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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187730
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20221213BHJP
   B41J 11/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B41J15/04
B41J11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095878
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】戸松 義也
【テーマコード(参考)】
2C058
2C060
【Fターム(参考)】
2C058AB02
2C058AC07
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF31
2C058AF39
2C058AF47
2C058DA13
2C058DA38
2C060BA05
2C060BA12
2C060BC47
2C060BC62
2C060BC63
2C060BC83
2C060BC96
(57)【要約】
【課題】画像記録装置100の前後サイズを小型化すること。
【解決手段】画像記録装置100において、前サイドガイド21は、搬送ローラ対16および記録ヘッド20の間、より具体的には記録ヘッド20の直ぐ後方で、シートSに斜行が生じないようにシートSをガイドする。よって、記録ヘッド20の直下においてシートSに斜行が生じ難く、搬送ローラ対16よりも後方に位置する後サイドガイド15の前後方向8における寸法を短くできる。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送向きに送る搬送ローラ対と、
上記搬送ローラ対より上記搬送向きの下流に位置し、上記シートに画像を記録する記録部と、
上記搬送ローラ対より上記搬送向きの上流に位置し、上記シートにおける上記搬送向きと直交する幅方向の両端の少なくとも一方に当接し、上記幅方向に沿って移動可能な第1サイドガイドと、
上記搬送ローラ対より上記搬送向きの下流であって、且つ上記記録部より上記搬送向きの上流に位置し、上記シートの両端の少なくとも一方に当接し、上記幅方向に沿って移動可能な第2サイドガイドと、を備える画像記録装置。
【請求項2】
上記シートは、ロール体であり、
上記ロール体をその中心軸周りに回転可能に支持するロール支持部材をさらに備えた請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記記録部と対向しており、上記シートを支持する支持面を有するプラテンをさらに備え、
上記第2サイドガイドは、
上記シートの両端にそれぞれ当接し、上記幅方向に沿って互いに離間するように移動可能な一対のガイド当接面と、
上記一対のガイド当接面にそれぞれ接続し、上記支持面より上記記録部に近い位置で上記シートを支持する一対のガイド支持面と、を有し、
上記ガイド支持面は、上記搬送向きおよび上記幅方向の両方と直交する直交方向において上記支持面と重なる請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記プラテンの支持面に開口が形成されており、
上記開口に吸引圧を付与するポンプをさらに備え、
上記一対のガイド支持面の各々に、上記吸引圧が作用する開口が形成されている請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記第2サイドガイドを上記幅方向に対して固定する固定部材を有する請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記一対のガイド当接面の一方は、上記シートにおける上記幅方向の一方端と当接し、上記一対のガイド支持面の一方と連なり、
上記一対のガイド当接面の他方は、上記シートにおける上記幅方向の他方端と当接し、上記一対のガイド支持面の他方と連なり、
上記第2サイドガイドは、
上記一対のガイド当接面の一方と、上記一対のガイド支持面の一方とを有し、上記幅方向に沿って移動可能な第1ガイド部材と、
上記一対のガイド当接面の他方と、上記一対のガイド支持面の他方とを有し、上記幅方向に沿って移動可能な第2ガイド部材と、
上記第1ガイド部材の移動と上記第2ガイド部材の移動とを連動するラックピニオン機構と、を備える請求項3から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記第1サイドガイドは、
上記シートにおける上記幅方向の一方端と当接し、上記幅方向に沿って移動可能な第3ガイド部材と、
上記シートにおける上記幅方向の他方端と当接し、上記幅方向に沿って移動可能な第4ガイド部材と、を有し、
上記第1ガイド部材と上記第3ガイド部材とを互いに連結し、上記第1ガイド部材の移動と上記第3ガイド部材の移動とを連動させる第1連結部材と、
上記第2ガイド部材と上記第4ガイド部材とを互いに連結し、上記第2ガイド部材の移動と上記第4ガイド部材の移動とを連動させる第2連結部材と、をさらに備える請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記搬送ローラ対よりも上記搬送向きの下流であって、且つ上記第2サイドガイドよりも上記搬送向きの上流に位置し、上記シートの有無により異なる信号を出力するセンサを備える請求項1から7のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置の一例として、特許文献1にはプリンタが記載されている。プリンタでは、ラベル用紙は、記録ヘッドによる印刷位置に向けて搬送経路内で搬送される。搬送経路において印刷位置よりもラベル用紙の搬送向きの上流には、2個のガイド面が設けられている。各ガイド面は、搬送方向および鉛直方向の双方に平行であって、搬送方向に長い外形を有する。両ガイド面よりも搬送向きの下流には、用紙の搬送ローラ対が設けられ、両ガイド面よりも搬送向きの上流には、用紙の繰出しローラ対が設けられる。
【0003】
ラベル用紙を搬送向きの下流に搬送する場合、繰出しローラ対は互いに離間してニップを開放し、搬送ローラ対は互いに当接し合う。両ガイド面は、ラベル用紙の幅方向における両端に当接する。ラベル用紙は、幅方向の両端が両ガイド面に当接しつつ搬送方向に沿って搬送される。これにより、ラベル用紙の斜行が防止される。搬送ローラ対は、両ガイド面でガイドされつつ搬送されてきたラベル用紙をニップし、印刷位置に向けて送り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-60265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ラベル用紙は、搬送ローラ対から印刷位置へと斜行することなく搬送向きに平行に搬送される必要がある。特許文献1では、ラベル用紙は、両ガイド面によりガイドされつつ、搬送ローラ対により引っ張られて搬送される。よって、両ガイド面の間でこれらと直交する搬送面上において、ラベル用紙は、搬送方向に対し斜行することなく搬送される。
【0006】
上記に対し、特許文献1では、搬送ローラ対が印刷位置にラベル用紙を斜行せずに搬送できるように、繰出しローラ対および搬送ローラ対を搬送方向において十分に離して配置し、両ガイド面の各々について搬送方向における長さを長くしていた。その結果、特許文献1のプリンタのサイズは、搬送方向において大型化してしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送方向におけるサイズが大型化しない画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像記録装置は、シートを搬送向きに送る搬送ローラ対と、上記搬送ローラ対より上記搬送向きの下流に位置し、上記シートに画像を記録する記録部と、上記搬送ローラ対より上記搬送向きの上流に位置し、上記シートにおける上記搬送向きと直交する幅方向の両端の少なくとも一方に当接し、上記幅方向に沿って移動可能な第1サイドガイドと、上記搬送ローラ対より上記搬送向きの下流であって、且つ上記記録部より上記搬送向きの上流に位置し、上記シートの両端の少なくとも一方に当接し、上記幅方向に沿って移動可能な第2サイドガイドと、を備える。
【0009】
上記構成により、第2サイドガイドにより、搬送ローラ対よりも搬送向きの下流においてシートが幅方向に位置決めされるので、搬送ローラ対から記録部へ搬送されるシートに斜行が生じ難い。その結果、第1サイドガイドの搬送向きに沿った寸法が小さくなり、画像記録装置が小型化される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像記録装置の搬送向きにおけるサイズが大型化しない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(A)は、画像記録装置100の外観を示す斜視図、(B)は、シート(ラベルロール紙)Sの外観を示す斜視図。
図2図1の線A-A’に沿う画像記録装置100の縦断面を示す模式図。
図3】(A)は、閉位置P11の後筐体カバー112および閉位置P21の前筐体カバー113を示す模式図、(B)は、開位置P12の後筐体カバー112を示す模式図。
図4】開位置P22の前筐体カバー113を示す模式図。
図5】(A)は、ロール支持部13の外観を示す斜視図、(B)は、ロールホルダ133の詳細な構成を示す断面図。
図6図1の線C-C’に沿う画像記録装置100の横断面を示す模式図であり、画像記録装置100の主要部を示す上面図。
図7】(A)は、後サイドガイド15の上面図、(B)は、後サイドガイド15のラックピニオン機構154を示す模式図。
図8】ベルト搬送機構19の斜視図。
図9】画像記録装置100のブロック図。
図10】(A),(B)は、ベルト搬送機構19の背面図および正面図。
図11】(A)は、前サイドガイド21の上面図、(B)は、前サイドガイド21の正面図。
図12】(A)は、図11の線B-B’に沿う前サイドガイド21の縦断面を右方から見た時の断面図、(B)は、冷却ユニット25の横断面図。
図13】変形例に係る画像記録装置100を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る画像記録装置100について詳説する。なお、下記の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0013】
[定義]
以下、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。
【0014】
画像記録装置100が使用可能に設置された状態(図1(A)の状態)を基準として上下方向7が定義される。画像記録装置100において排出口B13が設けられている側を前側として、前後方向8が定義される。画像記録装置100を前方から見て左右方向9が定義される。
【0015】
[画像記録方式、シートS]
図1において、画像記録装置100は、インクジェット記録方式によりシートSに画像を記録する。
【0016】
シートSは、ラベルロール紙であり、シートコア41と、セパレータ42と、複数のラベル43とを有する。シートコア41は、例えば硬質紙管である。セパレータ42は、連続紙の一例であり、シートコア41の周囲に内から外へとロール状に巻かれてロール体をなす。各ラベル43は、内向きR12の主面431に粘着層(図示せず)を有し、これら粘着層により、セパレータ42における外向きR11の主面421に、中心軸AX12の周方向θ12に間隔を開けて仮着されている。各ラベル43において外向きR11の主面432は、画像が記録される記録面でもある。隣り合う2つのラベル43の間には、ミシン目が形成される場合もある。
【0017】
画像記録装置100には、シート幅が相異なる複数種別のシートSが装着可能である。シート幅は、シートSの幅方向9Aにおける両端間の距離である。幅方向9Aは、中心軸AX12が延びる方向である。
【0018】
[画像記録装置100の筐体11]
画像記録装置100は、筐体11を備える。筐体11は、前後に長い略直方体形状であり、卓上、床面またはラックに設置可能なサイズである。筐体11は、底壁11A、上壁11B、前壁11C、後壁11D、右壁11Eおよび左壁11Fを有し、内部空間SP11(図2参照)を外部から区画する。筐体11は、筐体ケース111、後筐体カバー112および前筐体カバー113を含む。
【0019】
筐体ケース111は、後筐体カバー112および前筐体カバー113より下方に位置し、前後に長い略直方体形状である。筐体ケース111は、底壁111A、前壁111C、後壁111D、右壁111Eおよび左壁111Fを有し、内部空間SP11の下部である下空間SP111(図2参照)を外部から区画する。筐体ケース111の上端は、上向きの開口AP111(図2参照)を包囲する周縁である。開口AP111は、下空間SP111の上端である。
【0020】
後筐体カバー112は、左右に長い略直方体形状である。図3において、後筐体カバー112は、閉位置P11および開位置P12の間で、回転軸AX11の周方向θ11に回転可能である。図3(A)に示すように、閉位置P11において、後筐体カバー112は、筐体ケース111の上端に当接し、開口AP111の後部である後開口AP112を閉塞する。図3(B)に示すように、開位置P12において、後筐体カバー112は、筐体ケース111の上端から周方向θ11に離間し、後開口AP112を開放する。以下、特に断り書きがない場合、「後筐体カバー112」という用語は、閉位置P11にある後筐体カバー112を意味する。図3(B)では、前筐体カバー113のアーム113Gの図示が省略されている。
【0021】
図1(A)において、後筐体カバー112は、上壁112B、後壁112Dおよび左壁112Fを有し、内部空間SP11の後上隅の部分である後上空間SP112を外部から区画する。後上空間SP112は、図2に示すように、内部空間SP11において、下空間SP111の後部よりも上方の部分である。図3(A)に示すように、後筐体カバー112の前端および下端は、開放されている。
【0022】
図3(A)、図4において、前筐体カバー113は、閉位置P21および開位置P22の間で、回転軸AX11の周方向θ11に回転可能である。図3(A)に示すように、閉位置P21において、前筐体カバー113は、筐体ケース111の上端に当接し、開口AP111において後開口AP112を除いた部分である前開口AP113を閉塞する。図4に示すように、開位置P22において、前筐体カバー113は、筐体ケース111の上端から離間し、前開口AP113を開放する。以下、特に断り書きがない場合、「前筐体カバー113」という用語は、閉位置P21にある前筐体カバー113を意味する。
【0023】
図1(A)において、前筐体カバー113は、本体として、上壁113B、前壁113C、右壁113E、および左壁113Fを有しており、前上空間SP113を外部から区画する。図2において、前上空間SP113は、後上空間SP112と前方で連続し且つ下空間SP111と上方で連続する空間である。図3(A)に示すように、前筐体カバー113の下端は、開放されている。
【0024】
図1(A)において、前筐体カバー113は、アーム113Gをさらに有する。アーム113Gは、前筐体カバー113の本体の後左隅から後方に延出し、後筐体カバー112の左側を通過し、筐体ケース111の後端に至る。
【0025】
図1において、筐体11の底壁11Aは、筐体ケース111の底壁111Aである。上壁11Bは、上壁112B,113Bからなる。前壁11Cは、前壁111C,113Cからなる。後壁11Dは、後壁111D,112Dを含む。右壁11Eは、右壁111E~113Eからなる。左壁11Fは、左壁111F,113Fを含む。
【0026】
図1(A)において、前壁111Cの上端付近には、排出口B13が形成されている。排出口B13は、左右に細長く且つ前壁111Cを貫通するスリットである。排出口B13からは、画像記録済みのシートSが排出される。
【0027】
前壁113Cには、ユーザにより操作される操作パネル116が位置する。
【0028】
前壁111Cの左端付近には、正面視で略矩形状の開口B12が形成されている。前壁111Cには、開口B12を開閉するための前カバー115が位置する。前カバー115の開閉により、タンク12(図2参照)が露出または遮蔽される。
【0029】
右壁111Eの後端付近には、側面視で略矩形状の開口B11が形成されている。右壁111Eには、開口B11を開閉するための右カバー114が位置する。右カバー114は、前後にスライドすることで開口B11を開閉する。右カバー114の開閉により、ロール支持部13(図2参照)が露出または遮蔽される。
【0030】
[画像記録装置100の内部構成]
図2において、画像記録装置100は、内部空間SP11に、操作パネル116、タンク12、ロール支持部13、テンショナ14、後サイドガイド15、搬送ローラ対16、下ガイド17、センサ18、ベルト搬送機構19、記録ヘッド20、前サイドガイド21、ヒータ22、ヒータカバー23、画像読取部24、冷却ユニット25、およびカッター26を備える。
【0031】
テンショナ14、後サイドガイド15、搬送ローラ対16の駆動ローラ161、下ガイド17、ベルト搬送機構19、ヒータ22、および画像読取部24の白色基準板24Aは、筐体ケース111の左壁111Fおよび右壁111Eに支持されて左右に延びる。
【0032】
搬送ローラ対16のピンチローラ162は、後筐体カバー112の左壁112Fおよび右壁112Eに支持されて左右に延びる。前サイドガイド21は、後筐体カバー112の左壁112Fおよび右壁112Eの間で左右に延びる。
【0033】
画像読取部24のCIS24B、冷却ユニット25およびカッター26は、前筐体カバー113の左壁113Fおよび右壁113Eに支持されて左右に延びる。
【0034】
図9において、画像記録装置100は、モータ27,28、ポンプ29およびコントローラ30をさらに備える。
【0035】
[タンク12]
図2において、タンク12は、底壁111A上において前カバー115の直ぐ後方に位置して、インクを内部に貯留する。タンク12のインクは、インクチューブ(図示せず)を通じて記録ヘッド20に供給される。
【0036】
[ロール支持部13(ロール支持部材の一例)]
下空間SP111において開口B11より左方に、隔壁135により、ロール収容空間SP114が区画される。ロール収容空間SP114は、隔壁135により、記録ヘッド20等から隔離される。隔壁135の後端と、後壁111Dとの間には、右壁111Eから左壁111Fまで至る細長い隙間B14が形成される。隙間B14には、ロール支持部13とテンショナ14との間で搬送されるシートSが通過する。
【0037】
図5において、ロール支持部13は、ロール収容空間SP114に位置し、ロール体をなすシートSを中心軸AX12の周方向θ12に回転可能に支持する。ロール支持部13は、左支持部131、右支持部132、ロールホルダ133、および動力伝達機構134を備えている。
【0038】
左支持部131および右支持部132は、底壁111A上で左右に互いに離れた位置から上方に延出し且つ上下前後に拡がる板状の部材である。
【0039】
ロールホルダ133は、ホルダコア133A、左鍔部133B、右鍔部133Cおよび、ラックアンドピニオンのラックピニオン機構133Dを備える。
【0040】
ホルダコア133Aは、概ね円筒形状を有しており、左支持部131および右支持部132の上端付近間に架け渡される。ホルダコア133Aは、左右方向9に平行な中心軸AX31の周方向θ31に回転可能である。ホルダコア133Aの外周面に、シートコア41(図1(B)参照)の内周面が挿通および嵌入される。
【0041】
左鍔部133Bおよび右鍔部133Cの各々は、中央部に貫通孔が形成された円盤形状を有する。各貫通孔には、ホルダコア133Aが挿通および嵌入される。左鍔部133Bおよび右鍔部133Cは、ホルダコア133Aの外周面において通紙中心C11よりも左方および右方に取り付けられる。通紙中心C11は、ピニオンギヤ133E(図5(B)参照)の中心軸AX32の左右位置を通過し、上下方向7および前後方向8に平行な仮想面である。左鍔部133Bおよび右鍔部133Cは、ホルダコア133Aの外周面に沿って左右に摺動する。
【0042】
図5(B)において、ラックピニオン機構133Dは、ホルダコア133A内に、ピニオンギヤ133E、左ラックギヤ133F、および右ラックギヤ133Gを有しており、左鍔部133Bおよび右鍔部133Cのいずれか一方が左方または右方に移動したことに応じて、いずれか他方を右方または左方に同距離だけ移動させる。左鍔部133Bおよび右鍔部133Cの各々は、ホルダコア133Aに装着されたシートSに幅方向9Aの両側から当接し、通紙中心C11に近づく向き(即ち、内向き)に移動することで、シートSの幅方向9Aにおける中心が左右方向9において通紙中心C11に位置合わせされる。
【0043】
なお、シートSの交換のために、ロール支持部13は、左支持部131および右支持部132から取り外せるように構成される。右鍔部133Cは、ホルダコア133Aから右方に取り外せるように構成される。
【0044】
図5(A)において、動力伝達機構134は、ギヤ等を含み、左支持部131より左方に位置する。動力伝達機構134は、左支持部131および右支持部132間に取り付けられたロールホルダ133と機械的に接続される。動力伝達機構134は、モータ28が発生した動力を、ロールホルダ133に伝達する。これにより、ロールホルダ133は、周方向θ31に回転し、ロール体をなすシートSをシートコア41から繰り出したり、シートコア41に巻き取ったりする。
【0045】
[テンショナ14]
図2において、テンショナ14は、下空間SP111において隙間B14の上方に位置する。テンショナ14は、通紙中心C11(図5(B)参照)に対し左右対称な湾曲面141および上向面142を有する。湾曲面141は、下端から上端に近づくにつれて湾曲し略上方を向く。上向面142は、湾曲面141の上端且つ前端と連続しており、前後左右に拡がる平坦面である。上向面142の上下位置は、排出口B13と概ね同じである。上向面142からは排出口B13に向かってシートSの搬送路200が直線的に延びている。
【0046】
テンショナ14には、ロールホルダ133から引き出されたシートSが掛けられる。シートSは、テンショナ14に沿って湾曲して前方に延びる。テンショナ14は、バネ等の付勢部材により後方に付勢されている。これにより、テンショナ14に掛けられたシートSには、テンションが付与される。
【0047】
[搬送ローラ対16]
図2に示すように、搬送ローラ対16は、内部空間SP11においてテンショナ14から前方に離れて位置する。搬送ローラ対16は、駆動ローラ161とピンチローラ162とを有する。駆動ローラ161およびピンチローラ162は、上向面142と概ね同じ上下位置で当接し合い、テンショナ14から前方に延びるシートSをニップする。駆動ローラ161は、モータ28(図9参照)で生成された動力により、左右方向9に平行な回転軸周りに回転し、ピンチローラ162は、駆動ローラ161に従動して回転する。これにより、搬送ローラ対16は、ロール体から繰り出されたシートSをさらに前方へと搬送し、ロール体に巻き取られるシートSを後方へと搬送する。ピンチローラ162は、左壁112F(図1(A)参照)および右壁112Eに支持されるため、図3に示すように、後筐体カバー112とともに移動する。
【0048】
[後サイドガイド15]
図2図6において、後サイドガイド15は、第1サイドガイドの一例であり、内部空間SP11内でテンショナ14より前方かつ搬送ローラ対16より後方に位置する。図7において、後サイドガイド15は、基台151、左ガイド部材152、右ガイド部材153およびラックピニオン機構154を備えている。
【0049】
基台151は、上下に偏平で左右に細長い箱体である。基台151は、通紙中心C11に対して左右対称で、平面視で略矩形形状の上面151Aを有する。上面151Aは、上向面142(図2参照)と概ね同じ上下位置を有し、搬送路200の下側を区画する。
【0050】
左ガイド部材152は、上面151Aにおいて通紙中心C11よりも左方の位置で、左右方向9に移動可能に取り付けられる。左ガイド部材152は、正面視でL字形状であり、上向面152Aおよび右向面152Bを有する。上向面152Aは、上面151Aと概ね面一である。面一は、段差無く平行であることを意味する。右向面152Bは、下端において上向面152Aの左端と繋がり、上向面152Aの左端から上方に延出する。右向面152Bは、前後に細長い形状を有する。
【0051】
右ガイド部材153は、上向面153Aおよび左向面153Bを有しており、通紙中心C11に対し左ガイド部材152と左右対称な形状である。
【0052】
図7(B)において、ラックピニオン機構154は、ピニオンギヤ154A、左ラックギヤ154B、右ラックギヤ154Cを有しており、左ガイド部材152および右ガイド部材153のいずれか一方が左方または右方に移動したことに応じて、いずれか他方を右方または左方に同距離だけ移動させる。左ガイド部材152および右ガイド部材153の各々は、双方の間を通るシートSに幅方向9Aの両側から当接する。これにより、シートSの幅方向9Aにおける中心が、左右方向9において、ピニオンギヤ154Aの中心軸AX41に位置合わせされる。中心軸AX41の左右位置は、通紙中心C11と同じであり、通紙中心C11に平行である。
【0053】
[下ガイド17、センサ18]
図2図6において、下ガイド17は、樹脂製であり、内部空間SP11において搬送ローラ対16より前方に位置し、ベルト搬送機構19や前サイドガイド21よりも後方に位置する。下ガイド17は、上面を有する。下ガイド17の上面は、通紙中心C11(図5(B)参照)を基準として左右対称で且つ平面視で略矩形の外形形状を有し、上向面142と概ね同じ上下位置に位置する。
【0054】
下ガイド17の上面において通紙中心C11付近の左右位置には下方へと凹む凹部が形成されている。下ガイド17の凹部には、センサ18が下ガイド17の上面より突出しないように配置される。センサ18は、発光素子および受光素子を有している。センサ18において、発光素子は、上方に向かって光を出射する。センサ18において、受光素子は、発光素子に近接する位置で上方の向く受光面を有しており、受光面への入射光量に応じてレベルが異なる信号をコントローラ30に出力する。
【0055】
[ベルト搬送機構19]
図2図6に示すように、ベルト搬送機構19は、前後方向8において、下ガイド17よりも前方であってヒータ22より後方に位置する。ベルト搬送機構19は、上下方向7において上向面142より僅かに下方に位置する。図8において、ベルト搬送機構19は、後プーリ191A、前プーリ191B、無端ベルト192と、左後ローラ193A、右後ローラ193Bと、左前ローラ194A,右前ローラ194Bと、ピンチローラ195と、複数の当接部材196と、吸着プラテン197と、を備える。ベルト搬送機構19は、図9に示されるように、ポンプ29をさらに備える。
【0056】
[後プーリ191A,前プーリ191B]
図8において、後プーリ191Aおよび前プーリ191Bの各々は、通紙中心C11(図5(B)参照)を基準として左右対称な形状を有する。
【0057】
図2において、後プーリ191Aは、下ガイド17より若干前方に位置する。図10(A)に示すように、後プーリ191Aの軸孔からは後軸1911が左方および右方に真直ぐに延出する。後軸1911の右端は、右壁111Eに設けられた右軸受1913Aに、その左端は、左壁111Fに設けられた左軸受1913Bにより支持される。後軸1911は、左右方向9に平行な回転軸AX51の周方向θ51に回転可能である。
【0058】
図2において、前プーリ191Bは、後プーリ191Aより前方で、ヒータ22(図2参照)より後方に位置する。図10(B)に示すように、前プーリ191Bの軸孔からは、前軸1914が左方および右方に真直ぐに延出する。前軸1914の右端は、右壁111Eに設けられた右軸受1915Aに、その左端は、左壁111Fに設けられた軸受1915Bにより支持される。前軸1914は、左右方向9に平行な回転軸AX52の周方向θ52に回転可能である。
【0059】
図9に示されるように、前プーリ191Bには、モータ27で生成された動力が前軸1914を介して伝達される。前プーリ191Bは、伝達された動力により周方向θ52に回転する。画像記録装置100では、シートSは、ロール体から繰り出される場合、上向面142から搬送路200において前向きに搬送される。この時、前プーリ191Bは、正転、即ち、左方から見て時計回りに回転する。
【0060】
図10(A)において、後プーリ191Aは、無端ベルト192が係合する後係合部1917Aを有する。図10(B)において、前プーリ191Bは、無端ベルト192が係合する前係合部1917Bを有する。後係合部1917Aおよび前係合部1917Bの左右中心は、通紙中心C11の左右位置と略同じである。後係合部1917Aおよび前係合部1917Bの上端の上下位置は、互いに同じである。
【0061】
[無端ベルト192]
図2において、無端ベルト192は、後プーリ191Aおよび前プーリ191Bに巻き掛けられ、これらの上端間で延びる上端面1921を有している。上端面1921は、前後左右に拡がっており、平面視で前後に細長い矩形である。上端面1921は、前プーリ191Bの正転により、後係合部1917Aおよび前係合部1917Bの上端間で前後方向8に沿って移動する。
【0062】
[左後ローラ193A,右後ローラ193B]
図10(A)において、左後ローラ193Aおよび右後ローラ193Bの各々は、ローラ芯をゴム等の弾性材料で被覆したゴムローラ等である。左後ローラ193Aおよび右後ローラ193Bの各々は、後プーリ191Aの左隣りおよび右隣りにそれぞれ位置して、後軸1911に取り付けられている。左後ローラ193Aおよび右後ローラ193Bは、通紙中心C11を基準として互いに左右対称な形状である。左後ローラ193Aおよび右後ローラ193Bの上端の上下位置は、上端面1921より下方である。左後ローラ193Aの左端と、右後ローラ193Bの右端との間の左右距離は、最大シート幅より長い。
【0063】
[左前ローラ194A,右前ローラ194B]
図10(B)において、左前ローラ194Aおよび右前ローラ194Bの各々は、左後ローラ193Aと同様にゴムローラ等である。左前ローラ194Aおよび右前ローラ194Bは、前プーリ191Bの左隣りおよび右隣りにそれぞれ位置して、前軸1914に取り付けられている。左前ローラ194Aおよび右前ローラ194Bは、通紙中心C11を基準として互いに左右対称な形状である。左前ローラ194Aの左端と、右前ローラ194Bの右端との左右距離は、最大シート幅より長い。
【0064】
[ピンチローラ195]
図10(A)において、ピンチローラ195は、ゴムローラ等である。ピンチローラ195の右端および左端からは、軸1951が右方および左方にそれぞれ突出する。軸1951の右端は、右壁111Eに設けられた右軸受1953Aに、その左端は、左壁111Fに設けられた左軸受1953Bにより支持される。軸1951は、左右方向9に平行な回転軸AX53の周方向θ53に回転可能である。
【0065】
ピンチローラ195は、後プーリ191A、左後ローラ193Aおよび右後ローラ193Bの直上で左右に延びている。ピンチローラ195の左右両端間の距離は、左後ローラ193Aの左端と、右後ローラ193Bの右端との間の左右距離と概ね同じである。
【0066】
ピンチローラ195は、左右方向9において外径寸法が異なる。詳細には、ピンチローラ195は、左後ローラ193Aおよび右後ローラ193Bに上方から当接する。一方、ピンチローラ195は、中央部において無端ベルト192の上端面1921からは上方に離間し、上端面1921とは非接触である。
【0067】
[複数の当接部材196]
図10(B)において、複数の当接部材196の各々は、拍車であり、拍車ホルダ1961により左右方向9に平行な回転軸の周方向に回転可能に支持される。複数の当接部材196は、間隔をあけて左右に一列に並んでいる。本実施形態では、当接部材196は5個設けられている。左側の2個の当接部材196は、左前ローラ194Aに直上から当接している。右側の2個の当接部材196は、右前ローラ194Bに直上から当接している。中央の当接部材196は、無端ベルト192の前端付近に直上から当接している。各当接部材196は、無端ベルト192、左前ローラ194Aおよび右前ローラ194Bの回転に従動して回転する。
【0068】
[吸着プラテン197]
図8において、吸着プラテン197は、前後方向8において、後プーリ191Aおよび前プーリ191Bの間に位置する。吸着プラテン197は、無端ベルト192の左隣りおよび右隣りに左側部197Aおよび右側部197Bをそれぞれ有している。
【0069】
図8図9において、左側部197Aは、底壁1971Aと、後壁1972Aと、複数の隔壁1973Aと、を有している。本実施形態では、後壁1972Aは6個であり、隔壁1973Aは7個であるが、図8においては、3個の隔壁にのみ参照符号「1973A」が付され、2個の後壁にのみ参照符号「1972A」が付されている。図9では、一部の後壁1972Aおよび隔壁1973Aの図示は省略されている。
【0070】
図9において、底壁1971Aは、上方からの平面視で矩形であり、前後方向8および左右方向9に拡がっている。底壁1971Aは、上下方向7において上端面1921より下方に位置し、左右方向9において上端面1921より左方に位置する。底壁1871の後端は、左後ローラ193A,右後ローラ193Bから若干前方に離れて位置する。底壁1971Aの前端は、左前ローラ194A,右前ローラ194Bから若干後方に離れて位置する。
【0071】
図8図9において、後壁1972Aは、底壁1971Aの後端付近から上方へと延出しており、上下左右に拡がっている。後壁1972の上端の上下位置は、左右方向9の全域に亘って上端面1921の上下位置よりも下方である。
【0072】
各隔壁1973Aは、左右に薄く且つ前後に長い平板形状であり、底壁1971A上で互いに異なる左右位置から上方へと延出する。各隔壁1973Aの上端は、前後方向8の全域に亘って上端面1921より下方に位置し、上端面1921の左側にてシートSの左支持面1976Aをなしている。左支持面1976Aの上下位置は、上端面1921より下方である。
【0073】
隣り合う2つの隔壁1973Aは、底壁1971Aおよび後壁1972Aとともに空気の左流路1974Aを形成する。各左流路1974Aは、シートSが吸着プラテン197上に無い状態で前方および上方のそれぞれを向く開口になっている。
【0074】
底壁1971Aにおいて、各左流路1974Aの後端付近には、上向きの開口である左吸込口1975Aが形成されている。
【0075】
右側部197Bは、底壁1971B、後壁1972B、複数の隔壁1973B、複数の右流路1974B、複数の右吸込口1975Bおよび右支持面1976Bを有している。底壁1971B、後壁1972B、複数の隔壁1973B、複数の右流路1974B、複数の右吸込口1975Bおよび右支持面1976Bは、通紙中心C11を基準として、底壁1971A、後壁1972A、複数の隔壁1973A、複数の左流路1974A、複数の左吸込口1975Aおよび左支持面1976Aと対称な形状をそれぞれ有する。そのため、右側部197Bの詳説を控える。
【0076】
[モータ27,ポンプ29,コントローラ30]
図9において、モータ27は、コントローラ30の制御下で前プーリ191Bおよび駆動ローラ161を回転させるための動力を発生する。この動力は、ギヤ等を通じて、前軸1914に伝達される。前軸1914は、この動力により、周方向θ52に回転する。
【0077】
ポンプ29は、配管291を介して、各左吸込口1975Aおよび各右吸込口1975Bと連通する。ポンプ29は、コントローラ30の制御下で駆動され、各左吸込口1975Aから各左流路1974A内の空気を、各右吸込口1975Bから右流路1974B内の空気を吸引する。
【0078】
[コントローラ30]
コントローラ30は、内部バスなどで相互に接続されたCPU、ROM、RAM、EEPROM、およびASICを備えており、画像記録装置100の各部を制御する。
【0079】
[記録ヘッド20]
図2図6において、記録ヘッド20は、記録部の一例であり、ラインヘッドやシリアルヘッドである。記録ヘッド20は、無端ベルト192の上端面1921や吸着プラテン197の上端と上方において対向している。記録ヘッド20は、前後方向8において、吸着プラテン197における後壁1972A,1972Bより前方に離れ且つ吸着プラテン197における前端より後方に離れた位置で、吸着プラテン197を左右に横切るように配置される。
【0080】
記録ヘッド20は、平面視で略矩形形状の下面をノズル面201として有している。ノズル面201には、複数のノズル202が前後左右に配列されている。記録ヘッド20は、タンク12(図2参照)から供給されるインクを内部のインク室に貯留している。記録ヘッド20は、コントローラ30の制御下で、インク室に貯留されたインクを、記録ヘッド20の直下で搬送されるシートSにおけるラベル43に向けて吐出する。その結果、インク室内のインクが消費される。インクの消費に応じて、タンク12からインク室へとインクが供給される。
【0081】
[前サイドガイド21]
図2図6において、前サイドガイド21は、第2サイドガイドの一例であり、内部空間SP11内で、搬送ローラ対16より前方かつ記録ヘッド20より後方に位置する。前サイドガイド21は、上下方向7において、吸着プラテン197の左支持面1976Aおよび右支持面1976Bより上方に位置する。図11図12において、前サイドガイド21は、基台211、ガイドレール212、左ガイドユニット213、右ガイドユニット214および前ラックピニオン機構215を備えている。
【0082】
[基台211,ガイドレール212]
図11図12(A)において、基台211は、上下方向7に薄く且つ左右方向9に細長い略直方体形状である。基台211は、ピンチローラ195の直上に若干離れて位置する。基台211は、自身の左右両端で左壁111Fおよび右壁111Eに、ネジ等の締結部材により固定されている。図12(A)に示すように、基台211は、上壁211A、下壁211B、前壁211Cおよび後壁211Dにより、内部空間SP211を外部から区画する。図11図12(A)において、前壁211Cには、左前貫通孔211Eが形成されている。左前貫通孔211Eは、正面視で左右に細長い矩形形状であり、前壁211Cを前後に貫通する。後壁211Dにおいて、左前貫通孔211Eの後方にて対向する位置には、右後貫通孔211Fが形成されている。右後貫通孔211Fは、後壁211Dを前後に貫通する。
【0083】
図11図12(A)において、ガイドレール212は、左右方向9に細長い円柱形状である。ガイドレール212は、基台211より後方斜め下方に位置する。ガイドレール212は、自身の左右両端で左壁111Fおよび右壁111Eに固定されている。
【0084】
[左ガイドユニット213]
左ガイドユニット213は、左本体213A、左後アーム213B、左下突出部213C、左前アーム213D、左ガイド部材213E、および左ネジ213Fを有している。
【0085】
左本体213Aは、大略的には、左右方向9に偏平な立体形状を有する。詳細には、左本体213Aの左右寸法は、基台211の左右寸法より遥かに小さい。左本体213Aの前後寸法は、基台211の前後寸法より若干大きい。左本体213Aは、基台211の上壁211Aに左右方向9に移動可能に載置される。
【0086】
図12(A)において、左後アーム213Bは、左本体213Aの後端から後方斜め下方に延出しガイドレール212に到達する。左後アーム213Bの延出端付近には、左右方向9に貫通する左後貫通孔213Gが形成されている。左後貫通孔213Gには、ガイドレール212が挿通および嵌入される。
【0087】
左下突出部213Cは、左本体213Aの下端から前方に突出し、左本体213Aとともに基台211を挟む。これにより、左ガイドユニット213は、基台211に対して左右方向9に移動可能となる。
【0088】
左前アーム213Dは、左本体213Aの前端から前方斜め下方に延出して、左支持面1976Aの左後隅の直上に到達する。左前アーム213Dの延出端には、左下向面213Hが形成されている。左下向面213Hは、前後左右に拡がり且つ下方を向く面である。左支持面1976Aの左後隅は、詳細には、前後方向8において左支持面1976Aの後端よりも若干前方且つ左右方向9において左支持面1976Aの左端よりも若干右方である。
【0089】
左ガイド部材213Eは、板金製であり、正面視でL字型の形状を有している。左ガイド部材213Eは、左下向面213Hに取り付けられており、左支持面1976Aの左後隅の直上に位置する。即ち、左ガイド部材213Eは、上下方向7(直交方向の一例)において左支持面1976Aの左後隅と重なっている。左ガイド部材213Eは、左内向面213Iと、左上向面213Jと、を有している。左内向面213Iは、一対のガイド当接面の一方の一例であって、左下向面213Hの左端から下方に延出し、且つ左下向面213Hおよび左上向面213Jの間で前後上下に拡がる右向きの平坦面である。左上向面213Jは、一対のガイド支持面の一方の一例であって、左内向面213Iの下端から右方に延出する上向きの面である。以下、左内向面213Iおよび左上向面213Jが左下向面213Hとともに区画する空間を、左ガイド空間とも称す。
【0090】
図12(A)において、左下向面213Hおよび左上向面213Jの間の上下間隔は、後端寄りの部分を除き、最大のシート厚さより若干広く且つ前後方向8において略一定である一方、後端寄りの部分では、後端に近づくほど拡がるテーパー形状になっている。
【0091】
左ガイド部材213Eには、左上向面213Jから左ガイド部材213Eの下端へと上下に貫通する左貫通孔213Lが複数形成されている。
【0092】
左本体213Aには、基台211の上壁211Aの真上で、左本体213Aを上下方向7に貫通する左ネジ穴213Kが形成されている。左ネジ213Fは、左ネジ穴213Kに螺合するネジ部を有する。左ネジ213Fの頭部を回転させることで、左ネジ213Fの下端が左ネジ穴213Kより下方に突出し、上壁211Aに突き当たる。これにより、左ガイドユニット213は、基台211に対して位置決められる。
【0093】
[右ガイドユニット214]
図11において、右ガイドユニット214は、構成各部として、右本体214A、右後アーム214B、左下突出部214C、右前アーム214D、右ガイド部材214E、および右ネジ214Fを有している。右本体214A、右後アーム214B、左下突出部214C、右前アーム214D、右ガイド部材214E、および右ネジ214Fは、通紙中心C11を基準として、左本体213A、左後アーム213B、左下突出部213C、左前アーム213D、左ガイド部材213E、および左ネジ213Fと左右対称である。そのため、右ガイドユニット214の構成各部の詳細な説明を控える。右後アーム214Bは、延出端付近に、ガイドレール212が嵌入する右後貫通孔214Gを有する。右前アーム214Dは、延出端に右下向面214Hを有する。右ガイド部材214Eは、右内向面214Iと、右上向面214Jと、を有している。右内向面214Iは、一対のガイド当接面の他方の一例であって、右上向面214Jは、一対のガイド支持面の他方の一例である。右内向面214Iおよび右上向面214Jは、右下向面214Hとともに右ガイド空間を区画する。右本体214Aには、基台211の上壁211Aの真上で、右本体214Aを上下方向7に貫通する右ネジ穴214Kが形成されている。右ネジ穴214Kには、右ネジ214Fが螺合する。
【0094】
[前ラックピニオン機構215]
図12(A)において、前ラックピニオン機構215は、ピニオンギヤ215A、左前ラックギヤ215B、右前ラックギヤ215Cを有している。ピニオンギヤ215Aは、基台211内で、前後左右の両方向における中央部に位置する。ピニオンギヤ215Aは、前後方向8において、左前貫通孔211Eの右端および右後貫通孔211Fの左端の間に位置し、上下方向7において、左前貫通孔211Eおよび右後貫通孔211Fと概ね同じ位置に配置される。ピニオンギヤ215Aは、上下方向7に沿って延びる回転軸AX61を有しており、回転軸AX61の周方向θ61に回転可能である。左前ラックギヤ215Bおよび右前ラックギヤ215Cは、基台211内で、ピニオンギヤ215Aに噛合し、左右方向9に延びている点で共通である。左前ラックギヤ215Bは、左ガイドユニット213の左本体213Aの前端付近から右方に、基台211の前壁211Cに沿って延びている。左前ラックギヤ215Bは、自身の後向面に形成されたギヤを有しており、左前貫通孔211Eを介して、ピニオンギヤ215Aに噛合している。右前ラックギヤ215Cは、左前ラックギヤ215Bと周方向θ61に180°回転対称な形状を有しており、右ガイドユニット214の右本体214Aの前端付近から左方に、基台211の後壁211Dに沿って延びている。右前ラックギヤ215Cは、自身の前向面に形成されたギヤを有しており、右後貫通孔211Fを介して、ピニオンギヤ215Aに噛合している。
【0095】
前ラックピニオン機構215は、左ガイドユニット213および右ガイドユニット214のいずれか一方が左方または右方に移動したことに応じて、左ガイドユニット213および右ガイドユニット214のいずれか他方を右方または左方に同距離だけ移動させる。これにより、左内向面213Iおよび右内向面214Iは、通紙中心C11から互いに等距離となるように位置決めされる。
【0096】
[画像記録装置100のその他構成]
図2において、ヒータ22は、無端ベルト192より前方の位置で右壁111Eおよび左壁111Fの間で左右方向9に延びている。ヒータ22は、上下方向7において上向面142と概ね同じ位置で前後左右に拡がる当接面22Aを有している。ヒータ22は、コントローラ30の制御下で発熱し、当接面22A上を通過するシートSに当接面22Aを通じて熱を与える。これにより、シートS上に吐出されたインクが乾燥する。即ち、画像がシートSに定着する。
【0097】
ヒータカバー23は、当接面22Aより上方に僅かに離れた位置で、当接面22Aと対向する対向面23Aを有している。対向面23Aは、発熱する当接面22Aを覆うことで、ユーザが当接面22Aに触れることを防止する。
【0098】
当接面22Aおよび対向面23Aは、シートSの搬送路200を区画する。
【0099】
画像読取部24は、ヒータ22より前方に位置し、白色基準板24AおよびCIS24Bを有している。白色基準板24Aは、平面視で左右方向9に細長い矩形形状を有している。白色基準板24Aは、自身の左右両端で右壁111Eおよび左壁111Fに固定されており、これらの間で前後左右に拡がっている。白色基準板24Aは、上下方向7において上向面142と概ね同じ位置に支持面24Cを有する。白色基準板24Aは、支持面24CにおいてシートSを支持する。CIS24Bは、左右方向9に細長い接触イメージセンサである。CIS24Bは、自身の左右両端で前筐体カバー113の右壁113Eおよび左壁113Fに固定されている。CIS24Bは、LEDなどの光源から光を出射する。CIS24Bにおいて、白色基準板24A上のシートSで反射された反射光は、屈折率分布型レンズによりラインセンサに集光される。ラインセンサは、入射光の光量に応じた電気信号をコントローラ30に出力する。このように、CIS24Bは、シートSのラベル43に記録された画像を読み取る。
【0100】
CIS24Bは、左壁113Fおよび右壁113Eにより支持されるため、図4に示すように、前筐体カバー113とともに回動し、白色基準板24Aから離間または白色基準板24Aに近接する。
【0101】
図2において、冷却ユニット25は、ヒータカバー23および画像読取部24の上方に位置する。図12(B)において、冷却ユニット25は、左右方向9に細長い略直方体形状を有しており、自身の左右両端で右壁113Eおよび左壁113Fに固定されている。右壁113Eには、吸気口B15が設けられ、左壁113Fには排気口B21が設けられている。前筐体カバー113には、吸気口B15から排気口B21に至る流路(矢印参照)を区画するダクト25Aが設けられている。ダクト25Aには、吸込ファン25Bおよび排気ファン25Cが設けられている。吸込ファン25Bは、コントローラ30による制御下で回転して、筐体11の外気を吸気口B15からダクト25Aに取り込む。吸込ファン25Bは、図2に示すように、回転することで気流を、ダクト25Aの下方に位置する画像読取部24のCIS24Bに送る。図12(B)において、排気ファン25Cは、ダクト25Aにより区画される流路において排気口B21の直ぐ上流に位置する。排気ファン25Cは、コントローラ30による制御下で回転して、CIS24B周辺の空気をヒータ22およびヒータカバー23の間に導く(図2参照)。排気ファン25Cは、この空気をダクト25Aに再び取り込み、排気口B21から筐体11外に排出する。
【0102】
カッター26は、画像読取部24より前方に位置する。カッター26は、コントローラ30の制御下で、搬送路200内で搬送されるシートSを左右方向9に沿って切断する。切断されたシートSは排出口B13から筐体11の外部へと排出される。
【0103】
[画像記録装置100の動作]
画像記録装置100によりシートSに画像を記録させるために、ユーザは、シートSを画像記録装置100にセットする。シートSのセットにおいて、ユーザはまず、右カバー114(図1参照)を開けて、シートSをロール支持部13に装着する(図5参照)。これにより、シートSの幅方向9Aは、上下方向7および前後方向8に対して直交し、左右方向9に対し平行になる。
【0104】
次に、ユーザは、後筐体カバー112を閉位置P11(図3(A)参照)から開位置P12(図3(B)参照)に移動させ、図3(B)に示すように、テンショナ14、後サイドガイド15、駆動ローラ161、下ガイド17、センサ18、および前サイドガイド21を後開口AP112から露出させる。
【0105】
次に、ユーザは、ロール支持部13に装着されたシートSの先端をロール体から引き出して、隙間B14(図2参照)を通過させる。その後、ユーザは、シートSを、テンショナ14に巻き掛けた後、左ガイド部材152および右ガイド部材153(図7(A)参照)の間に通過させる。ユーザはさらに、左ガイド部材152および右ガイド部材153の少なくとも一方を左方または右方に移動させて、シートSの幅方向9Aにおける中心を通紙中心C11の左右位置に合わせる(図5参照)。その後、ユーザは、シートSの先端付近を駆動ローラ161(図3(B)参照)の上端に当接させる。
【0106】
ユーザは、必要な場合、左ネジ213Fおよび右ネジ214F(図11参照)を緩めた後、左ガイド部材213Eおよび右ガイド部材214Eの少なくとも一方を左方または右方に移動させて、前ラックピニオン機構215により、左内向面213Iの左右位置をシートSの左端が通過する位置に、右内向面214Iの左右位置をシートSの右端が通過する位置に合わせる。この位置合わせの後、ユーザは、左ネジ213Fおよび右ネジ214F(図11参照)を締めて、左ガイド部材213Eおよび右ガイド部材214Eの基台211上での左右位置を固定する。即ち、左ネジ213Fおよび右ネジ214Fは、固定部材の一例として、左ガイド部材213Eおよび右ガイド部材214EをシートSの幅方向9A(図1(B)参照)に対して固定する。
【0107】
次に、ユーザは、後筐体カバー112を閉位置P11に戻し、右カバー114を閉じる。これにより、シートSのセットが完了する。
【0108】
シートSのセット完了後、画像記録装置100において、コントローラ30(図9参照)は、ユーザによる操作パネル116の操作に応じて、ポンプ29に制御信号を出力してポンプ29を駆動させ始める。これにより、ポンプ29は、各左吸込口1975Aおよび各右吸込口1975Bに吸引圧を付与し、これらの周囲の空気を各左吸込口1975Aおよび各右吸込口1975Bから吸い込み始める。
【0109】
次に、コントローラ30は、頭出し処理を実行する。頭出し処理において、コントローラ30は、モータ27に制御信号を出力して、駆動ローラ161および前プーリ191Bを正転させる。コントローラ30はさらに、モータ28に制御信号を出力して、ロールホルダ133を正転させる。駆動ローラ161および前プーリ191Bの線速と、ロールホルダ133の線速とは適宜適切に設定される。搬送ローラ対16は、搬送ローラ対の一例であり、正転することにより、シートSの先端付近をニップし、シートSを前方へと搬送し始める。ロールホルダ133は、正転することにより、シートSをロール体から繰り出し始める。後サイドガイド15は、第1サイドガイドの一例として、搬送ローラ対16より後方の位置(搬送向きの上流の一例)で、ロールホルダ133からテンショナ14を介して搬送されてくるシートSの幅方向9Aの両端に当接し、シートSの左右位置を規制する。上記の結果、シートSは、搬送路200において前向き(搬送向きの一例)に搬送され始め、シートSの先端は、やがてセンサ18(図2参照)の直上を後方から前方へ通り過ぎる。センサ18は、自身の受光面の上方にシートSが存在する時、電圧値が閾値より高いハイレベル信号をコントローラ30に出力し、自身の受光面の上方にシートSが存在しない時、電圧値が閾値以下であるローレベル信号をコントローラ30に出力する。コントローラ30は、センサ18からの信号がローレベルからハイレベルに遷移したことに応じて、シートSの先端がセンサ18の上方に到達したとみなして、モータ27,28への制御信号の出力を停止する。これにより、シートSの先端がセンサ18の直上で停止し、頭出し処理が終了する。
【0110】
コントローラ30は、画像記録装置100と通信可能な情報処理装置(例えばPC)から、シートSに記録される画像を示す印刷データを受信すると、画像記録制御を実行する。画像記録制御において、コントローラ30は、モータ27に制御信号を出力して、駆動ローラ161および前プーリ191Bを正転させる。コントローラ30はさらに、モータ28に制御信号を出力して、ロールホルダ133を正転させる。駆動ローラ161および前プーリ191Bの線速と、ロールホルダ133の線速とは適宜適切に設定される。これにより、搬送ローラ対16は、センサ18の直上位置からシートSを前方へと搬送し始める。ロールホルダ133は、シートSをロール体から繰り出す。
【0111】
シートSの搬送開始後、シートSの先端中央は、無端ベルト192(図8参照)の後端に当接する。シートSの先端中央より左方および右方は、左後ローラ193Aおよび右後ローラ193Bと、ピンチローラ195とによりニップされる。上端面1921は、左支持面1976Aおよび右支持面1976Bより高い摩擦係数を有し、シートSを摩擦搬送する。左後ローラ193Aおよび右後ローラ193Bは、ピンチローラ195とともに、シートSをニップ搬送する。これにより、シートSの先端は、搬送路200において、左後ローラ193Aおよび右後ローラ193Bよりさらに前方へと前サイドガイド21(図11参照)に向かって搬送される。
【0112】
シートSの先端の左端付近は、前述の左ガイド空間、即ち、左下向面213H、左上向面213Jおよび左内向面213I(図12(A)参照)で区画される空間の後端へと送り込まれる。シートSの先端の右端付近は、前述の右ガイド空間の後端へと送り込まれる。前述の通り、左ガイド空間および右ガイド空間において上下間隔は、前端寄りの部分の方が相対的に狭いため、シートSが左ガイド空間および右ガイド空間内で前端の方へ搬送されるほど、シートSの姿勢は前後左右に平行に近くなり安定する。また、左内向面213Iおよび右内向面214IがシートSの左右位置を規制する。このように、前サイドガイド21は、第2サイドガイドの一例として、前後方向8において、搬送ローラ対16より前方且つ記録ヘッド20より後方の位置でシートSの左右両端に当接する。シートSは、前後方向8に対して傾斜することなく前後左右に平行に前サイドガイド21から送り出される。即ち、前サイドガイド21により、シートSの斜行が生じにくくなる。
【0113】
また、シートSが前述の左ガイド空間内および右ガイド空間内で搬送されている間も、ポンプ29は駆動されている。ポンプ29の駆動により、各左吸込口1975Aおよび各右吸込口1975B(図9参照)から空気が吸い込まれているため、シートSと、左上向面213Jおよび右上向面214J(図11(B)参照)との間の空気は、左貫通孔213L(図11図12参照)および右貫通孔214L(図11参照)を通じて、左吸込口1975Aおよび右吸込口1975B(図9参照)の方へと流れる。これにより、シートSは、左上向面213Jおよび右上向面214Jに吸着されつつ前方へと搬送される。これにより、シートSの姿勢が前後左右に平行にさらに近くなり安定する。
【0114】
以上の通り、前サイドガイド21の左ガイド空間および右ガイド空間では、シートSの姿勢が安定するため、シートSの斜行は発生しないか、シートSに発生した斜行は、左下向面213H、左上向面213Jおよび左内向面213Iや右下向面214H、右上向面214Jおよび右内向面214Iにより矯正される。その後、シートSは、左ガイド空間および右ガイド空間の各前端から、吸着プラテン197の左支持面1976Aおよび右支持面1976Bへと送り出される。
【0115】
シートSは、吸着プラテン197へと送り出された後、上端面1921、左支持面1976Aおよび右支持面1976Bに当接しつつ前方へと搬送される。シートSは、搬送中、左流路1974Aおよび右流路1974Bの各上端を塞いでいる。この状態でポンプ29が駆動されるため、各左流路1974Aおよび各右流路1974Bには、各々の前端から各左吸込口1975Aおよび各右吸込口1975Bへと向かう気流が発生する。その結果、各左流路1974Aおよび各右流路1974B内の気圧は、シートSの上方よりも低下し、シートSは、左支持面1976Aおよび右支持面1976Bに吸着される。なお、左支持面1976Aおよび右支持面1976Bの摩擦係数を上端面1921より小さくするなどして、シートSが左支持面1976Aおよび右支持面1976Bに沿って前方へと滑動するよう構成される。
【0116】
シートSの先端は、無端ベルト192による摩擦搬送と、左後ローラ193Aおよび右後ローラ193Bのニップ搬送とにより、搬送路200における上端面1921および左支持面1976Aおよび右支持面1976B上で前方へと搬送される。その後、シートSの先端は、左前ローラ194Aおよび右前ローラ194Bと、複数の当接部材196とによりニップされる。そして、無端ベルト192による摩擦搬送と、左前ローラ194Aおよび右前ローラ194Bのニップ搬送とにより、シートSは、先端からベルト搬送機構19より順次前方へと送り出される。
【0117】
シートSが前後方向8において左後ローラ193Aおよび右後ローラ193Bと、左前ローラ194Aおよび右前ローラ194Bとの間で搬送されている間、コントローラ30は、印刷データに基づいて、記録ヘッド20の各ノズル202からインクを吐出させる。これにより、記録ヘッド20は、記録部の一例として、搬送ローラ対16より前方の位置(搬送向きの下流の一例)で、シートSの各ラベル43に画像を記録する。
【0118】
[画像記録装置100の作用効果]
実施形態によれば、図6等に示すように、画像記録装置100が前サイドガイド21を備えるため、搬送ローラ対16および記録ヘッド20の間、より具体的には記録ヘッド20の直ぐ後方(即ち、搬送向きの直ぐ上流)で、シートSに斜行が生じないようにシートSがガイドされる。よって、記録ヘッド20の直下においてシートSに斜行が生じ難い。これにより、搬送ローラ対16よりも後方(即ち、搬送向きの上流)に位置する後サイドガイド15の前後方向8における寸法を短くできる。これによって画像記録装置100の前後サイズが小型化される。
【0119】
搬送ローラ対16により前方へ搬送されるシートSには、ロール体の回転や重量等により後方への抵抗が生じる。この抵抗は、シートSの幅方向9Aにおいて一定でなく分布している。このような抵抗により、シートSには搬送路200において斜行が発生する。また、連続紙であるシートSが一旦斜行してしまうと、搬送路200の特定位置におけるシートSの両端位置は、シートSが搬送されるほど左右に累積的にずれていく。しかし、本実施形態では、後サイドガイド15および前サイドガイド21により搬送路200における複数箇所で斜行の発生を防止しているため、連続紙であるシートSに斜行が発生し難い。
【0120】
実施形態では、左内向面213Iおよび左上向面213Jは、上下方向7において左支持面1976Aよりも記録ヘッド20の近くに位置し、上下方向7からの平面視で、左支持面1976Aに重なっている。即ち、左内向面213Iおよび左上向面213Jは、前後方向8において左支持面1976Aの後端より前方に位置する。右内向面214Iおよび右上向面214Jは、上下方向7において右支持面1976Bよりも記録ヘッド20の近くの位置で、上下方向7において右支持面1976Bに重なっている。これにより、左ガイド空間および右ガイド空間の前端から左支持面1976Aおよび右支持面1976Bまでの距離が短くなる。これにより、左ガイド空間および右ガイド空間の前端から左支持面1976Aおよび右支持面1976Bまでの間でシートSが斜行し難く且つ画像記録装置100の前後サイズを小型化できる。
【0121】
実施形態では、前述の通り、ポンプ29の駆動により、左ガイド空間および右ガイド空間におけるシートSと、左上向面213Jおよび右上向面214J(図11(B)参照)との間の空気は、左貫通孔213L(図11図12参照)および右貫通孔214L(図11参照)から下方へ流出する。これにより、シートSが左上向面213Jおよび右上向面214Jに吸着されるので、シートSの姿勢がより安定する。
【0122】
実施形態では、左ガイド部材213Eおよび右ガイド部材214Eは、左ネジ213Fおよび右ネジ214Fにより固定され、左右に位置ずれしない。これにより、シートSが搬送ローラ対16から記録ヘッド20の間において、搬送向きに対して幅方向9Aに斜行し難くなる。
【0123】
実施形態では、前ラックピニオン機構215により、左ガイド部材213Eおよび右ガイド部材214Eは左右に移動可能であるため、シート幅が相異なる複数種別のシートSに対して斜行を防止したり、発生した斜行を矯正したりできる。
【0124】
[変形例]
実施形態では、後サイドガイド15が備える左ガイド部材152と、前サイドガイド21が備える左ガイドユニット213とは互いに独立して左右に移動していた。従って、後サイドガイド15が備える右ガイド部材153および前サイドガイド21が備える右ガイドユニット214も互いに独立して左右に移動していた。
【0125】
しかし、上記に限らず、図13に示すように、画像記録装置100は、左ガイド部材152(第3ガイド部材の一例)および左ガイドユニット213(第1ガイド部材の一例)を互いに連結する左連結部材311と、右ガイド部材153(第4ガイド部材の一例)および右ガイドユニット214(第2ガイド部材の一例)を互いに連結する右連結部材312と、をさらに備えていてもよい。
【0126】
なお、図13は、変形例の要部を左方から見た側面図であるため、左連結部材311および右連結部材312は、左右方向9において互いに重なり合って図示されている。左ガイド部材152および右ガイド部材153、左ガイドユニット213および右ガイドユニット214についても同様である。
【0127】
左連結部材311により、左ガイド部材152および左ガイドユニット213のいずれか一方が左方または右方へと移動すると、この移動に連動して同じ向きに、左ガイド部材152および左ガイドユニット213のいずれか他方が移動する。
【0128】
同様に、右連結部材312により、右ガイド部材153および右ガイドユニット214のいずれか一方の左右動に連動して、いずれか他方は同じ向きに左右動する。
【0129】
実施形態では、後筐体カバー112が開閉するため(図3参照)、左連結部材311および右連結部材312は、後筐体カバー112とともに周方向θ11に回動するピンチローラ162と干渉しないように配置される必要がある。具体的には、左連結部材311および右連結部材312は、左ガイドユニット213および右ガイドユニット214から延出し、ピンチローラ162を可動域内に入ることなく、ピンチローラ162の軸162Aより下方を通過して、左ガイド部材152および右ガイド部材153にそれぞれ至る。
【0130】
図13の例では、左連結部材311および右連結部材312の各々は、ピンチローラ162の軸162Aおよび駆動ローラ161の軸161Aの間を通過している。しかし、これに限らず、左連結部材311および右連結部材312の各々は、駆動ローラ161の軸161Aの下方を通過してもよい。
【0131】
変形例によれば、ユーザは、後サイドガイド15および前サイドガイド21を個別に操作する必要が無くなるため、操作性がよい。前サイドガイド21によるシートSの幅方向9Aの位置決めがし易い。
【0132】
[その他の変形例]
実施形態では、画像記録方式は、インクジェット方式であった。しかし、これに限らず、画像記録方式は、電子写真方式や熱転写方式でもよい。
【0133】
図1(B)のシートSは、シートコア41を有していた。しかし、これに限らず、シートSは、シートコア41を有さなくともよい。この場合、セパレータ42は、中心部に円柱状の貫通孔が形成されるよう、ロール状に巻かれる。
【0134】
図1(B)のシートSは、ラベルロール紙であった。しかし、これに限らず、シートSは、ロール紙、即ち、ロール体をなす連続紙であってもよい。この場合、ロール紙自体に画像が記録される。
【0135】
図1(B)のシートSは、複数のラベル43を有していた。しかし、これに限らず、シートSは、セパレータと、セパレータに仮着された単一のラベルとからなってもよい。この場合、セパレータおよびラベルの各々がロール体をなす連続紙となり、ラベルの主面に画像が記録される。
【0136】
他にも、シートSは、ファンフォールド紙やカット紙でもよい。ファンフォールド紙の場合、画像記録装置100にロール支持部13は不要である。カット紙の場合、画像記録装置100は、ロール支持部13に代えて、給紙トレイおよび排紙トレイを備える。
【0137】
図2において、画像記録装置100は、シートSに画像を定着させるためにヒータ22を備えていた。しかし、画像記録装置100は、ヒータ22に代えて、紫外線照射器やハロゲンヒータにより、シートSに画像を定着させてもよい。
【0138】
実施形態では、吸着プラテン197は、左流路1974Aおよび右流路1974B内の気圧を気流により低下させることで、シートSを左支持面1976Aおよび右支持面1976Bに吸着させていた。しかし、これに限らず、吸着プラテン197は、平板の吸着プラテンに設けられた吸引孔からシートSを吸引して吸着プラテン上に密着させてもよい。他にも、吸着プラテン197は、吸着プラテン本体を帯電させてシートSを静電吸着してもよい。
【0139】
画像記録装置100は、吸着プラテン197に代えて、シートSを吸着しないプラテンであってもよい。
【0140】
無端ベルト192は、所謂サクションベルトであってもよい。
【0141】
実施形態では、左鍔部133B、右鍔部133C、左ガイド部材152、右ガイド部材153、左ガイドユニット213、および右ガイドユニット214のいずれもが左右に摺動可能であった。しかし、これに限らず、実施形態のように、右壁111Eに右カバー114が設けられている場合、左鍔部133B、左ガイド部材152および左ガイドユニット213は左右に移動せずに固定され、右鍔部133C、右ガイド部材153および右ガイドユニット214は左右に摺動可能であってもよい。なお、左鍔部133B、左ガイド部材152および左ガイドユニット213が左右に摺動可能で、右鍔部133C、右ガイド部材153および右ガイドユニット214が左右に摺動不能であってもよい。
【符号の説明】
【0142】
100・・・画像記録装置
11・・・筐体
13・・・ロール支持部
15・・・後サイドガイド
152・・・左ガイド部材
152A・・・上向面
152B・・・右向面
153・・・右ガイド部材
153A・・・上向面
153B・・・左向面
16・・・搬送ローラ対
18・・・センサ
19・・・ベルト搬送機構
197・・・吸着プラテン
20・・・記録ヘッド
21・・・前サイドガイド
213・・・左ガイドユニット
213E・・・左ガイド部材
213F・・・左ネジ
213H・・・左下向面
213I・・・左内向面
213J・・・左上向面
214・・・右ガイドユニット
214E・・・右ガイド部材
214F・・・右ネジ
214H・・・右下向面
214I・・・右内向面
214J・・・右上向面
29・・・ポンプ
30・・・コントローラ
200・・・搬送路
311・・・左連結部材
312・・・右連結部材
S・・・シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13