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特開2022-187862光ファイバ集合体の製造方法、光ファイバ集合体、及び、光ファイバ集合体の接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187862
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】光ファイバ集合体の製造方法、光ファイバ集合体、及び、光ファイバ集合体の接続方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20221213BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G02B6/44 391
G02B6/44 371
G02B6/02 461
G02B6/44 366
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096070
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉光 諒
(72)【発明者】
【氏名】石田 格
(72)【発明者】
【氏名】大里 健
【テーマコード(参考)】
2H201
2H250
【Fターム(参考)】
2H201AX18
2H201AX20
2H201BB05
2H201BB06
2H201BB18
2H201BB22
2H201BB33
2H201BB34
2H201BB67
2H201BB96
2H201DD05
2H201DD14
2H201DD24
2H201DD26
2H201DD32
2H201KK02
2H201MM22
2H201MM36
2H250AB03
2H250AC64
2H250AC83
2H250AC94
2H250BA32
2H250BB02
2H250BC02
2H250BD02
2H250BD14
(57)【要約】
【課題】マルチコア光ファイバを備えた光ファイバケーブルの接続管理の容易化を図ることが可能な光ファイバ集合体の製造方法を提供することである。
【解決手段】複数のコアを含むマルチコア光ファイバをそれぞれ含む複数の被集合体を集合することで光ファイバ集合体を製造する光ファイバ集合体の製造方法は、被集合体が有するマルチコア光ファイバのコア配列に対応付けられた第1の配列情報を取得する第1の工程と、当該第1の配列情報に基づいて、複数の被集合体のコア配列が同一であるか否かを判定する第2の工程と、を備えており、マルチコア光ファイバのコア配列は、マルチコア光ファイバの断面における複数のコアの配列である。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコアを含むマルチコア光ファイバをそれぞれ含む複数の被集合体を集合することで光ファイバ集合体を製造する光ファイバ集合体の製造方法であって、
前記被集合体が有する前記マルチコア光ファイバのコア配列に対応付けられた第1の配列情報を取得する第1の工程と、
前記第1の配列情報に基づいて、前記複数の被集合体のコア配列が同一であるか否かを判定する第2の工程と、を備えており、
前記マルチコア光ファイバのコア配列は、前記マルチコア光ファイバの断面における前記複数のコアの配列である光ファイバ集合体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバ集合体の製造方法であって、
前記第1の配列情報は、前記被集合体、又は、前記被集合体が巻回される第1の巻取体に付与されている光ファイバ集合体の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の光ファイバ集合体の製造方法であって、
前記第1の配列情報は、前記被集合体の第1の識別子、又は、前記被集合体が巻回される第1の巻取体の第2の識別子に関連付けられている光ファイバ集合体の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光ファイバ集合体の製造方法であって、
前記製造方法は、前記光ファイバ集合体が有する前記複数のマルチコア光ファイバのコア配列に対応付けられた第2の配列情報を、前記光ファイバ集合体、又は、前記光ファイバ集合体が巻回される第2の巻取体に付与する第3の工程をさらに備えた光ファイバ集合体の製造方法。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光ファイバ集合体の製造方法であって、
前記製造方法は、前記光ファイバ集合体が有する前記複数のマルチコア光ファイバのコア配列に対応付けられた第2の配列情報を、前記光ファイバ集合体の第3の識別子、又は、前記光ファイバ集合体が巻回される第2の巻取体の第4の識別子に関連付ける第3の工程をさらに備えた光ファイバ集合体の製造方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の光ファイバ集合体の製造方法であって、
前記製造方法は、
前記第2の配列情報を取得する第4の工程と、
前記第2の配列情報に基づいて、前記光ファイバ集合体のコア配列が、前記被集合体のコア配列とは反対であることを判定する第5の工程と、をさらに備えた光ファイバ集合体の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の光ファイバ集合体の製造方法であって、
前記製造方法は、
前記マルチコア光ファイバを形成する際に前記マルチコア光ファイバのコア配列を決定し、又は、前記マルチコア光ファイバのコア配列を検知する第6の工程と、
前記被集合体、若しくは、前記被集合体が巻回される第1の巻取体に前記第1の配列情報を付与し、又は、前記被集合体の第1の識別子、若しくは、前記第1の巻取体の第2の識別子に前記第1の配列情報を関連付ける第7の工程と、をさらに備えた光ファイバ集合体の製造方法。
【請求項8】
複数のコアを含むマルチコア光ファイバをそれぞれ含み、相互に集合された複数の被集合体を備えた光ファイバ集合体であって、
前記複数の被集合体が有する前記マルチコア光ファイバのコア配列が同一であり、
光ファイバ集合体は、前記光ファイバ集合体が有する前記複数のマルチコア光ファイバのコア配列に対応付けられた第2の配列情報が付与されており、
前記マルチコア光ファイバのコア配列は、前記マルチコア光ファイバの断面における前記複数のコアの配列である光ファイバ集合体。
【請求項9】
請求項4に記載の光ファイバ集合体の製造方法によって製造された光ファイバ集合体、又は、請求項8に記載の光ファイバ集合体を、被接続体に接続する接続方法であって、
前記第2の配列情報を参照する工程を備えた光ファイバ集合体の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチコア光ファイバを備えた光ファイバ集合体の製造方法、光ファイバ集合体、及び、光ファイバ集合体の接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のコアと、マーカと、複数のコア及びマーカを覆う共通のクラッドと、を備えたマルチコア光ファイバが知られている(例えば、特許文献1参照)。このマルチコア光ファイバでは、当該ファイバの断面において、複数のコアが対称性を有するように配置されており、この対称性を破る位置にマーカが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-170099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光ファイバケーブルの製造工程では、光ファイバ素線や光ケーブル心線を別のボビンに巻き直すこと(所謂「巻き返し」)が行われている。こうした巻き返し作業は、必要な長さの切割、高い精度の伝送特性測定、或いは、スクリーニング等に伴って発生する。
【0005】
これに対し、上述したマルチコア光ファイバでは、マーカを基準として各コアが識別されることでファイバ断面におけるコアの配列の対称性が失われて、光ファイバを一端側から見た断面形状におけるコア配列(正配列)と、当該光ファイバを他端側から見た断面形状におけるコア配列(逆配列)とが相反するため、上記の巻き返し作業の度にコア配列が正配列と逆配列との間で入れ替わってしまう。このため、光ファイバケーブルを構成する複数のマルチコア光ファイバのコア配列が揃っていない場合があり、当該光ファイバケーブルを相手方に接続する際にコアの接続管理が煩雑になってしまう、という問題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、マルチコア光ファイバを備えた光ファイバケーブルの接続管理の容易化を図ることが可能な光ファイバ集合体の製造方法、光ファイバ集合体、及び、光ファイバ集合体の接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明に係る光ファイバ集合体の製造方法は、複数のコアを含むマルチコア光ファイバをそれぞれ含む複数の被集合体を集合することで光ファイバ集合体を製造する光ファイバ集合体の製造方法であって、前記被集合体が有する前記マルチコア光ファイバのコア配列に対応付けられた第1の配列情報を取得する第1の工程と、前記第1の配列情報に基づいて、前記複数の被集合体のコア配列が同一であるか否かを判定する第2の工程と、を備えており、前記マルチコア光ファイバのコア配列は、前記マルチコア光ファイバの断面における前記複数のコアの配列である光ファイバ集合体の製造方法である。
【0008】
[2]上記発明において、前記第1の配列情報は、前記被集合体、又は、前記被集合体が巻回される第1の巻取体に付与されていてもよい。
【0009】
[3]上記発明において、前記第1の配列情報は、前記被集合体の第1の識別子、又は、前記被集合体が巻回される第1の巻取体の第2の識別子に関連付けられていてもよい。
【0010】
[4]上記発明において、前記第1の配列情報は、前記被集合体の巻き返し回数を示す巻き返し回数情報を含んでいてもよい。
【0011】
[5]上記発明において、前記製造方法は、前記光ファイバ集合体が有する前記複数のマルチコア光ファイバのコア配列に対応付けられた第2の配列情報を、前記光ファイバ集合体、又は、前記光ファイバ集合体が巻回される第2の巻取体に付与する第3の工程をさらに備えてもよい。
【0012】
[6]上記発明において、前記光ファイバ集合体に付与された前記第2の配列情報は、前記光ファイバ集合体の軸方向に対して傾斜した線状のマーキング部、前記光ファイバ集合体の軸方向を中心として螺旋状に延在するマーキング部、相互に異なる色のパターンを有するマーキング部、又は、相互に異なる形状の2以上のパターンを有するマーキング部を含んでもよい。
【0013】
[7]上記発明において、前記製造方法は、前記光ファイバ集合体が有する前記複数のマルチコア光ファイバのコア配列に対応付けられた第2の配列情報を、前記光ファイバ集合体の第3の識別子、又は、前記光ファイバ集合体が巻回される第2の巻取体の第4の識別子に関連付ける第3の工程をさらに備えてもよい。
【0014】
[8]上記発明において、前記第2の配列情報は、前記光ファイバ集合体の巻き返し回数を示す巻き返し回数情報を含んでもよい。
【0015】
[9]上記発明において、前記製造方法は、前記第2の配列情報を取得する第4の工程と、前記第2の配列情報に基づいて、前記光ファイバ集合体のコア配列が、前記被集合体のコア配列とは反対であることを判定する第5の工程と、をさらに備えていてもよい。
【0016】
[10]上記発明において、前記製造方法は、前記マルチコア光ファイバを形成する際に前記マルチコア光ファイバのコア配列を決定し、又は、前記マルチコア光ファイバのコア配列を検知する第6の工程と、前記被集合体、若しくは、前記被集合体が巻回される第1の巻取体に前記第1の配列情報を付与し、又は、前記被集合体の第1の識別子、若しくは、前記第1の巻取体の第2の識別子に前記第1の配列情報を関連付ける第7の工程と、をさらに備えていてもよい。
【0017】
[11]本発明に係る光ファイバ集合体は、複数のコアを含むマルチコア光ファイバをそれぞれ含み、相互に集合された複数の被集合体を備えた光ファイバ集合体であって、前記複数の被集合体が有する前記マルチコア光ファイバのコア配列が同一であり、光ファイバ集合体は、前記光ファイバ集合体が有する前記複数のマルチコア光ファイバのコア配列に対応付けられた第2の配列情報が付与されており、前記マルチコア光ファイバのコア配列は、前記マルチコア光ファイバの断面における前記複数のコアの配列である光ファイバ集合体である。
【0018】
[12]上記発明において、前記第2の配列情報は、前記光ファイバ集合体の外周面に設けられていてもよい。
【0019】
[13]本発明に係る光ファイバ集合体の接続方法は、上記の光ファイバ集合体の製造方法によって製造された光ファイバ集合体、又は、上記の光ファイバ集合体を接続体に接続する接続方法であって、前記第2の配列情報を参照する工程を備えた光ファイバ集合体の接続方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、被集合体が有するマルチコア光ファイバのコア配列に対応付けられた第1の配列情報を取得し、当該第1の配列情報に基づいて複数の被集合体のコア配列が同一であるか否かを判定する。これにより、本発明では、マルチコア光ファイバを備えた光ファイバケーブルの接続管理の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1(a)及び図1(b)は、本発明の第1実施形態におけるマルチコア光ファイバを示す断面図であり、図1(a)は、当該マルチコア光ファイバを一方の端部側から見た場合の断面図であり、図1(b)は、当該マルチコア光ファイバを他方の端部側から見た場合の断面図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、本発明の第1実施形態におけるマルチコア光ファイバを示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)の状態からマルチコア光ファイバの軸方向を反転させた状態を示す図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、本発明の第1実施形態におけるマルチコア光ファイバのマーキング部の第1変形例を示す平面図であり、図3(b)は、図3(a)の状態から軸方向を反転させた状態を示す図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、本発明の第1実施形態におけるマルチコア光ファイバのマーキング部の第2変形例を示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)の状態から軸方向を反転させた状態を示す図である。
図5図5は、本発明の第1実施形態における光ファイバテープ心線を示す断面図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、本発明の第1実施形態における光ファイバテープ心線を示す平面図であり、図6(b)は、図6(a)の状態から軸方向を反転させた状態を示す図である。
図7図7は、本発明の第1実施形態における光ファイバテープ心線を製造する製造システムを示す図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態における光ファイバテープ心線の製造方法を示すフローチャートである。
図9図9(a)及び図9(b)は、本発明の第4実施形態におけるボビン外観への第2の配列情報の付与方法を説明するための図である。
図10図10は、本発明の第4実施形態における光ファイバテープ心線を製造する製造システムを示す図である。
図11図11は、本発明の第5実施形態における光ファイバケーブルを示す断面図である。
図12図12は、本発明の第5実施形態における光ファイバケーブルを示す平面図である。
図13図13(a)~図13(e)は、本発明の第5実施形態における光ファイバケーブルのマーキング部の第1~第5変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
≪第1実施形態≫
本実施形態では、マルチコア光ファイバ30を「被集合体」とし、光ファイバテープ心線20を「光ファイバ集合体」とした例について説明する。
【0024】
先ず、本実施形態におけるマルチコア光ファイバ30の構成について、図1(a)~図2(b)を参照しながら説明する。図1(a)及び図1(b)は本実施形態におけるマルチコア光ファイバ30を示す断面図であり、当該マルチコア光ファイバ30の軸方向に対して垂直な断面を示している。また、図2(a)及び図2(b)は、本実施形態におけるマルチコア光ファイバ30を示す平面図である。
【0025】
本実施形態におけるマルチコア光ファイバ30は、図1(a)及び図2(a)に示すように、4つのコア31a~31dと、マーカ(トレーサ)32と、クラッド33と、被覆層34と、を備えている。このマルチコア光ファイバ30は、全体として円形の断面形状を有している。
【0026】
それぞれのコア31a~31dは、円形の断面形状を有していると共に、当該マルチコア光ファイバ30の軸方向に沿って延在している。同様に、マーカ32も、円形の断面形状を有していると共に、当該マルチコア光ファイバ30の軸方向に沿って延在している。なお、本実施形態では、コア31a~31dの直径は同一であるが、特にこれに限定されず、コア31a~31dの直径が相互に異なっていてもよい。クラッド33は、全てのコア31a~31dとマーカ32を取り囲んでいる共通のクラッドである。被覆層34は、このクラッド33の外周を覆っている。
【0027】
コア31a~31d、マーカ32、及び、クラッド33は、石英ガラスを主成分とした材料から構成されており、必要に応じて不純物が添加されることで、これらの屈折率が調整されている。コア31a~31dの屈折率は、クラッド33の屈折率よりも高くなっている。マーカ32の屈折率も、クラッド33の屈折率よりも高くなっている。なお、本実施形態では、コア31a~31dの屈折率は同一であるが、特にこれに限定されず、コア31a~31dの屈折率が相互に異なっていてもよい。
【0028】
被覆層34は、紫外線硬化型樹脂等の樹脂材料をクラッド33の外周面に塗布して硬化させることで形成されている。なお、この被覆層34が、二層構造を有していてもよいし、一層構造を有していてもよい。また、この被覆層34が、マルチコア光ファイバ30を識別するための着色層を含んでいてもよい。
【0029】
4つのコア31a~31dは、マルチコア光ファイバ30と中心CPを共有する仮想上の正方形VSの頂点にそれぞれ配置されており、当該ファイバ断面において対称性を有している。これに対し、マーカ32は、特定のコア(本実施形態ではコア31a)の近傍に配置されており、上記の対称性を破る位置に設けられている。
【0030】
4つのコア31a~31dは、このマーカ32を基準として、コア番号がそれぞれ割り振られることで個別に識別されている。一例を挙げれば、コア31aが「第1番目」のコアであり、コア31bが「第2番目」のコアであり、コア31cが「第3番目」のコアであり、コア31dが「第4番目」のコアである。このコア番号は、後述するように、当該マルチコア光ファイバ30を備えた光ファイバケーブルを相手方の被接続体(相手方の光ファイバケーブルや光学部品等)に接続する際に、それぞれのコアの接続管理に使用される。
【0031】
本実施形態では、上記のようにコア31a~31dに個別に番号が割り振られているため、マルチコア光ファイバ30の断面における4つのコア31a~31dの配列(以下単に「コア配列」とも称する。)として、図1(a)に示す「正配列」と、図1(b)に示す「逆配列」との2種類のコア配列が存在している。
【0032】
なお、図1(a)は、当該マルチコア光ファイバ30の第1の端部(一方の端部)301側から見た図であり、図2(a)のIA-IA線に沿った断面図である。これに対し、図1(b)は、当該マルチコア光ファイバ30の第2の端部(他方の端部)302側から見た図であり、図2(b)のIB-IB線に沿った断面図である。
【0033】
また、図2(a)は、マルチコア光ファイバ30の第1の端部301が図中右側に位置し、第2の端部302が図中左側に位置した図である。これに対し、図2(b)は、当該マルチコア光ファイバ30の第1の端部301が図中左側に位置し、第2の端部302が図中右側に位置した図であり、図2(a)の状態から軸方向を反転させた状態を示す図である。
【0034】
具体的には、図1(a)に示す「正配列」では、マーカ32の近傍に位置する第1のコア31aが図中左側に位置し、第2のコア31bが図中上側に位置し、第3のコア31cが図中右側に位置し、第4のコア31dが図中下側に位置しており、第1~第4のコア31a~31dが図中時計周りに並んでいる。これに対し、図1(b)に示す「逆配列」では、図1(a)と比較してマーカ32が図中右側に移動し、当該マーカ32の近傍に位置する第1のコア31aが図中右側に位置し、第2のコア31bが図中上側に位置し、第3のコア31cが図中左側に位置し、第4のコア31dが図中下側に位置しており、第1~第4のコア31a~31dは図中反時計周りに並んでいる。すなわち、図1(a)に示す「正配列」と、図1(b)に示す「逆配列」とは、鏡像関係にある。
【0035】
このように、本実施形態では、コア31a~31dに個別に番号が割り振られていることで、マルチコア光ファイバ30を第1の端部301側から見たコア配列と、第2の端部302側から見たコア配列とが相互に異なっており、これらのコア配列は相互に逆転している。
【0036】
なお、本実施形態におけるマルチコア光ファイバの「コア配列」とは、当該ファイバの断面における番号無しコア(個別に識別されていないコア)のそれぞれの位置や相対的な位置関係が既知である場合において、当該ファイバ断面における番号付きコア(マーカ32を基準として個別に識別されたコア)の並び方の順序を意味するものであり、ファイバ断面における番号無しコアのそれぞれの位置や相対的な位置関係を示すものではない。
【0037】
なお、マルチコア光ファイバ30が有するコアの数は、特に上記に限定されない。また、マルチコア光ファイバ30の断面における番号無しコアの配置も、特に上記に限定されず、例えば、番号無しコアの配置が対称性を有していなくてもよい。この場合にはコアを個別に識別することができるため、マーカ32を省略してもよい。
【0038】
また、複数のコア31a~31dを個別に識別するためのマーカは、マルチコア光ファイバ30の断面において番号無しコアの配置の対称性を失うように配置されていれば、特に上記に限定されない。例えば、クラッド33に埋設された上記のマーカ32に代えて、例えば着色部等から構成されたマーカが被覆層34の外周面に付与されていてもよい。
【0039】
さらに、本実施形態のマルチコア光ファイバ30は、図1(a)及び図2(a)に示すように、当該マルチコア光ファイバ30のコア配列に対応付けられたマーキング部35(第1の配列情報)を備えている。このマーキング部35は、被覆層34の外周面に形成された一対のドット群351,352から構成されている。
【0040】
一方のドット群351は、例えば、マルチコア光ファイバ30の軸方向に沿って一列に並んだ複数の点状の青色のドット361から構成されている。これに対し、他方のドット群352は、例えば、マルチコア光ファイバ30の軸方向に沿って一列に並んだ複数の点状の赤色のドット362から構成されている。この一対のドット群351,352は、被覆層34の表面に形成されており、相互に平行に延在している。
【0041】
そして、図2(a)のように、青色のドット群351が図中上側に位置し、赤色のドット群352が図中下側の位置する場合には、このマーキング部35は、マルチコア光ファイバ30のコア配列が「正配列」(図1(a)参照)であることを示している。これに対し、図2(b)のように、青色のドット群351が図中下側に位置し、赤色のドット群352が図中上側の位置する場合には、このマーキング部35は、マルチコア光ファイバ30のコア配列が「逆配列」(図1(b)参照)であることを示している。
【0042】
なお、ドット群351,352の色は、相互に異なっていれば、上記の色に特に限定されない。また、一方のドット群351と他方のドット群352とを識別することが可能であれば、ドット群351,352の色を異ならせなくてもよい。例えば、ドット群351,352の色に代えて、ドット361,362の形状(大きさや長さ等)を異ならせることで、一方のドット群351と他方のドット群352とを識別可能としてもよい。
【0043】
ここで、マルチコア光ファイバ30は、以下のように製造される(いわゆる紡糸工程)。すなわち、光ファイバ母材(プリフォーム)を加熱溶融して線引きすることで、複数のコア31a~31d、マーカ32、及び、クラッド33を備えたファイバ裸線(ベアファイバ)を形成する。次いで、当該ファイバ裸線を被覆層34で覆うことで、マルチコア光ファイバ30が形成される。
【0044】
この際、マーキング部35は、以下のように形成される。すなわち、上記のファイバ裸線を形成する際に、マーカ32を基準とした番号付きの4つのコア31a~31dの配列を予め決めておく。そして、当該ファイバ裸線を被覆層34で覆った後に、予め決めておいたコア配列に基づいて、例えば、凹版ロール印刷法やインクジェット法等の印刷法によってマーキング部35が被覆層34に形成される。マーキング部35が形成されたマルチコア光ファイバ30は、ボビン60に巻き取られる。
【0045】
なお、上述の方法により製造されたマルチコア光ファイバ30の断面を視認することで、マルチコア光ファイバ30のコア配列を検知してもよい。
【0046】
なお、マーキング部の構成は、特に上記に限定されず、例えば、図3(a)及び図3(b)、又は、図4(a)及び図4(b)に示すような構成であってもよい。
【0047】
図3(a)及び図3(b)は本実施形態におけるマルチコア光ファイバ30のマーキング部35Bの第1変形例を示す平面図である。図3(a)は、マルチコア光ファイバ30の第1の端部301が図中右側に位置し、第2の端部302が図中左側に位置した図である。これに対し、図3(b)は、当該マルチコア光ファイバ30の第1の端部301が図中左側に位置し、第2の端部302が図中右側に位置した図であり、図3(a)の状態から軸方向を反転させた状態を示す図である。
【0048】
図3(a)及び図3(b)に示すように、マーキング部35Bは、マルチコア光ファイバ30の軸方向に沿って間隔を空けて交互に並んでいる2種類のドット群353,354を備えている。ドット群353,354は、いずれも複数の点状のドット363から構成されているが、一方のドット群353を構成するドット363の数は、他方のドット群354を構成するドット363の数よりも少なくなっている。このマーキング部35Bは、図3(a)及び図3(b)において一点鎖線の枠で示すように、ドット群353,354の位置関係によって、マルチコア光ファイバ30のコア配列を示している。
【0049】
図4(a)及び図4(b)は本実施形態におけるマルチコア光ファイバのマーキング部の第2変形例を示す平面図である。図4(a)は、マルチコア光ファイバ30の第1の端部301が図中右側に位置し、第2の端部302が図中左側に位置した図である。これに対し、図4(b)は、当該マルチコア光ファイバ30の第1の端部301が図中左側に位置し、第2の端部302が図中右側に位置した図であり、図4(a)の状態から軸方向を反転させた状態を示す図である。
【0050】
図4(a)及び図4(b)に示すように、マーキング部35Cは、マルチコア光ファイバ30の軸方向に沿って間隔を空けて並べられた複数のドット群355を備えている。いずれのドット群355も複数の点状のドット363から構成されている。このマーキング部35Cでは、ドット群355の一方の側(図4(a)中左側)の間隔SP1が、当該ドット群355の他方の側(図4(a)中右側)の間隔SP2よりも狭くなっている。このマーキング部35Cは、図4(a)及び図4(b)において一点鎖線の枠で示すように、ドット群355の両側の間隔SP1,SP2の位置関係によって、マルチコア光ファイバ30のコア配列を示している。
【0051】
次に、本実施形態における光ファイバテープ心線20の構成について、図5図6(b)を参照しながら説明する。
【0052】
図5は本実施形態における光ファイバテープ心線20を示す断面図である。また、図6(a)及び図6(b)は本実施形態における光ファイバテープ心線20を示す平面図である。なお、図5は、図6(a)のV-V線に沿った断面図である。また、図6(a)は、光ファイバテープ心線20の一端(第1の端部)が図中右側に位置し、他端(第2の端部)が図中左側に位置した図である。これに対し、図6(b)は、当該光ファイバテープ心線20の一端(第1の端部)が図中左側に位置し、他端(第2の端部)が図中右側に位置した図であり、図6(a)の状態から軸方向を反転させた状態を示す図である。
【0053】
本実施形態における光ファイバテープ心線20は、いわゆる間欠固定型のテープ心線である。この光ファイバテープ心線20は、図5及び図6(a)に示すように、複数(本例では4本)の上述したマルチコア光ファイバ30と、連結部21と、を備えている。
【0054】
具体的には、複数のマルチコア光ファイバ30は、相互に実質的に平行に延在するように、同一面上に配置されている。そして、相互に隣り合うマルチコア光ファイバ30同士が、光ファイバテープ心線20の長手方向において所定の間隔を空けて連結部21で固定されていると共に、当該連結部21同士が、光ファイバテープ心線20の長手方向において相互にずれて配置されている。この連結部21は、紫外線硬化型樹脂等の樹脂材料により構成されている。
【0055】
なお、光ファイバテープ心線20を構成するマルチコア光ファイバ30の本数は、特に上記に限定されない。また、光ファイバテープ心線20の構成は、特に上記に限定されない。例えば、連結部21が、間欠的ではなく、光ファイバテープ心線20の長手方向の全域に亘って設けられていてもよい。或いは、連結部21に代えて、複数のマルチコア光ファイバ30を樹脂層によって一括して被覆し、この樹脂層によって当該複数のマルチコア光ファイバ30を連結してもよい。
【0056】
さらに、本実施形態の光ファイバテープ心線20は、図6(a)及び図6(b)に示すように、当該光ファイバテープ心線20が有する複数のマルチコア光ファイバ30のコア配列に対応付けられたマーキング部22(第2の配列情報)を備えている。後述するように、光ファイバテープ心線20に含まれる全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列は同一であるので、このマーキング部22は、当該全てのマルチコア光ファイバ30に共通した一つのコア配列を示している。このマーキング部22は、例えば凹版ロール印刷法やインクジェット法等の印刷法によって、光ファイバテープ心線20を構成する複数のマルチコア光ファイバ30の被覆層34に横断的に形成されており、当該光ファイバテープ心線20の一方の主面201に配置されている。
【0057】
このマーキング部22は、光ファイバテープ心線20の軸方向に対して傾斜した斜線である。例えば、図6(a)に示すように、斜線が図中右方向に向かうに従って上昇する場合には、このマーキング部22は、光ファイバテープ心線20に含まれる全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が「正配列」(図1(a)参照)であることを示している。これに対し、図6(b)に示すように、斜線が図中右方向に向かうに従って下降する場合には、このマーキング部22は、光ファイバテープ心線20に含まれる全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が「逆配列」(図1(b)参照)であることを示している。
【0058】
なお、上述のマーキング部22の両方の主面201,202に形成してもよい。また、マーキング部22の構成は、光ファイバテープ心線20の断面において非対称であれば、特に上記に限定されない。また、マーキング部22として、特開2013-97350号公報に記載されているような複数種のパターン(特開2013-97350号公報の図7の符号8を参照)を用いることで、光ファイバテープ心線20同士を識別する機能をマーキング部22に付与してもよい。
【0059】
次に、以上に説明した光ファイバテープ心線20の製造方法について、図7を参照しながら以下に説明する。図7は本実施形態における光ファイバテープ心線を製造する製造システム100を示す図である。
【0060】
先ず、マルチコア光ファイバ30が巻回されたボビン60を製造システム100にセットする。具体的には、例えば、当該製造システム100の供給装置110のシャフトをボビン60の内孔に挿入しストッパを固定した後に、このボビン60からマルチコア光ファイバ30をこの製造システム100の集合装置120に向かって送り出す。光ファイバテープ心線20を構成するマルチコア光ファイバ30がそれぞれ巻回された全てのボビン60について、上記の作業を行う。すなわち、本実施形態では、4つのボビン60を製造システム100にセットする。
【0061】
なお、上述したマルチコア光ファイバ30の製造工程(紡糸工程)から図7に示す製造システム100へのボビン60のセット迄の間に、上述した巻き返し作業が行わることで、紡糸直後のボビン60とは別のボビン60にマルチコア光ファイバ30が巻回され、当該マルチコア光ファイバ30のコア配列が変わっている場合がある。
【0062】
そして、それぞれのボビン60から送り出されたマルチコア光ファイバ30が集合装置120を通過することで、4本のマルチコア光ファイバ30が同一平面上に整列されると共に、隣接するマルチコア光ファイバ30同士の間に連結部21が形成される。この連結部21は、隣接するマルチコア光ファイバ30同士の間に紫外線硬化型樹脂を間欠的に塗布した後に、当該紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して硬化させることで形成される。なお、隣接するマルチコア光ファイバ30同士の間に紫外線硬化型樹脂を連続的に塗布し硬化させた後に、当該硬化した樹脂を部分的に除去することで、連結部21を形成してもよい。そして、集合装置120によりテープ化された光ファイバテープ心線20は、この製造システム100の巻取装置130に装着されたボビン70に巻き取られる。
【0063】
さらに、本実施形態の製造システム100は、第1の取得装置140と、判定装置150と、印刷装置160と、第2の取得装置170と、を備えている。
【0064】
第1の取得装置140は、例えば、カメラから構成されている。この第1の取得装置140は、供給装置110から集合装置120に送られているマルチコア光ファイバ30の上述したマーキング部35を撮像することで、テープ化される前の当該マルチコア光ファイバ30から当該マーキング部35の画像情報を取得する。第1の取得装置140は、光ファイバテープ心線20を構成する全てのマルチコア光ファイバ30に対して、上記の作業を行う。なお、それぞれのマルチコア光ファイバ30に対して第1の取得装置140が個別に設けられていてもよいし、一台の第1の取得装置140により4本のマルチコア光ファイバ30を撮像してもよい。
【0065】
判定装置150は、上記の第1の取得装置140により取得されたマーキング部35の画像情報に対して画像処理等を行い、それぞれのマルチコア光ファイバ30のコア配列を認識すると共に、全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一か否かを判定する。この判定装置150は、例えば、製造システム100の管理装置を構成するコンピュータにより機能的に実現されている。
【0066】
具体的には、光ファイバテープ心線20を構成する全て(本例では4本)のマルチコア光ファイバ30のコア配列がいずれも「正配列」(図1(a)参照)である場合に、判定装置150は、全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であると判定する。また、全て(本例では4本)のマルチコア光ファイバ30のコア配列がいずれも「逆配列」(図1(b)参照)である場合にも、判定装置150は、全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であると判定する。なお、マルチコア光ファイバ30を中心CPを中心として回転させるとコア配列が一致する場合には、マルチコア光ファイバ30のコア配列は同一であると判定される。
【0067】
判定装置150によって全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であると判定された場合(すなわち、肯定的な判定結果であった場合)には、複数のマルチコア光ファイバ30は集合装置120によってテープ化され巻取装置130により巻き取られる。
【0068】
これに対し、例えば、光ファイバテープ心線20を構成する4本のマルチコア光ファイバ30の中で、3本のマルチコア光ファイバ30のコア配列が「正配列」であるのに対し、残りの1本のマルチコア光ファイバ30のコア配列が「逆配列」である場合には、判定装置150は、マルチコア光ファイバ30のコア配列が同一ではないと判定する。すなわち、判定装置150は、少なくとも一本のマルチコア光ファイバ30のコア配列が他のマルチコア光ファイバ30のコア配列と同一ではない場合に、マルチコア光ファイバ30のコア配列が同一ではないと判定する。
【0069】
そして、判定装置150によってマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一ではないと判定された場合(すなわち、否定的な判定結果であった場合)には、例えば、製造システム100を停止させると共に、音や画面表示によってオペレータに報知を行う。これにより、コア配列が揃っていないマルチコア光ファイバ30を備えた光ファイバテープ心線20が製造されてしまうのを防止することができる。
【0070】
印刷装置160は、例えば、凹版印刷機、或いは、インクジェットプリンタから構成されている。この印刷装置160は、集合装置120から巻取装置130に送られている光ファイバテープ心線20に上述したマーキング部22を形成する。この印刷装置160は、判定装置150により同一と判定されたコア配列を、光ファイバテープ心線20のコア配列として設定し、当該光ファイバテープ心線20のコア配列に対応付けれたマーキング部22を光ファイバテープ心線20に印刷する。なお、この光ファイバテープ心線20のコア配列は、当該光ファイバテープ心線20をボビン70に巻き取った後のコア配列を示すため、上述の巻き返しと同じ原理で、ボビン60から送り出されたマルチコア光ファイバ30のコア配列とは逆転している。
【0071】
第2の取得装置170は、上述の第1の取得装置140と同様に、例えば、カメラから構成されている。この第2の取得装置170は、印刷装置160により光ファイバテープ心線20に形成されたマーキング部22を撮像することで、ボビン70に巻回される前の当該光ファイバテープ心線20から当該マーキング部22の画像情報を取得する。
【0072】
そして、上述の判定装置150が、このマーキング部22の画像情報に対して画像処理等を行い、光ファイバテープ心線20のコア配列を認識し、この光ファイバテープ心線20のコア配列がマルチコア光ファイバ30のコア配列に対して反対であるか否かを判定する。これにより、印刷装置160によりマーキング部22が適切に形成されていることを確認することができる。
【0073】
なお、マーキング部22を撮像して光ファイバテープ心線20のコア配列がマルチコア光ファイバ30のコア配列に対して反対であるか否かを判定する工程は、光ファイバテープ心線20をボビン70に巻き取った後に行ってもよい。
【0074】
以上のように、本実施形態では、マルチコア光ファイバ30のコア配列に対応付けられたマーキング部35を撮像し、当該マーキング部35に基づいて複数のマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であるか否かを判定する。これにより、本実施形態では、光ファイバテープ心線20を構成する全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列を揃えることができ、当該光ファイバテープ心線20を用いた光ファイバケーブルの接続管理の容易化を図ることができる。
【0075】
≪第2実施形態≫
上述の第1実施形態では、コア配列に対応付けられたマーキング部35をマルチコア光ファイバ30自体に付与したが、本実施形態では、コア配列に対応付けられた配列情報を製造システムの管理装置に記憶しておく点で、第1実施形態と相違する。
【0076】
図8は本実施形態における光ファイバテープ心線20の製造方法を示すフローチャートである。
【0077】
例えば、図8は、複数のマルチコア光ファイバ30を備えた光ファイバテープ心線20を製造する製造システムの管理装置によって実行される処理の流れを示す図である。なお、本実施形態における製造システムは、第1の取得装置140、印刷装置160、及び、第2の取得装置170を備えていない点で、図7に示す製造システム100と相違している。
【0078】
本実施形態では、先ず、図8のステップS10において、例えば、オペレータが管理装置に対して入力作業を行う。この入力工程では、光ファイバテープ心線20を構成するマルチコア光ファイバ30(被集合体)を識別するための被集合体識別子(被集合体ID)と、当該光ファイバテープ心線20における当該マルチコア光ファイバ30の心線番号との対応付けが行われる。このステップS10は、マルチコア光ファイバ30が巻回されたボビン60を製造システムの供給装置110に装着する前に実行される。
【0079】
本実施形態では、それぞれのマルチコア光ファイバ30のファイバ裸線を形成する際にコア配列を予め決めておき(すなわちコア配列を決めた状態で紡糸を行い)、この時点で、当該コア配列に対応した第1の配列情報を製造システムの管理装置の記憶部101に記憶しておく。この際、当該第1の配列情報を、マルチコア光ファイバ30の被集合体IDに関連付けて記憶する。この第1の配列情報は、被集合体情報(ファイバ情報)の一部を構成する。なお、紡糸後にマルチコア光ファイバ30の断面を視認することで、マルチコア光ファイバ30のコア配列を検知してもよい。そして、この第1の配列情報は、マルチコア光ファイバ30が巻き返される度に、当該巻き返し後のコア配列に対応した第1の配列情報に更新される。
【0080】
マルチコア光ファイバ30のコア配列に対応付けられた第1の配列情報の一例としては、マルチコア光ファイバ30のコア配列を示す数字データを挙げることができる。例えば、マルチコア光ファイバ30のコア配列が「正配列」である場合には、第1の配列情報として、被集合体IDに「0」を関連付ける。これに対し、マルチコア光ファイバ30のコア配列が「逆配列」である場合には、第1の配列情報として、被集合体IDに「1」を関連付ける。
【0081】
そして、例えば、巻き返しによりコア配列が「正配列」から「逆配列」に変わった場合には、第1の配列情報として記憶されていた「0」を「1」に更新する。これに対し、巻き返しによりコア配列が「逆配列」から「正配列」に変わった場合には、第1の配列情報として記憶されていた「1」を「0」に更新する。
【0082】
上述のステップS10においてオペレータによる入力作業が完了したら、図8のステップS20において、製造システムの管理装置は、被集合体IDに対応付けて記憶部101に記憶されている第1の配列情報を読み出す。次いで、製造システムの管理装置は、ステップS30において、上述の判定装置150と同様の要領で、記憶部101から読み出した第1の配列情報に基づいて、全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一か否かを判定する。具体的には、被集合体IDに関連付けられた全ての数値データが同一である場合には、全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であると判定される。これに対し、少なくとも一つの識別子に関連付けられた数値データが、他の識別子に関連付けられた数値データと異なる場合には、マルチコア光ファイバ30のコア配列が同一ではないと判定される。
【0083】
なお、マルチコア光ファイバ30のコア配列に対応した第1の配列情報の別の例として、マルチコア光ファイバ30の「巻き返し回数」を挙げることができる。例えば、光ファイバ裸線が製造された初期状態からのマルチコア光ファイバ30の巻き返し回数を示す数字データを被集合体IDに関連付ける。
【0084】
具体的には、下の表1に示すように、巻き返し回数が1回である場合には被集合体IDの末尾に「1」を付与し、巻き返し回数が2回である場合には被集合体IDに「2」を関連付け、巻き返しが行われていない場合には被集合体IDの末尾に「0」を付与する。この巻き返し回数は、光ファイバ裸線が製造された初期状態からカウントされており、当該巻き返し回数が増加する度に更新される。
【0085】
この場合には、表1に示すように、マルチコア光ファイバ30に関連付けされた全ての巻き返し回数が偶数(0を含む)である場合、又は、全ての巻き返し回数が奇数である場合には、全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であると判定される。これに対し、少なくとも一つの巻き返し回数が奇数又は偶数の一方であり、他の巻き返し回数が偶数又は奇数の他方である場合には、マルチコア光ファイバ30のコア配列が同一ではないと判定される。なお、マルチコア光ファイバ30の巻き返し回数が「奇数」又は「偶数」のいずれであるかを、被集合体IDに関連付けてもよい。
【0086】
【表1】
【0087】
そして、図8のステップS30において全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であると判定された場合には、複数のマルチコア光ファイバ30は集合装置120によってテープ化される。
【0088】
これに対し、このステップS30でマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一ではないと判定された場合には、例えば、製造システムを停止させると共に、音や画面表示によってオペレータに報知を行う。オペレータは、この報知により、例えば、供給装置110にボビン60を装着する前に、正しいマルチコア光ファイバ30の被集合体IDを心線番号に対応付ける。
【0089】
そして、図8のステップS40において、製造システムの管理装置は、上記のステップS30で同一と判定されたコア配列を、光ファイバテープ心線20のコア配列として設定し、当該光ファイバテープ心線20のコア配列に対応付けられた第2の配列情報を製造システムの管理装置の記憶部101に記憶する。この際、当該第2の配列情報を、光ファイバテープ心線20(集合体)の集合体識別子(集合体ID)に関連付けて記憶する。この第2の配列情報は、集合体情報(心線情報)の一部を構成する。光ファイバテープ心線20のコア配列に対応した第2の配列情報の一例としては、マルチコア光ファイバ30のコア配列に対応付けられた数値データを挙げることができる。この第2の配列情報は、光ファイバテープ心線20が巻き返しされる度に、当該巻き返し後のコア配列に対応した第2の配列情報に更新される。この光ファイバテープ心線20のコア配列に対応した第2の配列情報は、例えば、後述する光ファイバケーブル1を製造する際に使用される。
【0090】
なお、光ファイバテープ心線20のコア配列に対応した第2の配列情報の別の例として、光ファイバテープ心線20の「巻き返し回数」を挙げることができる。例えば、光ファイバテープ心線20を形成した時点から光ファイバテープ心線20の巻き返し回数を示す数字データを集合体IDに関連付ける。すなわち、光ファイバテープ心線20を製造した時点で当該光ファイバテープ心線20の巻き返し回数を示す数字データ「0」を集合体IDに関連付けておき、当該巻き返し回数が増加する度に当該数値データが更新される。
【0091】
また、光ファイバテープ心線20が形成された後も、個々のマルチコア光ファイバ30の巻き返し回数のカウントが継続されてもよい。或いは、光ファイバテープ心線20が形成された時点で、個々のマルチコア光ファイバ30の巻き返し回数をリセットし、当該巻き返し回数のカウントを新たに開始してもよい。
【0092】
以上のように、本実施形態では、マルチコア光ファイバ30のコア配列に対応付けられた第1の配列情報を被集合体IDに関連付けて記憶しておき、当該第1の配列情報に基づいて複数のマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であるか否かを判定する。これにより、本実施形態では、光ファイバテープ心線20を構成する全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列を揃えることができ、当該光ファイバテープ心線20を用いた光ファイバケーブルの接続管理の容易化を図ることができる。
【0093】
≪第3実施形態≫
上述の第2実施形態では、被集合体IDに第1の配列情報を関連付けているが、本実施形態では、ボビン60を識別するための巻取体識別子(巻取体ID)に第1の配列情報を関連付けている点で、第2実施形態と相違する。
【0094】
本実施形態では、マルチコア光ファイバ30のコア配列に応じた専用のボビン60を準備しておき、当該ボビン60の巻取体IDに第1の配列情報を予め関連付けておく。そして、マルチコア光ファイバ30をボビン60に巻き取る際には、巻取り後のコア配列に対応した第1の配列情報が付与された巻取体IDを有するボビン60を選択して、当該選択されたボビン60にマルチコア光ファイバ30を巻き取る。
【0095】
具体的には、「正配列」(図1(a)参照)のコア配列を有するマルチコア光ファイバ30を巻き取るボビン60を準備し、当該ボビン60の巻取体IDに「正配列」に対応した第1の配列情報を予め付与しておく。同様に、「逆配列」(図1(b)参照)のコア配列を有するマルチコア光ファイバ30を巻き取るボビン60を準備し、当該ボビン60の巻取体IDに「正配列」に対応した第1の配列情報を予め付与しておく。
【0096】
例えば、ボビン60に巻回されたマルチコア光ファイバ30のコア配列を示す数字データを巻取体IDの末尾に付与することで、巻取体IDに第1の配列情報を関連付ける。一例を挙げれば、下の表2に示すように、「正配列」用のボビン60の巻取体IDの末尾に、第1の配列情報として「0」を予め付与しておく。これに対し、「逆配列」用のボビン60の巻取体IDの末尾に、第1の配列情報として「1」を予め付与しておく。
【0097】
そして、本実施形態では、図8のステップS10において、光ファイバテープ心線20を構成するマルチコア光ファイバ30が巻回されたボビン60の巻取体IDと、当該光ファイバテープ心線20におけるマルチコア光ファイバ30の心線番号とを対応付ける。次いで、図8のステップS20において、製造システムの管理装置が、巻取体IDに対応付けて記憶されている第1の配列情報を記憶部101から読み出す。
【0098】
次いで、図8のステップS30において、製造システムの管理装置が、記憶部101から読み出した第1の配列情報に基づいて、全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一か否かを判定する。本実施形態では、下の表2に示すように、全ての巻取体IDの末尾が同一である場合には、全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であると判定される。これに対し、少なくとも一つの巻取体IDの末尾が他の巻取体IDの末尾と異なる場合には、マルチコア光ファイバ30のコア配列が同一ではないと判定される。
【0099】
【表2】
【0100】
さらに、本実施形態では、上述のボビン60と同様に、光ファイバテープ心線20のコア配列に応じた専用のボビン70を準備し、当該ボビン70の巻取体IDに第2の配列情報を関連付けておく。そして、光ファイバテープ心線20をボビン70に巻き取る際には、巻取り後のコア配列に対応した第2の配列情報が付与された巻取体IDを有するボビン70を選択して、当該選択されたボビン70に光ファイバテープ心線20を巻き取る。
【0101】
以上のように、本実施形態では、マルチコア光ファイバ30のコア配列に対応付けられた第1の配列情報をボビン60の巻取体IDに関連付けて記憶しておき、当該第1の配列情報に基づいて複数のマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であるか否かを判定する。これにより、本実施形態では、光ファイバテープ心線20を構成する全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列を揃えることができ、当該光ファイバテープ心線20を用いた光ファイバケーブルの接続管理の容易化を図ることができる。
【0102】
≪第4実施形態≫
上述の第1実施形態では、コア配列に対応付けられたマーキング部35をマルチコア光ファイバ30自体に付与したが、本実施形態では、コア配列に対応付けられた第1の配列情報をボビン60自体に付与する点で、第1実施形態と相違する。
【0103】
図9(a)及び図9(b)は本実施形態におけるボビン外観への第2の配列情報の付与方法を説明するための図であり、図10は本実施形態における光ファイバテープ心線を製造する製造システムを示す図である。
【0104】
本実施形態では、上述の第3実施形態に類似して、コア配列に応じた専用のボビン60を準備し、当該ボビン60をコア配列に応じた色で予め着色しておく。そして、マルチコア光ファイバ30をボビン60に巻き取る際には、巻取り後のコア配列に対応した色のボビン60を選択して、当該選択されたボビン60にマルチコア光ファイバ30を巻き取る。
【0105】
一例を挙げれば、「正配列」(図1(a)参照)のコア配列を有するマルチコア光ファイバ30を巻き取るボビン60として、白色のボビン60Aを準備しておく。これに対し、「逆配列」(図1(b)参照)のコア配列を有するマルチコア光ファイバ30を巻き取るボビン60として、橙色のボビン60Bを準備しておく。
【0106】
例えば、巻取り後のコア配列が「正配列」となるマルチコア光ファイバ30を巻き取る際には、図9(a)に示すように、白色のボビン60に当該マルチコア光ファイバ30を巻き取る。また、「正配列」のコア配列を有するマルチコア光ファイバ30の巻き返しを行う場合には、図9(b)に示すように、当該マルチコア光ファイバ30を橙色のボビン60に巻き取る。
【0107】
なお、ボビン60A,60Bの色は、当該ボビン60A,60Bを識別可能であれば、特に上記に限定されない。また、色に代えて、コア配列に対応したマークや模様をボビン60の外観に付与してもよい。或いは、コア配列を記載した文字列等を記載した紙片をボビン60に貼り付けておいてもよい。
【0108】
上述したボビン60を用いた光ファイバテープ心線20の製造方法について、図10を参照しながら説明する。図10は本実施形態における光ファイバテープ心線20を製造する製造システム100Bを示す図である。
【0109】
本実施形態の製造システム100Bは、印刷装置160を備えていない点と、第1及び第2の取得装置140,170がボビン60,70を撮像する点で相違している。
【0110】
本実施形態では、第1の取得装置140は、供給装置110に装着されたボビン60を撮像することで、当該ボビン60の外観の画像情報を取得する。第1の取得装置140は、光ファイバテープ心線20を構成するマルチコア光ファイバ30が巻き付けられた全てのボビン60に対して、上記の作業を行う。なお、それぞれのボビン60に対して第1の取得装置140が個別に設けられていてもよいし、一台の第1の取得装置140により4つのボビン60を撮像してもよい。
【0111】
判定装置150は、上記の第1の取得装置140により取得されたボビン60の外観の画像情報に対して画像処理等を行い、ボビン60の色に基づいてそれぞれのマルチコア光ファイバ30のコア配列を認識すると共に、全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一か否かを判定する。本実施形態では、判定装置150は、全てのボビン60の色が同一である場合に、判定装置150は、全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であると判定する。
【0112】
具体的には、図10に示すように、全てのボビン60の色が白色である場合に、全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であると判定される。また、特に図示しないが、全てのボビン60の色が橙色である場合にも、全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であると判定される。これに対し、少なくとも一つのボビン60の色が他のボビン60の色と相違する場合には、マルチコア光ファイバ30のコア配列が同一ではないと判定される。
【0113】
また、本実施形態では、上述のボビン60と同様に、光ファイバテープ心線20のコア配列に応じた専用のボビン70を準備し、当該ボビン70をコア配列に応じた色で着色しておく。そして、巻取り後の光ファイバテープ心線20のコア配列に対応した色のボビン70を巻取装置130に装着しておく。
【0114】
第2の取得装置170は、この巻取装置130に装着されたボビン70を撮像することで、当該ボビン70の外観の画像情報を取得する。そして、判定装置150が、このボビン70の外観の画像情報に対して画像処理等を行い、光ファイバテープ心線20のコア配列を認識し、この光ファイバテープ心線20のコア配列がマルチコア光ファイバ30のコア配列に対して反対であるか否かを判定する。これにより、適切な色のボビン70が巻取装置130に装着されていることを確認することができる。
【0115】
以上のように、本実施形態では、マルチコア光ファイバ30のコア配列に対応付けられた色を有するボビン60を撮像し、当該ボビン60の色に基づいて複数のマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であるか否かを判定する。これにより、本実施形態では、光ファイバテープ心線20を構成する全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列を揃えることができ、当該光ファイバテープ心線20を用いた光ファイバケーブルの接続管理の容易化を図ることができる。
【0116】
なお、ボビン60,70の外観に代えて、コア配列に対応したRFタグをボビン60,70に埋め込んでおいてもよい。この場合には、第1及び第2の取得装置140,170は、例えば、RFIDリーダから構成される。
【0117】
或いは、ボビン60,70の外観に代えて、コア配列に対応したバーコードをボビン60,70に付与してもよい。この場合には、第1及び第2の取得装置140,170は、例えば、バーコードリーダから構成される。
【0118】
≪第5実施形態≫
本実施形態では、光ファイバテープ心線20を「被集合体」とし、光ファイバケーブル1を「光ファイバ集合体」とした例について説明する。
【0119】
先ず、本実施形態における光ファイバケーブル1の構成について、図11及び図12を参照しながら説明する。図11は本実施形態における光ファイバケーブル1を示す断面図であり、図12は本実施形態における光ファイバケーブル1を示す平面図である。なお、図11は、図12のXIB-XIB線に沿った断面図である。
【0120】
本実施形態における光ファイバケーブル1は、いわゆるスロットレス型の光ファイバケーブルである。この光ファイバケーブル1は、図1に示すように、光ファイバユニット10と、押さえ巻き40と、シース50と、を備えている。なお、光ファイバケーブル1の構成は、スロットレス型に限定されず、例えば、ルースチューブ型やスロット型でもあってもよい。
【0121】
光ファイバユニット10は、上述した複数の光ファイバテープ心線20を撚り合わせることで形成されている。複数の光ファイバテープ心線20の撚り合わせ方の具体例としては、SZ撚りや一方向撚りを挙げることができる。
【0122】
なお、本実施形態では、光ファイバテープ心線20に代えて、一本のマルチコア光ファイバ30を備えた単心の光ファイバ心線を用いてもよい。この単心の光ファイバ心線には、当該光ファイバ心線が有するマルチコア光ファイバのコア配列に対応付けられたマーキング部が当該光ファイバ心線の外周面に形成されている。
【0123】
この光ファイバユニット10は押さえ巻き40によって包まれている。本実施形態では、この押さえ巻き40は、押さえ巻きテープを光ファイバユニット10の外周に縦添え巻きすることで形成されている。なお、押さえ巻きテープの巻き方は、特に上記に限定されず、例えば、横巻(螺旋巻き)であってもよい。
【0124】
シース(外被)50は、押さえ巻き40の外周を覆っている筒状の部材である。押さえ巻き40に包まれた光ファイバユニット10は、このシース50の内孔に収容されている。このシース50に、抗張力体55とリップコード56が埋設されている。
【0125】
さらに、本実施形態の光ファイバケーブル1は、図12に示すように、当該光ファイバケーブル1が有する複数の光ファイバテープ心線20が有する複数のマルチコア光ファイバ30のコア配列に対応付けられたマーキング部51(第2の配列情報)を備えている。後述するように、光ファイバケーブル1に含まれる全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列は同一であるので、このマーキング部51は、当該全てのマルチコア光ファイバ30に共通した一つのコア配列を示している。このマーキング部51は、例えば凹版ロール印刷法やインクジェット法等の印刷法によって、光ファイバケーブル1のシース50の外周面に形成されている。
【0126】
このマーキング部51は、光ファイバケーブル1の軸方向に対して傾斜した斜線である。例えば、図12に示すように、斜線が図中右方向に向かうに従って上昇する場合には、このマーキング部51は、光ファイバケーブル1に含まれる全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が「正配列」(図1(a)参照)であることを示している。これに対し、特に図示しないが、斜線の傾斜が図12に示す斜線の傾斜とは反対である場合には、このマーキング部51は、光ファイバケーブル1に含まれる全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列が「逆配列」(図1(b)参照)であることを示している。
【0127】
なお、マーキング部の構成は、特に上記に限定されず、例えば、図13(a)~図13(e)に示すような構成であってもよい。図13(a)~図13(e)は本実施形態における光ファイバケーブルのマーキングの第1~第5変形例を示す平面図である。
【0128】
図13(a)に示す例では、マーキング部51Bは、光ファイバケーブル1の軸方向を中心として螺旋状に延在している。このマーキング部51Bは、螺旋の回転方向によって、光ファイバケーブル1のコア配列を示している。
【0129】
図13(b)に示す例では、マーキング部51Cは、同一の方向を向いた複数の矢印により構成されている。このマーキング部51Cは、矢印が示す方向によって、光ファイバケーブル1のコア配列を示している。
【0130】
図13(c)に示すように、マーキング部51Dは、2つの文字515,516から構成されている。一方の文字515(「S」)は、光ファイバケーブル1の一方の端部側(図中右側)から読み取り可能なように、当該光ファイバケーブル1の周方向に沿って形成されている。これに対し、他方の文字516(「E」)は、光ファイバケーブル1の他方の端部(図中左側)から読み取り可能なように、当該光ファイバケーブル1の周方向に沿って形成されている。このマーキング部51Fは、文字515,516を読み取り可能な方向によって、光ファイバケーブル1のコア配列を示している。
【0131】
なお、図13(c)に示す例において、一方の文字515(「S」)は、マルチコア光ファイバ30のコア配列が「正配列」(図1(a)参照)であることを示している。これに対し、他方の文字516(「E」)は、マルチコア光ファイバ30のコア配列が「逆配列」(図1(b)参照)であることを示している。なお、上記の文字515に代えて、複数の文字から成る文字列を用いてもよい。同様に、上記の文字516に代えて、複数の文字から成る文字列を用いてもよい。
【0132】
図13(d)に示すように、マーキング部51Eは、相互に平行に並べられた一対の直線部511,512から構成されている。一方の直線部511は、例えば緑色を有しているのに対し、他方の直線部512は、例えば赤色を有している。このマーキング部51Eは、直線部511,512の位置関係によって、光ファイバケーブル1のコア配列を示している。なお、直線部511,512の色は、相互に異なっていれば、特に上記に限定されない。
【0133】
図13(e)に示すように、マーキング部51Fは、相互に平行に並べられた一対の直線部513,514から構成されている。一方の直線部513の長さよりも、他方の直線部514の長さが短くなっている。このマーキング部51Fも、直線部513,514の位置関係によって、光ファイバケーブル1のコア配列を示している。
【0134】
なお、マーキング部の構成は、光ファイバケーブル1の断面において非対称であれば、上述したマーキング部51E,51Fに限定されない。例えば、相互に異なる太さを有する一対の直線部によりマーキング部を構成してもよい。
【0135】
この光ファイバケーブル1を製造する製造システムは、集合装置120で実行される処理の内容が、上述した図7に示す製造システム100と相違する。
【0136】
先ず、光ファイバテープ心線20が巻回されたボビン70を供給装置110に装着し、このボビン70から光ファイバテープ心線20を集合装置120に向かって送り出す。そして、ボビン70から送り出された複数の光ファイバテープ心線20が集合装置120を通過することで、当該光ファイバテープ心線20を撚り合わせて光ファイバユニット10が形成される。また、この集合装置120により、当該光ファイバユニット10が押さえ巻き40で包まれると共に、当該押さえ巻き40がシース50で覆われる。このシース50は、集合装置120が有する押出機により押さえ巻き40の周囲に樹脂を押出成形することで形成される。そして、集合装置120により形成された光ファイバケーブル1は、巻取装置130に装着されたドラム80に巻き取られる。
【0137】
本実施形態では、第1の取得装置140が、供給装置110から集合装置120に送られている光ファイバテープ心線20の上述したマーキング部22(第1の配列情報)を撮像することで、シース50により被覆される前の当該光ファイバテープ心線20から当該マーキング部22の画像情報を取得する。次いで、判定装置150が、上記の第1の取得装置140により取得されたマーキング部22の画像情報に対して画像処理等を行い、それぞれの光ファイバテープ心線20のコア配列を認識すると共に、全ての光ファイバテープ心線20のコア配列が同一か否かを判定する。
【0138】
なお、光ファイバテープ心線20の第1の配列情報が光ファイバテープ心線20(被集合体)を識別するための被集合体識別子(被集合体ID)に関連付けられている場合には、上述の第2実施形態と同様の要領で当該配列情報を取得する。また、光ファイバテープ心線20の第1の配列情報がボビン70を識別するための巻取体識別子(巻取体ID)に関連付けられている場合には、上述の第3実施形態と同様の要領で当該配列情報を取得する。或いは、光ファイバテープ心線20の第1の配列情報がボビン70自体に付与されている場合には、上述の第4実施形態と同様の要領で当該配列情報を取得する。
【0139】
次いで、印刷装置160が、集合装置120から巻取装置130に送られている光ファイバケーブル1にマーキング部51を形成する。この印刷装置160は、判定装置150により同一と判定されたコア配列を、光ファイバケーブル1のコア配列として設定し、当該光ファイバケーブル1のコア配列に対応付けられたマーキング部51を光ファイバケーブル1に印刷する。なお、この光ファイバケーブル1のコア配列は、当該光ファイバケーブル1をドラム80に巻き取った後のコア配列を示すため、上述の巻き返しと同じ原理で、ボビン70から送り出された光ファイバテープ心線20のコア配列とは逆転している。
【0140】
次いで、第2の取得装置170が、印刷装置160により光ファイバケーブル1に形成されたマーキング部51を撮像することで、ドラム80に巻回される前の当該光ファイバケーブル1からマーキング部51の画像情報を取得する。そして、判定装置150が、このマーキング部51の画像情報に対して画像処理等を行い、光ファイバケーブル1のコア配列を認識し、この光ファイバケーブル1のコア配列が光ファイバテープ心線20のコア配列に対して反対であるか否かを判定する。これにより、印刷装置160によりマーキング部51が適切に形成されていることを確認することができる。
【0141】
なお、マーキング部51を撮像して光ファイバケーブル1のコア配列が光ファイバテープ心線20のコア配列に対して反対であるか否かを判定する工程は、光ファイバケーブル1をドラム80に巻き取った後に行ってもよい。
【0142】
また、本実施形態では、光ファイバケーブル1のコア配列に対応付けられた第2の配列情報を、当該光ファイバケーブル1自体に付与したが、第4実施形態と同様の要領で、コア配列に対応付けられた第2の配列情報を、光ファイバケーブル1が巻き取られるドラム80自体に付与してもよい。
【0143】
以上のように製造された光ファイバケーブル1を、例えば、地下管路に設置済みの光ファイバケーブルと接続するために敷設する際に、作業者がこの光ファイバケーブル1のシース50に形成されたマーキング部51を参照し、当該光ファイバケーブル1のマルチコア光ファイバ30のコア配列が事前に設定されたコア配列と同一であることを確認した上で、当該光ファイバケーブル1を敷設する。これにより、敷設後に光ファイバケーブル1のコア配列が誤っていることが判明し、敷設のやり直しになってしまうことを防止することができる。
【0144】
また、以上のように製造された光ファイバケーブル1は、例えば、敷設現場に設置されたクロージャや光成端箱等において、相手方の光ファイバケーブルに接続される。具体的には、この光ファイバケーブル1が有するマルチコア光ファイバが、相手方の光ファイバケーブルが有する光ファイバに融着接続され、又は、光コネクタを介して光学的に接続される。この際、本実施形態では、作業者が光ファイバケーブル1のシース50に形成されたマーキング部51を参照し、例えば当該光ファイバケーブル1のマルチコア光ファイバ30のコア配列が事前に設定されたコア配列と同一であることを確認した上で、当該マルチコア光ファイバを相手方の光ファイバに接続する。
【0145】
なお、上記の光コネクタの具体例としては、特に限定されないが、フェルールとスリーブを備えた光コネクタ、レンズを含む空間光学系を備えた光コネクタ、又は、光導波路を備えた光コネクタ等を例示することができる。
【0146】
或いは、上記の光ファイバケーブル1は、例えば、平面光波回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)やシリコン導波路チップ等の相手方の光学部品に接続されてもよい。具体的には、この光ファイバケーブル1が有するマルチコア光ファイバが、相手方の光学部品が有する光導波路に、光ファイバアレイを介して光学的に接続される。この際、本実施形態では、作業者が光ファイバケーブル1のシース50に形成されたマーキング部51を参照し、例えば当該光ファイバケーブル1のマルチコア光ファイバ30のコア配列が事前に設定されたコア配列と同一であることを確認した上で、当該マルチコア光ファイバを相手方の光導波路に接続する。
【0147】
なお、光ファイバアレイの一例としては、基板の端部まで延在するように当該基板に形成された複数のV溝に光ファイバが位置決めされ、この基板の端部に当該光ファイバの端面が配置されたものを挙げることができる。
【0148】
このように、本実施形態では、光ファイバケーブル1のマーキング部51を参照してから、当該光ファイバケーブル1のマルチコア光ファイバ30を相手方の光ファイバ或いは導波路に接続するので、マルチコア光ファイバ30を備えた光ファイバケーブル1の接続管理の容易化を図ることができると共に、マルチコア光ファイバ30のコアの接続ミスを防止することができる。
【0149】
なお、マーキング部51に代えて、光ファイバケーブル1が巻き取られたドラム80に第2の配列情報が付与されている場合には、作業者が当該ドラム80の外観を参照してから、当該光ファイバケーブル1のマルチコア光ファイバ30を相手方の光ファイバ或いは導波路に接続する。
【0150】
以上のように、本実施形態では、光ファイバテープ心線20のコア配列に対応付けられたマーキング部22を撮像し、当該マーキング部22に基づいて複数のマルチコア光ファイバ30のコア配列が同一であるか否かを判定する。これにより、本実施形態では、光ファイバケーブル1を構成する全てのマルチコア光ファイバ30のコア配列を揃えることができ、当該光ファイバケーブル1の接続管理の容易化を図ることができる。
【0151】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0152】
例えば、上述の第1~第4実施形態では、マルチコア光ファイバ30を「被集合体」とし、光ファイバテープ心線20を「光ファイバ集合体」とした例について説明した。また、上述の第5実施形態では、光ファイバテープ心線20を「被集合体」とし、光ファイバケーブル1を「光ファイバ集合体」とした例について説明した。しかしながら、「被集合体」及び「光ファイバ集合体」は特にこれに限定されず、以下のようにしてもよい。
【0153】
例えば、マルチコア光ファイバ30を「被集合体」とし、複数の当該マルチコア光ファイバ30を集合することで構成された第1のユニット中間体を「光ファイバ集合体」としてもよい。この第1のユニット中間体は、光ファイバケーブル1に組み込まれる中間体であり、例えば、複数のマルチコア光ファイバ30を紐、フィルム、又は、チューブで束ねることで構成されている。
【0154】
この場合には、上述の集合装置120は、複数のマルチコア光ファイバ30に、紐、若しくは、フィルムを巻き付け、又は、チューブを押し出す機能を備えている。また、第1の配列情報は、マルチコア光ファイバ30若しくは当該マルチコア光ファイバ30を巻き取るボビン60に付与され、又は、マルチコア光ファイバ30の被集合体ID若しくは当該マルチコア光ファイバ30を巻き取るボビン60の巻取体IDに関連付けられる。これに対し、第2の配列情報は、第1のユニット中間体若しくは当該第1のユニット中間体を巻き取るボビンに付与され、又は、第1のユニット中間体の集合体ID若しくは当該第1のユニット中間体を巻き取るボビンの巻取体IDに関連付けられる。
【0155】
なお、上記の第1のユニット中間体において、マルチコア光ファイバ30が撚り合わせられていてもよい。この場合には、上述の集合装置120は、複数のマルチコア光ファイバ30を撚り合わせる機能を有している。また、この場合には、上述の紐、フィルム、又は、チューブを省略してもよい。
【0156】
或いは、上述の第1のユニット中間体を「被集合体」とし、複数の当該第1のユニット中間体を集合することで構成された第2のユニット中間体を「集合体」としてもよい。この第2のユニット中間体は、光ファイバケーブル1に組み込まれる中間体であり、例えば、複数の第1のユニット中間体を紐、フィルム、又は、チューブで束ねることで構成されている。
【0157】
この場合には、上述の集合装置120は、複数の第1のユニット中間体に、紐、若しくは、フィルムを巻き付け、又は、チューブを押し出す機能を備えている。また、第1の配列情報は、第1のユニット中間体若しくは当該第1のユニット中間体を巻き取るボビンに付与され、又は、第1のユニット中間体の被集合体ID若しくは当該第1のユニット中間体を巻き取るボビンの巻取体IDに関連付けられる。これに対し、第2の配列情報は、第2のユニット中間体若しくは当該第2のユニット中間体を巻き取るボビンに付与され、又は、第2のユニット中間体の集合体ID若しくは当該第2のユニット中間体を巻き取るボビンの巻取体IDに関連付けられる。
【0158】
なお、上記の第2のユニット中間体において、第1のユニット中間体が撚り合わせられていてもよい。この場合には、上述の集合装置120は、複数の第1のユニット中間体を撚り合わせる機能を有している。また、この場合には、上述の紐、フィルム、又は、チューブを省略してもよい。
【0159】
或いは、光ファイバテープ心線20を「被集合体」とし、複数の当該光ファイバテープ心線20を集合することで構成された第3のユニット中間体を「光ファイバ集合体」としてもよい。この第3のユニット中間体は、光ファイバケーブル1に組み込まれる中間体であり、例えば、複数の光ファイバテープ心線20を、紐、フィルム、又は、チューブで束ねることで構成されている。
【0160】
この場合には、上述の集合装置120は、複数の光ファイバテープ心線20に、紐、或いは、フィルムを巻き付け、又は、チューブを押し出す機能を備えている。また、第1の配列情報は、光ファイバテープ心線20若しくは当該光ファイバテープ心線20を巻き取るボビン70に付与され、又は、光ファイバテープ心線20の被集合体ID若しくは当該光ファイバテープ心線20を巻き取るボビン70の巻取体IDに関連付けられている。これに対し、第2の配列情報は、第3のユニット中間体若しくは当該第3のユニット中間体を巻き取るボビンに付与され、又は、第3のユニット中間体の集合体ID若しくは当該第3のユニット中間体を巻き取るボビンの巻取体IDに関連付けられる。
【0161】
なお、上記の第3のユニット中間体において、光ファイバテープ心線20が撚り合わせられていてもよい。この場合には、上述の集合装置120は、複数の光ファイバテープ心線20を撚り合わせる機能を有している。また、この場合には、上述の紐、フィルム、又は、チューブを省略してもよい。
【0162】
或いは、上述の第3のユニット中間体を「被集合体」とし、複数の当該第3のユニット中間体を集合することで構成された第4のユニット中間体を「集合体」としてもよい。この第4のユニット中間体は、光ファイバケーブル1に組み込まれる中間体であり、例えば、複数の第3のユニット中間体を紐、フィルム、又は、チューブで束ねることで構成されている。
【0163】
この場合には、上述の集合装置120は、複数の第3のユニット中間体に、紐、若しくは、フィルムを巻き付け、又は、チューブを押し出す機能を備えている。また、第1の配列情報は、第3のユニット中間体若しくは当該第3のユニット中間体を巻き取るボビンに付与され、又は、第3のユニット中間体の被集合体ID若しくは当該第3のユニット中間体を巻き取るボビンの巻取体IDに関連付けられる。これに対し、第2の配列情報は、第4のユニット中間体若しくは当該第4のユニット中間体を巻き取るボビンに付与され、又は、第4のユニット中間体の集合体ID若しくは当該第4のユニット中間体を巻き取るボビンの巻取体IDに関連付けられる。
【0164】
なお、上記の第4のユニット中間体において、第3のユニット中間体が撚り合わせられていてもよい。この場合には、上述の集合装置120は、複数の第3のユニット中間体を撚り合わせる機能を有している。また、この場合には、上述の紐、フィルム、又は、チューブを省略してもよい。
【0165】
或いは、上記のいずれかのユニット中間体を「被集合体」とし、複数の当該ユニット中間体を集合することで構成された光ファイバケーブル1を「光ファイバ集合体」としてもよい。すなわち、上述の第5実施形態における光ファイバユニット10を、上述のいずれかのユニット中間体としてもよい。
【0166】
この場合には、第1の配列情報は、ユニット中間体若しくは当該ユニット中間体を巻き取るボビンに付与され、又は、ユニット中間体の被集合体ID若しくは当該ユニット中間体を巻き取るボビンの巻取体IDに関連付けられる。これに対し、第2の配列情報は、光ファイバケーブル1若しくは当該光ファイバケーブル1を巻き取るドラム80に付与される。
【0167】
また、上述の実施形態では、光ファイバテープ心線20やユニット中間体の製造工程において、当該光ファイバテープ心線20やユニット中間体をボビンに一旦巻き取った後に、当該ボビンを光ファイバケーブル1の製造工程に供給するが、特にこれに限定されない。製造された光ファイバテープ心線20やユニット中間体をボビンに巻き取らずに光ファイバケーブル1の製造工程にそのまま連続的に供給してもよい。すなわち、光ファイバテープ心線20やユニット中間体の製造工程と光ファイバケーブル1の製造工程を所謂タンデム方式としてもよい。
【符号の説明】
【0168】
1…光ファイバケーブル
10…光ファイバユニット
20…光ファイバテープ心線
201,202…主面
21…連結部
22…マーキング部
30…マルチコア光ファイバ
301,302…端部
31a~31d…第1~第4のコア
32…マーカ
33…クラッド
34…被覆層
35,35B,35C…マーキング部
351~354…ドット群
361~363…ドット
40…押さえ巻き
50…シース
51,51B~51F…マーキング部
55…抗張力体
56…リップコード
60…ボビン
70…ボビン
80…ドラム
100,100B…製造システム
101…記憶部
110…供給装置
120…集合装置
130…巻取装置
140…第1の取得装置
150…判定装置
160…印刷装置
170…第2の取得装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13