(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187705
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】結露対策システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/65 20180101AFI20221213BHJP
F24F 11/33 20180101ALI20221213BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20221213BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20221213BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20221213BHJP
F24F 11/56 20180101ALI20221213BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20221213BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20221213BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20221213BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20221213BHJP
F24F 110/22 20180101ALN20221213BHJP
F24F 140/00 20180101ALN20221213BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F11/33
F24F11/52
F24F11/64
F24F11/89
F24F11/56
F24F7/007 B
F24F110:10
F24F110:12
F24F110:20
F24F110:22
F24F140:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095842
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 優揮
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優
(72)【発明者】
【氏名】浅野 涼太
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 祐典
(72)【発明者】
【氏名】大坪 友洋
(72)【発明者】
【氏名】曽我 正志
(72)【発明者】
【氏名】山田 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸博
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BB02
3L056BD02
3L056BD03
3L260AA20
3L260AB01
3L260AB15
3L260BA12
3L260BA24
3L260BA64
3L260BA72
3L260CA13
3L260CA33
3L260CA50
3L260CB51
3L260EA08
3L260EA12
3L260FA02
3L260FC01
3L260FC02
3L260FC03
3L260FC07
3L260FC08
3L260GA17
(57)【要約】
【課題】結露の発生を効果的に防止できるようにする。
【解決手段】表面温度測定部21は、対象物の表面温度を測定する。屋内露点温度測定部22は、対象物の表面が面した屋内空間の露点温度を測定する。屋外露点温度測定部23は、屋外空間の露点温度を測定する。換気有効判定部31は、屋外露点温度測定部23が測定した屋外露点温度が、表面温度測定部21が測定した表面温度よりも低く、かつ、屋内露点温度測定部22が測定した屋内露点温度が前記屋外露点温度よりも高い場合に、換気が有効であると判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の表面温度を測定する表面温度測定部と、
前記対象物の表面が面した屋内空間の露点温度を測定する屋内露点温度測定部と、
屋外空間の露点温度を測定する屋外露点温度測定部と、
前記屋外露点温度測定部が測定した屋外露点温度が、前記表面温度測定部が測定した表面温度よりも低く、かつ、前記屋内露点温度測定部が測定した屋内露点温度が前記屋外露点温度よりも高い場合に、換気が有効であると判定する換気有効判定部と
を備える、結露対策システム。
【請求項2】
対象物の表面温度を測定する表面温度測定部と、
前記対象物の表面が面した屋内空間の露点温度を測定する屋内露点温度測定部と、
屋外空間の露点温度を測定する屋外露点温度測定部と、
前記屋外露点温度測定部が測定した屋外露点温度が、前記表面温度測定部が測定した表面温度よりも低く、かつ、前記屋内露点温度測定部が測定した屋内露点温度が前記表面温度よりも高い場合に、換気が有効であると判定する換気有効判定部と
を備える、結露対策システム。
【請求項3】
換気が有効であると前記換気有効判定部が判定した場合に、換気有効を発報する、
請求項1又は2の結露対策システム。
【請求項4】
前記屋外露点温度が前記表面温度よりも高い場合に、換気が無効であると判定する換気無効判定部
を更に備える、請求項1乃至3いずれかの結露対策システム。
【請求項5】
換気が無効であると前記換気無効判定部が判定した場合に、換気無効を発報する、
請求項4の結露対策システム。
【請求項6】
前記屋内空間と前記屋外空間との間を直接繋ぐ開閉可能な出入口を更に備え、
前記出入口は、換気が無効であると前記換気無効判定部が判定した場合に、開放を抑制し又は禁止する、
請求項4又は5の結露対策システム。
【請求項7】
前記屋内空間の換気をする換気部を更に備え、
前記換気部は、換気が無効であると前記換気無効判定部が判定した場合に、前記換気を抑制し又は禁止する、
請求項4乃至6いずれかの結露対策システム。
【請求項8】
前記屋内空間の換気をする換気部を更に備え、
前記換気部は、換気が有効であると前記換気有効判定部が判定した場合に、前記換気を実行する、
請求項1乃至6いずれかの結露対策システム。
【請求項9】
前記屋外露点温度測定部が測定した屋外露点温度が、前記表面温度測定部が測定した表面温度以上である場合に、結露に注意が必要であると判定する結露注意判定部
を更に備え、
結露に注意が必要であると前記結露注意判定部が判定した場合に、結露注意報を発報する、
請求項1乃至8いずれかの結露対策システム。
【請求項10】
前記屋内露点温度測定部が測定した屋内露点温度が、前記表面温度測定部が測定した表面温度以上である場合に、結露の危険があると判定する結露警報判定部
を更に備え、
結露の危険があると前記結露警報判定部が判定した場合に、結露警報を発報する、
請求項9の結露対策システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の表面に結露が発生するのを予防するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫などの建物の内部において、1階の土間床は、外壁や屋根からの熱負荷が少ないので、夏場は、地中熱で冷やされ、表面温度が気温よりも低くなる。そこに露点温度が高い外気が流れ込むと、表面に結露が発生する。
特許文献1は、外気の露点温度と床面温度との差、外気温度の下限値及び床面温度の上限値に基づいて、除湿器の運転をオン・オフする結露防止方式を開示している。
特許文献2は、保管物の温度と大気の露点温度との差の温度余裕と許容温度差とを比較する結露警報装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-047720号公報
【特許文献2】実開平01-172192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の結露防止方式は、外気の露点温度と床面温度とに基づいて除湿器の運転を制御するので、例えば室内に湿気が籠っていて外気よりも露点温度が高い場合に、結露を防止することができない。
特許文献2の結露警報装置は、保管庫内の大気の露点温度と保管物の温度とに基づいて結露警報を発し、除湿装置あるいは大気加熱装置を作動する。しかし、保管庫内の大気の露点温度が低くても、露点温度が高い外気が保管庫内に流れ込むことにより、急激に保管庫内の大気の露点温度が高くなる場合があり、除湿あるいは加熱が追い付かず、結露が発生する可能性がある。
本発明は、例えばこのような課題を解決し、結露の発生を効果的に予防できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
結露対策システムは、対象物の表面温度を測定する表面温度測定部と、前記対象物の表面が面した屋内空間の露点温度を測定する屋内露点温度測定部と、屋外空間の露点温度を測定する屋外露点温度測定部と、前記屋外露点温度測定部が測定した屋外露点温度が、前記表面温度測定部が測定した表面温度よりも低く、かつ、前記屋内露点温度測定部が測定した屋内露点温度が前記屋外露点温度よりも高い場合に、換気が有効であると判定する換気有効判定部とを備える。
あるいは、換気有効判定部は、前記屋外露点温度測定部が測定した屋外露点温度が、前記表面温度測定部が測定した表面温度よりも低く、かつ、前記屋内露点温度測定部が測定した屋内露点温度が前記表面温度よりも高い場合に、換気が有効であると判定してもよい。
結露対策システムは、換気が有効であると前記換気有効判定部が判定した場合に、換気有効を発報してもよい、
結露対策システムは、前記屋外露点温度が前記表面温度よりも高い場合に、換気が無効であると判定する換気無効判定部を更に備えてもよい。
結露対策システムは、換気が無効であると前記換気無効判定部が判定した場合に、換気無効を発報してもよい。
結露対策システムは、前記屋内空間と前記屋外空間との間を直接繋ぐ開閉可能な出入口を更に備えてもよく、前記出入口は、換気が無効であると前記換気無効判定部が判定した場合に、開放を抑制し又は禁止してもよい。
結露対策システムは、前記屋内空間の換気をする換気部を更に備えてもよく、前記換気部は、換気が無効であると前記換気無効判定部が判定した場合に、前記換気を抑制し又は禁止してもよい。
前記換気部は、換気が有効であると前記換気有効判定部が判定した場合に、前記換気を実行してもよい。
結露対策システムは、前記屋外露点温度測定部が測定した屋外露点温度が、前記表面温度測定部が測定した表面温度以上である場合に、結露に注意が必要であると判定する結露注意判定部を更に備えてもよく、結露に注意が必要であると前記結露注意判定部が判定した場合に、結露注意報を発報してもよい。
結露対策システムは、前記屋内露点温度測定部が測定した屋内露点温度が、前記表面温度測定部が測定した表面温度以上である場合に、結露の危険があると判定する結露警報判定部を更に備えてもよく、結露の危険があると前記結露警報判定部が判定した場合に、結露警報を発報してもよい。
【発明の効果】
【0006】
屋内露点温度と屋外露点温度と表面温度とに基づいて換気が有効であるか否かを判定するので、結露の発生を効果的に予防することができる。
屋外露点温度と表面温度とに基づいて換気が無効であるか否かを判定すれば、結露の発生を更に効果的に予防することができる。
換気が無効であると判定した場合に、出入口の開放を抑制し又は禁止すれば、結露の発生を更に効果的に予防することができる。
換気が無効であると判定した場合に、換気を抑制し又は禁止すれば、結露の発生を更に効果的に予防することができる。
換気が有効であると判定した場合に、換気を実行すれば、結露の発生を更に効果的に予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示す結露対策システム10は、対象物の表面が結露する可能性があるときに警報を発するなどして、対象物の表面に結露が発生するのを予防する。対象物は、例えば、倉庫内の1階の土間床などである。
結露対策システム10は、例えば、表面温度測定部21と、屋内露点温度測定部22と、屋外露点温度測定部23と、換気有効判定部31と、換気無効判定部32と、結露警報判定部33と、結露注意判定部34と、除湿有効判定部35と、操作部41と、換気部51と、空調部52と、出入口53とを有する。
【0009】
表面温度測定部21は、倉庫内の1階の土間床など、結露を防止したい対象物の表面温度を測定する。表面温度測定部21は、例えば、対象物から放射される光エネルギー(赤外線)を検知して表面温度を算出する放射温度センサを有する。放射温度センサは、例えば、屋内の柱の下部に設置され、床の表面温度を測定する。
なお、放射温度センサの代わりに、他の非接触型温度センサを使用してもよいし、接触型温度センサを使用してもよい。しかし、倉庫では、床に接触型温度センサを設置すると、保管物の出し入れの邪魔になったり、保管物が接触して破壊されたりする可能性があるので、放射温度センサなどの非接触型センサを使用することが好ましい。
また、一つの屋内空間に面した対象物の表面が広く、場所によって温度が異なる可能性がある場合は、温度センサを複数設けてもよい。その場合、対象物の表面温度が低いほど、結露が発生する危険が高いので、複数の温度センサが測定した対象物の表面温度のうち最も低いものを表面温度として扱うことが好ましい。
【0010】
屋内露点温度測定部22は、倉庫の1階の室内など、結露を防止したい対象物の表面が面した屋内空間の露点温度を測定する。屋内露点温度測定部22は、例えば、屋内空間の温度及び湿度を検知して露点温度を算出する温湿度センサを有する。
なお、温湿度センサの代わりに、露点温度を直接検知する露点温度センサを有してもよい。
また、屋内空間が広く、場所によって露点温度が異なる可能性がある場合は、温湿度センサや露点温度センサを複数設けてもよい。その場合、露点温度が高いほど結露が発生する危険が高いので、複数のセンサが測定した露点温度のうち、最も高いものを屋内露点温度として扱うことが好ましい。
【0011】
屋外露点温度測定部23は、倉庫の外部など、屋外空間の露点温度を測定する。屋外露点温度測定部23は、例えば、建物の外に設置され外気の露点温度を検知する露点温度センサを有する。露点温度センサの設置場所は、例えば、オーバースライダーなどのシャッターなど、外気が屋内空間に流れ込む可能性のある場所の近くや、給気ファンなど、屋内空間を換気したときに外気が取り込まれる場所の近くなどであることが好ましい。
なお、露点温度センサの代わりに、外気の温度及び湿度を検出して露点温度を算出する温湿度センサを使用してもよい。
【0012】
換気有効判定部31は、表面温度測定部21が測定した対象物の表面温度と、屋内露点温度測定部22が測定した屋内空間の露点温度(屋内露点温度)と、屋外露点温度測定部23が測定した屋外空間の露点温度(屋外露点温度)とのうちの少なくともいずれかに基づいて、換気が有効であるか否かを判定する。換気有効判定部31は、例えば、判定のためのコンピュータプログラムをコンピュータが実行することによって実現されてもよいし、判定のための論理回路によって実現されてもよい。換気無効判定部32、結露警報判定部33、結露注意判定部34、除湿有効判定部35なども同様である。
【0013】
「換気が有効」とは、換気をすることが結露対策として効果的であることを意味する。
例えば、倉庫内に湿気が籠っている場合、屋外露点温度よりも屋内露点温度が高くなる。このため、換気をして湿気を屋外に逃がすことが結露対策として効果的である。ただし、屋外露点温度が対象物の表面温度よりも高い場合は、換気をしても結露対策にはならない。
そこで、例えば、屋外露点温度が対象物の表面温度よりも低く、かつ、屋内露点温度が屋外露点温度よりも高い場合に、換気が有効であると判定する。
【0014】
なお、屋内露点温度が屋外露点温度よりも高くても、対象物の表面温度よりも低い場合は、まだ結露の心配はない。
そこで、例えば、屋外露点温度が対象物の表面温度よりも低く、かつ、屋内露点温度が対象物の表面温度よりも高い場合のみ、換気が有効であると判定してもよい。
あるいは、屋外露点温度が対象物の表面温度よりも低く、かつ、屋内露点温度が屋外露点温度よりも高い場合に、換気が有効であると判定し、屋内露点温度が更に対象物の表面温度よりも高い場合は、換気が必要であると判定してもよい。
【0015】
換気有効判定部31による判定結果は、例えば、管理者などの使用者に通知されてもよい。例えば、換気が有効であると判定した場合に、中央監視盤や事務室などに設置された換気有効ランプを点灯してもよいし、音声案内をしてもよいし、電子メールを使用者に送信してもよい。
【0016】
換気無効判定部32は、表面温度測定部21が測定した対象物の表面温度と、屋内露点温度測定部22が測定した屋内露点温度と、屋外露点温度測定部23が測定した屋外露点温度とのうちの少なくともいずれかに基づいて、換気が無効であるか否かを判定する。
「換気が無効」とは、換気をすることが結露対策として逆効果であることを意味する。
例えば、屋外露点温度が対象物の表面温度よりも高い場合は、換気をすることが結露対策にならないだけでなく、むしろ結露を発生させてしまう可能性がある。
そこで、例えば、屋外露点温度が対象物の表面温度よりも高い場合に、換気が無効であると判定する。
【0017】
換気無効判定部32による判定結果は、例えば、使用者に通知されてもよい。例えば、換気が無効であると判定した場合に、中央監視盤や事務室などに設置された換気無効ランプを点灯してもよいし、音声案内をしてもよいし、電子メールを使用者に送信してもよい。
【0018】
結露警報判定部33は、表面温度測定部21が測定した対象物の表面温度と、屋内露点温度測定部22が測定した屋内露点温度と、屋外露点温度測定部23が測定した屋外露点温度とのうちの少なくともいずれかに基づいて、結露の危険があるか否かを判定する。
例えば、屋内露点温度が対象物の表面温度よりも高い場合は、結露の危険があり、早急に対策をする必要がある。
そこで、例えば、屋内露点温度が対象物の表面温度よりも高い場合に、結露の危険があると判定する。
【0019】
結露警報判定部33による判定結果は、例えば、使用者に通知されてもよい。例えば、結露の危険があると判定した場合に、中央監視盤や事務室などに設置された結露警報ランプを点灯してもよいし、警報ブザーを鳴らしてもよいし、電子メールを使用者に送信してもよい。
【0020】
結露注意判定部34は、表面温度測定部21が測定した対象物の表面温度と、屋内露点温度測定部22が測定した屋内露点温度と、屋外露点温度測定部23が測定した屋外露点温度とのうちの少なくともいずれかに基づいて、結露に注意が必要か否かを判定する。
例えば、屋内露点温度が対象物の表面温度よりも低かったとしても、屋外露点温度が対象物の表面温度よりも高い場合は、外気が室内に流れ込むことにより、急激に屋内露点温度が高くなる可能性があるので、結露に注意が必要であり、結露発生前に何らかの対策を取ることが推奨される。
そこで、例えば、屋外露点温度が対象物の表面温度よりも高く、かつ、屋内露点温度が対象物の表面温度よりも低い場合に、結露に注意が必要であると判定する。
【0021】
結露注意判定部34による判定結果は、例えば、使用者に通知されてもよい。例えば、結露に注意が必要であると判定した場合に、中央監視盤や事務室などに設置された結露注意報ランプを点灯してもよいし、注意報ブザーを鳴らしてもよいし、電子メールを使用者に送信してもよい。
【0022】
空調有効判定部35は、表面温度測定部21が測定した対象物の表面温度と、屋内露点温度測定部22が測定した屋内露点温度と、屋外露点温度測定部23が測定した屋外露点温度とのうちの少なくともいずれかに基づいて、空調が有効であるか否かを判定する。
「空調が有効」とは、屋内空間を除湿したり暖房をつけて対象物を加熱したりすることが結露対策として効果的であることを意味する。
例えば、屋内露点温度が対象物の表面温度よりも高い場合は、結露の危険がある。このような場合、屋内空間を除湿して屋内露点温度を下げたり、暖房をつけて対象物の表面温度を上げたりすることが考えられる。しかし、屋外露点温度が対象物の表面温度よりも低い場合は、換気をするほうが効果的なので、除湿はあまり効果的でない。
そこで、例えば、屋内露点温度が対象物の表面温度よりも高く、かつ、屋外露点温度が対象物の表面温度よりも低い場合に、除湿が有効であると判定する。
【0023】
空調有効判定部35による判定結果は、例えば、使用者に通知されてもよい。例えば、除湿が有効であると判定した場合に、中央監視盤や事務室などに設置された除湿有効ランプを点灯してもよいし、音声案内をしてもよいし、電子メールを使用者に送信してもよい。
【0024】
操作部41は、使用者が操作することにより、換気部51、除湿部52、出入口53などの設備を手動で作動させたり停止させたりする。操作部41は、例えば、操作対象となる設備の近くや中央監視盤や事務室などに設置された操作ボタンである。使用者は、例えば、換気有効判定部31、換気無効判定部32、結露警報判定部33、結露注意判定部34、空調有効判定部35などの判定結果を参考にして、操作部41を操作する。
【0025】
換気部51は、屋内空間を換気して、屋外空間との間で空気を交換する。換気部51は、例えば操作部41の操作に基づいて、換気を開始し、あるいは、換気を停止する。換気部51は、例えば、給気ファンや排気ファンなどの換気ファンを有してもよい。その場合、換気を開始するときは、換気ファンを回し、換気を停止するときは、換気ファンを停止する。また、換気部51は、例えば、換気窓などを開閉する開閉装置を有してもよい。その場合、換気を開始するときは、換気窓などを開け、換気を停止するときは、換気窓などを閉める。
【0026】
換気が有効であると換気有効判定部31が判定した場合、換気部51は、操作部41の操作にかかわらず、自動的に換気を開始する。あるいは、換気が必要であると換気有効判定部31が判定した場合のみ、自動的に換気を開始してもよい。
その後、換気が有効であると換気有効判定部31が判定しなくなるまでの間は、強制的に換気を継続する。すなわち、換気を停止するよう操作部41が操作されたとしても、換気を続行する。これにより、結露を効果的に予防することができる。
あるいは、換気が有効であると換気有効判定部31が判定しなくなる前であっても、操作部41の操作にしたがって、換気を停止してもよい。これにより、何らかの事情で換気を停止しなければならない場合にも対処することができる。
【0027】
なお、換気が有効であると換気有効判定部31が判定した場合であっても、自動的に換気を開始するのではなく、判定結果を使用者に通知するだけに留めてもよい。そうすれば、その通知を受けた使用者が、他の条件も考慮したうえで、換気を開始するか否かを総合的に判断することができる。
【0028】
換気が無効であると換気無効判定部32が判定した場合、換気部51は、操作部41の操作にかかわらず、自動的に換気を停止する。
その後、換気が無効であると換気無効判定部32が判定しなくなるまでの間は、換気を禁止する。すなわち、換気を開始するよう操作部41が操作されたとしても、換気を開始しない。これにより、結露を効果的に予防することができる。
あるいは、操作部41の操作にしたがって、換気を開始してもよい。これにより、何らかの事情で換気をしなければならない場合にも対処することができる。
【0029】
なお、換気が無効であると換気無効判定部32が判定した場合であっても、自動的に換気を停止するのではなく、判定結果を使用者に通知するだけに留めてもよい。そうすれば、その通知を受けた使用者が、他の条件も考慮したうえで、換気を停止するか否かを総合的に判断することができる。
【0030】
空調部52は、屋内空間を除湿したり暖房したりする。空調部52は、例えば操作部41の操作に基づいて、除湿や暖房を開始し、あるいは、除湿や暖房を停止する。空調部52は、例えば、空調装置を有する。除湿を開始するときは、空調装置の除湿機能を動作させ、除湿を停止するときは、空調装置の除湿機能を停止させる。また、暖房を開始するときは、空調装置の暖房機能を動作させ、暖房を停止するときは、空調装置の暖房機能を停止する。
【0031】
空調が有効であると空調有効判定部35が判定した場合、空調部52は、操作部41の操作にかかわらず、自動的に除湿や暖房を開始する。
その後、空調が有効であると空調有効判定部35が判定しなくなるまでの間は、強制的に除湿や暖房を継続する。すなわち、除湿や暖房を停止するよう操作部41が操作されたとしても、除湿や暖房を続行する。これにより、結露を効果的に予防することができる。
あるいは、空調が有効であると空調有効判定部35が判定しなくなる前であっても、操作部41の操作にしたがって、除湿や暖房を停止してもよい。これにより、何らかの事情で除湿や暖房を停止しなければならない場合にも対処することができる。
【0032】
なお、空調が有効であると空調有効判定部35が判定した場合であっても、自動的に除湿や暖房を開始するのではなく、判定結果を使用者に通知するだけに留めてもよい。そうすれば、その通知を受けた使用者が、他の条件も考慮したうえで、除湿や暖房をするか否かを総合的に判断することができる。
【0033】
出入口53は、屋外空間と屋内空間とを直接繋ぐものであり、例えば、オーバースライダーなどのシャッターや扉など、開閉可能な閉鎖部材を有する。出入口53は、例えば操作部41の操作に基づいて、閉鎖部材を移動して開閉する。出入口53が開くと、出入口53を介して、屋内空間へ外気が流れ込んだり、屋外空間へ屋内空間の空気が流れ出したりする。出入口53が閉じると、出入口53を介した空気の移動ができなくなる。
【0034】
倉庫などには、通常、荷物の搬出入作業効率を高めるため、間口の広い出入口53が設けられている。このような出入口53が開くと、大量の外気が一気に屋内空間に流れ込み、屋内露点温度が上昇して結露が発生する危険がある。
そこで、換気が無効であると換気無効判定部32が判定した場合、出入口53は、操作部41の操作にかかわらず、自動的に閉鎖される。
その後、換気が無効であると換気無効判定部32が判定しなくなるまでの間は、出入口53の開放を禁止する。すなわち、出入口53を開くよう操作部41が操作されたとしても、出入口53を開放しない。これにより、結露を効果的に予防することができる。
あるいは、操作部41の操作にしたがって、出入口53を開放してもよい。これにより、何らかの事情で出入口53を開放しなければならない場合にも対処することができる。
【0035】
なお、出入口53が突然閉鎖されると作業に支障をきたす場合もあるので、出入口53を閉じる前に警報ブザーを鳴らすなどして注意喚起をすることが好ましい。注意喚起をしてから一定の時間が経過した場合に、自動的に出入口53を閉じてもよい。注意喚起をしてから一定の時間が経過するまでの間に、出入口53の閉鎖を中止するよう操作部41が操作された場合は、出入口53の閉鎖を中止してもよい。
あるいは、自動的に出入口53を閉じるのではなく、出入口53の近くに設けられた閉鎖指令ランプを点灯するなどして、その近くにいる作業員が手動で閉鎖部材を閉じてもよい。
また、出入口53が開放できないと故障と勘違いされる可能性があるので、結露防止機能が作動中であることを示すランプを出入口53の近くや中央監視盤や事務室などに設けるなどして、結露防止機能が作動中であることを周知することが好ましい。
【0036】
なお、出入口53よりも間口の狭い第二の出入口を設け、出入口53を閉鎖している間は、第二の出入口を使用することにより、屋内空間に流れ込む外気の量を抑制してもよい。そうすれば、換気が無効であると換気無効判定部32が判定して出入口53を閉鎖した場合であっても、屋内空間に出入りすることができる。なお、屋外露点温度が更に高くなって結露の危険が更に増した場合は、出入口53だけでなく、第二の出入口についても、開放を禁止してもよい。
【0037】
あるいは、緩衝空間と、屋外空間と緩衝空間とを繋ぐ第三の出入口と、緩衝空間と屋内空間とを繋ぐ第四の出入口とを設け、出入口53を閉鎖している間は、第三及び第四の出入口を使用することにより、外気が屋内空間に直接流れ込むのを防いでもよい。そうすれば、換気が無効であると換気無効判定部32が判定して出入口53を閉鎖した場合であっても、屋内空間に出入りすることができる。なお、換気が無効であると換気無効判定部32が判定して出入口53を閉鎖した場合は、第三の出入口と第四の出入口とを同時に開放するのを禁止することが好ましい。
【0038】
このように、外気の露点温度と、室内の露点温度と、対象物の表面温度とを数か所計測し、外気の露点温度が上昇して対象物の表面温度と同じになった時点で、結露注意警報を発報する。結露注意警報が発報された時点では、まだ結露発生まで時間があるので、時間的余裕を持って、必要な措置を実施することができる。
その後、室内の露点温度が上昇して対象物の表面温度と同じになった時点で結露警報を発報する。
また、外気の露点温度と室内の露点温度とを比較して、機械換気によって室内の露点温度を下げることができる場合は、換気有効を発報する。これにより、どのような措置が結露防止に有効かを容易に判断することができ、適切な措置を実施することができる。
このようにして、実際に結露が発生するより前に、使用者に結露発生の可能性が高いことを警報で知らせ、運用上の措置で結露被害を最小限に抑えることができる。
【0039】
また、外気の露点温度、室内の露点温度、対象物の表面温度などの測定結果を時系列で蓄積し、磁気ディスクなどの不揮発性記憶装置に記憶してもよい。そうすれば、例えば結露が発生してしまった場合に、外気や室内の環境がどうだったかを後から確認することができ、結露の再発防止に役立てることができる。
【0040】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく様々に修正し、変更し、追加し、又は除去したものを含む。これは、以上の説明から当業者に容易に理解することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 結露対策システム、21 表面温度測定部、22 屋内露点温度測定部、23 屋外露点温度測定部、31 換気有効判定部、32 換気無効判定部、33 結露警報判定部、34 結露注意判定部、35 空調有効判定部、41 操作部、51 換気部、52 空調部、53 出入口。