(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187747
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】プリンタ、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
B41J2/01 127
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095911
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】小林 昭博
(72)【発明者】
【氏名】温井 康介
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EA14
2C056EB07
2C056EB30
2C056EB31
2C056EB58
2C056EC14
2C056EC28
2C056EE18
2C056FA10
2C056HA37
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】印刷対象物に吐出されたインクを適切に硬化させ、且つインクが不吐出になることを抑制できるプリンタ、制御方法、及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】プリンタは、ヘッド、ランプ、第一センサ、及びCPUを備える。ヘッドは、プラテンに支持された印刷対象物に光硬化性のインクを吐出する。ランプは、インクが吐出された印刷対象物に光を照射する。第一センサは、プリンタ内に設けられ、プリンタ内の温度を検出する。CPUは、第一センサにプリンタ内の温度を取得させる(S1)。CPUは、印刷データに基づき、印刷対象物の吐出領域にインクが吐出される場合の印字率を示すduty比を取得する(S3)。CPUは、第一センサに取得させた温度と取得されたduty比とに基づき、ランプにより照射される光の照度を設定する(S9、S17、S23、S25)。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の印刷データに基づき印刷対象物に対して印刷を実行するプリンタであって、
プラテンに支持された前記印刷対象物に光硬化性のインクを吐出するヘッドと、
前記インクが吐出された前記印刷対象物に光を照射するランプと、
プリンタ内に設けられ、前記プリンタ内の温度を検出する第一センサと、
コントローラと
を備え、
前記コントローラは、
前記第一センサに前記プリンタ内の前記温度を取得させ、
前記印刷データに基づき、前記印刷対象物の吐出領域に前記インクが吐出される場合の印字率を示すduty比を取得し、
前記第一センサに取得させた前記温度と取得された前記duty比とに基づき、前記ランプにより照射される前記光の照度を設定する
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記第一センサは、前記ヘッドに設けられ、前記ヘッドの前記温度を検出することを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記ヘッドの下面には、前記インクを吐出するためのノズルが複数設けられ、
前記第一センサは、前記ヘッド側面の下方に設けられ、前記ノズルの前記温度を検出する
ことを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
プリンタ内に設けられ、前記プリンタ内の湿度を検出する第二センサ
を備え、
前記コントローラは、
前記第二センサに前記プリンタ内の前記湿度を検出させ、
前記第一センサにより取得した前記温度、取得された前記duty比、及び前記第二センサにより取得した前記湿度に基づき、前記ランプにより照射される前記光の前記照度を設定する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載のプリンタ。
【請求項5】
前記第一センサと、前記第二センサは、一体型のセンサであること
を特徴とする請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記吐出領域に対する前記インクの印字率が基準となる基準duty比よりも高い高duty比の場合、前記温度が低くなるにつれて、前記ランプに照射させる前記光の前記照度を、前記所定の変化の割合である第一割合で増加させ、
前記吐出領域に対する前記インクの印字率が前記基準duty比よりも低い低duty比の場合、前記温度が低くなるにつれて、前記ランプに照射させる前記光の前記照度を、前記第一割合よりも小さい変化の割合である第二割合で増加させる
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一つに記載のプリンタ。
【請求項7】
前記ヘッドは、吐出される前記インクの液滴の寸法を変更可能であり、
前記コントローラは、
前記吐出領域に対する前記インクの印字率が基準となる基準duty比よりも低い低duty比の場合、前記ヘッドから吐出される液滴の寸法が小さくなるにつれて、前記ランプに照射させる前記光の前記照度を上昇させる
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一つに記載のプリンタ。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記第一センサにより検出した前記温度が低温になるにつれて、前記ランプに照射させる前記光の前記照度を上昇させる
ことを特徴とする請求項7に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記印刷データは、前記印刷対象物に対して少なくとも第一層と第二層とを含む前記インクの層を重ねて印刷するためのデータであり、
前記コントローラは、
前記第一層の印刷の実行前に、前記第一センサに第一温度を検出させ、
前記印刷データに基づき、前記第一層の印刷における印字率を示す第一duty比を取得し、
前記第一センサにより検出された前記第一温度と取得した前記第一duty比とに基づき、前記ランプにより照射させる前記光の第一照度を設定し、
前記印刷対象物に前記第一層の前記インクが吐出された状態で、設定された前記第一照度による前記光を前記ランプに照射させ、
前記第一層の印刷の実行後且つ前記第二層の印刷の実行前に、前記第一センサに第二温度を検出させ、
前記印刷データに基づき、前記第二層の印刷における印字率を示す第二duty比を取得し、
前記第一センサにより検出された前記第二温度と取得した前記第二duty比とに基づき、前記ランプに照射させる前記光の第二照度を設定し、
前記印刷対象物に前記第二層の前記インクが吐出された状態で、前記設定された前記第二照度による前記光を前記ランプに照射させる
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一つに記載のプリンタ。
【請求項10】
前記ヘッドは、前記印刷対象物に対して紫外線硬化型の前記インクを吐出し、
前記ランプは、前記印刷対象物に紫外線を照射する
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一つに記載のプリンタ。
【請求項11】
プラテンに支持された印刷対象物に光硬化性のインクを吐出するヘッドと、
前記インクが吐出された前記印刷対象物に光を照射するランプと、
プリンタ内に設けられ、前記プリンタ内の温度を検出する第一センサと
を備えたプリンタの制御方法であって、
前記第一センサに前記プリンタ内の前記温度を取得させる第一取得ステップと、
印刷データに基づき、前記印刷対象物の吐出領域に前記インクが吐出される場合の印字率を示すduty比を取得する第二取得ステップと、
前記第一取得ステップにより前記第一センサに取得させた前記温度と前記第二取得ステップにより取得された前記duty比とに基づき、前記ランプにより照射される前記光の照度を設定する設定ステップと
を備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
プラテンに支持された印刷対象物に光硬化性のインクを吐出するヘッドと、
前記インクが吐出された前記印刷対象物に光を照射するランプと、
プリンタ内に設けられ、前記プリンタ内の温度を検出する第一センサと
を備えたプリンタのコンピュータに、
前記第一センサに前記プリンタ内の前記温度を取得させる第一取得ステップと、
印刷データに基づき、前記印刷対象物の吐出領域に前記インクが吐出される場合の印字率を示すduty比を取得する第二取得ステップと、
前記第一取得ステップにより前記第一センサに取得させた前記温度と前記第二取得ステップにより取得された前記duty比とに基づき、前記ランプにより照射される前記光の照度を設定する設定ステップと
を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のプリンタは、湿度センサを備える。湿度センサは、プラテン、又は、キャリッジの所定位置に配置される。湿度センサは、プリンタの周囲の湿度を検知する。プリンタは、湿度センサで検知された湿度に応じて、紫外線照射装置からインクに照射される紫外線の光量を制御する。
【0003】
特許文献2に記載のプリンタは、外気センサを備える。外気センサは、プリンタの外部に設けられる。外気センサは、プリンタ周辺の湿度及び温度を検知する。プリンタは、外気センサからの湿度及び温度の検知結果に応じて、紫外線照射装置からインクに照射される紫外線の光量を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-138460号公報
【特許文献2】特開2004-299232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記プリンタは、温度、及び湿度の少なくとも何れか一方のみに基づいて照度をコントロールしたが、印刷条件の内、印刷領域への印字率を示すduty比が変化した場合にも、インクを硬化させるために必要な照度は変化する。例えば、duty比が小さくになるにつれて、インクの硬化に必要な紫外線の照度が高くなる。
【0006】
印字率が高い高duty比の場合に併せて、温度、湿度の検知結果のみに基づき紫外線の照度が設定される場合がある。設定された照度で且つ印字率が低い低duty比での印刷が実行された場合には、インクを硬化させるために必要な紫外線の照度が不足する。このため、プリンタは、適切にインクを硬化できない可能性があった。
【0007】
また、印字率が低い低duty比の場合に併せて、温度、湿度の検知結果のみに基づき紫外線の照度が設定される場合がある。設定された照度で且つ印字率が高い高duty比での印刷が実行された場合には、印刷媒体からの紫外線の反射光によりノズル内のインクが硬化してしまう場合がある。従って、プリンタは、ヘッドからインクを吐出できなくなる可能性があった。
【0008】
本発明の目的は、印刷対象物に吐出されたインクを適切に硬化させ、且つインクが不吐出になることを抑制できるプリンタ、制御方法、及び制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一態様に係るプリンタは、所定の印刷データに基づき印刷対象物に対して印刷を実行するプリンタであって、プラテンに支持された前記印刷対象物に光硬化性のインクを吐出するヘッドと、前記インクが吐出された前記印刷対象物に光を照射するランプと、プリンタ内に設けられ、前記プリンタ内の温度を検出する第一センサと、コントローラとを備え、前記コントローラは、前記第一センサに前記プリンタ内の前記温度を取得させ、前記印刷データに基づき、前記印刷対象物の吐出領域に前記インクが吐出される場合の印字率を示すduty比を取得し、前記第一センサに取得させた前記温度と取得された前記duty比とに基づき、前記ランプにより照射される前記光の照度を設定することを特徴とする。
【0010】
プリンタは、温度とduty比とに基づき、ランプにより照射される光の照度を設定する。これにより、プリンタは、印刷対象物に吐出されたインクを適切に硬化させつつ、インクが不吐出になることを抑制できる。
【0011】
前記第一センサは、前記ヘッドに設けられ、前記ヘッドの前記温度を検出してもよい。プリンタは、ヘッドの温度とduty比とに基づき、ランプにより照射される光の照度を設定できる。故に、プリンタは、さらに、ノズル内のインクが硬化して不吐出となる可能性を抑制できる。
【0012】
前記ヘッドの下面には、前記インクを吐出するためのノズルが複数設けられ、前記第一センサは、前記ヘッド側面の下方に設けられ、前記ノズルの前記温度を検出してもよい。プリンタは、ヘッドの側面に設けられ、ヘッドのノズルの温度を検出する。故に、プリンタは、ノズルの温度に基づきランプが照射する光の照度を設定できる。故に、プリンタは、さらに、ノズル内のインクが硬化して不吐出となる可能性を抑制できる。
【0013】
プリンタ内に設けられ、前記プリンタ内の湿度を検出する第二センサを備え、前記コントローラは、前記第二センサに前記プリンタ内の前記湿度を検出させ、前記第一センサにより取得した前記温度、取得された前記duty比、及び前記第二センサにより取得した前記湿度に基づき、前記ランプにより照射される前記光の前記照度を設定してもよい。インクは、硬化させるための光の照度が湿度により影響されやすい種類がある。プリンタは、ランプにより照射される光の照度を、温度、duty比、及び湿度に基づきより詳細に設定できる。この場合、プリンタは、さらに、インクを適切に硬化させつつ、ノズル内のインクが硬化するのを抑制できる。
【0014】
前記第一センサと、前記第二センサは、一体型のセンサであってもよい。プリンタは、省スペース化できる。
【0015】
前記コントローラは、前記吐出領域に対する前記インクの印字率が基準となる基準duty比よりも高い高duty比の場合、前記温度が低くなるにつれて、前記ランプに照射させる前記光の前記照度を、前記所定の変化の割合である第一割合で増加させ、前記吐出領域に対する前記インクの印字率が前記基準duty比よりも低い低duty比の場合、前記温度が低くなるにつれて、前記ランプに照射させる前記光の前記照度を、前記第一割合よりも小さい変化の割合である第二割合で増加させてもよい。プリンタは、基準duty比又は低duty比と温度との関係に応じて、光の照度を線形的に増減可能である。故に、プリンタは、最適な照度を容易に設定できる。
【0016】
前記ヘッドは、吐出される前記インクの液滴の寸法を変更可能であり、前記コントローラは、前記吐出領域に対する前記インクの印字率が基準となる基準duty比よりも低い低duty比の場合、前記ヘッドから吐出される液滴の寸法が小さくなるにつれて、前記ランプに照射させる前記光の前記照度を上昇させてもよい。プリンタは、低duty比の場合、液滴の寸法に基づき、ランプに照射させる光の照度を設定する。故に、プリンタは、さらに、印刷対象物に吐出されたインクを適切に硬化させつつ、ノズル内のインクが硬化して不吐出になるのを抑制できる。
【0017】
前記コントローラは、前記第一センサにより検出した前記温度が低温になるにつれて、前記ランプに照射させる前記光の前記照度を上昇させてもよい。プリンタは、低duty比の場合、液滴の寸法と温度とに基づき、ランプに照射させる光の照度を設定する。故に、プリンタは、印刷対象物に吐出されたインクを適切に硬化させつつ、ノズル内のインクが硬化して不吐出になるのを抑制できる。
【0018】
前記印刷データは、前記印刷対象物に対して少なくとも第一層と第二層とを含む前記インクの層を重ねて印刷するためのデータであり、前記コントローラは、前記第一層の印刷の実行前に、前記第一センサに第一温度を検出させ、前記印刷データに基づき、前記第一層の印刷における印字率を示す第一duty比を取得し、前記第一センサにより検出された前記第一温度と取得した前記第一duty比とに基づき、前記ランプにより照射させる前記光の第一照度を設定し、前記印刷対象物に前記第一層の前記インクが吐出された状態で、設定された前記第一照度による前記光を前記ランプに照射させ、前記第一層の印刷の実行後且つ前記第二層の印刷の実行前に、前記第一センサに第二温度を検出させ、前記印刷データに基づき、前記第二層の印刷における印字率を示す第二duty比を取得し、前記第一センサにより検出された前記第二温度と取得した前記第二duty比とに基づき、前記ランプに照射させる前記光の第二照度を設定し、前記印刷対象物に前記第二層の前記インクが吐出された状態で、前記設定された前記第二照度による前記光を前記ランプに照射させてもよい。プリンタは、複数のインクの層を印刷する場合、インクの層毎にランプの光の照度を設定する。これにより、プリンタは、印刷途中に環境温度が変化した場合にも、適切な光の照度に設定できる。故に、プリンタは、印刷対象物に吐出されたインクを適切に硬化させつつ、ノズル内のインクが硬化して不吐出になるのを抑制できる。
【0019】
前記ヘッドは、前記印刷対象物に対して紫外線硬化型の前記インクを吐出し、前記ランプは、前記印刷対象物に紫外線を照射してもよい。プリンタは、紫外線硬化型のインクを硬化させるために紫外線を照射するランプを備えた場合にも、第一態様のプリンタと同様の効果を得る。
【0020】
本発明の第二態様に係る制御方法は、プラテンに支持された印刷対象物に光硬化性のインクを吐出するヘッドと、前記インクが吐出された前記印刷対象物に光を照射するランプと、プリンタ内に設けられ、前記プリンタ内の温度を検出する第一センサとを備えたプリンタの制御方法であって、前記第一センサに前記プリンタ内の前記温度を取得させる第一取得ステップと、印刷データに基づき、前記印刷対象物の吐出領域に前記インクが吐出される場合の印字率を示すduty比を取得する第二取得ステップと、前記第一取得ステップにより前記第一センサに取得させた前記温度と前記第二取得ステップにより取得された前記duty比とに基づき、前記ランプにより照射される前記光の照度を設定する設定ステップとを備えたことを特徴とする。
【0021】
プリンタは、上記制御方法を用いることで、第一態様のプリンタと同様の効果を得る。
【0022】
本発明の第三態様に係る制御プログラムは、プラテンに支持された印刷対象物に光硬化性のインクを吐出するヘッドと、前記インクが吐出された前記印刷対象物に光を照射するランプと、プリンタ内に設けられ、前記プリンタ内の温度を検出する第一センサとを備えたプリンタのコンピュータに、前記第一センサに前記プリンタ内の前記温度を取得させる第一取得ステップと、印刷データに基づき、前記印刷対象物の吐出領域に前記インクが吐出される場合の印字率を示すduty比を取得する第二取得ステップと、前記第一取得ステップにより前記第一センサに取得させた前記温度と前記第二取得ステップにより取得された前記duty比とに基づき、前記ランプにより照射される前記光の照度を設定する設定ステップとを実行させることを特徴とする。
【0023】
プリンタは、上記制御プログラムが実行されることで、第一態様のプリンタと同様の効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】プリンタ1の右前上方から見た斜視図である。
【
図2】第一センサ38がヘッド10に取り付けられた状態を示す図である。
【
図3】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】環境条件に対するインクを硬化させるために必要な照度の変化の割合を示す図である。
【
図5】環境条件とインクを硬化させるために必要な照度との関係を示す図表である。
【
図7】メイン処理を示すフローチャートであって、
図6の続きである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係るプリンタ1を説明する。
図1の上方、下方、左下方、右上方、右下方、及び左上方が、それぞれ、プリンタ1の上方、下方、前方、後方、右方、及び左方である。
【0026】
図1を参照し、プリンタ1の概略構成を説明する。
図1に示すように、プリンタ1は搬送機構6と昇降機構9とプラテン5と一対のレール11とキャリッジ20を備える。搬送機構6はプリンタ1の下部に設けられる。搬送機構6は、一対のレール12を含む。一対のレール12は前後方向に延び、互いに左右方向に並ぶ。
【0027】
昇降機構9は搬送機構6の上側に設けられる。昇降機構9は、一対のレール12によって支持される。
【0028】
プラテン5は昇降機構9の上側に設けられる。プラテン5は板である。プラテン5は、昇降機構9によって支持される。プラテン5は昇降機構9の上下方向の伸縮により、上下方向に移動する。
【0029】
プラテン5は昇降機構9の前後方向の移動により、前後方向に移動する。プラテン5の上面には印刷対象物が載置される。印刷対象物は例えば板状、シート状であり、例えば布、紙、プラスチック、金属で構成される。
【0030】
一対のレール11はプラテン5よりも上方に設けられる。一対のレール11は左右方向に延び、互いに前後方向に並ぶ。キャリッジ20は一対のレール11の前後方向の間に設けられる。キャリッジ20は板である。キャリッジ20は、一対のレール11によって支持される。キャリッジ20は主走査モータ31の駆動によって、一対のレール11に沿って左右方向に移動する。
【0031】
キャリッジ20にはヘッド10が固定される。ヘッド10の個数は特定の個数に限定されないが、本実施形態では二つのヘッド10がキャリッジ20に搭載される。二つのヘッド10は直方体状であり、前後方向に並ぶ。
【0032】
ヘッド10の右側にはランプ50が設けられる。ランプ50の個数は特定の個数に限定されないが、本実施形態では二つのランプ50が設けられる。すなわち、本実施形態ではプリンタ1はヘッド10の個数分のランプ50を備える。ランプ50は直方体状であり、紫外線発光ダイオード51(Ultraviolet Light Emitting Diode)を含む。
【0033】
ランプ50の下面には
図3にて示す紫外線発光ダイオード51が形成される。
図1に示すように、ランプ50の下面はプラテン5よりも上方に位置し、プラテン5に対して上方から対向する。ランプ50は
図3にて示す紫外線発光ダイオード51を発光させることで、印刷対象物に対して、紫外線をランプ50の下面から下方に照射する。
【0034】
図1に示すように、プリンタ1の右側には装着部8が設けられる。装着部8には、複数のカートリッジ3が装着される。各カートリッジ3は、それぞれ白インク、カラーインク等を収容する。一対のレール11のうち後側のレール11の後側には固定部材17が固定される。固定部材17はチューブ15を支持する。インクは各カートリッジ3からチューブ15の中を流れて各ヘッド10に供給される。
【0035】
図2に示すようにヘッド10の下面にはノズル面101が形成される。ノズル面101はプラテン5よりも上方に位置し、プラテン5に対して上方から対向する。ノズル面101には複数のノズル101aが形成される。ヘッド10は、印刷対象物に対して、ノズル面101の複数のノズル101aからインクを下方に吐出する。一例として、インクは紫外線が照射されることによって硬化する、いわゆる紫外線硬化型インクである。
【0036】
ヘッド10は、ノズル101aから吐出されるインクの寸法を変更可能である。本実施形態では、例えば、ヘッド10から吐出されるインクの液滴が大きい場合(以下、「L玉」ともいう。)と、液滴が小さい場合(以下、「S玉」ともいう。)との2つの寸法間で液滴の寸法を変更可能である。
【0037】
ヘッド10の前面の下方には、第一センサ38が設けられる。第一センサ38は、ヘッド10の温度を検出する。本実施形態では、第一センサ38は前側のヘッド10に設けられるが、後側のヘッド10に設けられてもよい。
【0038】
図3を参照し、プリンタ1の電気的構成を説明する。プリンタ1は制御基板40を備える。制御基板40にはCPU41、ROM42、RAM43、及びフラッシュメモリ44が設けられる。CPU41はプリンタ1の制御を司り、ROM42、RAM43、及びフラッシュメモリ44と電気的に接続する。
【0039】
ROM42は、CPU41がプリンタ1の動作を制御するための制御プログラム、各種プログラムの実行時にCPU41が必要な情報等を記憶する。RAM43は、制御プログラムで用いられる各種データ等を一時的に記憶する。
【0040】
フラッシュメモリ44は、不揮発性であり、印刷を行うための印刷データ等を記憶する。印刷データには、印刷対象物の吐出領域にインクが吐出される場合の印字率を示すduty比の情報、複数の層を形成するための重ね塗りの情報等が含まれている。
【0041】
CPU41には主走査モータ31、副走査モータ32、ヘッド駆動部33、昇降モータ34、紫外線発光ダイオード51、操作部37、及び第一センサ38が電気的に接続される。主走査モータ31、副走査モータ32、ヘッド駆動部33、昇降モータ34、紫外線発光ダイオード51、及び駆動モータ71はCPU41による制御によって駆動する。
図1において示した昇降機構9は副走査モータ32の駆動により、一対のレール12に沿って前後方向に移動する。
図1において示した昇降機構9は昇降モータ34の駆動により、上下方向に伸縮する。
図1及び
図2において示したヘッド10は、圧力素子、発熱素子等で構成されるヘッド駆動部33により駆動される。
図1及び
図2において示したヘッド10は、ヘッド駆動部33の駆動により、印刷対象物に対して、ノズル面101のノズル101aからインクを下方に吐出する。
【0042】
操作部37はタッチパネル等であり、ユーザによる操作に応じた情報をCPU41に出力する。ユーザは操作部37を操作することで、プリンタ1による印刷を開始するための印刷指示等をプリンタ1に入力できる。第一センサ38は、ヘッド10の温度の検出結果をCPU41に送信する。
【0043】
上記プリンタ1の構成によれば、プラテン5に印刷対象物が載置され、プラテン5が後方に移動した状態から印刷が開始される。印刷が開始されると、ヘッド10がインクを吐出し、ランプ50が紫外線を照射した状態でキャリッジ20が左右方向に往復移動する。これにより、印刷対象物にインクが付着し、付着したインクに紫外線が当たる。インクが紫外線により硬化し、印刷対象物に定着する。キャリッジ20が往復した後、プラテン5が所定量前方へ移動する。プリンタ1はこれらの動作を繰り返すことで印刷対象物への印刷を行う。
【0044】
図4に示すように、インクを硬化するために必要な紫外線の照度は、印刷時のduty比、温度等の環境条件によって異なる。本実施形態では、一例として、duty比が33%の場合を低duty比とし、duty比が100%の場合を高duty比とする。
【0045】
例えば、duty比が低duty比であり、且つ温度が18℃の場合、インクの硬化に必要な照度は、1.5W/cm2である。duty比が低duty比であり、且つ温度が25℃の場合、インクの硬化に必要な照度は、1.2W/cm2である。duty比が低duty比であり、且つ温度が30℃の場合、インクの硬化に必要な照度は、1.0W/cm2である。つまり、低duty比の場合、温度が低下するにつれて、必要となる照度は、所定の傾きα1で線形的に増加する。
【0046】
一方、duty比が高duty比であり、温度が18℃の場合、インクの硬化に必要な照度は、1.2W/cm2である。この場合、低duty比の場合に比して、インクの硬化に必要な照度が、0.3W/cm2低い。duty比が高duty比であり、且つ温度が25℃の場合、インクの硬化に必要な照度は、0.6W/cm2である。この場合、低duty比の場合に比して、インクの硬化に必要な照度が、0.6W/cm2低い。つまり、高duty比の場合、温度が低下するにつれて、インクの硬化に必要となる照度は、所定の傾きα2で線形的に増加する。傾きα2は、傾きα1よりも変化の割合が大きい。また、duty比が高くなるにつれて、温度に対する照度の変化の割合が大きくなる。
【0047】
図5に示すように、インクの液滴の大きさによっても、硬化に必要な紫外線の照度が異なる。テーブルAは、ヘッド10から吐出されるインクの液滴が大きいL玉の場合に、インクの硬化に必要な照度を示す。低duty比且つ高温の条件では、インクの硬化に必要な照度は、1.2W/cm
2である。低duty比且つ低温の条件では、インクの硬化に必要な照度は、1.5W/cm
2である。高duty比且つ高温の条件では、インクの硬化に必要な照度は、0.6W/cm
2である。また、高duty比且つ低温の条件では、インクの硬化に必要な照度は、1.2W/cm
2である。
【0048】
テーブルBは、ヘッド10から吐出されるインクの液滴が小さいS玉の場合に、インクの硬化に必要な照度を示す。低duty比且つ高温の条件では、インクの硬化に必要な照度は、2.4W/cm2である。低duty比且つ低温の条件では、インクの硬化に必要な照度は、3.0W/cm2である。高duty比且つ高温の条件では、インクの硬化に必要な照度は、0.6W/cm2である。また、高duty比且つ低温の条件では、インクの硬化に必要な照度は、1.2W/cm2である。
【0049】
テーブルAとテーブルBを比較した場合、高duty比且つ高温の条件では、インクの硬化に必要な照度は、共に0.6W/cm2となり、変化しない。同様に、高duty比且つ低温の条件では、インクの硬化に必要な照度は、共に1.2W/cm2となり変化しない。従って、プリンタ1は、高duty比の場合には、インクの液滴の大きさを考慮する必要性は小さい。
【0050】
一方、低duty比且つ高温の条件では、S玉のインクの硬化に必要な照度は、L玉のインクの場合に比べて2倍必要とする。同様に、低duty比且つ低温の条件では、S玉のインクの硬化に必要な照度は、L玉のインクの場合に比べて2倍必要とする。従って、プリンタ1は、低duty比の場合には、インクの液滴の大きさを考慮して照度を変更することが望ましい。
【0051】
図7を参照し、メイン処理を説明する。ユーザはプラテン5上に印刷対象物を載置する。ユーザは操作部37(
図3参照)を操作し、印刷指示をプリンタ1に入力する。印刷指示が入力されると、CPU41は、ROM42から制御プログラムを読み出して動作することで、メイン処理を実行する。
【0052】
メイン処理が開始されると、CPU41は、第一センサ38によりヘッド10の温度を取得させる(S1)。CPU41は、印刷データに基づきduty比を取得する(S3)。CPU41は、印刷データに基づき、duty比が高duty比であるか否か判断する(S5)。例えば、duty比の高低は、基準となる基準duty比が50%である場合を基準として判断される。この場合、基準duty比よりも高いdutyが高duty比と定義され、基準duty比よりも低いduty比が低duty比と定義される。
【0053】
高duty比であると判断した場合(S5:YES)、CPU41は、第一センサ38によるヘッド10の温度の検出結果が高温か否か判断する(S7)。高温であるか否かの判断は、例えば、所定の基準温度が25℃である場合を基準として判断する。基準温度よりも高い温度が高温と定義され、基準温度よりも低い温度が低温と定義される。
【0054】
第一センサ38によるヘッド10の温度の検出結果が高温であると判断した場合(S7:YES)、CPU41は、ランプ50が照射する紫外線を、高duty比且つ高温の条件で適切な照度に設定する(S9)。なお、
図5のテーブルA、Bによれば、高duty比の条件では、インクの硬化に必要な照度は、吐出される液滴の寸法によらない。このため、CPU41は、高duty比の場合、液滴の寸法を考慮する必要性が小さい。この場合、CPU41は、例えばテーブルA又はテーブルBを参照して、照射される紫外線の照度を0.6W/cm
2に設定する。CPU41は、処理をS11に進める。
【0055】
一方、第一センサ38によるヘッド10の温度の検出結果が低温であると判断した場合(S7:NO)、CPU41は、ランプ50が照射する紫外線を、高duty比且つ低温の条件で最適な照度に設定する(S17)。この場合、例えば、CPU41は、テーブルA又はテーブルBを参照して、照射される紫外線の照度を1.2W/cm2に設定する。CPU41は、処理をS11に進める。
【0056】
一方、低duty比であると判断した場合(S5:NO)、CPU41は、ヘッド10から吐出されるインクの液滴の寸法がL玉か否か判断する(S19)。なお、テーブルA、Bによれば、低duty比の条件では、吐出される液滴の寸法により、最適な紫外線の照度が変わる。従って、CPU41は、液滴の寸法に応じて紫外線の照度を設定する。
【0057】
インクの液滴の寸法が大きいL玉であると判断した場合(S19:YES)、CPU41は、第一センサ38によるヘッド10の温度の検出結果が高温か否か判断する(S21)。第一センサ38によるヘッド10の温度の検出結果が高温であると判断した場合(S21:YES)、CPU41は、ランプ50が照射する紫外線を、低duty比、L玉、且つ高温の条件で最適な照度に設定する(S23)。この場合、例えば、CPU41は、テーブルAを参照して、照射される紫外線の照度を1.2W/cm2に設定する。CPU41は、処理をS11に進める。
【0058】
一方、第一センサ38によるヘッド10の温度の検出結果が低温であると判断した場合(S21:NO)、CPU41は、ランプ50が照射する紫外線を、低duty比、L玉、且つ低温の条件で最適な照度に設定する(S25)。この場合、例えば、CPU41は、テーブルAを参照して、照度を、1.5W/cm2に設定する。CPU41は、処理をS11に進める。
【0059】
一方、液滴の寸法が小さいS玉であると判断した場合(S19:NO)、CPU41は、第一センサ38によるヘッド10の温度の検出結果が高温か否か判断する(S27)。第一センサ38によるヘッド10の温度の検出結果が高温であると判断した場合(S27:YES)、CPU41は、ランプ50が照射する紫外線を、低duty比、S玉、且つ高温の条件で最適な照度に設定する(S29)。この場合、例えば、CPU41は、テーブルBを参照して、照射される紫外線の照度を2.4W/cm2に設定する。CPU41は、処理をS11に進める。
【0060】
第一センサ38によるヘッド10の温度の検出結果が低温であると判断した場合(S27:NO)、CPU41は、ランプ50が照射する紫外線を、低duty比、S玉、且つ低温の条件で最適な照度に設定する(S31)。この場合、例えば、CPU41は、テーブルBを参照して、照射される紫外線の照度を3.0W/cm2に設定する。CPU41は、処理をS11に進める。
【0061】
ランプ50が照射する紫外線の照度が設定されると、CPU41は、印刷データに基づき、印刷処理を実行する(S11)。これにより、ヘッド10からインクが印刷対象物に吐出され、印刷対象物にインクの層が形成される。CPU41は、印刷対象物に吐出されたインクを硬化させるため、形成されたインクの層に対して、設定した照度でランプ50に紫外線を照射させる(S13)。
【0062】
CPU41は、印刷データに基づき、次のインクの層を印刷するか否か判断する(S15)。次のインクの層を印刷すると判断した場合(S15:YES)、CPU41は、処理をS1に戻す。この場合、再びCPU41は、duty比、温度等のデータを取得し(S1、S3)、取得したデータに基づき、最適な照度で次のインクの層を硬化させる(S13)。一方、次のインクの層を印刷しないと判断した場合(S15:NO)、CPU41は、メイン処理を終了する。
【0063】
以上説明したように、CPU41は、第一センサ38にヘッド10の温度を取得させる。CPU41は、印刷データに基づき、印刷対象物の吐出領域にインクが吐出される場合の印字率を示すduty比を取得する。CPU41は、第一センサ38に取得させた温度と取得されたduty比とに基づき、ランプ50により照射される紫外線の照度を設定する。
【0064】
これにより、プリンタ1は、印刷対象物に吐出されたインクを適切に硬化させつつ、インクが不吐出になることを抑制できる。
【0065】
第一センサ38は、ヘッド10に設けられ、ヘッド10の温度を検出する。プリンタ1は、ヘッド10の温度とduty比とに基づき、ランプ50により照射される紫外線の照度を設定できる。故に、プリンタ1は、さらに、ノズル101a内のインクが硬化して不吐出となる可能性を抑制できる。
【0066】
プリンタ1は、複数のインクの層を印刷する場合、インクの層毎にランプ50の紫外線の照度を設定する。これにより、プリンタ1は、印刷途中に環境温度が変化した場合にも、適切な紫外線の照度に設定できる。故に、プリンタ1は、印刷対象物に吐出されたインクを適切に硬化させつつ、ノズル101a内のインクが硬化して不吐出になるのを抑制できる。
【0067】
ヘッド10は、印刷対象物に対して紫外線硬化型のインクを吐出する。ランプ50は、印刷対象物に紫外線を照射する。プリンタ1は、紫外線硬化型のインクを硬化させるために紫外線を照射するランプ50を備えた場合にも、ノズル101a内のインクが硬化して不吐出になるのを抑制できる。
【0068】
本発明は上記実施形態から種々変更できる。以下説明する各種変形例は、矛盾が生じない限りそれぞれ組み合わせ可能である。上記実施形態のプリンタ1は、紫外線硬化型インクを採用した。これに対し、プリンタ1は例えば可視光又は赤外線が照射されることによって硬化するインクを採用してもよい。この場合、duty比及び温度に応じて、ランプ50は可視光又は赤外線を発光すればよい。
【0069】
上記実施形態では、第一センサ38は、ヘッド10の前側に設けられ、ヘッド10の温度を検出した。これに対し、第一センサ38は、ヘッド10の任意の位置に設けられてもよい。また、第一センサ38は、ヘッド10の内部に設けられ、ヘッド10の内部の温度を検出してもよい。また、第一センサ38は、プリンタ1内の任意の場所に設けられ、プリンタ1内の温度を検出してもよい。この場合、プリンタ1内の温度との関係で、紫外線の照度が設定されるとよい。また、第一センサ38は、ヘッド10のノズル面101に設けられ、ノズル101aの温度を検出してもよい。故に、プリンタ1は、ノズル101aの温度に基づき、ランプ50が照射する紫外線の照度を設定できる。故に、プリンタ1は、さらに、ノズル101a内のインクが硬化して不吐出となる可能性を抑制できる。
【0070】
上記実施形態では、第一センサ38が設けられた。これに対し、第一センサ38は設けられなくてもよい。この場合、例えば、ヘッド10に内蔵される温度センサの検出結果に基づき、紫外線の照度が設定さればよい。
【0071】
上記実施形態では、一つの第一センサ38が前側のヘッド10に設けられた。これに対し、第一センサ38は、前側のヘッド10に加えて、後側のヘッド10にも設けられてもよい。この場合、CPU41は、各ヘッド10の温度に応じて、それぞれ、ランプ50が照射する紫外線の照度を設定してもよい。つまり、前側のヘッド10と後側のランプ50は、取り付けられたヘッド10の温度に応じて、紫外線の照度がそれぞれ設定される。
【0072】
上記実施形態では、プリンタ1は、第一センサ38による温度の検出結果に基づき、紫外線の照度を設定した。これに対し、プリンタ1は、さらに、プリンタ内の湿度を検出する第二センサを備えてもよい。この場合、第二センサは、プリンタ内の任意の位置に設けられればよい。この場合、CPU41は、第一センサ38により取得した温度、取得されたduty比、及び第二センサにより取得した湿度に基づき、ランプ50により照射される紫外線の照度を設定してもよい。故に、インクを硬化させるための紫外線の照度が湿度により影響されやすい種類である場合、プリンタ1は、さらに、インクを適切に硬化させつつ、ノズル101a内のインクが硬化するのを抑制できる。
【0073】
第二センサは、プリンタ内のうち、ヘッド10に設けられもよいし、ノズル面101に設けられてもよい。さらに、第一センサ38と、第二センサとは、一体型のセンサであってもよい。この場合、プリンタ1は、省スペース化できる。
【0074】
上記実施形態のメイン処理では、CPU41は、duty比と温度の条件に基づき、テーブルA、Bを参照し、紫外線の照度を設定した。これに対し、CPU41は、例えば、
図4のグラフを参照して、紫外線が照射される照度を設定してもよい。これにより、CPU41は、duty比、温度の条件に基づき、段階的に紫外線の照度を設定可能となる。従って、CPU41は、吐出領域に対するインクの印字率が基準となる基準duty比よりも高い高duty比の場合、温度が低くなるにつれて、ランプ50に照射させる紫外線の照度を、所定の変化の割合である傾きα2で増加させてもよい。さらに、CPU41は、吐出領域に対するインクの印字率が基準duty比よりも低い低duty比の場合、温度が低くなるにつれて、ランプ50に照射させる紫外線の照度を、傾きα2よりも小さい変化の割合である傾きα1で増加させてもよい。プリンタ1は、基準duty比又は低duty比と温度との関係に応じて、紫外線の照度を線形的に増減可能である。故に、プリンタ1は、最適な照度を容易に設定できる。
【0075】
上記実施形態では、テーブルA、Bは、duty比が33%の場合を低duty比と定義し、duty比が100%の場合を高duty比と定義した。これに対し、プリンタ1は、これ以外の他のduty比との関係においても、適切な照度を詳細に設定できるよう、テーブルを備えるとよい。この場合、他のduty比に応じて、インクの硬化に必要な照度が適宜設定されるとよい。
【0076】
上記実施形態では、テーブルA、Bは、温度が25℃を基準として、25℃以下の場合を低温と定義し、25℃以上の場合を高温と定義した。これに対し、プリンタ1は、他の温度との関係においても、適切な照度を詳細に設定できるよう、テーブルを備えるとよい。この場合、他の温度に応じて、インクの硬化に必要な照度が適宜設定されるとよい。
【0077】
上記実施形態では、CPU41は、高温と低温の2つの状態に応じて、ランプ50に照射させる紫外線の照度を設定した。これに対し、CPU41は、第一センサ38により検出した温度が低温になるにつれて、ランプ50に照射させる紫外線の照度を上昇させてもよい。この場合、例えばプリンタ1は、低duty比の場合、液滴の寸法と温度とに基づき、ランプ50に照射させる紫外線の照度を設定する。故に、プリンタ1は、印刷対象物に吐出されたインクを適切に硬化させつつ、ノズル101a内のインクが硬化して不吐出になるのを抑制できる。
【0078】
上記実施形態では、ヘッド10は、吐出されるインクの液滴の寸法をL玉とS玉との間で変更可能であった。これに対し、ヘッド10は、吐出されるインクの液滴の寸法を連続的に可変可能であってもよい。この場合、CPU41は、吐出領域に対するインクの印字率が基準となる基準duty比よりも低い低duty比の場合、ヘッド10から吐出される液滴の寸法が小さくなるにつれて、ランプ50に照射させる紫外線の照度を上昇させてもよい。この場合、プリンタ1は、低duty比の場合、液滴の寸法に基づき、ランプ50に照射させる紫外線の照度を設定する。故に、プリンタ1は、さらに、印刷対象物に吐出されたインクを適切に硬化させつつ、ノズル101a内のインクが硬化して不吐出になるのを抑制できる。
【0079】
上記実施形態では、基準duty比は、50%で設定された。これに対し、基準duty比は、適宜設定されればよい。上記実施形態では、基準温度は、25℃で設定された。これに対し、基準温度は、適宜設定されればよい。
【0080】
上記実施形態において、紫外線、可視光、赤外線が本発明の「光」に相当する。ヘッド10が本発明の「ヘッド」に相当する。ランプ50が本発明の「ランプ」に相当する。プラテン5が本発明の「プラテン」に相当する。第一センサ38が本発明の「第一センサ」に相当する。CPU41が本発明の「コントローラ」に相当する。傾きα2が本発明の「第一割合」に相当する。傾きα1が本発明の「第二割合」に相当する。CPU41が実行するS1の処理が本発明の「第一取得ステップ」に相当する。CPU41が実行するS3の処理が本発明の「第二取得ステップ」に相当する。CPU41が実行するS9、S17、S23、S25、S29、S31の処理が本発明の「設定ステップ」に相当する。
【符号の説明】
【0081】
1 プリンタ
3 カートリッジ
5 プラテン
10 ヘッド
20 キャリッジ
38 第一センサ
41 CPU
50 ランプ
101 ノズル面
101a ノズル
α1、α2 傾き