度計画の修正候補を示した図である。
【
図19】本線車線が渋滞している場合における速度計画の修正候補を示した図である。
【
図20】速度計画の修正候補に対して算出されるコストの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る運転支援装置をナビゲーション装置1に具体化した一実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1を含む運転支援システム2の概略構成について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る運転支援システム2を示した概略構成図である。
図2は本実施形態に係る運転支援システム2の構成を示したブロック図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る運転支援システム2は、情報配信センタ3が備えるサーバ装置4と、車両5に搭載されて車両5の自動運転に関する各種支援を行うナビゲーション装置1とを基本的に有する。また、サーバ装置4とナビゲーション装置1とは通信ネットワーク網6を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、ナビゲーション装置1の代わりに、車両5に搭載された他の車載器や車両5に関する制御を行う車両制御装置を用いても良い。
【0014】
ここで、車両5はユーザの運転操作に基づいて走行する手動運転走行に加えて、ユーザの運転操作によらず車両が予め設定された経路や道なりに沿って自動的に走行を行う自動運転支援による支援走行が可能な車両とする。
【0015】
また、自動運転支援は全ての道路区間に対して行っても良いし、特定の道路区間(例えば境界にゲート(有人無人、有料無料は問わない)が設けられた高速道路)を車両が走行する間のみ行う構成としても良い。以下の説明では車両の自動運転支援が行われる自動運転区間は、一般道や高速道路を含む全ての道路区間に加えて駐車場も含むこととし、車両が走行を開始してから走行を終了するまで(車両を駐車するまで)の間において基本的に自動運転支援が行われるとして説明する。但し、車両が自動運転区間を走行する場合には必ず自動運転支援が行われるのではなく、ユーザにより自動運転支援を行うことが選択され(例えば自動運転開始ボタンをONする)、且つ自動運転支援による走行を行わせることが可能と判定された状況でのみ行うのが望ましい。一方で、車両5は自動運転支援による支援走行のみ可能な車両としても良い。
【0016】
そして、自動運転支援における車両制御では、例えば、車両の現在位置、車両が走行する車線、周辺の障害物の位置を随時検出し、後述のようにナビゲーション装置1で生成された走行軌道に沿って、同じく生成された速度計画に従った速度で走行するようにステアリング、駆動源、ブレーキ等の車両制御が自動で行われる。尚、本実施形態の自動運転支援による支援走行では、車線変更や右左折や駐車操作についても上記自動運転支援による車両制御を行うことにより走行するが、車線変更や右左折や駐車操作等の特殊な走行については自動運転支援による走行は行わずに手動運転により行う構成としても良い。
【0017】
一方、ナビゲーション装置1は、車両5に搭載され、ナビゲーション装置1が有する地図データ或いは外部から取得した地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、ユーザの目的地の入力を行ったり、地図画像上において車両の現在位置を表示したり、設定された案内経路に沿った移動案内を行う車載機である。本実施形態では特に自動運転支援による支援走行を車両が行う場合に、自動運転支援に関する各種支援情報を生成する。支援情報としては例えば車両の走行が推奨される走行軌道(推奨される車線移動態様を含む)、目的地において車両を駐車する駐車位置の選択、走行する際の車速を示す速度計画等がある。尚、ナビゲーション装置1の詳細については後述する。
【0018】
また、サーバ装置4は、ナビゲーション装置1の要求に応じて経路探索の実行について行う。具体的には、ナビゲーション装置1からサーバ装置4へと出発地や目的地等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される(但し、再探索の場合には目的地に関する情報は必ずしも送信する必要は無い)。そして経路探索要求を受信したサーバ装置4は、サーバ装置4の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。その後、特定された推奨経路を要求元のナビゲーション装置1へと送信する。そして、ナビゲーション装置1は受信した推奨経路に関する情報をユーザに提供したり、推奨経路を使って後述のように自動運転支援に関する各種支援情報を生成することも可能である。
【0019】
更に、サーバ装置4は、上記経路探索に用いる通常の地図情報とは別に、より精度の高い地図情報である高精度地図情報を有している。高精度地図情報は、例えば道路のレーン形状(車線単位の道路形状や曲率、車線幅等)と道路に描かれた区画線(車道中央線、車線境界線、車道外側線、誘導線、導流帯等)に関する情報が含まれる。また、その他に交差点に関する情報、駐車場に関する情報等も含まれる。そして、サーバ装置4はナビゲーション装置1からの要求に応じて高精度地図情報を配信し、ナビゲーション装置1はサーバ装置4から配信された高精度地図情報を用いて後述のように自動運転支援に関する各種支援情報を生成する。尚、高精度地図情報は基本的に道路(リンク)とその周辺のみを対象とした地図情報であるが、道路周辺以外のエリアについても含む地図情報としても良い。
【0020】
但し、上述した経路探索処理については必ずしもサーバ装置4で行う必要は無く、地図情報を有するナビゲーション装置1であればナビゲーション装置1で行っても良い。また、高精度地図情報についてもサーバ装置4から配信されるのではなくナビゲーション装置1が予め有するようにしても良い。
【0021】
また、通信ネットワーク網6は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局はナビゲーション装置1との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網6の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にあるナビゲーション装置1の通信をサーバ装置4との間で中継する役割を持つ。
【0022】
続いて、運転支援システム2におけるサーバ装置4の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。サーバ装置4は、
図2に示すようにサーバ制御部11と、サーバ制御部11に接続された情報記録手段としてのサーバ側地
図DB12と、高精度地
図DB13と、サーバ側通信装置14とを備える。
【0023】
サーバ制御部11は、サーバ装置4の全体の制御を行う制御ユニット(MCU、MPU等)であり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラム等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、サーバ制御部11は、後述のナビゲーション装置1のECUとともに処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。
【0024】
一方、サーバ側地
図DB12は、外部からの入力データや入力操作に基づいて登録された最新のバージョンの地図情報であるサーバ側地図情報が記憶される記憶手段である。ここで、サーバ側地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路網を示すノード及びリンクを含むネットワークデータ、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
【0025】
また、高精度地
図DB13は、上記サーバ側地図情報よりも精度の高い地図情報である高精度地図情報16が記憶される記憶手段である。高精度地図情報16は、特に車両が走行対象となる道路や駐車場等に関してより詳細な情報を格納した地図情報であり、本実施形態では例えば道路に関してはレーン形状(車線単位の道路形状や曲率、車線幅等)と道路に描かれた区画線(車道中央線、車線境界線、車道外側線、誘導線、導流帯等)に関する情報が含まれる。更に、道路の勾(こう)配、カント、バンク、合流区間、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に高速道路については車線毎に、本線車線(本線車道)、加速車線、減速車線、登坂車線等の車線の種類が記録されており、加速車線、減速車線、登坂車線については車線の開始点と終点(開始点と終点によって特定される長さも含む)を特定する情報についても記録されている。更に加速車線の車線幅、本線車線の車線幅に関する情報が含まれる。また、道路の車線数に加えて、車線毎の進行方向の通行区分や道路の繋がり(具体的には、交差点の通過前の道路に含まれる車線と交差点の通過後の道路に含まれる車線との対応関係)を特定する情報についても記憶されている。更に、道路に設定されている制限速度についても記憶されている。また、高精度地図情報は基本的に道路(リンク)及びその周辺のみを対象とした地図情報であるが、道路周辺以外のエリアについても含む地図情報としても良い。また、
図2に示す例ではサーバ側地
図DB12に格納されるサーバ側地図情報と高精度地図情報16とは異なる地図情報としているが、高精度地図情報16はサーバ側地図情報の一部としても良い。
【0026】
一方、サーバ側通信装置14は各車両5のナビゲーション装置1と通信ネットワーク網6を介して通信を行う為の通信装置である。また、ナビゲーション装置1以外にインターネット網や、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報の受信についても可能である。
【0027】
次に、車両5に搭載されたナビゲーション装置1の概略構成について
図3を用いて説明する。
図3は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0028】
図3に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU33と、ユーザからの操作を受け付ける操作部34と、ユーザに対して車両周辺の地図やナビゲーション装置1で設定されている案内経路(車両の走行予定経路)に関する情報等を表示する液晶ディスプレイ35と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ36と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37と、プローブセンタやVICSセンタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール38と、を有する。また、ナビゲーション装置1はCAN等の車載ネットワークを介して、ナビゲーション装置1の搭載された車両に対して設置された車外カメラ39や各種センサが接続されている。更に、ナビゲーション装置1の搭載された車両に対する各種制御を行う車両制御ECU40とも双方向通信可能に接続されている。
【0029】
以下に、ナビゲーション装置1が有する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS41、車速センサ42、ステアリングセンサ43、ジャイロセンサ44等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ42は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。そして、ナビゲーションECU33は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0030】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB45やキャッシュ46や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部32をハードディスクの代わりにフラッシュメモリやメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクを有しても良い。また、本実施形態では上述したようにサーバ装置4において目的地までの経路を探索するので、地図情報DB45については省略しても良い。地図情報DB45を省略した場合であっても、必要に応じてサーバ装置4から地図情報を取得することも可能である。
【0031】
ここで、地図情報DB45は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、経路の探索や変更に係る処理に用いられる探索データ、施設に関する施設データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0032】
一方、キャッシュ46は、過去にサーバ装置4から配信された高精度地図情報16が保管される記憶手段である。保管する期間は適宜設定可能であるが、例えば記憶されてから所定期間(例えば1カ月)としても良いし、車両のACC電源(accessory power supply)がOFFされるまでとしても良い。また、キャッシュ46に格納されるデータ量が上限となった後に古いデータから順次削除するようにしても良い。そして、ナビゲーションECU33は、キャッシュ46に格納された高精度地図情報16を用いて、自動運転支援に関する各種支援情報を生成する。詳細については後述する。
【0033】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、後述の自動運転支援プログラム(
図4参照)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU33は、処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、走行予定経路取得手段は、車両が走行する走行予定経路を取得する。距離算出手段は、走行予定経路において加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点がある場合に、加速車線の長さ、加速車線の車線幅、本線車線の車線幅に関する情報を含む地図情報を用いて、加速車線を走行する車両が本線車線への合流を行う為の設定速度まで車速を変移するのに必要な第1距離と、車両の車速が設定速度に到達した後に加速車線から本線車線への車線移動を開始してから完了するまでに必要な第2距離と、を夫々算出する。地点特定手段は、加速車線の開始点を始点として第1距離前方の位置を合流開始点、合流開始点から第2距離前方の位置を合流完了点として夫々特定する。速度計画生成手段は、加速車線の開始点から合流完了点に到達するまでの速度計画を生成する。走行軌道生成手段は、加速車線の開始点から合流完了点に到達するまでに車両に走行が推奨される走行軌道を生成する。運転支援手段は、生成された走行軌道と速度計画とに基づいて車両の運転支援を行う。
【0034】
操作部34は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)を有する。そして、ナビゲーションECU33は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部34は液晶ディスプレイ35の前面に設けたタッチパネルを有しても良い。また、マイクと音声認識装置を有しても良い。
【0035】
また、液晶ディスプレイ35には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、案内経路(走行予定経路)に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ35の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。
【0036】
また、スピーカ36は、ナビゲーションECU33からの指示に基づいて案内経路(走行予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0037】
また、DVDドライブ37は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB45の更新等が行われる。尚、DVDドライブ37に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
【0038】
また、通信モジュール38は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された交通情報、プローブ情報、天候情報等を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。また、車車間で通信を行う車車間通信装置や路側機との間で通信を行う路車間通信装置も含む。また、サーバ装置4で探索された経路情報や高精度地図情報16をサーバ装置4との間で送受信するのにも用いられる。
【0039】
また、車外カメラ39は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラにより構成され、車両のフロントバンパの上方に取り付けられるとともに光軸方向を水平より所定角度下方に向けて設置される。そして、車外カメラ39は、車両が自動運転区間を走行する場合において、車両の進行方向前方を撮像する。また、ナビゲーションECU33は撮像された撮像画像に対して画像処理を行うことによって、車両が走行する道路に描かれた区画線や障害物(プローブ情報での送信対象とならない走行中の前方車両なども含む)を検出する。そして、例えば現在の走行軌道上に新たに障害物を検出した場合については、障害物を回避或いは追従して走行する新たな走行軌道を生成する。更に、車両が加速車線を走行する場合には、同じく撮像画像に基づいて並走する本線車線を走行する他車両についても検出する。その際に他車両の位置に加えて他車両の走行速度についても検出対象とし、それらの検出結果に基づいて自動運転支援に関する新たな各種支援情報の生成について行う。尚、車外カメラ39は車両前方以外に後方や側方に配置するように構成しても良い。また、障害物や本線車線を走行する他車両を検出する手段としてはカメラの代わりにミリ波レーダやレーザセンサ等のセンサや車車間通信や路車間通信を用いても良い。
【0040】
また、車両制御ECU40は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の制御を行う電子制御ユニットである。また、車両制御ECU40にはステアリング、ブレーキ、アクセル等の車両の各駆動部と接続されており、本実施形態では特に車両において自動運転支援が開始された後に、各駆動部を制御することにより車両の自動運転支援を実施する。また、自動運転支援中にユーザによってオーバーライドが行われた場合には、オーバーライドが行われたことを検出する。
【0041】
ここで、ナビゲーションECU33は、走行開始後にCANを介して車両制御ECU40に対してナビゲーション装置1で生成された自動運転支援に関する各種支援情報を送信する。そして、車両制御ECU40は受信した各種支援情報を用いて走行開始後の自動運転支援を実施する。支援情報としては例えば車両の走行が推奨される走行軌道、走行する際の車速を示す速度計画等がある。
【0042】
続いて、上記構成を有する本実施形態に係るナビゲーション装置1においてCPU51が実行する自動運転支援プログラムについて
図4に基づき説明する。
図4は本実施形態に係る自動運転支援プログラムのフローチャートである。ここで、自動運転支援プログラムは、車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後であって自動運転支援による車両の走行が開始された場合に実行され、ナビゲーション装置1で生成された支援情報に従って自動運転支援による支援走行を実施するプログラムである。また、以下の
図4、
図8、
図12、
図15及び
図17にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM52やROM53に記憶されており、CPU51により実行される。
【0043】
先ず、自動運転支援プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU51は、車両が今後走行する予定にある経路(以下、走行予定経路という)を取得する。尚、車両の走行予定経路は、例えばユーザが目的地を設定することによってサーバ装置4により探索された目的地までの推奨経路とする。尚、目的地が設定されていない場合には、車両の現在位置から道なりに走行する経路を走行予定経路としても良い。
【0044】
また、推奨経路の探索を行う場合に先ずCPU51は、サーバ装置4に対して経路探索要求を送信する。尚、経路探索要求には、経路探索要求の送信元のナビゲーション装置1を特定する端末IDと、出発地(例えば車両の現在位置)及び目的地を特定する情報と、が含まれている。尚、再探索時については目的地を特定する情報は必ずしも必要では無い。その後、CPU51は経路探索要求に応じてサーバ装置4から送信された探索経路情報を受信する。探索経路情報は、送信した経路探索要求に基づいてサーバ装置4が最新のバージョンの地図情報を用いて探索した出発地から目的地までの推奨経路(センタールート)を特定する情報(例えば推奨経路に含まれるリンク列)である。例えば公知のダイクストラ法を用いて探索される。
【0045】
尚、上記推奨経路の探索では、目的地において駐車場で車両を駐車する為に推奨される駐車位置(駐車スペース)を選択し、選択された駐車位置までの推奨経路を探索するのが望ましい。即ち、探索される推奨経路には駐車場までの経路に加えて駐車場内での車の移動を示す経路についても含むのが望ましい。また、駐車位置の選択については、駐車位置までの車両の移動に加えて車両を駐車した後の徒歩の移動も考慮してユーザの負担が軽くなる駐車位置を選択するのが望ましい。
【0046】
次に、S2においてCPU51は、車両の現在位置から前記S1で取得された走行予定経路に沿った所定距離以内の区間を対象として高精度地図情報16を取得する。例えば車両が現在位置する2次メッシュに含まれる走行予定経路を対象として高精度地図情報16を取得する。但し、高精度地図情報16を取得する対象となるエリアは適宜変更可能であり、例えば車両の現在位置から走行予定経路に沿って3km以内のエリアの高精度地図情報16を取得するようにしても良い。また、走行予定経路の全体を対象として高精度地図情報16を取得しても良い。
【0047】
ここで、高精度地図情報16は
図5に示すように矩形形状(例えば500m×1km)に区分されてサーバ装置4の高精度地
図DB13に格納されている。従って、例えば
図5に示すように走行予定経路61が取得された場合には、車両の現在位置を含む2次メッシュ内にある走行予定経路61を含むエリア62~64を対象として高精度地図情報16が取得される。高精度地図情報16には例えば道路のレーン形状と車線幅と道路に描かれた区画線(車道中央線、車線境界線、車道外側線、誘導線、導流帯等)に関する情報が含まれる。また、その他に交差点に関する情報、駐車場に関する情報、高速道路については車線毎に、本線車線(本線車道)、加速車線、減速車線、登坂車線等の車線の種類、特に加速車線、減速車線、登坂車線については車線の開始点と終点(開始点と終点によって特定される長さも含む)を特定する情報、加えて加速車線の車線幅、本線車線の車線幅に関する情報についても記録されている。
【0048】
また、高精度地図情報16は基本的にサーバ装置4から取得されるが、キャッシュ46に既に格納されているエリアの高精度地図情報16が存在する場合には、キャッシュ46から取得する。また、サーバ装置4から取得された高精度地図情報16はキャッシュ46に一旦格納される。
【0049】
その後、S3においてCPU51は、後述の静的走行軌道生成処理(
図8)を実行する。ここで、静的走行軌道生成処理は、車両の走行予定経路と前記S2で取得した高精度地図情報16とに基づいて、走行予定経路に含まれる道路に対して車両に走行が推奨される走行軌道である静的走行軌道を生成する処理である。特に、CPU51は走行予定経路に含まれる車線単位で車両に走行が推奨される走行軌道を静的走行軌道として特定する。尚、静的走行軌道は後述のように車両の現在位置から進行方向に沿って所定距離前方までの区間(例えば車両が現在位置する2次メッシュ内、或いは目的地までの全区間)を対象として生成される。尚、所定距離については適宜変更可能であるが、少なくとも車外カメラ39やその他のセンサによって車両周辺の道路状況を検出することが可能な範囲(検出範囲)外を含む領域を対象として静的走行軌道を生成する。
【0050】
次に、S4においてCPU51は、後述の速度計画生成処理(
図15)を実行する。ここで、速度計画生成処理は、前記S2で取得した高精度地図情報16に基づいて、前記S3で生成された静的走行軌道を走行する際の車両の速度計画を生成する処理である。
【0051】
そして、前記S4で生成された速度計画は、自動運転支援に用いる支援情報としてフラッシュメモリ54等に格納される。また、前記S4で生成された速度計画を実現する為に必要な車両の加減速を示す加速度の計画についても自動運転支援に用いる支援情報として生成するようにしても良い。
【0052】
続いて、S5においてCPU51は、車外カメラ39で撮像された撮像画像に対して画像処理を行うことによって、周辺の道路状況として、特に自車両の周辺に自車両の走行に影響が生じる要因が存在するか否かを判定する。ここで、前記S5で判定対象となる“自車両の走行に影響が生じる要因”は、リアルタイムで変化する動的な要因とし、道路構造に基づくような静的な要因は除かれる。例えば、自車両の進行方向前方を走行又は駐車する他車両、渋滞車両、自車両の進行方向前方に位置する歩行者、自車両の進行方向前方にある工事区間等が該当する。一方で、交差点、カーブ、踏切、合流区間、車線減少区間等は除かれる。また、他車両、歩行者、工事区間が存在する場合であっても、それらが自車両の今後の走行軌道と重複する虞のない場合(例えば自車両の今後の走行軌道から離れた位置にある場合)については“自車両の走行に影響が生じる要因”からは除かれる。また、車両の走行に影響が生じる可能性のある要因を検出する手段としてはカメラの代わりにミリ波レーダやレーザセンサ等のセンサや車車間通信や路車間通信を用いても良い。
【0053】
また、例えば全国の道路を走行する各車両のリアルタイムの位置等を外部のサーバで管理し、CPU51は自車両の周辺に位置する他車両の位置を外部のサーバから取得して前記S5の判定処理を行うようにしても良い。
【0054】
そして、自車両の周辺に自車両の走行に影響が生じる要因が存在すると判定された場合(S5:YES)には、S6へと移行する。それに対して、自車両の周辺に自車両の走行に影響が生じる要因が存在しないと判定された場合(S5:NO)には、S8へと移行する。
【0055】
S6においてCPU51は、車両の現在位置から前記S5で検出された“自車両の走行に影響が生じる要因”を回避或いは追従して静的走行軌道に戻る為の新たな軌道を動的走行軌道として生成する。尚、動的走行軌道は“自車両の走行に影響が生じる要因”を含む区間を対象として生成される。また、区間の長さは要因の内容によって変化する。例えば、“自車両の走行に影響が生じる要因”が車両の前方を走行する他車両(前方車両)である場合には、
図6に示すように右側に車線変更して前方車両69を追い越し、その後に左側に車線変更して元の車線に戻るまでの軌道である回避軌道が動的走行軌道70として生成される。尚、前方車両69を追い越さずに前方車両69の所定距離後方を追従して走行(或いは前方車両69と並走)する軌道である追従軌道を動的走行軌道として生成しても良い。
【0056】
図6に示す動的走行軌道70の算出方法を例に挙げて説明すると、CPU51は先ずステアリングの旋回を開始して右側の車線へと移動し、且つステアリングの位置が直進方向に戻るのに必要な第1の軌道L1を算出する。尚、第1の軌道L1は車両の現在の車速に基づいて車線変更を行う際に生じる横方向の加速度(横G)を算出し、横Gが自動運転支援に支障が生じることなく、また車両の乗員に不快感を与えない上限値(例えば0.2G)を超えないことを条件として、クロソイド曲線を用いてできる限り円滑で、且つできる限り車線変更に必要な距離が短くなる軌道を算出する。また、前方車両69との間に適切な車間距離D以上を維持することについても条件とする。
次に、右側の車線を制限速度を上限に走行して前方車両69を追い越し、且つ前方車両69との間を適切な車間距離D以上とするまでの第2の軌道L2を算出する。尚、第2の軌道L2は基本的に直線の軌道であり、また軌道の長さは、前方車両69の車速と道路の制限速度に基づいて算出される。
続いて、ステアリングの旋回を開始して左側の車線へと戻り、且つステアリングの位置が直進方向に戻るのに必要な第3の軌道L3を算出する。尚、第3の軌道L3は車両の現在の車速に基づいて車線変更を行う際に生じる横方向の加速度(横G)を算出し、横Gが自動運転支援に支障が生じることなく、また車両の乗員に不快感を与えない上限値(例えば0.2G)を超えないことを条件として、クロソイド曲線を用いてできる限り円滑で、且つできる限り車線変更に必要な距離が短くなる軌道を算出する。また、前方車両69との間に適切な車間距離D以上を維持することについても条件とする。
尚、動的走行軌道は、車外カメラ39やその他のセンサで取得した車両周辺の道路状況に基づいて生成されるので、動的走行軌道が生成される対象となる領域は、少なくとも車外カメラ39やその他のセンサによって車両周辺の道路状況を検出することが可能な範囲(検出範囲)内となる。
【0057】
続いて、S7においてCPU51は、前記S6で新たに生成された動的走行軌道を、前記S3で生成された静的走行軌道に反映する。具体的には、車両の現在位置から“自車両の走行に影響が生じる要因”を含む区間の終端まで、静的走行軌道と動的走行軌道の夫々のコストを算出し、該コストが最少となる走行軌道を選択する。結果的に、必要に応じて静的走行軌道の一部が動的走行軌道に置き換わることになる。尚、状況によっては動的走行軌道の置き換えが行われない場合、即ち動的走行軌道の反映が行われても前記S3で生成された静的走行軌道から変化しない場合もある。更に、動的走行軌道と静的走行軌道が同じ軌道である場合には、置き換えが行われても前記S3で生成された静的走行軌道から変化しない場合もある。
【0058】
また、前記S7で動的走行軌道を反映することによって前記S4で生成された車両の速度計画を修正する必要がある場合については速度計画の修正についても行う。
【0059】
その後、S8においてCPU51は、車両が高速道路(高速自動車国道以外に自動車専用道路やそれに準じる道路も含む)の加速車線を車両が走行しており、且つ合流対象となる本線車線を走行する他車両(以下、本線他車両という)が存在するか否かを判定する。尚、自車両が走行する車線の種類については現在位置検出部31により検出した車両の現在位置と前記S2で取得した高精度地図情報16に基づいて特定する。また、本線他車両については車外カメラ39により撮像された撮像画像に対して画像処理を行うことによって検出する。即ち、自車両の車外カメラ39によって検出可能な範囲内で隣接する本線車線を走行する車両が検出対象となる。但し、本線他車両の検出は、ミリ波レーダやレーザセンサ等のセンサや車車間通信や路車間通信を用いても良い。
【0060】
そして、車両が高速道路の加速車線を車両が走行しており、且つ本線他車両が存在すると判定された場合(S8:YES)には、S9へと移行する。それに対して、車両が高速道路の加速車線を車両が走行していない、或いは走行している場合であっても本線他車両が存在しないと判定された場合(S8:NO)には、S11へと移行する。
【0061】
S9においてCPU51は、前記S3で生成された静的走行軌道を前記S4で生成された速度計画に基づいて走行した場合に、自車両が加速車線から本線車線への合流を行うことによって本線車線を走行する本線他車両への走行に影響が生じるか否かを判定する。
【0062】
以下に前記S8の判定処理の詳細について説明する。
先ず、CPU51は本線車線に位置する本線他車両の位置と走行速度(自車両に対する相対位置や相対速度でも良い)を車外カメラ39の撮像画像に基づいて検出する。尚、ミリ波レーダやレーザセンサ等のセンサや車車間通信や路車間通信を用いても良い。そして、検出した本線他車両の位置を地図上にマッピングして車速とともに記憶する。例えば
図7に示すように加速車線72を走行する自車両5から合流対象となる本線車線73を走行する本線他車両74が検出された場合には、時間経過とともに推移する本線他車両74の位置と車速が夫々記録される。本線他車両74が複数存在する場合には、複数の本線他車両74毎に上記マッピングを行う。
次に、
図7に示すように地図上に記憶された本線他車両74の位置と車速の推移に基づいて、本線他車両74が合流完了点(自車両が加速車線72から本線車線73への合流(車線移動)を完了する地点)に到達する到達予測時間を算出する。同様に、自車両5の現在の走行軌道と速度計画に基づいて、自車両5が合流完了点に到達する、即ち自車両が加速車線72から本線車線73への合流(車線移動)を完了する時間を算出する。その後、自車両が本線車線73への合流を完了してから本線他車両74が合流完了点に到達するまでの時間差Tを算出する。
そして、算出された時間差Tが所定時間未満か否かを判定し、所定時間未満である場合には、自車両5が加速車線から本線車線への合流を行うことによって本線車線を走行する本線他車両74への走行に影響が生じると判定する。尚、所定時間は例えば2秒とするが、道路種別や車速等に基づいて適宜変更可能である。但し、時間差Tが所定時間未満であってとしても自車両5が合流完了点に到達するのが本線他車両74が合流完了点に到達するよりも遅い場合(即ち合流時に本線他車両74が自車両5の前方車両となる場合)については、本線他車両74への走行に影響が生じないと判定しても良い。
尚、本線他車両74が複数存在する場合には、複数の本線他車両74毎に上記判定を行う。
【0063】
そして、自車両が加速車線から本線車線への合流を行うことによって本線車線を走行する本線他車両への走行に影響が生じると判定された場合(S9:YES)には、S10へと移行する。それに対して、自車両が加速車線から本線車線への合流を行うことによって本線車線を走行する本線他車両への走行に影響が生じないと判定された場合(S9:NO)には、S11へと移行する。
【0064】
S10においてCPU51は、後述の速度計画修正処理(
図17)を実行する。ここで、速度計画修正処理は、自車両が加速車線から本線車線への合流を行うことによって生じる本線車線を走行する本線他車両への影響を減らすために、前記S4で生成された車両の速度計画を修正する処理である。
【0065】
続いて、S11においてCPU51は、前記S3で生成された静的走行軌道(前記S7で動的走行軌道の反映が行われている場合には反映後の軌道)を前記S4で生成された速度計画(前記S10で速度計画の修正が行われている場合には修正後の計画)に従った速度で車両が走行する為の制御量を演算する。具体的には、アクセル、ブレーキ、ギヤ及びステアリングの制御量が夫々演算される。尚、S11及びS12の処理についてはナビゲーション装置1ではなく車両を制御する車両制御ECU40が行うようにしても良い。
【0066】
その後、S12においてCPU51は、S11において演算された制御量を反映する。具体的には、演算された制御量を、CANを介して車両制御ECU40へと送信する。車両制御ECU40では受信した制御量に基づいてアクセル、ブレーキ、ギヤ及びステアリングの各車両制御が行われる。その結果、前記S3で生成された静的走行軌道(前記S7で動的走行軌道の反映が行われている場合には反映後の軌道)を前記S4で生成された速度計画(前記S10で速度計画の修正が行われている場合には修正後の計画)に従った速度で走行する走行支援制御が可能となる。
【0067】
次に、S13においてCPU51は、前記S3で静的走行軌道の生成が行われてから車両が一定距離走行したか否かを判定する。例えば一定距離は1kmとする。
【0068】
そして、前記S3で静的走行軌道の生成が行われてから車両が一定距離走行したと判定された場合(S13:YES)には、S2へと戻る。その後、車両の現在位置から走行予定経路に沿った所定距離以内の区間を対象として、静的走行軌道の生成が再度行われる(S2~S4)。尚、本実施形態では車両が一定距離(例えば1km)走行する度に、車両の現在位置から走行予定経路に沿った所定距離以内の区間を対象として、静的走行軌道の生成が繰り返し行われることとしているが、目的地までの距離が短い場合には走行開始時点において目的地までの静的走行軌道の生成を一度に行うようにしても良い。
【0069】
一方、前記S3で静的走行軌道の生成が行われてから車両が一定距離走行していないと判定された場合(S13:NO)には、自動運転支援による支援走行を終了するか否かを判定する(S14)。自動運転支援による支援走行を終了する場合としては、目的地に到着した場合以外に、ユーザが車両に設けられた操作パネルを操作したり、ハンドル操作やブレーキ操作などが行われることによって自動運転支援による走行を意図的に解除(オーバーライド)した場合がある。
【0070】
そして、自動運転支援による支援走行を終了すると判定された場合(S14:YES)には、当該自動運転支援プログラムを終了する。それに対して自動運転支援による支援走行を継続すると判定された場合(S14:NO)には、S5へと戻る。
【0071】
次に、前記S3において実行される静的走行軌道生成処理のサブ処理について
図8に基づき説明する。
図8は静的走行軌道生成処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0072】
先ず、S21においてCPU51は、現在位置検出部31により検出した車両の現在位置を取得する。尚、車両の現在位置は、例えば高精度のGPS情報や高精度ロケーション技術を用いて詳細に特定することが望ましい。ここで、高精度ロケーション技術とは、車両に設置されたカメラから取り込んだ白線や路面ペイント情報を画像認識により検出し、更に、検出した白線や路面ペイント情報を例えば高精度地図情報16と照合することにより、走行車線や高精度な車両位置を検出可能にする技術である。更に、車両が複数の車線からなる道路を走行する場合には車両の走行する車線についても特定する。
【0073】
次に、S22においてCPU51は、前記S2で取得した高精度地図情報16に基づいて、車両の進行方向前方の静的走行軌道を生成する区間(例えば車両の現在位置を含む2次メッシュ内)を対象として、レーン形状、区画線情報、交差点に関する情報等を取得する。尚、前記S22で取得されるレーン形状と区画線情報には、車線数、車線幅、車線数の増減がある場合にはどの位置でどのように増減するか、車線毎の進行方向の通行区分や道路の繋がり(具体的には、交差点の通過前の道路に含まれる車線と交差点の通過後の道路に含まれる車線との対応関係)を特定する情報等を含む。更に高速道路については車線毎に、本線車線(本線車道)、加速車線、減速車線、登坂車線等の車線の種類、特に加速車線、減速車線、登坂車線については車線の開始点と終点(開始点と終点によって特定される長さも含む)を特定する情報、加えて加速車線の車線幅、本線車線の車線幅に関する情報についても記録されている。また、交差点に関する情報としては、交差点の形状に加えて交差点上に配置された地物の位置や形状に関する情報を含む。更に、“交差点上に配置された地物”には、誘導線(ガイド白線)、交差点中央に配置されるひし形の導流帯(ダイヤマーク)等の路面に描かれた路面表示の他、ポール等の構造物がある。
【0074】
続いて、S23においてCPU51は、前記S22で取得したレーン形状と区画線情報とに基づいて、車両の進行方向前方の静的走行軌道を生成する区間を対象としてレーンネットワークの構築を行う。ここで、レーンネットワークは車両が選択し得る車線移動を示したネットワークである。
【0075】
ここで、前記S23におけるレーンネットワークを構築する例として、例えば
図9に示す走行予定経路を車両が走行する場合を例に挙げて説明する。
図9に示す走行予定経路は、車両の現在位置から直進した後に次の交差点81で右折し、更に次の交差点82でも右折し、次の交差点83で左折する経路とする。
図9に示す走行予定経路では、例えば交差点81で右折する場合に右側の車線に進入することも可能であるし、左側の車線に進入することも可能である。但し、次の交差点82で右折する必要があるので、交差点82の進入時点では最も右側の車線に車線移動する必要がある。また、交差点82で右折する場合においても右側の車線に進入することも可能であるし、左側の車線に進入することも可能である。但し、次の交差点83で左折する必要があるので、交差点83の進入時点では最も左側の車線に車線移動する必要がある。このような車線移動が可能な区間を対象として構築したレーンネットワークを
図10に示す。
【0076】
図10に示すようにレーンネットワークは、車両の進行方向前方の静的走行軌道を生成する区間を複数の区画(グループ)に区分する。具体的には、交差点の進入位置、交差点の退出位置、車線が増減する位置を境界として区分する。そして、区分された各区画の境界に位置する各車線に対してノード点(以下、レーンノードという)85が設定されている。更に、レーンノード85間をつなぐリンク(以下、レーンリンクという)86が設定されている。
【0077】
また、加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点がある場合については、
図11に示すように加速車線の開始点(速度制限が解除される地点にも相当)及び加速車線の終点(加速車線と本線車線との間の車線境界線の終点にも相当)についても境界として区分されてレーンノード85が設定される。また、加速車線と本線車線との間の車線境界線の開始点についても境界として区分されてレーンノード85が設定される。また、上記加速車線以外に減速車線や登坂車線についても開始点や終点を境界にしてレーンノード85が設定される。
【0078】
また、上記レーンネットワークは、特に交差点(高速道路における合流地点や分岐地点も含む、以下同じ)でのレーンノードとレーンリンクとの接続によって、交差点の通過前の道路に含まれる車線と交差点の通過後の道路に含まれる車線との対応関係、即ち交差点の通過前の車線に対して交差点の通過後に移動可能な車線を特定する情報を含んでいる。具体的には交差点の通過前の道路に設定されたレーンノードと、交差点の通過後の道路に設定されたレーンノードとの内、レーンリンクによって接続されたレーンノードに対応する車線間において車両が移動可能なことを示している。このようなレーンネットワークを生成する為に高精度地図情報16には、交差点に接続する各道路について、交差点へと進入する道路と退出する道路の組み合わせごとに、車線の対応関係を示すレーンフラグが設定されて格納されている。CPU51は前記S23においてレーンネットワークを構築する際に、レーンフラグを参照して交差点におけるレーンノードとレーンリンクとの接続を形成する。
【0079】
次に、S24においてCPU51は、前記S23で構築されたレーンネットワークに対して、レーンネットワークの始点に位置するレーンノードに対して車両が移動を開始する開始レーン(出発ノード)を設定し、レーンネットワークの終点に位置するレーンノードに対して車両が移動する目標となる目標レーン(目的ノード)を設定する。尚、レーンネットワークの始点が片側複数車線の道路である場合には、車両の現在位置する車線に対応するレーンノードが開始レーンとなる。一方、レーンネットワークの終点が片側複数車線の道路である場合には、最も左側の車線(左側通行の場合)に対応するレーンノードが目標レーンとなる。
【0080】
その後、S25においてCPU51は、前記S23で構築されたレーンネットワークを参照し、開始レーンから目標レーンまでを連続して繋ぐルートの内、レーンコストの最も小さいルート(以下、推奨ルートという)を導出する。例えばダイクストラ法を用いて目標レーン側からルートの探索を行う。但し、開始レーンから目標レーンまでを連続して繋ぐルートを探索できるのであればダイクストラ法以外の探索手段を用いても良い。導出された推奨ルートは、車両が移動する際に推奨される車両の車線移動態様となる。
【0081】
また、上記ルートの探索に用いられるレーンコストは、レーンリンク76毎に付与されている。各レーンリンク76に付与されるレーンコストは、各レーンリンク76の長さ或いは移動に係る所要時間を基準値とする。特に本実施形態ではレーンリンクの長さ(m単位)をレーンコストの基準値とする。また、車線変更を伴うレーンリンクについては車線変更コスト(例えば50)を上記基準値に加算する。尚、車線変更コストについては車線変更の回数や車線変更の位置に応じて値を変えても良い。例えば交差点に近い位置で行われる車線変更や2車線分の車線変更が行われる場合については加算される車線変更コストの値をより高くすることが可能である。
【0082】
その後、S26以降においてCPU51は、前記S25で導出された推奨ルートに沿って走行する為の具体的な走行軌道を生成する。先ず、S26においてCPU51は、前記S25で導出された推奨ルートに高速道路の加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を含むか否かを判定する。
【0083】
そして、前記S25で導出された推奨ルートに高速道路の加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を含むと判定された場合(S26:YES)には、S27へと移行する。それに対して前記S25で導出された推奨ルートに高速道路の加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を含まないと判定された場合(S26:NO)には、S28へと移行する。
【0084】
S27においてCPU51は、後述の合流走行軌道演算処理(
図12)を実行する。ここで、合流走行軌道演算処理は、特に高速道路の加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点での合流動作を行うに際して車両に走行が推奨される走行軌道を算出する処理である。
【0085】
その後、S28においてCPU51は、上記合流地点以外について前記S25で導出された推奨ルートに沿って走行する為の具体的な走行軌道を生成する。尚、車線変更を伴う区間の走行軌道については、できる限り車線変更が連続せず、且つ交差点から離れた位置で行うように車線変更の位置を設定する。また、特に交差点での右左折、車線変更をする際の走行軌道を生成する場合には、車両に生じる横方向の加速度(横G)を算出し、横Gが自動運転支援に支障が生じることなく、また車両の乗員に不快感を与えない上限値(例えば0.2G)を超えないことを条件として、クロソイド曲線を用いてできる限り円滑に結ぶ軌道を算出する。そして、前記S27で算出された走行軌道と組み合わせることによって、走行予定経路に含まれる道路に対して車両に走行が推奨される走行軌道である静的走行軌道が生成される。尚、車線変更を行う区画でもなく合流動作を行う区間でもなく交差点内の区画でもない区画については、車線の中央を通過する軌道を車両の走行が推奨される走行軌道とする。
【0086】
そして、前記S27及びS28で生成された静的走行軌道は、自動運転支援に用いる支援情報としてフラッシュメモリ54等に格納される。
【0087】
次に、前記S27において実行される合流走行軌道演算処理のサブ処理について
図12に基づき説明する。
図12は合流走行軌道演算処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0088】
先ず、S31においてCPU51は、地図情報DB45に記憶された地図情報或いは高精度地図情報16に基づいて、前記S25で導出された推奨ルートの内、加速車線へと進入する手前の道路に設定されている制限速度(例えば40km/h)と、合流対象となる本線車線を走行する際に推奨される車速である推奨速度をそれぞれ取得する。尚、本線車線を走行する推奨速度は、本線車線に設定された制限速度としても良いし、現時点の交通状況から算出しても良いし、過去に実際に本線車線を走行した際の走行履歴から算出しても良い。
【0089】
次に、S32においてCPU51は、自車両が加速車線から本線車線への合流動作を開始する前に、許容範囲内の加速で本線車線の推奨速度まで到達可能か否かを判定する。尚、本実施形態では車両が加速車線へ進入する前は走行する道路の制限速度(例えば40km/h)で走行し、加速車線に進入したタイミングから合流動作(車線移動)を開始するまでの間において一定の加速値で加速を行い、合流動作(車線移動)を開始した後には加速しないことを前提とする。また、許容される加速値は自動運転支援に支障が生じることなく、また車両の乗員に不快感を与えない上限値とし、例えば0.2Gとする。
【0090】
例えば
図13に示すように加速車線を走行する前の制限速度をVa、本線車線の推奨速度をVc、加速車線の長さ(即ち制限速度が解除されてから自車両が本線車線への合流(車線移動)を完了する地点までの距離)をL、本線車線の推奨速度Vcで加速車線から本線車線への車線移動を行うのに必要な距離をLcとすると、以下の式(1)により加速道路で必要な加速値Accが算出される。
Acc=(Vc
2-Va
2)/(2×(L-Lc))・・・・(1)
そして、上記式(1)により算出された加速値Accが0.2G以下であれば、前記S32において自車両が加速車線から本線車線への合流動作を開始する前に、許容範囲内の加速で本線車線の推奨速度まで到達可能と判定する。
【0091】
また、上記式(1)における本線車線の推奨速度Vcで加速車線から本線車線への車線移動を行うのに必要な距離Lcは以下のように算出する。
先ず、距離Lcを算出するために、先ず車両が推奨速度Vcで車線移動を行う場合の推奨される車両の走行軌道を算出する。ここで、車両が車線移動を行う場合の推奨される車両の走行軌道は、曲率が連続して変化するクロソイド曲線を含む。より具体的には形状の異なる複数のクロソイド曲線を接続した軌道となる。
図14は例えば右側に隣接する車線に移動する場合の推奨される車両の走行軌道を示した図である。
図14に示すように右側に隣接する車線に移動する場合の推奨される車両の走行軌道は、車線移動の開始点P1からステアリングを右方向に徐々に旋回させながら(即ち曲率が徐々に大きく変化させながら)第1の中継地点P2まで進む第1のクロソイド曲線91と、第1の中継地点P2からステアリングを徐々に直進方向に戻しながら(即ち曲率が徐々に小さく変化させながら)車線の境界P3まで進む第2のクロソイド曲線92と、車線の境界P3から今度はステアリングを左方向に徐々に旋回させながら(即ち曲率が徐々に大きく変化させながら)第2の中継地点P4まで進む第3のクロソイド曲線93と、その後に第2の中継地点P4からステアリングを徐々に直進方向に戻しながら(即ち曲率が徐々に小さく変化させながら)車線移動の終了点P5まで進む第4のクロソイド曲線94とからなる。尚、クロソイド曲線91~94による横方向の移動幅については加速車線と本線車線との間の距離(例えば3.5m)とする。そして、CPU51は各クロソイド曲線91~94について車線変更を行う際に生じる加速度(横G)が車両の乗員に不快感を与えない上限値(例えば0.2G)を超えることなく、更にクロソイド曲線を用いてできる限り円滑で、且つできる限り車線変更に必要な距離が短くした軌道となるように算出する。そして、算出された各クロソイド曲線91~94を接続することにより車両が推奨速度Vcで車線移動を行う場合の推奨される車両の走行軌道が算出される。更に、算出された走行軌道の全長から距離Lcについても算出される。
【0092】
そして、前記S32において自車両が加速車線から本線車線への合流動作を開始する前に、許容範囲内の加速で本線車線の推奨速度まで到達可能と判定された場合(S32:YES)には、本線車線の推奨速度を加速車線から本線車線への合流を行う為の設定速度に設定する(S33)。尚、本実施形態では車両が上記設定速度に到達した後に合流が完了するまでは車速を一定とする(加速及び減速を行わない)こと前提としているので、設定速度が合流速度(車線移動中の速度)にも相当する。
【0093】
一方で、前記S32において自車両が加速車線から本線車線への合流動作を開始する前に、許容範囲内の加速で本線車線の推奨速度まで到達できないと判定された場合(S32:NO)には、本線車線の推奨速度より遅い速度を設定速度に設定する(S34)。具体的には、加速道路に進入した後に許容範囲内の上限加速Accmax(例えば0.2G)で加速を行った場合において、合流動作を開始する前に到達可能な上限速度を設定速度とする。例えば以下の式(2)により設定速度Vd算出される。
Vd=√(Accmax×2×(L-Lc)+Va2)・・・・(2)
【0094】
続いて、S35においてCPU51は、車両が前記S33又はS34で特定された設定速度で、加速車線から合流車線へ車線移動を行う場合の推奨される車両の走行軌道を算出する。その結果、
図13に示す走行軌道の内、車線移動を開始する合流開始点から車線移動を完了する合流完了点までの走行軌道が算出されることとなる。尚、具体的な走行軌道の算出方法については既に
図14を用いて説明したので省略する。
【0095】
その後、S36においてCPU51は、車線移動を行う前後において推奨される車両の走行軌道を算出する。本実施形態では上述したように加速車線から本線車線への車線移動を行うのに必要な距離Lcを算出した上で、自車両が加速車線から本線車線への合流動作を開始する前に、許容範囲内の加速で到達可能な速度を設定速度としているので、L-Lcが加速車線を走行する自車両が設定速度まで車速を変移するのに必要な距離となり、更に加速車線の開始点を始点としてL-Lc(第1距離)前方の位置が合流開始点、合流開始点からLc(第2距離)前方の位置が合流完了点となる。そして、
図13に示すように加速車線の開始点から合流開始点までの区間については車線移動を行わずに加速を行う区間となるので加速車線の中心を走行する軌道を算出する。一方、合流完了点以後は本線車線の中心を走行する軌道を算出する。
【0096】
そして、S37においてCPU51は、前記S35で算出された走行軌道と前記S36で算出された走行軌道を組み合わせることにより、高速道路の加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点での合流動作を行うに際して車両に走行が推奨される走行軌道を生成する。
【0097】
次に、前記S4において実行される速度計画生成処理のサブ処理について
図15に基づき説明する。
図15は速度計画生成処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0098】
先ず、S41においてCPU51は、地図情報を用いて前記S3で生成された静的走行軌道に含まれる各道路について制限速度情報を取得する。尚、制限速度情報が取得できない道路については道路種別に基づいて制限速度を特定する。例えば細街路は30km/h、幹線道路以外の一般道路は40km/h、国道などの幹線道路は60km/h、高速道路は100km/hとする。尚、高速道路については車線の種類(加速車線、減速車線、登坂車線)についても考慮して制限速度を特定する。また、制限速度情報は高精度地図情報16から取得しても良いし、経路探索に用いる通常の地図情報から取得しても良い。
【0099】
次に、S42においてCPU51は、前記S3で生成された静的走行軌道上において車両の速度を変化させる地点である速度変化地点を特定する。ここで、速度変化地点としては、例えば交差点、カーブ、踏切、横断歩道などが該当する。静的走行軌道上に複数の速度変化地点がある場合には、複数の速度変化地点について特定する。
【0100】
続いて、S43においてCPU51は、前記S32で特定された速度変化地点毎に速度変化地点を通過する推奨速度を設定する。例えば、踏切や一時停止線のある交差点では、先ず停止(0km/h)し、その後に徐行速度(例えば10km/h)で通過する態様を推奨速度とする。また、カーブや右左折対象となる交差点では車両に生じる横方向の加速度(横G)が自動運転支援に支障が生じることなく、また車両の乗員に不快感を与えない上限値(例えば0.2G)を超えない速度を推奨速度とする。例えばカーブの曲率や交差点の形状などに基づいて算出される。
【0101】
次に、S44においてCPU51は、前記S3で生成された静的走行軌道に高速道路の加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を含むか否かを判定する。
【0102】
そして、前記S3で生成された静的走行軌道に高速道路の加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を含むと判定された場合(S44:YES)には、S45へと移行する。それに対して、前記S3で生成された静的走行軌道に高速道路の加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を含まないと判定された場合(S44:NO)には、S46へと移行する。
【0103】
S45においてCPU51は、高速道路の加速車線から本線車線への合流を行う際の車両の速度計画を生成する。具体的には、
図16に示すように加速車線の開始点までは制限速度Vaで走行し、加速車線の開始点を通過した後に合流開始点に到達するタイミングで設定速度(前記S33、S34で特定される)となるように一定の加速度で速度を上昇させつつ走行し、合流動作中の合流開始点から合流完了点までは一定の設定速度で走行し、合流完了点以後は本線車線を同じく設定速度で走行する速度計画を生成する。尚、設定速度は前述したように許容範囲内(例えば0.2G以下)の加速で合流開始点までに到達可能と判定された速度に設定している(S32~S34)ので、生成される速度計画において車速を上昇させる際の加速値は許容範囲内となる。また、設定速度が本線車線の推奨速度Vcよりも遅い場合については、合流が完了した後に推奨速度Vcへと上昇させる速度計画としても良い。
【0104】
その後、S46においてCPU51は、上記合流地点以外について前記S3で生成された静的走行軌道に従って走行する際の速度計画を生成する。具体的には、速度変化地点以外の道路については前記S41で取得した道路の制限速度を推奨速度とし、前記S43で設定された速度変化地点の推奨速度と、速度変化地点以外の道路の推奨速度を組み合わせ、静的走行軌道に沿って推奨速度の推移を車両の進行方向に示したデータを車両の速度計画として生成する。また、速度計画を生成する際には、速度変化地点間の速度変化が所定条件を満たす、より具体的には静的走行軌道に沿って走行する車両の加速度及び減速度がそれぞれ閾値以下となる条件を満たすように速度計画を適宜修正する。そして、前記S45で生成された速度計画と前記S46で生成された速度計画とを組み合わせることによって、静的走行軌道を走行する速度計画が生成される。
【0105】
そして、前記S45及びS46で生成された速度計画は、自動運転支援に用いる支援情報としてフラッシュメモリ54等に格納される。また、前記S45及びS46で生成された速度計画を実現する為に必要な車両の加減速を示す加速度の計画についても自動運転支援に用いる支援情報として生成するようにしても良い
【0106】
次に、前記S10において実行される速度計画修正処理のサブ処理について
図17に基づき説明する。
図17は速度計画修正処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0107】
先ず、S51においてCPU51は、前記S4で生成された現在の速度計画の修正候補について複数生成する。尚、修正の対象となるのは特に前記S45で生成された高速道路の加速車線から本線車線への合流を行う際の車両の速度計画である。
【0108】
具体的に前記S51においてCPU51は、
図18に示すように合流完了点に到達するタイミングを現在の速度計画から所定時間(0.1sec)ずつ遅らせた複数の速度計画を生成する。例えば、合流完了点に到達するタイミングを現在の速度計画から0.1sec遅らせたものを第1の速度計画の修正候補とし、合流完了点に到達するタイミングを現在の速度計画から0.2sec遅らせたものを第2の速度計画の修正候補とし、合流完了点に到達するタイミングを現在の速度計画から0.3sec遅らせたものを第3の速度計画の修正候補とする。尚、速度計画の修正候補をいくつ生成するかについては適宜変更可能であるが、本線車両を走行する本線他車両が複数ある場合については、より多くの修正候補を生成することが望ましい。
図18に示すように加速車線を走行する際の加速度は現在の速度計画を維持した状態で設定速度を遅くすることによって、合流開始点及び合流完了点に到達するタイミングを遅らせた速度計画を生成することが可能となる。
【0109】
一方、例外的に本線車線が渋滞していることを検出した場合においては、以下の方法により速度計画の修正候補を生成する。先ず、CPU51は本線車線を走行する本線他車両の走行速度を新たな設定速度として取得する。尚、本線他車両の走行速度は車外カメラ39で撮像された撮像画像を用いて検出するが、カメラの代わりにミリ波レーダやレーザセンサ等のセンサや車車間通信や路車間通信を用いても良い。そして、CPU51は先ず
図19に示すように加速車線での加速を途中で中止して一定速度で走行した上で、合流開始点に到達するタイミングで新たな設定速度となるように一定の減速度で速度を減少させつつ走行し、合流動作中の合流開始点から合流完了点までは新たな設定速度で走行し、合流完了点以後は本線車線を同じく新たな設定速度で走行する速度計画を第1の速度計画の修正候補として生成する。更に、CPU51は
図19に示すように減速する際の減速度は変えずに減速を開始するタイミングを早くすることによって、合流完了点に到達するタイミングを第1の速度計画の修正候補から所定時間(0.1sec)ずつ遅らせた複数の速度計画を生成する。例えば、合流完了点に到達するタイミングを第1の速度計画の修正候補から0.1sec遅らせたものを第2の速度計画の修正候補とし、合流完了点に到達するタイミングを第1の速度計画の修正候補から0.2sec遅らせたものを第3の速度計画の修正候補とする。尚、速度計画の修正候補をいくつ生成するかについては適宜変更可能であるが、本線車両を走行する本線他車両が複数ある場合については、より多くの修正候補を生成することが望ましい。
【0110】
以降のS52~S55の処理については前記S51で生成された速度計画の修正候補毎に実行し、全ての速度計画の修正候補を対象として処理を実行した後にS56へと移行する。
【0111】
先ず、S52においてCPU51は、処理対象の速度計画の修正候補について、加速車線から本線車線への合流を完了するまでに必要な時間(具体的には加速車線の走行を開始してから合流完了点に到達するまでの時間であり、以下、合流所要時間という)に基づく第1のコストC1を算出する。第1のコストC1は、合流までに係る時間の長さに基づく乗員の負担を示したものである。具体的には、前記S4で生成された現在の速度計画における合流所要時間を基準として、処理対象の速度計画の修正候補における合流所要時間の差分(sec)を第1のコストC1として算出する。尚、
図18及び
図19を用いて説明したように前記S51で生成される速度計画の修正候補は、前記S4で生成された現在の速度計画よりも合流所要時間が長くなるので、第1のコストが大きい程、速度計画を修正することによって合流までに係る時間が長くなり、乗員の負担が増すことを示す。例えば、処理対象の速度計画の修正候補が前記S4で生成された現在の速度計画よりも合流所要時間が1sec長い場合には、第1のコストC1は『1』となる。
【0112】
次に、S53においてCPU51は、処理対象の速度計画の修正候補について、本線車線に合流した際の前方車両までの距離(以下、前方車間距離という)に基づく第2のコストC2を算出する。尚、第2のコストC2は、合流後の前方車両との間に生じるリスクに基づく乗員の負担を示したものである。具体的には、前記S8において地図上に記憶された本線他車両の位置と車速の推移(
図7参照)と、前記S3で生成された静的走行軌道(前記S7で動的走行軌道の反映が行われている場合には反映後の軌道)とに基づいて、処理対象の速度計画の修正候補に従って走行した場合に、自車両が合流完了点に到達したタイミングでの前方車両までの距離を前方車間距離D1として算出する。
【0113】
前方車間距離D1の逆数、或いは定数から前方車間距離D1を引いた値を第2のコストC2としても良いが、本実施形態では前方車間距離D1に加えて自車両や前方車両の車速等の他の要素についても考慮して第2のコストC2を算出する。仮に前方車間距離D1が短かったとしても自車両の車速が遅ければ前方車両との間でリスクは小さく、前方車間距離D1が長かったとしても自車両の車速が速ければ前方車両との間でリスクが大きいと予測されるからである。本実施形態では合流後に前方車両が急制動したと仮定した際に自車両に生じる減速度の大きさを前方車間距離D1から推定して第2のコストC2とする。
【0114】
従って、前記S53においてCPU51は、先ず前方車両に急制動が生じたと仮定した際の前方車両の制動距離を算出する。尚、急制動の減速度はDect(例えば0.6G)と仮定し、以下の式(2)により制動距離Ltが算出される。尚、前方車両の車速をVtとする。
Lt=Vt2/(2×Dect)・・・・(2)
更に、前方車両に急制動が生じたと仮定した際の自車両の減速度Decは以下の式(3)により算出される。尚、自車両の設定速度をVc、停止時に前方車両との間で最低限確保する車間距離をDtop(例えば0.5m)、自車両が前方車両の急制動を検出してから減速を開始するまでの時間(尚、本実施形態では自動運転による走行を前提としているので前方車両の急制動の検出やそれに伴う自車両の減速も自動で行う)をTnとする。
Dec=Vc2/(2×(Lt+D1-Dtop-Tn×Vc))・・・・(3)
【0115】
そして、上記式(3)で算出された減速度Decを第2のコストC2として算出する。但し、例外としてDecがDectより大きくなる場合については第2のコストC2を無限大、即ち処理対象の速度計画の修正候補は採用しないようにする。また、前方車間距離D1が所定距離未満(例えば1m未満)の場合についても第2のコストC2を無限大、即ち処理対象の速度計画の修正候補は採用しないようにする。尚、他の条件に大きな差がなければ基本的に前方車間距離D1が短い程、第2のコストC2が大きくなり、合流後の前方車両との間に生じるリスクが大きく、乗員の負担が増すことを示す。
【0116】
次に、S54においてCPU51は、処理対象の速度計画の修正候補について、本線車線に合流した際の後方車両までの距離(以下、後方車間距離という)とその後の後方車両の走行に与える影響に基づく第3のコストC3を算出する。尚、第3のコストC3は、合流後の後方車両との間に生じるリスク及び後方車両に生じる影響の大きさを示したものである。具体的には、前記S53の第2のコストC2の算出と同様の手順により算出する。但し、第2のコストC2の算出式(2)、(3)中の前方車両の車速Vtを自車両の設定速度Vcに置き換え、自車両の設定速度Vcを後方車両の車速Vbに置き換え、前方車間距離D1を自車両が合流完了点に到達したタイミングでの後方車両までの距離である後方車間距離D2に置き換える。そして、処理対象の速度計画の修正候補に従って走行した場合に、後方車間距離D2を算出した上で上記式(2)及び式(3)に従って算出された減速度Decを第3のコストC3として算出する。
【0117】
また、DecがDectより大きくなる場合については第2のコストC2と同様に第3のコストC3を無限大、即ち処理対象の速度計画の修正候補は採用しないようにする。また、後方車間距離D2が所定距離未満(例えば1m未満)の場合についても同じく第3のコストC3を無限大、即ち処理対象の速度計画の修正候補は採用しないようにする。尚、他の条件に大きな差がなければ基本的に後方車間距離D2が短い程、第3のコストC3が大きくなり、合流後の後方車両との間に生じるリスクが大きく、乗員の負担が増すことを示す。更に、合流する自車両の速度が遅い程、また後方車両の速度が速い程、第3のコストC3が大きくなり、合流後の後方車両に生じる影響が大きいことを示す。
【0118】
その後、S55においてCPU51は、前記S52で算出された第1のコストC1と、前記S53で算出された第2のコストC2と、前記S54で算出された第3のコストC3を合算して、処理対象の速度計画の修正候補に対するトータルのコスト(以下、合流コストCという)を算出する。尚、合流コストCは以下の式(4)により算出される。
C=K1×C1+K2×C2+K3×C3・・・・(4)
尚、K1、K2、K3は係数であり、速度計画を修正するにあたって何を優先するかに基づいて適宜数値を変更可能である。例えば、合流を完了するまでの時間を優先するのであればK1をK2やK3に比べて大きくし、他車両との間のリスクを優先するのであればK2やK3をK1に比べて大きくする。
【0119】
そして、S56においてCPU51は、前記S51で生成された全ての速度計画の修正候補を対象として合流コストCを算出した後に、合流コストCの値が最も小さくなる速度計画の修正候補を選択し、現在の速度計画に対して上書きする。その結果、自車両の乗員の負担を必要以上に大きくすることなく、自車両が加速車線から本線車線への合流を行うことによって生じる本線車線を走行する本線他車両への影響をできる限り減らすことが可能となる。尚、速度計画修正処理(S10)は車両の走行中において周期的に繰り返し実行されるので、速度計画を修正した後に本線他車両の速度に変化があった場合については、一旦修正された速度計画が更に修正されることとなる。
【0120】
以下に前記S56の速度計画の修正候補の選択処理について具体例を挙げて説明する。
例えば、
図20に示す例は自車両5の合流対象となる本線車線に3台の本線他車両95~97が走行する場合である。
図20に示す例では自車両5が前記S3で生成された静的走行軌道を前記S4で生成された速度計画に基づいて走行すると、自車両5が本線車線への合流を完了してから先頭の本線他車両95が合流完了点に到達するまでの時間差Tが所定時間未満となるので、速度計画の修正候補が生成されこととなる。速度計画の修正候補は、前述したように合流完了点に到達するタイミングを現在の速度計画から所定時間(0.1sec)ずつ遅らせたものであり、
図20の右側のグラフには各速度計画の修正候補に対して算出された第1のコストC1、第2のコストC2、第3のコストC3、合流コストCを示す。尚、
図20に示す例ではK1=1.3、K2=0.8、K3=0.9、Dect=0.6G、Tn=0.5secとし、本線他車両95~97の走行間隔が3secである場合の算出例である。前方車間距離D1や後方車間距離D2が所定距離(例えば1m)以内となる速度計画の修正候補(
図20のグラフで合流コストCが非表示となっている区間)については合流コストCは無限大となる。従って、
図20に示す例で合流コストCが算出されるのは、本線他車両95と本線他車両96の間に合流する速度計画の修正候補と、本線他車両96と本線他車両97の間に合流する速度計画の修正候補と、本線他車両97の後方に合流する速度計画の修正候補の3つに大きく区分される。そして、特に本線他車両95と本線他車両96の間に合流する速度計画の修正候補であって、合流完了点に到達するタイミングを現在の速度計画から0.7sec遅らせた速度計画の修正候補について合流コストCが最小となる。その結果、
図20に示す例では合流完了点に到達するタイミングを現在の速度計画から0.7sec遅らせた速度計画へと速度計画が修正されることとなる。
【0121】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、車両が走行する走行予定経路を取得し(S1)、走行予定経路において加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点がある場合には、加速車線の長さ、加速車線の車線幅、本線車線の車線幅に関する情報を含む高精度地図情報16を用いて、加速車線を走行する車両が本線車線への合流を行う為の設定速度まで車速を変移するのに必要な第1距離(L-Lc)と、車両の車速が設定速度に到達した後に加速車線から本線車線への車線移動を開始してから完了するまでに必要な第2距離(Lc)と、を夫々算出し(S35、S36)、更に加速車線の開始点を始点として第1距離前方の位置を合流開始点、合流開始点から第2距離前方の位置を合流完了点として夫々特定し、加速車線の開始点から合流完了点に到達するまでの速度計画を生成し(S37)、生成された速度計画に基づいて車両の運転支援を行う(S11、S12)ので、車両が加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を走行する場合において、合流地点周辺の道路形状や区画線に基づいて、合流地点でのスムーズな合流を行わせる為の詳細な速度計画を生成することが可能となる。その結果、生成された速度計画を用いて適切な運転支援を実施することが可能となる。
更に、加速車線の開始点から合流完了点に到達するまでに車両に走行が推奨される走行軌道を生成し(S37)、生成された走行軌道に基づいて車両の運転支援を行う(S11、S12)ので、車両が加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を走行する場合において、合流地点周辺の道路形状や区画線に基づいて、合流地点でのスムーズな合流を行わせる為の詳細な走行軌道を生成することが可能となる。その結果、生成された走行軌道を用いて適切な運転支援を実施することが可能となる。
また、生成された走行軌道を同じく生成された速度計画に基づいて走行した場合に、加速車線から本線車線への合流を行うことによって他車両への走行に影響が生じるか否かを判定し(S9)、他車両への走行に影響が生じると判定された場合には、速度計画の修正候補を複数生成し(S51)、更に複数の速度計画の修正候補に対してコストを算出し(S52~S55)、算出されたコストを比較して複数の速度計画の修正候補の内から推奨される速度計画の修正候補を選択し、選択された速度計画の修正候補に従って速度計画を修正する(S56)ので、車両が加速車線から本線車線への合流が行われる合流地点を走行する場合において、合流対象となる本線車線に他車両が走行する場合であっても、速度計画を修正することによって自車両の乗員の負担を必要以上に大きくすることなく、自車両が加速車線から本線車線への合流を行うことによって生じる本線車線を走行する他車両への影響をできる限り減らすことが可能となる。
また、生成された走行軌道を同じく生成された速度計画に基づいて走行した場合に、加速車線から本線車線への合流を行うことによって他車両への走行に影響が生じると判定された場合には、設定速度が異なる複数の速度計画の修正候補を生成するので、速度計画自体を大きく変更することなく本線車線への合流するタイミングを変えた複数の速度計画の修正候補を生成することが可能となる。そして、それらの複数の速度計画の修正候補の内から、より適切な速度計画の修正候補を選択することが可能となる。
また、生成された走行軌道を同じく生成された速度計画に基づいて走行した場合に、加速車線から本線車線への合流を行うことによって他車両への走行に影響が生じると判定された場合であって特に本線車線が渋滞している場合には、本線車線を走行する他車両の走行速度を設定速度とし、加速車線を走行する車両が設定速度へ減速するとともに、減速を開始するタイミングが異なる複数の速度計画の修正候補を生成するので、渋滞する本線車線へ合流する為の適切な設定速度まで減速する為の速度計画の修正候補について、本線車線への合流するタイミングを変えて複数生成することが可能となる。そして、それらの複数の速度計画の修正候補の内から、より適切な速度計画の修正候補を選択することが可能となる。
また、複数の速度計画の修正候補に対してコストを算出する際に、加速車線から本線車線への合流を完了するまでに必要な時間に基づく第1のコストと、本線車線に合流した際の前方車両までの距離に基づく第2のコストと、本線車線に合流した際の後方車両までの距離とその後の後方車両の走行に与える影響に基づく第3のコストと、の少なくとも一以上を算出する(S52~S54)ので、合流が完了するまでの時間や他車両との間に生じるリスクについて考慮してコストを算出することが可能となる。その結果、合流対象となる本線車線に他車両が走行する場合であっても、速度計画を修正することによって自車両の乗員の負担を必要以上に大きくすることなく、自車両が加速車線から本線車線への合流を行うことによって生じる本線車線を走行する他車両への影響をできる限り減らすことが可能となる。
【0122】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では静的走行軌道に対する速度計画を生成する場合に、
図16に示すように合流開始点に到達するタイミングで設定速度となるように加速度を調整しているが、加速度が許容範囲内(例えば0.2G以下)にあれば合流開始点に到達するよりも手前のタイミングで設定速度となるように加速度を調整しても良い。その場合には、設定速度に到達した後は合流開始点に到達するまで一定速度で走行する速度計画となる。
【0123】
また、同じく本実施形態では静的走行軌道に対する速度計画を生成する場合に、加速車線の開始点を通過したタイミング(速度制限が解除されたタイミング)で加速を開始しているが、加速度が許容範囲内(例えば0.2G以下)にあれば加速車線の開始点を通過した後のタイミングで加速を開始する速度計画としても良い。
【0124】
また、本実施形態では、
図16に示すように合流動作中の合流開始点から合流完了点までは一定の速度で走行することとしているが、合流開始点の通過後に加速或いは減速しながら加速車線から本線車線への移動を行う速度計画、或いは合流開始点の通過後の一部の区間に加速或いは減速する区間を設けた速度計画としても良い。その場合には、合流開始点を通過する際の車両の速度である設定速度は、その後の加速車線から本線車線への移動を行う際の車両の速度(合流速度)よりも遅い又は速い速度となる。尚、合流開始点の通過後に加速或いは減速しながら加速車線から本線車線への移動を行う速度計画とする場合には、加速又は減速しながら車線移動を行うことを考慮して前記S35の走行軌道を生成する必要がある。
【0125】
また、本実施形態では、速度計画の修正を行う場合に、速度計画の修正候補毎に加速車線から本線車線への合流を完了するまでに必要な時間に基づく第1のコストと、本線車線に合流した際の前方車両までの距離に基づく第2のコストと、本線車線に合流した際の後方車両までの距離とその後の後方車両の走行に与える影響に基づく第3のコストと、の合計を比較している(S55)が、いずれか1のコストのみを比較しても良く、いずれか2のコストの合計を比較するようにしても良い。
【0126】
また、本実施形態では、生成された走行軌道を同じく生成された速度計画に基づいて走行した場合に、加速車線から本線車線への合流を行うことによって他車両への走行に影響が生じると判定された場合(S9:YES)には、速度計画を修正しているが、速度計画でなく走行軌道を修正しても良い。具体的には以下の手順により行う。
先ず、走行軌道における合流開始点及び合流完了点の位置を変更した走行軌道の修正候補を複数生成する。尚、合流開始点及び合流完了点の位置はいずれか一方のみ移動させても良いし、両方移動させても良い。また、移動方向は出発地側でも目的地側でも良い。但し、車両に生じる加速度は上限値(例えば0.2G)を超えないようにする。尚、設定速度は変更しないことを前提とするが、設定速度についても変更しても良い。
次に、生成した複数の走行軌道の修正候補に対してコストを算出する。尚、コストの算出は速度計画に対するコストの算出(S52~S55)と同様に、修正候補の走行軌道毎に第1のコストC1と第2のコストC2と第3のコストC3を合算したトータルのコストを算出するようにしても良いし、速度計画に対するコストの算出とは異なる基準でコストを算出しても良い。
その後、算出されたコストを比較してコストが最も小さい走行軌道の修正候補を選択し、選択された走行軌道の修正候補に従って走行軌道を修正するようにする。また、走行軌道の修正に伴って必要な場合には速度計画についても修正するようにする。
【0127】
また、本実施形態では、最終的に生成される静的走行軌道は車両が走行する具体的な軌道(座標の集合や線)を特定する情報となっているが、具体的な軌道までは特定せずに車両が走行する対象となる道路及び車線が特定できる程度の情報としても良い。
【0128】
また、本実施形態では、高精度地図情報16を用いてレーンネットワークを生成している(S23)が、全国の道路を対象としたレーンネットワークを予めDBに格納しておき、必要に応じてDBから読み出すようにしても良い。
【0129】
また、本実施形態では、サーバ装置4が有する高精度地図情報には、道路のレーン形状(車線単位の道路形状や曲率、車線幅等)と道路に描かれた区画線(車道中央線、車線境界線、車道外側線、誘導線、導流帯等)に関する情報の両方を含むが、区画線に関する情報のみを含むようにしても良いし、道路のレーン形状に関する情報のみを含むようにしても良い。例えば区画線に関する情報のみを含む場合であっても、区画線に関する情報に基づいて道路のレーン形状に関する情報に相当する情報を推定することが可能である。更に区画線に関する情報に基づいて高速道路については車線の種類、更に加速車線、減速車線、登坂車線については車線の開始点と終点について推定することも可能である。また、道路のレーン形状に関する情報のみを含む場合であっても、道路のレーン形状に関する情報に基づいて区画線に関する情報に相当する情報を推定することが可能である。また、「区画線に関する情報」は、車線を区画する区画線自体の種類や配置を特定する情報であっても良いし、隣接する車線間で車線変更が可能か否かを特定する情報であっても良いし、車線の形状を直接または間接的に特定する情報であっても良い。
【0130】
また、本実施形態では、特に車両が高速道路の合流地点を走行する場合における走行軌道と速度計画の生成の例について説明したが、車両が加速して合流を行う地点であれば高速道路の合流地点に限られず適用可能である。
【0131】
また、本実施形態では、静的走行軌道に動的走行軌道を反映する手段として、静的走行軌道の一部を動的走行軌道に置き換えている(S7)が、置き換えるのではなく静的走行軌道を動的走行軌道に近づけるように軌道の修正を行っても良い。
【0132】
また、本実施形態では、車両の操作のうち、車両の挙動に関する操作である、アクセル操作、ブレーキ操作及びハンドル操作の全てを車両制御ECU40が制御することをユーザの運転操作によらずに自動的に走行を行う為の自動運転支援として説明してきた。しかし、自動運転支援を、車両の操作のうち、車両の挙動に関する操作である、アクセル操作、ブレーキ操作及びハンドル操作の少なくとも一の操作を車両制御ECU40が制御することとしても良い。一方、ユーザの運転操作による手動運転とは車両の操作のうち、車両の挙動に関する操作である、アクセル操作、ブレーキ操作及びハンドル操作の全てをユーザが行うこととして説明する。
【0133】
また、本発明の運転支援は車両の自動運転に係る自動運転支援に限られない。例えば、前記S3で生成された静的走行軌道や前記S6で生成された動的走行軌道をナビゲーション画面に表示するとともに、音声や画面等を用いた案内(例えば車線変更の案内、速度計画に基づく推奨車速の案内等)を行うことによる運転支援も可能である。また、静的走行軌道や動的走行軌道をナビゲーション画面に表示することでユーザの運転操作を支援するようにしてもよい。
【0134】
また、本実施形態では、自動運転支援プログラム(
図4)をナビゲーション装置1が実行する構成としているが、ナビゲーション装置1以外の車載器や車両制御ECU40が実行する構成としても良い。その場合には、車載器や車両制御ECU40は車両の現在位置や地図情報等をナビゲーション装置1やサーバ装置4から取得する構成とする。更に、サーバ装置4が自動運転支援プログラム(
図4)のステップの一部または全部を実行するようにしても良い。その場合にはサーバ装置4が本願の運転支援装置に相当する。
【0135】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した自動運転支援プログラム(
図4参照)の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。但し、本発明を携帯端末等に適用する場合には、自動運転支援が実行可能な車両と携帯端末等が通信可能に接続(有線無線は問わない)される必要がある。
【符号の説明】
【0136】
1…ナビゲーション装置、2…運転支援システム、3…情報配信センタ、4…サーバ装置、5…車両、16…高精度地図情報、33…ナビゲーションECU、40…車両制御ECU、51…CPU、72…加速車線、73…本線車線、74…本線他車両、85…レーンノード、86…レーンリンク