(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187764
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】照明システムおよび電力供給装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/135 20200101AFI20221213BHJP
H05B 45/345 20200101ALI20221213BHJP
H05B 45/34 20200101ALI20221213BHJP
H05B 45/325 20200101ALI20221213BHJP
H05B 45/385 20200101ALI20221213BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20221213BHJP
H05B 45/395 20200101ALI20221213BHJP
H05B 47/195 20200101ALI20221213BHJP
H05B 45/38 20200101ALI20221213BHJP
【FI】
H05B47/135
H05B45/345
H05B45/34
H05B45/325
H05B45/385
H05B45/375
H05B45/395
H05B47/195
H05B45/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095933
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雄一郎
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA26
3K273CA02
3K273EA03
3K273EA06
3K273EA07
3K273EA21
3K273EA25
3K273EA39
3K273FA14
3K273FA26
3K273FA27
3K273FA28
3K273GA02
3K273GA14
3K273GA17
(57)【要約】
【課題】接続機器の定電流回路を省略することができる照明システムおよび電力供給装置を得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る照明システムは、電源回路と、前記電源回路を制御する制御部と、を備える電力供給装置と、前記電力供給装置に接続され、前記電源回路の出力電力が供給される接続機器と、を備え、前記制御部は、前記接続機器の種類に応じて前記出力電力を定電流制御または定電圧制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源回路と、前記電源回路を制御する制御部と、を備える電力供給装置と、
前記電力供給装置に接続され、前記電源回路の出力電力が供給される接続機器と、
を備え、
前記制御部は、前記接続機器の種類に応じて前記出力電力を定電流制御または定電圧制御することを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記接続機器が照明器具であるとき前記出力電力を定電流制御することを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記照明器具は定電流回路を備えないことを特徴とする請求項2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記電源回路は、通信線を介して前記接続機器に前記出力電力を供給することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の照明システム。
【請求項5】
前記接続機器は前記電力供給装置の出力端子に接続され、
前記制御部は、前記出力端子から前記接続機器に予め定められた電流を供給したときに前記出力端子に発生する電圧に応じて、前記出力電力を定電流制御または定電圧制御することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の照明システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記電源回路に電力が供給されると、前記出力端子から前記接続機器に前記予め定められた電流を供給して前記出力端子に発生する電圧を検出し、前記出力端子に発生する電圧に応じて前記出力電力を定電流制御または定電圧制御することを特徴とする請求項5に記載の照明システム。
【請求項7】
前記接続機器は照明器具であり、
前記照明器具に前記予め定められた電流が供給された場合に、前記照明器具は点灯しないことを特徴とする請求項5または6に記載の照明システム。
【請求項8】
前記接続機器は前記電力供給装置の出力端子に接続され、
前記制御部は、前記出力端子から前記接続機器に予め定められた電圧を供給したときに前記出力端子に流れる電流に応じて、前記出力電力を定電流制御または定電圧制御することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の照明システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記電源回路に電力が供給されると、前記出力端子から前記接続機器に前記予め定められた電圧を供給して前記出力端子に流れる電流を検出し、前記出力端子に流れる電流に応じて前記出力電力を定電流制御または定電圧制御することを特徴とする請求項8に記載の照明システム。
【請求項10】
前記接続機器は照明器具であり、
前記照明器具に前記予め定められた電圧が供給された場合に、前記照明器具は点灯しないことを特徴とする請求項8または9に記載の照明システム。
【請求項11】
前記接続機器は、前記出力端子間に接続される負荷判別用抵抗を備えることを特徴とする請求項5から10の何れか1項に記載の照明システム。
【請求項12】
前記接続機器は、前記定電流制御または前記定電圧制御時に前記負荷判別用抵抗に電流を流す経路を遮断する遮断回路を備えることを特徴とする請求項11に記載の照明システム。
【請求項13】
前記制御部は、前記接続機器の種類に応じて前記出力電力の電圧または電流の値を変更することを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の照明システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記接続機器が接続されていないとき、前記電源回路の動作を停止させることを特徴とする請求項1から13の何れか1項に記載の照明システム。
【請求項15】
前記電源回路は、第1電源回路と第2電源回路を有し、
前記接続機器は、前記第1電源回路から第1出力電力を供給される第1接続機器と、前記第2電源回路から第2出力電力を供給される第2接続機器とを含み、
前記制御部は、前記第1接続機器の種類に応じて前記第1出力電力を定電流制御または定電圧制御し、前記第2接続機器の種類に応じて前記第2出力電力を定電流制御または定電圧制御することを特徴とする請求項1から14の何れか1項に記載の照明システム。
【請求項16】
前記第1電源回路は、通信線を介して前記第1接続機器に前記第1出力電力を供給し、
前記第2電源回路は、通信線を介して前記第2接続機器に前記第2出力電力を供給し、
前記第1接続機器は照明器具であり、
前記制御部は、前記第2接続機器から前記通信線を介して受信した信号に応じて、前記照明器具に供給する前記第1出力電力を制御することを特徴とする請求項15に記載の照明システム。
【請求項17】
出力電力を接続機器に供給する電源回路と、
前記接続機器の種類に応じて前記出力電力を定電流制御または定電圧制御する制御部と、
を備えることを特徴とする電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明システムおよび電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、データ接続を介して電気消費機器に電力供給する装置が開示されている。この装置は、データ接続を介して電気消費機器に電力供給するための電源と、電気消費機器に送信されるべきデータを受信するデータ受信ユニットを備える。また、装置は、電気消費機器に送信されるべきデータが受信され、且つ、電気消費機器への電力供給が非動作化されている場合に、データ接続を介した電気消費機器への電力供給を動作化するためのコントローラーを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、通信ケーブルを介して照明器具へ電力供給とデータ伝送するシステムがある。一般に、通信ケーブルとしてイーサネット(登録商標)ケーブルを用いて電気消費機器に電気エネルギーを供給するシステムは、パワーオーバーイーサネット(PoE:Power-over-Ethernet)としてIEEE 802.3にて規格化されている。イーサネットケーブルはLAN(Local Area Network)ケーブルとも呼ばれる。PoEを照明システムに適用することで、光源点灯用の電力と光源の明るさを指示する調光信号とを1本のLANケーブルで伝送することができる。従って、配線の削減が可能となる。
【0005】
また、給電装置(PSE:Power Sourcing Equipment)には照明器具に限らず、各種センサをLANケーブルで接続することができる。つまり、給電装置から各種センサへの電力供給と信号データの送受信が可能である。各種センサは例えば照度センサまたは人感センサである。これにより、システムの簡素化が可能である。
【0006】
IEEE 802.3によればPSEの出力電圧は50V~57Vに定められている。この電圧は、照明器具などの接続機器に印加される。一方で照明器具の光源として用いられるLED(Light Emitting Diode)は一般に定電圧特性を有している。このため、印加する電圧が僅かに変動するだけでもLEDに流れる電流は大きく変動するおそれがある。従って、一般に照明器具では、PSEから50V~57Vを受電すると、内部に備えた定電流回路により目標とする電流がLEDに流れるように制御する必要がある。定電流回路は例えばDC-DCコンバータ等で構成される。
【0007】
このように、照明器具内部にDC-DCコンバータ等の電力変換回路を設ける場合、電力変換効率は給電装置の電力変換効率と照明器具の電力変換効率の積となるため、効率が低下するおそれがある。また、複数の照明器具を給電装置に接続する場合、照明器具それぞれに定電流回路を設ける必要があり、照明器具が大型化するおそれがあった。
【0008】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、接続機器の定電流回路を省略することができる照明システムおよび電力供給装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る照明システムは、電源回路と、前記電源回路を制御する制御部と、を備える電力供給装置と、前記電力供給装置に接続され、前記電源回路の出力電力が供給される接続機器と、を備え、前記制御部は、前記接続機器の種類に応じて前記出力電力を定電流制御または定電圧制御する。
【0010】
本開示に係る電力供給装置では、出力電力を接続機器に供給する電源回路と、前記接続機器の種類に応じて前記出力電力を定電流制御または定電圧制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る照明システムおよび電力供給装置では、接続機器の種類に応じて出力電力が定電流制御または定電圧制御される。このため、接続機器の定電流回路を省略できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係る照明システムの回路ブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る照明システムに照度センサが接続された状態を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る照明システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態1に係る負荷判別用回路の変形例を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る接続機器の変形例を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る接続機器の他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施の形態に係る照明システムおよび電力供給装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明システム100の回路ブロック図である。照明システム100は、電力供給装置2と、電力供給装置2に接続された接続機器を備える。電力供給装置2は、電源回路と、電源回路を制御する制御部とを備える。接続機器には、電源回路の出力電力が供給される。
【0015】
図1には、接続機器が照明器具8a、8bである例が示されている。電力供給装置2は、交流電源1から電力の供給を受けて複数の照明器具8a、8bに搭載された光源10a、10bを点灯させる。電力供給装置2は給電装置とも呼ばれる。光源10a、10bとして例えばLEDを用いることができる。光源10a、10bはLEDに限定されず、他の発光素子であっても良い。
【0016】
電力供給装置2は、AC-DC変換回路3、制御部4、DC-DC変換回路5a、5b、制御部6およびポートP1、P2を備える。AC-DC変換回路3は、交流電源1からの交流電力を直流電力に変換する。制御部4はAC-DC変換回路3を制御する。DC-DC変換回路5a、5bは、AC-DC変換回路3の出力に接続され、AC-DC変換回路3の出力電圧を変換する。DC-DC変換回路5a、5bは電源回路に該当する。制御部6は、DC-DC変換回路5a、5bを制御する。ポートP1、P2は、それぞれDC-DC変換回路5a、5bの出力を電力供給装置2の外部に取り出すための出力端子である。
【0017】
DC-DC変換回路5a、5bは、AC-DC変換回路3の出力に対して並列に接続されている。DC-DC変換回路5a、5bの出力には、ポートP1、P2、通信ケーブル7a、7bを介して照明器具8a、8bが接続される。つまり、照明器具8aは第1電源回路であるDC-DC変換回路5aから第1出力電力を供給される第1接続機器である。また、照明器具8bは第2電源回路であるDC-DC変換回路5bから第2出力電力を供給される第2接続機器である。DC-DC変換回路5a、5bは、通信線である通信ケーブル7a、7bを介して照明器具8a、8bにそれぞれ出力電力を供給する。
【0018】
通信ケーブル7a、7bの各々は、複数のデータ伝送用電線から構成される。複数のデータ伝送用電線のうち少なくとも2線は電力伝送に使用され、他の線は通信に用いられる。なお、
図1における通信ケーブル7a、7bでは、電力伝送に用いられる2線のみが示され、他の線は省略されている。通信ケーブル7a、7bは例えばLANケーブルである。
【0019】
照明器具8a、8bは、それぞれ負荷判別用回路9a、9bと、光源10a、10bを備える。負荷判別用回路9aは、例えばポートP1間に接続される負荷判別用抵抗である。負荷判別用回路9bは、例えばポートP2間に接続される負荷判別用抵抗である。光源10a、10bに流れる電流の平滑用として、コンデンサ11a、11bが設けられても良い。また、通信ケーブル7a、7bから入力される直流電圧を、図示しない整流回路を介して光源10a、10bに供給しても良い。これにより通信ケーブル7a、7bの接続極性によらず、照明器具8a、8bを接続できる。
【0020】
AC-DC変換回路3は、交流電源1を全波整流する整流回路DBと、力率改善回路とから構成される。AC-DC変換回路3は、入力電流波形が正弦波状になるように制御しつつ、直流電圧を出力する。力率改善回路は例えば昇圧チョッパ型である。力率改善回路は、フィルタコンデンサC1、インダクタL1、スイッチング素子SW1、ダイオードD1、平滑コンデンサC2を備えている。
【0021】
制御部4は、電圧検出抵抗R1でAC-DC変換回路3の出力電圧を検出する。制御部4は、AC-DC変換回路3の出力電圧が予め定められた一定電圧となるように、検出した出力電圧に基づき、スイッチング素子SW1を例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御する。予め定められた一定電圧は例えば400Vである。電圧検出抵抗R1は平滑コンデンサC2と並列に接続される。AC-DC変換回路3の出力電圧は、電圧検出抵抗R1で分圧されて制御部4に入力される。なお、AC-DC変換回路3は昇圧チョッパ以外の他の既知の回路でも構わない。
【0022】
AC-DC変換回路3によって生成された直流電圧はDC-DC変換回路5a、5bに入力される。DC-DC変換回路5aは、トランスT1、スイッチング素子SW2、ダイオードD2、平滑コンデンサC3からなるフライバックコンバータである。同様にDC-DC変換回路5bは、トランスT2、スイッチング素子SW3、ダイオードD3、平滑コンデンサC4からなるフライバックコンバータである。DC-DC変換回路5a、5bは、制御部6により駆動及び制御される。
【0023】
制御部6は、DC-DC変換回路5aに設けられた電圧検出抵抗R2または電流検出抵抗R4からの検出信号に応じて、スイッチング素子SW2を例えばPWM制御する。同様に、制御部6はDC-DC変換回路5bに設けられた電圧検出抵抗R3または電流検出抵抗R5からの検出信号に応じて、スイッチング素子SW3を例えばPWM制御する。
【0024】
なお、フライバックコンバータはトランスT1、T2により1次側と2次側が絶縁されている。このため、電圧検出抵抗R2、R3または電流検出抵抗R4、R5からの検出信号は、フォトカプラ等で絶縁して制御部6に入力されても良い。DC-DC変換回路5a、5bはフライバックコンバータ以外の他の既知の回路でも構わない。
【0025】
制御部4、6として個別の制御用ICが用いられても良い。制御用ICは例えばマイクロコンピュータである。また、1つの制御用ICで制御部4、6双方の機能を実現しても良い。
【0026】
図2は、実施の形態1に係る照明システム100に照度センサ20が接続された状態を示す図である。
図2では接続機器として、照明器具8aに代えて照度センサ20が接続されている。照度センサ20は、外部空間の明るさを電気信号に変換するフォトトランジスタPH1を備える。フォトトランジスタPH1と直列に抵抗R10が接続される。フォトトランジスタPH1と抵抗R10の接続点には、フォトトランジスタPH1で発生した電気信号を検出し、電力供給装置2に伝送する照度信号検出部21が接続される。また、照明器具8aと同様に、照度センサ20は負荷判別用回路9cを備える。負荷判別用回路9cは抵抗である。また、フォトトランジスタPH1に印加される電圧を安定化するため、コンデンサ11cを接続しても良い。
【0027】
次に、照明システム100の動作について説明する。
図3は、実施の形態1に係る照明システム100の動作を示すフローチャートである。電力供給装置2に交流電源1を入力すると、AC-DC変換回路3は動作を開始し、直流電圧を生成する。生成された直流電圧はDC-DC変換回路5a、5bに入力される(ステップ1)。DC-DC変換回路5a、5bに直流電圧が入力されると、制御部6は電力供給装置2に負荷が接続されているか否かを検出する負荷検出モードとなる。すなわち制御部6は、DC-DC変換回路5a、5bの出力端子に接続機器が接続されているか否か判別する。
【0028】
負荷検出モードにおいて、制御部6は接続機器に負荷検出用の規定電流が流れるように、DC-DC変換回路5a、5bを定電流駆動する。このとき電流検出抵抗R4、R5には、それぞれポートP1、P2に接続される接続機器に流れる電流に対応する電圧が発生する。制御部6は、電流検出抵抗R4、R5に発生する検出電圧に基づき、DC-DC変換回路5a、5bの出力電流が規定電流となるように、フィードバック制御を行う(ステップ2)。また、制御部6は、電圧検出抵抗R2、R3によって、DC-DC変換回路5a、5bの出力電圧を検出する(ステップ3)。
【0029】
まず、ポートP1に接続機器が接続されていない場合の動作について説明する。なお、ポートP2には照明器具8bが接続されているものとする。DC-DC変換回路5aには接続機器が接続されていないので、ポートP1から電流は出力されない。このため、ポートP1の出力電圧は上昇する。制御部6は、DC-DC変換回路5aの出力電圧が予め定められた閾値まで上昇すると(ステップ4)、DC-DC変換回路5aの出力には何も接続されていないと判別する。そして制御部6は、DC-DC変換回路5aの動作を停止する(ステップ5)。このように制御部6は、接続機器が接続されていないとき、電源回路の動作を停止させる。
【0030】
また制御部6は、電流検出抵抗R4で電圧信号が検出されないことにより、DC-DC変換回路5aの出力に接続機器が接続されていないと判別しても良い。
【0031】
また、DC-DC変換回路5a、5bに照明器具8a、8bが接続されている場合は、ステップ2において負荷判別用回路9a、9bに規定電流が流れ込む。負荷判別用回路9aは抵抗を含むため、負荷判別用回路9aには規定電流と負荷判別用回路9aの抵抗値の積に対応する電圧が発生する。同様に、負荷判別用回路9bには規定電流と負荷判別用回路9bの抵抗値の積に対応する電圧が発生する。
【0032】
ここで、ステップ2における予め定められた規定電流は、照明器具8a、8bを点灯させない。照明器具8a、8bに規定電流が供給された場合に、照明器具8a、8bは点灯しない。つまり、負荷判別用回路9a、9bで発生する電圧は、光源10a、10bの点灯電圧以下となるように予め規定電流の値及び負荷判別用回路9a、9bの抵抗値が定められている。これにより負荷検出モードで光源10a、10bが点灯することを防止する。
【0033】
負荷判別用回路9a、9bに発生する電圧は、それぞれDC-DC変換回路5a、5bの電圧検出抵抗R2、R3により分圧され、制御部6に入力される。これにより制御部6は、DC-DC変換回路5a、5bの出力電圧を検出し(ステップ3)、出力電圧が閾値以下であることにより、接続機器が正常に接続されていると判別する。(ステップ4)。また、制御部6は、DC-DC変換回路5a、5bの出力電圧が予め定められた電圧範囲内であるか否かを判別する。これにより制御部6は、接続機器が照明器具であるか否かを判別する(ステップ6)。
【0034】
接続機器として、照明器具8a、8bが接続されていることが確認されると、制御部6は点灯モードに移行する。点灯モードにおいて制御部6は、光源10a、10bの点灯に適した電流を供給するようにDC-DC変換回路5a、5bを駆動する。すなわち制御部6は電流検出抵抗R4、R5に発生する電圧信号に基づき、DC-DC変換回路5a、5bの出力電流が目標とする電流値となるように、定電流フィードバック制御を行う(ステップ7)。このように、制御部6は、接続機器が照明器具であるとき、DC-DC変換回路5a、5bの出力電力を定電流制御する。以上から照明器具8a、8bが点灯する。なお、照明器具8a、8bに供給される電流値は、異なっても良い。
【0035】
また、ポートP1に接続機器が接続されず、ポートP2に照明器具8bが接続されている場合、DC-DC変換回路5aは動作を停止するが、DC-DC変換回路5bには照明器具8bが接続されていると判別される。このため、DC-DC変換回路5bから光源10bに電流が供給され、照明器具8bは点灯する。このように、制御部6は複数のDC-DC変換回路5a、5bを独立して制御できる。
【0036】
次に、
図2に示されるようにポートP1に照度センサ20が接続されているものとする。ステップ2において負荷判別用回路9cに規定電流が流れ込む。これにより、負荷判別用回路9cには規定電流と負荷判別用回路9cの抵抗値の積に対応する電圧が発生する。ここで、照度センサ20に設けられた負荷判別用回路9cの抵抗値は、照明器具8a、8bに設けられた負荷判別用回路9a、9bの抵抗値とは異なる。従って、同一の規定電流であれば、負荷判別用回路で発生する電圧は、照度センサ20と照明器具8a、8bとで異なる。
【0037】
例えば、照度センサ20の負荷判別用回路9cの抵抗値は、照明器具8aの負荷判別用回路9aの抵抗値より低くても良い。これにより、負荷判別用回路9cに発生する電圧も、負荷判別用回路9aに発生する電圧と比較して低くなる。従って、DC-DC変換回路5aの電圧検出抵抗R2の電圧も、DC-DC変換回路5bの電圧検出抵抗R3の電圧と比較して低くなる。
【0038】
制御部6は電圧検出抵抗R2から入力された電圧レベルが、予め定められた電圧レベルであるとき、照明器具8aとは異なる機器が接続されたと判別する(ステップ6)。ここで、予め定められた電圧レベルは、照明器具8aが接続された場合の電圧レベルとは異なる。
【0039】
制御部6は、照明器具8aとは異なる機器が接続されたと判別すると、DC-DC変換回路5aの出力電圧が予め定められた一定電圧となるように、DC-DC変換回路5aを駆動する。予め定められた一定電圧は、例えば50Vである。すなわち制御部6は、電圧検出抵抗R2に発生する電圧に基づき、DC-DC変換回路5aの出力電圧が目標とする電圧となるように、定電圧フィードバック制御を行う(ステップ8)。
【0040】
なお
図2の状態で制御部6は、DC-DC変換回路5bについては照明器具8bが接続されていると判別する。このため、DC-DC変換回路5bから光源10bに定電流が供給され、照明器具8bは点灯する。
【0041】
照度センサ20は、DC-DC変換回路5aから直流電圧を受電すると起動し、動作を開始する。照度センサ20は例えば天井に設置され、室内の明るさを測定する。照度センサ20にて取得された明るさ情報信号は、照度信号検出部21及び通信ケーブル7aを介して、電力供給装置2に伝送される。制御部6は、照度センサ20から受信した明るさ情報信号に応じて、照明器具8bが接続されたDC-DC変換回路5bの出力電流を調整する。例えば室内の明るさに応じて、室内が暗ければ照明器具8bの電流を増大させ、室内が明るければ照明器具8bの電流を減少させる。
【0042】
このように制御部6は、電力供給装置2の1つの出力端子に接続されたセンサ等の接続機器から通信線を介して受信した信号に応じて、他の出力端子に接続された照明器具8bに供給する出力電力を制御しても良い。
【0043】
なお、照度センサ20は、DC-DC変換回路5aから入力された直流電圧をフォトトランジスタPH1または照度信号検出部21の動作に適した電圧に変換する図示しない電圧変換回路を備えても良い。電圧変換回路は例えばスイッチングレギュレータまたは3端子レギュレータなどから構成される。電圧変換回路により、例えば電力供給装置2から入力された50Vの電圧を15V等に降圧しても良い。
【0044】
このように本実施の形態では、制御部6は、接続機器の種類に応じて出力電力を定電流制御または定電圧制御する。具体的には、制御部6は、DC-DC変換回路5a、5bに電力が供給されると、ポートP1、P2から接続機器に規定電流を供給して、ポートP1、P2に発生する電圧を検出する。制御部6は、ポートP1、P2に発生する電圧に応じて、接続機器を判別し、DC-DC変換回路5a、5bの出力電力を定電流制御または定電圧制御する。電力供給装置2は、照明器具が接続された場合は出力電力を定電流制御し、照明器具以外の機器が接続された場合は出力電力を定電圧制御する。従って、照明器具8a、8bは定電流回路を備えなくても良い。これにより、照明器具8a、8bの小型化および照明システム100の簡素化が可能となる。また、高い電力変換効率で、光源を点灯させることができる。
【0045】
また本実施の形態では、定電流制御では動作しない機器に直流電圧を供給することができる。このため電力供給装置2には、照明器具とセンサ機器等を様々な組み合わせで接続できる。これにより、接続した機器に適した電源を効率よく供給して、高効率な照明システム100を構築することができる。また、センサ等の機器からの信号を利用して、照明器具を高効率で動作させることができる。
【0046】
本実施の形態では、接続機器が定電流回路を有していない照明器具の場合に定電流制御が行われるものとした。これに限らず、照明器具以外の定電流で動作する接続機器が接続された際にも、制御部6は出力電力を定電流制御しても良い。このように、接続機器の種類に応じて出力電力を定電流制御または定電圧制御することで、接続機器において定電流回路を省略することができる。
【0047】
また、照明器具8aまたは照明器具8bは、機器の種類に応じて負荷判別用回路9a、9bの抵抗値が異なっても良い。これにより制御部6は、照明器具の種類に応じて、DC-DC変換回路から異なる値の直流電流を出力できる。従って、電力供給装置2によって、低出力から高出力まで幅広い種類の照明器具に対応できる。
【0048】
また、照明器具以外の接続機器についても、機器の種類に応じて負荷判別用回路9cの抵抗値が異なっても良い。これにより制御部6は、接続機器の種類に応じて、DC-DC変換回路から異なる値の直流電圧を出力できる。従って、様々な接続機器に適した電源を供給できる。このように制御部6は、照明器具の機種または接続機器の種類に応じて、DC-DC変換回路5a、5bの出力電力の値を変更しても良い。
【0049】
さらに制御部6は、複数のDC-DC変換回路5a、5bを独立して制御できる。制御部6は、ポートP1の接続機器の種類に応じてDC-DC変換回路5aの出力電力を定電流制御または定電圧制御する。さらに制御部6は、ポートP1の制御とは独立して、ポートP2の接続機器の種類に応じてDC-DC変換回路5bの出力電力を定電流制御または定電圧制御する。このように1つの電力供給装置2で様々な制御を行うことができる。
【0050】
また、
図2では電力供給装置2に照度センサ20が接続される例を示したが、電力供給装置2には他の機器が接続されても良い。例えば、ポートP2に人の有無を検出して照明器具8bの点灯、消灯制御を行う人感センサが接続されても良い。制御部6は、例えば人感センサから受信した人の検出信号に応じて、照明器具8bに電流を供給して点灯させる。また、ポートP2に照明器具8bの明るさを調節する調光器が接続されても良い。また、ポートP2には、使用者がリモコン等で照明器具8bを操作するための赤外線受光機器または無線モジュール機器等が接続されても良い。これらの機器に対して、電力供給装置2は一定電圧を供給する。
【0051】
また、接続機器の判別方法は上述したものに限定されない。例えば制御部6は、ポートP1、P2から接続機器に予め定められた規定電圧を供給したときに、ポートP1、P2に流れる電流に応じて接続機器を判別しても良い。つまり、ステップ2において、制御部6はDC-DC変換回路5a、5bを定電圧制御で駆動する。制御部6は、このとき負荷判別用回路に流れる電流を電流検出抵抗R4、R5により検出する。この電流値により、制御部6は接続機器の有無および接続機器の種類を判別し、DC-DC変換回路5a、5bの出力電力を定電流制御または定電圧制御する。例えば制御部6は、電流検出抵抗R4、R5に発生する電圧信号が予め定められた範囲内にあれば照明器具8a、8bが正常に接続されていると判別する。
【0052】
このとき、ステップ2において供給される規定電圧は、照明器具8a、8bを点灯させないものとする。照明器具8a、8bに規定電圧が供給された場合に、照明器具8a、8bは点灯しない。つまり、規定電圧は、照明器具8a、8bのLED点灯電圧よりも低い電圧に設定される。
【0053】
図4は、実施の形態1に係る負荷判別用回路9の変形例を示す図である。接続機器は、ステップ7での定電流制御またはステップ8での定電圧制御時に、負荷判別用抵抗に電流を流す経路を遮断する遮断回路を備えても良い。これにより、光源10a、10bの点灯中またはセンサの動作中に、負荷判別用回路に電流が流れ続けることを防止できる。従って負荷判別用回路における電力消費を抑制できる。
【0054】
図4には、遮断回路の例が示されている。抵抗R6は負荷判別用抵抗であり、トランジスタQ1のオンオフ制御により抵抗R6の電気的接続及び電気的切り離しを行う。負荷検出モードにおいて、DC-DC変換回路5a、5bから電流が供給されると抵抗R7を介してトランジスタQ1にベース電流が流れてトランジスタQ1がオンする。これにより抵抗R6に電流が流れて接続機器の種類の判別が可能となる。このとき負荷判別用回路9に発生する電圧、すなわちDC-DC変換回路5a、5bの出力電圧はツェナダイオードDZ1のブレークダウン電圧以下となる。このため、トランジスタQ2はオフ状態となる。
【0055】
点灯モードに移行すると光源10a、10bに所望の電流が流れるように、DC-DC変換回路5a、5bの出力電圧は上昇する。DC-DC変換回路5a、5bの出力電圧がツェナダイオードDZ1のブレークダウン電圧を超えると、抵抗R8、ツェナダイオードDZ1を介してトランジスタQ2にベース電流が流れ、トランジスタQ2がオン状態となる。これによってトランジスタQ1にベース電流が供給されなくなり、トランジスタQ1がオフする。従って、抵抗R6は電気的に切り離される。照度センサ20の動作中も同様に、トランジスタQ1がオフする。
【0056】
従って、ステップ7、8において抵抗R6による電力損失を抑制できる。なお、抵抗R7、R8は、抵抗R6と比べて抵抗値がはるかに大きい。このため、抵抗R7、R8の電力損失は非常に小さい。なお、
図4に示した抵抗R6の切り離し回路は一例であり、これに限定されるものではない。
【0057】
図5は、実施の形態1に係る接続機器8cの変形例を示す図である。接続機器8cは、内部に光源10cと照度センサ22が組み込まれている。光源10cと並列に、負荷判別用回路9dおよびコンデンサ11dが接続される。また、照度センサ22は、フォトトランジスタPH2と抵抗R11から形成される直列回路と、照度信号検出部23とを備える。接続機器8cでは、センサ等の機器が組み込まれていない照明器具8a、8bと同様に、DC-DC変換回路が定電流制御で駆動するように負荷判別用回路9dの抵抗値が設定される。これにより、光源10cには予め定められた直流電流が供給される。
【0058】
直流電圧生成回路24は、光源10cの電圧から照度センサ22に適した一定電圧を生成する。照度センサ22は、直流電圧生成回路24から一定電圧が供給され、動作する。直流電圧生成回路24は例えばスイッチングレギュレータまたは3端子レギュレータ等で構成される。照度センサ22の明るさ情報信号は通信ケーブルを介して電力供給装置2に伝送され、接続機器8cを含む各照明器具の制御に使用される。
【0059】
照度センサ22で消費される電流は光源10cに供給される電流と比較して僅かなので、光源10cの点灯には影響しない。接続機器8cには照度センサ以外の機器が組み込まれても良い。
【0060】
図6は、実施の形態1に係る接続機器8dの他の変形例を示す図である。接続機器8dは、光源10dとスイッチングレギュレータを内蔵している。スイッチングレギュレータは、例えばスイッチング素子SW4、ダイオードD4、インダクタL2、コンデンサ11e、制御部25からなる降圧チョッパ回路26である。また、光源10dと並列に負荷判別用回路9eが接続される。
【0061】
制御部25は、電流検出抵抗R12で発生する電圧信号に基づき、光源10dに流れる電流が一定となるように定電流フィードバック制御を行う。負荷判別用回路9eは例えば照度センサ20に用いられる負荷判別用回路9cと同一の抵抗値を有する。これにより、接続機器8dが接続されたDC-DC変換回路は定電圧フィードバック制御で動作し、予め定められた一定電圧が接続機器8dに印加される。降圧チョッパ回路26はこの一定電圧から光源10dの点灯に適した電流を生成し、光源10dに供給することができる。
【0062】
また制御部25は、接続機器8dに接続された通信ケーブルを介して光源10dの明るさ、すなわち光源10dの電流値を指示する調光信号を受信し、調光信号に応じて光源10dに流れる電流の目標値を設定しても良い。スイッチングレギュレータは降圧チョッパ回路に限らず、昇圧チョッパ回路または昇降圧コンバータでも良い。また、
図5と同様に、接続機器8dには各種センサ機器が搭載されても良い。
【0063】
本実施の形態においては、電力供給装置2が有するDC-DC変換回路が2つである例を説明した。これに限らず、電力供給装置2が有するDC-DC変換回路は1つ以上であれば良い。また、本実施の形態では交流電源1が投入されることで各種機器の接続判定が行われた。これに限らず、例えば人感センサ、リモコン、調光器等からの点灯指示に応じて、各種機器の接続判定が行われても良い。
【0064】
なお、本実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 交流電源、2 電力供給装置、3 AC-DC変換回路、5a、5b DC-DC変換回路、6 制御部、7a、7b 通信ケーブル、8a、8b 照明器具、8c、8d 接続機器、9、9a~9e 負荷判別用回路、10a、10b 光源、11a~11e コンデンサ、20 照度センサ、21 照度信号検出部、22 照度センサ、23 照度信号検出部、24 直流電圧生成回路、25 制御部、26 降圧チョッパ回路、100 照明システム、C1 フィルタコンデンサ、C2~C4 平滑コンデンサ、D1~D4 ダイオード、DB 整流回路、DZ1 ツェナダイオード、L1、L2 インダクタ、P1、P2 ポート、PH1、PH2 フォトトランジスタ、Q1、Q2 トランジスタ、R1~R3 電圧検出抵抗、R4、R5 電流検出抵抗、R6~R11 抵抗、R12 電流検出抵抗、SW1~SW4 スイッチング素子、T1、T2 トランス