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特開2022-187834印刷制御システム、印刷制御方法、印刷制御装置とプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187834
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】印刷制御システム、印刷制御方法、印刷制御装置とプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20221213BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B41J29/393 105
G06F3/12 329
G06F3/12 308
G06F3/12 357
G06F3/12 353
G06F3/12 378
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096034
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松山 洋一
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AS02
2C061CK04
2C061HK14
2C061HN19
2C061KK26
2C061KK35
(57)【要約】
【課題】基準画像取得時と検品時に設定を毎回切り替えるのは手間がかかる。
【解決手段】商材毎に、あらかじめ、設定をロックできる仮想プリンタで後加工の設定を含む仮想プリンタと、検品時に使用する仮想プリンタを作成し、動作モードによって仮想プリンタを切り替えることで、煩雑な設定変更を減らす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブに応じてシートに画像を形成する画像形成手段と、
前記シートの画像を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段により読み取った画像を、予め読み取られて登録された基準画像と比較して品質を検査する検査手段と、
前記基準画像の登録の際には、予め定めた第1の印刷設定を用いて前記画像形成手段により画像を形成させ、前記読み取り手段により読み取られた画像を前記基準画像として登録し、製品の製造の際には、予め定めた第2の印刷設定を用いて前記画像形成手段により画像を形成させる制御手段と、を有する
ことを特徴とする印刷制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷制御システムであって、
前記第1の印刷設定は、後加工を行わない設定であり、前記第2の印刷設定は、前記印刷ジョブに従う設定である
ことを特徴とする印刷制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷制御システムであって、
前記第1の印刷設定は、複数部のうち1部について前記印刷ジョブに従い、そのほかについては後加工を解除する設定であり、前記第2の印刷設定は、前記印刷ジョブに従う設定である
ことを特徴とする印刷制御システム。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷制御システムであって、
前記第1の印刷設定は、前記印刷ジョブで指定された製品の種類に応じて後加工を解除する設定であり、前記第2の印刷設定は、前記印刷ジョブに従う設定である
ことを特徴とする印刷制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷制御システムであって、
前記第1の印刷設定は、前記製品の種類に応じて1または複数の印刷設定の組が予め用意されており、前記印刷ジョブで指定された前記製品の種類に応じた設定の組が用いられる
ことを特徴とする印刷制御システム。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか一項に記載の印刷制御システムであって、
前記第1の印刷設定では、前記後加工のうち、解除されることで前記読み取り手段により読み取られる画像の品質に影響を及ぼす後加工については解除されない
ことを特徴とする印刷制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷制御システムであって、
前記読み取り手段により読み取られる画像の品質に影響を及ぼす後加工には、前記シートの搬送方向について前記読み取り手段の上流に位置する後加工を含む
ことを特徴とする印刷制御システム。
【請求項8】
請求項6または7に記載の印刷制御システムであって、
前記読み取り手段により読み取られる画像の品質に影響を及ぼす後加工には、前記シートの搬送方向について前記読み取り手段の上流で準備が必要な後加工を含む
ことを特徴とする印刷制御システム。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷制御システムであって、
前記画像形成手段は、搬送するシートの方向を変えることが可能であり、
前記読み取り手段の上流において準備が必要な後加工には、固定された位置でシートを綴じる手段、または固定された位置で穿孔する手段の少なくともいずれかを含む
ことを特徴とする印刷制御システム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の印刷制御システムであって、
前記制御手段は情報処理装置に含まれ、
前記第1の印刷設定および前記第2の印刷設定は、それぞれ前記情報処理装置により生成される第1及び第2の仮想プリンタの設定である
ことを特徴とする印刷制御システム。
【請求項11】
請求項10に記載の印刷制御システムであって、
前記画像形成手段と前記読み取り手段と前記検査手段は画像形成装置に含まれる
ことを特徴とする印刷制御システム。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の印刷制御システムであって、
前記制御手段は、指定された動作モードに応じて、前記第1の印刷設定または前記第2の印刷設定のいずれかを選択する
ことを特徴とする印刷制御システム。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の印刷制御システムの前記制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項14】
印刷ジョブに応じてシートに画像を形成する画像形成手段と、前記シートの画像を読み取る読み取り手段と、前記読み取り手段により読み取った画像を、予め読み取られて登録された基準画像と比較して品質を検査する検査手段とを有する画像形成装置を制御する制御手段を有する情報処理装置による印刷制御方法であって、
前記制御手段が、前記基準画像の登録の際には、予め定めた第1の印刷設定を用いて前記画像形成手段により画像を形成させ、前記読み取り手段により読み取られた画像を前記基準画像として登録し、
前記制御手段が、製品の製造の際には、予め定めた第2の印刷設定を用いて前記画像形成手段により画像を形成させる
ことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項15】
印刷ジョブに応じてシートに画像を形成する画像形成手段と、前記シートの画像を読み取る読み取り手段と、前記読み取り手段により読み取った画像を、予め読み取られて登録された基準画像と比較して品質を検査する検査手段とを有する画像形成装置を制御する印刷制御装置であって、
前記基準画像の登録の際には、予め定めた第1の印刷設定を用いて前記画像形成手段により画像を形成させ、前記読み取り手段により読み取られた画像を前記基準画像として登録し、
製品の製造の際には、予め定めた第2の印刷設定を用いて前記画像形成手段により画像を形成させる
ことを特徴とする印刷制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物を検査する検品システムに関し、特に印刷物の品質を特定するために印刷物との比較に用いる基準画像を登録する印刷制御システム、印刷制御方法、印刷制御装置とプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置で印刷した印刷物を読み取り、印刷品質を検査する検品装置が知られている。検品装置は、ユーザにより品質が良好である事が確認されている印刷物の画像(以下、基準画像と呼ぶ)と、本印刷の印刷物をスキャンした画像とを比較する事で、汚れや印刷抜けなどの画像欠陥、文字の誤り、バーコード品位などを検出可能である。これら印刷不良が検出された印刷物は、例えば排紙先を変更することで、印刷不良のない印刷物と区別される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-66516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基準画像登録時に、検品時と同じジョブを使いたいが、印刷設定を変えて出力したい場合がある。例えばインラインの無線綴設定をしている場合、無線綴の工程で時間がかかるため生産性が落ちてしまうため、基準画像登録時は、生産性を向上させるためには無線綴の設定をオフにして印刷したい場合などである。
【0005】
基準画像登録時と、検品時とで同じジョブを使う場合、不要なインライン後加工をしないようにするためには、基準画像登録時に後加工をオフに設定し、検品時に元に戻す操作を手動で繰り返す必要があり、煩雑で操作ミスの発生も考えられる。
【0006】
このため、自動化のためにワークフローソフト等を使用している印刷環境にであっても、手動による印刷設定変更が発生するため、全体の自動化が進まないという課題がある。
【0007】
本発明は上記従来例に鑑みて成されたもので、基準画像登録時における不要な後加工の解除と本印刷時における後加工の設定とを簡易な操作で正確に実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。本発明の一側面によれば、印刷ジョブに応じてシートに画像を形成する画像形成手段と、
前記シートの画像を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段により読み取った画像を、予め読み取られて登録された基準画像と比較して品質を検査する検査手段と、
前記基準画像の登録の際には、予め定めた第1の印刷設定を用いて前記画像形成手段により画像を形成させ、前記読み取り手段により読み取られた画像を前記基準画像として登録し、製品の製造の際には、予め定めた第2の印刷設定を用いて前記画像形成手段により画像を形成させる制御手段と、を有する
ことを特徴とする印刷制御システムが提供される。
【0009】
また本発明の他の側面によれば、印刷ジョブに応じてシートに画像を形成する画像形成手段と、前記シートの画像を読み取る読み取り手段と、前記読み取り手段により読み取った画像を、予め読み取られて登録された基準画像と比較して品質を検査する検査手段とを有する画像形成装置を制御する印刷制御装置であって、
前記基準画像の登録の際には、予め定めた第1の印刷設定を用いて前記画像形成手段により画像を形成させ、前記読み取り手段により読み取られた画像を前記基準画像として登録し、
製品の製造の際には、予め定めた第2の印刷設定を用いて前記画像形成手段により画像を形成させる
ことを特徴とする印刷制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基準画像登録時における不要な後加工の解除と本印刷時における後加工の設定とを簡易な操作で正確に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の検品システムの構成を表すシステム構成図である。
図2】印刷制御装置および検品制御装置のソフトウェアを動作させるPCのハードウェア構成図である。
図3】印刷制御装置のUI(User Interface)の一例を示す図である。
図4】仮想プリンタ設定のUIの一例を示す図である。
図5】仮想プリンタ登録のUIの一例を示す図である。
図6】後加工をする部を指定するUIの一例を示す図である。
図7】本発明の仮想プリンタによるジョブの後加工設定の変更の説明図である
図8】本発明の実施例1の印刷制御装置の処理フローである
図9】本発明の実施例2の印刷制御装置の処理フローである
図10】商材に対応する仮想プリンタの決定方法の説明図である。
図11】商材によっては特定の後工程(後加工)を残す必要がある場合の説明図である。
図12】検査の基準画像を登録する基準画像登録処理フローである。
図13】検品処理フローである。
図14】仮想プリンタで設定値を決定する処理フローである。
図15】商材名の情報から仮想プリンタを選択する処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
[実施形態1]
<ハードウェア構成>
図2は、図1に示した本発明の検品システムのソフトウェア(各ソフトウェアモジュール)を実行するコンピュータ(即ち情報処理り装置)のハードウェア構成図である。この構成は、印刷制御装置101、画像形成装置107、検品制御装置113に該当する。これらを印刷制御システムと呼ぶこともある。また印刷制御システムにより実現される手順を印刷制御方法と呼ぶこともある。
【0014】
コンピュータは、CPU201は、RAM202、ROM203を有し、それらはバス205で接続されている。さらにコンピュータは、コンピュータどうし、あるいは画像形成装置と接続するためのネットワークI/F204を有する。
【0015】
さらに液晶ディスプレイなどの表示装置207を有し、表示のためのVRAM206を有する。またマウス、キーボードなどの入力装置209と、対応する入力装置ドライバ208を備え、利用者からの入力を処理する。これら表示装置207と入力装置209とはタッチパネルなどにより一体化されていてもよい。これらにより、図3に示したUIなどが実現される。
【0016】
さらにコンピュータはハードディスク210や光学ドライブ211など、システムで使用するプログラムの保存やデータの一時保存などに使用される記憶装置を有している。
【0017】
画像形成装置も、CPUやメモリを備える点は図2と同様である。ただし画像形成装置107は、画像形成および後処理のための構成を有している。たとえば画像形成部108として、電子写真方式の画像形成部を備え、そこにシートを供給するための給紙トレイや給紙ユニットを有する。さらにシートの両面に画像形成するための両面ユニットや、品質検査の結果に応じて後加工部と低品質なシート用のトレイとを切り替える機構を含む搬送路を有する。画像読取部109はその搬送経路に配置され、カメラ等で画像形成されたシートの両面を撮影することができる。ここで後加工部は、一般的にはシートの搬送方向について画像読取部109の下流にあることが多いが、必ずしもそうとは限らない。たとえば実施形態2で説明するように、箔押し加工やエンボス加工の後加工部などは、画像読取部109の上流にあることもある。
【0018】
検品制御装置113もまたCPUやメモリを備える点は図2と同様である。ただし検品制御装置113は、2つの画像を高速に比較するために専用のハードウェアを有していてもよい。
【0019】
<システム構成>
図1は、本発明の検品システムの構成を表すシステム構成図である。図1中の要素を繋ぐ実線はネットワークを、点線は印刷用紙の搬送路を示す。検品システムは、印刷制御装置101、画像形成装置107、検品制御装置113から構成される。後述する後加工部は、画像形成装置とインライン接続されている。
【0020】
<印刷制御装置>
印刷制御装置101は、検品システムの動作モードにより適切な仮想プリンタにジョブを送付し印刷物の生成を制御する。なお仮想プリンタとは、あらかじめ仮想プリンタとして登録し、用意しておいた印刷設定を、予め定めておいたプリンタ、例えばネットワーク接続されたプリンタにより印刷する機能である。すなわち本実施形態の仮想プリンタは、そのあらかじめ定めた設定値に特に着目されており、そのため仮想プリンタを、予め定めた印刷設定の設定値の組(あるいはセット)と言い換えることもできる。印刷設定として、たとえば、用紙種類や部数、両面プリントなどの印刷に係る設定や、インラインでプリンタに接続された後処理(後加工)の設定を登録しておくことができる。また印刷制御装置101は、検品時と基準画像登録時の印刷設定の制御を行うことから、基準画像登録システムと呼ぶことがある。また検品制御装置113まで含めて検品システムと呼ぶことがある。また検品システムには画像形成装置107も含むことがある。
【0021】
さて印刷制御装置101には検品システムを操作するためのUIがある。図3のUI画面300に印刷制御装置101のUIを示す。ボタン301は、動作モード切り替えトグルボタンである。印刷制御装置101は、自身の動作モードを保持する変数(MotionMode)を持っており、この変数(MotionMode)に動作モード切り替えトグルボタン301を介して受け取った動作モードを保持する。表1に印刷制御装置101の変数MotionModeの例を示す。基準画像を登録する場合には基準画像登録モードをオンに設定する。また通常の印刷で検品を行う場合には検品モードをオンに設定する。
【0022】
【表1】
【0023】
ジョブリスト表示部302は、印刷制御装置101が取り込み、ジョブ管理部104に保持しているジョブ情報を表示する。ジョブ情報の例を表2に示す。ジョブ情報は、ジョブを特定するための識別子である「ジョブID」、ジョブの名前である「ジョブ名」を含む。さらに、ジョブの種類を示す「商材名」、ジョブを作成する数量を示す「部数」、後工程や用紙情報等の「印刷設定」、出力プリンタを示す「出力先」などの項目を含む。
【0024】
ジョブリスト表示部302では部数などを変更することができる。ジョブリスト表示部302をユーザが操作して変更した値はジョブ管理部104が保持するジョブ情報に反映される。
【0025】
【表2】
【0026】
印刷ボタン303は、オペレータが印刷を指示するためのボタンであり、印刷ボタン303がタッチされると、指定された動作モードに対応する仮想プリンタを用いて選択されているジョブが実行される。仮想プリンタ生成ボタン304は新たな仮想プリンタを生成するためのボタンであり、仮想プリンタ生成ボタン304がタッチされると新たな仮想プリンタを生成できる。詳細については図4を参照して後述する。1部後加工有りボタン307については実施形態2で説明する。本実施形態では1部後加工有りボタン307は備えられていなくてよい。
【0027】
動作モードと仮想プリンタとの紐づけは、たとえば仮想プリンタの名称で固定的に行ってもよいし、仮想プリンタの設定において設定させてもよい。固定的に紐づける場合には、たとえば「基準画像登録用」との名称を持つ仮想プリンタを基準画像登録モードに紐づけ、「検品印刷用」との名称を持つ仮想プリンタを検品モードに紐づけるなどしてもよい。
【0028】
図1に戻って、判断部102は、動作モードに適した出力先を判定する。本実施形態では、判断部102が適切な仮想プリンタを決定し、印刷制御装置101が決定された仮想プリンタへジョブを送っている。これに対して、印刷制御装置101がジョブチケットを生成して同様な処理を実現しても良い。
【0029】
制御部103は、判断部102の判定に従い適切な仮想プリンタを使用してジョブを画像形成装置107に送信する。本実施形態では、事前に準備した仮想プリンタから判断部102が選択した仮想プリンタにジョブを送信する。
【0030】
ジョブ管理部104は、ジョブの取り込み、編集、削除などを行う。ジョブ管理部104で管理されるジョブは前述した表2に示すジョブ情報に記録され、基準画像登録モード、検品モードのいずれのモードでも同じジョブ情報が使用される。
【0031】
基準画像登録用仮想プリンタ105は、基準画像登録時の印刷に使用される。検品印刷用仮想プリンタ106は、検品時の印刷に使用される。なお検品印刷とは、検品を行うよう設定された印刷(あるいは印刷ジョブ)を指し、検品印刷用仮想プリンタとは検品を行うよう設定された印刷のために使用される仮想プリンタである。
【0032】
<画像形成装置>
画像形成装置107は、印刷制御装置101から送信されるジョブを処理して用紙に印刷、後加工を行う。画像形成装置107において、画像形成部108は、印刷データからイメージを生成し、印刷用紙に印刷する。インライン加工部(後処理部とも呼ぶ。)115は、画像形成部108に続く画像読取部とインラインの後加工部の構成を示す。
【0033】
画像読取部109は、画像形成部108が印刷用紙に印刷したイメージをスキャナで読み取り検品制御装置113に送付する。無線綴部110は、印刷管理装置101からの指示に従い画像形成部108で印刷した印刷用紙を無線綴製本する。断裁部111は、印刷管理装置101からの指示に従い無線綴部110が製本した印刷物の不要な部分を断裁する。大容量スタッカ112は、検品で合格した印刷物を保持する。不合格の印刷物は上部に設けられた別の排紙口(アッパートレー)に排紙される。
【0034】
インライン加工機には、図示した無線綴部110、断裁部111以外にも印刷用紙にパンチ穴の加工(穿孔)をするパンチャーやステープル加工をするステープラーなど様々な種類があるが、それらをインライン加工部115に用いても構わない。また、画像形成装置107種類によっては、画像読み取り部109が画像形成部108の直後ではなく、他の後加工機が画像形成部108と画像読み取り部109の間に設けられる構成をとる場合もある。
【0035】
<検品制御装置>
検品制御装置113は、印刷制御装置101からの動作モードの切り替え通知を受け、自身の動作モードを設定する。基準画像登録モードでは、画像読取部109で取得した画像を基準画像として基準画像管理部114に保存する。一方、検品モードでは、画像読取部109で取得した画像を基準画像と比較し、合格・不合格を判定する。この判定結果に応じて、検査対象のシートが排出されるトレイが前述のように制御される。基準画像管理部114は商材と基準画像の対応関係を管理する。なお商材とは後加工まで含めて生産された印刷物を指す。
【0036】
第1実施形態では、印刷と後加工部(無線綴部、断裁部)による工程で製造される印刷商材(製品でありここではアルバム)を例に説明する。また基準画像登録用仮想プリンタは「基準画像登録用」、検品印刷用仮想プリンタは「検品印刷用」という名称で登録されるものとする。
【0037】
<基準画像登録フロー>
図12は、検査の基準画像を登録する際の動作フローチャートである。フロー中S1201,S1202は印刷制御装置101により実行され、特にプロセッサ(すなわちCPU201)によりRAM202などのメモリにロードしたプログラムを実行することで実現される。またS1204-S1206は画像形成装置107により実行される。
【0038】
S1201にて、印刷制御装置101はUIの動作モード切替トグルボタン301を介してユーザからの基準画像登録モードへの切り替え動を受け付ける。
【0039】
次にS1202に進み、印刷制御装置101はUIの印刷ボタン303を介してユーザからの印刷開始指示を受け取ると、ジョブリスト302で選択されているジョブを印刷対象として印刷を開始する。さらに印刷制御装置101はS1201で受け付けた動作モードおよび印刷を開始したジョブのジョブIDを検査制御装置113へと通知する。動作モードとして「基準画像登録モード」を受け取った検査制御装置113はこれ以降受けとった動作モード即ち画像登録モードで動作する。また印刷制御装置101は、このとき使用する仮想プリンタとして動作モードに応じた仮想プリンタを選択する。選択されるのは基準画像登録用仮想プリンタ105である。印刷ジョブは、基準画像登録用仮想プリンタ105の設定に従って実行される。ステップS1202の詳細は図8に示す。
【0040】
次S1203へ進み、S1202で開始されたジョブの全てのシートの処理が終わるまでS1204からS1207を繰り返す。
【0041】
S1204で画像形成部108は印刷用紙に対して印刷ジョブの画像を印刷用紙に印刷する。
【0042】
次にS1205で画像読み取り部109はS1204で印刷されたシートをスキャンし、検品制御装置113へと送信する。
【0043】
S1206では検査制御装置113は受け取った画像をS1202で受け取ったジョブIDと関連付けた形で基準画像として基準画像管理部114に登録する。さらに複数ページの印刷物が検査対象の場合には、基準画像に順序を示す情報を紐づけておいてもよい。この情報はたとえば画像ファイルの順序という明示的でない情報であってもよい。両面印刷の場合には、基準画像に表面と裏面の区別を示す情報を紐づけておいてよい。
【0044】
次にS1207ではS1202で開始されたジョブの印刷がまだ残っていればS1203へ戻って繰り返し、そうでなければ処理を終了する。
【0045】
なおS1205では1ページ印刷ごとに印刷された画像をスキャンしているが、1枚のシートの両面に印刷した後、画像読取部では両面同時にスキャンしてもよい。その場合にはステップS1204ではシートの両面に印刷し、ステップS1205では、画像読取部がシートの両面に印刷された画像を両面同時にスキャンする。
【0046】
<仮想プリンタの選択手順>
図8に、図12のS1202(および後述する図13のS1302)で仮想プリンタを選択する処理フローを示す。
【0047】
S800で、印刷制御装置101はユーザが動作モード切替トグルボタン301で指定した変数MotionModeが基準画像登録モードか否かを判定し、基準画像登録モードならS801に、そうでなければS802に進む。
【0048】
S801で、判断部102は印刷に使用する仮想プリンタとして名称が「基準画像登録用」の仮想プリンタを選択する。それによりと印刷制御装置101はジョブを仮想プリンタ「基準画像登録用」に送信し、印刷を開始する。
【0049】
S802で、判断部102は印刷時に使用する仮想プリンタとして名称が「検品印刷用」の仮想プリンタを選択する。印刷制御装置101はジョブを仮想プリンタ「検品印刷用」にジョブを送信し、印刷を開始する。
【0050】
本実施形態では、判断部102は仮想プリンタの名称で使用する仮想プリンタを選択していたが、変数MotionModeと仮想プリンタの対応テーブルを持ち、テーブルを参照して仮想プリンタを決める方式でも構わない。
【0051】
<検品フロー>
図13は、検査時の動作を示す動作フローチャートである。フロー中S1301,S1302は印刷制御装置101により実行され、特にプロセッサ(すなわちCPU201)によりRAM202などのメモリにロードしたプログラムを実行することで実現される。またS1304-S1309は画像形成装置107により実行される。このうち、S1306は検品制御装置113で実行してその結果を画像形成装置107に送信してもよいし、検品制御装置113から画像の比較結果を受信した画像形成装置107が実行してもよい。
【0052】
S1301にて、印刷制御装置101はUIの動作モード切替トグルボタン301を介してユーザからの検品モードへの切り替え動を受け付ける。
【0053】
次にS1302に進み、印刷制御装置101はUIの印刷ボタン303を介してユーザからの印刷開始指示を受け取ると、ジョブリスト302で選択されているジョブを印刷対象として印刷を開始する。ジョブのデータは図12で説明した基準画像を登録する際に使用するデータと同じである。さらに印刷制御装置101はS1301で受け付けた動作モードおよび印刷を開始したジョブのジョブIDを検査制御装置113へと通知する。動作モードとして「検品モード」を受け取った検査制御装置113はこれ以降受けとった動作モード即ち検品モードで動作する。また印刷制御装置101は、このとき使用する仮想プリンタとして動作モードに応じた仮想プリンタを選択する。選択されるのは検品印刷用仮想プリンタ106である。印刷ジョブは、検品印刷用仮想プリンタ106の設定に従って実行される。なおステップS1302では図12と同様、図8の処理を実行してよい。
【0054】
次S1303へ進み、S1302で開始されたジョブの全てのシートの処理が終わるまでS1304からS1310を繰り返す。
【0055】
S1304で画像形成部108は印刷用紙に対して印刷ジョブの画像を印刷用紙に印刷する。
【0056】
次にS1305で画像読み取り部109はS1304で印刷されたシートをスキャンし、検品制御装置113へと送信する。
【0057】
S1306では検査制御装置113はS1301で指定された検品モードで動作しているので、受け取った画像と基準画像管理部114に登録された基準画像とを比較する。この基準画像は、本フローの開始前に予め図12で示すフローで保存されているものとする。この比較の動作では、まず、画像の特徴的な点を位置合わせの基準点として使用して、基準画像と検査対象のスキャン画像の画像位置を合わせる。次に、検査対象のスキャン画像において、用紙の四隅とスキャン画像の位置合わせ基準点とを解析して用紙に対する画像の位置ずれがないか検出する。次に、基準画像と検査対象のスキャン画像の濃度値を画素ごとに比較する。なお複数ページの印刷物が検査対象の場合、さらに両面印刷の場合には、スキャンしたページに合わせて、対応する基準画像が選択される。
【0058】
以上の結果、欠陥が検出されなければ、検査結果OKとする。いずれかの検査項目に欠陥があれば検査不合格としてよい。たとえば上記例では、位置ずれが所定の閾値を超えているか、または、画素ごとの濃度値の差が所定の閾値を超えた画素数が所定数を超えている場合に、欠陥があると判定してよい。このほか、バーコードが含まれていればその品質評価を行ってもよい。バーコードの場合にはその領域を特定し、バーコードとして読み取れるか試みて成功すれば欠陥がないと判定してよい。もちろんこれら項目は一例であり、他の検査項目が含まれていてもよい。なお検品制御装置113に複数の基準画像が登録されている場合に、ジョブIDを参照して対応する基準画像を読み出すものとする。
【0059】
次にS1307では、S1306で判定した検査結果がOKであれば、S1309に進み、印刷ジョブで指定されたトレイへ排紙を指示する。そして、全てのシートの検査を終えるまでS1303~S1309を繰り返す。全てのシートの検査が終了したらS1310に進み、検品制御装置113は処理を終了する。
【0060】
S1307にて、検査結果がNGであれば、S1308に進む。S1308にて、検品制御装置113は不合格シート用のトレイ、たとえば大容量スタッカ112のトップトレイへの排紙を指示する。そしてS1310に進み、以降上述の検査結果OKの場合と同様に処理を終了することができる。
【0061】
なお図12図13とも最初のステップで動作モードの設定を行っているので、どのモードで動作するかはその後の工程で判断することができる。そこで、例えば図12のS1202とS1203との間に動作モードの判定を行い、基準画像登録モードであればS1203に分岐し、検品モードであれば図13のS1303に分岐するように構成してもよい。
【0062】
<仮想プリンタ>
本実施形態では動作モードに応じた処理を行うために仮想プリンタを使用する。仮想プリンタは、ジョブを送信すると、事前に設定した画像形成装置により、事前に設定したインライン後加工を含む印刷設定で印刷、後加工が行えるアプリケーションである。仮想プリンタで、断裁をオフに(即ち解除)してロックしておいた場合、断裁のオフの設定はジョブの設定で上書きされず断裁は実行されず所望の結果を得ることができる。なおロックとは、ここでは、仮想プリンタの設定を、その仮想プリンタで処理するジョブの設定に優先させるメタ設定である。すなわち、ロックされていない場合、ジョブに設定された設定が使用される。この時たとえばジョブに、仮想プリンタの設定を用いる旨の設定があれば、仮想プリンタの設定が用いられる。
【0063】
図14に、印刷制御装置101が、印刷設定を決定するための手順を示す。ジョブを受け付けた仮想プリンタは、ジョブの印刷設定と仮想プリンタ自身の印刷設定とから、図14の処理フローに従って出力する設定708を決定する。ここで仮想プリンタは、図1に示した基準画像登録用仮想プリンタ105または検品印刷用仮想プリンタ106であり、これらはその設定において相違しており使用するプリンタはともに画像形成装置107である。なお以下の説明では仮想プリンタを主体としているが、仮想プリンタは印刷制御装置101のプロセッサにより実行されて実現されるソフトウェアモジュールであり、ハードウェア状の実行主体は印刷制御装置101といってよい。
【0064】
図14のS1401で、仮想プリンタは送付されたジョブから印刷設定を取得し、S1402に進む。S1402からS1406の間で、仮想プリンタがジョブに設定された印刷設定の各設定項目に対して以下の処理フローで設定値を決定する。
【0065】
S1403で仮想プリンタは、処理対象の設定項目がロックされているか否かを判定する。判定は対応する仮想プリンタの設定値がロックされているか否かを参照して行い、ロックされている場合はS1405に、そうでなければS1404に進む。
【0066】
S1404では、仮想プリンタはジョブから取得した印刷設定に指定されている設定値を処理対象の設定項目の設定値とする。このとき、ジョブの印刷設定が、仮想プリンタの設定値を用いする指定であれば、仮想プリンタの設定を適用する。
【0067】
S1405では、仮想プリンタ702は仮想プリンタで指定されている設定値を処理対象の設定項目の設定値とする。
【0068】
S1406ですべての設定項目に対して処理が済んでいればフローを終了し、そうでなければS1402に戻り未処理の設定項目の設定値を決定する。この図14の手順で出力される設定値が、対象ジョブの印刷のための印刷設定となる。
【0069】
図7は仮想プリンタで設定をロックした場合とロックしない場合に、図14の手順に従って得られるジョブの設定値の例である。
【0070】
ジョブ700には設定が含まれ、画像形成装置107とインライン接続された各後加工部を使用するか否か(オンかオフか)と用紙のサイズなどの印刷設定情報701が、ジョブの属性(あるいは設定)としてジョブチケットに保持されている。ジョブ700は印刷データとジョブチケットから構成されジョブ管理部104が管理するフォルダ内のジョブIDフォルダに保存される。この例では、ジョブ700には、後加工部の設定として設定701のように無線綴、断裁がともにオン(すなわち設定)、サイズとしてA4が指定されている。
【0071】
仮想プリンタ702は後加工の設定をオフにしてロックした仮想プリンタ(無線綴_断裁_OFF_LLOCK)であり、ジョブと同様に設定703のように、後加工部の使用の有無(オンかオフか)の情報が仮想プリンタの属性として保持されている。ここでこれらの設定はロックされているため、ジョブの設定値と異なっていても、仮想プリンタの設定が優先させる。
【0072】
仮想プリンタ704は後加工の設定をオフにしてロックしない仮想プリンタ(無線綴_断裁_OFF)であり、仮想プリンタ706は後加工の設定をオンにしてロックしない仮想プリンタ(無線綴_断裁_ON)である。それぞれの設定値は設定705、設定707のようになっている。
【0073】
印刷制御装置101がジョブ700を送信すると、仮想プリンタ702、704、706からは、それぞれ設定708,709,710が出力される。すなわち、仮想プリンタ702を用いた場合に得られた設定708では、無線綴、断裁とも仮想プリンタの設定どおりである。仮想プリンタ704、706を用いた場合に得られた設定709、710では、無線綴、断裁とも印刷ジョブの設定どおりである。
【0074】
図7から、後加工がオンのジョブ700を入力として、後加工の設定がオフの設定をえるためには、後加工をオフにしてロックした仮想プリンタ702が必要であることが分かる。そこで、次に説明するように、基準画像登録用仮想プリンタ105と検品印刷用仮想プリンタ106を設定する。
【0075】
<仮想プリンタの設定>
検品印刷用仮想プリンタ106には、後加工を指定せず、ロックもしない設定とし、ジョブに設定された設定が使用されるようにする。表3に検品印刷用仮想プリンタ106の設定を示す。
【0076】
【表3】
【0077】
また、表4に基準画像登録用仮想プリンタ105の設定を示す
【0078】
【表4】
【0079】
仮想プリンタ105、106は、ユーザによる図3の仮想プリンタ生成ボタン304の押下(あるいはタッチ)を受けて、印刷設定の設定後に印刷制御装置101が生成する。仮想プリンタ生成ボタン304が押下されると、図4のUIが表示されて、そこで設定を行える。
【0080】
<仮想プリンタ設定UI>
図4に仮想プリンタ設定UIの例を示す。メイン画面400は仮想プリンタ設定UIのメイン画面である。仮想プリンタ名入力部401はユーザが付与する名称を入力するための入力欄である。設定ボタン402にタッチすることで、仮想プリンタ名入力部に入力された名前および各設定で仮想プリンタを作成、設定され、登録される。
【0081】
仮想プリンタ設定UI400には、後加工名と使用の有無を指定するチェックマーク(使用チェック)と、当該設定のロックの有無を示すチェックマーク(ロックチェック)が表示される。使用チェックをオフ、ロックチェックをオンにすることによって、対応する後加工をオフにすることができる。本実施形態では、仮想プリンタ名「基準画像登録用」を仮想プリンタ名入力部401に表示し、後工程の使用チェック(403、405)をオフ、ロックチェック(404、406)をオンに設定する。
ユーザにより設定ボタン402が押下されると、印刷制御装置101は、仮想プリンタ設定UI400の設定を、仮想プリンタの設定の対応する値に反映させる。
【0082】
なおここでは動作モードと仮想プリンタとの紐づけをその名称で行うものとしたので、検品モードについても、予め予約した名称、たとえば「検品印刷用」などの名称が与えられる。この名称により検品モードと検品印刷用仮想プリンタとが紐づけられる。しかしながら、図4のUIに、さらに紐づける動作モードの指定欄を、たとえばチェックボックスやラジオボタンなどにより設けてもよい。この場合には、仮想プリンタの名称に無関係に、指定された動作モードに仮想プリンタを関連付けることができる。
【0083】
<本実施形態の効果>
以上説明した本実施形態によれば、動作モードを指定して印刷ジョブを実行することで、基準画像の登録時と製品の印刷時とで、手動で印刷ジョブの設定を変更する必要がなくなる。このため、生産性を向上させるとともに、検品時の印刷画像に対応する基準画像を登録することでき、検品の精度の向上に寄与する。
【0084】
[実施形態2]
実施形態1では、基準画像登録モードでは全ての後加工をオフにして登録処理を行っている。しかしながら、これでは検品印刷を行うときになるまで後加工の設定が正しいかどうか分からない。そこで本実施形態では、基準画像の登録時に、後加工を行わない設定の基準画像と、後加工を行う設定の基準画像とを登録する。こうすることで、本実施形態では、基準画像の登録と合わせて後加工の確認も行うことができる。本実施形態では、実施形態1との相違点に着目して説明する。
【0085】
本実施形態では、印刷と後加工部(無線綴部、断裁部)による工程で製造される印刷製品(アルバム)を例に、図3の1部後加工有りボタン307を使用して複数部のうち1部(冊子)だけ後加工を行って後加工の設定を確認する構成を説明する。
【0086】
本実施形態では、基準画像登録モードで1部だけ後加工を行えるようにする。そのために、ユーザが印刷制御装置101のUI300(図3)のジョブリスト302でジョブを選択し、1部後加工有りボタン307を押下するのを受けて印刷制御装置101が図6の画面600を表示する。
【0087】
画面700において、位置指定部601は、1部後加工する部(冊子)の位置の指定をするための入力部である。位置指定部601の最後の部、最初の部を選択すると、それぞれ最後の部、最初の部が後加工の対象になる。順序指定部602は位置指定部601で任意の部が指定された場合に何部目を後加工の対象にするかを指定するための入力部である。部数入力部603は基準画像を作成する時に、印刷が何回必要かを入力する部数入力部である。設定ボタン604は、1部後加工設定を確定するためのボタンである。
【0088】
ユーザにより、部数10、部指定3で、設定ボタンが押下された場合、下記の表5のように、1部後加工設定の値が画面600から印刷制御装置101に取り込まれる。本実施形態では、後加工位置に0が指定された場合には、実施形態1同様に基準画像登録モードではすべての後加工をオフにするものとする。
【0089】
【表5】
【0090】
<基準画像登録の処理>
図9は、ユーザが1部後加工位置を指定する場合の動作フローチャートである。この手順は印刷制御装置101により実行されるが、印刷及び検品処理は画像形成装置107により行われる。なお図9の開始時には動作モードは、1部加工指定を含めて指定済みであるものとする。
【0091】
S900で印刷制御装置101は印刷ボタン303の操作によるユーザの印刷開始指示を受け付ける。ジョブリスト302で選択されているジョブを処理対象とする。
【0092】
S901で印刷制御装置101は動作モード切替トグルボタン301で指定され変数MotionModeに設定された値を読み出し、基準画像登録モードであるかどうかを判定し、基準画像登録モードであればS903へ、そうでなければS902へと進む。
【0093】
S902で印刷制御装置101は図8のS802同様に検品処理用の仮想プリンタを選択してS900で決めた処理対象ジョブの印刷を開始し、S904へと進む。S904で印刷制御装置101は図13のS1303~S1310で示す検品処理を実施する。
【0094】
S903で印刷制御装置101は1部後加工設定の後加工位置の値を読み出し、0であれば一部後加工せずに全て後加工無しの処理をするものと判断してS905へ、後加工位置の値が0で無い場合はS906へと進む。
【0095】
S905で印刷制御装置101は図8のS803に同様に基準画像登録用の仮想プリンタを選択してS900で決めた処理対象ジョブの印刷を開始し、S907へ進む。S907で印刷制御装置101は図12のS1203~S1207で示される基準画像登録処理を実施する。
【0096】
S906で印刷制御装置101はジョブを部ごとに分割して処理を実施するために、カウンタIを1にリセットし、S908へと進む。S908で印刷制御装置101は1部後加工設定の後加工位置の値とカウンタIの値を比較し、不一致であればS909へ、一致していればS910へ進む。
【0097】
S909はS905と同様で、印刷制御装置101は基準画像登録用の仮想プリンタを選択してS900で決めた処理対象ジョブの印刷を開始し、S911へ進む。
【0098】
S910はS902と同様に印刷制御装置101は検品処理用の仮想プリンタを選択してS900で決めた処理対象ジョブの印刷を開始し、S911に進む。
【0099】
S911ではS907と同様に印刷制御装置101は基準画像登録処理を実施する。S912で印刷制御装置101はカウンタIの値と、1部後加工設定の部数の値を比較し、Iの値と等しければ処理を終了し、そうでなければカウンタIの値を1増やし、S908へと戻る。
【0100】
以上の構成及び手順により、基準画像の登録時に、後加工なしの画像と後加工済みの画像とを登録し、出力することができる。さらに、基準画像登録時に後加工する部を最小限にして、後加工された最終結果を確認できる。
【0101】
[実施形態3]
本実施形態では、加工部として箔押部、断裁部による工程で製造される印刷製品(箔押チラシ)を対象とする例を説明する。
【0102】
実施形態1では、基準画像登録モードの仮想プリンタとして全ての後加工を設定なしでロックしたものを使用した。使用する後加工が全て画像読取部109による画像取得後に行われる場合はこれで問題ない。しかしながら、画像読取前に実施される後加工を設定せずにロックすると、基準画像と検品画像(検品時に取得する画像)が一致しなくなるという問題がある。
【0103】
前記課題について図を参照して説明する。図11では、画像形成後のシートに対してまず箔押しの後加工が施され、その後画像読取部109で読み取られ、最後に断裁の後加工が行われる。設定1100は基準画像登録用仮想プリンの後加工の設定値であり全ての後加工がオフである。設定1101は箔押がオンになっており、箔押の処理が可能である。
【0104】
これらの仮想プリンタの印刷結果を、設定1102の検品印刷用仮想プリンタの印刷結果と比較すると、設定1100の仮想プリンタでは画像読取前に実施されるため箔押しの結果が反映されない。これに対して、設定1101であれば箔押しが反映され、箔押しが施された画像が画像読取部109により取得される。
【0105】
また、ステープルやパンチの位置によっては、画像の回転が発生する場合がある。たとえば、ステープルやパンチの機構が固定的に設けられており、そのための機構の位置を合わせてシートの方を移動させる必要があることがある。その場合もステープル、パンチの後加工を設定なしでロックした仮想プリンタを使うと画像向きが変わり基準画像と検品画像が一致しなくなる場合がある。すなわち、画像読取部109の下流にありながら、基準画像に影響を及ぼすような後加工があり得る。
【0106】
そこで本実施形態では、後加工の実行順の情報から、基準画像登録時にオフにする後加工とオフにしない後加工を分類し分類に応じて設定した仮想プリンタを生成する。本実施形態では画像読取部109の通過前の後加工を読取前後加工、通過後の後加工を読取後後加工と呼ぶ。読取前後加、読取後後加工はそれぞれオフにしない後加工、オフにする後加工に対応する。なお前述したステープルなどのように、加工自体は画像読取部109の通過後に実施されるものであっても、そのたとえばシートの回転のように、本番印刷時に形成される画像との相違をもたらす準備処理が必要な後処理がある。その準備処理が画像読取部109の通過前に実施されるならば、それは読取前後加工とする。
【0107】
<基準画像登録の処理>
図10に商材(あるいは製品)の取得と仮想プリンタの決定の方法の例を示す。ジョブチケット1000はジョブチケットの例であり、項目ProductIDが商材の種類(アルバム)を示している。印刷制御装置101は、ジョブチケット1000から項目ProductIDの値「アルバム」を得る。印刷制御装置101は、表6の仮想プリンタテーブル1001から項目「商材名」の値が「アルバム」である行を探し、その行の項目「仮想プリンタ名」の値「無線綴_断裁_OFF」を得る。印刷制御装置101は、商材「アルバム」の基準画像の登録に仮想プリンタ「無線綴_断裁_OFF」1002を使用する。またPriductIDが箔押チラシであれば、基準画像の登録のために仮想プリンタ「断裁_OFF」が使用される。
【0108】
表6は印刷制御装置101が保存している仮想プリンタテーブル1001の例を示す。仮想プリンタテーブルは商材名と仮想プリンタ名とを紐づけた組を保存するテーブルである。
【0109】
【表6】
【0110】
表6の例では、仮想プリンタ「無線綴_断裁_OFF」は、無線綴じと断裁の設定がともにオフかつロックに設定されている。仮想プリンタ「断裁_OFF」は、断裁の設定がオフかつロックに設定されている。仮想プリンタ「中綴_断裁_OFF」は、中綴じと断裁の設定がともにオフかつロックに設定されている。したがって例えば仮想プリンタ「断裁_OFF」を用いて、後加工として箔押しが設定された製品「箔押チラシ」のジョブを実行すると、箔押しは実行されることになる。
【0111】
<仮想プリンタの生成>
印刷制御装置101は、起動時に検品印刷用仮想プリンタ106を検品用という名前で生成する。この時、検品印刷用仮想プリンタには後加工を指定せず、ロックもしない設定とし、ジョブに設定された設定が使用されるようにする。
【0112】
図5に商材名と仮想プリンタを関連付ける仮想プリンタテーブルを作成するために印刷制御装置101が表示するUIを示す。
【0113】
UI画面500は商材と仮想プリンタを関連付けるUIの画面である。商品名入力部501は関連付ける商材名の入力部である。仮想プリンタ名入力部502は関連付ける仮想プリンタの名前の入力部である。ユーザは予め図4に示す仮想プリンタ作成UIを利用して商材に応じて適切な後加工が実施される設定の仮想プリンタを作成しておく。仮想プリンタテーブル表示部503は仮想プリンタテーブルの内容を表示する表示部である。登録ボタン504は商材と仮想プリンタの対応を登録するためのボタンである。
【0114】
ユーザが商材名入力部501に「アルバム」、仮想プリンタ名入力部502に「無線綴_断裁_OFF」を入力し、さらに登録ボタン504を押すと、仮想プリンタテーブルに商材名501、仮想プリンタ名502の値の組が追加される。そしてそれらは印刷制御装置101に保存される。
【0115】
図15に印刷制御装置101が仮想プリンタテーブルを利用して印刷開始時(S1202もしくはS1302)の処理で使用する仮想プリンタを選択する処理フローを示す。
【0116】
S1501で印刷制御装置101はジョブ管理部104に保存されている印刷対象ジョブのジョブ情報から商材名の項目を取得する。
【0117】
S1502で印刷制御装置101は仮想プリンタテーブルを参照してS1501で取得した商材名に対応する仮想プリンタ名を取得する。
【0118】
S1503で印刷制御装置101はS1502で取得した仮想プリンタ名を持つ仮想プリンタを選択してジョブの印刷を開始する。
【0119】
なお図15の手順は、基準画像登録モードでの処理であり、たとえば図12のS1202において、基準画像登録モードであれば図8の手順に代えて実行されてよい。基準画像登録モードでなければ、検品印刷用仮想プリンタ106を用いて印刷ジョブを実行してよい。
【0120】
ここで、たとえば箔押しが画像読取部109の上流にあるとする。箔押しチラシに対応する仮想プリンタ「裁断_OFF」を用いると、裁断に関してはオフかつロックが設定されており、箔押しに関してはロックされていないとする。この場合、箔押しは後加工として実行されることになるので、箔押し加工後のシートが基準画像として読み取られ、検品時にも箔押し後のシートが検品対象として読み取られる。このため検品のタイミングに起因した箔押しの有無により不合格となることを防止できる。これはたとえば、ステープルのためのシートの回転などにも適用でき。この場合にはステープル設定をロックしておかなければよい。
【0121】
本実施形態により、基準画像の登録のための仮想プリンタを1つに限定せず、ジョブに関連付けられた例えば製品の種類などの情報に紐付けた仮想プリンタを使用できる。これにより、製品の種類ごとに異なる後加工部の構成を反映した基準画像登録用の仮想プリンタの設定が自動で行え、手動による設定ミスを減らすことができる。
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路例えば、ASICによっても実現可能である。
【0122】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0123】
102 判断部、103 制御部、104 ジョブ管理部、108 画像形成部、109 画像読取部、114 基準画像管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15