(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187810
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】トナー
(51)【国際特許分類】
G03G 9/097 20060101AFI20221213BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G03G9/097 365
G03G9/087 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095999
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯野 直也
(72)【発明者】
【氏名】豊田 隆之
(72)【発明者】
【氏名】久島 浩史
(72)【発明者】
【氏名】長岡 朋弥
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正郎
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500AA03
2H500CA06
2H500CA40
2H500CA41
2H500EA41B
2H500EA42B
2H500EA42C
2H500EA46C
(57)【要約】
【課題】低温定着性を満足しつつ、保存性が良好で、さらに高温高湿環境下における帯電立ち上がりが改善され、画像の濃度ムラが抑制された現像性に優れるトナー。
【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナー粒子は、1価の脂肪族アルコール及びアルキル基を有するアニオン性界面活性剤を有し、該結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含み、該1価の脂肪族アルコールの炭素数が、8~18であり、該トナーからエタノールで抽出される該1価の脂肪族アルコールの含有割合が、該トナー中、30質量ppm以上300質量ppm以下であり、該トナーからエタノールで抽出される該1価の脂肪族アルコールの、該トナーからメタノールで抽出される該アルキル基を有するアニオン性界面活性剤に対する比の値(モル比)が、0.01以上0.60以下であることを特徴とするトナー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子は、1価の脂肪族アルコール及びアルキル基を有するアニオン性界面活性剤を有し、
該結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含み、
該1価の脂肪族アルコールの炭素数が、8~18であり、
該トナーからエタノールで抽出される該1価の脂肪族アルコールの含有割合が、該トナー中、30質量ppm以上300質量ppm以下であり、
該トナーからエタノールで抽出される該1価の脂肪族アルコールの、該トナーからメタノールで抽出される該アルキル基を有するアニオン性界面活性剤に対する比の値(モル比)が、0.01以上0.60以下であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記結着樹脂中の前記ポリエステル樹脂の含有割合が、50質量%以上である請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記アルキル基を有するアニオン性界面活性剤が、下記式(A)で表される請求項1又は2に記載のトナー。
R-X-SO3
-Na+ ・・・(A)
(式(A)中、Rは炭素数8~18のアルキル基である。Xは、単結合、-O-、フェニレン基、又は-(OCH2CH2)n-である(n=2~10である)。)
【請求項4】
前記アルキル基を有するアニオン性界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項5】
前記1価の脂肪族アルコールの炭素数と前記直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムのアルキル基の炭素数との差が、3以下である請求項4に記載のトナー。
【請求項6】
前記ポリエステル樹脂は、下記式(1)で示されるモノマーユニットを含有し、
前記ポリエステル樹脂中の該式(1)で示されるモノマーユニットの含有割合が5.0質量%以下である請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。
(式(1)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立してエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyは、それぞれ0~8であり、xとyの和の値は、0以上16以下である。)
【請求項7】
前記1価の脂肪族アルコールの炭素数が、10~16である請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項8】
前記トナーからエタノールで抽出される前記1価の脂肪族アルコールの含有割合が、前記トナー中、40質量ppm以上270質量ppm以下である請求項1~7のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項9】
前記トナーからエタノールで抽出される前記1価の脂肪族アルコールの、前記トナーからメタノールで抽出される前記アルキル基を有するアニオン性界面活性剤に対する比の値(モル比)が、0.02以上0.45以下である請求項1~8のいずれか一項に記載のト
ナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法などによって形成される静電潜像を現像してトナー画像を形成するために用いられるトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファクシミリの受信装置などに用いられる電子写真技術は装置の発展とともに利用者からの要求も年々厳しくなっている。近年の動向では、設置する場所を選ばないためにコンパクトな設計であること、また、使用される環境も様々になり環境に依存しない安定した画像品質が得られることが強く求められている。
【0003】
コンパクト設計という観点においては、例えばトナー画像を転写材に定着させる熱ローラーやフィルムといった定着部材を簡素化・簡略化することで小型化を達成する試みが行われている。この方策では定着部材を極力加熱することなく定着を可能にすることが必要となるため、低温定着性に優れるトナーが求められ、低温定着性に優れるポリエステル樹脂が結着樹脂に用いられることが多い。しかし、ポリエステル樹脂は同じようにトナーの結着樹脂によく用いられるスチレン-アクリル共重合体と比べると帯電性という観点においては劣るため帯電リークに関わる画像弊害が起こりやすいという課題を抱えている。
【0004】
上記課題に対し、例えば、特許文献1では、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、スルホン基または硫酸エステル基を有するアニオン性界面活性剤を用いた黒色トナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、環境に依存しない安定した画像品質を提供するという観点においては、上記トナーを用いると、高湿環境下における帯電の立ち上がりが不足しており、画像の濃度ムラが起きてしまうことがわかった。市場が要求するコンパクトな設計でありながら、使用環境に依存せず安定した画像品質が得られる画像形成装置を提供するためには、依然としてトナーの諸特性の改善が必要とされている。
本開示は、低温定着性を満足しつつ、保存性が良好で、さらに高温高湿環境下における帯電立ち上がりが改善され、画像の濃度ムラが抑制された現像性に優れるトナーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子は、1価の脂肪族アルコール及びアルキル基を有するアニオン性界面活性剤を有し、
該結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含み、
該1価の脂肪族アルコールの炭素数が、8~18であり、
該トナーからエタノールで抽出される該1価の脂肪族アルコールの含有割合が、該トナーの質量に対して、30質量ppm以上300質量ppm以下であり、
該トナーからエタノールで抽出される該1価の脂肪族アルコールの、該トナーからメタノールで抽出される該アルキル基を有するアニオン性界面活性剤に対する比の値(モル比
が)、0.01以上0.60以下であることを特徴とするトナー。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、低温定着性を満足しつつ、保存性が良好で、さらに高温高湿環境下における帯電立ち上がりが改善され、画像の濃度ムラが抑制された現像性に優れるトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。「モノマーユニット」とは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。
【0011】
本開示は、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子は、1価の脂肪族アルコール及びアルキル基を有するアニオン性界面活性剤を有し、
該結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含み、
該1価の脂肪族アルコールの炭素数が、8~18であり、
該トナーからエタノールで抽出される該1価の脂肪族アルコールの含有割合が、該トナーの質量に対して、30質量ppm以上300質量ppm以下であり、
該トナーからエタノールで抽出される該1価の脂肪族アルコールの、該トナーからメタノールで抽出される該アルキル基を有するアニオン性界面活性剤に対する比の値(モル比)が、0.01以上0.60以下であるトナーに関する。
【0012】
本発明者らは、上記トナーにより、低温定着性を満足しつつ、保存性が良好で、さらに高湿環境下における帯電立ち上がりが改善され、画像の濃度ムラが抑制された現像性の優れるトナーが得られることを見出した。詳細なメカニズムについて、本発明者らは以下のように考える。
【0013】
図1に示すようなプロセスカートリッジにおいて、トナーはトナー担持体14及び規制ブレード16との摺擦により帯電する。印字部分では、トナー17が、トナー担持体14から静電潜像担持体10へ現像され、新たなトナーがトナー供給部材15を介してトナー担持体14へと供給される。一方、非印字部分ではトナーが消費されること無くトナー担持体14に滞在する。そのため、滞在しているトナーと新たに供給されてきたトナーとの間に帯電量の差が生じ、画像の濃度ムラが発生する。
【0014】
上述したとおりポリエステル樹脂を含有する結着樹脂を含むトナーは、低温定着性に優れるものの、帯電性に関してはスチレン-アクリル共重合体を結着樹脂とするトナーと比べると劣る。特にアニオン性界面活性剤を電荷発生源として使用した場合は、高湿環境においてアニオン性界面活性剤への水分吸着により、電荷のリークが起こりやすくなりトナーの帯電立ち上がりが低下するため画像の濃度ムラが発生しやすくなる。
【0015】
トナーからエタノールにより1価の脂肪族アルコールが抽出されることは、トナー表面近傍に1価の脂肪族アルコールが存在することを示している。トナー表面近傍に1価の脂肪族アルコールを存在させることにより、アニオン性界面活性剤に吸着していた水分子をより親和性の高い脂肪族アルコールのヒドロキシ基へ移行させることができる。それによ
り、水分子によるアニオン性界面活性剤の帯電能低下を抑制している。さらに脂肪族アルコールのヒドロキシ基と水分子は水素結合による化学平衡状態となるため1価アルコールのヒドロキシ基が分極し帯電する。その結果、高湿環境下における帯電立ち上がりが改善され、画像の濃度ムラが抑制されると考えられる。
【0016】
1価の脂肪族アルコールは、炭素数が8~18であることが必要である。炭素数が8より小さいと、アルコールが徐々に系外へと抜けていくため継続的な効果が得られにくい。炭素数が18より大きいと結着樹脂との親和性が高くなり結着樹脂が可塑して保存性の低下が起こりやすくなる。好ましくは10~16であり、さらに好ましくは12~14である。1価の脂肪族アルコールは、直鎖でも分岐でもよいが、直鎖であることが好ましい。
【0017】
トナーからエタノールで抽出される1価の脂肪族アルコールの含有割合は、トナーの質量に対して、30質量ppm以上300質量ppm以下であることが必要である。トナーからエタノールで抽出される1価の脂肪族アルコール量が30質量ppmより少ないと、上記効果が得られ難く、帯電の立ち上がり不足による画像濃度ムラが発生しやすくなる。脂肪族アルコール量が300質量ppmより多いと、トナーの水分吸着量が大幅に増えるためヒドロキシ基が分極し帯電よりも帯電リークが優先されカブリが発生しやすくなる。また、帯電の立ち上がりも低下するため濃度ムラが発生しやすくなる。好ましくは40質量ppm以上270質量ppm以下であり、より好ましくは50質量ppm以上250質量ppm以下であり、さらにより好ましくは80質量ppm以上200質量ppm以下である。
【0018】
トナーからエタノールで抽出される1価の脂肪族アルコールの、トナーからメタノールで抽出されるアルキル基を有するアニオン性界面活性剤に対する比の値(アルコール/界面活性剤、モル比)が0.01以上0.60以下であることが必要である。モル比が0.01より小さいとアニオン性界面活性剤に対して1価の脂肪族アルコールの数が少ないため上記効果が得られにくい。0.60大きいと帯電とリークのバランスが崩れカブリが発生しやすくなる。好ましくは0.02以上0.45以下であり、より好ましくは0.03以上0.40以下である。
【0019】
アルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは8~18であり、より好ましくは10~16であり、さらに好ましくは12~16である。アルキル基は直鎖でも分岐でもよいが、直鎖であることが好ましい。アルキル基を有するアニオン性界面活性剤は、下記式(A)で表されるものが好ましい。
R-X-SO3
-Na+ ・・・(A)
式中、Rは炭素数8~18(好ましくは10~16、より好ましくは12~16)のアルキル基である。アルキル基は直鎖でも分岐でもよいが、直鎖であることが好ましい。Xは、単結合、-O-、フェニレン基、又は-(OCH2CH2)n-である(n=2~10(より好ましくは2~6、さらに好ましくは2~4)である)。
【0020】
トナーからメタノールで抽出されるアルキル基を有するアニオン性界面活性剤の含有割合は、トナーの質量に対して、好ましくは1000質量ppm以上25000質量ppm以下、より好ましくは1500質量ppm以上10000質量ppm以下である。
【0021】
その中でもスルホン酸塩系が好ましく、アルキル基を有するアニオン性界面活性剤は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むことがより好ましい。この時、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムのアルキル基の炭素数と1価の脂肪族アルコールの炭素数との差が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、0以上である。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及び1価
の脂肪族アルコールが、ほぼ同じ鎖長のアルキル基を有するため分子間の相互作用が強く、互いを引き寄せ上記効果がより得られやすくなる。
【0022】
ポリエステル樹脂は、下記多価カルボン酸と多価アルコールの縮重合物であることが好ましい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物が挙げられる。
【0023】
多価カルボン酸としては、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
多価アルコールとしては、脂肪族ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加体等)、複素環式ジオール(スピログリコールやイソソルビド、又はそのアルキレンオキサイド付加体等)が挙げられる。
【0025】
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸、3価以上のカルボン酸、脂肪族ジオール、芳香族ジオール及び複素環式ジオールの縮重合物であることが好ましい。ポリエステル樹脂は、下記式(I)で表されるイソソルビドによるモノマーユニットを有することが好ましい。ポリエステル樹脂中の式(I)で表されるモノマーユニットの含有割合は、好ましくは15質量%~40質量%であり、より好ましくは20質量%~35質量%である。
【化1】
【0027】
ポリエステル樹脂は、下記式(1)で示されるモノマーユニットを有することが好ましい。定着性の観点から、ポリエステル樹脂中の式(1)で示されるモノマーユニットの含有割合は、5.0質量%以下であることが好ましく、4.5質量%以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、好ましくは1.0質量%以上であり、より好ましくは3.0質量%以上である。
【化2】
式(1)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立してエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ0~8(好ましくは1~6,より好ましくは2~5)であり、xとyの和の値は、0以上16以下である。
【0028】
結着樹脂中のポリエステル樹脂の含有割合は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がさらにより好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは98質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下である。
【0029】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwは、20000~300000であることが好ましい。より好ましくは30000~200000であり、さらに好ましくは40000~100000であり、さらにより好ましくは40000~60000である。
【0030】
[結着樹脂]
結着樹脂はポリエステルを含有していれば、他の樹脂を併用してもよい。例えば、下記樹脂を用いることが可能である。
ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステル、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。
【0031】
結着樹脂は、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル樹脂を含むことが好ましい。スチレンアクリル樹脂には、下記スチレン系単量体及び不飽和カルボン酸エステルを用いること好ましい。結着樹脂中のスチレンアクリル樹脂の含有割合は、好ましくは2質量%~40質量%であり、より好ましくは5質量%~20質量%である。
【0032】
スチレンアクリル樹脂を形成し得る重合性単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼンのようなスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシルのような不飽和カルボン酸エステル(例えば、アルキル基の炭素数1~8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル);アクリル酸、メタクリル酸のような不飽和カルボン酸;マレイン酸のような不飽和ジカルボン酸;マレイン酸無水物のような不飽和ジカルボン酸無水物;アクリロニトリルのようなニトリル系ビニル単量体;塩化ビニルのような含ハロゲン系ビニル単量体;ニトロスチレンのようなニトロ系ビ
ニル単量体;などが挙げられる。
【0033】
[着色剤]
トナー粒子は着色剤を含むことが好ましい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわない。
【0034】
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1などの油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料。
【0035】
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
【0036】
着色剤の含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、0.1質量部以上30.0質量部以下が好ましい。
【0037】
[ワックス]
トナー粒子は、ワックスを含むことが好ましい。ワックスとしては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
【0038】
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸
類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸などの脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどのアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般的に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物。
【0039】
これらワックスの中でも、低温定着性、耐定着巻きつき性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス及びエステルワックスが好ましい。ワックスの含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、0.5質量部以上25.0質量部以下が好ましい。
【0040】
また、トナーの保存性と耐高温オフセット性の両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲に存在する、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上110℃以下であることが好ましい。
【0041】
[荷電制御剤]
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。荷電制御剤としては、公知のものが利用できる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100.0質量部に対して、0.2質量部以上10.0質量部以下が好ましい。
【0042】
[キャリア]
トナーは、一成分系現像剤として使用してもよい。長期にわたり安定した画像が得られるという点で、トナーは、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いてもよい。磁性キャリアとしては、下記のような公知のものを使用できる。例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持する結着樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)。
【0043】
トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、好ましくは2質量%以上15質量%以下、より好ましくは4質量%以上13質量%以下である。
【0044】
(トナーの製造方法)
トナー粒子の製造方法は、乳化凝集法、粉砕法、溶解懸濁法など公知の製造方法であれば特に限定されない。これらの中でも、乳化凝集法により、トナー粒子を得ることがよい
。
【0045】
具体的には、トナー粒子を乳化凝集法により製造する場合、アルキル基を有するアニオン性界面活性剤を用いて結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程と、樹脂粒子分散液に、1価の脂肪族アルコール及びアルキル基を有するアニオン性界面活性剤、並びに必要に応じて着色剤、ワックスなど他の粒子分散液を混合した分散液中で、樹脂粒子を凝集させ、凝集粒子を形成する工程と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造する。以下の説明では、着色剤、及びワックスを含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、ワックス以外のその他添加剤を用いてもよい。
【0046】
-樹脂粒子分散液準備工程-
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、ワックス粒子が分散されたワックス粒子分散液を準備する。ここで、樹脂粒子分散液は、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水が挙げられる。これらは併用してもよい。
【0047】
界面活性剤としては、上述したアルキル基を有するアニオン性界面活性剤を用いることでトナー中にアニオン性界面活性剤を含有させることができる。アニオン性界面活性剤に加え、その他、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤を併用してもよい。樹脂粒子分散液の製造の際、アルキル基を有するアニオン性界面活性剤を添加した水系媒体中で、結着樹脂を生成する重合性単量体の重合を行うことで、樹脂粒子分散液を製造することが好ましい。
【0048】
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
【0049】
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。樹脂粒子分散液と同様にして、着色剤粒子分散液、ワックス粒子分散液等も調製される。
【0050】
-凝集粒子形成工程-
次に、樹脂粒子分散液、1価の脂肪族アルコール及びアルキル基を有するアニオン性界面活性剤、並びに必要に応じて着色剤粒子分散液、ワックス粒子分散液等を混合する。混合分散液中で、樹脂粒子(と着色剤粒子とワックス粒子と)をヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子(と着色剤粒子とワックス粒子と)を含む凝集粒子を形成する。
【0051】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度-30℃以上、樹脂粒子のガラス転移温度-10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
【0052】
凝集剤としては、例えば無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。凝集剤の金属イオンと錯体又は類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0053】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
【0054】
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
【0055】
-融合・合一工程-
凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、樹脂粒子のガラス転移温度以上(樹脂粒子のガラス転移温度より10℃~30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
【0056】
洗浄工程は、イオン交換水による置換洗浄を施すことで1価の脂肪族アルコールのアニ
オン性界面活性剤に対するモル比を上記範囲に制御しやすくなる。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0057】
得られたトナー粒子はそのままトナーとして用いてもよい。必要に応じてトナー粒子に外添剤を添加、混合してトナーを得てもよい。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディーゲミキサー等によって行うことがよい。さらに、必要に応じて、振動師分機、風力師分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0058】
以下、各種物性の測定方法について説明する。
<トナー中のメタノールで抽出されるアニオン性界面活性剤の同定と定量>
トナー1gを精秤し、メタノール10gを加えて水温30℃±2℃に保った超音波洗浄器にて20分処理を行った後、ろ別して界面活性剤をメタノールに抽出する。このメタノール溶液10.0μlを、高速液体クロマトグラフィー(日立高速液体クロマトグラフLaChromElite(L-2000シリーズ)株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて界面活性剤の含有割合を分析する。カラムはGLサイエンス InertSil
Ph (5μ) Φ4.6×250mmを用い、該カラムをカラムオーブンにて温度50℃±1℃に保つ。移動相として0.1体積%リン酸/アセトニトリル((体積比)0.1体積%リン酸/アセトニトリル=80/20)の混合溶媒を送液速度1.0ml/分にて分画して界面活性剤を検出した。検出器はUV検出器を用い、224nmの波長の吸光度から、あらかじめ作成しておいた検量線を用いて界面活性剤量を定量する。
【0059】
アニオン性界面活性剤の構造は、上記の抽出物をFT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)[1H-NMR 400MHz、CDCl3、室温(25℃)](13C-NMR等も併用する)を用いて分析し、構造決定する。
【0060】
<トナー中のエタノールで抽出される1価の脂肪族アルコールの同定と定量>
(抽出サンプルの作製)
トナーを2g、エタノールを18g加え、手振りで均一化した後、5min間超音波照射する。その後、60℃の恒温槽内で一昼夜静置し、さらに室温で3日間静置する。静置後のサンプルの上澄みを採取してPTFE製のシリンジフィルター(孔径250nm)で濾過し、濾液を抽出サンプルとする。
【0061】
(GC/MS分析)
GC/MS装置は、GC TRACE―1310(Thermo Scientifi
c社製)、検出器は、シングル四重極分析計MS ISQ LT(Thermo Scientific社製)、オートサンプラーは、TRIPLUS RSH(Thermo Scientific社製)を使用する。測定は、下記に示す条件で行う。
サンプル量:1μL(液打ち)
カラム:HP5―MS(Agilent Technologies社製)
長さ:30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
スプリット比:10
スプリットフロー:15mL/min
注入口温度:250℃
カラム内のヘリウムガスの流速:1.5mL/min
MSイオン化:EI
カラム温度条件:40℃で3min保持し、続いて10℃/minで300℃まで上昇させ、10min間保持する。
イオン源ソース温度:250℃
Mass Range:m/z45-1000
搬送ライン温度:250℃
【0062】
<検量線の作成>
エタノール溶液中における1価の脂肪族アルコールの濃度(質量基準)が、10ppm、50ppm、100ppm、250ppmとなるように検量線作成用サンプルを調製する。これらのサンプルを前記条件にて測定し、1価の脂肪族アルコールに由来するピークの面積値から検量線を作成する。得られた検量線を用いて、上記抽出サンプルの分析を行い、エタノールで抽出されるトナー中の1価の脂肪族アルコールの含有割合を算出する。
【0063】
1価の脂肪族アルコールの構造は、上記の抽出サンプルをFT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)[1H-NMR 400MHz、CDCl3、室温(25℃)](13C-NMR等も併用する)を用いて分析し、構造決定する。
上記方法で得られたエタノールで抽出されるトナー中の1価の脂肪族アルコールの含有割合及び<トナー中のアニオン性界面活性剤の同定と定量>に記載の方法で測定した含有割合をもとに、1価の脂肪族アルコールのアニオン性界面活性剤に対するモル比を算出する。
【0064】
<結着樹脂の同定と定量>
結着樹脂の構成組成と比率の同定は、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析計(以下、「熱分解GC/MS」とも称する)及びNMRを用いる。
結着樹脂の構成化合物の種類の分析には熱分解GC/MSが用いられる。サンプルとしてトナーを使用し、トナーを550℃~700℃で熱分解させた際に生じる、結着樹脂の分解物の成分のマススペクトルを分析する事で構成化合物の種類を同定する。具体的な測定条件は以下の通りである。
[熱分解GC/MSの測定条件]
熱分解装置:JPS-700(日本分析工業)
分解温度:590℃
GC/MS装置:Focus GC/ISQ (Thermo Fisher)
カラム:HP-5MS 長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
注入口温度:200℃
フロー圧:100kPa
スプリット:50mL/min
MSイオン化:EI
イオン源温度:200℃
Mass Range: 45-650
【0065】
続いて同定した樹脂の構成化合物の存在量比を、1H-NMRで測定・算出する。構造決定は、FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)[1H-NMR 400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて行う。
得られたスペクトルの積分値から各モノマー成分のmol比を求め、これを基に組成比(質量%)を算出する。
【0066】
[結着樹脂の重量平均分子量Mwの測定方法]
結着樹脂の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、結着樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
【0067】
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
【0068】
[トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法]
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
【0069】
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウン
ト数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1,600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。具体的な測定法は以下のとおりである。
【0070】
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として下記の希釈液を約0.3mL加える。
・希釈液:「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力が120Wである下記の超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
・超音波分散器:「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が15℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
【実施例0071】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。なお、実施例及び比較例の部数は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
【0072】
(ポリエステル樹脂1の製造)
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び減圧装置を備えた反応容器に、テレフタル酸100.0部、無水トリメリット酸3.3部、エチレングリコール部17.1、イソソルビド48.4部及びビスフェノールAエチレンオキサイド5モル付加物7.0部を添加して、撹拌しながら温度130℃まで加熱した。
【0073】
エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシドを上記モノマー成分の合計量100部に対して0.3部投入した後、窒素ガス気流下で温度235℃まで1時間かけて昇温し、3時間反応させた。その後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧させながら所
望の分子量となるまで反応させてポリエステル樹脂1を得た。求められる分子量になった時点で反応を終了させてポリエステル樹脂1を得た。ポリエステル樹脂1の重量平均分子量Mwは、50000であった。
【0074】
(ポリエステル樹脂粒子分散液1の調製)
・ポリエステル樹脂1:100部
・メチルエチルケトン:60部
・イソプロピルアルコール:10部
撹拌機を備えた反応容器中に、上記成分を投入し、60℃にて溶解させた。溶解を確認し、反応容器を35℃に冷却した後、10%アンモニア水溶液3.5部を添加した。次いで、イオン交換水300部を3時間掛けて反応容器中に滴下し、ポリエステル樹脂粒子分散液を作製した。次いで、エバポレーターにてメチルエチルケトン、並びに、イソプロピルアルコールを除去し、ポリエステル樹脂粒子分散液1を得た。
【0075】
(ポリエステル樹脂2の合成)
・フマル酸:100.0部
・無水トリメリット酸4.4部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド5モル付加物:37.9部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド5モル付加物:36.3部
モノマー成分を、上記モノマーとした以外は、ポリエステル樹脂1と同様にしてポリエステル樹脂2を得た。得られたポリエステル樹脂2の重量平均分子量Mwは44000であった。
【0076】
(ポリエステル樹脂粒子分散液2の調製)
使用するポリエステル樹脂をポリエステル樹脂2とした以外は、ポリエステル樹脂粒子分散液1と同様にして、ポリエステル樹脂粒子分散液2を調液した。
【0077】
(スチレン-アクリル樹脂粒子分散液の調製)
・スチレン: 126部
・n-ブチルアクリレート : 14部
・アニオン性界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム) : 4部
・イオン交換水 : 59.2部
上記成分を容器中に投入し、ホモジナイザーを用いて乳化した(単量体乳化液A)を作製した。
【0078】
・イオン交換水 : 133部
・アニオン性界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム) : 0.6部
一方、重合用反応容器に上記成分を投入し、還流管を設置し、窒素を注入しながらゆっくりと撹拌し、75℃まで重合用フラスコをウォーターバスで加熱し、保持した。この容器中に、上記単量体乳化液A10部を、定量ポンプを用いて、10分間掛けて滴下した。
【0079】
次いで、過硫酸アンモニウム1.05部をイオン交換水10部に溶解し、重合用フラスコ中に定量ポンプを用いて10分間掛けて滴下した。この状態で、1時間撹拌を続けた。さらに、残りの単量体乳化液Aを、定量ポンプを用いて、2時間掛けて滴下した。全ての加え終わったのち、さらに3時間撹拌を続け、スチレン-アクリル樹脂粒子分散液を得た。
【0080】
(ワックス粒子分散液の調製)
・炭化水素系ワックス(日本精鑞(株)社製、商品名:FNP0090、融解温度Tw=90.2℃):270部
・アニオン性界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム):10.5部
・イオン交換水:700部
上記成分を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザ)で、内液温度120℃にてワックスを溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで360分間分散処理し、冷却して、ワックス粒子分散液を得た。このワックス粒子分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは220nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20.0%になるように調製した。
【0081】
(黒着色剤(Black)分散液の調製)
・カーボンブラック(キャボットジャパン(株)製、REGAL330):200部
・アニオン性界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム):13部
・イオン交換水:750部
上記成分をすべて投入した際に液面の高さが容器の高さの1/3になる大きさのステンレス容器に、上記成分を投入し、攪拌機を用いて濡れていない顔料がなくなるまで攪拌して、脱泡した。
脱泡後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5,000rpmで10分間分散した後、攪拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した。脱泡後、再度ホモジナイザーを用いて、6,000rpmで10分間分散した後、攪拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した。
その後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は、トータル仕込み量と装置の処理能力とから換算して25パス相当行った。
得られた分散液を72時間放置して沈殿物を除去し、イオン交換水を加えて、固形分濃度を15%に調整し、黒着色剤分散液を得た。この着色剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは、110nmであった。
【0082】
<トナー1の製造>
(トナー粒子1の製造)
・ポリエステル樹脂粒子分散液1 450.0部
・スチレン-アクリル樹脂粒子分散液 50.0部
・黒着色剤(Black)分散液 50.0部
・ワックス粒子分散液 50.0部
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 5.0部
・ドデシルアルコール 0.4部
反応器(容積1リットルフラスコ、バッフル付きアンカー翼)にポリエステル樹脂粒子分散液、スチレン-アクリル樹脂粒子分散液、ワックス粒子分散液及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを仕込み、均一に混合した。一方、500mLビーカーに黒着色剤分散液を均一に混合しておき、これを撹拌しながら反応器に徐々に添加し混合分散液を得た。得られた混合分散液を撹拌しながら硫酸アルミニウム水溶液を固形分として0.5部滴下し、凝集粒子を形成させた。
【0083】
滴下終了後、窒素を用いて系内を置換し、50℃にて1時間、さらに55℃にて1時間保持した。その後昇温して90℃にて30分保持した。その後、63℃まで降温したのち3時間保持させ、融合粒子を形成させた。所定時間終了後、毎分0.5℃の降温速度にて40℃になるまで冷却を行い、冷却後、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径(D4)6.5μmのトナー粒子1を得た。
【0084】
(トナー1の製造)
上記より得たトナー粒子1の100部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.5部を加え、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機社製)を用い
て混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー1を調製した。得られたトナー1の物性等を表1に示す。
【0085】
<トナー2~22の製造>
ポリエステル樹脂粒子分散液、スチレン-アクリル樹脂粒子分散液、アニオン性界面活性剤、及び1価の脂肪族アルコールの種類並びに量を、得られたトナーにおいて表1に示す物性になるように変更すること以外はトナー1と同様の製造方法でトナー2~22得た。なお、アニオン性界面活性剤の量は、トナー粒子の製造において、各分散液を混合する際のアニオン性界面活性剤の添加量により調整した。
【0086】
<参考例>
特開2005-107089の実施例(黒色トナーBk6)をトレースして参考例トナーを作製した。参考例トナーを特開2005-107089に開示されているヘッドスペース法による1価の脂肪族アルコール量を測定したところ、連鎖移動剤のn-オクチル-3-メルカプトプロピオン酸エステルの加水分解由来のオクチルアルコールが300ppm検出されたが、本開示のエタノール抽出法で測定すると10ppmであった。
【0087】
【0088】
【表1-2】
表中、脂肪族アルコールのppmは、トナーからエタノールで抽出される該1価の脂肪族アルコールの含有割合(質量基準)である。炭素数差は、1価の脂肪族アルコールの炭素数と直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムのアルキル基の炭素数との差である。ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Naは、式(A)において、n=2である。
【0089】
<画像評価>
画像評価は、市販のカラーレーザープリンタHP LaserJet Enterprise Color M553dnを一部改造して評価を行った。該改造により、一色の
プロセスカートリッジだけの装着でも作動するようにした。また、定着器の温度を任意の温度に変更できるようにも改造した。
このカラーレーザープリンタに搭載されていたブラックトナー用のプロセスカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、プロセスカートリッジに各トナー(350g)を導入し、トナーを詰め替えたプロセスカートリッジをカラーレーザープリンタに装着し、以下の画像評価を行った。具体的な画像評価項目は下記の通りである。
【0090】
〔濃度ムラ〕
評価は、耐久印字前(初期)と下記耐久印字後に行った。高温高湿環境下(温度32℃/湿度85%RH)において、初期、及び横線で0.5%の印字率の画像を30000枚プリントアウト試験終了後、
図2で示す画像をプリントし、印字部分と非印字部分の下流のベタ部分の画像濃度の差を評価した。画像濃度の測定には「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白下地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。転写材は、LETTERサイズの普通紙(XEROX
4200、XEROX社製、75g/m
2)を用いた。
(評価基準)
A:画像濃度の差0.05未満
B:画像濃度の差0.05以上0.10未満
C:画像濃度の差0.10以上0.20未満
D:画像濃度の差0.20以上
【0091】
〔カブリ〕
高温高湿環境下(温度32℃/湿度85%RH)において、横線で0.5%の印字率の画像を30000枚プリントアウト試験終了後、耐久印字1枚目(初期)と耐久印字後の非画像部の反射率(%)を「REFLECTOMETER MODEL TC-6DS」(東京電色社製)で測定した。得られた反射率を、同様にして測定した未使用のプリントアウト用紙(標準紙)の反射率(%)から差し引いた数値(カブリ値)(%)を用いて評価した。数値が小さい程、画像カブリが抑制されていることになる。評価は、グロス紙モードで、普通紙(HP Brochure Paper 200g/m2,Glossy、HP社製、200g/m2)を用いて行った。
(評価基準)
A:カブリ値0.5%未満
B:カブリ値0.5%以上1.5%未満
C:カブリ値1.5%以上3.0%未満
D:カブリ値3.0%以上
【0092】
〔定着性〕
転写材にベタ画像(トナーの載り量:0.9mg/cm2)を、定着温度を変えてプリントし、オフセットが発生しない最低温度に基づき、下記の基準で評価した。なお、定着温度は定着ローラー表面を非接触の温度計を用いて測定した値である。転写材は、LETTERサイズの普通紙(XEROX 4200、XEROX社製、75g/m2)を用いた。
(評価基準)
A:140℃でオフセットせず
B:140℃以上150℃未満でオフセット発生
C:150℃以上160℃未満でオフセット発生
D:160℃でオフセット発生
【0093】
〔ブロッキング(保存性)〕
各トナー5gを50mLの樹脂製カップに取り、温度60℃/湿度10%RHで3日間放置し、凝集塊の有無を調べ、下記の基準で評価した。
(評価基準)
A:凝集塊発生せず
B:軽微な凝集塊が発生、軽く指で押すと崩れる
C:凝集塊が発生、軽く指で押しても崩れない
D:完全に凝集
【0094】
〔実施例1~16〕
実施例1~16では、トナーとして、トナー1~16をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表2に示す。
【0095】
〔比較例1~6〕
比較例1~6では、トナーとして、トナー17~22をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表2に示す。
【0096】