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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187718
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】光走査装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20221213BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20221213BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
H04N5/74 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095861
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸也
(72)【発明者】
【氏名】青島 圭佑
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
5C058
【Fターム(参考)】
2H045AB08
2H045AB13
2H045AB24
2H045AB38
2H045AB81
2H045BA12
2H045BA24
2H045CA98
2H141MA12
2H141MB24
2H141MC09
2H141MD12
2H141MD13
2H141MD16
2H141MD20
2H141MD24
2H141ME09
2H141ME13
2H141ME24
2H141ME25
2H141MF16
2H141MF21
2H141MF28
2H141MG04
2H141MZ06
2H141MZ15
2H141MZ16
2H141MZ30
5C058BA35
5C058EA05
5C058EA27
(57)【要約】
【課題】迷光を描画領域に入射させることなく、小型化が可能で、かつ製造コストを下げることを可能とする光走査装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、少なくとも1軸周りに揺動する可動ミラーを有するミラー装置と、同一平面を構成しない少なくとも2以上の光透過面を有し、かつミラー装置を内部に収容したパッケージと、を備える光走査装置であって、パッケージの2以上の光透過面のうち、1つは可動ミラーへの入射光を外部から取り込む光取り込み面であり、他の1つは可動ミラーにより反射された光を外部へ取り出す光取り出し面である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1軸周りに揺動する可動ミラーを有するミラー装置と、
同一平面を構成しない少なくとも2以上の光透過面を有し、かつ前記ミラー装置を内部に収容したパッケージと、
を備える光走査装置であって、
前記パッケージの2以上の前記光透過面のうち、1つは前記可動ミラーへの入射光を外部から取り込む光取り込み面であり、他の1つは前記可動ミラーにより反射された光を外部へ取り出す光取り出し面である、
光走査装置。
【請求項2】
前記パッケージの内部は、真空又は陰圧である、
請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記パッケージには、前記可動ミラーを駆動する駆動信号を外部から取り込むための信号入力端子が設けられている、
請求項1又は請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記パッケージの内部には、前記光取り込み面から入射した光を偏向して前記可動ミラーに導く光学素子が設けられている、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記光取り込み面及び前記光取り出し面は、非平行である2つの前記光透過面により構成されている、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記パッケージの内部には、撮像装置と、前記撮像装置から出力される撮像信号を外部に取り出すための信号出力端子が設けられており、
前記光取り出し面は、前記可動ミラーにより反射された光の一部を反射して前記撮像装置へ導く、
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項7】
少なくとも1軸周りに揺動する可動ミラーを有するミラー装置と、同一平面を構成しない少なくとも2以上の光透過面を有し、かつ前記ミラー装置を内部に収容したパッケージとを備える光走査装置と、
光を出射する発光装置と、
を備える画像形成装置であって、
前記パッケージの2以上の前記光透過面のうち、1つは前記可動ミラーへの入射光を外部から取り込む光取り込み面であり、他の1つは前記可動ミラーにより反射された光を外部へ取り出す光取り出し面であり、
前記発光装置から出射された光は、前記光取り込み面を介して前記可動ミラーに入射する、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、光走査装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により構成されたミラー装置に光を照射することにより、スクリーン等に画像を描画する画像形成装置が知られている。ミラー装置は、少なくとも1つの軸周りに揺動する可動ミラーを有する。
【0003】
ミラー装置は、揺動する可動ミラーの空気抵抗を減らすために、内部が真空又は陰圧とされたパッケージに収容される。この場合、ミラー装置には、パッケージに設けられたガラス窓を介して外部からレーザ光が入射する。
【0004】
ミラー装置をパッケージに収容した場合には、ガラス窓に入射するレーザ光の一部がガラス窓の表面で反射され、この反射光が迷光としてミラー装置による画像の描画領域内に入射するおそれがある。この場合、描画領域内に迷光が入射すると画像中に不要な輝点が生じてしまう。
【0005】
非特許文献1には、上記の反射光を抑制するために、ガラス窓の表面に反射防止膜を設けることが考えられるが、反射防止膜では完全に反射光を抑制することが難しいことから、ガラス窓を傾斜させることにより反射光を描画領域外に導くことが提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S. Gu-Stoppel et al., Advanced Manufacturing, Electronics and Microsystems: TechConnect Briefs 2016, P.87-90, <https://briefs.techconnect.org/wp-content/volumes/TCB2016v4/pdf/364.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1に記載のようにガラス窓を傾斜させると、パッケージの厚みが増すことによりパッケージサイズが大きくなるといった問題がある。また、パッケージサイズが大きくなることにより、製造コストが増大するといった問題がある。
【0008】
本開示の技術は、迷光を描画領域に入射させることなく、小型化が可能で、かつ製造コストを下げることを可能とする光走査装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の光走査装置は、少なくとも1軸周りに揺動する可動ミラーを有するミラー装置と、同一平面を構成しない少なくとも2以上の光透過面を有し、かつミラー装置を内部に収容したパッケージと、を備える光走査装置であって、パッケージの2以上の光透過面のうち、1つは可動ミラーへの入射光を外部から取り込む光取り込み面であり、他の1つは可動ミラーにより反射された光を外部へ取り出す光取り出し面である。
【0010】
パッケージの内部は、真空又は陰圧であることが好ましい。
【0011】
パッケージには、可動ミラーを駆動する駆動信号を外部から取り込むための信号入力端子が設けられていることが好ましい。
【0012】
パッケージの内部には、光取り込み面から入射した光を偏向して可動ミラーに導く光学素子が設けられていることが好ましい。
【0013】
光取り込み面及び光取り出し面は、非平行である2つの光透過面により構成されていることが好ましい。
【0014】
パッケージの内部には、撮像装置と、撮像装置から出力される撮像信号を外部に取り出すための信号出力端子が設けられており、光取り出し面は、可動ミラーにより反射された光の一部を反射して撮像装置へ導くことが好ましい。
【0015】
本開示の画像形成装置は、少なくとも1軸周りに揺動する可動ミラーを有するミラー装置と、同一平面を構成しない少なくとも2以上の光透過面を有し、かつミラー装置を内部に収容したパッケージとを備える光走査装置と、光を出射する発光装置と、を備える画像形成装置であって、パッケージの2以上の光透過面のうち、1つは可動ミラーへの入射光を外部から取り込む光取り込み面であり、他の1つは可動ミラーにより反射された光を外部へ取り出す光取り出し面であり、発光装置から出射された光は、光取り込み面を介して可動ミラーに入射する。
【発明の効果】
【0016】
本開示の技術によれば、迷光を描画領域に入射させることなく、小型化が可能で、かつ製造コストを下げることを可能とする光走査装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】画像形成装置の構成の一例を示す模式図である。
図2】MEMSミラーの構成の一例を示す概略斜視図である。
図3】光走査装置の外観構成の一例を示す概略斜視図である。
図4】光走査装置の断面構造の一例を示す概略断面図である。
図5】第2実施形態に係る光走査装置の断面構造の一例を示す概略断面図である。
図6】第3実施形態に係る光走査装置の断面構造の一例を示す概略断面図である。
図7】制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図8】第1駆動信号、第1ゼロクロス信号、及び第1基準信号の一例を示す図である。
図9】第2駆動信号、第2ゼロクロス信号、及び第2基準信号の一例を示す図である。
図10】キャリブレーションモードにおいて投影面に描画されるパターンの一例を示す図である。
図11】ミラー部の揺動と第1基準信号及び第2基準信号のタイミングとの間にずれが生じた場合に、投影面に描画されるパターンの一例を示す図である。
図12】補正部の機能構成の一例を示す図である。
図13】信号補正部によるタイミング補正の一例を示す図であり、(A)は第1基準信号のタイミングを補正する例を示し、(B)は第2基準信号のタイミングを補正する例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示の技術に係る実施形態を詳細に説明する。一例として、以下の各実施形態では、本開示の技術を、レーザ光をリサージュ方式により走査することにより投影面に画像を形成する画像形成装置に適用した形態について説明する。
【0019】
[第1実施形態]
図1には、本実施形態の画像形成装置10の構成の一例を示す。図1に示すように本実施形態の画像形成装置10は、制御装置20、MEMSドライバ22、発光装置24、合波光学系26、コリメータ28、及び光走査装置30を備える。光走査装置30は、MEMSミラー32と、MEMSミラー32を収容するパッケージ33とで構成されている。MEMSミラー32は、本開示の技術に係る「ミラー装置」の一例である。
【0020】
発光装置24は、レーザドライバ25及びレーザ光源27を有する。本実施形態のレーザドライバ25は、制御装置20から供給される強度変調信号に基づいてレーザ光源27を駆動し、画像を形成するためのレーザ光をレーザ光源27から出力させる。レーザ光源27は、例えば、R(Red)、G(Green)、及びB(B:Blue)の3色のレーザ光を出力する。なお、レーザ光は、本開示の技術に係る「光」の一例である。
【0021】
レーザ光源27から出力されたレーザ光は、合波光学系26により合波された後、コリメータ28を介して、パッケージ33内のMEMSミラー32に照射される。MEMSミラー32に集光されたレーザ光は、MEMSミラー32により投影面34に向けて反射される。投影面34は、例えば、画像を投影するためのスクリーン、又は人の目の網膜などである。すなわち、本実施形態の画像形成装置10は、プロジェクタ、又はAR(Augmented Reality)グラスなどに用いられる。
【0022】
なお、本実施形態において投影面34は、スクリーン等の実際の物体の表面に限定されず、空間上の仮想面も含むものとする。
【0023】
MEMSドライバ22は、制御装置20からの制御に基づいて、MEMSミラー32を駆動する。MEMSミラー32では、レーザ光Lを反射するミラー部40(図2参照)が、互いに直交する2つの軸のそれぞれを中心軸として独立して揺動する。本実施形態では、駆動信号に基づいてミラー部40が揺動することにより、投影面34においてレーザ光Lがリサージュ曲線を描く状態に走査される。リサージュ曲線とは、第1軸周りの揺動周波数、第2軸周りの揺動周波数、及びそれらの位相差によって決まる曲線である。ミラー部40は、本開示の技術に係る「可動ミラー」の一例である。
【0024】
本実施形態の制御装置20は、FPGA(Field Programmable Gate Array)20A、及びメモリ20Bを含む。メモリ20Bは、例えば、揮発性メモリであり、投影面34に投影する画像を表す画像信号等の各種情報を記憶する。メモリ20Bには、例えば、画像形成装置10の外部から入力された画像信号が記憶される。
【0025】
図2は、MEMSミラー32の構成の一例を示す。MEMSミラー32は、ミラー部40、第1支持部41、第1可動枠42、第2支持部43、第2可動枠44、接続部45、及び固定枠46を有する。
【0026】
ミラー部40は、入射光を反射する反射面40Aを有する。反射面40Aは、例えば、金(Au)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、又は銀の合金等の金属薄膜で形成されている。反射面40Aの形状は、例えば、円形状である。
【0027】
第1支持部41は、ミラー部40の外側に、第2軸aを挟んで対向する位置にそれぞれ配置されている。第1支持部41は、第1軸a上でミラー部40と接続されており、ミラー部40を第1軸a周りに揺動可能に支持している。
【0028】
第1可動枠42は、ミラー部40を取り囲む矩形状の枠体であって、第1軸a上で第1支持部41を介してミラー部40と接続されている。第1可動枠42の上には、第1軸aを挟んで対向する位置にそれぞれ圧電素子50が形成されている。このように、第1可動枠42上に2つの圧電素子50が形成されることにより、一対の第1アクチュエータ51が構成されている。
【0029】
一対の第1アクチュエータ51は、第1軸aを挟んで対向する位置に配置されている。第1アクチュエータ51は、ミラー部40に、第1軸a周りの回転トルクを作用させることにより、ミラー部40を第1軸a周りに揺動させる。
【0030】
第2支持部43は、第1可動枠42の外側に、第1軸aを挟んで対向する位置にそれぞれ配置されている。第2支持部43は、第2軸a上で第1可動枠42と接続されており、第1可動枠42及びミラー部40を、第2軸a周りに揺動可能に支持している。本実施形態では、第2支持部43は、第2軸aに沿って延伸したトーションバーである。
【0031】
第2可動枠44は、第1可動枠42を取り囲む矩形状の枠体であって、第2軸a上で第2支持部43を介して第1可動枠42と接続されている。第2可動枠44の上には、第2軸aを挟んで対向する位置にそれぞれ圧電素子50が形成されている。このように、第2可動枠44上に2つの圧電素子50が形成されることにより、一対の第2アクチュエータ52が構成されている。
【0032】
一対の第2アクチュエータ52は、第2軸aを挟んで対向する位置に配置されている。第2アクチュエータ52は、ミラー部40及び第1可動枠42に、第2軸aの周りの回転トルクを作用させることにより、第2軸aの周りにミラー部40を揺動させる。
【0033】
接続部45は、第2可動枠44の外側に、第1軸aを挟んで対向する位置にそれぞれ配置されている。接続部45は、第2軸a上で第2可動枠44と接続されている。
【0034】
固定枠46は、第2可動枠44を取り囲む矩形状の枠体であって、第2軸a上で接続部45を介して第2可動枠44と接続されている。
【0035】
本実施形態では、第1軸aと第2軸aとは互いに直交している。以下の説明では、第1軸aに平行な方向をX方向とし、第2軸aに平行な方向をY方向とし、第1軸a及び第2軸aに直交する方向をZ方向とする。
【0036】
図3は、光走査装置30の外観構成の一例を示す。パッケージ33は、ほぼ直方体形状である。例えば、パッケージ33は、平板状の基板35と、箱状の蓋部材36とで構成されている。例えば、基板35及び蓋部材36は、透光性を有するガラスで形成されている。基板35に蓋部材36を接合することによりパッケージ33が構成されている。パッケージ33の内部には、MEMSミラー32が収容されている。
【0037】
また、パッケージ33の内部は、真空又は陰圧である。このように、パッケージ33の内部を真空又は陰圧とすることにより、ミラー部40の揺動時のエネルギー損失が低減し、大きな振れ角を低い駆動電圧で実現することができる。なお、陰圧とは、パッケージ33の内部の気圧が、パッケージ33の外部の気圧(すなわち大気圧)よりも低いことを意味する。
【0038】
蓋部材36は、4つの光透過面37を有する。4つの光透過面37は、1つの上面と、3つの側面とで構成されている。本実施形態では、4つの光透過面37のうちの1つの側面としての光透過面37は、ミラー部40への入射光を外部から取り込む「光取り込み面」として機能する。また、4つの光透過面37のうちの1つの上面としての光透過面37は、ミラー部40により反射された光を外部へ取り出す「光取り出し面」として機能する。すなわち、本実施形態では、光取り込み面及び光取り出し面は、非平行である2つの光透過面37により構成されている。
【0039】
発光装置24から出射されたレーザ光Lは、光取り込み面における光取り込み領域38を透過して、パッケージ33の内部に入射する。パッケージ33の内部に入射したレーザ光Lは、MEMSミラー32のミラー部40に入射する。ミラー部40により反射されたレーザ光Lは、光取り出し面における光取り出し領域39を透過して、パッケージ33の外部へ取り出される。光取り出し領域39を透過したレーザ光Lは、投影面34(図1参照)に入射する。
【0040】
図4は、光走査装置30の断面構造の一例を示す。図4に示すように、MEMSミラー32は、支持部材60を介して基板35に固定されている。例えば、支持部材60は、三角柱形状であって、傾斜面61を有する。MEMSミラー32は、傾斜面61に接合されている。すなわち、ミラー部40の表面は、静止した状態において、光取り込み面と光取り出し面とのいずれにも平行でない。
【0041】
基板35には、ミラー部40を駆動するための駆動信号を外部から取り込むための信号入力端子62が設けられている。信号入力端子62は、例えば、ボンディングワイヤ63を介してMEMSミラー32と電気的に接続されている。MEMSドライバ22(図1参照)は、信号入力端子62を介してMEMSミラー32に駆動信号を入力する。信号入力端子62は、例えば、一対の第1アクチュエータ51及び一対の第2アクチュエータ52に対してそれぞれ個別に設けられている。一対の第1アクチュエータ51と一対の第2アクチュエータ52とには、周波数が異なる駆動信号が付与される。
【0042】
図3及び図4に示すように、発光装置24から出射されたレーザ光Lは、光取り込み面において一部が反射されて迷光LSとなる。光取り出し面は、光取り込み面を構成する光透過面37とは同一平面を構成しない光透過面37により構成されているので、迷光LSが描画領域(すなわち投影面34)に入射することはない。
【0043】
本実施形態の光走査装置30は、迷光LSを描画領域外へ導くために従来のようにガラス窓を傾斜させる必要はないので、パッケージ33の厚みを増大せず、パッケージサイズを小さくすることができる。したがって、本開示の技術によれば、迷光を描画領域に入射させることなく、小型化で、かつ製造コストを下げることを可能とする光走査装置30が実現される。
【0044】
なお、上記実施形態では、パッケージ33の全体をガラス等の透光性材料により形成しているが、パッケージ33は、部分的に遮光性部材で形成されていてもよい。例えば、パッケージ33のうち、光取り込み領域38及び光取り出し領域39以外の部分が遮光性部材で形成されていてもよい。
【0045】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、蓋部材36の1つの側面からレーザ光をパッケージ33の内部に取り込んでいるが、第2実施形態では、基板35からレーザ光をパッケージ33の内部に取り込む。
【0046】
図5は、第2実施形態に係る光走査装置30の断面構造の一例を示す。基板35は透光性であり、その表面は光透過面37である。実施形態では、基板35の光透過面37は、ミラー部40への入射光を外部から取り込む「光取り込み面」として機能する。発光装置24から出射されたレーザ光Lは、基板35の光取り込み領域38を透過して、パッケージ33の内部に入射する。パッケージ33の内部に入射したレーザ光Lは、蓋部材36の内面側に入射する。
【0047】
蓋部材36の内面側には、レーザ光Lが入射する位置に光学素子70が設けられている。光学素子70は、光取り込み領域38から入射したレーザ光Lを偏向してMEMSミラー32のミラー部40へ導く。本実施形態では、光学素子70は、スパッタリング又は蒸着法により形成された反射膜である。光学素子70は、鏡面反射によりレーザ光Lを、ミラー部40へ導くように偏向する。
【0048】
本実施形態では、MEMSミラー32は、支持部材60(図4参照)を用いることなく、基板35に直接固定されている。すなわち、本実施形態では、MEMSミラー32は、基板35に対して傾斜していない。ミラー部40により反射されたレーザ光Lは、上記実施形態と同様に、蓋部材36の上面の光取り出し領域39を透過して、パッケージ33の外部へ取り出される。
【0049】
以上のように、第2実施形態では、パッケージ33の裏面側からレーザ光Lが取り込まれるので、光取り込み面において一部が反射されることにより生じる迷光LSが描画領域に入射することはない。したがって、第2実施形態においても、迷光LSを描画領域外へ導くために従来のようにガラス窓を傾斜させる必要はないので、小型化で、かつ製造コストを下げることを可能とする光走査装置30が実現される。また、MEMSミラー32を基板35に対して傾斜させる必要がないため、パッケージ33の厚みをより薄くすることが可能となる。
【0050】
なお、光学素子70は、反射膜に限られず、グレーティング、ホログラム等の光学素子であってもよい。グレーティング又はホログラムは、入射角と異なる出射角でレーザ光Lを出射することができる。このため、光学素子70をグレーティング、ホログラム等の光学素子とすることにより、光学素子70を配置する位置等の設計自由度が向上する。
【0051】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、パッケージ33の内部に撮像装置を設ける。撮像装置は、発光装置24によるレーザ光Lの発光タイミングの補正に用いられる。
【0052】
図6は、第3実施形態に係る光走査装置30の断面構造の一例を示す。本実施形態では、パッケージ33の内部において、基板35に撮像装置72が取り付けられている。撮像装置72は、ミラー部40により反射されたレーザ光Lのうち、光取り出し領域39で反射されるレーザ光Lの光路上に設けられている。基板35には、撮像装置72から出力される撮像信号を外部に取り出すための信号出力端子73が設けられている。本実施形態に係る光走査装置30のその他の構成は、第1実施形態に係る光走査装置30の構成と同様である。
【0053】
撮像装置72は、光取り出し領域39で反射されたレーザ光Lを撮像することにより、撮像画像IPを生成し、生成した撮像画像IPを制御装置20(図1参照)へ出力する。撮像装置72は、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等のイメージセンサにより構成されている。また、撮像装置72は、PSD(Position Sensitive Detector)により構成されていてもよい。撮像画像IPは、後述する第1基準信号及び第2基準信号のタイミングの補正に用いられる。撮像画像IPは、本開示の技術に係る「撮像情報」の一例である。
【0054】
図7は、制御装置20の機能構成の一例を示す。図7に示すように、制御装置20には、画像入力部80、情報生成部81、情報記憶部82、第1基準信号出力部83A、第2基準信号出力部83B、発光制御部84、補正部85、テーブル保持部86、及び湿温度センサ87が構成されている。画像入力部80、情報生成部81、情報記憶部82、第1基準信号出力部83A、第2基準信号出力部83B、発光制御部84、補正部85、及びテーブル保持部86は、FPGA20A及びメモリ20Bが協業して動作することにより実現される機能部である。
【0055】
画像入力部80には、形成する画像を表す画像データDTが外部から入力される。以下、画像入力部80に入力された画像データDTに応じた画像を、入力画像という場合がある。一例として、本実施形態では、RGB信号で表されるカラーの画像データDTが、画像入力部80に入力される。画像入力部80に入力された画像データDTは、情報生成部81へ出力される。なお、画像入力部80に入力される画像データDTは、本実施形態に限定されず、形成する画像に応じたデータであればよい。例えば、レーザ光Lを出力するか否かを表す2値化されたデータであってもよい。また例えば、出力量の多値を表すデータであってもよい。
【0056】
情報生成部81は、MEMSミラー32によるレーザ光Lの走査位置と、入力画像の信号強度との対応関係を表す強度情報SIを生成する。入力画像がカラー画像の場合、信号強度は、RGB信号の各々の強度を表す。情報記憶部82は、情報生成部81により生成された強度情報SIを記憶する。
【0057】
MEMSドライバ22は、一例として図8に示す第1駆動信号V1A及びV1Bを、MEMSミラー32の一対の第1アクチュエータ51へ出力するとともに、第1ゼロクロス信号ZC1を生成して第1基準信号出力部83Aへ出力する。第1駆動信号V1Aと第1駆動信号V1Bとは、位相が180°異なる正弦波である。
【0058】
第1ゼロクロス信号ZC1は、第1駆動信号V1A及びV1Bがゼロとなる点を表すパルス状の信号である。なお、MEMSドライバ22から第1基準信号出力部83Aへ出力される信号は、ゼロクロス信号に限られず、第1駆動信号V1A及びV1Bと同一の周期を有する信号であればよい。
【0059】
MEMSドライバ22は、一例として図9に示す第2駆動信号V2A及びV2Bを、MEMSミラー32の一対の第2アクチュエータ52へ出力するとともに、第2ゼロクロス信号ZC2を生成して第2基準信号出力部83Bへ出力する。第2駆動信号V2Aと第2駆動信号V2Bとは、位相が180°異なる正弦波である。
【0060】
第2ゼロクロス信号ZC2は、第2駆動信号V2A及びV2Bがゼロとなる点を表すパルス状の信号である。なお、MEMSドライバ22から第2基準信号出力部83Bへ出力される信号は、ゼロクロス信号に限られず、第2駆動信号V2A及びV2Bと同一の周期を有する信号であればよい。
【0061】
第1駆動信号V1A及びV1Bの周波数(以下、第1駆動周波数という。)と、第2駆動信号V2A及びV2Bの周波数(以下、第2駆動周波数という。)とは、周波数比が異なる。第1駆動周波数と第2駆動周波数との周波数比は、MEMSミラー32が行う光走査のリサージュ曲線の形状に基づいて決定されている。
【0062】
第1基準信号出力部83Aは、ミラー部40の第1軸a周りの振れ角(以下、第1振れ角という。)θ1が第1基準角となる時点を推測して第1基準信号PS1を発光制御部84へ出力する。本実施形態では、第1基準角を0°とする。第1基準信号出力部83Aは、第1駆動信号V1A及びV1Bに基づいて第1振れ角θ1が第1基準角となる時点を推測して第1基準信号PS1を生成する。
【0063】
具体的には、第1基準信号出力部83Aは、図8に示すように、MEMSドライバ22から入力される第1ゼロクロス信号ZC1を、遅延時間D1だけ遅延させた信号を、第1基準信号PS1として出力する。ミラー部40が第1軸a周りに共振する場合には、遅延時間D1は、理想的には、第1ゼロクロス信号ZC1の周期の1/4倍に相当する時間であるが、環境条件(温度、湿度等)によりずれが生じる。このため、本実施形態では、第1基準信号出力部83Aは、湿温度センサ87により検出された温度及び湿度と、テーブル保持部86に保持されたルックアップテーブル(以下、LUTという。)86Aとに基づいて遅延時間D1を取得し、取得した遅延時間D1に基づいて第1基準信号PS1を生成する。
【0064】
第2基準信号出力部83Bは、ミラー部40の第2軸a周りの振れ角(以下、第2振れ角という。)θ2が第2基準角となる時点を推測して第2基準信号PS2を発光制御部84へ出力する。本実施形態では、第2基準角を0°とする。第2基準信号出力部83Bは、第2駆動信号V2A及びV2Bに基づいて第2振れ角θ2が第2基準角となる時点を推測して第2基準信号PS2を生成する。
【0065】
具体的には、第2基準信号出力部83Bは、図9に示すように、MEMSドライバ22から入力される第2ゼロクロス信号ZC2を、遅延時間D2だけ遅延させた信号を、第2基準信号PS2として出力する。ミラー部40が第2軸a周りに共振する場合には、遅延時間D2は、理想的には、第2ゼロクロス信号ZC2の周期の1/4倍に相当する時間であるが、環境条件(温度、湿度等)によりずれが生じる。このため、本実施形態では、第2基準信号出力部83Bは、湿温度センサ87により検出された温度及び湿度と、テーブル保持部86に保持されたLUT86Aとに基づいて遅延時間D2を取得し、取得した遅延時間D2に基づいて第2基準信号PS2を生成する。
【0066】
LUT86Aには、遅延時間D1、温度、及び湿度の関係と、遅延時間D2、温度、及び湿度の関係とが予め記録されている。これらの関係は、例えば、過去の履歴に基づいて決定されている。
【0067】
発光制御部84は、第1基準信号PS1及び第2基準信号PS2に基づいて発光装置24にレーザ光Lを出射させる。画像データDTに基づく画像を投影面34に描画する描画モードでは、発光制御部84は、情報記憶部82から強度情報SIを読み出し、一定の時間ごと(例えば、クロック周期ごと)に、第1基準信号PS1及び第2基準信号PS2を基準として決定される強度のレーザ光Lを、発光装置24に出射させる。
【0068】
また、本実施形態では、第1基準信号出力部83A及び第2基準信号出力部83Bがそれぞれ出力する第1基準信号PS1及び第2基準信号PS2のタイミングを補正するためのキャリブレーションモードが行われる。発光制御部84は、キャリブレーションモードでは、第1基準信号出力部83Aから第1基準信号PS1が出力されたタイミング、及び第2基準信号出力部83Bから第2基準信号PS2が出力されたタイミングに応じて、発光装置24にレーザ光Lを出射させる。すなわち、発光制御部84は、キャリブレーションモードでは、第1振れ角θ1が第1基準角(本実施形態では0°)となると推定される時点と、第2振れ角θ2が第2基準角(本実施形態では0°)となると推定される時点とにおいて発光装置24にレーザ光Lを出射させる。
【0069】
撮像装置72は、キャリブレーションモードにおいて、発光装置24から出射され、ミラー部40により反射されたレーザ光Lのうち、光取り出し領域39で反射されたレーザ光Lを撮像する。撮像装置72は、撮像により生成した撮像画像IPを補正部85へ出力する。撮像画像IPには、投影面34に描画されるパターンが撮像される。
【0070】
補正部85は、撮像画像IPに写ったパターンの規定形状からのずれ量に基づいて、第1基準信号出力部83A及び第2基準信号出力部83Bがそれぞれ出力する第1基準信号PS1及び第2基準信号PS2のタイミングを補正する。
【0071】
図10は、キャリブレーションモードにおいて、投影面34に描画されるパターンの一例を示す。本例では、説明の簡略化のため、第1駆動周波数と第2駆動周波数との周波数比を3:2としている。本例では、MEMSミラー32が行う光走査により、投影面34に、リサージュ曲線90が描かれる。
【0072】
図10は、ミラー部40の揺動と、第1基準信号PS1及び第2基準信号PS2のタイミングとの間にずれが生じていない場合を示している。このように、ずれが生じていない場合には、発光装置24は、θ1=0となる時点、及びθ2=0となる時点でレーザ光Lを出射するので、投影面34における第1基準線L1及び第2基準線L2上にレーザ光Lが照射される。第1基準線L1は、リサージュ曲線90の中心を通りX方向に平行な直線であり、第2基準線L2は、リサージュ曲線90の中心を通りY方向に平行な直線である。符号Pは、投影面34においてレーザ光Lが照射される点(すなわち輝点)を示している。
【0073】
リサージュ曲線90をより綿密とするように1駆動周波数と第2駆動周波数との周波数比を設定した場合には、輝点Pは、第1基準線L1及び第2基準線L2に沿った直線状のパターンを描く。
【0074】
図11は、ミラー部40の揺動と、第1基準信号PS1及び第2基準信号PS2のタイミングとの間にずれが生じている場合を示している。このように、ずれが生じている場合には、発光装置24は、θ1=0となる時点、及びθ2=0となる時点からずれた時点でレーザ光Lを出射するので、投影面34において第1基準線L1及び第2基準線L2からずれた位置にレーザ光Lが照射される。本例では、第1基準線L1からずれた直線L1A及びL1B上と、第2基準線L2からずれた直線L2A及びL2B上にレーザ光Lが照射される。
【0075】
直線L1Aは、リサージュ走査の往路においてレーザ光Lが照射される線である。直線L1Bは、リサージュ走査の復路においてレーザ光Lが照射される線である。また、直線L2Aは、リサージュ走査の往路においてレーザ光Lが照射される線である。直線L2Bは、リサージュ走査の復路においてレーザ光Lが照射される線である。なお、往路とは、Y方向については第1振れ角θ1が増加する経路をいい、X方向については第2振れ角θ2が増加する経路をいう。復路とは、Y方向については第1振れ角θ1が減少する経路をいい、X方向については第2振れ角θ2が減少する経路をいう。
【0076】
このように、ミラー部40の揺動と、第1基準信号PS1及び第2基準信号PS2のタイミングとの間にずれが生じている場合には、第1基準線L1は直線L1Aと直線L1Bとに分離され、第2基準線L2は直線L2Aと直線L2Bとに分離される。
【0077】
リサージュ曲線90をより綿密とするように1駆動周波数と第2駆動周波数との周波数比を設定した場合には、輝点Pは、直線L1A、直線L1B、直線L2A、及び直線L2Bに沿った直線状のパターンを描く。
【0078】
図12は、補正部85の機能構成の一例を示す。補正部85は、補正量算出部92及び信号補正部93を有する。補正部85には、撮像装置72から撮像画像IPが入力される。
【0079】
補正量算出部92は、撮像画像IPに基づき、直線L1Aと直線L1BとのY方向へのずれ量ΔYと、直線L2Aと直線L2BとのX方向へのずれ量ΔXとを導出する。また、補正量算出部92は、ΔX=0とするための第1基準信号PS1のタイミングの補正量δ1と、ΔY=0とするための第2基準信号PS2のタイミングの補正量δ2とを導出し、導出した補正量δ1,δ2を信号補正部93へ出力する。補正量算出部92は、例えば、予め記憶したずれ量ΔXと補正量δ1との関係、及びずれ量ΔYと補正量δ2との関係とに基づいて、補正量δ1,δ2を導出する。なお、ずれ量ΔXと補正量δ1との関係、及びずれ量ΔYと補正量δ2との関係は、それぞれほぼ比例関係にある。
【0080】
なお、補正量算出部92は、第1基準信号PS1及び第2基準信号PS2のタイミングを補正しない状態(すなわちδ1=0及びδ2=0とした状態)で得られた撮像画像IPに基づいてずれ量ΔX,ΔYを導出し、導出したずれ量ΔX,ΔYに基づいて補正量δ1,δ2を導出する。
【0081】
信号補正部93は、補正量算出部92から入力された補正量δ1に基づいて、第1基準信号出力部83Aから出力される第1基準信号PS1のタイミングを補正し、補正量算出部92から入力された補正量δ2に基づいて、第2基準信号出力部83Bから出力される第2基準信号PS2のタイミングを補正する。
【0082】
図13は、信号補正部93によるタイミング補正の一例を示す。図13(A)は、補正量δ1に基づいて第1基準信号PS1のタイミングを補正する例を示す。図13(B)は、補正量δ2に基づいて第2基準信号PS2のタイミングを補正する例を示す。第1基準信号PS1及び第2基準信号PS2のタイミングを補正することにより、ΔX=0及びΔY=0となる。これにより、直線L1Aと直線L1Bとが一致し、かつ直線L2Aと直線L2Bとが一致する。
【0083】
なお、信号補正部93は、第1基準信号出力部83A及び第2基準信号出力部83Bのそれぞれの内部に設けられていてもよい。この場合、第1基準信号出力部83Aは、補正量算出部92から入力される補正量δ1に基づいて第1基準信号PS1のタイミングを補正する。同様に、第2基準信号出力部83Bは、補正量算出部92から入力される補正量δ2に基づいて第2基準信号PS2のタイミングを補正する。
【0084】
上述のキャリブレーションモードは、例えば、画像形成装置10の起動時に所定期間の間実行される。キャリブレーションモードの終了後、描画モードにおいて、第1基準信号出力部83A及び第2基準信号出力部83Bは、上述の補正量δ1,δ2に基づくタイミング補正を継続する。なお、キャリブレーションモードは、描画モードの実行中に、定期的に実行されてもよい。
【0085】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置10は、撮像装置72により取得された撮像情報に基づいて、第1基準信号PS1及び第2基準信号PS2のタイミングを補正することにより、投影面34に描画される画像の乱れを抑制することができる。
【0086】
なお、上記各実施形態では、光走査装置として2軸のMEMSミラー32を用いているが、光走査装置として1軸のMEMSミラーを用いてもよい。したがって、本開示の技術は、可動ミラーを第1軸の周りに揺動する1軸の光走査装置を備える画像形成装置に適用することも可能である。
【0087】
上記第3実施形態において、例えば、画像入力部80、情報生成部81、情報記憶部82、第1基準信号出力部83A、第2基準信号出力部83B、発光制御部84、補正部85、及びテーブル保持部86といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)に加えて、前述のFPGA等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device: PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0088】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、及び/又は、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0089】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip: SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0090】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0091】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0092】
10 画像形成装置
20 制御装置
20B メモリ
22 ドライバ
24 発光装置
25 レーザドライバ
26 合波光学系
27 レーザ光源
28 コリメータ
30 光走査装置
32 MEMSミラー
33 パッケージ
34 投影面
35 基板
36 蓋部材
37 光透過面
38 光取り込み領域
39 光取り出し領域
40 ミラー部
40A 反射面
41 第1支持部
42 第1可動枠
43 第2支持部
44 第2可動枠
45 接続部
46 固定枠
50 圧電素子
51 第1アクチュエータ
52 第2アクチュエータ
60 支持部材
61 傾斜面
62 信号入力端子
63 ボンディングワイヤ
70 光学素子
72 撮像装置
73 信号出力端子
80 画像入力部
81 情報生成部
82 情報記憶部
83A 第1基準信号出力部
83B 第2基準信号出力部
84 発光制御部
85 補正部
86 テーブル保持部
87 湿温度センサ
90 リサージュ曲線
92 補正量算出部
93 信号補正部
ΔX,ΔY ずれ量
δ1,δ2 補正量
θ1 第1振れ角
θ2 第2振れ角
D1,D2 遅延時間
DT 画像データ
IP 撮像画像
L レーザ光
L1 第1基準線
L1A,L1B 直線
L2 第2基準線
L2A,L2B 直線
P 輝点
PS1 第1基準信号
PS2 第2基準信号
SI 強度情報
V1A,V1B 第1駆動信号
V2A,V2B 第2駆動信号
ZC1 第1ゼロクロス信号
ZC2 第2ゼロクロス信号
第1軸
第2軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13