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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187744
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】扉構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20221213BHJP
   E05D 7/04 20060101ALI20221213BHJP
   E05C 17/36 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E05D7/04
E05C17/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095906
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000138613
【氏名又は名称】株式会社ユニオン
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】田河 寿一
【テーマコード(参考)】
2E011
2E030
【Fターム(参考)】
2E011JA03
2E011KA07
2E011KC02
2E011KC03
2E011KD14
2E011KH00
2E030AB01
2E030AB02
2E030BB03
2E030GA02
2E030GB02
2E030GC03
(57)【要約】
【課題】隔壁の開口部を補強する扉枠などの補強部材が目立たないように、簡易に扉を設置できる扉構造を提供する。
【解決手段】本願に開示する扉構造は、開口部10と、扉20と、補強部材30と、支持手段40とを具備する。開口部10は、矩形であり、隔壁1に設けられる。扉20は、開口部10に設置される。補強部材30は、開口部10の周方向に沿って水平方向に延びるように開口部10に配設され、開口部10を補強する。支持手段40は、補強部材30から第1方向X1にずれた位置において、補強部材30に扉10を回動可能に支持する。第1方向X1は、隔壁1の壁面に対し垂直な二方向のうちの一方向である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁(1)に設けられる矩形の開口部(10)と、
前記開口部(10)に設置される扉(20)と、
前記開口部(10)の周方向に沿って水平方向に延びるように前記開口部(10)に配設され、前記開口部(10)を補強する補強部材(30)と、
前記補強部材(30)から前記隔壁(1)の壁面に対し垂直な第1方向(X1)にずれた位置において、前記補強部材(30)に前記扉(10)を回動可能に支持する支持手段(40)
とを具備する扉構造。
【請求項2】
前記支持手段(40)は、前記補強部材(30)と連結される被連結部(41a)と、前記被連結部(41a)から前記第1方向(X1)に延出する延出部(41b)と、前記延出部(41b)に支持され、前記扉(20)の回転軸(21)と係合する軸受(41c)とを有する軸受金具(41)を含む、請求項1に記載の扉構造。
【請求項3】
前記補強部材(30)は、前記補強部材(30)が延びる第2方向(X2)に沿って形成されるガイド溝部(31)を有し、
前記支持手段(40)は、
前記補強部材(30)に対し一定の角度を保ちながら前記ガイド溝部(31)に沿って移動可能に前記ガイド溝部(31)と係合され、前記軸受金具(41)を前記補強部材(30)に取付ける台座部材(42)と、
前記軸受金具(41)を前記台座部材(42)と連結するとともに、前記補強部材(30)に対し前記台座部材(42)を前記第2方向(X2)において位置決めする位置決め手段(43)と、
前記軸受金具(41)の前記台座部材(42)に対する角度を一定の角度に固定する角度固定手段(44)
とを更に含む、請求項2に記載の扉構造。
【請求項4】
前記補強部材(30)は、前記補強部材(30)が延びる第2方向(X2)に沿って形成されるガイド溝部(31)を有し、
前記ガイド溝部(31)と係合可能であり、前記補強部材(30)が延びる第2方向(X2)における任意の位置で前記補強部材(30)に固定される係止部材(51)と、可撓性を有し、前記係止部材(51)に前記扉(20)を繋ぐ繋ぎ部材(52)とを含み、前記扉(20)の開き角度(α)を調節可能に制限する制限手段(50)
を更に具備する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の扉構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉構造、特に建物内部の壁に扉を設置する場合に好適な扉構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物内部の壁に扉を設置する扉構造として、特許文献1には、ウォークイン・クローゼットの出入口における扉構造が記載されている。特許文献1に記載の扉構造においては、居間とクローゼットとを仕切る隔壁に出入口としての開口部が設けられ、開口部に扉が設置される。
【0003】
特許文献1に記載の扉構造においては、隔壁の開口部を補強するように、扉枠が設置され、一目で扉の存在を認識できるつくりとなっている。扉の存在が一目で認識できることから、例えば夜間に居間の電灯を明るく照らさなくとも出入口の位置が分かり、クローゼットに容易に出入りできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-112007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、駅の建物内の通路やオフィスビル内の通路に面するように備品の収納部などを設ける場合、関係者以外に収納部の存在を知らせる必要はなく、むしろ、関係者以外には収納部の存在は知られない方がよく、扉は、できるだけ目立たないように設置することが好ましい。また、高級感を演出するようにオフィスビル内の通路をデザインするような場合にも、収納部などの扉は、できるだけ目立たないように設置することが好ましい。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、隔壁の開口部を補強する補強部材が目立たないように、簡易に扉を設置できる扉構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示する扉構造は、開口部(10)と、扉(20)と、補強部材(30)と、支持手段(40)とを具備する。前記開口部(10)は、矩形であり、隔壁(1)に設けられる。前記扉(20)は、前記開口部(10)に設置される。前記補強部材(30)は、前記開口部(10)の周方向に沿って水平方向に延びるように前記開口部(10)に配設され、前記開口部(10)を補強する。前記支持手段(40)は、前記補強部材(30)から第1方向(X1)にずれた位置において、前記補強部材(30)に前記扉(10)を回動可能に支持する。前記第1方向(X1)は、前記隔壁(1)の壁面に対し垂直な二方向のうちの一方向である。
【0008】
本願に開示する扉構造において、前記支持手段(40)は、軸受金具(41)を含む。前記軸受金具(41)は、被連結部(41a)と、延出部(41b)と、軸受(41c)とを有する。前記被連結部(41a)は、前記補強部材(30)と連結される。前記延出部(41b)は、前記被連結部(41a)から前記第1方向(X1)に延出する。前記軸受(41c)は、前記延出部(41b)に支持され、前記扉(20)の回転軸(21)と係合する。
【0009】
本願に開示する扉構造において、前記補強部材(30)は、ガイド溝部(31)を有する。前記ガイド溝部(31)は、第2方向(X2)に沿って前記補強部材(30)に形成される。前記第2方向(X2)は、前記補強部材(30)が延びる方向と平行な二方向のうちの一方向である。前記支持手段(40)は、台座部材(42)と、位置決め手段(43)と、角度固定手段(44)とを更に含む。前記台座部材(42)は、前記補強部材(30)に対し一定の角度を保ちながら前記ガイド溝部(31)に沿って移動可能に前記ガイド溝部(31)と係合され、前記軸受金具(41)を前記補強部材(30)に取付ける。前記位置決め手段(43)は、前記軸受金具(41)を前記台座部材(42)と連結するとともに、前記補強部材(30)に対し前記台座部材(42)を前記第2方向(X2)において位置決めする。前記角度固定手段(44)は、前記軸受金具(41)の前記台座部材(42)に対する角度を一定の角度に固定する。
【0010】
本願に開示する扉構造は、制限手段(50)を更に具備する。前記制限手段(50)は、前記扉(20)の開き角度(α)を調節可能に制限する。また、前記制限手段(50)は、係止部材(51)と、繋ぎ部材(52)とを含む。前記係止部材(51)は、前記ガイド溝部(31)と係合可能であり、前記補強部材(30)が延びる第2方向(X2)における任意の位置で前記補強部材(30)に固定される。前記繋ぎ部材(52)は、可撓性を有し、前記係止部材(51)に前記扉(20)を繋ぐ。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る扉構造によれば、隔壁の開口部を補強する扉枠などの補強部材が目立たないように、簡易に扉を設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る扉構造を示す正面図である。
図2図1の扉構造の要部を示す斜視図である。
図3図1の扉構造を示す上面図である。
図4図1の扉構造の支持手段の一部分を示す断面図である。
図5】(a)図1の扉構造の軸受金具を示す斜視図である。(b)図1の扉構造の軸受金具を示す下面図である。
図6】(a)図1の扉構造の台座部材を示す下面図である。(b)図1の扉構造の台座部材を示す上下逆の斜視図である。
図7図1の扉構造の支持手段の他の一部分を示す断面図である。
図8図1の扉構造の支持手段の更に他の一部分を示す断面図である。
図9図1の扉構造における扉の戸先部分を示す断面図である。
図10】(a)図1の扉構造の戸当り金具を示す側面図である。(b)図1の扉構造の戸当り金具を示す下面図である。
図11図1の扉構造における制限手段を示す側面図である。
図12図11の制限手段の要部を示す断面図である。
図13】(a)図11の制限手段のストッパ台座を示す下面図である。(b)図11の制限手段のストッパ台座を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る扉構造を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するのに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。
【0014】
〈実施形態〉
以下に、図1図6を参照して、本発明の実施形態に係る扉構造を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る扉構造を示す正面図である。図2は、図1の扉構造の要部を示す斜視図である。図3は、図1の扉構造を示す上面図である。図4は、図1の扉構造の支持手段の一部分を示す断面図である。
【0015】
図1図2に示すように、実施形態に係る扉構造は、建物内部の通路にスチールパネル製の収納部を設けたり、居室にウォークイン・クローゼットを設けたりする場合に扉を設置するための扉構造であり、矩形の開口部10と、扉20と、補強部材30と、支持手段40と、制限手段50とを具備する。
【0016】
開口部10は、隔壁1に設けられる。隔壁1は、実施形態においては、建物内部において収納部などの区画部を区画するものであり、開口部10は、出入口や取出口として隔壁1に設けられる。また、開口部10は、上下左右の4辺に対応する上部10a、下部10b、左部10c、右部10dを有する。
【0017】
開口部10の上部10aは、建物の天井と同じ高さに設置されてもよく、建物の天井より低い位置に設置されてもよい。下部10bは、建物の床と同じ高さに設置されてもよく、建物の床より高い位置に設置されてもよい。
【0018】
図3に示すように、開口部10には、内周面材11が配設される。内周面材11は、フラットな金属製又は木製の板材から形成され、隔壁1に内設されている構造材12によって支持される。開口部10において、内周面材11に対し区画部の外部側には、壁パネル13が配設される。
【0019】
壁パネル13の表面と、内周面材11の表面の少なくとも一部分は、必要に応じて、壁紙、クロスで覆うことができる。また、実施形態においては、壁パネル13の端部13aは、内周面材11の表面と面一となっている。従って、壁パネル13の表面から内周面材11の表面まで、角以外は凹凸を生じることなく、クロス等で覆うことができる。
【0020】
扉20は、図1に示すように、開口部10と略同一の輪郭形状を有し、開口部10を開閉するように、開口部10に設置される。実施形態においては、図1図3に示すように、扉20は、外開き、右勝手の開き戸であり、区画部の外部側から見て右側に、回転軸である上部ピボット軸21及び下部ピボット軸21Aを有する。また、扉20は、区画部の外部側から見て左側に把手22を有する。また、実施形態においては、区画部の外部側における扉20の表面は、区画部の外部側における隔壁1の表面と面一となっている。
【0021】
補強部材30は、図2図4に示すように、開口部10の周方向に沿って水平方向に延びるように開口部10に配設され、開口部10を補強する。実施形態においては、補強部材30は、開口部10の上部10aに設置される。また、補強部材30は、開口部10の内周面、実施形態においては、内周面材11の表面から下方に突設される。
【0022】
また、図4に示すように、開口部10の上部10aにおいては、内周面材11と構造材12との間に金属製の取付部材14が配設される。取付部材14は、実施形態においては、横断面がC字状のリップ溝形鋼であり、構造材12によって支持され、補強部材30が取付けられる。補強部材30は、取付ビス15によって、長手方向の複数個所で、内周面材11を介し、取付部材14に取付けられる。
【0023】
図2に示すように、実施形態においては、補強部材30は、アルミニウム合金製のレール状の部材であり、ガイド溝部31を有する。ガイド溝部31は、図4図2に示すように、下方に開口しており、第2方向X2に沿って補強部材30に形成される。第2方向X2は、補強部材30が延びる方向と平行な二方向のうちの一方向である。
【0024】
また、ガイド溝部31は、図4図2に示すように、内部に、細長い2本の板状部から成る係合部31aを有する。係合部31aを形成する2本の板状部は、ガイド溝部31の対向する2つの側壁31bから、各々、内方に向かって、上下方向の同じ位置において垂直に立設される。また、係合部31aを形成する2本の板状部の間には、一定幅の取付開口31cが形成される。
【0025】
支持手段40は、図2図4に示すように、補強部材30から第1方向X1にずれた位置において、補強部材30に扉20を回動可能に支持する。第1方向X1は、隔壁1の壁面に対し垂直な二方向のうちの一方向であり、実施形態においては、区画部の内部から外部に向かう方向である。従って、実施形態においては、補強部材30は、開口部10において扉20より区画部の内部側に設置される。
【0026】
また、実施形態において、支持手段40は、軸受金具41と、台座部材42と、位置決め手段43と、後述の図7に示す角度固定手段44とを含む。
【0027】
以下、図5を参照して、軸受金具41を詳しく説明する。図5(a)は、図1の扉構造の軸受金具を示す斜視図である。図5(b)は、図1の扉構造の軸受金具を示す下面図である。
【0028】
図5に示すように、軸受金具41は、実施形態においては、主として1枚の金属板を折曲げて形成される金具であり、被連結部41aと、延出部41bと、軸受41cと、垂直板部41dとを有する。
【0029】
被連結部41aは、方形板状であり、補強部材30と連結される。被連結部41aには、挿通孔41eと、ボルト孔41fと、設置孔41hとが形成される。なお、実施形態においては、被連結部41aは、台座部材42を介し補強部材30と連結される。
【0030】
挿通孔41eは、被連結部41aの略中央に形成され、ボルトやビスが挿通される。ボルト孔41fは、第2方向X2と沿った方向に挿通孔41eから離間した位置に形成され、雌ネジを有し、ボルトやビスがねじ込まれる。設置孔41hは、ボルト孔41fと反対方向に挿通孔41eから離間した位置に形成される。設置孔41hには、角度固定ピン41gの端部が連結され、角度固定ピン41gが、被連結部41aから上向きに立設される。
【0031】
延出部41bは、被連結部41aと平行な板状部であり、被連結部41aから第1方向X1に延出する。軸受41cは、延出部41bに支持され、扉20の回転軸と係合する。実施形態においては、軸受41cは、ピボット軸受であり、回動軸である上部ピボット軸21と係合し、上部ピボット軸21を軸支する。
【0032】
垂直板部41dは、被連結部41aと延出部41bとに垂直な方形の板状部であり、第1方向X1における被連結部41aの端部に垂直上方向に折れ曲がるように連設され、上端部において、第1方向X1と反対方向における延出部41bの端部に連設される。垂直板部41dによって被連結部41aと延出部41bとが連結されることによって、図4に示すように、軸受41cを補強部材30の下端より上に配置できる。
【0033】
更に、軸受金具41は、少なくとも1つのリブ41iを有する。少なくとも1つのリブ41iは、延出部41bと垂直板部41dとの角度を直角に保ち、延出部41bと被被連結部41aとを平行に保つように、垂直板部41dと延出部41bとの間の角部の内側に形成される。
【0034】
図3図4に示すように、台座部材42は、補強部材30に対し一定の角度を保ちながらガイド溝部31に沿って移動可能にガイド溝部31と係合され、軸受金具41を補強部材30に取付ける。
【0035】
以下、図6を参照して、台座部材42を説明する。図6(a)は、図1の扉構造の台座部材を示す下面図である。図6(b)は、図1の扉構造の台座部材を示す上下逆の斜視図である。
【0036】
図6に示すように、実施形態においては、台座部材42は、樹脂成形品であり、直方体状の本体部42aと、被係合部42bと、位置決め孔42cと、角度固定孔42dとを有する。
【0037】
本体部42aは、図4に示す取付開口31cを介し、ガイド溝部31に沿って配設される。本体部42aの上部は、係合部31aよりもガイド溝部31の底部側に配置され、本体部42aの下部は、係合部31aよりもガイド溝部31の開口側に配置される。なお、図6(b)においては、本体部42aの上部が下にあり、下部が上にある状態で台座部材42が図示されている。
【0038】
被係合部42bは、本体部42aの略上半分における両側面から側方に突設され、ガイド溝部31の係合部31aと係合される。
【0039】
位置決め孔42cは、図4に示す位置決め手段43の一構成要素である。位置決め手段43は、軸受金具41を台座部材42と連結するとともに、補強部材30に対し台座部材42を第2方向X2において位置決めする。
【0040】
実施形態においては、図6に示すように、位置決め孔42cは、雌ネジ部42eを有し、本体部42aを上下に貫通するように台座部材42に形成される。雌ネジ部42eは、実施形態においては、ナット42fを台座部材42にインサート成形することによって、位置決め孔42cに形成される。
【0041】
また、図4に示すように、位置決め手段43は、位置決めボルト45を含んでいる。位置決めボルト45は、軸受金具41の挿通孔41eに挿通され、雌ネジ部42eと螺合し、軸受金具41を台座部材42と締結し、軸受金具41を台座部材42と連結する。また、位置決めボルト45は、先端部45aがガイド溝部31の底部と当接することによって、被係合部42eを係合部31aに押付けるとともに、補強部材30に対し第2方向X2において台座部材42を位置決めする。
【0042】
また、実施形態においては、位置決めボルト45は、くぼみ先であり、先端部45aに凹部を有し、凹部の円形縁部がガイド溝部31の底部と圧接し、台座部材42を位置決めする。また、位置決めボルト45の頭部は、外形が六角形であるとともに、十字穴、すりわり付きとなっており、レンチ、十字ドライバー、マイナスドライバーなどの様々な工具での締付けが可能であり、上を向いての作業を容易とすることができる。
【0043】
次に、図6と、図7図8を参照して、角度固定孔42dを説明する。図7は、図1の扉構造の支持手段の他の一部分を示す断面図である。図8は、図1の扉構造の支持手段の更に他の一部分を示す断面図である。
【0044】
図6図7に示すように、角度固定孔42dは、角度固定手段44の一構成要素であり、本体部42aの下面に開口し、上方向に延びるように台座部材42に形成される。角度固定手段44は、軸受金具41の台座部材42に対する角度を一定の角度に固定する。実施形態においては、角度固定孔42dに角度固定ピン41gが挿嵌され、軸受金具41の台座部材42に対する角度が一定の角度に固定される。
【0045】
また、図7に示すように、開口部10の下部10bには、下部補強部材30Aが補強部材30と平行に設置される。下部補強部材30Aは、補強部材30と同構造であり、ガイド溝部を有し、扉20の真下に設置される。また、下部補強部材30Aのガイド溝部には、台座部材42と同構造の下部軸受部材42Aが、ガイド溝部に沿って移動可能に係合される。
【0046】
下部軸受部材42Aは、位置決め孔42cと同構造の貫通孔を有し、位置決めボルト45と同構造のボルトによって、第2方向X2において下部補強部材30Aに対し位置決めされる。また、下部軸受部材42Aは、角度固定孔42dと同構造の軸受孔42gを有し、軸受孔42gによって下部ピボット軸21Aを軸支する。
【0047】
また、図8に示すように、軸受金具41は、一旦位置決めされた位置がずれないように、固定ボルト46によって、補強部材30に更に強固に固定される。固定ボルト46は、位置決めボルト45と同構造であり、軸受金具41が、位置決め手段43によって位置決めされ、角度固定手段44によって角度が固定された状態で、ボルト孔41fに捩じ込まれ、先端部がガイド溝部31の底部と当接し、軸受金具41を補強部材30に更に強固に固定する。
【0048】
次に、図9図10を参照して、実施形態における扉の戸先構造を説明する。図9は、図1の扉構造における扉の戸先部分を示す断面図である。図10(a)は、図1の扉構造の戸当り金具を示す側面図である。図10(b)は、図1の扉構造の戸当り金具を示す下面図である。
【0049】
図9に示すように、扉20の戸先側、つまり図1の左方において、開口部10には、戸当り60が設置される。戸当り60は、マグネット61と、支持金具62と、マグネットキャッチ63とを含む。マグネット61及びマグネットキャッチ63は、実施形態において金属製である扉20と吸着し、扉20を閉状態に保持する。
【0050】
図10に示すように、支持金具62は、実施形態においては、主として1枚の金属板を折曲げて形成される金具であり、被連結部62aと、垂直板部62bとを含む。
【0051】
被連結部62aは、方形板状であり、台座部材42と同構造の台座部材を介し補強部材30と連結される。被連結部62aには、挿通孔62cと、ボルト孔62dと、設置孔62fが形成される。挿通孔62c、ボルト孔62d、設置孔62fは、軸受金具41の挿通孔41e、ボルト孔41f、設置孔41hと同構造であり、設置孔62fには角度固定ピン41gと同構造のピン62eが上向きに立設される。
【0052】
挿通孔62cには、位置決めボルト45と同構造のボルトが挿通され、支持金具62は、軸受金具41と同様にして補強部材30に対し第2方向X2において位置決めされる。また、支持金具62は、ピン62eによって、軸受金具41と同様にして角度が固定され、ボルト孔62dに固定ボルト46と同構造のボルトがねじ込まれることによって更に強固に補強部材30に固定される。
【0053】
垂直板部62bは、第1方向X1における被連結部62aの端部から下方に垂直に折れ曲るように連設される板状部であり、マグネット61が取付けられる。また、戸当り金具62には、少なくとも1つのリブ62gを設置することができる。少なくとも1つのリブ62gは、被連結部62aと垂直板部62bとの角度を直角に保つように、被連結部62aと垂直板部62bとの間の角部の内側に形成される。
【0054】
次に、図2図3と、図11図13とを参照して、制限手段50を説明する。図11は、図1の扉構造における制限手段を示す側面図である。図12は、図11の制限手段の要部を示す断面図である。図13(a)は、図11の制限手段のストッパ台座を示す下面図である。図13(b)は、図11の制限手段のストッパ台座を示す側面図である。
【0055】
図2図3に示すように、制限手段50は、扉20の開き角度αを調節可能に制限する。実施形態においては、制限手段50は、係止部材51と、係止部材51に扉20を繋ぐ繋ぎ部材としてのワイヤ52とを含む。
【0056】
図11図12に示すように、係止部材51は、ガイド溝部31と係合可能であり、第2方向X2における任意の位置で補強部材30に固定される。また、係止部材51は、ワイヤストッパ53と、板状のストッパ台座54と、一対の裏板55とを含む。
【0057】
ワイヤストッパ53は、コの字状の固定金具53aを介しストッパ台座54の下面に固定され、ワイヤ52の長さを調節可能に、ワイヤ52を係止部材51に保持する。
【0058】
ストッパ台座54は、図13に示すように、細長い板状であり、複数のネジ孔54aを有するとともに、長手方向の両端に一対のガイド片54bを有する。複数のネジ孔54aは、固定金具53aを固定するための止めネジ53bがねじ込まれる。一対のガイド片54bは、取付開口31cに差込まれ、ストッパ台座54の補強部材30に対する角度を一定の角度に維持する。また、ストッパ台座54は、一対の裏板55がガイド溝部31の係合部31aと係合され、第2方向X2における任意の位置で補強部材30に固定される。
【0059】
一対の裏板55は、取付開口31cの幅よりも横幅が小さく、ガイド溝部31の2つの側壁31bの間隔よりも若干長い板片状である。一対の裏板55は、止めネジ56と螺合するネジ孔を中央に有し、止めネジ56によってストッパ台座54と連結される。また、一対の裏板55は、ストッパ台座54の長手方向と平行な状態で取付開口31cを介し、ガイド溝部31の底部側に入れられる。
【0060】
一対の裏板55が、取付開口31cを介しガイド溝部31の底部側に入っている状態で止めネジ56が締付けられると、裏板55が回転し、裏板55の両端側部が2つの側壁31bと当接し、裏板55の回転が止まる。裏板55の回転が止まり、更に止めネジ56が締付けられると、裏板55が係合部31aに押付けられ、ストッパ台座54が補強部材30に固定される。
【0061】
ワイヤ52は、可撓性を有し、実施形態においては、板片状の繋ぎ金具57を介し扉20と連結される。繋ぎ金具57は、ワイヤ連結部57aを有し、図2に示すように、止めネジなどによって扉2に固定される。ワイヤ52は、先端に球状のアンカー部材52aが取付けられており、アンカー部材52aがワイヤ連結部57aと係合することによって繋ぎ金具57と連結される。
【0062】
以上、図1図6を参照して説明したように、実施形態の扉構造によれば、支持手段40が、補強部材30から第1方向X1にずれた位置において、補強部材30に扉20を回動可能に支持する。従って、例えば区画部の外部側からは、扉20に隠れて見えないように補強部材30を設置でき、扉枠などの補強部材が目立たないように簡易に扉20を設置できる。
【0063】
また、扉20が設置される隔壁1の開口部10が、扉20を支持する十分な強度を有していない場合であっても、支持手段40が、補強部材30に扉20を支持することによって、十分な強度で扉20を支持できる。
【0064】
また、図2図4を参照して説明したように、開口部10の内周面から補強部材30が突出している場合にも、扉20の回動中心が補強部材30から第1方向X1にずれていることによって、例えば扉20の上端と開口部10の上部10aとの隙間を小さくでき、扉20を目立たないように設置でき、例えば高級感を演出するように区画部の外部側のスペースをデザインするとき、扉20の存在がデザインに及ぼす影響を最小限度に抑えることができる。なお、開口部10の下部10bは、目の位置よりも下であれば、補強部材の存在も目立たないことから、図7に示したように、扉20の真下に下部補強部材30Aを設置し、軸受金具41を用いずに、下部補強部材30Aの設置位置において扉20を回動可能に支持することができる。
【0065】
また、図2を参照して説明したように、実施形態の扉構造によれば、補強部材30が、開口部10の周方向に沿って、開口部10において、扉20より区画部の内部側に設置される。従って、壁パネル13から開口部10の上部10aにかけて壁紙やクロスを設置するとき、補強部材30を目標として壁紙やクロスを設置でき、壁紙やクロスの設置を容易とすることができる。
【0066】
また、図1図5を参照して説明したように、本実施形態の扉構造によれば、支持手段40が、軸受金具41を含み、軸受金具41が、補強部材30と連結される被連結部41aと、被連結部41aから第1方向X1に延出する延出部41bと、軸受41cとを有し、軸受41cが、延出部41bに支持され、上部ピボット軸21と係合する。従って、軸受金具41を補強部材30と連結するだけの簡単な作業によって、補強部材30から第1方向X1にずれた位置において、補強部材30に扉20を回動可能に支持でき、扉枠などの補強部材が目立たないように更に簡易に扉20を設置できる。また、軸受金具41によって扉20が支持されることから、クロスなどの設置前に扉20を設置でき、傷などの補修を容易とすることができる。
【0067】
また、図1図6を参照して説明したように、本実施形態の扉構造によれば、補強部材30が、ガイド溝部31を有し、支持手段40が、台座部材42と、位置決め手段43と、角度固定手段44とを更に含み、台座部材42が、補強部材30に対し一定の角度を保ちながらガイド溝部31に沿って移動可能にガイド溝部31と係合され、位置決め手段43が、軸受金具41を台座部材42と連結するとともに、補強部材30に対し台座部材42を第2方向X2において位置決めし、角度固定手段44が、軸受金具41の台座部材42に対する角度を一定の角度に固定する。
【0068】
従って、ガイド溝部31に沿って台座部材42を移動し、移動先の位置で台座部材42を補強部材30に対し位置決めすることによって、第2方向X2における任意の位置で扉20を補強部材30に回動可能に支持でき、扉20が右勝手であっても左勝手であっても、台座部材42の固定位置を変更するだけで、開口部10に扉20を設置できる。
【0069】
台座部材42の固定位置を変更するだけで、勝手に拘わらず扉20を設置できることから、台座部材42を補強部材30の任意の位置に仮に固定した状態で施工現場に赴き、補強部材30を開口部10に設置した後、扉20の勝手に応じた位置で台座部材42を固定し、扉20を設置でき、施工を容易とすることができる。また、実施形態においては、位置決めボルト45及び固定ボルト46の緩解と締付けだけで、台座部材42を補強部材30の任意の位置で固定でき、更に簡易に扉20を設置できる。また、扉20の設置後に台座部材42を移動し、扉20の回動軸の位置を微調整することも自在であり、更に簡易に扉20を設置できる。
【0070】
また、開口部10に両開きの扉、または3つ以上の扉を左右に並べて設置する場合にも、開口部10の左右の幅に応じた長さの補強部材30を準備し、扉の数に応じた台座部材42を補強部材30の各位置に固定するだけで、扉20を設置できる。また、実施形態においては、扉20の戸先構造として台座部材42と同様の台座部材によって戸当り60を補強部材30に支持でき、更に簡易に扉20を設置できる。
【0071】
また、実施形態においては、台座部材42を補強部材30に設置する向き、つまり第2方向X2において角度固定孔42dが位置決め孔42cに対しいずれの側にあるかに関わりなく、扉20が右勝手であっても左勝手であっても設置できる。従って、扉構造の施工において、扉20の勝手にかかわらず、扉20の数に応じた必要な数だけ台座部材42を補強部材30に予め設置してから、施工現場に赴き、扉20の左右を顧慮することなく補強部材30を開口部10に設置でき、更に簡易に扉20を設置できる。
【0072】
更に、本願に開示する扉構造によれば、制限手段50が、扉20の開き角度αを調節可能に制限する。従って、開口部10の近傍における家具の配置などに応じて開き角度αの上限を設定でき、例えば扉20の設置後に家具の配置を変えた場合にも、家具と衝突しないように開き角度αの上限を設定できる。
【0073】
また、図1図6を参照して説明したように、本実施形態の扉構造によれば、制限手段50が、係止部材51と、ワイヤ52とを含み、係止部材51が、補強部材30が延びる第2方向X2における任意の位置で補強部材30に固定され、可撓性を有するワイヤ52が、係止部材51に扉20を繋ぐ。従って、係止部材51が補強部材30に固定される位置を変更するだけで開き角度αの上限を変更でき、例えば扉20の設置後に家具の配置を変えた場合にも、簡易に開き角度α上限を調節できる。
【0074】
また、図11を参照して説明したように、実施形態においては、止めネジ56によってストッパ台座54に連結される裏板55によって係止部材51が補強部材30に固定される。従って、止めネジ56の緩解、締付の簡単な作業によって、開き角度αの上限を設定でき、更に簡易に開き角度αの上限を調節できる。
【0075】
以上、図面(図1図13)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記(1))。
【0076】
(1)上記実施形態においては、主に建物内部に備品などの収納部を設ける場合を想定して扉構造を説明したが、これに限られず、本発明の扉構造は、パイプシャフト、電気配管シャフト、メーターボックス、トランクルームなどの扉構造としても好適に適用でき、扉枠などの補強部材が目立たないように簡易に扉を設置できる。
【符号の説明】
【0077】
X1…第1方向
X2…第2方向
1…隔壁
10…開口部
20…扉
21…上ピボット軸(回転軸)
30…補強部材
31…ガイド溝部
40…支持手段
41…軸受金具
41a…被連結部
41b…延出部
41c…軸受
42…台座部材
43…位置決め手段
44…角度固定手段
50…制限手段
51…係止部材
52…ワイヤ(繋ぎ部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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図12
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