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特開2022-187856管理サーバー、情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187856
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】管理サーバー、情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/335 20190101AFI20221213BHJP
   G06Q 10/10 20120101ALI20221213BHJP
【FI】
G06F16/335
G06Q10/10 330
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096064
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】399073300
【氏名又は名称】株式会社福岡銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】常盤 和宏
(72)【発明者】
【氏名】小山 貴大
(72)【発明者】
【氏名】江頭 萌乃
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B175DA01
5B175HA01
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】多くの電子情報の中からユーザーにとって重要度の高い有用情報を確実に抽出し、ユーザーに対して提示することができる管理サーバー、情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】受信した電子情報の中から各単語がもつ特徴量を数値化した単語ベクトル、受信者の行動ログに基づく行動ベクトル、及び電子情報の送受信者が所属するグループ間の取引傾向に基づく取引ベクトルを入力値として機械学習モデルが構築され、該機械学習モデルに基づいて新規に受信した電子情報の重要度が判定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のグループに所属する第1のユーザーが使用する第1の端末装置からの送信要求に基づいて電子情報を受信するとともに、受信した電子情報を第2のグループに所属する第2のユーザーが使用する第2の端末に送信する電子情報送受信部と、
電子情報に含まれる文字列を1語以上の単語に分類し、該単語が有する特徴量を数値化した単語ベクトルを演算する単語ベクトル演算部と、
前記第2の端末における第2のユーザーの過去の操作履歴に基づいて、第2のユーザーの行動パターンの特徴量を数値化した行動ベクトルを演算する行動ベクトル演算部と、
前記第1のグループと前記第2のグループとの取引履歴に基づいて、前記第1のグループ、及び前記第2のグループの取引傾向の特徴量を数値化した取引ベクトルを演算する取引ベクトル演算部と、
前記単語ベクトル、前記行動ベクトル、及び前記取引ベクトルを入力値として構築される機械学習モデルに基づいて、前記電子情報送受信部で受信した電子情報の重要度を判定する重要度判定部と、を備える
管理サーバー。
【請求項2】
前記電子情報に含まれる可能性のある1語以上の単語からなり、該単語の特徴量に応じたベクトル値が付与された単語リストが記憶された単語辞書記憶部を有し、
前記単語ベクトル演算部は、前記単語リストに基づいて前記単語ベクトルを演算する
請求項1に記載の管理サーバー。
【請求項3】
前記第1のグループ、及び前記第2のグループの金融口座における入出金履歴を含む金融データを外部サーバーから取得する金融データ取得部を有し、
前記取引ベクトル演算部は、
前記第1のグループと前記第2のグループとの所定の期間内における前記金融データであって、取引額、及び取引回数の少なくとも一つに基づいて演算する
請求項1または請求項2に記載の管理サーバー。
【請求項4】
前記行動ベクトル演算部は、
第2のユーザーが前記第2の端末で過去に受信した電子情報に対する操作履歴であって、電子情報の受信から開封までの所要時間、及び電子情報の受信から返信までの所要時間の少なくとも一つに基づいて前記行動ベクトルを演算する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の管理サーバー。
【請求項5】
前記機械学習モデルは、単語ベクトル、及び前記取引ベクトルを変数、前記行動ベクトルを教師データとして構築される
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の管理サーバー。
【請求項6】
第1のグループに所属する第1のユーザーが使用する第1の端末装置から、ネットワークを介して第2のグループに所属する第2のユーザーが使用する第2の端末装置に向けて送信する電子情報を受け付ける管理サーバーを有する情報端末装置において、
前記管理サーバーは、
前記第1の端末装置からの送信要求に基づいて電子情報を受信するとともに、受信した電子情報を前記第2の端末に送信する電子情報送受信部と、
電子情報に含まれる文字列を1語以上の単語に分類し、該単語が有する特徴量を数値化した単語ベクトルを演算する単語ベクトル演算部と、
前記第2の端末における第2のユーザーの過去の操作履歴に基づいて、第2のユーザーの行動パターンの特徴量を数値化した行動ベクトルを演算する行動ベクトル演算部と、
前記第1のグループと前記第2のグループとの取引履歴に基づいて、前記第1のグループ、及び前記第2のグループの取引傾向の特徴量を数値化した取引ベクトルを演算する取引ベクトル演算部と、
前記単語ベクトル、前記行動ベクトル、及び前記取引ベクトルを入力値として構築される機械学習モデルに基づいて、前記電子情報送受信部で受信した電子情報の重要度を判定する重要度判定部と、を備える
情報処理装置。
【請求項7】
第1のグループに所属する第1のユーザーが使用する第1の端末装置からの送信要求に基づいて受信した電子情報に含まれる文字列を1語以上の単語に分類し、該単語が有する特徴量を数値化した単語ベクトルを演算するステップと、
電子情報を受信する第2のグループに所属する第2のユーザーが使用する第2の端末における第2のユーザーの過去の操作履歴に基づいて、第2のユーザーの行動パターンの特徴量を数値化した行動ベクトルを演算するステップと、
前記第1のグループと前記第2のグループとの取引履歴に基づいて、前記第1のグループ、及び前記第2のグループの取引傾向の特徴量を数値化した取引ベクトルを演算するステップと、
前記単語ベクトル、前記取引ベクトル、及び前記行動ベクトルに基づいて機械学習モデルを構築するステップと、
前記機械学習モデルに基づいて、受信した電子情報の重要度を判定するステップと、を備える
情報処理プログラム。
【請求項8】
第1のグループに所属する第1のユーザーが使用する第1の端末装置からの送信要求に基づいて受信した電子情報に含まれる文字列を1語以上の単語に分類し、該単語が有する特徴量を数値化した単語ベクトルを演算する工程と、
電子情報を受信する第2のグループに所属する第2のユーザーが使用する第2の端末における第2のユーザーの過去の操作履歴に基づいて、第2のユーザーの行動パターンの特徴量を数値化した行動ベクトルを演算する工程と、
前記第1のグループと前記第2のグループとの取引履歴に基づいて、前記第1のグループ、及び前記第2のグループの取引傾向の特徴量を数値化した取引ベクトルを演算する工程と、
前記単語ベクトル、前記取引ベクトル、及び前記行動ベクトルに基づいて機械学習モデルを構築する工程と、
前記機械学習モデルに基づいて、受信した電子情報の重要度を判定する工程と、を備える
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理サーバー、情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法に関する。詳しくは、多くの電子情報の中からユーザーにとって重要度の高い有用情報を確実に抽出し、ユーザーに対して提示することができる管理サーバー、情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信端末、及び情報通信システム、さらに無線通信やインターネット通信などの関連ネットワーク技術の進歩に伴い、一連の情報システムによって伝達、処理される電子情報は増大する一方である。例えば、電子メールは電子情報を作成、及び送受信するための主要なツールとなっており、日常におけるユーザー間のやり取りは勿論のこと、多くの企業環境においても業務ツールの標準となっている。
【0003】
電子メールは、送信側ユーザーが所有する送信側端末から送信された後に、電子メールサーバーにて一時的に記憶され、その後、受信側ユーザーが所有する受信側端末で受信、及び閲覧することができるものとなっている。従って、受信側ユーザーにおいては、電子メールを定期的に受信し、その都度返信等の処理をすることが求められる。
【0004】
しかしながら、前記の通り、特に企業環境においては電子メールは標準の業務ツールとして浸透しており、日常的に大量の電子メールの送受信が行われている。また、長期休暇等によって長期間の新規の電子メールを受信しなかった場合には、電子メールサーバーにおいて一時的に記憶された新規の電子メールを一度に大量に受信することもある。
【0005】
もっとも、電子メールが企業環境における業務ツールとして浸透しているとはいえ、全てのメールが業務の遂行に当たって重要なメールであるとは限らない。従って、ユーザーは受信した電子メールについて、重要度の高いものと、重要度の低いものに分類したうえで、重要度の高いものから優先的に返信する等の処理が求められる。
【0006】
ユーザーが受信した電子メールの重要度を判定する指標として、例えば送信元の宛先であったり、電メールの標題を確認することで一定の重要度を判定することはできるが、実際にはメールの全文を確認したうえで、重要度の高いメールと、そうでないメールをユーザーの独断で分類しているのが実情である。そのため、ユーザーとしては受信した電子メールの全てに目を通す必要があるため、特に一度に大量の電子メールを受信した場合には重要度の高い電子メールを見落としてしまうという課題があった。
【0007】
このような課題を解決するために、例えば特許文献1には、受信した電子メールの標題や本文のテキスト検索を行い、予めユーザーが設定したキーワードに従って、電子メールの保存先であるフォルダを分類する技術が開示されている。特許文献1によれば、例えば重要度の高いメールを分類するための分類フォルダを作成しておき、ユーザーが設定したキーワードに該当する電子メールを自動的にそのフォルダに分類することができる。従ってユーザーは、作成した分類フォルダを優先的に確認することで、重要度の高いメールを見落とすことを防止することができる。
【0008】
また、特許文献2には、受信した電子メールを表示する際に、該電子メールにユーザーが予め設定したキーワードが含まれる場合には、そのキーワードを強調表示するシステムが開示されている。特許文献2によれば、ユーザーにとって重要度の高い電子メールの標題や本文に含まれる所定の単語には強調表示がされるため、前記した特許文献1と同様に重要度の高い電子メールを見落とすことを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010-061213号公報
【特許文献2】特開2009-070222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記した特許文献1、及び特許文献2のようにユーザーが予めキーワードを登録する方法である場合、ユーザーがキーワードを登録する作業が必要となる。さらに、ユーザーにとって重要となるキーワードは日時の経過とともに変化するものであり、その都度、既存のキーワードを削除したり、或いは新たなキーワードを追加するといった管理も必要となる。
【0011】
また、ユーザーが登録したキーワードに同義語が存在する場合、登録しているキーワードと一致するキーワードは検索により抽出されるが、当該キーワードの同義語については抽出がされない。そのため、キーワードの同義語が電子メールの内容に含まれている場合、ユーザーにとって重要度の高いと思われる電子メールにも関わらず、その内容を見落とす可能性もある。これを回避するために、キーワード、及びその同義語を全て登録するとなると、ユーザのキーワードの管理作業がより煩雑なものになってしまう。
【0012】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、多くの電子情報の中からユーザーにとって重要度の高い有用情報を確実に抽出し、ユーザーに対して提示することができる管理サーバー、情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するために、本発明の管理サーバーは、第1のグループに所属する第1のユーザーが使用する第1の端末装置からの送信要求に基づいて電子情報を受信するとともに、受信した電子情報を第2のグループに所属する第2のユーザーが使用する第2の端末に送信する電子情報送受信部と、電子情報に含まれる文字列を1語以上の単語に分類し、該単語が有する特徴量を数値化した単語ベクトルを演算する単語ベクトル演算部と、前記第2の端末における第2のユーザーの過去の操作履歴に基づいて、第2のユーザーの行動パターンの特徴量を数値化した行動ベクトルを演算する行動ベクトル演算部と、前記第1のグループと前記第2のグループとの取引履歴に基づいて、前記第1のグループ、及び前記第2のグループの取引傾向の特徴量を数値化した取引ベクトルを演算する取引ベクトル演算部と、前記単語ベクトル、前記行動ベクトル、及び前記取引ベクトルを入力値として構築される機械学習モデルに基づいて、前記電子情報送受信部で受信した電子情報の重要度を判定する重要度判定部とを備える。
【0014】
ここで、第1のグループに所属する第1のユーザーが使用する第1の端末装置からの送信要求に基づいて電子情報を受信するとともに、受信した電子情報を第2のグループに所属する第2のユーザーが使用する第2の端末に送信する電子情報送受信部を備えることにより、送信側端末と受信側端末との間で電子情報の送受信を行うことができる。
【0015】
また、電子情報に含まれる文字列を1語以上の単語に分類し、該単語が有する特徴量を数値化した単語ベクトルを演算する単語ベクトル演算部を備えることにより、電子情報に含まれる文章を各単語に分類し、単語の順番や、単語の出現回数などによって特徴量化して単語ベクトルを演算することで、電子情報に含まれる文章の特徴量を数値化し、機械学習のための入力データとすることができる。
【0016】
また、第2の端末における第2のユーザーの過去の操作履歴に基づいて、第2のユーザーの行動パターンの特徴量を数値化した行動ベクトルを演算する行動ベクトル演算部を備えることにより、電子情報の受信側である第2のユーザーのこれまでの行動パターンを数値化して、機械学習のための入力データとすることができる。
【0017】
また、第1のグループと第2のグループとの取引履歴に基づいて、第1のグループ、及び第2のグループの取引傾向の特徴量を数値化した取引ベクトルを演算する取引ベクトル演算部を備えることにより、電子情報の送信元である第1のユーザーが所属する第1のグループと、電子情報の送信先である第2のユーザーが所属する第2のグループの親密度を数値化して、機械学習のための入力データとすることができる。
【0018】
また、電子情報の内容に基づいて数値化された単語ベクトル、送信先である第2のユーザーの行動パターンを数値化した行動ベクトル、及び送信元と送信先が所属するグループ間の親密度を数値化した取引ベクトルの3つの入力値に基づいて構築された機械学習モデルにより電子情報の重要度を判定する重要度判定部を備えることにより、構築された機械学習モデルに基づいて電子情報の重要度を正確に判定することができる。さらに、電子情報を受信する都度、電子情報の重要度を判定することができるとともに、機械学習を繰り返すことにより機械学習モデルの精度を高めることができる。
【0019】
また、電子情報に含まれる可能性のある1語以上の単語からなる単語リストが記憶された単語辞書記憶部を有し、単語ベクトル演算部は、単語リストに基づいて単語ベクトルを演算する場合には、人為的なルールに基づいて単語ベクトルを演算することで、単語ベクトルの演算精度を高めることができる。
【0020】
また、単語リスト中の各単語には、単語の特徴量に応じて重み付けされたベクトル値が付与されている場合には、電子情報の文章を複数の単語に分類した際に、該単語の特徴量に応じたベクトル値を設定することができる。
【0021】
また、第1のグループ、及び第2のグループの金融口座における入出金履歴を含む金融データを外部サーバーから取得する金融データ取得部を有する場合には、入出金履歴をはじめとする金融情報に基づいて第1のグループと第2のグループとの親密度を演算することができる。
【0022】
また、取引ベクトル演算部は、第1のグループと第2のグループとの所定の期間内における金融データであって、取引額、及び取引回数の少なくとも一つに基づいて演算する場合には、第1のグループと第2のグループとの親密度を直近の取引額、或いは取引回数の客観的データに基づいて、第1のグループと第2のグループとの親密度を正確に数値化することができる。
【0023】
また、行動ベクトル演算部は、第2のユーザーが第2の端末で過去に受信した電子情報に対する操作履歴であって、電子情報の受信から開封までの所要時間、及び電子情報の受信から返信までの所要時間の少なくとも一つに基づいて行動ベクトルを演算する場合には、第2のユーザーの行動パターンを正確に数値化することができる。
【0024】
また、機械学習モデルは、単語ベクトル、及び取引ベクトルを変数、行動ベクトルを教師データとして構築される場合には、第2のユーザーの実際の行動パターンを数値化した行動ベクトルを教師データとすることで、機械学習モデルに対して適切な解を与えたうえで、変数としての単語ベクトル、及び取引ベクトルにより機械学習モデルの予測精度を高めることができる。
【0025】
前記の目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、第1のグループに所属する第1のユーザーが使用する第1の端末装置から、ネットワークを介して第2のグループに所属する第2のユーザーが使用する第2の端末装置に向けて送信する電子情報を受け付ける管理サーバーを有する情報端末装置において、前記管理サーバーは、前記第1の端末装置からの送信要求に基づいて電子情報を受信するとともに、受信した電子情報を前記第2の端末に送信する電子情報送受信部と、電子情報に含まれる文字列を1語以上の単語に分類し、該単語が有する特徴量を数値化した単語ベクトルを演算する単語ベクトル演算部と、前記第2の端末における第2のユーザーの過去の操作履歴に基づいて、第2のユーザーの行動パターンの特徴量を数値化した行動ベクトルを演算する行動ベクトル演算部と、前記第1のグループと前記第2のグループとの取引履歴に基づいて、前記第1のグループ、及び前記第2のグループの取引傾向の特徴量を数値化した取引ベクトルを演算する取引ベクトル演算部と、前記単語ベクトル、前記行動ベクトル、及び前記取引ベクトルを入力値として構築される機械学習モデルに基づいて、前記電子情報送受信部で受信した電子情報の重要度を判定する重要度判定部と、を備える。
【0026】
ここで、第1の端末装置からの送信要求に基づいて電子情報を受信するとともに、受信した電子情報を第2の端末に送信する電子情報送受信部を備えることにより、送信側端末と受信側端末との間で電子情報の送受信を行うことができる。
【0027】
また、電子情報に含まれる文字列を1語以上の単語に分類し、該単語が有する特徴量を数値化した単語ベクトルを演算する単語ベクトル演算部を備えることにより、電子情報に含まれる文章を各単語に分類し、各単語の特徴量に応じた単語ベクトルを演算することで、電子情報に含まれる文章を数値化し、機械学習のための入力データとすることができる。
【0028】
また、第2の端末における第2のユーザーの過去の操作履歴に基づいて、第2のユーザーの行動パターンの特徴量を数値化した行動ベクトルを演算する行動ベクトル演算部を備えることにより、電子情報の受信側である第2のユーザーのこれまでの行動パターンを数値化して、機械学習のための入力データとすることができる。
【0029】
また、第1のグループと第2のグループとの取引履歴に基づいて、第1のグループ、及び第2のグループの取引傾向の特徴量を数値化した取引ベクトルを演算する取引ベクトル演算部を備えることにより、電子情報の送信元である第1のユーザーが所属する第1のグループと、電子情報の送信先である第2のユーザーが所属する第2のグループの親密度を数値化して、機械学習のための入力データとすることができる。
【0030】
また、電子情報の内容に基づいて数値化された単語ベクトル、送信先である第2のユーザーの行動パターンを数値化した行動ベクトル、及び送信元と送信先が所属するグループ間の親密度を数値化した取引ベクトルの3つの入力値に基づいて構築された機械学習モデルにより電子情報の重要度を判定する重要度判定部を備えることにより、構築された機械学習モデルに基づいて正確に電子情報の重要度を判定することができる。さらに、電子情報を受信する都度、電子情報の重要度を判定することができるとともに、機械学習を繰り返すことにより機械学習モデルの精度を高めることができる。
【0031】
前記の目的を達成するために、本発明の情報処理プログラムは、第1のグループに所属する第1のユーザーが使用する第1の端末装置からの送信要求に基づいて受信した電子情報に含まれる文字列を1語以上の単語に分類し、該単語が有する特徴量を数値化した単語ベクトルを演算するステップと、電子情報を受信する第2のグループに所属する第2のユーザーが使用する第2の端末における第2のユーザーの過去の操作履歴に基づいて、第2のユーザーの行動パターンの特徴量を数値化した行動ベクトルを演算するステップと、前記第1のグループと前記第2のグループとの取引履歴に基づいて、前記第1のグループ、及び前記第2のグループの取引傾向の特徴量を数値化した取引ベクトルを演算するステップと、前記単語ベクトル、前記取引ベクトル、及び前記行動ベクトルに基づいて機械学習モデルを構築するステップと、前記機械学習モデルに基づいて、受信した電子情報の重要度を判定するステップと、を備える。
【0032】
また、前記の目的を達成するために、本発明の情報処理方法は、第1のグループに所属する第1のユーザーが使用する第1の端末装置からの送信要求に基づいて受信した電子情報に含まれる文字列を1語以上の単語に分類し、該単語が有する特徴量を数値化した単語ベクトルを演算する工程と、電子情報を受信する第2のグループに所属する第2のユーザーが使用する第2の端末における第2のユーザーの過去の操作履歴に基づいて、第2のユーザーの行動パターンの特徴量を数値化した行動ベクトルを演算する工程と、前記第1のグループと前記第2のグループとの取引履歴に基づいて、前記第1のグループ、及び前記第2のグループの取引傾向の特徴量を数値化した取引ベクトルを演算する工程と、前記単語ベクトル、前記取引ベクトル、及び前記行動ベクトルに基づいて機械学習モデルを構築する工程と、前記機械学習モデルに基づいて、受信した電子情報の重要度を判定する工程とを備える。
【0033】
ここで、第1のグループに所属する第1のユーザーが使用する第1の端末装置からの送信要求に基づいて受信した電子情報に含まれる文字列を1語以上の単語に分類し、該単語が有する特徴量を数値化した単語ベクトルを演算するステップ(工程)を備えることにより、電子情報に含まれる文章を各単語に分類し、単語の順番や、単語の出現回数などによって特徴量化して単語ベクトルを演算することで、電子情報に含まれる文章の特徴量を数値化し、機械学習のための入力データとすることができる。
【0034】
また、電子情報を受信する第2のグループに所属する第2のユーザーが使用する第2の端末における第2のユーザーの過去の操作履歴に基づいて、第2のユーザーの行動パターンの特徴量を数値化した行動ベクトルを演算するステップ(工程)を備えることにより、電子情報の受信側である第2のユーザーのこれまでの行動パターンを数値化して、機械学習のための入力データとすることができる。
【0035】
また、第1のグループと第2のグループとの取引履歴に基づいて、第1のグループ、及び第2のグループの取引傾向の特徴量を数値化した取引ベクトルを演算するステップ(工程)を備えることにより、電子情報の送信元である第1のユーザーが所属する第1のグループと、電子情報の送信先である第2のユーザーが所属する第2のグループとの親密度を数値化して、機械学習のための入力データとすることができる。
【0036】
また、単語ベクトル、取引ベクトル、及び行動ベクトルに基づいて機械学習モデルを構築するステップ(工程)を備えることにより、単語ベクトル、取引ベクトル、及び行動ベクトルを入力値として、受信した電子情報の重要度を判定するための機械学習モデルを構築することができる。
【0037】
また、機械学習モデルに基づいて、受信した電子情報の重要度を判定するステップ(工程)を備えることにより、構築された機械学習モデルに基づいて正確に電子情報の重要度を判定することができる。さらに、電子情報を受信する都度、電子情報の重要度を判定することができるとともに、機械学習を繰り返すことにより機械学習モデルの精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る管理サーバー、情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法は、多くの電子情報の中からユーザーにとって重要度の高い有用情報を確実に抽出し、ユーザーに対して提示することができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置の全体構成を示す図である。
図2】管理サーバー内の記憶部の構成を示す図である。
図3】管理サーバー内の演算部の構成を示す図である。
図4】単語ベクトル演算部による演算フローを示す図である。
図5】単語ベクトル演算部による演算処理の一例を示す図である。
図6】単語ベクトル演算部において行われる演算処理の概念図である。
図7】取引ベクトル演算部において行われる演算処理の概念図である。
図8】行動ベクトル演算部において行われる演算処理の概念図である。
図9】機械学習モデル構築のための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法に関する本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0041】
まず、本発明の実施形態に係る情報処理装置1の全体構成について図1を用いて説明する。本発明の実施形態に係る情報処理装置1は、電子情報としての電子メールの送信者である第1のグループに所属するユーザーAが使用する通信端末である送信側端末10、電子メールの受信者である第2のグループに所属するユーザーBが使用する通信端末である受信側端末20、管理サーバー30、及び金融サーバー40がインターネット回線50を介して互いに通信可能なように接続されている。
【0042】
ここで、必ずしも、送信側端末10、受信側端末20、管理サーバー30、及び金融サーバー40はインターネット回線50を介して互いに接続されている必要はなく、いかなる通信手段により接続されていてもよい。
【0043】
また、必ずしも、電子情報は電子メールに限定されるものではなく、チャット、電子掲示板、SNS(Social Networking Serviceの略)等の電子コミュニケーションツールに対して適用することが可能である。
【0044】
また、必ずしも、金融サーバー40を備えている必要はない。金融サーバー40は、後記する通り、機械学習モデルの構築のための入力値であるグループ1とグループ2との間における金融取引データを取得するものであって、基本的には金融機関に設置されているサーバーであるが、例えば管理サーバー30内に金融サーバー40の機能を組み込むようにしてもよい。
【0045】
また、送信側端末10、及び受信側端末20は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末、タブレット型端末等、通信機能を有する情報端末であれば特に限定されるものではなく、またユーザーAから送信された電子メールの受信者はユーザーB以外の複数のユーザーが受信することも可能であるが、以下の説明においては便宜上、電子メールの送受信者はユーザーA、及びユーザーBに限定して説明する。
【0046】
なお、ユーザーAが所属するグループ1、或いはユーザーBが所属するグループ2は、一般的にはユーザーA、及びユーザーBのそれぞれが雇用されている各企業を想定するものとするが、何らかのルールに基づいてグループ化された団体であればよく、必ずしも所属するグループとして「企業」を想定するものではない。
【0047】
以下、管理サーバーの各構成について詳細に説明する。管理サーバー30は、電子情報送受信部31、各種の演算処理を行う演算部32、演算部32の演算結果をはじめとする各種データを記憶する記憶部33、演算部32の演算結果に基づいて構築した機械学習モデルに基づいて電子メールの重要度を判定する重要度判定部34、金融サーバー40から転送される所定の金融データを取得する金融データ取得部36から主に構成されている。
【0048】
[電子情報送受信部]
電子情報送受信部31は、送信側端末10から送信される電子メールを受信するとともに、受信した電子メールを電子情報蓄積部35に一時的に保管し、送信側端末10からの要求に基づいて保管されている電子メールを要求のあった受信側端末20に送信する機能を有する。
【0049】
ここで、必ずしも、電子情報送受信部31は、電子メールの受信機能と送信機能が一体化された機能を有する必要はない。例えば電子メールの受信機能と送信機能に分けて、それぞれ別体として設けられていてもよい。
【0050】
[記憶部]
記憶部33は、演算部32で演算した演算データや各種の情報を記憶するための記憶装置である。記憶部33は、図2(a)に示すように、管理サーバー30で受信した電子メールに含まれる単語を記憶する単語記憶部331、所定の単語リストを記憶する単語辞書記憶部332、グループ1とグループ2をはじめとする情報処理装置1を利用するグループの属性情報が記憶されたグループ属性情報記憶部333、外部サーバーである金融サーバー40で管理されている入出金履歴等をはじめとする金融情報を記憶するための金融データ記憶部334、ユーザーA、及びユーザーBが所有する各端末装置10、20における行動履歴を記憶する行動履歴記憶部335から主に構成されている。その他、記憶部33としては、外部サービスのシステムの利用状況を登録するための記憶部を別途設けるようにしてもよい。
【0051】
単語記憶部331は、管理サーバー30で受信された電子メールに基づいて演算処理された最小単位である単語データを一時的に記憶する記憶装置である。なお、係る演算処理の詳細については後記する。
【0052】
単語辞書記憶部332は、図2(b)に示すように感情単語辞書記憶部332a、重要単語辞書記憶部332b、及び汎用単語辞書記憶部332cから構成されている。感情単語辞書記憶部332aには、例えば「喜び」、「怒り」、「悲しみ」、「恐れ」、「好き」といった感情に関連する単語(感情単語)のリストと、各単語の特徴量をベクトル化した感情単語ベクトルが所定のルール(感情単語ルール)に沿ってそれぞれ対応付けて記憶されている。
【0053】
重要単語辞書記憶部332bは、前記した感情単語記憶部331に記憶されている単語以外の単語であって、主にビジネス上の電子メールのやり取りにおいて高い頻度で使用される単語(重要単語)、例えば「至急」、「確認」、「お願い」、「検討」、「提案」、「稟議」、「決済」といった電子メールの送信相手に対して応答を求める単語のリストと、各単語の特徴量をベクトル化した重要単語ベクトルが所定のルール(重要単語ルール)に沿ってそれぞれ対応付けて記憶されている。
【0054】
汎用単語辞書記憶部332cは、前記した感情単語、或いは重要単語では表すことができない単語(汎用単語)であって、ビジネス上の電子メールのやり取りにおいて高い頻度で使用される単語のリストが記憶されている。
【0055】
以上の感情単語、重要単語、及び汎用単語については、管理サーバー30の管理者によりその都度単語の入れ替えや単語の追加登録(又は削除)、さらには各単語の特徴量であるベクトル値を任意に設定することができ、また外部機関が提供する単語辞書ツールから取り込むようにしてもよい。なお、本発明の実施形態においては、感情単語、及び汎用単語については外部機関の単語辞書ツールを利用し、重要単語については管理サーバー30の管理者により任意に設定するようにしている。
【0056】
グループ属性情報記憶部333は、管理サーバー30にアクセスを許可された各ユーザーが所属するグループ(本発明の実施形態においてはグループ1、グループ2)に関する情報、例えば業種や所在地をはじめとして従業員数、資本金、取引先一覧等の各グループに関するあらゆる情報が記憶されている。なお、これらのグループ情報は、例えば株式会社帝国データバンクなどの企業調査会社から提供されるものを用いてもよい。
【0057】
金融データ記憶部334は、金融サーバー40から取得した各グループの金融口座の情報(主に入出金履歴)が記憶される。なお、本発明の実施形態においては金融サーバーが1つである場合を示しているが、例えば各グループが複数の金融機関において金融口座を開設している場合には、その金融口座に応じた金融サーバーと連携のうえ、各グループが保有する全ての金融口座の情報を一元的に記憶するようにしてもよい。
【0058】
行動履歴記憶部335は、管理サーバー30へのアクセスを許可されたユーザー(本発明の実施形態においてはユーザーAとユーザーB)が所有する端末装置内における行動履歴が記憶されている。具体的には、電子メールの受信者であるユーザーBが受信側端末20で受信した電子メールについて、受信時間と開封時間、或いは開封時間と当該電子メールに対する返信時間等の行動ログが記憶される。なお、電子メールに対する行動ログだけではなく、例えばインターネットの利用履歴等、端末装置内での所定の操作履歴について任意に選択して記憶することができる。
【0059】
[演算部]
演算部32は、管理サーバー30で受信した電子メールの重要度を判定するための機械学習モデルを構築する機能を有する。演算部32は、図3に示すように、電子メールに含まれる文字列から各単語の特徴量である単語ベクトルを演算する単語ベクトル演算部321、電子メールの送受信を行うユーザーAが所属するグループ1とユーザーBが所属するグループ2との金融取引の特徴量である取引ベクトルを演算する取引ベクトル演算部322、及び電子メールの受信者であるユーザーBの受信側端末20内の行動履歴に基づく特徴量である行動ベクトルを演算する行動ベクトル演算部323から主に構成されている。
【0060】
図4は単語ベクトル演算部321による演算フローをを示す。まず、送信側端末10からの電子メールの送信要求に応じて管理サーバー30の電子情報送受信部31で受信した電子メールは、そのテキストデータに基づいて形態素解析が実行される(S1)。この形態素解析により、電子メール中の最小単位である各単語に分解される。
【0061】
S1の形態素解析により得られた単語データは一時的に単語記憶部331に記憶される(S2)。
【0062】
次に形態素解析により得られた単語データを文法的な基準に基づいて意味をなさない助詞や助動詞が削除されたうえで、意味をなす動詞、名詞といった各品詞に分類、及び類似語の統一といった前処理が実行される(S3)。
【0063】
前処理をされた単語データは、前記した単語辞書記憶部332に記憶されている単語リストに基づいて、その特徴量に応じてベクトル化される(S4)。ベクトル化は、単語記憶部331に記憶されている単語データを、感情単語辞書記憶部332a、重要単語辞書記憶部332b、及び汎用単語辞書記憶部332cに記憶されている単語リストに基づく特徴ベクトル(単語ベクトル)に変換され、機械学習モデルの入力値として機械学習に使用される。
【0064】
図5は電子メールのテキストデータからベクトル化までの実施例を示す。まず、電子情報送受信部31で受信した電子メール(メールA~C)を形態素解析により最小単位の各単語に分割さる。さらに助詞や助動詞といった意味をなさない単語が削除されてベクトル化に用いる単語データのみが抽出されて行列変換される(行列変換された単語データを「単語データbow」と呼ぶ)。
【0065】
抽出された単語データは、感情単語、重要単語、汎用単語に機械的にそれぞれ分類される。実施例では、「願い」、「お礼」といった単語が感情単語として抽出され、感情単語辞書記憶部332aに登録されている感情単語ルールに基づいて感情単語ベクトルが出力される(図6(a))。
【0066】
また、「入金」、「振込」、「至急」、「確認」、「お願い」、「案内」といった単語が重要単語として抽出され、重要単語辞書記憶部332bに登録されている重要単語ルールに基づいて重要単語ベクトルとして出力される(図6(b))。
【0067】
さらに、感情単語ベクトル、及び重要単語ベクトルでは表すことができない汎用単語を、汎用単語辞書記憶部332cに登録されている単語リストに基づいて抽出され、公知の次元圧縮法に基づいてベクトル化した汎用単語ベクトルが出力される(図6(c))。
【0068】
以上の演算処理により、単語ベクトル(感情単語ベクトル、重要単語ベクトル、及び汎用単語ベクトル)が演算されると、これら単語ベクトルを入力値として機械学習される。
【0069】
次に、取引ベクトル演算部322による演算処理について説明する。図7は取引ベクトル演算部322で行われる演算処理の概念図を示す。取引ベクトル演算部322では、電子メールの送受信を行うユーザーAが所属するグループ1と、ユーザーBが所属するグループ2の親密度をベクトル化した取引ベクトルが演算される。
【0070】
取引ベクトルの演算においては、金融サーバー40より転送されるグループ1とグループ2の過去における取引額や取引回数、取引成立から入金までの日数、或いはグループ1の年間取引総額に対するグループ2の取引率といった金融データを金融データ取得部36で取得され、該金融データに基づいてグループ1とグループ2の親密度が評価される。
【0071】
取引ベクトルは、各取引項目における特徴量であるベクトル値を管理者において任意に設定することが可能である。例えば直近1年間の取引回数が20回以上であれば取引ベクトルとして「1」を付与し、15~19回であれば「0.9」といったように、各項目について0~1の範囲で所定の取引ルールに基づいて付与される。そして取引データに基づいて演算した取引ベクトルを各項目について加重平均して、最終的な取引ベクトルとして出力する。
【0072】
次に、行動ベクトル演算部323の演算処理について説明する。図8は行動ベクトル演算部323で行われる演算処理の概念図を示す。行動ベクトル演算部323では、電子メールの受信側端末20におけるユーザーの行動ログとして、過去に受信した電子メールに対する開封速度ベクトル、返信速度ベクトル、及び重要度ベクトルが演算される。
【0073】
まず開封速度ラベルは、電子メールの受信から開封までの時間を演算し、短時間であればあるほど開封速度ベクトルは最高値である1に近いベクトル値となる。例えば、受信側端末20の行動ログにより、電子メールの受信から開封までの時間が1時間以内であれば開封速度ベクトルとして「0.9」が付与され、1時間~3時間の範囲であれば「0.8」が付与されるといったように、各項目について0~1の範囲で所定の行動ルールに基づいて付与される。
【0074】
また、返信速度ベクトルは、電子メールの開封から返信までの時間を演算し、短時間であればあるほど返信速度ベクトルは最高値である1に近い値となる。なお、返信速度ベクトルも開封速度ベクトルと同様に、電子メールの開封から送信までの時間が1時間以内であれば開封ベクトルとして「0.9」が付与され、1時間~3時間の範囲であれば「0.8」といったように、各項目について0~1の範囲で所定の行動ルールに基づいて付与される。
【0075】
なお、電子メールの受信から開封までの時間と開封速度ベクトルの関係、及び電子メールの開封から返信までの時間と返信速度ベクトルの関係は管理者が任意に設定することができるものとする。
【0076】
また、重要度ベクトルは、電子メールの受信側のユーザーが特定の電子メール(特定の宛先や特定の標題等)に対して重要メッセージのフラグ(重要度フラグ)を立てたか否かにより判定される。係る重要度ベクトルは、重要度フラグが立てられている場合には「1」、それ以外の場合には「0」が付与される。
【0077】
重要度ベクトルとして「0」が付与されている場合には、開封速度ベクトルと返信速度ベクトルの加重平均した値が行動ベクトルとなる。一方、重要度ベクトルとして「1」が付与されている場合には、開封速度ベクトル、及び返信速度ベクトルの値によらず、行動ベクトルとしては「1」となる。
【0078】
図9は、演算処理により出力された単語ベクトル、取引ベクトル、及び行動ベクトルを用いて機械学習モデルを構築するための概念図を示す。機械学習モデルの構築においては、まず単語ベクトル(感情単語ベクトル、重要単語ベクトル、汎用単語ベクトル)と取引ベクトルを統合処理のうえ合成ベクトルを生成する。該合成ベクトルを変数、行動ベクトルを教師データとして入力して機械学習を行い、機械学習モデルが構築される。
【0079】
[重要度判定部]
重要度判定部34は、演算部32において構築された機械学習モデルに基づいて、新たに受信をした電子メールの重要度を判定する機能を有する。重要度の判定は、例えば0~1の間の値において出力がされる(1に近いほど重要度が高い)。重要度判定部34の出力値として、例えば0.7以上の電子メールに対しては、受信側端末20で受信する電子メールの標題や送信者の表示欄を強調表示(文字色の変更やハイライト表示)することで、受信者であるユーザーBに対して、受信した電子メールの重要度を視覚的にアラートすることができる。
【0080】
ここで、必ずしも、強調表示の方法として、前記した文字色の変更はハイライト表示に限定されるものではなく、他の電子メールと区別することができるものであれば、どのような形態であってもよい。また強調方法として表示のみならず音による通知で受信した電子メールの重要度を受信者に対して通知してもよい。
【0081】
また、必ずしも、強調表示の要否の基準として、前記した出力値(0.7)を境界値とする必要はなく、管理者において任意に設定することができる。また、出力値に応じて、強調表示の方法や強調度合を変更するようにしてもよい。
【0082】
以上、本発明に係る管理サーバー、情報処理装置、情報処理プログラム、及び情報処理方法は、多くの電子情報の中からユーザーにとって重要度の高い有用情報を確実に抽出し、ユーザーに対して提示することができるものとなっている。
【符号の説明】
【0083】
1 情報処理装置
10 送信側端末
20 受信側端末
30 管理サーバ
31 電子情報送受信部
32 演算部
321 単語ベクトル演算部
322 取引ベクトル演算部
323 行動ベクトル演算部
33 記憶部
331 単語記憶部
332 単語辞書記憶部
332a 感情単語辞書記憶部
332b 重要単語辞書記憶部
332c 汎用単語辞書記憶部
333 グループ属性情報記憶部
334 金融データ記憶部
335 行動履歴記憶部
34 重要度判定部
35 電子情報蓄積部
36 金融データ取得部
40 金融サーバー
50 インターネット回線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9