(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187769
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】マッサージユニット及びマッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
A61H7/00 322Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095940
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 正生
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD02
4C100BA01
4C100BB05
4C100BC13
4C100CA03
4C100CA15
4C100DA05
4C100DA08
(57)【要約】
【課題】簡単な構成を有するとともに、被施療者の身体の広い範囲を押圧することができるマッサージユニットおよびマッサージ機を提供する。
【解決手段】マッサージユニットは、被施療者の身体を施療する。マッサージユニットは、前記被施療者の身体と対向して配置されるベース部材と、前記ベース部材に配置されて空気による膨張及び収縮を反復可能な膨縮部材と、前記ベース部材に配置されて前記膨縮部材を移動させる移動機構と、を有する。前記移動機構は、前記ベース部材に配置されるガイド部と、前記ガイド部に沿って移動する移動体と、前記移動体を駆動する駆動部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の身体を施療するマッサージユニットであって、
前記被施療者の身体と対向して配置されるベース部材と、
前記ベース部材に配置されて空気による膨張及び収縮を反復可能な膨縮部材と、
前記ベース部材に配置されて前記膨縮部材を移動させる移動機構と、を有し、
前記移動機構は、前記ベース部材に配置されるガイド部と、前記ガイド部に沿って移動する移動体と、前記移動体を駆動する駆動部と、を有するマッサージユニット。
【請求項2】
前記ガイド部は、同じ方向に沿って延びるとともに並んで対をなして配置される請求項1に記載のマッサージユニット。
【請求項3】
前記ガイド部は、平行に配置された一対のレールを有し、
前記移動体は、前記一対のレールの間に摺動可能に配置される請求項1又は請求項2に記載のマッサージユニット。
【請求項4】
前記駆動部は、空気圧にて前記移動体を移動させる空気圧シリンダを有する請求項1から請求項3のいずれかに記載のマッサージユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のマッサージユニットと、
前記マッサージユニットが配置されるマットと、を有するマッサージ機。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のマッサージユニットと、
前記被施療者の身体を支持する椅子式の身体支持部と、を有し、
前記マッサージユニットは、前記身体支持部に配置される、マッサージ機。
【請求項7】
前記身体支持部は、上方に開口して前記被施療者の腕部を施療する腕部施療部を有し、
前記マッサージユニットは、前記腕部施療部に配置され、
前記マッサージユニットの前記ガイド部は、前記移動体が前記腕部施療部内で上下に移動可能なように配置されている請求項6に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージユニット及びマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001-70382号公報には、マットに配置されたエアバッグでマットに横たわっている被施療者の身体を施療する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2001-70382号公報に記載のマッサージ機で被施療者の身体の広い範囲を施療するためには、多くのエアバッグが必要であり、マッサージ機の構成が複雑になる。また、多くのエアバッグに空気を送る構成とするため、配管が煩雑になるとともに空気の供給量が多くなる可能性がある。
【0005】
本発明は、簡単な構成を有するとともに、被施療者の身体の広い範囲を押圧することができるマッサージユニットおよびマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明のマッサージユニットは、被施療者の身体を施療する。マッサージユニットは、前記被施療者の身体と対向して配置されるベース部材と、前記ベース部材に配置されて空気による膨張及び収縮を反復可能な膨縮部材と、前記ベース部材に配置されて前記膨縮部材を移動させる移動機構と、を有する。前記移動機構は、前記ベース部材に配置されるガイド部と、前記ガイド部に沿って移動する移動体と、前記移動体を駆動する駆動部と、を有する。
【0007】
また、本発明のマッサージ機は、上記構成のマッサージユニットと、前記マッサージユニットを内部に配置したマットと、を有する。
【0008】
また、本発明のマッサージ機は、上記構成のマッサージユニットと、前記被施療者の身体を支持する椅子形状の身体支持部と、を有し、前記マッサージユニットは、前記身体支持部に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるマッサージユニット及びマッサージ機によると、簡単な構成を有するとともに、被施療者の身体の広い範囲を押圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態にかかるマッサージ機の正面図である。
【
図2】
図1に示すマッサージ機をII-II線で切断した断面図である。
【
図3】
図1に示すマッサージ機の概略構成を示すブロック図である。
【
図7】第2変形例のマッサージユニットを備えたマッサージ機の正面図である。
【
図8】第2実施形態のマッサージ機の斜視図である。
【
図9】
図8に示すマッサージ機に備えられる腕部施療部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態にかかるマッサージ機Aの正面図である。
図2は、
図1に示すマッサージ機AをII-II線で切断した断面図である。
図3は、
図1に示すマッサージ機Aの概略構成を示すブロック図である。以下の説明において、マッサージ機A上に横たわった被施療者の頭部側を「上方U」といい、脚部側を「下方D」という。また、マッサージ機Aに仰臥位で横たわった被施療者を基準として、「右方R」及び「左方L」を定義する。同様に、仰臥位で横たわった被施療者の前方を「前方」又は「正面」とする。また、前方の反対側は「後方」又は「背面」とする。
【0012】
また、所定の方向に「沿って延びる」とは、厳密に所定の方向に延びる場合に加えて、厳密な方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、別段の説明がされていない合において、被施療者の身体Bdとは、被施療者の上半身を指すものとする。また、
図2には、ポンプ22及び移動用ポンプ433の概略位置を二点鎖線で示す。
【0013】
<マッサージ機A>
図1に示すように、マッサージ機Aは、上部に仰臥位で横たわった被施療者の身体を揉みほぐす(以下、施療と称する)。
図1に示すように、マッサージ機Aは、マッサージユニット100と、マット200とを有する。マット200は、例えば、平面視長方形状である。しかしながらこれに限定されず、楕円形状、多角形状等、被施療者が身体Bdを横たえることができる形状を広く採用することができる。
【0014】
マット200は、中央部に身体保持部201を有する。身体保持部201は、マット200の短手方向の中央で、マット200の長手方向に沿う領域である。被施療者は、身体保持部201に身体を横たえることができる。また、マット200は、身体保持部201の上方Uの端部に、被施療者の頭部を支持する枕部202を有する。なお、以下の説明において、身体保持部201に仰臥位で横たわった被施療者の身体Bdを施療するものを例に説明するが、これに限定されない。例えば、横臥位で横たわった被施療者の身体Bdを施療することも可能である。
【0015】
<マッサージユニット100>
次に、マッサージユニット100の詳細について図面を参照して説明する。
図1~
図3に示すように、マッサージユニット100は、ベース部材10と、押圧部20と、移動機構40と、制御部50と、を有する。
【0016】
マッサージユニット100は、マット200の内部に配置される。マッサージ機Aにおいて、押圧部20がマット200の内部で動作することで被施療者の身体Bdが施療される。そのため、以下のマッサージユニット100の説明において、押圧部20が被施療者の身体Bdを施療すると称する場合がある。
【0017】
<制御部50>
制御部50は、マッサージユニット100を制御する。
図3に示すように、制御部50は、処理部51と、記憶部52とを有する。処理部51は、例えばCPU、MPU等の演算回路を含む。また、処理部51は、処理結果に基づいて、マッサージユニット100を制御する。
【0018】
記憶部52は、ROM、RAM等の半導体メモリー、フラッシュメモリー等の可搬性を有するメモリー素子及びハードディスク等の記憶媒体を含む、又は、メモリー素子又は記憶媒体が接続された回路である。
【0019】
制御部50において、処理部51は、回路単体で演算を行う構成であってもよいし、汎用の演算回路を用いるとともに記憶部52に記憶されている制御プログラムを読み出して実行する構成であってもよい。
【0020】
図3に示すように、制御部50には、押圧部20及び移動機構40が接続されている。また、制御部50には、被施療者又は操作者による操作を受け付ける操作部60が接続される。操作部60は、表示部61と、入力部62とを有する。表示部61は、マッサージユニット100の動作状態を表示するための表示装置を含む。表示装置としては、例えば、液晶パネル、有機ELパネル等の表示パネルを挙げることができる。また、LED等の点灯又は消灯で情報を通知するような構成を備えていてもよい。
【0021】
入力部62は、被施療者又は操作者による入力を受け付ける入力装置を含む。入力装置には、例えば、押しボタン、スライドボタン、ボリュームスイッチ等を挙げることができる。また、上述した、表示部61の表面に取り付けられて、接触によって入力を受け付けるタッチパネルを用いてもよい。
【0022】
<ベース部材10及び押圧部20>
図1に示すように、ベース部材10は、平面視長方形状である。
図1に示すように、ベース部材10は、マット200の内部に、マット200と長手方向及び短手方向が一致するように配置される。そして、ベース部材10は、マット200の上方U側、つまり、枕部202側にずれて配置される。
【0023】
図2に示すように押圧部20は、ベース部材10に配置される。さらに詳しく述べると、押圧部20は、ベース部材10の上面に配置される。押圧部20は、膨縮部材21と、ポンプ22とを有する。膨縮部材21は、内部に空気を充填可能な袋体、いわゆる、エアバッグである。
【0024】
膨縮部材21は、空気を充填することで膨張し、内部の空気を排出することで収縮する。そして、膨縮部材21は、膨張と収縮を繰り返すことで、使用者の身体Bdを定期的に押圧する。なお、施療方法によって、継続して膨張が行われる場合もある。
【0025】
ポンプ22は、押圧部アクチュエータの一例である。ポンプ22と膨縮部材21とは、不図示の配管で接続されている。ポンプ22は、配管を介して膨縮部材21に空気を供給する。ポンプ22は、制御部50に接続され、制御部50からの指示に基づいて動作する。なお、ポンプ22は、膨縮部材21に空気を供給可能な空気供給部であれば、ポンプ以外であっても構わない。
【0026】
なお、ポンプ22は、膨縮部材21に空気を供給するとともに、膨縮部材21から強制的に空気を排出可能な構成であってもよい。また、膨縮部材21の収縮時には、内部の空気を大気に開放するようにしてもよい。しかしながら、ポンプ22で強制的に排気する構成とすることで、膨縮部材21の収縮の時間を短縮できる。また、強制的に排気する構成とすることで、制御部50が、収縮時における膨縮部材21の内部の空気の残量を正確に把握できる。これにより、膨縮部材21の空気圧を正確に調整することができる。
【0027】
マッサージ機Aにおいて、ポンプ22は、マット200の内部に配置される。
図1、
図2等に示すように、ポンプ22は、マット200の下方D側の端部に配置される。このように配置することで、ポンプ22と被施療者の頭部から遠ざけることができる。これにより、ポンプ22の作動音、振動等を被施療者の耳に届きにくくすることができる。なお、ポンプ22は、マット200の内部に配置されているが、マット200の外部に配置されていてもよい。
【0028】
<移動機構40>
マッサージユニット100において、移動機構40は、押圧部20を被施療者の身体Bdに沿って移動させる。ここで、押圧部20を移動する移動機構40について、図面を参照して説明する。
図4は、移動機構40の斜視図である。
図5は、移動機構40の概略配置図である。なお、押圧部20は、膨縮部材21とポンプ22とを有し、上記移動機構40は上記押圧部の内、膨縮部材21を移動させる。
【0029】
s
図2に示すように、移動機構40は、ベース部材10の正面側に配置される。そして、
図4、
図5に示すように、移動機構40は、ガイド部41と、移動体42と、駆動部43(
図2参照)と、を有する。ガイド部41は、上記移動体42が移動する方向を案内する枠体である。ガイド部41は、ベース部材10の左右方向(短手方向)の中心に、上下方向(長手方向)に沿って配置される。
【0030】
ガイド部41は、平行に配置される一対のレール44を有する。本実施形態のマッサージユニット100において、レール44は、直線状であるが、これに限定されない。例えば、レール44は、曲線状であってもよい。この場合、一対のレール44は、等間隔をあけて並んで配置される。
【0031】
移動体42は、ガイド部41に沿って移動可能なようにガイド部41に配置される。移動体42は、移動体本体421と、摺動凸部422とを有する。移動体本体421は、レール44の正面側、すなわち、被施療者の身体Bd側に配置される。移動体本体421には、膨縮部材21が固定される。膨縮部材21は膨張することで、被施療者の身体Bdを押圧する。移動体本体421は、膨縮部材21で十分に押被施療者の身体Bdに圧力を作用させることができる程度の剛性を有することが好ましい。
【0032】
摺動凸部422は、移動体本体421から背面側に突出する。摺動凸部422は、一対のレール44の間に配置される。摺動凸部422は、平行に配置された面4221、4222を有し、面4221、4222を一対のレール44の対向する面に対して摺動する。これにより、移動体42は、一対のレール44に沿って移動する。なお、摺動凸部422はフランジ部423を有し、上述のフランジ部423は移動体本体421と反対側に設けられる。フランジ部423と移動体本体421とは、レール44を挟んで対向する。そして、フランジ部423の移動体本体421と対向する面がレール44と接触する。フランジ部423によって、移動体42がガイド部41からの脱落が抑制される。
【0033】
なお、移動体42(例えば、移動体本体421)にレール44と係合する係合部(不図示)を有する構成の場合、フランジ部423を省略してもよい。換言すると、フランジ部423は、係合部の一例であると言える。
【0034】
駆動部43は、上述の摺動凸部422に力を付与して、移動体42を移動させるためのアクチュエータである。駆動部43は、空気圧シリンダ431と、ばね432と、移動用ポンプ433(
図1~
図3等参照)と、を有する。移動用ポンプ433は、図示を省略した配管で空気圧シリンダ431に接続されている。つまり、移動用ポンプ433は、空気圧シリンダ431に空気を供給する。移動用ポンプ433は、移動用空気供給部の一例である。移動用ポンプ433は、制御部50に接続され、制御部50からの指示に基づいて動作する。なお、移動用ポンプ433は、空気圧シリンダ431に空気を供給可能な空気供給部であれば、ポンプ以外の構成であっても構わない。
【0035】
図1等に示すように、移動用ポンプ433は、マット200の内部の下方Dの端部に配置される。さらに説明すると、移動用ポンプ433は、マット200の下方Dにおいて、ポンプ22と左右に並んで配置される。このように配置することで、移動用ポンプ433もポンプ22と同様、被施療者の頭部から遠ざけることができる。これにより、移動用ポンプ433の作動音、振動等を被施療者の耳に届きにくくすることができる。
【0036】
上述したとおり、マッサージ機Aでは、押圧部20を作動させるポンプ22と、移動機構40を作動させる移動用ポンプ433とをそれぞれ備えている。しかしながら、これに限定されない。例えば、移動用ポンプ433とポンプ22とが、共用のポンプを有し、電磁弁、切り替弁等の配管を流れる空気(例えば、流量)を切り替える切替部(不図示)を有する構成であってもよい。
【0037】
図2、
図5に示すように、空気圧シリンダ431は、シリンダ4311と、ピストン4312とを有する。シリンダ4311に空気が供給されることで、ピストン4312が押し出される。空気圧シリンダ431は、移動体42の上方Uに配置される。そして、駆動部43のピストン4312は、下方Dに押し出される。空気圧シリンダ431は、空気の供給量によって、ピストン4312の突出速度を変化させる。
【0038】
ばね432は、弾性部材の一例であり、ここでは、コイルばねを採用するが、これに限定されない。例えば、トーションばねを用いることも可能である。また、空気ばねを用いることも可能である。ばね432は、移動体42に接続し、空気圧シリンダ431と協働する。ばね432は、移動体42の摺動凸部422を挟むように、空気圧シリンダ431と反対側、つまり、下方Dに配置される。
【0039】
駆動部43において、空気圧シリンダ431に空気が供給されるとピストン4312が押し出される。移動体42は、ピストン4312によって下方Dに押されて、下方Dに移動する。このとき、ばね432は、移動体42によって、圧縮される。つまり、ばね432の圧縮による復元力は、移動体42に対して上方Uに作用する。
【0040】
そして、空気圧シリンダ431への空気の供給を停止すると、ばね432の復元力が、ピストン4312が移動体42を押す力よりも大きくなる。これにより、移動体42が上方Uに移動する。なお、空気圧シリンダ431への空気量を調整することで、移動体42の移動速度を調整可能である。
【0041】
なお、本実施形態において、空気圧シリンダ431とばね432とを移動体42を挟んで反対側に配置しているが、同じ側に配置してもよい。この場合、ピストン4312の突出によって、ばね432は伸張される。このように、空気圧シリンダ431とばね432とを移動体42に対して同じ側にすることが可能である。また、ばね432として、自然長から圧縮及び伸張のいずれも許容する構成のばねを用いることで、ばね432の移動体42対する空気圧シリンダ431とばね432との配置の自由度を高くすることができる。
【0042】
なお、本実施形態の駆動部43は、空気を供給することでピストン4312が突出する空気圧シリンダ431を用いているが、これに限定されない。例えば、空気の供給を調整することで、シリンダ4311からピストン4312が突出したり、引っ込んだりする複動式の空気圧シリンダを用いてもよい。複動式の空気圧シリンダを用いて、移動用ポンプ433からの給気を切り替えて制御することで、移動体42を下方D及び上方Uに移動させることができる。このように、両方に移動可能な空気圧シリンダを用いる場合、ばね432を省略することができ、マッサージユニットを簡略化できる。また、複動式の空気圧シリンダを用いることで、移動体42の位置を正確に調整することが可能である。マッサージユニット100は、以上示したような構成を有する。
【0043】
<マッサージ機Aの動作について>
次に、マッサージ機Aによる被施療者の身体Bdの施療について説明する。
図1、
図2等に示すように、マッサージユニット100はマッサージ機Aの内部に配置されている。そして、マッサージ機Aにおいて、ガイド部41は、身体保持部201の左右方向の中央に、マット200の長手方向に沿って配置される。ガイド部41は、身体保持部201に仰臥位で横たえられた被施療者の身体Bdの背筋に沿って配置される。
【0044】
移動体42の移動体本体421は、上述のマット200の短手方向に対して長手方向を有する長い長方形状である。さらに詳しく説明すると、移動体本体421は、被施療者の身体Bdの幅と同じ又は被施療者の身体Bdの幅よりも広い長方形状である。
【0045】
マッサージ機Aでは、操作部60が操作されることで、マッサージユニット100が動作して、施療が開始される。施療開始とともに、制御部50は、移動用ポンプ433を動作させる。これにより、移動体42が、ガイド部41に沿って、所定の移動速度で下方Dに移動する。
【0046】
そして、制御部50は、ポンプ22を動作させて膨縮部材21に空気を送る。これにより、膨縮部材21が膨張し、被施療者の身体Bdを押圧する。このとき、ポンプ22からの空気の吐出量を調整して膨縮部材21の膨張と収縮を繰り返すようにしてもよい。
【0047】
一般的に、被施療者の身体Bdを押圧して施療を行う場合、施療効果が高くなる部分が存在する。施療効果が高くなる部分が3か所あるものとし、それぞれ、マッサージポイントMp1、Mp2、Mp3とする。ここでは、マッサージポイントMp1、Mp2、Mp3は、上方から順に首、腰、脚としている(
図2参照)。なお、マッサージポイントMp1、Mp2、Mp3は、不図示の検出手段等によって予め検出されているものとする。マッサージポイントは、3か所に限定されるものではない。
【0048】
この時、各マッサージポイントMp1、Mp2、Mp3間では移動体42の移動速度を速くし、各マッサージポイントMp1、Mp2、Mp3近傍で移動体42の移動速度を遅くしてもよい。これにより、マッサージポイントMp1、Mp2、Mp3の施療を重点的に行うことができる。なお、ピストン4312の移動を停止し、固定する構成を有する空気圧シリンダ431を用いる場合、マッサージポイントMp1、Mp2,Mp3で移動体42を停止させ、押圧部でマッサージポイントMp1、Mp2,Mp3をより重点的に施療することも可能である。
【0049】
また、施療と同時にポンプ22を動作させて膨縮部材21を膨張させた状態で、移動体42を移動させるようにしてもよい。このように、膨縮部材21を膨張させた状態で移動体42を移動させることで、被施療者の身体Bdを延ばす、つまり、背筋を伸ばす施療ができる。
【0050】
<第1変形例>
第1変形例の移動機構40aについて図面を参照して説明する。
図6は、第1変形例の移動機構40aの斜視図である。
図6に示すように、移動機構40aにおいて、ガイド部41aは1本のレール44aを有する。そして、移動体42aの移動体本体421aは、レール44aと嵌合する溝部424aを有する。この場合、「嵌合」とは、滑り動くようにゆるく嵌った関係をいう。つまり、移動体42aは、1本のレール44aに嵌合する形状を有し、レール44aに嵌合した状態で、レール44aに沿って移動する。
【0051】
このような構成とすることで、移動機構40aを簡略化することができる。
【0052】
<第2変形例>
第2変形例のマッサージユニット100bを備えたマッサージ機Bについて図面を参照して説明する。
図7は、第2変形例のマッサージユニット100bを備えたマッサージ機Bの正面図である。
図7に示すマッサージ機Bのマッサージユニット100bでは、移動機構40bが、マッサージ機Aのマッサージユニット100の移動機構40と異なる。マッサージ機Bの上記以外の点は、マッサージ機Aと同様である。そのため、マッサージ機Bにおいてマッサージ機Aと実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに詳細な説明を省略する。なお、
図7に示すマッサージ機Bにおいて、被施療者の身体Bdを二点鎖線で示す。
【0053】
図7に示すように、マッサージユニット100bは、ベース部材10の長手方向に延びるガイド部41bが、ベース部材10の短手方向に並んで配置される。そして、ガイド部41bのそれぞれに移動可能に配置された移動体42が配置される。移動体42のそれぞれには、膨縮部材21が取り付けられる。
【0054】
このように構成することで、被施療者の身体Bdを左右独立して施療することが可能である。つまり、身体の左右方向にずれた位置で、膨縮部材21を膨張収縮させることで、単純な押圧以外にも捻り、延ばしといった複雑な施療も可能になる。
【0055】
なお、本変形例では、2つのガイド部41bを平行に配置しているが、これに限定されない。例えば、3つ以上のガイド部41bを配置してもよい。このとき、ガイド部41bは、平行でなくてもよい。例えば、首等の決められた点から放射状に延びる構成であってもよい。
【0056】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態のマッサージ機Cの斜視図である。
図9は、
図8に示すマッサージ機Cに備えられる腕部施療部305の概略断面図である。
図8に示すマッサージ機Cは、椅子式マッサージ機である。マッサージ機Cは、マッサージユニット100c及びマッサージユニット100dを有している。マッサージユニット100cは、マッサージ機Cに取り付け可能な形状である点を除いて、マッサージユニット100と実質上同じ構成である。
【0057】
そのため、マッサージユニット100cの各部は、マッサージユニット100と実質上同様の構成を有するとともに、同様の動作を行う。そのため、マッサージユニット100cの詳細な説明については省略する。
【0058】
また、マッサージユニット100dは、被施療者の腕部Amに対して接近又は離間するように移動機構40dのガイド部41dが配置されている点でマッサージユニット100と異なる。そのため、マッサージユニット100dのマッサージユニット100と実質上同じ部分については、同じ符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。なお、
図9において、退避位置P0にある移動機構40dを二点鎖線で示す。
【0059】
マッサージ機Cは、椅子形状の身体支持部300を有する。身体支持部300は、座部301と、背もたれ部302と、肘掛部303と、足施療部304と、腕部施療部305と、を有する。
【0060】
座部301は、被施療者の臀部及び腿部を支持する。背もたれ部302は、座部301の後方に配置され、座部301よりも上方に立設される。肘掛部303は、被施療者が座部301に着座した被施療者の腕部が載置される。肘掛部303は座部301の左右に対をなして配置される。肘掛部303は、上部に開口した腕部施療部305を有する。
【0061】
足施療部304は、座部301の前方に配置され、座部301よりも下方に垂設される。足施療部304は、足施療部304の上端を支点として、足施療部304の下端側の部分が回動可能に構成されている。足施療部304は、左右両方のふくらはぎ及び足部を施療できてもよい。
【0062】
マッサージ機Cは、マッサージユニット100cを有する。マッサージユニット100cは、背もたれ部302の内部に配置される。そして、マッサージ機Cにおいて、マッサージユニット100cは被施療者の身体Bdの背中に対して施療を行うことができる。なお、マッサージ機Cおいて、マッサージユニット100cで施療を行う場合、背もたれ部302を立てた状態で実施してもよいし、背もたれ部302の上部を後方に倒したリクライニング状態で実行してもよい。
【0063】
腕部施療部305には、マッサージユニット100dが配置される。マッサージユニット100dは、腕部施療部305内に配置される。なお、
図9では、図示を省略しているが、腕部施療部305に配置されるマッサージユニット100dの膨縮部材21は、例えば、カバーがかけられており、被施療者の腕部Amと直接接触しないようになっている。
【0064】
腕部施療部305は、上部が開口しており、被施療者の腕部Amは、上部の開口から腕部施療部305に収容される。そして、腕部施療部305において、マッサージユニット100dは、ガイド部41dが、上下方向に配置されており、移動体42dは、ガイド部41dに沿って上下に移動する。例えば、上述のガイド部41dは、腕部施療部305の内側側壁に沿って上下方向に配置することができる。
【0065】
マッサージユニット100dが動作していないとき、移動機構40dの移動体42dは、ガイド部41dに沿う方向の下端部の退避位置P0に位置している。このとき、膨縮部材21は、収縮した状態となっている(
図9の二点鎖線参照)。例えば、不図示のセンサ等によって被施療者の腕部Amが腕部施療部305に配置されたことを検知すると、制御部50は、駆動部43を駆動させて、移動体42dをガイド部41dの上端P1まで移動させる。さらに、制御部50は、ポンプ22を駆動させて、膨縮部材21を膨張させ、被施療者の腕部Amを上方から押圧にて施療する。
【0066】
そして、被施療者の腕部Amの施療が終了すると、制御部50は、ポンプ22の給気量を制御して、膨縮部材21の内部の空気を排出させ、膨縮部材21を収縮させる。そして、膨縮部材21が一定の大きさよりも小さくなった後、制御部50は、駆動部43を駆動させて、移動体42dを退避位置P0まで移動させる。
【0067】
マッサージユニット100dにおいて、被施療者の身体Bdの一部である腕部Amを施療するために、被施療者が腕部Amを腕部施療部305に挿入する又は取り出すときに、移動体42及び膨縮部材21が邪魔になりにくい。なお、本実施形態のマッサージ機Cでは、腕部施療部305の一方の内壁にマッサージユニット100dを備えているが、これに限定されず、反対側の内壁に配置されてもよい。また、ガイド部41dが腕部Amに沿って配置されてもよい。
【0068】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0069】
本発明にかかるマッサージユニット100の一例は、被施療者の身体を施療する。マッサージユニット100は、被施療者の身体Bdと対向して配置されるベース部材10と、ベース部材10に配置されて空気による膨張及び収縮を反復可能な膨縮部材21と、ベース部材10に配置されて膨縮部材21を移動させる移動機構40と、を有する。移動機構40は、ベース部材10に配置されるガイド部41と、ガイド部41に沿って移動する移動体42と、移動体42を駆動する駆動部43と、を有する。
【0070】
このように構成することで、空気圧で膨張及び収縮して、被施療者の身体を押圧することで施療を行う膨縮部材21を移動させる構成とすることができる。これにより、被施療者の身体Bdの広い範囲を、少ない膨縮部材21で施療することができる。そのため、膨縮部材21を被施療者の身体Bdが接触する部分に広く配置する構成に比べて、膨縮部材21を減らすことができる。結果として、配管、切換弁等の空気圧を供給するための構造を簡略化でき、装置を小型、軽量化できる。
【0071】
上記構成において、前記ガイド部41bは、同じ方向に沿って延びるとともに並んで対をなして配置されてもよい。このように構成することで、被施療者の身体Bdに対して、異なる位置で同時に施療することができる。そのため、施療の幅を広げることができる。
【0072】
上記構成において、前記ガイド部41は、平行に配置された一対のレール44を有し、移動体42は、一対のレール44の間に摺動可能に配置されてもよい。このように配置することで、移動体42がしっかりガイドされる。そのため、被施療者の身体Bdを確実に施療することが可能である。
【0073】
上記構成において、駆動部43は、空気圧にて移動体42を移動させる空気圧シリンダ431を有してもよい。なお、空気圧シリンダ431及び膨縮部材21に対して、共通の構成を利用して、空気を供給させるようにしてもよい。このように構成することで、マッサージユニットの構成を簡略化できる。また、空気圧で、ピストンを往復移動させることができる空気圧シリンダを採用してもよい。このような、往復移動可能な空気圧シリンダを用いることで、ピストンの位置を精度よく調整することができる。
【0074】
上記構成において、マッサージ機A(B)は、上述したマッサージユニット100(100b)と、マッサージユニット100(100b)が配置されるマット200と、を有する。このように構成することで、横たわった被施療者の身体を施療することができる。
【0075】
上記構成において、マッサージ機Cは、マッサージユニット100cと、被施療者の身体Bdを支持する椅子式の身体支持部300と、を有する。そして、マッサージユニット100cは、身体支持部300に配置される。このような構成とすることで、膨縮部材21を移動させて施療することができるため、膨縮部材21の個数を減らすことができる。
【0076】
上記構成のマッサージ機Cにおいて、身体支持部300は、上方に開口して被施療者の腕部Amを施療する腕部施療部305を有する。マッサージユニット100dは、腕部施療部305に配置される。マッサージユニット100dのガイド部41dは、移動体42dが腕部施療部305内で上下に移動可能なように配置されている。このように構成することで、被施療者が腕部Amを腕部施療部305に配置するとき及び腕部施療部305から移動させるときに、膨縮部材21が邪魔になりにくい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、被施療者の身体を揉みほぐすマッサージ機に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
10 ベース部材
20 押圧部
21 膨縮部材
22 ポンプ
40、40a、40b 移動機構
41、41a、41b ガイド部
42、42a 移動体
43 駆動部
44、44a レール
50 制御部
51 処理部
52 記憶部
60 操作部
61 表示部
62 入力部
100、100b、100c マッサージユニット
200 マット
201 身体保持部
202 枕部
300 身体支持部
301 座部
302 部
303 肘掛部
304 足施療部
305 腕部施療部
421 移動体本体
422 摺動凸部
423 フランジ部
431 空気圧シリンダ
433 移動用ポンプ
4311 シリンダ
4312 ピストン
A マッサージ機
Bd 身体
Am 腕部