(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187768
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】プロセスカートリッジ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20221213BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G03G21/18 132
G03G15/08 390Z
G03G15/08 348A
G03G21/18 142
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095938
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下井 康裕
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
【Fターム(参考)】
2H077AA02
2H077AA07
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AB18
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD18
2H077AE06
2H077BA08
2H077BA09
2H077EA03
2H077GA04
2H171FA01
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA09
2H171FA13
2H171GA06
2H171GA09
2H171GA12
2H171HA22
2H171HA23
2H171HA34
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA29
2H171JA31
2H171JA47
2H171JA48
2H171KA05
2H171KA22
2H171KA25
2H171KA27
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB15
2H171QB32
2H171QB37
2H171QB52
2H171QB55
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC36
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA15
2H171SA22
2H171SA26
(57)【要約】
【課題】シート部材の引き抜き忘れを抑制し、操作性を向上させる。
【解決手段】像担持体と、像担持体の表面の一部が露出する露出部を設けたカートリッジ筐体と、を備え、画像形成装置に対して着脱自在なプロセスカートリッジであって、搬送室と、搬送室と連通する連通口を通して搬送室に供給する現像剤を収容する収容室と、連通口の外周部に溶着して連通口を封止し、連通口の長手方向の一端にて折り返したシート部材と、折り返したシート部材をカートリッジ筐体の外へ通す穴部と、穴部を通したシート部材をカートリッジ筐体の外において折り返し、折り返したシート部材の端部を固定する固定部材と、カートリッジ筐体に対して着脱自在であり、カートリッジ筐体に装着した状態で露出部を覆うカバー部材であって、カートリッジ筐体の外において折り返したシート部材の折り返し部と係合し、カートリッジ筐体に対して相対移動可能に設けたカバー部材と、を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体を保持すると共に前記像担持体の表面の一部が露出する露出部を設けたカートリッジ筐体と、を備え、画像形成装置に対して着脱自在なプロセスカートリッジであって、
現像剤を搬送する搬送部材を回転可能に支持する搬送室と、前記搬送室と連通する連通口を通して前記搬送室に供給する現像剤を収容する収容室と、を有する現像容器と、
前記連通口の外周部に接着又は溶着して前記連通口を封止し、前記連通口の長手方向の一端にて折り返したシート部材と、
前記折り返した前記シート部材を前記カートリッジ筐体の外へ通す穴部と、
前記穴部を通した前記シート部材を前記カートリッジ筐体の外において折り返し、折り返した前記シート部材の端部を固定する固定部を有し、前記カートリッジ筐体に取り付けられた固定部材と、
前記カートリッジ筐体に対して着脱自在であり、前記カートリッジ筐体に装着した状態で前記露出部を覆うカバー部材であって、前記カートリッジ筐体の外において折り返した前記シート部材の折り返し部と係合し、前記カートリッジ筐体に対して相対移動可能に設けたカバー部材と、を備える、
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記固定部材は、前記カートリッジ筐体に対して係止する係止部を有し、前記カートリッジ筐体に取り外し可能に取り付けられ、
前記カバー部材は、前記固定部材を覆い、前記連通口の長手方向の一端から他端までの長さよりも長く設定され、長手方向の一方側に前記カートリッジ筐体の外において折り返した前記シート部材の折り返し部と係合する係合部を有し、長手方向の他方側に前記係止部の係止を解除する解除部と、前記係止部の係止を解除した前記固定部材を保持する保持部と、を有し、
前記カバー部材は、前記カートリッジ筐体に対する相対移動により、前記シート部材を前記連通口の外周部から引き剥がし、引き剥がした後の前記カートリッジ筐体に対するさらなる相対移動により、前記解除部により前記係止部の係止を解除し、前記保持部により前記固定部材を保持し、前記カートリッジ筐体から離脱される、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記固定部材は、前記穴部を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記穴部を通した前記シート部材は、前記カートリッジ筐体の外において、前記収容室に収容する現像剤との接触面が内側になるように折り返されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記連通口の長手方向の一端にて折り返して前記長手方向の他端に向けて延伸するシート部材を前記現像容器の外へ排出する排出口を有し、前記排出口から前記現像容器の外へ排出した前記シート部材を前記穴部を通して前記カートリッジ筐体の外へ通す、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジと、
前記プロセスカートリッジを画像形成装置に装着する際に、前記カバー部材の端部と当接して、前記カバー部材の前記プロセスカートリッジの装着方向への移動を規制する規制部と、を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記プロセスカートリッジが画像形成装置に装着されたときに、前記カバー部材の前記端部が前記画像形成装置と前記プロセスカートリッジとによって挟持される付勢力が付与されるように前記プロセスカートリッジを付勢可能な付勢部を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体を備え、画像形成装置に対して着脱自在なプロセスカートリッジ及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を利用した画像形成装置において、像担持体や像担持体に形成された潜像を現像剤により現像する現像装置が一体となったプロセスカートリッジは、画像形成装置に着脱可能であり、あらかじめ現像装置内に現像剤を収容する方法が主流となっている。このような現像装置では、現像装置内に収容した初期現像剤が、最初に使用する前に、高温高湿の外気に触れて劣化することや、現像装置外への飛散を抑制するため、以下の構成が知られている。
【0003】
現像装置は、現像装置内の収容室に初期現像剤を収容し、その収容室の開口を封止シートで封止して、初期現像剤を収容室に収容した状態で収容室を密封している。そして、現像装置は、最初に使用する際にこの封止シートを引き抜いて収容室を開封している。
【0004】
このような構成の現像装置では、収容室の長手方向にわたって設けられた開口を、封止シートで封止する構成がとられている(特許文献1参照)。特に、封止シートを開口の外周部に溶着や接着等により貼り付けることで収容室を密封し、長手方向の一方の端部で折り返す。そして、折り返した封止シートを、長手方向の他方の端部側において、長手方向一方から他方に向けて引き抜くことで収容室を開封する。このような方式が多く採用されている。
【0005】
また、像担持体と現像装置とが一体となったプロセスカートリッジでは、画像形成装置にプロセスカートリッジを装着していない状態で像担持体の表面を傷付けないようにカバーを備える構成が知られている。特許文献2には、プロセスカートリッジを画像形成装置に装着する操作と同時にカバーを取り外せる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-148648号公報
【特許文献2】特開2015-87490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のプロセスカートリッジでは、最初に使用する際に、像担持体の表面を覆うカバーを取り外す作業の他に、封止シートを引き抜く作業が必要である。そのため、封止シートを引き抜き忘れてしまうおそれがあり、操作性に課題がある。
【0008】
本発明の目的は、封止シートの引き抜き忘れを抑制し、操作性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、像担持体と、前記像担持体を保持すると共に前記像担持体の表面の一部が露出する露出部を設けたカートリッジ筐体と、を備え、画像形成装置に対して着脱自在なプロセスカートリッジであって、現像剤を搬送する搬送部材を回転可能に支持する搬送室と、前記搬送室と連通する連通口を通して前記搬送室に供給する現像剤を収容する収容室と、を有する現像容器と、前記連通口の外周部に接着又は溶着して前記連通口を封止し、前記連通口の長手方向の一端にて折り返したシート部材と、前記折り返した前記シート部材を前記カートリッジ筐体の外へ通す穴部と、前記穴部を通した前記シート部材を前記カートリッジ筐体の外において折り返し、折り返した前記シート部材の端部を固定する固定部を有し、前記カートリッジ筐体に取り付けられた固定部材と、前記カートリッジ筐体に対して着脱自在であり、前記カートリッジ筐体に装着した状態で前記露出部を覆うカバー部材であって、前記カートリッジ筐体の外において折り返した前記シート部材の折り返し部と係合し、前記カートリッジ筐体に対して相対移動可能に設けたカバー部材と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シート部材の引き抜き忘れを抑制し、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】プロセスカートリッジの概略構成を示す断面図
【
図4】(a)(b)プロセスカートリッジを保護カバーが装着された状態で示す図
【
図5】プロセスカートリッジの画像形成装置への挿入開始状態を示す斜視図
【
図6】プロセスカートリッジが装着位置に到達する際の状態を示す斜視図
【
図7】プロセスカートリッジの初期状態の封止シートの構成を示す断面図
【
図8】プロセスカートリッジの初期状態の封止シートの構成を示す斜視図
【
図9】プロセスカートリッジの初期状態の封止シート引き抜き構成を示す斜視図
【
図10】プロセスカートリッジの保護カバー取り外し途中の構成を示す斜視図
【
図11】(a)(b)(c)プロセスカートリッジの保護カバー取り外し途中の固定部材の解除動作過程を示す図
【
図12】(a)(b)(c)プロセスカートリッジの保護カバー取り外し途中の固定部材の解除動作過程を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
〔第1実施形態〕
[画像形成装置]
まず、
図1を用いて本実施形態の画像形成装置の概略構成について説明する。
図1は、画像形成装置の概略構成を示す断面図である。画像形成装置60は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色のプロセスカートリッジ30を、中間転写体としての中間転写ベルト62の回転方向に並べて配置された、所謂タンデム型の構成である。各色のプロセスカートリッジ30は、それぞれ後述するように各色のトナー像を形成する。そして、各色のトナー像は、順次、中間転写ベルト62に一次転写され、中間転写ベルト62上にフルカラーのトナー像が形成される。中間転写ベルト62上のフルカラーのトナー画像は、カセット64から搬送された記録材(用紙、OHPシートなどのシート材など)に二次転写部63で転写され、定着装置65で加熱、加圧されることで、記録材に定着される。トナー画像が定着された記録材は、排出部66から排出トレイ67に排出され、両面印刷を行う場合には、両面搬送路68を通って、再度、二次転写部63に搬送される。
【0014】
[プロセスカートリッジ]
次に、上述の各色のプロセスカートリッジ30の概略構成について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図2は、プロセスカートリッジの概略構成を示す断面図である。なお、各色のプロセスカートリッジ30の構成は、基本的に同様である。プロセスカートリッジ30は、少なくとも像担持体としての感光ドラム1と、感光ドラム1を保持するカートリッジ筐体31とを有し、画像形成装置60に着脱自在に構成される。また、プロセスカートリッジ30は、後述するように、感光ドラム1の表面の一部が露出する露出部35を覆う保護カバー10(
図4参照)が着脱自在となっている。
【0015】
本実施形態のプロセスカートリッジ30は、像担持体としての感光ドラム1及びこれに画像を形成するためのプロセス手段としての帯電装置2、クリーナ装置4、現像装置3を備えている。このようなプロセスカートリッジ30は、感光ドラム1の長手方向(第1方向)に沿って画像形成装置60に着脱される。
【0016】
プロセスカートリッジ30について、より具体的に説明する。プロセスカートリッジ30は、
図2に示すように、感光体装置33と現像装置3とを組み合わせて構成されている。感光体装置33は、カートリッジ筐体31によって回転可能に支持された感光ドラム1と、帯電手段としての帯電装置(帯電ローラ)2、清掃手段としてのクリーナ装置4などから構成される。現像装置3は、現像容器32によって回転可能に支持される搬送スクリュー8a,8b、規制ブレード9、現像スリーブ7などから構成される。なお、現像装置3については、後で詳しく説明する。
【0017】
[画像形成プロセス]
このようなプロセスカートリッジ30が装着された画像形成装置60では、次のようにトナー像が形成される。まず、プロセスカートリッジ30が画像形成装置60の所定の装着位置に装着されると、露出部35から露出した感光ドラム1が、
図1に示すように、中間転写ベルト62と対向する。この状態で回転駆動される感光ドラム1の表面を帯電装置2により所定の電位に帯電する。そして、帯電された感光ドラム1の表面に、各色の画像情報に応じて露光装置61からレーザ光が照射され、静電潜像が形成される。感光ドラム1上の静電潜像は、現像装置3により各色のトナーによりトナー像として現像される。
【0018】
現像装置3は、現像容器32内に磁性を有するキャリアと非磁性のトナーとを有する二成分現像剤が収容されており、二成分現像剤が搬送スクリュー8a,8bによって撹拌搬送されることでキャリアとトナーとがそれぞれ帯電する。帯電されたキャリア及びトナーを有する現像剤は、内部にマグネット部7a(
図3参照)を備え、回転駆動される現像スリーブ7に担持搬送される。現像スリーブ7に担持搬送された現像剤は、規制ブレード9によって所望の厚みに規制され、感光ドラム1と対向する領域に搬送される。そして、現像スリーブ7と感光ドラム1との間に所定の現像バイアスが印加されることで、感光ドラム1上の静電潜像がトナーにより可視像化される。
【0019】
各色のプロセスカートリッジ30では、このような画像形成プロセスが並列処理され、可視像化されたトナー像は画像先端が一致するように、順次、中間転写ベルト62上に重ね合わせて転写され、上述したようにフルカラーのトナー像が形成される。転写後に感光ドラム1の表面に残ったトナーは、クリーナ装置4のクリーニングブレード4bによって掻き取られ、クリーナ回収スペース6に設けられたクリーナ搬送スクリュー5によって不図示の回収トナー容器に搬送される。
【0020】
[現像装置]
次に、
図3を用いて、本実施形態の現像装置3について説明する。
図3は、現像装置の概略構成を示す断面図である。本実施形態の現像装置3は、前述したように、現像容器32内に磁性を有するキャリアと非磁性のトナーとを有する二成分現像剤が収容されている。また、各色のトナーは、画像形成装置60にセットされたトナーカートリッジ69(
図1参照)から不図示のトナー搬送経路を経て現像装置3の現像容器32内に供給される。
【0021】
現像装置3は、現像剤を収容する現像容器32を有する。現像容器32は、内部に、隔壁23によって仕切られた第1搬送室21と第2搬送室22を有し、第1搬送室21と第2搬送室22とは長手方向の両端で繋がっている。第1搬送室21には第1搬送部材としての第1搬送スクリュー8aが回転可能に支持されている。第2搬送室22には第2搬送部材としての第2搬送スクリュー8bが回転可能に支持されている。そして、これら2つの搬送スクリュー8a,8bが駆動されることで、現像容器32内に供給されたトナーが2つの搬送室を循環する。ここで、現像容器32の中には予め磁性キャリアが入っており、第1搬送室21を循環中に磁性キャリアとトナーとは攪拌されることで摩擦帯電し、第2搬送室22へと搬送される。
【0022】
第2搬送室22内の第2搬送スクリュー8bは、円筒状の現像スリーブ7に対向配置されており、磁性キャリアとの摩擦帯電により磁性キャリアに付着したトナーを、現像スリーブ7に搬送および供給する。現像スリーブ7は、現像容器32内の所定位置に感光ドラム1と略平行に回転可能に支持され、不図示の駆動源により回転駆動されることで現像剤を担持しつつ搬送する。現像スリーブ7は、内部に磁力により現像剤を現像スリーブ7に担持させるためのマグネット部7aを配置している。現像スリーブ7は、マグネット部7aを現像スリーブ7の回転軸方向(長手方向、第1方向)に沿って配置している。マグネット部7aは、所望の磁界を発生させるべく磁極のパターンが周方向で所定の位相に固定されるよう回転不可に支持され、現像スリーブ7はこのマグネット部7aの周囲を回転する。
【0023】
このように構成される現像スリーブ7は、第2搬送スクリュー8bから供給される、摩擦帯電によりトナーが付着した磁性キャリアをマグネット部7aの磁力により表面に対して穂立ち状に担持する。そして、回転することで、
図3の矢印D方向にトナー及びキャリアを搬送する。なお、本実施形態では、現像スリーブ7の回転方向(矢印D方向)は、感光ドラム1の回転方向(矢印E方向)に対して順方向となるように設定しているが、カウンター方向となる設定であっても構わない。
【0024】
現像容器32は、感光ドラム1と対向する領域に開口25を有する。前記開口25は、現像スリーブ7を挿入自在に形成されている。そして、現像容器32は、上述の所定位置で一部が開口25に露出するように現像スリーブ7を支持する。上述のように現像スリーブ7に担持搬送されるトナー及びキャリアからなる現像剤は、開口25の近傍に設けられた規制ブレード9により層厚が規制され、現像スリーブ7と感光ドラム1とが近接対向する現像領域に搬送される。現像領域では、現像スリーブ7と感光ドラム1との間に現像バイアスを印加されることで、上述のように層厚が規制された現像剤により感光ドラム1に形成された静電潜像を現像する。
【0025】
[保護カバーとプロセスカートリッジとの関係]
次に、保護カバー10とプロセスカートリッジ30との関係について、
図4を用いて説明する。
図4(a)は、プロセスカートリッジを保護カバーが装着された状態で示す斜視図、
図4(b)は、プロセスカートリッジを保護カバーが装着された状態で示す断面図である。
【0026】
なお、
図4において、矢印y方向は第1方向であり、感光ドラム1の長手方向(回転軸方向)であり、現像スリーブ7の回転軸方向である。矢印z方向は第1方向に直交する第2方向であり、プロセスカートリッジ30の画像形成装置60に対する上下方向であり、画像形成装置60の上下方向(鉛直方向)である。矢印x方向は、第1方向及び第2方向に直交する方向であり、4つの感光ドラムの配列方向であり、4つのプロセスカートリッジの並び方向である。
【0027】
プロセスカートリッジ30は、上述のように、カートリッジ筐体31と、保護カバー10とを有する。カートリッジ筐体31は、感光ドラム1を保持すると共に前記感光ドラム1の表面の一部が露出する露出部35を設けている。保護カバー10は、カートリッジ筐体31に対して着脱自在であり、カートリッジ筐体31に装着した状態で、カートリッジ筐体31の感光ドラム1の表面の一部が露出する露出部35(
図2)を覆うカバー部材である。
【0028】
また、カートリッジ筐体31は、プロセスカートリッジ30を画像形成装置60に第1方向に挿入する動作に伴って、露出部35が露出するように保護カバー10に対して第1方向に相対移動するように構成されている。このために、保護カバー10には、プロセスカートリッジ30の挿入動作に伴って、カートリッジ筐体31を第1方向に案内する挿入案内部としての複数の係合爪11R,11Lが形成されている。係合爪11R,11Lは、
図4(a)に示すように、感光ドラム1を円周方向に跨ぐように、それぞれ第1方向に沿って複数形成されている。
【0029】
一方、カートリッジ筐体31には、
図4(b)に示すように、係合爪11R,11Lと係合する係合溝34R,34Lがそれぞれ第1方向に沿って形成されている。そして、係合爪11R,11Lと係合溝34R,34Lとが係合することで、カートリッジ筐体31が保護カバー10に対して第1方向に案内される。
【0030】
また、
図4(a)に示すように、保護カバー10には、樹脂製のバネをフック状に形成した係止部43が設けられている。係止部43は、保護カバー10によりカートリッジ筐体31の露出部35を覆った状態(装着状態)で、カートリッジ筐体31の一部に係止する。一方、係止部43は、カートリッジ筐体31が第1方向に相対移動する際に、カートリッジ筐体31の一部との係止が外れるように形成されている。即ち、後述するように、保護カバー10の移動が阻止された状態でプロセスカートリッジ30が挿入方向に押されて、所定以上の力が係止部43に作用することで、係止部43の樹脂バネが撓んでフックの係止が外れるようになっている。
【0031】
[プロセスカートリッジの画像形成装置への装着]
次に、プロセスカートリッジ30を画像形成装置60に装着する構成及び動作について、
図5、
図6を用いて説明する。
図5は、プロセスカートリッジの画像形成装置への挿入開始状態を示す斜視図である。
図6はプロセスカートリッジが画像形成装置の内部の装着位置に到達する際の状態を示す斜視図である。
【0032】
プロセスカートリッジ30を画像形成装置60に装着する際には、
図5に示すように、保護カバー10の挿入方向(装着方向、第1方向)先端に設けた突き当て部(先端部)40を画像形成装置60に設けた規制部72に嵌合させる。これにより、画像形成装置60に対してプロセスカートリッジ30の挿入位置を決める。また、画像形成装置60に設けた規制部72は、プロセスカートリッジ30を第1方向に挿入(装着)する際に、保護カバー10の一部である突き当て部40と当接して、保護カバー10の第1方向への移動を規制する。これにより、プロセスカートリッジ30(カートリッジ筐体31)は、画像形成装置60に第1方向に挿入する動作に伴って、露出部35が露出するように保護カバー10に対して第1方向に相対移動する。
【0033】
また、保護カバー10の突き当て部40には目印41が、画像形成装置60の規制部72の近傍には目印75がそれぞれ設けられている。ユーザやサービスマンなどがプロセスカートリッジ30を画像形成装置60に挿入する際には、
図5に示すように、突き当て部40の目印41と画像形成装置60の目印75とを合わせるように、突き当て部40を規制部72に進入させる。そして、位置合わせが行われた状態で、プロセスカートリッジ30の把手42を矢印P方向(挿入方向)に押すことで、突き当て部40が規制部72に突き当たる。この状態で、プロセスカートリッジ30を画像形成装置60に挿入する際の位置決めがなされる。
【0034】
この状態から、更にプロセスカートリッジ30を挿入方向に押すことで、保護カバー10が突き当て部40と規制部72との当接によりそれ以上移動することが阻止され、プロセスカートリッジ30が保護カバー10に対して相対移動を開始する。この際、保護カバー10の係止部43が外れて、プロセスカートリッジ30が保護カバー10を残して画像形成装置60の内部に挿入される。このとき、保護カバー10の係合爪11R,11Lとカートリッジ筐体31の係合溝34R,34Lとが複数係合していることで、保護カバー10がプロセスカートリッジ30を、
図5のZ軸方向(上下方向)に規制をしつつ、Y軸方向(挿入方向)に案内する。
【0035】
また、プロセスカートリッジ30が装着位置に到達する際には、
図6に示すように、プロセスカートリッジ30が画像形成装置60に設けた付勢部71により付勢力が付与される。画像形成装置60に設けた付勢部71は、プロセスカートリッジ30が装着位置に至る直前に、プロセスカートリッジ30と当接し、プロセスカートリッジ30に対して上方への付勢を開始する。
【0036】
この付勢部71の付勢力は、ユーザなどがプロセスカートリッジ30を画像形成装置60に挿入する力に対する挿入負荷となるため、付勢力が発生するのは装着位置の直前であることが望ましい。ここでは、付勢部71からプロセスカートリッジ30に付勢力を発生させる位置は、装着位置よりも所定距離手前とした。例えば、付勢部71がプロセスカートリッジ30と当接を開始する位置から装着位置までの所定距離は、2mmとした。これは、本実施形態ではプロセスカートリッジ30と付勢部71との挿入方向の当接を開始する位置のばらつきが所定位置に対して±0.6mmであるため、このばらつきの2倍以上の安全率を確保するためである。
【0037】
このようにプロセスカートリッジ30が装着位置に到達した状態では、付勢部71によりプロセスカートリッジ30が付勢される。これにより、保護カバー10の先端部としての突き当て部40が、プロセスカートリッジ30と画像形成装置60(規制部72)との間で挟持されることで保持される。
【0038】
更に、このように装着位置に到達したプロセスカートリッジ30から保護カバー10を離脱させることで、プロセスカートリッジ30が、付勢部71に付勢されて画像形成装置60の位置決め部(不図示)に当接する。そして、プロセスカートリッジ30の画像形成装置60に対する上下方向(第2方向)の位置決めがなされ、プロセスカートリッジ30の画像形成装置60への装着が完了する。
【0039】
ここで、プロセスカートリッジ30から離脱する前の保護カバー10の突き当て部(先端部)40は、プロセスカートリッジ30と画像形成装置60との間で、付勢部71の付勢力により挟持されることで保持されている。言い換えれば、付勢部71は、プロセスカートリッジ30が装着されたときに、保護カバー10の先端部が画像形成装置60とプロセスカートリッジ30とによって挟持される付勢力が付与されるようにプロセスカートリッジ30を付勢可能である。このため、保護カバー10は、プロセスカートリッジ30の挿入開始時の姿勢のまま保持される。そして、その保持された保護カバー10をユーザなどが挿入方向と逆方向に引き抜くことで、保護カバー10がプロセスカートリッジ30から離脱し、上述のようにプロセスカートリッジ30の画像形成装置60に対する第2方向の位置決めがなされる。この際、保護カバー10が付勢部71の付勢力により挟持されているだけであるため、保護カバー10のどの部分を持っても容易に外すことが可能である。
【0040】
[プロセスカートリッジの新品状態(初期状態)]
次に、本実施形態のプロセスカートリッジ30の新品の状態(初期状態)について
図7~
図12を用いて説明する。
図7は、プロセスカートリッジの初期状態の封止シートの構成を示す断面図である。
図8は、プロセスカートリッジの初期状態の封止シートの構成を示す斜視図である。
図9は、プロセスカートリッジの初期状態の封止シート引き抜き構成を示す斜視図である。
図10は、プロセスカートリッジの保護カバー取り外し途中の構成を示す斜視図である。
図11(a)、
図11(b)、
図11(c)は、プロセスカートリッジの保護カバー取り外し途中の固定部材の解除動作過程を示す下面図である。
図12(a)、
図12(b)、
図12(c)は、プロセスカートリッジの保護カバー取り外し途中の固定部材の解除動作過程を示す上面図である。
【0041】
プロセスカートリッジ30は、画像形成装置60に対して装着される前の状態で、カートリッジ筐体31に対して着脱自在に保護カバー10が装着されている(
図4(a)参照)。保護カバー10は、前述したように、カートリッジ筐体31に装着した状態で、カートリッジ筐体31の感光ドラム1の表面の一部が露出する露出部35(
図2、
図4(b)参照)を覆うカバー部材である。ここでは、保護カバー10は、プロセスカートリッジ30が一体に有する現像装置3の一部も覆う構成となっている。具体的には、保護カバー10は、カートリッジ筐体31に取り付けられた固定部材52(
図8参照)を覆う構成となっている。
【0042】
後述するが、保護カバー10は、プロセスカートリッジ30が一体に有する現像装置3の外において折り返した封止シート28の折り返し部28cと係合し、プロセスカートリッジ30に対して相対移動可能に設けてある。
【0043】
保護カバー10は、プロセスカートリッジ30に対して感光ドラム1の軸線方向に移動させる操作により、プロセスカートリッジ30との相対移動によりプロセスカートリッジ30から着脱可能である。またプロセスカートリッジ30を画像形成装置60に装着する操作でも、保護カバー10は画像形成装置60の規制部72(
図6参照)に当接して移動が規制され、プロセスカートリッジ30との相対移動によりプロセスカートリッジ30から離脱可能である。
【0044】
プロセスカートリッジ30が一体に有する現像装置3は、前述したように現像容器32を有する(
図2参照)。現像容器32は、
図3に示すように、前記第1搬送室21の上部に、前記第1搬送室21と連通する連通口26を通して前記第1搬送室21に供給する現像剤を収容する初期剤収容室27を有する。現像装置3は、出荷時に、第1搬送スクリュー8a上部の初期剤収容室27にあらかじめ初期現像剤が収容されている。
【0045】
図3及び
図4に示すように、初期剤収容室27と第1搬送室21とを連通する連通口26は、封止シート28により封止されている。この封止シート28は、例えばプラスチックフィルムのようなシート部材からなり、連通口26の長手方向の長さの2倍以上の長さを有している。封止シート28は、連通口26の外周部に熱溶着により溶着され、連通口26を封止している。連通口26を封止シート28で封止することで、最初に使用するまでに、初期現像剤が高温高湿の外気に触れて劣化すること、及び、初期現像剤が前記開口25など現像容器32の隙間から飛散することを防いでいる。
【0046】
なお、ここでは、封止シート28は、連通口26の外周部に溶着された構成を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば連通口26の外周部に接着剤などにより接着された構成であっても良い。
【0047】
封止シート28は、現像容器32内で連通口26の長手方向の一端にて折り返され、長手方向の他端に向けて延伸される。現像容器32内で折り返された封止シート28は、
図7及び
図8に示すように、現像容器32に設けられたシート排出口29を通って現像容器32の外側に排出される。このシート排出口29にはウレタン素材などの弾性体からなる封止材(不図示)が配置されている。封止材は、シート排出口29を通した封止シート28と現像容器32との隙間を埋めながら封止シート28を挟み込んでいる。この封止材により、封止シート28に付着したトナーを現像容器32の内部に書き落とすとともに現像容器32の内部のトナーがシート排出口29から現像容器32の外部に飛散しない構成となっている。
【0048】
図8及び
図9に示すように、カートリッジ筐体31には固定部材52が取り付けられている。固定部材52は、折り返した封止シート28をカートリッジ筐体31の外へ通す穴部52bを有している。また固定部材52は、穴部52bを通した封止シート28をカートリッジ筐体31の外において折り返し、折り返した封止シート28の端部28bを固定する固定部52aを有している。
【0049】
なお、ここでは、固定部材52が穴部52bを有する構成としているが、これに限定されるものではない。例えば、折り返した封止シート28をカートリッジ筐体31の外へ通す穴部をカートリッジ筐体31に設けた構成としても良い。あるいは、固定部材52とカートリッジ筐体31とで、折り返した封止シート28をカートリッジ筐体31の外へ通す穴部を形成する構成としても良い。しかし、連通口26の外周部から引き剥がした封止シート28を固定部材52で保持して、固定部材52とともにカートリッジ筐体31から離脱させる観点から、固定部材52が穴部52bを有する構成が好ましい。
【0050】
シート排出口29から現像容器32の外側に排出された封止シート28は、表裏を反転させてから、カートリッジ筐体31に取り付けられた固定部材52の穴部52bを通過し、カートリッジ筐体31の外へ通される。すなわち、封止シート28は、表裏を反転させてから、固定部材52の穴部52bを通過し、プロセスカートリッジ30の外へ通される。穴部52bを通した封止シート28はカートリッジ筐体31の外において折り返され、折り返された封止シート28の端部28bは固定部52aにて固定される。ここでは、封止シート28の端部28bに設けた穴(不図示)に固定部材52の固定部52aに設けた軸(不図示)を貫通させて、その軸の先端を熱カシメすることで固定している。しかし、封止シート28の端部28bを固定部材52の固定部52aに固定する固定方法はこれに限定されるものではなく、例えば両面テープによる接着等であっても良い。
【0051】
また保護カバー10は、カートリッジ筐体31の外において折り返した封止シート28の折り返し部28cと係合し、プロセスカートリッジ30に対して相対移動可能に設けてある。
【0052】
穴部52bを通した封止シート28をカートリッジ筐体31の外において折り返した折り返し部28cは、保護カバー10の係合部10aに移動可能に係合されている。ここでは、保護カバー10の係合部10aは、保護カバー10に回転可能に設けた回転体である。これにより、保護カバー10をプロセスカートリッジ30に対して相対移動させた場合、封止シート28は係合部10aの回転により移動するため、負荷が低減され、操作性が向上する。なお、保護カバー10の係合部10aの構成はこれに限定されるものではなく、例えば係合部10aは封止シート28の折り返し部28cとの接触面が、封止シート28の移動方向に円弧状に形成された構成であっても良い。この構成によっても、保護カバー10をプロセスカートリッジ30に対して相対移動させた場合、封止シート28は係合部10aの接触面の形状に沿って移動するため、負荷が低減され、操作性が向上する。
【0053】
穴部52bを通した封止シート28を、カートリッジ筐体31の外において、初期剤収容室27に収容する現像剤との接触面28d(
図7,
図9参照)が内側の面になるように折り返している。
【0054】
固定部材52は、カートリッジ筐体31に対して係止する係止部としてのスナップフィット52dを有し、カートリッジ筐体31に対してスナップフィット52dによる抜け止めで固定されている。すなわち固定部材52は、カートリッジ筐体31に取り外し可能に取り付けられている。固定部材52は、カートリッジ筐体31に対するスナップフィット52dの係止を解除するためのツマミ部52cを有している。ツマミ部52cは、プロセスカートリッジ30に対して相対移動する保護カバー10に設けた解除部としての解除リブ10cと係合可能に設けられている。固定部材52は、保護カバー10の解除リブ10cと係合することでスナップフィット52dが係止を解除する方向に弾性変形され、カートリッジ筐体31から取り外し可能となる。
【0055】
保護カバー10は、現像装置3の一部である固定部材52を覆い、連通口26の長手方向の一端から他端までの長さよりも長く設定されている。保護カバー10は、封止シート28の全長の半分以下の長さを有している。これにより、連通口26の外周部から引き剥がした封止シート28の端部28a(
図7参照)が固定部材52の穴部52bを通過しないため、封止シート28の両端部が固定部材52で保持されるようになっている。
【0056】
保護カバー10は、
図10に示すように、長手方向の一方側にカートリッジ筐体31の外において折り返した前記封止シート28の折り返し部28cと係合する前記係合部10aを有している。保護カバー10は、
図11(c)に示すように、長手方向の他方側に前記固定部材52のスナップフィット52dの係止を解除する解除部としての解除リブ10cを有している。解除リブ10cは、スナップフィット52dの係止を解除した固定部材52を保持する保持部としても機能する。すなわち、保護カバー10は、スナップフィット52dの係止を解除した固定部材52を保持する保持部(解除リブ10c)を有している。解除リブ10cが有する保持部としての機能はこれに限定されるものではない。例えば、保護カバー10の解除リブ10cと、固定部材52のツマミ部52cとの関係を、
図4(b)に示す保護カバー10の係合爪11R,11Lと、カートリッジ筐体31の係合溝34R,34Lのように、
図4(a)の矢印Z方向への抜け止めとして機能するように構成して、保持部としての機能を持たせてもよい。あるいは、解除リブ10cが保持部としての機能する構成ではなく、解除リブとは別に保持部を設けた構成としても良い。
【0057】
保護カバー10は、カートリッジ筐体31に対する相対移動により、封止シート28を連通口26の外周部から引き剥がす。保護カバー10は、引き剥がした後の前記カートリッジ筐体31に対するさらなる相対移動により、解除リブ10cによりスナップフィット52dの係止を解除し、さらに係止を解除した固定部材52を保持し、カートリッジ筐体31から離脱される。
【0058】
[封止シートの開封]
次に封止シートの開封時の動作について
図10~
図12を用いて説明する。
図11(a)、
図11(b)に示すように、保護カバー10をプロセスカートリッジ30に対して相対移動させると、
図10、
図12(a)に示すように、この保護カバー10とともに封止シート28の折り返し部28cが移動する。これにより、封止シート28はプロセスカートリッジ30の外に引き出され、連通口26の外周部から引き剥がされて、連通口26の開封が開始される。
【0059】
このとき、封止シート28は、プロセスカートリッジ内で長手方向一方から他方に向けて折り返され、さらにプロセスカートリッジ外で長手方向他方から一方に向けて折り返されている。そして封止シート28のプロセスカートリッジ外の折り返し部28cは、保護カバー10の係合部10aと移動可能に係合している。従って、封止シート28の折り返し部28cは、プロセスカートリッジ30に対して相対移動する保護カバー10とともにプロセスカートリッジ30から離れる方向に移動する。これにより、プロセスカートリッジ30内の封止シート28は、保護カバー10が相対移動した距離の2倍の長さ移動し、プロセスカートリッジ外に引き出される。そのため、封止シート28の連通口26の開封長さと保護カバー10の相対移動に必要な距離は同じになる。これにより、収容室27を開封する際に封止シート28を引き抜く作業距離を低減し、操作性を向上させることができる。
【0060】
封止シート28の引き抜きを進めていき、収容室27(連通口26)の開封が完了すると、
図11(c)、
図12(b)に示すように、保護カバー10に設けられた解除リブ10cが、固定部材52のツマミ部52cに接触する。これにより、スナップフィット52dが弾性変形され、スナップフィット52dによるカートリッジ筐体31への係止が解除される。そして、係止が解除された固定部材52は、弾性変形されたスナップフィット52dの復元力により、保護カバー10の解除リブ10c(保持部)に保持される。これにより、開封が完了した封止シート28と固定部材52は、保護カバー10と一体となって、保護カバー10とともにプロセスカートリッジ30から離脱する方向に移動され、プロセスカートリッジ30から取り外される。
【0061】
このとき、現像装置3の初期状態において、封止シート28は、初期剤収容室27に収容する現像剤との接触面28dが、カートリッジ筐体31の外で内側の面になるように折り返されている。そのため、封止シート28の前記接触面28dは、プロセスカートリッジ30の外において、固定部材52と保護カバー10との間で内側の面になる。これにより、作業者は短い作業距離で封止シート28を引き抜くことが可能になるとともに、トナーが付着した面同士が折り畳まれた状態のため、作業者のトナー汚れを抑制できる。
【0062】
上述したように、本実施形態によれば、プロセスカートリッジ30に対する保護カバー10の相対移動により、封止シート28の引き抜きがなされる。これにより、封止シートの引き抜き忘れを抑制し、操作性を向上させることができる。
【0063】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、画像形成装置に対して着脱自在なプロセスカートリッジを4つ使用しているが、この使用個数は限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。
【0064】
また前述した実施形態では、画像形成装置に対して着脱自在なプロセスカートリッジとして、感光ドラムと、該感光ドラムに作用するプロセス手段としての帯電手段,現像手段,クリーニング手段を一体に有するプロセスカートリッジを例示した。しかし、これに限定されるものではなく、感光ドラムの他に、帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうち、いずれか1つを一体に有するプロセスカートリッジであっても良い。また現像装置(現像手段)を、プロセスカートリッジとは別に設けて、画像形成装置に対して着脱自在な構成としても良い。
【0065】
また前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。また中間転写体を使用し、該中間転写体に各色のトナー像を順次重ねて転写し、該中間転写体に担持されたトナー像を記録材に一括して転写する画像形成装置を例示したが、これに限定されるものではない。例えば記録材担持体を使用し、該記録材担持体に担持された記録材に各色のトナー像を順次重ねて転写する画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置又は画像形成装置に用いられる現像装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 …感光ドラム
3 …現像装置
7 …現像スリーブ
8a,8b …搬送スクリュー
10 …保護カバー
10a …係合部
10c …解除リブ
11R,11L …係合爪
21 …第1搬送室
22 …第2搬送室
23 …隔壁
25 …開口
26 …連通口
27 …収容室
28 …封止シート
28a,28b …端部
28c …折り返し部
28d …接触面
29 …シート排出口
30 …プロセスカートリッジ
31 …カートリッジ筐体
32 …現像容器
34R,34L …係合溝
35 …露出部
40 …突き当て部
41 …目印
52 …固定部材
52a …固定部
52b …穴部
52c …ツマミ部
52d …スナップフィット
60 …画像形成装置
71 …付勢部
72 …規制部
75 …目印