IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社コマロックの特許一覧 ▶ イーグルクランプ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-フック装置 図1
  • 特開-フック装置 図2
  • 特開-フック装置 図3
  • 特開-フック装置 図4
  • 特開-フック装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187836
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】フック装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/34 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
B66C1/34 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096037
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】517242555
【氏名又は名称】株式会社コマロック
(71)【出願人】
【識別番号】390030328
【氏名又は名称】イーグルクランプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085589
【弁理士】
【氏名又は名称】▲桑▼原 史生
(72)【発明者】
【氏名】前薗 栄作
(72)【発明者】
【氏名】川島 利広
(72)【発明者】
【氏名】中山 太一
(72)【発明者】
【氏名】若狭 俊生
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AF06
3F004AG01
3F004CD09
3F004DA04
(57)【要約】
【課題】二重ロック機構を有する安全性の高いフック装置を提供する。
【解決手段】吊環16を有する本体11と、本体に回転可能に連結されたフック12と、本体に回転可能に連結されてフック係止位置(実線)とフック開放位置(仮想線)を取るロックアーム13と、ロックアームをフック係止位置からフック開放位置へと移動させるためのロックアーム操作ワイヤー20と、ロックアームに装着されてロックアームをフック係止位置に強制的に保持するストッパープレート24と、ストッパープレートをロックアームから取り外すためのストッパー操作ワイヤー24とを有するフック装置10である。ストッパープレートがロックアームに装着されている限り、ロックアーム操作ワイヤーが引っ張られてもロックアームはフック係止位置に保持されるので、フック12が不慮に開いてワークが落下する事故を防止することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に吊環を有する本体と、本体の下端部に回転可能に連結されたフックと、その自重によりフックの先端を係止してフックを閉じた状態に維持するフック係止位置に止まると共にロックアーム操作手段によりフック係止位置からフック開放位置へと移動可能なように本体に回転可能に連結されたロックアームと、フック係止位置にあるロックアームに装着されたときにロックアームをフック係止位置に強制的に保持するように働くストッパーと、ストッパーをロックアームから取り外すためのストッパー操作手段と、を有してなることを特徴とするフック装置。
【請求項2】
前記ロックアーム操作手段がロックアームの一端に係止されたロックアーム操作ワイヤーであり、前記ストッパー操作手段がロックアームの他端に形成される空間部に挿入可能なストッパー手段に係止されたストッパー操作ワイヤーであることを特徴とする、請求項1記載のフック装置。
【請求項3】
前記ロックアーム操作ワイヤーと前記ストッパー操作ワイヤーがいずれも遠隔操作可能であることを特徴とする、請求項2記載のフック装置。
【請求項4】
前記ロックアーム操作ワイヤーと前記ストッパー操作ワイヤーが異なる色に塗色されることを特徴とする、請求項2または3記載のフック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンの運転席などの離れた場所から玉掛けワイヤーを取り外す作業を行うことができると共に、吊り上げ作業中にフックが外れることを確実に防止する二重ロック機構が設けられたフック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の港湾工事や河川工事において好適に使用されるフック装置として、本出願人2社は、共同して、特許文献1に記載されるようなフックを開発した。このフック装置は、その自重でロック位置に止まるロックアームによって閉じた状態に維持されるフックを介して、玉掛けされた根固ブロック(消波根固ブロックとも呼ばれる)などのワークをクレーンで吊り上げ、これを港湾や河川の所定場所に吊り下した後に、クレーンの運転席などの離れた場所から操作ワイヤーを引くことにより、フックが自重で自動的にロック解除されて玉掛けワイヤーを外すことができるので、作業者がブロックに乗って手作業で行う必要がなく、安全且つ円滑に作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-023122
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このフック装置においては、その自重でフック係止位置に止まるロックアームによってフックが閉止状態に保持されるにすぎず、吊り上げ作業中に、操作ワイヤーが外部の構造体などに引っ掛かって操作ワイヤーを引く方向の力が作用すると、ロックアームがフック係止位置からフック開放位置へと移動してフックが外れ、玉掛けワイヤーと共にワークが落下して大事故につながる危険性があった。
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、上記問題を解決し、吊り下ろし後のワークからフックを取り外す作業を遠隔操作により安全に行うことができるように構成されたフック装置において、フックが自重でフック係止位置に止まるだけでなく、さらにフック係止位置を強制的に保持するための付加的なロック機構を設けて、吊り上げ作業中にフックが不慮に外れてワークが落下する危険性を未然に防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するため、請求項1に係る本発明は、上端部に吊環を有する本体と、本体の下端部に回転可能に連結されたフックと、その自重によりフックの先端を係止してフックを閉じた状態に維持するフック係止位置に止まると共にロックアーム操作手段によりフック係止位置からフック開放位置へと移動可能なように本体に回転可能に連結されたロックアームと、フック係止位置にあるロックアームに装着されたときにロックアームをフック係止位置に強制的に保持するように働くストッパーと、ストッパーをロックアームから取り外すためのストッパー操作手段と、を有してなることを特徴とするフック装置である。
【0007】
請求項2に係る本発明は、請求項1記載のフック装置において、ロックアーム操作手段がロックアームの一端に係止されたロックアーム操作ワイヤーであり、ストッパー操作手段がロックアームの他端に形成される空間部に挿入可能なストッパー手段に係止されたストッパー操作ワイヤーであることを特徴とすることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る本発明は、請求項2記載のフック装置において、ロックアーム操作ワイヤーとストッパー操作ワイヤーがいずれも遠隔操作可能であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る本発明は、請求項2または3記載のフック装置において、ロックアーム操作ワイヤーとストッパー操作ワイヤーが異なる色に塗色されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る本発明によれば、フック係止位置にあるロックアームに装着されたときにロックアームをフック係止位置に強制的に保持するように働くストッパーが設けられているので、このフック装置を用いて吊り上げ作業を行っているときに、ロックアーム操作手段が外部の構造体などに引っ掛かって引く方向の力が作用した場合であっても、ロックアームはフック係止位置に強制的に保持されて、フックが閉止状態に維持される。したがって、吊り上げ作業中にフックが不慮に外れてワークが落下する危険性を未然に防止することができる。
【0011】
本発明によるフック装置によれば、自重によりフック係止位置に移動しようとするロックアームと、ロックアームに装着されることによりこのフック係止位置を強制的に保持するストッパーとで、フックを閉止状態に維持するための二重のロック機構が働くことになる。閉止状態にあるフックを開放するためには、ストッパー操作手段(ワイヤー)を引いてストッパーをロックアームから取り外し、さらに、ロックアーム操作手段(ワイヤー)を引いてロックアームをフック係止位置からフック開放位置へと移動させる必要があり、別個に設けられる操作手段を所定の順序で別々に操作しない限り、フックが外れることがない。このような操作が、作業者による人為的操作以外で不慮に実行されることは実際問題としてほとんど考えられないので、きわめて安全性の高いフック装置として有用性が大きい。
【0012】
さらに、請求項2に係る本発明によれば、ロックアーム操作手段(ワイヤー)がロックアームの一端に係止され、ストッパー操作手段(ワイヤー)がロックアームの他端近くに挿入されたストッパー手段に係止されるので、これらの操作手段(ワイヤー)の各一端は、ロックアームの軸方向長さにほぼ等しい距離だけ離れた位置に係止されることになる。したがって、これらの操作手段(ワイヤー)が両方とも外部の構造体などに引っ掛かることはほとんどあり得ず、より安全性の高いフック装置となる。
【0013】
さらに、請求項3に係る本発明によれば、ロックアーム操作手段(ワイヤー)とストッパー操作手段(ワイヤー)がいずれも遠隔操作可能であるので、クレーン運転席などの離れた場所から作業者がこれらの操作手段を操作することができ、作業者が水面上のブロックなどに乗って手作業で行う必要がなくなり、安全且つ円滑に作業を行うことができる。
【0014】
さらに、請求項4に係る本発明によれば、ロックアーム操作手段(ワイヤー)とストッパー操作手段(ワイヤー)が異なる色に塗色されているので、誤操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態によるフックでワーク(図示せず)を吊り上げているときの使用状態をクレーンフックおよび玉掛けワイヤーを含めて全体的に示す側面図である。この使用状態において、ロックアームはストッパーによりフック係止状態に確実に保持されており、したがってフックはその先端がロックアームに係止されることにより閉じた状態にロックされている。
図2図1におけるフックおよびその関連部材を拡大して示す拡大側面図である。
図3図2の要部をさらに拡大して示す拡大側面図である。
図4】操作ワイヤー(ロックアーム操作手段)によってロックアームが引かれることによりロックアームがフック係止位置からフック開放位置へと移動し、これによりフックが自重で開いた状態を示す拡大側面図である。
図5図4の要部を更に拡大して示す拡大側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の一実施形態によるフックの構成および作用について、図1ないし図3を参照して詳細に説明する。
【0017】
このフック装置10は、前記従来技術によるフック装置と略同様に、本体11と、フック12と、ロックアーム13とを有する。
【0018】
本体11の上端には、チェーンスリングなどの吊材14を介してクレーンフック15に連結される吊環16が形成されている。本体11は概ね上下方向に細長い板状部材であるが、その中間部が一方向に突出して突出部27(図3)を形成している。突出部27は、後述するストッパープレート23がロックアーム13に装着されたときに、後述する基端側スペーサー21bと協働して、ロックアーム13を強制的にフック係止状態に保持する役割を果たす。
【0019】
フック12は、本体11の下端部にフックピン17により回転可能に連結されており、その自重により下方に垂れ下がった開放状態(図4図5)と、後述するようにその先端がロックアーム13によって係止された閉止状態(図1図3)とを取り得る。
【0020】
ロックアーム13は、その基端部が本体11の略中央部にロックアームピン18により回転可能に連結されており、その自重により下方(図において時計方向)に回転しようとするので、フック12の先端を係止してフック12を閉止状態に維持することができるが、先端の係止穴19に係止したロックアーム操作ワイヤー20を引っ張ることによってロックアーム13は上方(図において反時計方向)に回転して、フック12先端に対する係止が解除されるので、フック12の閉止状態を解除して開放状態へと移行させることができる。
【0021】
この実施形態において、ロックアーム13は、本体11を挟んで両側に平行に一対の細長板状部材をスペーサー21a,21bで連結することにより形成され、該一対の細長板状部材の間および本体11と先端側スペーサー21aとの間にフック12の先端を挟み込んで係止するように構成されている。係止穴19を有するロックアーム先端部22は先端側スペーサー21aの外面に固着されている。
【0022】
このフック装置10は、さらに、ロックアーム13がフック係止位置にある状態で、ロックアーム13を構成する一対の細長板状部材の間および本体突出部27と基端側スペーサー21bとの間の空間部分に装着可能なストッパープレート23と、ロックアーム13に装着されているストッパープレート23を取り外すためにストッパープレート23に連結されたストッパー操作ワイヤー24とを備えている。ストッパープレート23がロックアーム13に装着されているときは、フック係止位置にあるロックアーム13に対してロックアーム操作ワイヤー20を引く操作が行われたときであっても、ロックアーム13の本体突出部27とストッパープレート23とが干渉することによってロックアーム13は回転できず、ロックアーム13はフック係止位置にロックされ、フック開放位置への移動が強制的に阻止されるので、フック12が開いてワークが落下する事故を未然に防止することができる。
【0023】
この実施形態において、ロックアーム操作ワイヤー20とストッパー操作ワイヤー24は、いずれも、クレーンフック15に吊下したシャックル25を通って、地上の作業者によって操作可能な位置まで延長している。作業者による操作ミスを排除するために、これらの操作ワイヤーは明りょうに区別できるような色が施されており、たとえば、ロックアーム操作ワイヤー20は白色に、ストッパー操作ワイヤー24は赤色に塗色されている。さらに、作業者が手に持つ箇所の近くにおいて、ロックアーム操作ワイヤー20に「ロックアーム」、ストッパー操作ワイヤー24に「ストッパー」などの文字を表示したプレートなどを取り付けて誤操作を防止するように配慮することが好ましい。
【0024】
このフック装置10を用いて消波ブロックや根固めブロックなどのワーク(図示せず)を吊り上げようとするときは、ワークに掛け回した玉掛けワイヤー26を係止したフック12を閉止状態にして、吊環16に連結した吊材14をクレーンフック15に引掛けてクレーン操作することによって行う(図1)。このとき、フック12の先端は、自重で下方(図において時計方向)に回転してフック係止位置に止まるロックアーム13に係止されており、且つ、ロックアーム13の基端部に装着されているストッパープレート23がロックアーム13のフック係止位置からフック開放位置への回転を阻止しているので、フック12は閉止状態にロックされる。図1図3の状態でワークを吊り上げているときに、万一ロックアーム操作ワイヤー20が外部構造物などに引っ掛かってロックアーム13を引こうとする外力が作用した場合であっても、ストパーブレード13がロックアーム13の回転を強制的に阻止するので、ロックアーム13はフック係止位置に確実にロックされ、フック12が不慮に開いてワークが落下する事故を未然に防止することができる。
【0025】
このフック装置10を用いて吊り上げたワークを港湾や河川の所定場所に設置した後に玉掛けワイヤー26を取り外す作業は、クレーン運転席などからの作業者による遠隔操作で行うことができる。すなわち、作業者は、最初にストッパー操作ワイヤー24を引っ張ることによりストッパー23をロックアーム13から外した後に、ロックアーム操作ワイヤー20を引っ張ることによりロックアーム13をフック係止位置(図1図3)からフック開放位置(図2仮想線)へと回転移動させる。フック12を係止していたロックアーム13がフック開放位置に移動してフック12に対する係止が解除されることにより、フック12はその自重で図において時計方向に回転して、開放状態(図4図5)に移動するので、玉掛けワイヤー26が自動的に外れる。したがって、従来のように作業者が水面上のブロックに乗って玉掛けワイヤーを取り外す作業を行う必要がなくなり、遠隔操作により安全且つ確実に玉掛けワイヤー26を取り外すことができる。
【0026】
以上に本発明によるフック装置について図示実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において多種多様に変形ないし変更して実施可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 フック装置
11 本体
12 フック
13 ロックアーム
14 吊材
15 クレーンフック
16 吊環
17 フックピン
18 ロックアームピン
19 係止穴
20 ロックアーム操作ワイヤー
21a,21b スペーサー
22 ロックアーム先端部
23 ストッパープレート
24 ストッパー操作ワイヤー
25 シャックル
26 玉掛けワイヤー
27 本体突出部
図1
図2
図3
図4
図5