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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187762
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】分離装置および吸引装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
A61M1/00 130
A61M1/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095931
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】501019963
【氏名又は名称】株式会社JR西日本メンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】大塘 悟史
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA15
4C077DD12
4C077DD22
4C077DD24
4C077KK11
4C077KK25
(57)【要約】
【課題】被吸引物が空気と共に下流側に排出されることを抑制できる分離装置を提供する。
【解決手段】分離装置2は、第1密閉容器と、細菌およびウィルスを除菌または殺菌するための薬剤を収容する第2密閉容器と、空気と共に吸引した被吸引物を第1密閉容器に案内する第1配管30と、第1密閉容器内に流入した空気を第1密閉容器外に案内する第2配管40と、第2配管40を流れた空気を第2密閉容器内に案内する第3配管60と、第3配管60から第2密閉容器内に流入する空気を第2密閉容器の内周面に向けて案内する案内部71とを備える
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1密閉容器と、
細菌およびウィルスを除菌または殺菌するための薬剤を収容する第2密閉容器と、
空気と共に吸引した被吸引物を上記第1密閉容器に案内する第1配管と、
上記第1密閉容器内に流入した空気を上記第1密閉容器外に案内する第2配管と、
上記第2配管を流れた空気を上記第2密閉容器内に案内する第3配管と、
上記第3配管から上記第2密閉容器内に流入する空気を上記第2密閉容器の内周面に向けて案内する案内部と
を備える、分離装置。
【請求項2】
上記案内部で案内される空気の流路面積は、上記第3配管で案内される空気の流路面積よりも小さい、請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
上記第3配管は、上記第2密閉容器内で空気の旋回流が生じるように、上記第2配管側から上記第2密閉容器側へ空気を案内する、請求項1または2に記載の分離装置。
【請求項4】
上記第2配管と上記第3配管を連結する連絡配管を備え、
上記連絡配管は、上記第3配管が延びた方向に交差する方向に延びた空気流路を画定しており、
上記空気流路の軸線は、上記第3配管で画定される空気流路の軸線から上記第3配管の径方向にずれている、請求項3に記載の分離装置。
【請求項5】
上記第2密閉容器内に流入した空気を上記第2密閉容器外に案内する第4配管を備え、
上記第4配管の外周面が上記第3配管の内周面と対向するように、上記第4配管が上記第4配管内に配置されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項6】
上記薬剤が充填された薬剤容器を備え、
上記薬剤容器内の上記薬剤は、上記第1密閉容器から上記第2密閉容器に向かって流れる空気に吸引されて混合される、請求項1から5のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項7】
上記被吸引物を空気と共に吸引する吸入口と、上記吸入口からの空気を外部に排出する排気口とを有する吸排気ブロックを備え、
上記吸排気ブロックは、上記第1密閉容器と上記第2密閉容器とに対して揺動可能である、請求項1から6のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項8】
上記排気口の下流側に配置された消臭剤を備える、請求項7に記載の分離装置。
【請求項9】
吸引装置本体と、
請求項1から8のいずれか1項に記載の分離装置と
を備え、
上記吸引装置本体は、上記分離装置よりも下流側に配置されている、吸引装置。
【請求項10】
上記吸引装置本体は、第1フィルタを備え、
上記分離装置は、上記第2密閉容器よりも下流側に設けられた第2フィルタを備え、
上記第2フィルタは、上記第1フィルタよりも目が細かい、請求項9に記載の吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば吐瀉物等の吸引に使用される分離装置と、この分離装置を備えた吸引装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分離装置としては、容器と、容器に接続された吸引側配管と、容器に接続された排気側配管とを備えたものがある(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
上記構成の分離装置では、患者から吸引された体液などが、吸引側配管を介して、空気と一緒に容器内に吸引される。このとき、上記体液は、容器内に貯留される一方、体液と共に容器内に吸引された空気は、排気側配管を介して排気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-147436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の分離装置では、体液などの被吸引物が空気と共に排気側配管を介して排出されることがある。
【0006】
本発明は、被吸引物が空気と共に下流側に排出されることを抑制できる分離装置と、この分離装置を備えた吸引装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
第1密閉容器と、
細菌およびウィルスを除菌または殺菌するための薬剤を収容する第2密閉容器と、
空気と共に吸引した被吸引物を上記第1密閉容器に案内する第1配管と、
上記第1密閉容器内に流入した空気を上記第1密閉容器外に案内する第2配管と、
上記第2配管を流れた空気を上記第2密閉容器内に案内する第3配管と、
上記第3配管から上記第2密閉容器内に流入する空気を上記第2密閉容器の内周面に向けて案内する案内部と
を備える、分離装置を提供する。
【0008】
ここで、上記被吸引物は、空気以外の液体、固体などであり、例えば吐瀉物である。
【0009】
上記構成によれば、第3配管から第2密閉容器内に流入する空気が第2密閉容器の内周面に向けて案内される。これにより、被吸引物が空気と共に第2密閉容器内に流入したとしても、空気が第2密閉容器の内周面に衝突することで空気と被吸引物とが分離され、被吸引物は、第2密閉容器に貯留される。その結果、被吸引物が空気と共に分離装置の下流側に排出されることを抑制できる。
【0010】
一実施形態の分離装置では、
上記案内部で案内される空気の流路面積は、上記第3配管で案内される空気の流路面積よりも小さい。
【0011】
上記実施形態によれば、案内部で案内される空気の流路面積が第3配管で案内される空気の流路面積よりも小さいので、第3配管から第2密閉容器内に流入する空気の流速を上げることができる。これにより、空気を第2密閉容器の内周面に衝突させやすくなり、空気と被吸引物とが分離しやすくなる。その結果、空気と共に被吸引物が排出されることを抑制できる。
【0012】
一実施形態の分離装置では、上記第3配管は、上記第2密閉容器内で空気の旋回流が生じるように、上記第2配管側から上記第2密閉容器側へ空気を案内する。
【0013】
上記実施形態によれば、空気が第2密閉容器内で旋回するので、遠心力により空気と被吸引物とが分離しやすくなる。その結果、空気と共に被吸引物が排出されることを抑制できる。
【0014】
一実施形態の分離装置は、
上記第2配管と上記第3配管を連結する連絡配管を備え、
上記連絡配管は、上記第3配管が延びた方向に交差する方向に延びた空気流路を画定しており、
上記空気流路の軸線は、上記第3配管で画定される空気流路の軸線から上記第3配管の径方向にずれている。
【0015】
一実施形態の分離装置は、
上記第2密閉容器内に流入した空気を上記第2密閉容器外に案内する第4配管を備え、
上記第4配管の外周面が上記第3配管の内周面と対向するように、上記第4配管が上記第4配管内に配置されている。
【0016】
一実施形態の分離装置は、
上記薬剤が充填された薬剤容器を備え、
上記薬剤容器内の上記薬剤は、上記第1密閉容器から上記第2密閉容器に向かって流れる空気に吸引されて混合される。
【0017】
上記実施形態によれば、第1密閉容器と第2密閉容器との間を流れる空気に薬剤容器から薬剤を混合することで、第2密閉容器内に空気と共に流入する被吸引物に含まれる細菌およびウィルスを除菌または殺菌できる。
【0018】
また、第1密閉容器と第2密閉容器との間を流れる空気に薬剤容器から薬剤を混合することで、第2密閉容器内に空気と共に流入する被吸引物の濡れ性が高まる。これにより、被吸引物が第2密閉容器の内周面に粘着しやすくなり、空気と被吸引物とが分離しやすくなる。その結果、被吸引物が空気と共に下流側に排出されることを抑制できる。
【0019】
一実施形態の分離装置は、
上記被吸引物を空気と共に吸引する吸入口と、上記吸入口からの空気を外部に排出する排気口とを有する吸排気ブロックを備え、
上記吸排気ブロックは、上記第1密閉容器と上記第2密閉容器とに対して揺動可能である。
【0020】
吸入口に被吸引物を吸引するためのホースが取り付けられている場合に、上記ホースの動きにより、第1密閉容器および第2密閉容器が傾くと、第1密閉容器内に回収された被吸引物が吸入口に逆流したり、第2密閉容器内に収容された薬剤が排気口に流入したりするおそれがある。これに対して、上記実施形態によれば、吸排気ブロックが第1密閉容器および第2密閉容器に対して揺動可能であるので、吸排気ブロックが傾いたときでも、第1密閉容器と第2密閉容器とが傾くことを抑制できる。
【0021】
一実施形態の分離装置は、上記排気口の下流側に配置された消臭剤を備える。
【0022】
上記実施形態によれば、排気口から排出される空気の臭気を消臭剤で低減できる。
【0023】
本発明の一態様の吸引装置は、
吸引装置本体と、
請求項1から8のいずれか1項に記載の分離装置と
を備え、
上記吸引装置本体は、上記分離装置よりも下流側に配置されている。
【0024】
上記構成によれば、分離装置の下流側に吸引装置本体を配置するので、被吸引物が吸引装置本体に向かうのを防ぐことができる。したがって、吸引装置本体が被吸引物の吸引で故障する可能性を下げることができる。
【0025】
一実施形態の吸引装置では、
上記吸引装置本体は、第1フィルタを備え、
上記分離装置は、上記第2密閉容器よりも下流側に設けられた第2フィルタを備え、
上記第2フィルタは、上記第1フィルタよりも目が細かい。
【0026】
上記実施形態によれば、第2密閉容器からの排気と共に流れる被吸引物を第2フィルタで捕獲できる。したがって、吸引装置本体が被吸引物の吸引で故障する可能性を下げることができる。
【0027】
また、第2フィルタの目が第1フィルタの目よりも粗い場合、第2密閉容器からの排気に含まれる塵などのうち第2フィルタで捕獲できなかったものにより第1フィルタが目詰まりして、吸引装置本体に負荷がかかることがある。これに対して、第2フィルタの目が、第1フィルタの目よりも細かいので、吸引装置本体には清浄な空気が供給される。このため、第2密閉容器からの排気に含まれる塵などにより、第1フィルタが目詰まりすることが抑制され、吸引装置本体にかかる負荷を低減できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、被吸引物が空気と共に下流側に排出されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態に係る吸引装置の構成の模式図である。
図2】実施形態に係る分離装置の斜視図である。
図3】実施形態に係る分離装置の概略縦断面図である。
図4図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図3のV-V線沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の分離装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0031】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態の吸引装置の構成を示す模式図である。なお、図1では、分離装置2を四角のブロックで示している。
【0032】
上記吸引装置は、吸引装置本体1、分離装置2および吸引ノズル3を備え、吐瀉物100を吸引する。この吐瀉物100の吸引時、吸引ノズル3で吸引された空気が、分離装置2を通過した後、吸引装置本体1に流入する。なお、吐瀉物100は、被吸引物の一例である。
【0033】
吸引装置本体1は、分離装置2の下流側に配置され、吸込口11を有する。この吸引装置本体1は、バッテリ12を搭載していることにより、電源コードを気にすることなく、把手13を掴んで持ち運び可能となっている。また、吸引装置本体1は、バッテリ12から電力供給を受けるモータ14と、このモータ14によって回転駆動されるファン15とを収容している。このファン15の回転駆動により、吸引力が発生する。ファン15の上流側には、吸引される空気から液体、固体などを取り除くフィルタ16が設けられている。本実施形態のフィルタ16は、本発明に係る第1フィルタの一例である。吸引装置本体1としては、例えば、2.0kg~3.0kgの小型集塵機が使用可能である。
【0034】
分離装置2は、空気と吐瀉物100とを分離する。より詳しく説明すると、分離装置2は、吸引ノズル3側から空気と共に流れてくる吐瀉物100を回収して、吐瀉物100が吸引装置本体1側に流れるのを防ぐ働きをする。また、分離装置2は、吸引装置本体1の吸込口11に接続されて、吸引装置本体1と一体となる。これにより、吸引装置本体1と共に分離装置2を持ち運びすることが可能である。また、分離装置2の重量は、例えば1.0kg~2.0kgの範囲内に収まっている。
【0035】
吸引ノズル3は、自由自在に曲げることが可能な樹脂製の延長ホース4を介して、分離装置2に接続されている。
【0036】
図2は、分離装置2の斜視図である。図3は、分離装置2を鉛直面で切ったときの断面を示す概略図である。図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。図5は、図3のV-V線に沿った断面図である。図3から図5において、分離装置2内での空気の流れを矢印で示している。
【0037】
分離装置2は、外部から空気と共に吐瀉物100を吸引するための吸入口2aと、外部に空気を排気する排気口2bとを備える。吸入口2aは、延長ホース4(図1に示す)を介して吸引ノズル3(図1に示す)に接続されている。排気口2bは、図示しないホースなどを介して、吸引装置本体1の吸込口11(図1に示す)に接続されている。
【0038】
延長ホース4の内径は、吐瀉物100などを吸引する力を上げるために、吸引される空気の流速を上げるように、排気口2bに接続されたホース(図示せず)の内径よりも小さくなっている。延長ホース4の内径は、例えば、10mm~25mmである。一方で、上記ホースの内径は、排気抵抗を低減するために延長ホース4の内径よりも大きくなっている。上記ホースの内径は、例えば、25mm~50mmである。
【0039】
分離装置2は、図3に示すように、第1容器20と、第1配管30と、第2配管40とを備えている。また、分離装置2は、第1容器20と同じ容量の第2容器50と第3配管60と、第4配管70とを備える。更に分離装置2は、連絡配管80と、吸排気ブロック90とを備える。
【0040】
第1容器20は、第1配管30からの吐瀉物100を貯留する容器本体部21と、容器本体部21の上部に設けられた口部22とを有する。容器本体部21の側部は円筒形状に形成されている。また、口部22の外周面には、第1蓋部23の内周面のネジに螺合可能なネジが設けられている。なお、第1容器20および第1蓋部23が、第1密閉容器の一例である。
【0041】
第1蓋部23は、第1容器20の口部22の開口を塞ぐ。この第1蓋部23は、第2配管40の外周面に連結されている。これにより、第1蓋部23の内周面のネジに口部22の外周面のネジを螺合させると、第1容器20が第2配管40と一体化する。また、上記第1蓋部23の内周面のネジと口部22の外周面のネジとの螺合を解除すると、第1容器20は、第2配管40から取り外せる。すなわち、第1蓋部23および口部22によって、第2配管40に対して第1容器20が着脱可能となっている。
【0042】
第1配管30は、空気と共に吸引した吐瀉物100を第1容器20に案内する。第1配管30は、直管形状である。また、第1配管30の外周面が第2配管40の内周面に対向するように、第1配管30は、第2配管40内に配置されている。すなわち、第1配管30は、第2配管40に挿通されている。第1配管30の一端部30aが第1容器20内に位置する一方、第1配管30の他端部30bが第1容器20外に位置する。
【0043】
第1配管30の一端部30aには、閉鎖部材31と、保持部材32とが取り付けられている。
【0044】
閉鎖部材31は、円筒形状のフロートであり、例えばゴム材料で形成されている。また、閉鎖部材31は、中空状である。この閉鎖部材31は、第1容器20内に配置されて、第1配管30の外周面と第2配管40の内周面との間の空間の入口に対向する。また、閉鎖部材31は、第1容器20内の吐瀉物100の貯留量の増加に応じて、上記入口を閉鎖する。
【0045】
閉鎖部材31は、遊びを持った状態で第1配管30の一端部30aに外嵌されて、第1配管30の軸方向に移動可能になっている。また、閉鎖部材31は、第1配管30の一端部30aに設けられた保持部材32で支持されている。
【0046】
第2配管40は、第1容器20内に流入した空気を第1容器20外に排出する。第2配管40は、直管形状である。また、第2配管40は、第1容器20の口部22に挿通されている。第2配管40の外径は、第1容器20の口部22の内径よりも若干小さくしている。また、第2配管40からは第1配管30の一端部30aが容器本体部21の底部側に向かって突出している。第1容器20内に流入した空気は、第1配管30の外周面と第2配管40の内周面との間の空間に吸引されて、第2容器50側に向かって流れる。
【0047】
第2容器50は、第2配管40の下流側に配置されている。この第2容器50は、第1容器20と同様に、容器本体部51および口部52を有する。容器本体部51の側部は、円筒状に形成されている。また、口部52の外周面には、第2蓋部53の内周面のネジに螺合可能なネジが設けられている。また、第2容器50は、細菌およびウィルスを除菌または殺菌するための薬剤(例えば次亜塩素酸ナトリウム)を収容している。本実施形態では、上記薬剤は、水溶液として貯蔵されている。なお、第2容器50および第2蓋部53は、第2密閉容器の一例である。
【0048】
第2蓋部53は、第2容器50の口部52の開口を塞ぐ。この第2蓋部53は、第3配管60の外周面に連結されている。これにより、第2蓋部53の内周面のネジに口部52の外周面のネジを螺合させると、第2容器50が第3配管60と一体化する。また、上記第2蓋部53の内周面のネジと口部52の外周面のネジとの螺合を解除すると、第2容器50は、第3配管60から取り外せる。すなわち、第2蓋部53および口部52によって、第3配管60に対して第2容器50が着脱可能となっている。
【0049】
第3配管60は、第1容器20から排出された空気を第2容器50に案内する。第3配管60は、直管形状である。第3配管60は、第2容器50の口部52に挿通されている。第3配管60の外径は、第2容器50の口部52の内径よりも若干小さくしている。
【0050】
第4配管70は、第2容器50内に流入した空気を第2容器50外に排出する。第4配管70は、直管形状である。第4配管70の外周面が第3配管60の内周面に対向するように、第4配管70は、第3配管60内に配置されている。すなわち、第4配管70は、第3配管60に挿通されている。第4配管70の一端部70aが第2容器50内に位置する一方、第4配管70の他端部70bは、第2容器50外に位置する。
【0051】
第4配管70の一端部70aは、第3配管60から容器本体部51の底部側に向かって突出している。第3配管60の内周面と第4配管70の外周面との間の空間を流れた空気は、第2容器50内に流入する。
【0052】
第4配管70の外周面には、ガイド71が取り付けられている。本実施形態のガイド71は、本発明に係る案内部の一例である。
【0053】
ガイド71は、第3配管60の内周面と第4配管70の外周面との間の空間の出口に配置されている。ガイド71は、上記空間の出口から第2容器50内に排出される空気を案内する。
【0054】
ガイド71は、第3配管60から離れるに従って大きくなるように形成されている拡径部71aを備える。これにより、拡径部71aの外周面は、円錐台面を呈する。本実施形態では、第3配管60の内周面と第4配管70の外周面との間の空間の出口から排出される空気は、拡径部71aの外周面に案内されて、第3配管60の径方向外側に向けて流れる。これにより、上記空間の出口から第2容器50内に排出される空気は、容器本体部51の内周面に向けて流れる。
【0055】
また、第3配管60の内周面と第4配管70の外周面との間の空間の出口での空気の流路面積、つまりガイド71で案内された空気の流路面積は、第3配管60内で案内された空気の流路面積よりも小さい。つまり、ガイド71により、第3配管60の内周面と第4配管70の外周面との間の空間での空気流路は、上記空間の出口において絞られている。
【0056】
連絡配管80は、第2配管40を流れた空気を第3配管60に案内する。連絡配管80は、第1端部81と、第2端部82と、第3端部83と、第4端部84と、第1端部81側からの空気を第3端部83側に案内する部分となる連絡部85とを有する。
【0057】
第1端部81の内周面には、第2配管40の外周面のネジに螺合可能なネジが設けられている。第1端部81の内周面のネジに第2配管40の外周面のネジを螺合させると、第2配管40と、連絡配管80とが一体化する。
【0058】
第2端部82には、第1キャップ部材86の一端部86aが取り付けられている。この第1キャップ部材86の一端部86aには、第1配管30の他端部30bが嵌合している。
【0059】
第2端部82の外周面には、第3蓋部87の内周面のネジに螺合可能なネジが設けられている。また、第3蓋部87は、第1キャップ部材86の外周面に連結されている。第2端部82の開口は、第1キャップ部材86と第3蓋部87とで閉鎖されている。これにより、第1端部81側から連絡配管80内に流入した空気が、第2端部82の開口を通って流出しないようにしている。
【0060】
第1端部81から第2端部82までの部分の内径は、第1配管30の外径よりも大きくしている。また、上記部分の軸線は、第1配管30と略一致する。すなわち、第1配管は、上記部分に対して同心状に配置されている。
【0061】
第3端部83の内周面には、第3配管60の外周面のネジに螺合可能なネジが設けられている。第3端部83の内周面のネジに第3配管60の外周面のネジを螺合させると、第3配管60と、連絡配管80とが一体化する。
【0062】
第4端部84には、第2キャップ部材88の一端部88aが嵌合している。この第2キャップ部材88の一端部88aには、第4配管70の他端部70bが嵌合している。
【0063】
第4端部84の外周面には、第4蓋部89の内周面のネジに螺合可能なネジが設けられている。また、第4蓋部89は、第2キャップ部材88の外周面に連結されている。第4端部84の開口は、第2キャップ部材88と第4蓋部89とで閉鎖されている。これにより、第1端部81側から連絡配管80内に流入した空気が、第4端部84の開口を通って流出しないようにしている。
【0064】
第3端部83から第4端部84までの部分の内径は、第4配管70の外径よりも大きくしている。また、上記部分の軸線は、第3配管60の軸線と略一致する。同様に、上記部分の軸線は、第4配管70の軸線と略一致する。すなわち、第3配管60と第4配管70とは、上記部分に対して同心状に配置されている。また、上記部分で画定される空気流路の軸線と、第3配管60で画定される空気流路の軸線C1とは、略一致している。
【0065】
連絡部85は、第1端部81側、つまり第1容器20側から排出された空気を、第3端部83側、つまり第2容器50側に案内する。連絡部85が画定する空気流路は、第3端部83から第4端部84までの部分が延びる方向と略直交する方向に延びている。つまり、連絡部85での空気流路は、第3配管60が延びる方向と略直交する方向に延びている。また、図4を併せて参照すると、本実施形態の連絡部85での空気流路の軸線C2は、第3配管60で画定される空気流路の軸線C1から第3配管60の径方向にずれている。これにより、連絡部85を流れた空気は、上記部分のうち軸線C1から軸線C1を中心とする径方向にずれた位置に導入される。
【0066】
連絡部85には、薬剤容器5(図2に示す)から第2容器50に収容された薬剤と同一の薬剤が供給される。薬剤容器5に充填された薬剤は、連絡部85を流れる空気によって生じる圧力差によって連絡部85内に吸引される。これにより、連絡部85を流れる空気に薬剤が混合される。
【0067】
吸排気ブロック90は、本体部91と、本体部91に対して揺動可能に取り付けられた把手92とを備える。
【0068】
図5を併せて参照すると、本体部91には、吸入口2aと、排気口2bと、第1ポート91aと、第2ポート91bとが設けられている。吸入口2aと排気口2bとは、対向して配置されている。第1ポート91aと第2ポート91bとは、対向して配置されている。
【0069】
第1ポート91aには、第1連結配管93が接続されている。また、第2ポート91bには、第2連結配管94が接続されている。また、第1連結配管93の軸線と第2連結配管94の軸線とは略一致する。つまり、第1連結配管93と第2連結配管94とは同心状に配置されている。
【0070】
第1連結配管93の一端部93aは、第1ポート91aに接続されている。一方、第1連結配管93の他端部93bは第1キャップ部材86の他端部86bに接続されている。この第1連結配管93により、本体部91内の空間が、第1キャップ部材86を介して第1配管30内の空間に連通している。
【0071】
第2連結配管94の一端部94aは、第2ポート91bに接続されている。一方、第2連結配管94の他端部94bは第2キャップ部材88の他端部88bに接続されている。この第2連結配管94により、本体部91内の空間が、第2キャップ部材88を介して第4配管70内の空間に連通している。
【0072】
本体部91内には、隔壁部91cが設けられている。これにより、吸入口2aと第1ポート91aとを流体的に接続する空気流路が画定されている。この空気流路では、吸入口2aからの空気が第1配管30側に向かって流れる。また、本体部91内には、排気口2bと第2ポート91bとを流体的に接続する空気流路が画定されている。この空気流路では、第2容器50側の空気が吸引装置本体1(図1に示す)に向かって流れる。
【0073】
本体部91は、第1連結配管93および第2連結配管94に対して回転可能に取り付けられている。これにより、吸排気ブロック90は、第1容器20および第2容器50に対して揺動可能になっている。
【0074】
排気口2bには、吐出配管95が挿通されている。この吐出配管95は、図示しないホースなどを介して吸引装置本体1の吸込口11(図1に示す)に接続されている。
【0075】
吐出配管95内には、消臭剤96が配置されている。つまり、排気口2bの下流側には消臭剤96が配置されている。本実施形態の消臭剤96は、吸収型消臭剤である。排気口2bから排出された空気は、消臭剤96を通過してから吸引装置本体1(図1に示す)に流れる。
【0076】
吐出配管95の出口には、フィルタ97が取り付けられている。つまり、排気口2bの下流側には、フィルタ97が配置されている。本実施形態のフィルタ97は、HEPAフィルタである。排気口2bから排出された空気は、フィルタ97を通過してから吸引装置本体1(図1に示す)に流れる。本実施形態のフィルタ97は、吸引装置本体1に設けられた集塵用のフィルタ16よりも目が細かいフィルタである。本実施形態のフィルタ97は、本発明に係る第2フィルタの一例である。
【0077】
上記構成の吸引装置では、吐瀉物100は吸引ノズル3から分離装置2に空気と共に送られる。分離装置2に吸引された吐瀉物100と空気とは、吸入口2aから流入して、第1連結配管93と、第1キャップ部材86と、第1配管30とを通過して、第1容器20内に流入する。このとき、空気と共に吸引された吐瀉物100は、第1容器20内に貯留される。
【0078】
第1容器20で吐瀉物100と分離された空気は、第1配管30の外周面と第2配管40の内周面との間の空間に流入し、連絡配管80と、第3配管60とを介して、第2容器50内に流入する。このとき、連絡部85を流れた空気は、第3端部83から第4端部84までの部分に軸線C1から軸線C1の径方向にずれた位置に導入される。これにより、連絡配管80の上記部分内および第3配管60内において、空気は、軸線C1を中心に旋回しながら第2容器50側に向かって流れる。上記部分内では、空気は、上記部分の内周面と、第4配管70の外周面との間の空間を流れる。一方で、第3配管60内では、空気は、第3配管60の内周面と第4配管70の外周面との間の空間を流れる。
【0079】
第3配管60の内周面と第4配管70の外周面との間の空間に流入した空気は、上記空間の出口から第2容器50内に排出される。このとき、上記出口から第2容器50内に排出された空気は、ガイド71によって案内されて、軸線C1を中心に旋回しながら第2容器50の内周面に向けて流れる。これにより、第2容器50内では、空気の旋回流が生じる。
【0080】
第2容器50内では、空気とともに第2容器50に流入した吐瀉物100が第2容器50の内周面に衝突して付着することで、空気と吐瀉物100とが分離される。第2容器50の内周面に付着した吐瀉物100は、上記内周面に沿って下方に移動し、薬剤により除菌または殺菌される。
【0081】
その後、空気は、第4配管70と、第2キャップ部材88と、第2連結配管94とを介して吸排気ブロック90に設けられた排気口2bから排出される。
【0082】
本実施形態に係る分離装置2および分離装置2を備えた吸引装置は、以下の機能を有する。
【0083】
ガイド71により、第3配管60から第2容器50内に流入する空気が第2容器50の内周面に向けて案内される。これにより、吐瀉物100が空気と共に第2容器50内に流入したとしても、空気が第2容器50の内周面に衝突することで空気と吐瀉物100とが分離され、吐瀉物100は、第2容器50で捕獲される。その結果、吐瀉物100が空気と共に下流側に排出されることを抑制できる。
【0084】
第3配管60の内周面と第4配管70の外周面との間の空間の出口での空気の流路面積が第3配管60内の空気の流路面積よりも小さいので、上記空間の出口から第2容器50内に流入する空気の流速を上げることができる。これにより、空気を第2容器50の内周面に衝突させやすくなり、第2容器50内で空気と吐瀉物100とが分離しやすくなる。その結果、吐瀉物100が空気と共に下流側に排出されることを抑制できる。
【0085】
空気が第2容器50内で旋回しながら流れるので、遠心力により空気と吐瀉物100とが分離しやすくなる。その結果、吐瀉物100が空気と共に第2容器50から排出されることを抑制できる。
【0086】
第1容器20と第2容器50との間を流れる空気に薬剤容器5から薬剤を混合することで、第2容器50内に空気と共に流入する吐瀉物100に含まれる細菌およびウィルスを除菌または殺菌できる。その結果、第2容器50からの排気の衛生状態を良好に保つことができる。
【0087】
また、第1容器20と第2容器50との間を流れる空気に薬剤容器5から薬剤を混合することで、第2容器50内に空気と共に吐出される吐瀉物100の濡れ性が高まる。これにより、吐瀉物100が第2容器50の内周面に粘着しやすくなり、空気と吐瀉物100とが離しやすくなる。その結果、吐瀉物100が第2容器50から空気と共に排出されることを抑制できる。
【0088】
吸入口2aに吐瀉物100を吸引するための延長ホース4が取り付けられている場合、延長ホース4の動きにより、第1容器20および第2容器50が傾くと、第1容器20内に貯留された吐瀉物100が吸入口2aに逆流したり、第2容器50内に収容された薬剤が排気口2bに流入したりするおそれがある。これに対して、吸排気ブロック90が第1容器20および第2容器50に対して揺動可能であるので、延長ホース4の動きなどにより吸排気ブロック90が傾いたときでも、第1容器20と第2容器50とが傾くことを抑制できる。
【0089】
排気口2bの下流側に消臭剤96が配置されているので、排気口2bから排出される空気の臭気を消臭剤で低減できる。
【0090】
分離装置2の下流側に吸引装置本体1を配置するので、吐瀉物100が吸引装置本体1に向かうのを防ぐことができる。したがって、吸引装置本体1が吐瀉物100の吸引で故障する可能性を下げることができる。
【0091】
排気口2bの下流側にフィルタ97が設けられているので、吐瀉物100が第2容器50から空気とともに排出された場合であっても、吐瀉物100をフィルタ97で捕獲できる。したがって、吸引装置本体1が吐瀉物100の吸引で故障する可能性を下げることができる。
【0092】
仮にフィルタ97の目が、吸引装置本体1に設けられた集塵用のフィルタ16の目よりも粗いと、フィルタ97で捕獲できなかった塵などによりフィルタ16が目詰まりして、吸引装置本体1のモータ14に負荷がかかることがある。これに対して、本実施形態では、フィルタ97の目が、吸引装置本体1に設けられた集塵用のフィルタ16の目よりも細かいので、吸引装置本体1には清浄な空気が吸引される。このため、分離装置2から排出された空気に含まれる塵などによるフィルタ16の目詰まりが抑制され、吸引装置本体1のモータ14の負荷を低減できる。
【0093】
上記実施形態において、フィルタ97の上流側または下流側にさらにフィルタを設けてもよい。上記フィルタをフィルタ97の上流側に設ける場合、上記フィルタは、フィルタ97よりも目が粗くてもよい。上記フィルタをフィルタ97の下流側に設ける場合、上記フィルタは、フィルタ97よりも目が細かくてもよい。
【0094】
上記実施形態では、吸引装置本体1は、コードレスタイプであったが、非コードレスタイプにしてもよい。
【0095】
上記実施形態において、吸引ノズル3は、吐瀉物100に向けて例えば水または除菌剤等の液体を噴射する機能を有してもよい。このようにした場合、吐瀉物100の乾燥が進んでいるとき、吐瀉物100を水等の水分で軟化させて、吐瀉物100を容易に吸引することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 吸引装置本体
2 分離装置
2a 吸入口
2b 排気口
3 吸引ノズル
4 延長ホース
5 薬剤容器
11 吸込口
12 バッテリ
13 把手
14 モータ
15 ファン
16 フィルタ
20 第1容器
21 容器本体部
22 口部
23 第1蓋部
30 第1配管
30a 一端部
30b 他端部
31 閉鎖部材
32 保持部材
40 第2配管
50 第2容器
51 容器本体部
52 口部
53 第2蓋部
60 第3配管
70 第4配管
70a 一端部
70b 他端部
71 ガイド
71a 拡径部
80 連絡配管
81 第1端部
82 第2端部
83 第3端部
84 第4端部
85 連絡部
86 第1キャップ部材
86a 一端部
86b 他端部
87 第3蓋部
88 第2キャップ部材
88a 一端部
88b 他端部
89 第4蓋部
90 吸排気ブロック
91 本体部
91a 第1ポート
91b 第2ポート
91c 隔壁部
92 把手
93 第1連結配管
93a 一端部
93b 他端部
94 第2連結配管
94a 一端部
94b 他端部
95 吐出配管
96 消臭剤
97 フィルタ
100 吐瀉物
図1
図2
図3
図4
図5