(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187766
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】ソケットホルダとソケット組立体とソケット組立体の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20221213BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G01D11/24 B
H01R13/52 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095936
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】加賀 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尋紀
(72)【発明者】
【氏名】高野 航
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE13
5E087FF06
5E087FF16
5E087GG02
5E087LL04
5E087LL11
5E087LL12
5E087LL14
5E087MM05
5E087RR12
5E087RR13
(57)【要約】
【課題】外気の湿気や結露水などの水分がケーブルを介してソケットの内部へ侵入することを阻止する。
【解決手段】本発明に係るソケットホルダ20は、ケーブル13を備えるソケット10を保持する。ソケットホルダは、ソケットを収容する筒状のホルダ本体21と、ケーブルが接続される端子23と、端子を保持する端子ホルダ22と、ホルダ本体内にソケットを固定する樹脂材25と、を有してなる。端子ホルダは、ホルダ本体の一端側の開口を塞ぐようにホルダ本体に取り付けられる。端子は、端子ホルダを貫通するように端子ホルダに埋設され、ケーブルが接続される第1端部231a~234aと、電気信号を外部の信号処理部に伝送する外部ケーブルCが接続される第2端部231b~234bと、を備える。ホルダ本体は、ケーブルと第1端部とが収容されるケーブル収容空間Aを備える。ケーブル収容空間は、樹脂材によりホルダ本体の外部の空間から隔離される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサからの電気信号を伝送するケーブルを備えるソケットを保持するソケットホルダであって、
前記ソケットを収容する筒状のホルダ本体と、
前記ケーブルが接続される端子と、
前記端子を保持する端子ホルダと、
前記ホルダ本体内に前記ソケットを固定する樹脂材と、
を有してなり、
前記端子ホルダは、前記ホルダ本体の一端側の開口を塞ぐように前記ホルダ本体に取り付けられ、
前記端子は、
前記端子ホルダを貫通するように前記端子ホルダに埋設され、
前記ケーブルが接続される第1端部と、
前記電気信号を外部の信号処理部に伝送する外部ケーブルが接続される第2端部と、
を備え、
前記ホルダ本体は、
前記ケーブルと前記第1端部とが収容されるケーブル収容空間、
を備え、
前記ケーブル収容空間は、前記樹脂材により前記ホルダ本体の外部の空間から隔離される、
ことを特徴とするソケットホルダ。
【請求項2】
前記樹脂材は、前記ケーブル収容空間に充填される、
請求項1記載のソケットホルダ。
【請求項3】
前記ホルダ本体内における前記ソケットの位置を決めるスペーサ、
を有してなり、
前記ソケットは、
前記ケーブルが導出される導出面、
を備え、
前記スペーサは、前記端子ホルダと前記ソケットの前記導出面とに当接した状態で前記ホルダ本体に収容されることにより、前記ホルダ本体内の所定位置に前記ソケットを位置決めすると共に、前記ケーブル収容空間を前記ホルダ本体内に画定する、
請求項2記載のソケットホルダ。
【請求項4】
前記ホルダ本体は、
前記ソケットを収容するソケット収容部と、
前記ソケット収容部の内周面に配置される長溝と、
を備え、
前記スペーサは、
前記スペーサの内周面に配置される凹部、
を備え、
前記長溝は、前記凹部と前記ホルダ本体の他端側の開口とに連通し、
前記凹部は、前記ケーブル収容空間に連通し、
前記樹脂材は、前記長溝と、前記ソケット収容部の前記内周面と前記ソケットの外周面との間の空間と、に充填される、
請求項3記載のソケットホルダ。
【請求項5】
複数の前記端子、
を有してなり、
前記端子ホルダは、
複数の前記端子それぞれに対応する複数の突起部、
を備え、
複数の前記突起部それぞれは、前記端子ホルダの一方の面に突設され、
複数の前記端子それぞれは、対応する前記突起部を貫通するように前記端子ホルダに埋設され、
複数の前記突起部それぞれの前記第2端部は、対応する前記突起部から突出する、
請求項1乃至3のいずれかに記載のソケットホルダ。
【請求項6】
前記ケーブル収容空間は、前記ホルダ本体の外部からの水分が前記ケーブル収容空間に侵入しないように、前記樹脂材により前記ホルダ本体の外部の空間から隔離される、
請求項1乃至5のいずれかに記載のソケットホルダ。
【請求項7】
センサからの電気信号を伝送するケーブルを備えるソケットと、
前記ソケットを保持するソケットホルダと、
を有してなり、
前記ソケットホルダは、請求項1記載のソケットホルダである、
ことを特徴とするソケット組立体。
【請求項8】
センサからの電気信号を伝送するケーブルを備えるソケットと、前記ソケットを保持するソケットホルダと、を有してなるソケット組立体の製造方法であって、
前記ソケットホルダは、
筒状のホルダ本体と、
前記ケーブルが接続される端子と、
前記端子が貫通するように埋設される端子ホルダと、
前記ホルダ本体内における前記ソケットの位置を決めるスペーサと、
前記ホルダ本体内に前記ソケットを固定する樹脂材と、
を備え、
前記ケーブルが前記端子の一端部に接続される接続工程と、
前記一端部に接続された前記ケーブルが前記スペーサの内側の空間に通されることにより、前記スペーサが前記ソケットと前記端子ホルダとの間に配置されるスペーサ配置工程と、
前記ソケットと前記スペーサとが前記ホルダ本体の一端側の開口から前記ホルダ本体に収容される収容工程と、
前記端子ホルダが前記ホルダ本体の前記一端側の開口を塞ぐように前記ホルダ本体に取り付けられることにより、前記スペーサの内側の空間に前記一端部と前記ケーブルとを収容するケーブル収容空間が画定される空間画定工程と、
前記樹脂材が前記ケーブル収容空間に充填される充填工程と、
を含む、
ことを特徴とするソケット組立体の製造方法。
【請求項9】
前記ケーブル収容空間に充填された前記樹脂材が硬化する前に、位置決治具を用いて、前記ソケットが前記ホルダ本体に位置決めされる位置決め工程、
を含み、
前記位置決め工程は、
前記ソケットが前記スペーサと前記位置決治具とにより挟み込まれる第1位置決め工程と、
前記ソケットが前記位置決治具と共に前記ソケットの周方向に回転される第2位置決め工程と、
を含む、
請求項8記載のソケット組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケットホルダとソケット組立体とソケット組立体の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
センサは、自然環境や人工的な環境において様々な質的・量的な情報を検知して、これらの情報を電気信号などの信号に変換する。このようなセンサは、計測機器(例えば、ガス濃度測定装置など)に組み込まれた状態で用いられることがある。この場合、計測機器の検知精度を維持するため、センサは定期的に交換され得る。そのため、センサが着脱可能なソケットを備える計測機器が広く用いられている。
【0003】
ここで、計測機器が湿度の高い計測環境下で用いられる場合、水分を多く含む外気がセンサやソケットの内部に侵入し得る。また、計測機器が温度の低い計測環境下で用いられる場合、および/または、センサおよびソケットが冷却されて用いられる場合、センサやソケットの内部において結露が生じ得る。そのため、このような計測環境下で用いられるセンサは、情報を検知する検知部分を除き、計測環境に曝されてもセンサ内部が計測環境による湿気や結露の影響を受けないように密封・密閉される。また、ソケットも、センサの出力端子と接続される入力端子を除き、センサ同様に密封・密閉される。
【0004】
しかしながら、ソケットを備える計測機器では、センサからの信号を処理する回路や演算部に同信号を伝送するためのケーブルが、ソケットから延出される。このようなケーブルは、信号を伝送する金属線が被覆部材で覆われる構造を有する。そのため、ケーブルの内部(金属線と被覆部材との間の隙間)を介して、外気の湿気や結露水などの水分がソケットの内部に侵入し得る。その結果、ソケットの内部に侵入した水分により、ソケットの故障が生じる場合が有る。
【0005】
これまでにも、外気の湿気がケーブルの内部を介してセンサに侵入することを阻止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に開示された技術は、センサの信号を処理する回路部と、回路部を収容する収容部と、収容部の内部を回路部が配置される回路部配置領域と配線が配置される配線配置領域とに区画する区画壁と、収容部に開口してセンサからの配線が挿通される配線用開口部と、配線の外面と配線用開口部との隙間および配線の被覆部材の開口端を閉塞する樹脂材料と、を有してなる。同技術は、収容部内において被覆部材の開口端と配線用開口部の内部とを樹脂材料で閉塞することにより、被覆部材の開口端からの外気の湿気の侵入を阻止する。
【0007】
しかしながら、同技術をセンサのソケットに適用する場合、ソケットの分解および改良(例えば、ソケットの内部の区画、区画された内部におけるケーブルの被覆部材の端部およびケーブルが挿通される開口の閉塞、など)が必要となる。すなわち、同技術をセンサのソケットに適用することは、容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、外気の湿気や結露水などの水分がケーブルを介してソケットの内部へ侵入することを阻止することができると共に、ケーブルと端子との接続部に結露が生じても結露水がソケットの内部へ侵入することを阻止することができるソケットホルダとソケット組立体とソケット組立体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るソケットホルダは、センサからの電気信号を伝送するケーブルを備えるソケットを保持するソケットホルダであって、ソケットを収容する筒状のホルダ本体と、ケーブルが接続される端子と、端子を保持する端子ホルダと、ホルダ本体内にソケットを固定する樹脂材と、を有してなり、端子ホルダは、ホルダ本体の一端側の開口を塞ぐようにホルダ本体に取り付けられ、端子は、端子ホルダを貫通するように端子ホルダに埋設され、ケーブルが接続される第1端部と、電気信号を外部の信号処理部に伝送する外部ケーブルが接続される第2端部と、を備え、ホルダ本体は、ケーブルと第1端部とが収容されるケーブル収容空間、を備え、ケーブル収容空間は、樹脂材によりホルダ本体の外部の空間から隔離されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外気の湿気や結露水などの水分がケーブルを介してソケットの内部へ侵入することを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るソケット組立体の実施の形態を示す正面図である。
【
図2】
図1のソケット組立体のAA線断面図である。
【
図4】
図1のソケット組立体が備える端子ホルダの(a)正面図であり、(b)背面図である。
【
図5】
図1のソケット組立体が備えるスペーサの正面図である。
【
図6】
図1のソケット組立体の組立方法を時系列で示す断面図であり、(a)は
図5のスペーサの取り付けを示し、(b)は
図1のソケット組立体が備える樹脂材の充填前の状態を示し、(c)は樹脂材の充填途中の状態を示す。
【
図7】
図1のソケット組立体の組立方法において使用される位置決治具の背面図である。
【
図8】
図1のソケット組立体が備えるPMTソケットが
図7の位置決治具により位置決めされている状態を示す断面図である。
【
図9】PMTソケットの周方向位置の微調整を示す拡大正面図であり、(a)は微調整前の状態を示し、(b)は微調整後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るソケットホルダとソケット組立体との実施の形態について説明する。各図において、同一の要素については同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0014】
また、本実施の形態において、X軸、Y軸およびZ軸は相互に直交する3軸であり、「+X軸方向」は前方であり、「-X軸方向」は後方であり、「+Y軸方向」は左方向であり、「-Y軸方向」は右方向であり、「+Z方向」は上方向であり、「-Z軸方向」は下方向である。
【0015】
以下の説明において、本発明に係るホルダ組立体は、大気中の窒素酸化物(NOx)の濃度を測定するNOx濃度測定装置に組み込まれ、光電子増倍管(PMT:photomultiplier tube)が着脱可能なPMTソケットと、同PMTソケットを保持するソケットホルダと、により構成されるものとする。以下の説明において、PMTは本発明におけるセンサの例であり、PMTソケットは本発明におけるソケットの例であり、PMTソケットを保持するソケットホルダは本発明に係るソケットホルダの例である。
【0016】
●ソケット組立体●
●ソケット組立体の構成
図1は、本発明に係るソケット組立体の実施の形態を示す正面図である。
図2は、
図1のソケット組立体1のAA線断面図である。
図2は、説明の便宜上、後述するPMTソケット10の内部の図示を省略し、後述する位置決治具30を二点鎖線で示す。
【0017】
ソケット組立体1は、PMTソケット10を保持すると共に、PMTソケット10の内部をソケット組立体1の外部の空気(外気)から保護する。ソケット組立体1は、PMTソケット10とソケットホルダ20とを有してなる。
【0018】
PMTソケット10は、PMT(不図示。以下同じ。)が接続され、接続されたPMTからの電気信号の伝送を媒介するPMT用の公知のソケットである。PMTソケット10は、筐体11と入力端子12とケーブル13とを備える。
【0019】
筐体11は、前面11aと後面11bと円筒状の外周面11cとを備える円柱状の容器である。前面11aの中央には、嵌合穴11dが配置される。嵌合穴11dは、前方視において、円形で、その内周面の上端に上方に突出する突出凹部11d1を有する。ここで、以下の説明において、特に明示されない限り、「周方向」は、PMTソケット10の円周に沿う方向を意味する。
【0020】
入力端子12は、PMTの出力端子(不図示)が挿入されて、同出力端子と電気的に接続される端子である。本実施の形態において、入力端子12は、11個の端子穴により構成される。各端子穴は、前面11aにおいて、嵌合穴11dと同心の円周上に均等に配置される。
【0021】
ケーブル13は、PMTからの電気信号を伝送する。ケーブル13は、芯線と芯線を覆う被覆部材とを備える公知の信号伝送ケーブルである。本実施の形態において、ケーブル13は、3つのケーブル131,132(
図3参照),133により構成される。各ケーブル131~133は、後面11bから導出される。すなわち、後面11bは、本発明における導出面の例である。ここで、本実施の形態において、ケーブル13の1つ(例えば、ケーブル131)は、内芯と外芯とを有する同軸ケーブルである。
【0022】
ソケットホルダ20は、PMTソケット10を保持する。前述のとおり、ソケットホルダ20は、本発明に係るソケットホルダの例である。ソケットホルダ20の構成は、後述する。
【0023】
●ソケットホルダの構成
次に、ソケットホルダ20の構成について、
図1,2も参照しつつ説明する。
【0024】
図3は、
図2のソケット組立体1の分解断面図である。
【0025】
ソケットホルダ20は、ホルダ本体21と、端子ホルダ22と、端子23と、スペーサ24と、樹脂材25と、封止部材26と、締結ボルト27と、を備える。
【0026】
ホルダ本体21は、PMTソケット10を保持する。ホルダ本体21は、略矩形筒状で、例えば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)などの合成樹脂製、またはアルミニウムなどの金属製である。ホルダ本体21は、挿入孔21hと、ソケット収容部211と、2つの長溝211a,211bと、スペーサ収容部212と、段部213と、を備える。
【0027】
挿入孔21hは、PMTソケット10が挿入される円柱状の貫通孔である。挿入孔21hは、ホルダ本体21を前後方向に貫通する。挿入孔21hの略前半部は、PMTソケット10を収容するソケット収容部211を構成する。挿入孔21hの略後半部は、スペーサ24を収容するスペーサ収容部212を構成する。
【0028】
ソケット収容部211は、本発明におけるPMTソケット10の所定位置の例である。ソケット収容部211の内径はPMTソケット10の筐体11の外径よりも僅かに大きく、ソケット収容部211の長さは同筐体11の長さよりも僅かに長い。ソケット収容部211は、2つの長溝211a,211bを備える。
【0029】
長溝211a,211bは、後述するケーブル収容空間A(
図6参照。以下同じ。)に樹脂材25を充填するための経路を構成する半円柱状の溝である。長溝211aは、ソケット収容部211の内周面211cの上端において、ソケット収容部211の前端から後端まで配置される。長溝211bは、ソケット収容部211の内周面211cの下端において、ソケット収容部211の前端から後端まで配置される。すなわち、長溝211aは、長溝211bと対向するように配置される。
【0030】
スペーサ収容部212の内径はソケット収容部211の内径よりも大きく、後述するスペーサ24の外径と略同じである。すなわち、スペーサ収容部212の前端には、段部213が配置される。
【0031】
図4(a)は端子ホルダ22の正面図であり、(b)は端子ホルダ22の背面図である。同図は、説明の便宜上、端子ホルダ22に保持される端子23も併せて示す。
【0032】
端子ホルダ22は、端子23を保持する。端子ホルダ22は、略矩形板状で、例えば、ABSやPVC(polyvinyl chloride)、PS(polystyrene)などの合成樹脂製である。端子ホルダ22は、4つの突起部221,222,223,224と、第1溝部225と、第2溝部226と、を備える。
【0033】
突起部221~224は、端子23を埋設するための領域を構成する。各突起部221~224は、円柱状で、端子ホルダ22の後面22bから後方に向けて突設される。各突起部221~224は、後方視において、仮想円上に配置される。突起部221~224の端面(後面)221a~224aは、前方に向けてすり鉢状に凹む凹面である。
【0034】
第1溝部225は、封止部材26(
図3参照)が嵌入されるリング状の溝である。第1溝部225は、端子ホルダ22の前面22aにおいて、外縁側に配置される。
【0035】
第2溝部226は、前方視において端部が上方に向けられた「C」字状の溝である。第2溝部226は、端子ホルダ22の前面22aにおいて、第1溝部225の内側に配置される。前方視において、第2溝部226の形状は、スペーサ24の後端面の形状と略同じである。
【0036】
図3と
図4とに戻る。
端子23は、ケーブル13と後述する外部ケーブルCとが接続される棒状の端子である。端子23は、例えば、銅合金などの金属製である。本実施の形態において、端子23は、4つの端子231,232,233,234により構成される。各端子231~234は、端子ホルダ22を前後方向に貫通するように端子ホルダ22の対応する突起部221~224にインサート成形される(すなわち、埋設される)。すなわち、例えば、端子231は突起部221に埋設され、端子232は突起部222に埋設され、端子233は突起部223に埋設され、端子234は突起部224に埋設される。その結果、各端子231~234は、前方視において、各突起部221~224と同じ仮想円上に配置される。
【0037】
「外部ケーブルC」は、PMTからの電気信号を処理する処理回路(例えば、マイコンやCPU(Central Processing Unit)が実装された基板など)に同電気信号を伝送するケーブルである。外部ケーブルCは、例えば、ケーブル13に合わせて4つの外部ケーブルC1,C2,C3(1つは不図示。以下同じ。)により構成される。処理回路は、本発明における信号処理部の例である。
【0038】
各端子231~234それぞれの前端部231a~234aは端子ホルダ22の前方に突出し、後端部231b~234bは端子ホルダ22(突起部221)の後方に突出する。端子231の前端部231aにはケーブル131(内芯)が接続され、端子232の前端部232aにはケーブル132が接続され、端子233の前端部233aにはケーブル133が接続され、端子234の前端部234aにはケーブル131(外芯)が接続される。一方、端子231の後端部231bには外部ケーブルC1が接続され、端子232の後端部232bには外部ケーブルC2が接続され、端子233の後端部233bには外部ケーブルC3が接続され、端子234の後端部234bには不図示の外部ケーブルが接続される。前端部231a~234aは本発明における第1端部の例であり、後端部231b~234bは本発明における第2端部の例である。
【0039】
【0040】
スペーサ24は、ホルダ本体21の内部の所定位置にPMTソケット10を位置決めすると共に、後述するケーブル収容空間Aをホルダ本体21の内部に画定する。
図3と
図5とに示されるとおり、スペーサ24は、円筒の周壁の一部(上端部)の前端から後端までが取り除かれた円弧筒状で、前方視(後方視)において端部が上方に向けられた「C」字状(円弧状)である。また、スペーサ24の外周面は、スペーサ収容部212の内周面212aに沿う。すなわち、スペーサ24は、スペーサ収容部212の内周面212aに沿う板状である。スペーサ24は、間隙部241と凹部242とを備える。
【0041】
間隙部241は、ケーブル13をスペーサ24の内側の空間に通すための幅広のスリット状の隙間である。間隙部241は、スペーサ24の上端部に前端から後端まで配置される。
【0042】
凹部242は、後述するケーブル収容空間Aに樹脂材25(
図2参照)を充填するための経路を構成する半円状の溝である。凹部242は、スペーサ24の内周面の下端部に前端から中央部に亘り配置される。
【0043】
図2と
図3とに戻る。
樹脂材25は、後述するケーブル収容空間Aに充填されて、ケーブル収容空間Aをホルダ本体21の外部の空間から隔離する。樹脂材25は、硬化前は流動性を有する、例えば、シリコン樹脂系の接着剤である。
【0044】
封止部材26は、公知のO-リングである。
【0045】
締結ボルト27は、端子ホルダ22をホルダ本体21に締結する。締結ボルト27は、4つの公知のボルト271,272(2つは不図示)により構成される。
【0046】
●位置決治具の構成
次に、後述するソケット組立体1の組立方法において用いられる位置決治具30の構成について、
図3も参照しつつ説明する。
【0047】
【0048】
位置決治具30は、ソケット組立体1の組立方法において、ホルダ本体21に対するPMTソケット10を所定位置に位置決めするために用いられる治具である。位置決治具30は、前方視においてホルダ本体21と同形状となる矩形板状で、例えば、ABSなどの合成樹脂製である。位置決治具30は、当接面30aと、2つの孔30h1,30h2と、嵌合突起部31と、を備える。
【0049】
当接面30aは、位置決治具30の後面のうち、PMTソケット10の前面11aに当接する円状の面である。当接面30aは、PMTソケット10の前面11aの外径と略同径の外径を有する。
【0050】
孔30h1,30h2は、当接面30aの径方向外側に隣接し、ホルダ本体21の長溝211a,211bと重複する位置に配置される貫通孔である。
【0051】
嵌合突起部31は、PMTソケット10の嵌合穴11dに嵌合可能な突起である。嵌合突起部31は、後方視において、下方に凸の半円柱状で、嵌合穴11dの突出凹部11d1に嵌合可能な凸部31aを有する。嵌合突起部31は、位置決治具30の当接面30aの中央から後方に向けて突設される。
【0052】
●ソケット組立体の組立方法
次に、ソケット組立体1の組立方法(すなわち、ソケット組立体1の製造方法)について、
図2と
図3とを参照しつつ説明する。
【0053】
図6は、ソケット組立体1の組立方法を時系列で示す断面図であり、(a)はスペーサ24の取り付けを示し、(b)は樹脂材25の充填前の状態を示し、(c)は樹脂材25の充填途中の状態を示す。
【0054】
先ず、
図6(a)に示されるように、PMTソケット10のケーブル13が端子23に接続される。具体的には、ケーブル131の芯線(内芯)の後端が端子231の前端部231aに半田付けされ、ケーブル132の芯線の後端が端子232の前端部232aに半田付けされ、ケーブル133の芯線の後端が端子233の前端部233aに半田付けされ、ケーブル131の外芯の後端が端子234の前端部234a(
図4参照。以下同じ。)に半田付けされる。
【0055】
なお、本発明におけるケーブルと端子との接続は、半田に限定されない。すなわち、例えば、本発明におけるケーブルと端子とは、圧着端子を介して接続されてもよい。
【0056】
次いで、封止部材26が、端子ホルダ22の第1溝部225に嵌入される。
【0057】
次いで、ケーブル13がスペーサ24の側方(例えば、上方)からスペーサ24の間隙部241に通される。その結果、スペーサ24はPMTソケット10と端子ホルダ22との間に配置され、ケーブル13はスペーサ24に囲まれた空間に配置される。このように、スペーサ24が間隙部241を有する円弧状に形成されることにより、スペーサ24は、ケーブル13が端子23に接続された後にPMTソケット10と端子ホルダ22との間に配置可能である。また、スペーサ24が配置される前にケーブル13と端子23との半田付けが可能となり、同半田付けが容易になる。
【0058】
次いで、
図6(b)に示されるように、スペーサ24の後端部が端子ホルダ22の第2溝部226に嵌め込まれた状態で、PMTソケット10とスペーサ24とが、後方からホルダ本体21の挿入孔21hに挿入される。このとき、PMTソケット10はホルダ本体21のソケット収容部211に収容され、スペーサ24がホルダ本体21のスペーサ収容部212に収容される。ここで、PMTソケット10の外周面11cとソケット収容部211の内周面211cとの間には、僅かに隙間が存在する。すなわち、PMTソケット10は、周方向に回転可能である。したがって、この時点で、PMTソケット10のホルダ本体21に対する周方向における位置(以下「周方向位置」という。)が、例えば、目視レベルで合わせられる(周方向位置の粗調整)。
【0059】
次いで、端子ホルダ22が、ホルダ本体21に取り付けられる。具体的には、端子ホルダ22は、ホルダ本体21の後端側の開口を塞ぐようにホルダ本体21の後方に配置される。次いで、ホルダ本体21に対する端子ホルダ22の上下左右方向の位置が合わせられる。このとき、スペーサ24の間隙部241は長溝211aの後方近傍に配置され、スペーサ24の凹部242は長溝211bの後方に配置される。次いで、端子ホルダ22は、締結ボルト27(
図3参照)により、ホルダ本体21に締結される。このとき、封止部材26は、ホルダ本体21の後端面と端子ホルダ22の第1溝部225との間で押し潰され、ホルダ本体21と端子ホルダ22との間は、密封される。また、スペーサ24の前端面はホルダ本体21の段部213に当接し、後端面は端子ホルダ22の第2溝部226に当接する。すなわち、スペーサ24は、ホルダ本体21(段部213)と端子ホルダ22(第2溝部226)とに挟持された状態で、スペーサ収容部212に収容される。
【0060】
このように、スペーサ24がスペーサ収容部212に収容されたとき、スペーサ24の内側には、PMTソケット10の後面11bと、端子ホルダ22の前面22aと、スペーサ24の内周面と、により画定された空間(以下「ケーブル収容空間」という。)Aが画定される。すなわち、ケーブル収容空間Aは、スペーサ24の内側の空間により構成される。換言すれば、ホルダ本体21は、ケーブル収容空間Aを備える。このとき、長溝211aは、スペーサ収容部212の一部と間隙部241とを介してケーブル収容空間Aに連通すると共に、挿入孔21hの前端側の開口に連通する。一方、長溝211bは、凹部242を介してケーブル収容空間Aと連通すると共に、挿入孔21hの前端側の開口に連通する。すなわち、凹部242は、長溝211bとケーブル収容空間Aとに連通する。ケーブル収容空間Aには、ケーブル13と端子23の前端部231a~234aとが配置される。
【0061】
次いで、
図6(c)に示されるように、樹脂材25が、ケーブル収容空間Aに充填される。このとき、樹脂材25は、長溝211aと間隙部241とを介してケーブル収容空間Aに流し込まれると共に、長溝211bと凹部242とを介してケーブル収容空間Aに流し込まれる。最終的に、樹脂材25は、ケーブル収容空間A、間隙部241、スペーサ収容部212の一部(間隙部241と長溝211aとの間の空間)、凹部242、長溝211a,211b、ソケット収容部211の内周面211cとPMTソケット10の外周面11cとの間の隙間、に充填される。その結果、ケーブル収容空間Aは、ホルダ本体21の外部の空間から隔離される。
【0062】
ここで、ケーブル13は、ケーブル収容空間Aにおいて曲げられている。そのため、この時点において、PMTソケット10には、ケーブル13の復元力により、前方または後方に向けた応力が加えられ得る。その結果、PMTソケット10は、ケーブル13からの応力により前後方向に移動し得る。前述のとおり、スペーサ収容部212にはスペーサ24が配置されている。そのため、PMTソケット10に対して後方に向けた応力が加えられても、PMTソケット10は、段部213よりも後方(スペーサ収容部212)へは移動しない。すなわち、スペーサ24は、PMTソケット10の所定位置から後方への移動を規制する規制部材としても機能する。一方、PMTソケット10に対して前方に向けた応力が加えられたとき、PMTソケット10は、ソケット収容部211の前側へ移動し得る。そこで、樹脂材25が硬化する前に、後述する位置決治具30(
図7参照)によるPMTソケット10の位置決めが行われる(PMTソケット10の位置の微調整)。
【0063】
次いで、位置決治具30によるPMTソケット10の位置決めについて説明する。
【0064】
図8は、PMTソケット10が位置決治具30により位置決めされている状態を示す断面図である。
【0065】
先ず、嵌合突起部31が、PMTソケット10の嵌合穴11dに嵌合される。このとき、嵌合突起部31の凸部31aは、嵌合穴11dの突出凹部11d1に嵌合される。
【0066】
次いで、位置決治具30は、位置決治具30の後面がPMTソケット10の前面11aに当接した状態で、PMTソケット10の後面11bがスペーサ24の前端面に当接するまで、後方に押し込まれる。このとき、PMTソケット10は、スペーサ24と位置決治具30とにより挟み込まれ、前後方向において所定位置に位置決めされる(第1位置決め)。
【0067】
次いで、前方視において、位置決治具30とホルダ本体21との輪郭が揃うように、位置決治具30が、上下左右方向に移動および周方向に回転される。このとき、前方視において、PMTソケット10は、PMTソケット10の中心位置がホルダ本体21の挿入孔21hの中心位置に位置するように上下左右方向において所定位置に位置決めされる(中心位置決め)。また、PMTソケット10は、突出凹部11d1に嵌合された凸部31aの周方向の移動に伴い、周方向に移動(回転)する。その結果、PMTソケット10は、周方向において所定位置に位置決めされる(第2位置決め:周方向位置の微調整)。
【0068】
図9は、PMTソケット10の周方向位置の微調整を示す拡大正面図であり、(a)は微調整前の状態を示し、(b)は微調整後の状態を示す。同図は、説明の便宜上、嵌合突起部31を二点鎖線で示す。同図は、PMTソケット10の移動方向を黒塗矢印で示す。同図は、中心位置決めにより、PMTソケット10の中心位置がホルダ本体21の挿入孔21hの中心位置に移動したことを示す。また、同図は、周方向位置の微調整により、嵌合穴11dの突出凹部11d1が上方を向いた位置にPMTソケット10が回転したことを示す。
【0069】
図8に戻る。
次いで、位置決治具30は、樹脂材25が硬化するまで、例えば、ボルト(不図示)により、ホルダ本体21に固定される。その結果、PMTソケット10は、前後方向および周方向において所定位置に位置決めされた状態で、樹脂材25によりホルダ本体21内に固定される。このように、位置決治具30が用いられることにより、PMTソケット10は、ホルダ本体21に対して容易に位置決めすることができる。
【0070】
次いで、樹脂材25が硬化した後、位置決治具30は、ホルダ本体21から取り外される。その結果、
図2に示されるように、ソケットホルダ20の所定位置にPMTソケット10が固定されたソケット組立体1が組み立てられる(製造される)。その後、必要に応じて、端子231~234の後端部231b~234bに、外部ケーブルC1~C3が接続される。
【0071】
このように、ソケット組立体1が組み立てられることにより、ケーブル収容空間Aは樹脂材25により外部から隔離され、ケーブル13の被覆部材の後端部は樹脂材25により閉塞される。そのため、ソケット組立体1では、外気は、ケーブル13を介してPMTソケット10の内部に侵入しない。また、端子23は、端子ホルダ22に埋設されており、外部ケーブルCは、端子23の後端部231b~234bに接続される。そのため、外気は、外部ケーブルCや端子23を介してケーブル収容空間Aへ侵入しない。また、仮に外部ケーブルCと端子23との接続部に結露が生じても、結露水は、端子23を介してケーブル収容空間Aへ侵入(流入)しない。
【0072】
NOx濃度測定装置において、PMTおよびPMTソケット10は冷却されて使用されることがあり、PMTおよびPMTソケット10の表面には、結露が生じ易い。したがって、PMTやPMTソケット10は気密構造を有している。しかしながら、PMTソケット10から導出されるケーブル13は気密構造を有していない。そのため、外気の湿気やケーブルに生じた結露水などの水分がケーブル13の後端部を介してPMTソケット10の内部に侵入し得る。しかしながら、前述のとおり、本発明は、ケーブル13の後端部を外気から隔離することにより、前述の水分がケーブル13を介してPMTソケット10の内部へ侵入することを阻止することができる。その結果、前述の水分はPMTソケット10の内部へ侵入せず、結露はPMTソケット10の内部に生じない。
【0073】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、ソケット組立体1が備えるソケットホルダ20は、PMTソケット10を収容する筒状のホルダ本体21と、ケーブル13が接続される棒状の端子23と、端子23を保持する端子ホルダ22と、を有してなる。端子ホルダ22は、ホルダ本体21の後端側の開口を塞ぐようにホルダ本体21に取り付けられる。端子23は、端子ホルダ22を貫通するように端子ホルダ22に埋設される。端子23の前端部231a~234aにはケーブル13が接続され、後端部231b~234bには外部ケーブルCが接続される。ホルダ本体21は、ケーブル13と端子23の前端部231a~234aとが収容されるケーブル収容空間Aを備える。ケーブル収容空間Aは、樹脂材25によりホルダ本体21の外部の空間から隔離される。この構成によれば、ケーブル13の被覆部材の後端部は、ケーブル収容空間Aに収容される。そのため、前述の水分は、ケーブル13を介してPMTソケット10の内部に侵入(流入)しない。また、端子23は、端子ホルダ22に埋設されており、外部ケーブルCは、端子23の後端部231b~234bに接続される。そのため、前述の水分は、外部ケーブルCや端子23を介してケーブル収容空間Aへ侵入しない。すなわち、ソケット組立体1およびソケットホルダ20は、外気の湿気や結露水などの水分がケーブル13および外部ケーブルCを介してPMTソケット10の内部へ侵入することを阻止することができる。
【0074】
また、以上説明した実施の形態によれば、ソケット組立体1が備えるソケットホルダ20は、ケーブル収容空間Aに充填される樹脂材25を有してなる。この構成によれば、ケーブル収容空間Aは樹脂材25により外部から隔離され、ケーブル13の被覆部材の後端部は樹脂材25により閉塞される。そのため、ソケット組立体1では、前述の水分は、ケーブル13を介してPMTソケット10の内部に侵入しない。また、仮に端子ホルダ22と端子23との間に隙間が生じても、前述の水分は、同隙間からPMTソケット10の内部に侵入しない。すなわち、ソケット組立体1およびソケットホルダ20は、外気の湿気や結露水などの水分がケーブル13および外部ケーブルCを介してPMTソケット10の内部へ侵入することをより確実に阻止することができる。
【0075】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、ソケット組立体1が備えるソケットホルダ20は、ホルダ本体21の内部におけるPMTソケット10の位置を決めるスペーサ24を有してなる。スペーサ24は、端子ホルダ22とPMTソケット10の後面11bとに当接した状態でホルダ本体21に収容されることにより、ホルダ本体21の内部の所定位置にPMTソケット10を位置決めする。また、スペーサ24は、ケーブル収容空間Aをホルダ本体21の内部に画定する。この構成によれば、PMTソケット10がケーブル収容空間Aに収容されたケーブル13の復元力により後方へ向かう応力を受けたとしても、PMTソケット10の後方への移動は、スペーサ24により規制される。その結果、ホルダ本体21に対するPMTソケット10の位置決めは、容易になる。また、スペーサ24の存在によりスペーサ収容部212の内部空間の容積が減少するため、樹脂材25の使用量が低減される。さらに、PMTソケット10の形状に合わせたスペーサ24が用いられることにより、ソケットホルダ20に対するPMTソケット10の位置は、PMTソケット10の種類に依らず所定位置に調整することができる。
【0076】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、ホルダ本体21は、ソケット収容部211の内周面211cに配置され、ホルダ本体21の前端側の開口とケーブル収容空間Aとに連通する長溝211a,211bを備える。この構成によれば、樹脂材25は、長溝211a,211bを介してケーブル収容空間Aへ容易に充填することができる。
【0077】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、スペーサ24は、長溝211bとケーブル収容空間Aとに連通する凹部242を備える。この構成によれば、PMTソケット10の後面11bとスペーサ24とが当接していても、樹脂材25は、凹部242を介してケーブル収容空間Aに充填することができる。
【0078】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、樹脂材25は、長溝211a,211bと、ソケット収容部211の内周面211cとPMTソケット10の外周面11cとの間の空間(隙間)と、に充填される。この構成によれば、PMTソケット10は、特に分解や改良を施されることなく、ホルダ本体21に確実に固定される。すなわち、ソケット組立体1およびソケットホルダ20は、既存のPMTソケット10に対して適用することができる。
【0079】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、端子ホルダ22は、各端子231~234に対応する突起部221~224を備える。各突起部221~224それぞれは、端子ホルダ22の後面22bに突設される。各端子231~234それぞれは、対応する突起部221~224を貫通するように端子ホルダ22に埋設される。各端子231~234の後端部231b~234bは、対応する突起部221~224から後方に突出する。この構成によれば、4つの突起部221~224の端面221a~224aは、相互に独立し、同一面を形成しない。そのため、仮に、処理回路や外部ケーブルCの内部で結露が生じ、結露水が外部ケーブルCの内部を介して各端子231~234の後端部231b~234bに到達しても、結露水は各端子231~234間を横断しない。また、前述のとおり、各突起部221~224の端面221a~224aは、すり鉢状の凹面である。そのため、仮に結露水が各端子231~234の後端部231b~234bに到達しても、結露水は、同凹面に一時的に捕集される。したがって、各端子231~234間は、結露水により短絡しない。
【0080】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、スペーサ24は、スペーサ収容部212の内周面212aに沿う板状である。この構成によれば、ホルダ本体21におけるケーブル収容空間Aの容積が大きく確保でき、ケーブル13が曲げられる程度が抑制される。すなわち、ケーブル13の復元力による応力は小さくなる。その結果、ホルダ本体21に対するPMTソケット10の位置決めは、容易になる。また、ケーブル13と端子23とを接続する半田にかかる応力は低減され、同接続の安定性が向上する。さらに、スペーサ収容部212の容積はスペーサ24により減少するため、樹脂材25の使用量は減少する。
【0081】
なお、本発明におけるセンサはPMTに限定されず、本発明におけるソケットはPMTソケットに限定されない。また、本発明に係るホルダ組立体が組み込まれる測定機器は、NOx濃度測定装置に限定されない。すなわち、例えば、測定機器は、アルシンガス検知装置でもよい。
【0082】
また、以上説明した実施の形態では、樹脂材25がケーブル収容空間Aなどに充填された後に、位置決治具30によるPMTソケット10の位置決めが行われていた。これに代えて、本発明における樹脂材は、位置決治具によるPMTソケットの位置決め後に、ケーブル収容空間に充填されてもよい。この場合、本発明における樹脂材は、例えば、先端が長細いシリンジにより位置決治具の2つの孔から長溝を介して充填される。
【0083】
さらに、以上説明した実施の形態では、ケーブル収容空間Aは、充填された樹脂材25により外部の空間から隔離されていた。これに代えて、本発明におけるケーブル収容空間は、ソケット収容部の内周面とPMTソケットの外周面との間に配置されるO-リングなどの封止部材により外部の空間から隔離されてもよい。この場合、PMTソケットは、O-リングによりホルダ本体内に固定される。すなわち、封止部材は、本発明における樹脂材の別の例である。また、本発明におけるケーブル収容空間は、低湿度な環境下で画定されるとよい。この構成によれば、本発明におけるソケット(PMTソケット)は、本発明におけるソケットホルダに対して交換可能となる。
【0084】
さらにまた、以上説明した実施の形態では、スペーサ24は、間隙部241を備える「C」字状の単一の部材により構成されていた。これに代えて、本発明におけるスペーサは、複数の部材により構成されてもよい。すなわち、例えば、本発明におけるスペーサは、前方視において2つの円弧状の部材に分割可能な円筒状または円弧筒状の部材でもよい。この構成であっても、スペーサは、ケーブルが端子に接続された後にPMTソケットと端子ホルダとの間に配置することができる。
【0085】
さらにまた、本発明におけるスペーサは、凹部に代えてスペーサの前端部に配置される切り欠きを備えてもよい。
【0086】
さらにまた、本発明におけるスペーサは、間隙部(筒状の周壁の一部が前端から後端まで取り除かれた形状)を有すればよく、円弧状に限定されない。すなわち、例えば、本発明におけるホルダ本体の挿入孔が直方体状であるとき、本発明におけるスペーサは、前方視において「コ」の字状でもよい。
【0087】
さらにまた、本発明におけるスペーサは、凹部を備えなくてもよい。この場合、本発明におけるホルダ本体が備える長溝は、間隙部に対応する位置に配置される1つの長溝のみでもよい。
【0088】
さらにまた、本発明に係るソケットホルダは、長溝に代えて、ケーブル収容空間とホルダ本体の外部とに連通する貫通孔を備えてもよい。この場合、例えば、本発明における樹脂材は、貫通孔からケーブル収容空間と貫通孔とに充填される。
【0089】
さらにまた、本発明におけるソケット(PMTソケット)の筐体の形状は、円柱状に限定されない。すなわち、例えば、本発明におけるソケットは、直方体状であってもよい。この場合、本発明におけるホルダ本体の挿入孔の形状は、同ソケットが収容可能な形状であればよい。
【0090】
さらにまた、本発明におけるケーブルおよび端子の数は、「4」に限定されない。すなわち、例えば、本発明におけるケーブルおよび端子の数は、「3」以下でもよく、あるいは、「5」以上でもよい。この場合、本発明における端子ホルダは、端子の数と同数の突起部を備えてもよい。
【0091】
さらにまた、本発明における樹脂材は、本発明における端子ホルダの後面において、本発明における端子の根元にも充填されてもよい。
【0092】
さらにまた、本発明におけるホルダ本体は、段部を備えなくてもよい。すなわち、例えば、ソケット収容部の内径は、スペーサ収容部の内径と同じでもよい。
【0093】
さらにまた、本発明における2つの長溝の配置は、スペーサの間隙部および凹部の位置に応じて定まればよく、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、本発明における2つの長溝は、対向しなくてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 ソケット組立体
10 PMTソケット(ソケット)
11b 後面(導出面)
11c 外周面
13 ケーブル
20 ソケットホルダ
21 ホルダ本体
211a 長溝
211b 長溝
211c 内周面
22 端子ホルダ
221~224 突起部
23 端子
231a~234a 前端部(第1端部)
231b~234b 後端部(第2端部)
24 スペーサ
242 凹部
25 樹脂材
A ケーブル収容空間