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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187830
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】パッド
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/00 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
G01M3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096030
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504014200
【氏名又は名称】有限会社R&K JAPAN
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 貴世
(72)【発明者】
【氏名】桐生 幸一
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA38
2G067BB02
2G067BB22
2G067CC04
2G067DD02
(57)【要約】
【課題】マスクの内側の気体を取り込むためのパッドの製造に係る手間、時間、およびコストを抑制できる技術を提供できるようにすること。
【解決手段】パッドは、長板状のパッド本体と、パッド本体の一の表面において、パッド本体の先端部から長手方向に沿って形成された流路と、パッド本体と一体的に形成され、流路に接続されたノズルと、パッド本体の一の表面に融着され、流路を覆うフィルムとを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長板状のパッド本体と、
前記パッド本体の一の表面において、前記パッド本体の先端部から長手方向に沿って形成された流路と、
前記パッド本体と一体的に形成され、前記流路に接続されたノズルと、
前記パッド本体の前記一の表面に融着され、前記流路を覆うフィルムと
を備えることを特徴とするパッド。
【請求項2】
前記パッド本体は、前記流路の底面から突出し、前記流路に沿って延在するリブを備えることを特徴とする請求項1に記載のパッド。
【請求項3】
前記一の表面は、前記流路の両外側に、前記フィルムを熱融着可能な融着領域を有し、
前記フィルムは、前記融着領域よりも幅が広く、前記融着領域よりも外側にはみ出しているはみ出し部を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパッド。
【請求項4】
前記パッド本体は、前記先端部に、前記流路の底面を貫通する貫通孔を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のパッド。
【請求項5】
前記ノズルは、前記パッド本体の他端部に設けられ、
前記パッド本体は、前記流路内において前記ノズルの筒内空間に繋がる開口部を有し、前記流路の底面における前記開口部の周囲の部分は、前記開口部に向かって傾斜した傾斜面となっている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のパッド。
【請求項6】
前記パッド本体の短手方向における両端部に、前記短手方向における外側に向かって傾斜する傾斜面を有する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車外装部材として使用される樹脂部材および振動溶着方法に関し、第1の樹脂部材の表面に複数の振動溶着用突起部を形成し、第2の樹脂部材を振動溶着用突起部を介して第1の樹脂部材に溶着する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、窓ガラスの周縁部に沿って全周に連続するよう、押出成形法によって、接着層と同時に枠体を一体成形する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、通気性シートの裏面に熱融着フィルムが貼付された表皮材を芯材に貼付する自動車用内装部品の製造方法に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-152102号公報
【特許文献2】特開平7-148813号公報
【特許文献3】特公昭59-14348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マスク内側の圧力測定などの目的で、マスク内側に挿し込んでマスク内側の気体を取り込み、取り込まれた気体をチューブを介して測定機器等に送り出すパッドが知られている。しかし、従来のパッドは、袋状のプラスチックフィルムに、チューブを接続するためのノズル、プラスチックフィルムが張り付かないようにするためのバー等を手作業で組み付ける必要があり、製造に係る手間、時間、コストを抑制することが困難であった。
【0007】
なお、特許文献1~3の技術は、いずれも、マスク内側の気体を取り込むためのパッドに関する技術ではなく、すなわち、マスク内側の気体を取り込むためのパッドの製造に係る手間、時間、およびコストを抑制できるものではない。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するため、マスクの内側の気体を取り込むためのパッドの製造に係る手間、時間、およびコストを抑制できる技術を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、一実施形態に係るパッドは、長板状のパッド本体と、パッド本体の一の表面において、パッド本体の先端部から長手方向に沿って形成された流路と、パッド本体と一体的に形成され、流路に接続されたノズルと、パッド本体の一の表面に融着され、流路を覆うフィルムとを備える。
【発明の効果】
【0010】
一実施形態に係るパッドによれば、マスクの内側の気体を取り込むためのパッドの製造に係る手間、時間、およびコストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係るパッドの外観斜視図
図2】一実施形態に係るパッドの分解斜視図
図3】一実施形態に係るパッド本体の表面を示す外観斜視図
図4】一実施形態に係るパッド本体の裏面を示す外観斜視図
図5】一実施形態に係るパッド本体の平面図
図6】一実施形態に係るパッド本体の側面図
図7】一実施形態に係るパッド本体の正面図
図8】一実施形態に係るパッド本体のYZ平面による断面図
図9】一実施形態に係るパッド本体のフィルムが熱融着される領域を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
(パッド100の構成)
図1は、一実施形態に係るパッド100の外観斜視図である。図2は、一実施形態に係るパッド100の分解斜視図である。図1および図2に示すパッド100は、マスクの内側の気体を取り込むための器具である。
【0014】
図1に示すように、パッド100は、X軸方向を長手方向とし、X軸方向と直交するY軸方向を短手方向(幅方向)とし、X軸方向およびY軸方向と直交するZ軸方向を厚さ方向とする、薄型且つ長板状を有する。また、図1および図2に示すように、パッド100は、パッド本体110およびフィルム120を有して構成されている。
【0015】
パッド本体110は、薄型且つ長板状を有する樹脂製の部材である。パッド本体110の表面110Aには、一定の幅を有し、且つ、パッド本体110の長手方向に沿って直線状に延在する、溝状の流路111が形成されている。流路111は、表面110A側が開放されている。パッド本体110の裏面110Bは平坦であり、その後端部(X軸負側の端部)にチューブ10の一端を接続可能なノズル112が設けられている。
【0016】
フィルム120は、ポリプロピレンフィルムなどの樹脂製のフィルム素材が用いられる。フィルム120は、パッド本体110の表面110Aに熱融着によって貼り付けられる。これにより、フィルム120は、流路111を表面110A側から覆い、流路111の蓋として機能する。フィルム120は、平面視において、パッド本体110と同じ長さ(例えば、長さ90mm)、且つ、パッド本体110の先端側(X軸正側)と略同じ幅(例えば、幅12mm)の長方形状を有するため、表面110Aに貼り付けることによって、流路111の全体を覆うことができる。
【0017】
パッド100は、その先端側の部分が、マスクの短手側の側部とマスク装着者の顔面との間の隙間から、マスクの内側、すなわちマスクとマスク装着者の顔面との間の空間に挿し込まれる。パッド100は、流路111に繋がる開口部100Aを先端部に有しており、開口部100Aからマスクの内側の気体を流路111内に取り込むことができる。
【0018】
開口部100Aから流路111内に取り込まれた気体は、流路111を通じて、パッド100の後端部に導かれ、ノズル112から、ノズル112に接続されるチューブ10に送出される。
【0019】
チューブ10に送出された気体は、チューブ10を通じて、チューブ10の他端に接続されているマスクの内側の圧力を測定する測定装置等の各種装置に流入される。
【0020】
(パッド本体110の構成)
図3は、一実施形態に係るパッド本体110の表面110Aを示す外観斜視図である。図4は、パッド本体110の裏面110Bを示す外観斜視図である。図5は、パッド本体110の平面図である。図6は、パッド本体110の側面図である。図7は、パッド本体110の正面図である。図8は、パッド本体110のYZ平面による断面図である。
【0021】
図3図8に示すパッド本体110は、表面110Aおよび裏面110Bを有しており、表面110Aがマスク装着者の顔面と対向するように、先端部がマスクの短手側の側部とマスク装着者の顔面と間の隙間からマスクの内側に挿し込まれる。
【0022】
パッド本体110は、弾性を有するポリプロピレンなどの樹脂素材を用いて、薄型且つ長板状に形成される。これにより、パッド本体110は、マスク装着者の顔面に沿って表面110A側、すなわち顔面側が円弧の内側となるように湾曲することができる。
【0023】
図3図8に示すように、裏面110Bの後端部には、略円筒状のノズル112が裏面110Bに対して略垂直に起立して設けられている。ノズル112には、チューブ10を接続可能である。
【0024】
ノズル112は、射出成型等によって、パッド本体110と一体的に形成されている。これにより、一実施形態に係るパッド100は、パッド本体110にノズル112を手作業で組み付ける作業が不要となる。このため、パッド100の製造に係る手間、時間、およびコストを抑制できる。
【0025】
なお、一実施形態に係るパッド100の製造方法は、パッド本体110を形成する形成工程と、パッド本体110にフィルム120を熱融着してカットする融着工程との、僅か2工程である。このため、パッド100の製造に係る手間、時間、およびコストを抑制できる。よって、パッド100を低コストで大量生産することができ、製品単価の低下も実現できるため、パッド100の使用毎の交換も容易に実現でき、衛生面からも好ましい。
【0026】
ノズル112の外周面には、部分的に直径が拡大された拡大部112Bが設けられており、拡大部112Bによりノズル112に接続されたチューブ10が抜け落ち難くなっている。拡大部112Bの外周面は、ノズル112の先端側に向かって直径が小さくなるテーパ形状を有するため、チューブ10をノズル112に接続する際に、チューブ10内に滑り込み易くなっている。
【0027】
パッド本体110は、裏面110Bの後端部にノズル112を有するため、先端部がマスクとマスク装着者の顔面との間の隙間からマスクの内側に挿し込まれたときに、マスクおよび顔面にノズル112が接触しないようになっている。
【0028】
図3図5図7、および図8に示すように、表面110Aの幅方向における中央部には、一定の幅および深さを有する溝状の流路111が形成されている。流路111は、先端部において開口部100Aと繋がっており、後端部においてノズル112の筒内空間112Aと繋がっている。また、流路111は、フィルム120によって上部が覆われる。これにより、流路111は、開口部100Aから取り込まれた気体を、ノズル112へ導くことができる。
【0029】
流路111の後端部には、平面視において円形状を有する凹部111Aが形成されている。流路111は、凹部111Aの中心に形成されている円形状の開口部111Bを通じて筒内空間112Aに繋がっている。図8に示すように、凹部111Aの底面は、ノズルの中心、すなわち開口部111Bに向かって徐々に高さが低くなるように傾斜した傾斜面となっている。
【0030】
これにより、一実施形態に係るパッド100は、開口部111Bの周囲の空間が、負圧によって開口部111B側に吸引されたフィルム120によって狭められることを抑制し、凹部111Aに送り込まれた気体が、開口部111Bを通じてノズル112に流入し易くなっている。
【0031】
流路111の幅方向における中央には、流路111の底面から上方(Z軸正方向)に突出したリブ113が、流路111に沿って長手方向に直線状に形成されている。リブ113の上端部にフィルム120が当接することによって、流路111に生じる負圧によってフィルム120が流路111の底面に密着してしまうことを防止する。これにより、リブ113は、フィルム120によって流路111が遮断されてしまうことを防止する。
【0032】
リブ113は、射出成型等によって、パッド本体110と一体的に形成されている。これにより、パッド本体110にフィルム120が張り付かないようにするための部材を手作業で組み付ける作業が不要となる。このため、パッド100の製造に係る手間、時間、およびコストを抑制できる。
【0033】
また、図5に示すように、パッド本体110は、長手方向の後端部から先端部にかけて徐々に短手方向の幅が小さくなる形状を有する。これにより、ユーザが後端部を保持し易く、且つ、先端部をマスクと顔面との間の隙間に挿し込み易くなっている。
【0034】
また、パッド本体110は、マスクと顔面との間の隙間からマスクの内側に挿し込まれたときに、先端部がマスク装着者の口の近傍に位置するように、適切な長さ(約90mm)を有するものとなっている。
【0035】
また、図6および図7に示すように、パッド本体110は、後端部が最も厚さが厚く(約1.0mm)、後端部から先端部にかけて徐々に厚さが薄くなる形状を有する。これにより、パッド本体110は、ユーザが後端部を保持し易く、且つ、先端部をマスクと顔面との間の隙間に挿し込み易くなっている。
【0036】
また、図3図5に示すように、パッド本体110は、先端部に、流路111の底面を貫通する貫通孔114を有する。図3図5に示す例では、パッド本体110は、幅方向に並べて設けられた円形状の2つの貫通孔114を有する。但し、貫通孔114の形状および個数はこれに限らない。貫通孔114を設けることにより、パッド本体110は、例えば、開口部100Aが何らかの理由で塞がれても、貫通孔114からマスクの内側の気体を流路111に取り込むことができる。
【0037】
また、図7に示すように、パッド本体110は、表面110Aの先端部から後端部にかけて、幅方向の中央部にXY平面に対して平行な平面部110Cを有し、その幅方向の中央部に流路111が形成されている。これにより、表面110Aは、流路111の両外側に、一定の幅を有し、且つフィルム120を熱融着可能な融着領域110Dを有する。
【0038】
また、図7に示すように、パッド本体110は、表面110Aの先端部から後端部にかけて、平面部110Cの幅方向の両外側、すなわち表面110Aの両端部に、裏面110Bに向かって傾斜する傾斜面110Eを有する。
【0039】
マスクは細かい凹凸には追従しにくく、特に生地が薄くなるとこの傾向が高くなる。そのため、マスクの縁に接するパッド本体110の部分に凹凸があると、マスクの縁とパッド本体110とに隙間が生じる可能性がある。一方、人の頬はマスクに比べて柔軟性を有しているため、パッド本体110と頬とを密着させやすい。
【0040】
そこで、本実施形態では、マスクに接する裏面110Bを凹凸の少ない平面状とし、頬に接する側である表面110Aに傾斜面110Eを設けている。これにより、パッド本体110がマスクと顔面との間に挿し込まれたときに、傾斜面110Eの傾斜に頬が追従するため、パッド本体110と頬との隙間を少なくすると同時に、マスクの縁部とパッド本体110との隙間も最小化させることが可能となる。その結果、マスクの縁部と顔面との間に生じる隙間を最小化させ、マスクの密閉度低下を抑制することができる。
【0041】
図9は、一実施形態に係るパッド本体110におけるフィルム120が熱融着される領域を示す平面図である。図9では、便宜上、フィルム120が熱溶着される領域をハッチングで示している。
【0042】
図9に示すように、フィルム120は、表面110Aの、流路111の両外側の融着領域110Dに熱融着される。図9に示すように、フィルム120は、融着領域110Dよりも幅が広く、融着領域110Dよりも両外側にはみ出したはみ出し部121を有する。
【0043】
本発明の発明者らは、フィルム120を融着領域110Dと同幅とした場合、熱融着装置にフィルム120の不要な残留物が付着してしまうことを見出した。また、本発明の発明者らは、フィルム120を融着領域110Dよりも幅広とすることで、熱融着装置にフィルム120の残留物が付着し難くなることを見出した。このため、フィルム120を融着領域110Dよりも幅広としてはみ出し部121を設けることで、熱融着装置にフィルム120の不要な残留物が付着し難くなっている。
【0044】
なお、図9等に示すように、パッド本体110は、先端部に、開口部100Aよりも下側(Z軸負側)、且つ開口部100Aよりも僅かに先端方向に延設された延設部115を有する。一方、図9に示すように、フィルム120の先端部は、フィルム120がパッド本体110に熱融着された後に、開口部100Aの位置でカットされる。これにより、開口部100Aがフィルム120によって閉塞されてしまうことを抑制できる。
【0045】
また、一実施形態に係るパッド100は、表面110Aにフィルム120を熱融着することにより、表面110Aが加熱冷却されてパッド本体110の表面110A側が収縮し、僅かに表面110A側が円弧の内側となるようにパッド本体110が湾曲する。これにより、パッド本体110の表面110Aが顔面にフィットし易くなっている。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 チューブ、100 パッド、100A 開口部、110 パッド本体、
110A 表面、110B 裏面、110D 融着領域、110E 傾斜面、
111 流路、111B 開口部、112 ノズル、112A 筒内空間、
113 リブ、114 貫通孔、120 フィルム、121 はみ出し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9