(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187713
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】導電性布帛
(51)【国際特許分類】
B32B 7/025 20190101AFI20221213BHJP
B32B 5/24 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B32B7/025
B32B5/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095856
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲文
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB24A
4F100AK41A
4F100AK41B
4F100BA02
4F100CC00A
4F100DD07A
4F100DD07B
4F100DE01A
4F100DG01A
4F100DG11B
4F100DG12B
4F100DG14A
4F100EJ82A
4F100HB31A
4F100JG01A
(57)【要約】
【課題】
繰返し屈曲に対して優れた導電性を維持できる導電性布帛を提供する。
【解決手段】
導電性組成物からなる導電膜の内部にメッシュ状基材が埋設されてなる導電性シート部材が、基材布帛の表面に積層されてなる導電性布帛において、前記メッシュ状基材は、開口率30%以上を満たすように開口部が設けられており、前記導電性シート部材の第一面の算術平均粗さRa
1(単位μm)と、前記導電性シート部材の第二面の算術平均粗さRa
2(単位μm)について、Ra
1>Ra
2の関係を満たし、前記導電性シート部材の前記第二面が前記基材布帛側となるように積層されていることを特徴とする導電性布帛である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性組成物からなる導電膜の内部にメッシュ状基材が埋設されてなる導電性シート部材が、基材布帛の表面に積層されてなる導電性布帛において、
前記メッシュ状基材は、開口率30%以上を満たすように開口部が設けられており、
前記導電性シート部材の第一面の算術平均粗さRa1(単位μm)と、前記導電性シート部材の第二面の算術平均粗さRa2(単位μm)について、Ra1>Ra2の関係を満たし、
前記導電性シート部材の前記第二面が前記基材布帛側となるように積層されていることを特徴とする導電性布帛。
【請求項2】
前記導電性シート部材の前記第一面の算術平均粗さRa1(単位μm)と、前記導電性シート部材の前記第二面の算術平均粗さRa2(単位μm)との比であるRa2/Ra1の値が0.1~0.5の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の導電性布帛。
【請求項3】
前記導電性シート部材の前記第二面の算術平均粗さRa2が0.1~1.0μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1または2に記載の導電性布帛。
【請求項4】
前記導電性シート部材の前記第二面において、前記メッシュ状基材の一部が露出していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の導電性布帛。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性布帛に関する。更に詳しくは、耐屈曲性に優れる導電性布帛に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有する導電部材として、高分子フィルムの表面に金属含有皮膜を形成したものが利用されている。しかしながら、高分子フィルムの表面に金属含有皮膜を形成した導電部材は、鋭角な屈曲や、繰り返し屈曲に対する導電性の耐久性が不十分であった。
【0003】
屈曲に対する耐久性を改善する目的で、例えば特許文献1では、25℃における引張弾性率が4~6GPaであると共に、厚みが14~17μmの範囲であるポリイミド絶縁層の上に、配線回路の厚みが7~13μmの範囲であって、前記配線回路の厚さ(tc)と前記ポリイミド絶縁層の厚さ(tp)との比(tc/tp)が0.4~0.95の範囲にあり、更に前記配線回路の上に、厚みが15~30μmの範囲である回路保護層が設けられた、繰返し屈曲用途向けのフレキシブル回路基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1によるフレキシブル回路基板等であっても、耐屈曲性の改善は十分とは言えない状況にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、導電性組成物からなる導電膜の内部にメッシュ状基材が埋設された導電性シート部材を基材布帛の表面に積層した導電性布帛について種々の検討を行った。その結果、導電性シート部材のオモテ面とウラ面とにおいて算術平均粗さを異なるものとし、相対的に算術平均粗さの小さい面が基材布帛側となるように積層した場合に、非常に優れた耐屈曲性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、導電性組成物からなる導電膜の内部にメッシュ状基材が埋設されてなる導電性シート部材が、基材布帛の表面に積層されてなる導電性布帛において、
前記メッシュ状基材は、開口率30%以上を満たすように開口部が設けられており、
前記導電性シート部材の第一面の算術平均粗さRa1(単位μm)と、前記導電性シート部材の第二面の算術平均粗さRa2(単位μm)について、Ra1>Ra2の関係を満たし、
前記導電性シート部材の前記第二面が前記基材布帛側となるように積層されていることを特徴とする導電性布帛である。
【0008】
前記導電性シート部材の前記第一面の算術平均粗さRa1(単位μm)と、前記導電性シート部材の前記第二面の算術平均粗さRa2(単位μm)との比であるRa2/Ra1の値が0.1~0.5の範囲内であることが好ましい。
【0009】
前記導電性シート部材の前記第二面の算術平均粗さRa2が0.1~1.0μmの範囲内であることが好ましい。
【0010】
前記導電性シート部材の前記第二面において、前記メッシュ状基材の一部が露出していることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、繰返しの屈曲変形に対して導電性の低下が抑制された導電性布帛を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の導電性布帛の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の導電性布帛において導電部を構成する部材は、導電性組成物からなる導電膜の内部にメッシュ状基材が埋設された導電性シート部材である。
【0014】
本発明における導電性組成物は、導電性粒子と高分子樹脂とを含むことが好ましい。導電性粒子としては、カーボン粒子、カーボンナノチューブ、金属粒子等が挙げられる。なかでも高度の導電性が要求される場合には金属粒子であることが好ましい。金属粒子の例としては、銀粒子、ニッケル粒子、銅粒子よりなる群から選ばれた1種、または2種以上の混合物であることが好ましい。
【0015】
前記導電性粒子の一次粒径は、0.01~10.00μmであることが好ましい。導電性粒子の一次粒径が0.01~10.00μmの範囲内であると、導電性粒子間での接触割合増大による低抵抗化や、導電性粒子を密に配合できることによる断線防止といった効果が得られる。導電性粒子の粒子形状は、球形、針形、鱗片形、多面体形、不規則形などであってよく、特に限定されない。
【0016】
前記導電性粒子の配合率は、前記導電性組成物の質量に対し50~95質量%であることが好ましい。前記導電性粒子の配合率がこの範囲内であれば、導電性に優れた導電膜を形成することができる。
【0017】
本発明の導電性組成物に配合される高分子樹脂は特に限定されないが、例えばアクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、 ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。他にポリピロールやPEDOT等の導電性高分子材料を用いてもよい。
【0018】
前記高分子樹脂の配合率は、前記導電性組成物の質量に対して5~50質量%であることが好ましい。前記高分子樹脂の配合率がこの範囲内であれば、平滑で且つ粒子がより均一に分散した導電膜を形成することができる。
【0019】
前記導電性組成物はその他の成分として、溶媒、粘度調整剤、レベリング剤、濡れ性調整剤、防腐剤、安定剤などを適宜含有していてもよい。
【0020】
本発明におけるメッシュ状基材は経糸と緯糸とからなる織物構造を有している。前記メッシュ状基材を構成する経糸および緯糸は、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維であることが好ましい。経糸または緯糸はフィラメント糸であることが好ましい。モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸のいずれであってもよい。経糸または緯糸の線径は20~70μmであることが好ましい。経糸と緯糸の線径は同じであってもよく、異なっていてもよいが、屈曲方向に依存しない耐屈曲性を実現するためには、経糸と緯糸は同等の線径で構成することが好ましい。
【0021】
前記メッシュ状基材は、開口率が30%以上となるように、経糸および緯糸の織密度が調整されている。経糸および緯糸の繊度を考慮したうえで適宜織密度を設定し、開口率が30%以上のメッシュ状基材を製織することができる。前記開口率が30~50%であることがより好ましい。前記メッシュ状基材の組織は平織、綾織、朱子織など特に限定されない。導電性布帛を構成した際に屈曲方向に依存しない耐屈曲性を得られるという点で、平織であることが好ましい。開口率の測定方法としては、メッシュ状基材の一表面を撮影した画像を解析し、単位面積あたりにおいて経糸や緯糸が存在していない部分の面積比率を算出する方法が挙げられる。
【0022】
本発明の導電性シート部材は、前記導電性組成物からなる導電膜の内部に、前記メッシュ状基材が埋設された構造を有している。前記導電性組成物が前記メッシュ状基材の開口部を貫通するように充填された状態で硬化され、導電膜を形成している。このとき、前記メッシュ状基材は、前記導電性組成物が硬化して形成された導電膜の内部に完全に埋もれた状態、つまり露出部分を有さない被覆状態であってもよい。前記メッシュ状基材は、その一部が前記導電性シート部材の一方または両方の表面から露出していてもよい。
【0023】
前記メッシュ状基材の厚さをTBμm、前記導電性組成物が硬化して形成される導電膜の厚さをTMμmとした場合、TM/TBの値が1.1~1.5の範囲であることが好ましい。TM/TBの値がこの範囲内であれば、導電性シート部材の柔軟性と表面導通性とを両立させることが可能となる。より好ましいTM/TBの範囲は1.1~1.2である。
【0024】
前記導電性シート部材は表裏の関係にある第一面と第二面とを有している。ここで、前記第一面の算術平均粗さRa1(単位μm)と、前記第二面の算術平均粗さRa2(単位μm)について、Ra1>Ra2の関係を満たすように形成されていることが肝要である。前記導電性シート部材の前記第一面の算術平均粗さRa1(単位μm)と、前記導電性シート部材の前記第二面の算術平均粗さRa2(単位μm)との比であるRa2/Ra1の値が0.1~0.5の範囲内であることが好ましい。
【0025】
ここで、算術平均粗さRaは表面粗さ測定器SV-3000(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定することができる。測定条件はJIS B 0601:1994に準拠して実施される。
【0026】
前記導電性シート部材の前記第二面の算術平均粗さRa2が0.1~1.0μmの範囲内であることが好ましい。更に、前記導電性シート部材の前記第二面に、前記メッシュ状基材の一部が露出していることが好ましい。これによれば、得られた導電性布帛は、繰返し屈曲試験において抵抗値上昇率(%)を低く抑えられる。すなわち、耐屈曲性に優れた導電性を有する導電性布帛を得ることができる。
【0027】
本発明の導電性シート部材を製造する方法としては、まず、前記メッシュ状基材の算術平均粗さよりも小さい算術平均粗さを有する離型性基材を配置し、この離型性基材に前記メッシュ状基材を乗せ置いた状態で、流動性を備えた前記導電性組成物を前記メッシュ状基材の上から塗布する方法が採用できる。塗布方法は、スクリーン印刷をはじめとする各種印刷方法を用いることができる。塗布方法としてナイフコーティング法を採用すれば、ナイフが接触した側の導電性シート部材の算術平均粗さは、概ね前記メッシュ状基材の算術平均粗さと同等とすることができる。その結果、導電性シート部材の前記離型性基材が配置された側、つまりナイフが接触した側とは反対である側の算術平均粗さよりも、ナイフが接触した側の算術平均粗さを大きく形成することができる。つまり、前記離型性基材が配置された側は前記導電性シート部材の第二面となり、ナイフが接触した側は前記導電性シート部材の第一面となる。ここで、前述したメッシュ状基材の厚さTBと前記導電性組成物が硬化して形成される導電膜の厚さTMとの比であるTM/TBの値を1.1~1.5の範囲とすれば、ナイフコーティング法による第一面の算術平均粗さを制御し易いという効果が得られる。
【0028】
他の手段としては、前記導電性組成物を第一の離型性基材に塗布した後、硬化して膜化させる前に前記メッシュ状基材と第二の離型性基材とをこの順で乗せ置き、上部から加圧して前記導電性組成物からなる導電膜の内部に前記メッシュ状基材を埋設させる方法が採用できる。このとき、前記第一および第二の離型性基材の算術平均粗さを写し取って導電膜の表面が形成される。したがって、前記第一および第二の離型性基材の算術平均粗さを適宜選択することによって、得られる前記導電性シート部材の第一面と第二面に所望の算術平均粗さを付与することができる。すなわち、前記導電性シート部材の第一面となる側に配置される第一の離型性基材の算術平均粗さに対し、第二面となる側に配置された第二の離型性基材の算術平均粗さを小さくする。この方法により得られる導電性シート部材では、第一面の算術平均粗さRa1よりも、第二面の算術平均粗さRa2を小さくすることができる。
【0029】
本発明の導電性布帛は、前記導電性シート部材が基材布帛の少なくとも一方の表面に積層された構造となっている。前記導電性シート部材は、前記基材布帛の全面に積層されていてもよい。あるいは、前記導電性シート部材を裁断して所望の形状の回路や電極などを形成し、これを前記基材基布の一部に積層してもよい。このとき、前記導電性シート部材の第二面が基材布帛側となるように積層されていることが肝要である。すなわち、前記導電性シート部材の表裏の面のうち、より小さい算術平均粗さを有する面が前記基材布帛側となるように積層されている。このことにより、得られた導電性布帛は繰返しの屈曲においても導通性を高いレベルで維持することが可能となる。
【0030】
前記導電性シート部材を基材布帛表面に積層するにあたっては、周知の手段を用いて積層し、固定することができる。各種接着剤を用いてもよいし、前記導電性シート部材を構成する導電性組成物において、いわゆるホットメルトタイプの高分子樹脂を採用する方法であってもよい。ホットメルトタイプの高分子樹脂は特に限定されないが、例えばポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィン樹脂、EVA樹脂等が挙げられる。
【0031】
前記導電性シート部材を前記基材布帛表面に積層する方法としては、熱プレス等が挙げられる。例えば、前記導電性シート部材の第二面側と、前記基材基布との間にホットメルト樹脂を積層した後、熱プレスを行って貼り合わせることができる。ホットメルト樹脂としては、シート状のホットメルト樹脂を用いてもよいし、液状のホットメルト樹脂を前記導電性シート部材の第二面に塗工する方法でもよい。熱プレス機は例えば転写用プレス機(株式会社ハシマ製:型番HP―4536A―12)を用いることができる。熱プレス処理の条件は、プレス温度100~160℃、プレス圧50~500g/cm2の範囲であることが好ましい。
【0032】
また、シート状のホットメルト樹脂をあらかじめ前記メッシュ状基材の一方の面に積層しておき、前記メッシュ状基材の他方の面から前記導電性組成物を塗布して、ホットメルト樹脂からなる接着層付きの導電性シート部材を形成してもよい。このとき、メッシュ状基材の一方の面に積層する側のシート状のホットメルト樹脂の表面における算術平均粗さが、前記メッシュ状基材の算術表面粗さよりも小さいことが求められる。これにより、前記導電性シート部材の第二面側の算術表面粗さを、前記導電性シート部材の第一面側の算術平均粗さよりも小さく作製することができる。
【0033】
前記導電性シート部材を積層させる前記基材布帛としては、織物、編物、不織布などの繊維基材布帛を挙げることができる。また、繊維素材としては、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等)、ポリウレタン、ポリアクリル等の合成繊維などを挙げることができ、これらが2種以上組み合わされていてもよい。なかでも、強度や耐薬品性に優れた合成繊維からなる基材布帛が好ましく、さらにポリエステル繊維、ナイロン繊維等の合成繊維からなる基材布帛であることが好ましい。糸条はモノフィラメント糸であっても、複数の繊維が集束してなるマルチフィラメント糸であってもよい。糸条の繊度は特に限定されないが、10~170dtexであることが好ましい。前記基材布帛には、必要に応じて染色、帯電防止加工、難燃加工、カレンダー加工などが施されていてもよい。前記基材布帛の厚みは特に限定されないが、0.02~1.00mmであることが好ましい。基材布帛の厚みが0.02~1.00mmの範囲内であれば導電性シートを積層後も適度な風合いと柔軟性とを維持できる。
【実施例0034】
(実施例1)
メッシュ状基材として経糸・緯糸共にモノフィラメント(線径40μm)を使用したポリエステルメッシュ織物:T230-40(株式会社ヤマニ製:算術平均粗さ0.67μm、厚さTB=60μm)を用意した。このポリエステルメッシュ織物の開口率は40%であった。このメッシュ状基材の片面に、表面の算術平均粗さが0.26μmである離形性基材を貼り、メッシュ状基材の反対面に導電性組成物インクとして銀粒子(配合率50~60質量%)を含有するCI-1036(Engineered Materials Systems製)をスクリーン印刷で塗布した。使用したスクリーン印刷機は、SSA-PC560A(セリアエンジニアリング株式会社製)である。印刷時の条件を表1に示す。
【0035】
【0036】
印刷後、定温乾燥機DRS620DA(株式会社東洋製作所製)にて100℃で10分間乾燥を行ない、導電膜(厚さTM=66μm)を形成して導電性シート部材を得た。離型性基材が貼られた面を第二面とし、得られた導電性シート部材のRa2/Ra1の値は0.22であった。得られた導電性シート部材の第一面においてメッシュ状基材は露出しておらず、第二面においてメッシュ状基材が露出している面積率は16.3%であった。導電性シート部材の第二面にホットメルトシートUH203(日本マタイ株式会社製)を貼り付け、幅1mm、長さ120mmで切り出した。また、基材布帛であるポリエステル平織物TE5880(経糸30dtex/36f;192本/インチ、緯糸62dtex/150f;122本/インチ)を幅10mm、長さ120mmに切り出した。基材布帛の幅方向中央部に切り出した導電性シート部材を積層して接着し、導電性布帛を得た。
【0037】
(実施例2)
メッシュ状基材に開口率35%、線径35μmのT300-35(株式会社ヤマニ製:算術平均粗さ0.38μm、厚さTB=54μm)を使用した以外は実施例1と同様にして導電性布帛を得た。離型性基材が貼られた面を第二面とし、得られた導電性シート部材のRa2/Ra1の値は0.35であった。得られた導電性シート部材の第一面においてメッシュ状基材は露出しておらず、第二面においてメッシュ状基材が露出している面積率は18.2%であった。
【0038】
(比較例1)
導電性シート部材の第一面側を基材布帛に積層した以外は実施例1と同様にして、導電性布帛を得た。
【0039】
(比較例2)
導電性シート部材の第一面側を基材布帛に積層した以外は実施例2と同様にして、導電性布帛を得た。
【0040】
上記実施例と比較例で得られた導電性布帛について、卓上型耐久試験機DLD111L(ユアサシステム機器株式会社製)を用いて屈曲試験を行ない、屈曲試験前後の抵抗値をRM3545-02(日置電機株式会社製)で測定した。屈曲条件としては、導電性シート部材を積層した面が内側になるように導電性布帛を180°屈曲させ、屈曲半径2mmで20,000回の繰返し屈曲を行った。屈曲試験前の抵抗値に対する屈曲試験後の抵抗値の増加率を抵抗値上昇率(%)として算出し、表2に示す。抵抗値上昇率(%)が低いほど、導電性の屈曲耐久性が高いといえる。
【0041】