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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187843
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】建築物壁面変状解析装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/16 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
G01B11/16 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096046
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516092131
【氏名又は名称】三菱地所プロパティマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】今津 智成
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】谷村 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】坂野 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 純司
(72)【発明者】
【氏名】日野 永
(72)【発明者】
【氏名】宮 ▲祥▼二
(72)【発明者】
【氏名】菊地 博之
(72)【発明者】
【氏名】井関 悦弘
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA65
2F065CC14
2F065FF01
2F065FF02
2F065FF09
2F065FF42
2F065FF66
2F065FF67
2F065GG04
2F065GG21
2F065HH05
2F065HH13
2F065JJ03
2F065JJ08
2F065JJ26
2F065MM07
2F065PP02
(57)【要約】
【課題】壁面特性が異なる領域があったとしても、壁面の変状箇所を抽出することができる建築物壁面変状解析装置を得ること。
【解決手段】ゴンドラに搭載された建築物壁面変状計測装置2からライン状のレーザ光を建築物の壁面へ投光して得られる輝線をレーザ光に対し角度を持った方向から撮像した撮像データと、撮像日時と、ゴンドラの位置の推定値を示す位置情報とを含む計測情報を受信する受信部31と、受信した計測情報を記憶する受信情報記憶部32と、計測情報から、基準データと評価対象データを抽出し、位置情報に基づいて、評価対象データに対応する基準データを選択するデータ抽出部33と、評価対象データと当該評価対象データに対応する基準データとを比較し、比較結果を用いて変状箇所を抽出する比較処理部34と、抽出された変状箇所を出力する出力部37と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の壁面に沿って移動可能なゴンドラに搭載された計測装置からライン状のレーザ光を壁面へ投光することにより得られる輝線を前記レーザ光の投光方向に対して角度を持った方向から前記計測装置が撮像することにより得られた撮像データと、当該撮像データに対応する撮像日時と、当該撮像データに対応する撮像が行われたときの前記ゴンドラの位置の推定値を示す位置情報とを含む計測情報を、受信する受信部と、
受信した前記計測情報を記憶する受信情報記憶部と、
前記受信情報記憶部に記憶されている前記計測情報から、評価対象の前記撮像データである評価対象データと基準となる前記撮像データである基準データとを抽出し、抽出した前記基準データと前記評価対象データとにそれぞれ対応する前記位置情報に基づいて、前記評価対象データに対応する前記基準データを選択するデータ抽出部と、
前記評価対象データと当該評価対象データに対応する前記基準データとを比較し、比較結果を用いて変状箇所を抽出する比較処理部と、
前記比較処理部により抽出された前記変状箇所を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする建築物壁面変状解析装置。
【請求項2】
前記評価対象データとして指定される前記撮像データの撮像日時を示す情報と、前記基準データとして指定される前記撮像データの撮像日時を示す情報との入力を受け付け、受け付けた入力に基づいて、前記評価対象データおよび前記基準データのそれぞれの撮像日時を前記データ抽出部へ指示する指示部、
を備え、
前記データ抽出部は、前記指示部により指示された前記評価対象データの撮像日時に基づいて前記評価対象データを抽出し、前記指示部により指示された前記基準データの撮像日時に基づいて前記基準データを抽出することを特徴とする請求項1に記載の建築物壁面変状解析装置。
【請求項3】
前記評価対象データとして指定される前記撮像データの撮像日時を示す情報と、前記評価対象データに含まれる設備を示す設備情報との入力を受け付け、受け付けた入力に基づいて、前記評価対象データおよび前記基準データの撮像日時と、前記設備を示す情報とを前記データ抽出部へ指示する指示部、
を備え、
前記データ抽出部は、設備ごとの当該設備の前記壁面における配置位置を示す設計情報を保持し、前記指示部により指示された前記撮像日時および前記設備情報と前記設計情報とに基づいて前記評価対象データおよび前記基準データを抽出することを特徴とする請求項1に記載の建築物壁面変状解析装置。
【請求項4】
前記比較処理部は、前記評価対象データにおける座標値と、当該評価対象データにおける座標値との差を求め、前記差が閾値以上となる前記評価対象データに対応する前記位置情報を前記変状箇所として抽出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の建築物壁面変状解析装置。
【請求項5】
前記閾値は変更可能であることを特徴とする請求項4に記載の建築物壁面変状解析装置。
【請求項6】
前記比較処理部は、複数のモードのそれぞれに対応するモード閾値を保持し、前記複数のモードのうち指定されたモードに対応する前記モード閾値を選択し、選択した前記モード閾値を前記閾値として用いることを特徴とする請求項5に記載の建築物壁面変状解析装置。
【請求項7】
前記位置情報は、前記撮像データが撮像された際の前記ゴンドラの位置を示す位置情報を含み、前記位置情報は、前記壁面に沿って区分した区間であるレーンを示すレーン番号であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の建築物壁面変状解析装置。
【請求項8】
前記位置情報は、前記建築物を識別する建築物番号を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の建築物壁面変状解析装置。
【請求項9】
前記位置情報は、前記建築物の階層を示す情報を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の建築物壁面変状解析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、マンション、その他建築物の外壁の変状を解析する建築物壁面変状解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル、マンション、その他建築物のメンテナンスの一環として建築物の外壁面すなわち外壁の点検が行われている。例えば、特許文献1には、ライン状のレーザ光をビルの壁面に投光し、レーザ光が投光されたエリアを含む領域を、レーザ光に対して角度をつけて配置されたカメラで撮像し、撮像して得られた画像に壁面特性による凹凸をキャンセルする処理を施す技術が開示されている。特許文献1に記載の技術を用いることで、表示された画像を確認する作業者は、壁面特性の影響を受けることなく、クラック等の異常を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-56671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、壁面特性は、数値で入力されるか、または、予め正常と判定されている壁面の状態を計測した結果に基づいて近似される。例えば、壁面のうちクラック等が生成していないことが明らかな領域を計測した結果に基づいて壁面特性が決定される。一方、建築物の壁面は、一般に、全領域で同じ形状とは限らず、サッシの部分、タイルの部分といったように場所によって仕上材(または部材)が異なることなどにより壁面特性が異なる可能性がある。このため、壁面特性が互いに異なる領域が存在する場合には、特許文献1に記載の技術のように定められた壁面特性をキャンセルするだけでは、壁面特性の影響を受けて壁面の変状箇所がどうかを正しく判別することができず、変状箇所を抽出することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、壁面特性が異なる領域があったとしても、壁面の変状箇所を抽出することができる建築物壁面変状解析装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる建築物壁面変状解析装置は、建築物の壁面に沿って移動可能なゴンドラに搭載された計測装置からライン状のレーザ光を壁面へ投光することにより得られる輝線をレーザ光の投光方向に対して角度を持った方向から計測装置が撮像することにより得られた撮像データと、当該撮像データに対応する撮像日時と、当該撮像データに対応する撮像が行われたときのゴンドラの位置の推定値を示す位置情報とを含む計測情報を、受信する受信部、を備える。建築物壁面変状解析装置は、さらに、受信した計測情報を記憶する受信情報記憶部と、受信情報記憶部に記憶されている計測情報から、評価対象の撮像データである評価対象データと基準となる撮像データである基準データとを抽出し、抽出した基準データと評価対象データとにそれぞれ対応する位置情報に基づいて、評価対象データに対応する基準データを選択するデータ抽出部と、を備える。建築物壁面変状解析装置は、さらに、評価対象データと当該評価対象データに対応する基準データとを比較し、比較結果を用いて変状箇所を抽出する比較処理部と、比較処理部により抽出された変状箇所を出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、壁面特性が異なる領域があったとしても、壁面の変状箇所を抽出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態にかかる建築物壁面変状解析装置を有する建築物壁面変状解析システムの構成例を示す図
図2】建築物壁面変状計測装置と計測対象の壁面の一例を示す図
図3】ラインレーザ投光部および撮像部を説明するための図
図4】計測情報の一例を示す図
図5】データ抽出部、比較処理部および出力部における処理手順の一例を示すフローチャート
図6】設計情報の一例を示す図
図7】建築物壁面変状解析装置を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図
図8】壁面の一部の一例であるサッシを含む領域を示す図
図9】ボルトの側面を示す図
図10】タイルを含む領域を建築物壁面変状計測装置の撮像部が撮像して得られた画像の一例を模式的に示す図
図11】モードごとの閾値の一例を示す図
図12】出力部により表示される評価結果の一例を示す図
図13】建築物壁面変状解析システムの変形例を示す図
図14】建築物壁面変状解析装置による変状箇所の表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態にかかる建築物壁面変状解析装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態にかかる建築物壁面変状解析装置を有する建築物壁面変状解析システムの構成例を示す図である。図1に示すように、建築物壁面変状解析システム1は、建築物の壁面を計測する建築物壁面変状計測装置2と、建築物壁面変状計測装置2により計測された計測結果を用いて建築物の壁面の変状箇所を抽出する建築物壁面変状解析装置3とを備える。以降では、建築物の具体例として主としてビルを用いて説明するが、マンション、その他建築物の場合も同様である。
【0011】
建築物壁面変状計測装置2は、ラインレーザ投光部21、撮像部22、自己位置推定部23、計測情報記憶部24、入力部25および送信部26を備える。
【0012】
図2は、建築物壁面変状計測装置2と計測対象の壁面の一例を示す図である。図2に示すように、建築物壁面変状計測装置2は、ビル4に設置される常設ゴンドラであるゴンドラ5に搭載される。ゴンドラ5は、ビル4の壁面41に沿って移動可能である。ゴンドラ5は、台車6のクレーンからワイヤロープ7により吊り下げられる。ワイヤロープ7が図示しない巻上機から引き出されることにより、ゴンドラ5は下降し、ワイヤロープ7が図示しない巻上機により巻き取られることにより、ゴンドラ5は上昇する。なお、図2では、ゴンドラは2本のワイヤロープ7により吊り下げられているが、ワイヤロープ7の本数は2本に限定されない。台車6は、ビル4の屋上に設けられたレール8に沿って走行する。ゴンドラ5の水平位置は、台車6のビル4の屋上における水平位置に依存して変化する。
【0013】
ビル4の壁面41は、ゴンドラ5の水平方向の位置に応じた複数のレーンL,・・・,L,Lp+1,・・・,L,・・・に区分されている。レーンは、壁面41に沿って水平方向に区分した区間である。L,・・・,L,Lp+1,・・・,L,・・・は、レーンを識別するためのレーン番号である。ここで、図2に示すように、XYZ座標系を、鉛直下向きをX方向とし、ゴンドラ5から、ゴンドラ5に対向している壁面41へ向かう方向をZ方向とする右手直交座標系として定義する。ビル4の+Z方向の壁面41、および+Y方向の壁面41についても、図2では図示されていないが、複数のレーンに区分されている。X軸の原点は例えば、屋上である。XYZ座標系は、ゴンドラ5と壁面41との関係により定義されているため、YXの方向は、ゴンドラ5の水平方向の位置によって変化する。図2では、紙面の手前側にゴンドラ5が存在するため、Z方向が図2に示した向きとなる。一方、ゴンドラ5が例えば、レーンLp+1に移動すると、Z方向は、当該ゴンドラ5の位置から壁面41へ向かう方向となるため、図2の左上に示したXYZ座標系におけるY方向となる。なお、図2は、模式的にビル4および各装置を示しているものであり、図2は、これらの実際の形状、大きさを示すものではない。
【0014】
建築物壁面変状計測装置2は、定期検査として、例えば、1年ごとといったように、定期的にビル4の壁面41を計測する。建築物壁面変状計測装置2による計測のタイミングはこの例に限定されない。
【0015】
図3は、本実施の形態のラインレーザ投光部21および撮像部22を説明するための図である。図3に示したXYZ座標系は、図2に示した例と同様である。ラインレーザ投光部21および撮像部22は、光切断センサと呼ばれるセンサである。図3に示すように、建築物壁面変状計測装置2のラインレーザ投光部21は、壁面41にライン状のレーザ光211を投光する。図3に示した例では、レーザ光211はY軸方向に延びるライン状である。レーザ光211は、例えば、可視光であるが可視光に限定されず赤外光などであってもよい。
【0016】
撮像部22は、ラインレーザ投光部21により投光されたエリアを含む領域を撮像し、撮像により得られる撮像データを生成する。すなわち、撮像部22は、ラインレーザ投光部21がライン状のレーザ光211を壁面へ投光することにより得られる輝線を撮像する。撮像部22は、レーザ光211の中心軸に対して、撮像方向が鉛直方向にθ度傾くように設置される。すなわち、図3に示した例では、ZX面内において、レーザ光211の中心軸と撮像部22の撮像方向とのなす角はθ度である。撮像部22は、レーザ光211の波長に感度を有するカメラなどのイメージセンサと、イメージセンサを制御する制御回路とで構成される。なお、撮像部22が備えるイメージセンサは、壁面41に投光されたレーザ光211すなわち輝線を含む領域を画像として撮像可能なものであればどのようなものであってもよい。
【0017】
なお、図3では、ラインレーザ投光部21および撮像部22が設置される架台などの図示を省略しているが、ラインレーザ投光部21および撮像部22は架台などに固定されて、ゴンドラ5に搭載される。したがって、ゴンドラ5が鉛直方向に下降すると、ゴンドラ5の下降に伴ってレーザ光211が投光される箇所は、鉛直方向に移動する。撮像部22は、ゴンドラ5の下降時に、例えば、一定周期で壁面41に投光されたレーザ光211を含む領域を撮像することにより、ゴンドラ5の鉛直方向の位置に応じた画像を順次撮像することができる。
【0018】
本実施の形態では、図2に示したように、ゴンドラ5の水平方向の位置がレーンを単位として移動することを利用して、撮像部22により撮像される画像を撮像したときのゴンドラ5の水平位置をレーン番号で表す。水平位置の別の例としては、屋上の平面内における基準位置(例えば、屋上の平面内における基準位置)からの水平面内における距離が挙げられる。基準位置からの距離、移動量は、例えば、屋上においてゴンドラ5の水平位置を動かす際のモータの回転数などから算出できる。以降では、水平位置の具体例として主としてレーン番号を用いて説明するが、水平位置はこれに限定されるものではない。なお、撮像部22により撮像される画像を撮像したときのゴンドラ5の水平位置が決まれば、ゴンドラ5内の撮像部22の位置に基づいて撮像部22の位置が決まる。さらに、撮像部22の位置が決まれば、撮像部22の画角、上述した角度θ、撮像部22のゴンドラ5内の位置などを用いて、撮像された領域の水平位置も決まる。このように、撮像部22により撮像される画像を撮像したときのゴンドラ5の位置は、撮像された画像の位置に対応している。後述するように、本実施の形態では、撮像部22により撮像された撮像データに基づいて変状の有無を判定するが、変状があると判定された撮像データが撮像されたときのゴンドラ5の位置がわかれば、作業者は、対応する壁面41の位置を把握することができる。なお、変状は、異常、時間的な変化、他の同じ設備の箇所との差異などを含む。
【0019】
本実施の形態では、ゴンドラ5に搭乗している作業者が、建築物壁面変状計測装置2の入力部25を用いてレーン番号を入力する。例えば、作業者は、レーンごとに、当該レーンにおける壁面41の計測を開始する前に、すなわちゴンドラ5を降下させる前にレーン番号を入力する。なお、レーン番号は、屋上の平面内における基準位置からの距離、移動量に基づいて自動的に算出されてもよい。また、作業者は、入力部25を操作することにより、鉛直方向におけるゴンドラ5の基準点をどことするかを示す情報を入力する。ゴンドラ5の基準点とは、ゴンドラ5の下降が開始される位置であり、例えば、屋上である。また、ゴンドラ5は屋上より下で地上までの間の中間点から下降を開始することも可能である。したがって、例えば、屋上を基準点#0とし、30階を基準点#1とするといったように、あらかじめ各基準点を番号により定義しておく。作業者は、基準点の番号を、ゴンドラ5の基準点をどことするかを示す情報として入力する。なお、基準点をどことするかを示す情報は、基準点の番号に限定されず、屋上からの距離などであってもよい。
【0020】
図1に示すように、自己位置推定部23は、水平位置推定部231および鉛直位置推定部232を備える。入力部25は、作業者から入力されたレーン番号を水平位置推定部231へ渡し、作業者から入力された基準点の番号を鉛直位置推定部232へ渡す。水平位置推定部231は、入力部25から受け取ったレーン番号に基づいて、撮像部22が撮像データを撮像した際のゴンドラ5の水平位置を推定する。具体的には、水平位置推定部231は、入力部25から受け取ったレーン番号を受け取ってから、次のレーン番号を受け取るまでは、撮像部22の撮像により得られた撮像データに対応する水平位置の推定値を、受け取ったレーン番号とする。水平位置推定部231は、水平位置の推定値、すなわちレーン番号を撮像部22へ渡す。水平位置推定部231は、水平位置の推定値のかわりに基準点からの移動量を撮像部22へ渡してもよい。
【0021】
鉛直位置推定部232は、基準点からの移動距離を算出し、移動距離と入力部25から受け取った基準点の番号とに基づいて、撮像部22が撮像データを撮像したときのゴンドラ5の鉛直位置を推定する。例えば、鉛直位置推定部232は、レーザドップラセンサを備え、レーザドップラセンサにより基準点からの移動距離を計測する。レーザドップラセンサは、物体にレーザ光を照射し、照射したレーザ光が物体で反射した光を受光し、受光した光と照射したレーザ光とを用いてドップラ周波数を求めることにより相対的な移動速度を算出し、移動速度に基づいて移動距離を算出する。なお、レーザドップラセンサの代わりにマイクロ波ドップラセンサなどが用いられてもよい。また、レーザドップラセンサなどを用いるかわりに、鉛直位置推定部232は、ワイヤロープ7の巻取り長さ、巻上機の回転数などから鉛直位置を推定してもよい。例えば、鉛直位置推定部232は、基準点を示す番号または基準点の鉛直位置と、移動距離とを、鉛直位置の推定値とする。または、基準点の鉛直位置に移動距離を加えることにより求めた位置を、鉛直位置の推定値としてもよい。鉛直位置推定部232は、鉛直位置の推定値を撮像部22へ渡す。鉛直位置推定部232は、鉛直位置の推定値のかわりに基準点からの移動量を撮像部22へ渡してもよい。
【0022】
撮像部22は、撮像により得られた撮像データを、撮像日時と対応付けるとともに、鉛直位置推定部232から、受け取った鉛直位置の推定値または移動量に基づいて、ゴンドラ5が鉛直方向に定められた値だけ移動するごとに、ビル4の壁面41を撮像する。すなわち、撮像部22は、ビル4の壁面41を鉛直方向に一定間隔で撮像する。撮像部22は、自己位置推定部23から受け取った水平位置の推定値と対応付けて、計測情報として計測情報記憶部24へ記憶する。撮像データは、上述したように、建築物壁面変状計測装置2からライン状のレーザ光を壁面41へ投光することにより得られる輝線を投光方向に対して角度を持った方向から建築物壁面変状計測装置2が撮像することにより得られる。図4は、本実施の形態の計測情報の一例を示す図である。図4に示すように、計測情報は、撮像データと、当該撮像データが撮像された撮像日時と、撮像データが撮像されたときのゴンドラ5の位置の推定値を示す情報(以下、位置情報という)とを含む。図4に示した例では、位置情報は、撮像データが撮像されたときのゴンドラ5の水平方向の位置を示す水平位置情報、を含む。図4に示した例では、水平位置情報は、水平位置を示すレーン番号である。なお、上述したように、ゴンドラ5が降下を開始する基準点は屋上とは限らないため、降下を開始した位置がわかるように基準点の鉛直位置を示す鉛直位置情報を位置情報に含めてもよい。位置情報に鉛直位置情報が含まれる場合、鉛直位置情報は、例えば、オフセット量である。オフセット量は、基準点を示す番号ごとの当該基準点の鉛直位置を示す。例えば、鉛直方向の位置の原点を屋上とすると、基準点#0(屋上)に対応するオフセット量は0であり、屋上以外の基準点に対応するオフセット量は当該基準点の屋上からの距離である。なお、計測情報に、オフセット量のかわりに基準点の番号を含めるようにしてもよい。この場合には、基準点の番号とオフセット量との対応を予め定めておき、当該対応を後述する建築物壁面変状解析装置3に記憶させておけばよい。
【0023】
以上のように、ビル4の壁面41に投光されたライン状のレーザ光を一定間隔で撮像することにより、光切断法のアルゴリズムを用いてビル4の壁面41を示す3次元座標値を得ることができる。また、撮像データには、各点の3次元座標値だけでなく輝度も含まれていてもよい。3次元座標値の算出方法は、一般的な光切断法と同様であるため、説明を省略する。また、輝度は、撮像部22が、ビル4の壁面41に投光されたライン状のレーザ光を撮像することにより得られるものであり、レーザ光が壁面41で反射された光の光量を示す。この輝度は、壁面41の各点の反射率を示すことになる。
【0024】
以下、撮像データは、このようにして得られた3次元座標値を含むものとする。また、撮像データの1画像とは、1レーン分の画像であってもよいし、各レーンの画像を繋ぎ合わせて得られるビル4全体の画像であってもよい。また、1つのレーンを鉛直方向に複数に分割したものを1画像としてもよい。撮像データは、1画像分のデータごとに、上述した位置情報と対応付けられている。また、建築物壁面変状解析システム1は、複数の異なるビル4の壁面41をそれぞれ計測して変状箇所を抽出することも可能である。このような場合、建築物壁面変状解析装置3は、複数のビル4のそれぞれに対応する撮像データを保持する。この場合、位置情報は、ビル4を識別する情報であってもよいし、ビル4を識別する情報とレーン番号などの水平位置情報を組み合わせたものであってもよいし、ビル4を識別する情報と鉛直位置情報とを組み合わされたものであってもよいし、ビル4を識別する情報と水平位置情報と鉛直位置情報とを組み合わされたものであってもよい。さらには、1レーン分の計測で得られた撮像データを20階、21階などの階層ごとに分割して、各レーン番号の階層ごとの画像を1画像として撮像データを保存してもよい。階層ごとに1画像とする場合には、例えば、1レーン分の画像の画素の位置がビル4の壁面の位置に対応していることを利用して、鉛直方向の位置が同じ画素の位置に応じて1画像が生成される。
【0025】
なお、計測情報は、図4に示す形式に限定されない。例えば、撮像データと位置情報との対応を示すインデックス情報と撮像データとをあわせて計測情報としてもよい。この場合、インデックス情報は、位置情報と撮像データのファイル名、または計測情報記憶部24内の撮像データが記憶されている領域のアドレスを示す情報とを含む。
【0026】
図1の説明に戻る。上述したとおり、建築物壁面変状計測装置2は、壁面41を計測する際にはゴンドラ5に搭載される。ゴンドラ5に搭載されている間は、建築物壁面変状計測装置2は通信ケーブルに接続されていないが、壁面41の計測が終了すると、建築物壁面変状計測装置2は、例えば、通信ケーブルに接続可能な場所に移動され、通信ケーブルと介して建築物壁面変状解析装置3と接続される。送信部26は、建築物壁面変状計測装置2が通信ケーブルに接続されると、計測情報記憶部24に格納されている計測情報を建築物壁面変状解析装置3へ送信する。計測情報の送信は、通信ケーブルへの接続を検知して、送信部26が自動で開始してもよいし、作業者などが、建築物壁面変状計測装置2または建築物壁面変状解析装置3へ送信開始の指示を入力することにより開始されてもよい。なお、建築物壁面変状計測装置2と建築物壁面変状解析装置3とは、LAN(Local Area Network),WAN(Wide Area Network)、インターネットなどのネットワークを介して通信可能に接続されてもよい。
【0027】
また、送信部26は、無線通信により計測情報を建築物壁面変状解析装置3へ送信してもよい。この場合、送信部26は、ゴンドラ5に搭載されているときに計測情報を建築物壁面変状解析装置3へ送信してもよい。無線通信を用いてゴンドラ5に搭載されているときに計測情報を建築物壁面変状解析装置3へ送信する場合には、建築物壁面変状計測装置2は計測情報記憶部24に計測情報を記憶せずに、建築物壁面変状解析装置3へ順次情報を送信してもよい。すなわち、送信部26は、各撮像データと対応する位置情報とを撮像データが撮像されるごとに建築物壁面変状解析装置3へ送信してもよい。
【0028】
次に、建築物壁面変状解析装置3の構成および動作を説明する。建築物壁面変状解析装置3は、図1に示すように、受信部31、受信情報記憶部32、データ抽出部33、比較処理部34、指示部35、評価結果記憶部36および出力部37を備える。受信部31は、送信部26によって送信された計測情報を受信し、受信した計測情報を、受信情報として受信情報記憶部32へ格納する。受信情報記憶部32は、受信情報すなわち受信した計測情報を記憶する。
【0029】
指示部35は、ビル4の壁面41の変状箇所の抽出処理で用いる評価対象データおよび基準データを指示する。指示部35は、例えば、作業者から評価対象データおよび基準データの撮像日時を示す情報の入力を受け付ける。すなわち、指示部35は、評価対象データとして指定される撮像データの撮像日時を示す情報と、基準データとして指定される撮像データの撮像日時を示す情報との入力を受け付け、受け付けた入力に基づいて、評価対象データおよび基準データのそれぞれの撮像日時をデータ抽出部33へ指示する。なお、撮像日時は、例えば、YY年MM月DD日の10時から17時までといったように期間で指定される。基準データは、評価対象データから変状箇所を抽出する際に、基準として用いる撮像データであり、例えば、変状が生じていないと想定される日時に撮像された撮像データである。具体的には、例えば、ビル4の竣工時に撮像された撮像データであってもよいし、メンテナンスが行われた直後に撮像された撮像データであってもよいし、前回の定期検査で撮像された撮像データであってもよい。評価対象データは、評価対象の撮像データ、すなわち変状箇所の抽出処理の対象となる撮像データである。具体的には、例えば、定期検査として、計測が行われる場合、最新の定期検査で撮像された撮像データである。
【0030】
また、指示部35は、評価対象データおよび基準データの指定を撮像日時ではなく、撮像データに対応するラベルにより受け付けてもよい。ラベルは、複数の撮像データのまとまり、例えばYY年MM月DD日の10時から17時までの撮像データなど、を識別する情報であり、例えば、何回目の定期検査であるかを示す情報である。ラベルを用いて評価対象データおよび基準データが指定される場合には、ラベルと撮像データとの対応を示す情報を指示部35が保持する。例えば、ラベルが何回目の定期検査かを示す情報である場合には、指示部35は、定期検査ごとに当該定期検査に対応する撮像日時を示す情報とラベルとの対応を保持する。また、受信情報記憶部32に記憶される計測情報にラベルを含めるようにしてもよい。例えば、3回目の定期検査として建築物壁面変状計測装置2により撮像が行われた後に、建築物壁面変状解析装置3による解析が行われるとする。このとき、作業者は、評価対象データとして3回目の定期検査を指定し、基準データとして2回目の定期検査を指定するといったように、ラベルにより評価対象データおよび基準データを指定することができる。また、例えば、3回目の定期検査のレーン番号LからLまでといったように、何回目の定期検査であるかを示すラベルとレーン番号とにより評価対象データおよび基準データを指定してもよい。同様に、撮像日時とレーン番号とにより評価対象データおよび基準データを指定してもよい。また、ラベルは、例えば、診断が行われた年を示す情報であってもよく、診断が行われた年と月を示す情報であってもよく、これら以外の情報であってもよい。
【0031】
また、指示部35による評価対象データおよび基準データの指定方法は、作業者からの入力を受け付ける方法に限定されない。例えば、作業者から解析の開始を指示されると、受信情報記憶部32に記憶されている撮像データのうち、最新の定期検査に対応する撮像データを評価対象データに自動的に指定し、前回の定期検査に対応する撮像データを基準データに自動的に指定する。また、基準データとして用いる撮像データをあらかじめ定めておき、指示部35は、あらかじめ定められた撮像データを基準データに指定してもよい。例えば、ビル4の竣工時などに、基準データとする撮像データを壁面41の全レーンについて取得しておき、このときに取得された複数の撮像データを基準データとしてもよい。
【0032】
建築物壁面変状解析装置3を操作する作業者と建築物壁面変状計測装置2を操作する作業者とは、同じであっても異なっていてもよい。なお、指示部35は、作業者からの入力を直接受け付けてもよいし、他の装置から送信された情報を受信することで上記情報を受け付けてもよい。指示部35は、受け付けた情報、すなわち評価対象データおよび基準データの撮像日時をデータ抽出部33へ指示する。また、指示部35は、ラベルなど撮影日時以外の方法で評価対象データおよび基準データが指定された場合には、指定された情報に対応する、評価対象データおよび基準データの撮像日時を決定し、決定した評価対象データおよび基準データの撮像日時をデータ抽出部33へ指示する。なお、撮像日時とともにレーン番号などが指定される場合には、データ抽出部33は、レーン番号などもデータ抽出部33へ指示する。以下では、指示部35が、評価対象データおよび基準データの撮像日時を指示する例を説明する。データ抽出部33は、評価対象データおよび基準データの撮像日時の指示に基づいて、後述する動作を行う。
【0033】
データ抽出部33、比較処理部34および出力部37の動作を、図5を用いて説明する。図5は、データ抽出部33、比較処理部34および出力部37における処理手順の一例を示すフローチャートである。データ抽出部33は、指示部35から評価対象データおよび基準データの撮像日時の指示があったか否かを判断する(ステップS1)。指示部35から評価対象データおよび基準データの撮像日時の指示がない場合(ステップS1 No)、データ抽出部33は、ステップS1を繰り返す。指示部35から評価対象データおよび基準データの撮像日時の指示があった場合(ステップS1 Yes)、データ抽出部33は、受信情報記憶部32に格納されている受信情報から、指示された撮像日時の評価対象データおよび基準データを抽出する(ステップS2)。詳細には、データ抽出部33は、指示部35により指示された評価対象データの撮像日時に基づいて評価対象データを抽出し、指示部35により指示された基準データの撮像日時に基づいて基準データを抽出する。上述したように、撮像日時は期間で指定されるため、指示された撮像日時に対応する評価対象データは一般に複数である。同様に、指示された撮像日時に対応する基準データも一般に複数である。
【0034】
データ抽出部33は、評価対象データを選択し、選択した評価対象データに対応づけされた撮像位置に基づいて比較対象とする基準データを選択する(ステップS3)。詳細には、データ抽出部33は、抽出した評価対象データから評価が未了な任意の1つの評価対象データを選択する。例えば、データ抽出部33は、抽出した評価対象データのうち、評価が未了で撮像データが撮像された日時の最も早いものを選択する。ここでいう評価とは、後述するステップS4~S6の処理である。評価対象データの選択方法はこの例に限定されず、水平位置情報の順、例えば、レーン番号順に選択するなどの方法であってもよい。データ抽出部33は、抽出した基準データと評価対象データとにそれぞれ対応する位置情報に基づいて、評価対象データに対応する基準データを選択する。例えば、データ抽出部33は、選択した評価対象データの位置情報と抽出した基準情報の位置情報とに基づいて、選択した評価対象データが撮像されたときのゴンドラ5の位置と最も近い位置で撮像された基準データを選択する。
【0035】
上述したように、評価対象データおよび基準データはいずれも建築物壁面変状計測装置2により撮像された撮像データであり、図4に例示したように撮像日時および位置情報に対応付けられて受信情報記憶部32に記憶されている。データ抽出部33は、例えば、各撮像データに対応づけられた位置情報に基づいて、選択した評価対象データの位置に最も近い位置が撮像された基準データを選択する。詳細には、例えば、データ抽出部33は、評価対象データとレーン番号が同一基準データを選択する。また、撮像データが建築物単位で保存されている場合、すなわち位置情報が建築物の識別情報である場合には、データ抽出部33は、評価データと同一の建築物に対応する基準データを選択する。また、位置情報に鉛直位置情報が含まれている場合には、データ抽出部33は、例えば、評価対象データの水平方向の位置を示す水平位置情報に最も近い水平位置情報をもち、かつ評価対象データの鉛直方向の位置を示す鉛直位置情報に最も近い鉛直位置情報をもつ撮像データを基準データとして選択する。データ抽出部33は、例えば、評価対象データと同じレーン番号であって、鉛直方向の位置を示す鉛直位置情報が最も近い撮像データを基準データとして選択する。データ抽出部33は、選択した評価対象データと基準データとを比較処理部34へ出力する。
【0036】
比較処理部34は、評価対象データと基準データとを比較する(ステップS4)。例えば、比較処理部34は、評価対象データにおける座標値と、当該評価対象データにおける座標値との差を求める。詳細には、比較処理部34は、例えば、評価対象データの点すなわち画素ごとに、評価対象データの3次元座標値と、基準データにおける対応する点の3次元座標値と、を比較する。比較処理部34は、これら2つの点の3次元座標値の差を求める。具体的には、例えば、比較処理部34は、これら2つの点のZ方向すなわち奥行方向の差を求める。または、比較処理部34は、これら2つの点のX方向またはY方向の差を求めてもよい。または、比較処理部34は、これ2つの点の距離を求めてもよい。Z方向に差がある場合には、壁面に浮き、凹み、ヒビなどが生じている可能性がある。また、X方向またはY方向に差がある場合には、変形、歪みなどが生じている可能性がある。本実施の形態では、ゴンドラ5が一定間隔移動するごとに撮像部22による撮像が行われているため、同じレーンで撮像された1つの画像における各画素は、基本的には壁面41の同じ位置を撮像したものである。このため、評価対象データと基準データの2つの画像を画素ごとに比較することで変状を検出することができる。なお、計測ごとに若干のずれなどが生じることもあるため、評価対象データと基準データとの間で、画像のフィッティング処理を行った上で、画素ごとの比較を行ってもよい。例えば、比較処理部34は、最急降下法などにより画像全体での差が最小となるように両画像間の位置ずれを補正した後に、上述した画素ごとの比較を行う。フィッティングを行う単位はビル全体であってもよいし、レーン単位であってもよいし、レーンを階層に分割した単位であってもよい。
【0037】
また、上述したとおり、撮像データに各点の輝度が含まれている場合には、これら2つの点の輝度の差を求めてもよい。輝度に差が生じる場合、ビル4の壁面41の反射率が変化したことを示している。壁面41に汚れ、かび、さびなどが生じた場合には壁面41の反射率が変化する。したがって、ビル4の壁面41の反射率の差が閾値以上であるか否かを判定することにより、汚れ、かび、さびなどなどの変状を検出することができる。
【0038】
次に、比較処理部34は、差が閾値以上の画素が有るか否かを判断する(ステップS5)。詳細には、比較処理部34は、上述したように、評価対象データと基準データとの比較として、3次元座標値、または輝度の差を画素ごとに求めているので、この差が閾値以上の画素があるか否かを判断する。
【0039】
差が閾値以上の画素が有る場合(ステップS5 Yes)、建築物壁面変状解析装置3は、当該評価対象データに対応する位置に変状があることを評価結果として記憶する(ステップS6)。詳細には、例えば、比較処理部34は、ステップS3で選択された評価対象データに対応する位置情報と変状があることを示す情報とを対応付けて評価結果として評価結果記憶部36へ格納する。すなわち、比較処理部34は、3次元座標値、または輝度の差を画素ごとに求め、差が閾値以上となる評価対象データに対応する位置情報を抽出する。比較処理部34は、評価結果を評価結果記憶部36へ格納すると、データ抽出部33へ評価が終了したことを通知する。
【0040】
次に、データ抽出部33は、指示された撮像日時の全評価対象データの評価が終了したか否かを判断する(ステップS7)。指示された撮像日時の全評価対象データの評価が終了した場合(ステップS7 Yes)、データ抽出部33は、全評価対象データの評価が終了したことを出力部37へ通知し、出力部37が評価結果を出力し(ステップS8)、処理が終了する。詳細には、出力部37は、全評価対象データの評価が終了したことがデータ抽出部33から通知されると、評価結果記憶部36から評価結果を読み出して出力する。すなわち、出力部37は、比較処理部34により抽出された位置情報である変状箇所を出力する。出力部37は、評価結果を、表示することにより出力してもよいし、印刷することにより出力してもよいし、他の装置へ送信することにより出力してもよいし、音声により出力してもよいし、これらの組み合わせにより出力してもよい。出力部37が評価結果を他の装置へ送信する場合、他の装置が評価結果を表示することにより、作業者などが評価結果を視認することができる。
【0041】
指示された撮像日時の評価対象データのうち評価が終了していない評価対象データがある場合(ステップS7 No)、ステップS3からの処理が再び行われる。また、ステップS5で差が閾値以上の画素が無いと判断した場合(ステップS5 No)、建築物壁面変状解析装置3は、評価対象データに対応する位置に変状がないことを評価結果として記憶し(ステップS9)、ステップS7の処理へ進む。詳細には、ステップS9では、例えば、比較処理部34は、ステップS3で選択された評価対象データに対応する位置情報と変状がないことを示す情報とを対応付けて評価結果として評価結果記憶部36へ格納する。比較処理部34は、評価結果を評価結果記憶部36へ格納すると、データ抽出部33へ評価が終了したことを通知する。
【0042】
比較処理部34は、評価対象データと基準データとの比較結果を用いて変状箇所を抽出すればよく、変状箇所の抽出方法は上述した例に限定されない。
【0043】
以上の処理により、指示された全評価対象データの評価が行われ、基準データとの差が閾値以上となった評価対象データの位置情報が、変状箇所として抽出される。なお、ここでは撮像データ単位で当該撮像データが変状であるか否かを判断し、撮像データ単位の位置を変状箇所として抽出する例を説明したが、比較処理部34は、さらに撮像データに対応する画像内の基準データとの差が閾値以上となった部分の画像内の位置を求めてもよい。この場合、比較処理部34は、求めた画像内の位置についても、評価結果として評価結果記憶部36へ格納する。これにより、出力部37は、撮像データ単位より高い位置分解能で、変状箇所を作業者などに提示することができる。
【0044】
以上の説明では、ビル4の壁面41の同一箇所を異なる日時で撮像した撮像データを比較することで、変状箇所を求める例を説明した。変状箇所の求め方はこれに限らず、例えば、同一日時の同一の型番の設備の撮像データを比較することで変状箇所を求めてもよい。設備は、例えば、ボルト、サッシ、パイプ、パネル、仕上材などである。指示部35が受け付ける評価対象データの撮像日時と基準データの撮像日時とは、同一であってもよい。この場合、例えば、建築物壁面変状解析装置3は、各設備のビル4の壁面41における位置を示す情報と設備の型番を示す情報とを設計情報として保持しておく。すなわち、設計情報は、設備ごとの当該設備の壁面41における配置位置を示す情報である。図6は、設計情報の一例を示す図である。図6に示すように、設計情報は、例えば、壁面における位置(位置情報)と設備名と型番とを含む。位置は、各設備の設置されているXY平面における中心座標であってもよいし、各設備の設置されているXY平面における範囲が示されていてもよい。図6に示した例では位置は各設備の中心座標で示されている。データ抽出部33は、ステップS3で、基準データを選択する際に、評価対象データの位置情報に基づいて、設計情報を参照して、評価対象データに含まれる設備名と型番とを抽出する。そして、データ抽出部33は、抽出した設備名および型番と、同一の設備名および型番に対応する位置を、設備情報から抽出する。そして、データ抽出部33は、抽出した位置を含む撮像データを基準データとして選択する。例えば、図6に示した例では、位置x,yと、位置x,yとに、型番AAAのサッシが配置されている。したがって、データ抽出部33は、評価対象データ内に位置x,yが含まれる場合、同じ型番のサッシが配置されている位置x,yを含む撮像データを基準データとして選択する。
【0045】
また、比較に使用される画像の単位は、撮像データとして格納されている1画像より小さくてもよい。例えば、指示部35が、撮像日だけでなく設備および型番の指定も受付け、データ抽出部33は、撮像データとして格納されている1画像内に、指定された型番のサッシが複数含まれている場合には、サッシ単位で画像を分割する。データ抽出部33は、分割した画像のうち2つを評価対象データおよび基準データとして用いて、上述した比較を実施する。この場合、2つの画像のうちどちらが評価対象データであってもよい。なお、データ抽出部33は、画素の位置が壁面に対応しているため、画像を分割する際の位置は画素の位置によって求めることができる。また、設備間で比較を行う場合には、各画像内の設備の位置が異なる可能性があるため、比較処理部34は、上述したフィッティングを行った後で、比較を行えばよい。
【0046】
また、設備単位の画像が撮像データとして保存されてもよい。この場合には、データ抽出部33は、分割せずに、撮像データ単位で、同一型番の画像を基準データとして選択することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、指示部35は、日時で評価対象データと基準データを指定するようにしたが、日時に加えて、建築物の識別情報(建築物番号)、レーン番号、階層を示す情報、設備などにより指定してもよい。上述したように、各撮像データは位置情報と対応付けられているため、この位置情報に建築物の識別情報(建築物番号)、レーン番号、階層を示す情報などの情報を含めておくことで、建築物壁面変状解析装置3は、これらの指定が有った場合にも、同様に、評価対象データと基準データを選択することができ、上述した比較により変状箇所を求めることができる。
【0048】
なお、設備が指定された場合には、建築物壁面変状解析装置3は、位置情報に加えて上述した設計情報を用いることで、同様に、評価対象データと基準データを選択することができ、上述した比較により変状箇所を求めることができる。例えば、指示部35は、評価対象データとして指定される撮像データの撮像日時を示す情報と、評価対象データに含まれる設備を示す設備情報との入力を受け付け、受け付けた入力に基づいて、評価対象データおよび基準データの撮像日時と、設備を示す情報とをデータ抽出部33へ指示する。そして、データ抽出部33は、設備ごとの当該設備の壁面41における配置位置を示す設計情報を保持し、指示部により指示された撮像日時および設備情報と設計情報とに基づいて評価対象データおよび基準データを抽出する。
【0049】
次に、建築物壁面変状解析装置3のハードウェアについて説明する。建築物壁面変状解析装置3は、コンピュータシステムにより実現される。図7は、本実施の形態の建築物壁面変状解析装置3を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。図7に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
【0050】
図7において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等である。制御部101は、本実施の形態の建築物壁面変状解析装置3の動作が記述されたプログラムを実行する。入力部102は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムのユーザが、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータなどを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムのユーザに対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する通信回路などである。通信部105は、複数の通信方式にそれぞれ対応する複数の通信回路で構成されていてもよい。出力部106は、プリンタ、外部記憶装置などの外部の装置へデータを出力する出力インタフェイスである。なお、図7は、一例であり、コンピュータシステムの構成は図7の例に限定されない。
【0051】
ここで、本実施の形態の建築物壁面変状解析装置3の動作が記述された建築物壁面変状解析プログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、プログラムが記憶部103にインストールされる。そして、建築物壁面変状解析プログラムの実行時に、記憶部103から読み出された建築物壁面変状解析プログラムが記憶部103の主記憶装置となる領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納された建築物壁面変状解析プログラムに従って、本実施の形態の建築物壁面変状解析装置3としての処理を実行する。
【0052】
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、建築物壁面変状解析装置3における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
【0053】
図1に示した受信部31は、図7に示した通信部105により実現される。図1に示したデータ抽出部33および比較処理部34は、図7に示した制御部101により実現される。指示部35は、図7に示した入力部102により実現される。指示部35が、他の装置から送信された指示を受け付ける場合、指示部35の実現には、通信部105が用いられる。図1に示した受信情報記憶部32および評価結果記憶部36は、図7に示した記憶部103の一部である。出力部37は、例えば、図7に示した表示部104または出力部106により実現される。出力部37が他の装置へ評価結果を送信する場合には、出力部37は通信部105により実現される。なお、本実施の形態の建築物壁面変状解析装置3を実現するハードウェアは、PC(パーソナルコンピュータ)のような端末に限定するものではなく、タブレット、スマホなどの携帯情報端末であっても差し支えない。また、システム構成は、1台の端末で全ての処理を実行するスタンドアロン形式でもよいし、サーバで解析した結果をクライアントへ送るクライアントサーバ形式であってもよい。また、複数のコンピュータで構成されるクラウドシステムにより建築物壁面変状解析装置3が実現されてもよい。
【0054】
次に、具体例を挙げて、本実施の形態の建築物壁面変状解析装置3におけるビルの壁面41の変状箇所の抽出について説明する。図8は、壁面41の一部の一例であるサッシを含む領域を示す図である。図8は、壁面41のうち直交する2つのサッシが連結される部分を示している。図8に示した例では、連結板412とサッシが、3つのボルト411によって締結される。このように、壁面41には、ボルト411が含まれる場合がある。図9は、ボルト411の側面を示す図である。図9は、ボルト411の浮きを示している。図9の上部に示すように、正常な状態では、ボルト411のボルト頭は連結板412に密着している。図9の下部に示した状態では、ボルト411のボルト頭が連結板412から離れている。図9の下部のように、ボルト411のボルト頭が連結板412から離れる状態をボルト411の浮きと呼ぶ。このようにボルト411の浮きが生じると、ボルト411が落下する可能性がある。このため、ボルト411の浮きが有る場合には、ボルト411を締め直す、ボルト411を交換するといった対応が必要となる。したがって、ボルト411の浮きのある箇所が変状箇所として抽出されることが望まれる。
【0055】
図10は、タイルを含む領域を建築物壁面変状計測装置2の撮像部22が撮像して得られた画像の一例を模式的に示す図である。図8,9では、ボルト411を含む壁面41の例を説明したが、壁面41には、図10に示すようにタイル413が存在する部分が含まれている場合がある。図10に示した浮き部分414は、タイル413が、本来のZ方向の位置から手前側に離れる浮きが生じている部分を示している。タイル413についても、浮きが発生すると剥離して落下する可能性がある。壁面41に直交する方向(Z方向)の位置が、正常な状態からずれる可能性がある。したがって、タイル413の浮きのある箇所が変状箇所として抽出されることが望まれる。タイル413の浮きについても、ボルト411の浮きと同様に、基準画像と評価対象画像との、対応する各点の座標値の差として検出される。
【0056】
上述したように、変状箇所であるか否かは、基準画像と評価対象画像との、対応する各座標値の差、または対応する各点の反射率の差、が閾値以上であるか否かに基づいて判断される。この閾値は、作業者が、どのような現状を検出したいかによって異なる場合がある。例えば、ボルト411に関しては少しの浮きでも対応する必要があり、タイル413に関してはある程度の浮きまでは対応の必要がないといったように、検出したい状態によって閾値が異なる可能性がある。
【0057】
このため、比較処理部34で用いられる閾値を、作業者が変更できるようにしてもよい。作業者が直接閾値自体を指定するようにしてもよいが、例えば、あらかじめ複数のモードを定義しておき、作業者がモードを選択することで、モードに応じた閾値が設定されてもよい。すなわち、比較処理部34は、複数のモードのそれぞれに対応するモード閾値を保持し、複数のモードのうち指定されたモードに対応するモード閾値を選択し、選択したモード閾値を閾値として用いてもよい。図11は、モードごとの閾値(モード閾値)の一例を示す図である。図11に示した例では、モードとして、ボルトモード、タイルモードを含む複数のモードが定義されており、モードごとに閾値(モード閾値)が定められている。比較処理部34が図11に例示したモードごとの閾値(モード閾値)を保持しておき、指示部35が、作業者からモードの選択を受け付ける。指示部35は、モードの選択結果をデータ抽出部33へ通知し、データ抽出部33が通知された選択結果を比較処理部34へ通知する。比較処理部34は、選択結果とモードごとの閾値(モード閾値)とに基づいて閾値を設定する。なお、指示部35が直接比較処理部34へ選択結果を通知してもよい。このように、閾値を変更可能にすることで、建築物壁面変状解析装置3は、作業者の目的に応じた変状箇所の抽出を行うことができる。
【0058】
次に、本実施の形態の出力部37による出力の例について説明する。図12は、出力部37により表示される評価結果の一例を示す図である。図12に示した例では、出力部37は画面表示することで、評価結果を出力している。また、図12では、上述したモードを定義した例を示しており、ボルトモードによる評価が行われて、評価結果として変状が有るという結果が得られた例を示している。図12の下部には、変状箇所として抽出された箇所が示されている。ここでは、撮像データ単位で変状箇所が示される例を示しており、変状箇所は、変状有りと判定された撮像データが撮像されたときのゴンドラ5のレーン番号と鉛直方向の位置と、によって示されている。モードが定義されていない場合には、出力部37は、モードを示す情報を表示しない。なお、図12は一例であり、評価結果の表示形式は図12に示した例に限定されない。変状箇所の各画像内の位置についても算出される場合には、出力部37は、変状箇所の各画像内の位置も表示する。
【0059】
次に、建築物壁面変状解析システムの変形例について説明する。図13は、建築物壁面変状解析システムの変形例を示す図である。図13に示した建築物壁面変状解析システム1aは、建築物壁面変状解析システム1と同様に建築物壁面変状解析装置3を備えるとともに、ゴンドラ制御装置9が追加され、建築物壁面変状計測装置2のかわりに建築物壁面変状計測装置2aを備えている。ゴンドラ制御装置9は、ゴンドラ5を操作する操作者の操作に基づいてゴンドラ5の位置を制御する制御装置である。ゴンドラ制御装置9には、操作者の操作により、ゴンドラ5が位置するレーン番号と、降下を開始する基準点番号が入力されている。建築物壁面変状計測装置2aは、建築物壁面変状計測装置2に受信部27が追加されたものである。受信部27は、ゴンドラ制御装置9から、レーン番号と基準点の番号とを受信する。受信部27は、レーン番号を水平位置推定部231へ渡し、基準点の番号を鉛直位置推定部232へ渡す。水平位置推定部231および鉛直位置推定部232は、それぞれ受信部27から受け取った情報に基づいて、上述した動作を実施する。入力部25がレーン番号と基準点の番号との入力を受け付けた場合には、建築物壁面変状計測装置2と同様の動作を実施する。なお、建築物壁面変状計測装置2aは、入力部25を備えていなくてもよい。
【0060】
図14は、本実施の形態の建築物壁面変状解析装置3による変状箇所の表示例を示す図である。図14に示した例では、建築物壁面変状解析装置3の出力部37が、ビル全体を表示しており、ビルのなかでどの部分で変状があるかを表示している。このように、ビル4の壁面41の変状箇所301を表示することにより、作業者はどの場所に変状が生じているかを視覚的に把握することができる。
【0061】
なお、上述した例では、ライン状のレーザ光が水平方向に投光され、ゴンドラ5が鉛直方向に移動したが、水平方向に移動するゴンドラ5を用いる場合には、ライン状のレーザ光が鉛直方向に投光されてもよい。また、水平方向にゴンドラが移動する場合には、レーン番号はゴンドラ5の鉛直位置を示すことになり、鉛直方向に区分された区画ごとに付与される。このように水平方向にゴンドラが移動する場合の鉛直方向に区分されたエリアもレーンと呼ぶこともできる。すなわち、レーンは、壁面に沿って区分された区画を示すものであればよい。
【0062】
また、ゴンドラ5が鉛直方向に移動する場合でも、ゴンドラ5が一次停止し、鉛直方向に投光されるライン状のレーザ光を水平方向に走査させて撮像することを繰り返すことにより1レーン分の撮像データを取得してもよい。同様に、ゴンドラ5が水平方向に移動する場合に、ゴンドラ5が一次停止し、水平方向に投光されるライン状のレーザ光を垂直方向に走査させて撮像することを繰り返すことにより1レーン分の撮像データを取得してもよい。また、上述した計測方法を組み合わせてもよい。この場合、鉛直方向のライン状のレーザ光の投光と水平方向のライン状のレーザ光の投光とを切り替え可能な計測装置を使用してもよいし、2つの計測装置を用いてもよい。
【0063】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1,1a 建築物壁面変状解析システム、2,2a 建築物壁面変状計測装置、3 建築物壁面変状解析装置、4 ビル、5 ゴンドラ、6 台車、7 ワイヤロープ、8 レール、9 ゴンドラ制御装置、21 ラインレーザ投光部、22 撮像部、23 自己位置推定部、24 計測情報記憶部、25 入力部、26 送信部、27,31 受信部、32 受信情報記憶部、33 データ抽出部、34 比較処理部、35 指示部、36 評価結果記憶部、37 出力部、41 壁面、231 水平位置推定部、232 鉛直位置推定部。
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