(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187879
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】手術支援システム、操作者側装置および手術支援システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20221213BHJP
B25J 3/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
A61B34/35
B25J3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096094
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】田邊 雅隆
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 裕介
(72)【発明者】
【氏名】栗原 剛史
(72)【発明者】
【氏名】梶原 慎司
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707BS13
3C707BS14
3C707BS26
3C707CS08
3C707ES03
3C707ET02
3C707HS27
3C707JT08
3C707JU12
3C707KT01
3C707KT05
3C707MT04
(57)【要約】
【課題】操作者側装置の操作部を適切な位置に停止させることが可能な手術支援システムを提供する。
【解決手段】外科手術システム100は、先端に医療器具4が取り付けられるアーム60を含む医療用マニピュレータ1と、操作者による操作を受け付ける操作部120を含む遠隔操作装置2と、制御部110と、を備える。操作部120は、操作者による操作を補助するためのサーボモータM6a~M6gを含む。そして、制御部110は、操作部120に対する操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を働かせるようにサーボモータM6a、M6bおよびM6cを制御する。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術支援システムであって、
先端に医療器具が取り付けられるアームを含む患者側装置と、
操作者による操作を受け付ける操作部を含む操作者側装置と、
制御部と、を備え、
前記操作部は、前記操作者による前記操作を補助するための駆動部を含み、
前記制御部は、前記操作部に対する前記操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を働かせるように前記駆動部を制御する、手術支援システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記操作部に対する操作速度に応じて、前記駆動部の制動パラメータを決定し、決定後の前記制動パラメータを用いて前記制動力を働かせるように前記駆動部を制御する、請求項1に記載の手術支援システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記操作の減速時において、前記操作速度の絶対値が第1閾値より大きい時に前記制動パラメータを一定とし、前記操作速度の絶対値が前記第1閾値以下の時に速度が小さくなるに従って前記制動パラメータの絶対値を小さくする、請求項2に記載の手術支援システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記操作の減速時において、
前記操作速度の絶対値が第2閾値より大きい時に前記制動パラメータをゼロとし、前記操作速度の絶対値が前記第2閾値以下で第3閾値より大きい時に、前記操作速度の絶対値が小さくなるに従って前記制動パラメータの絶対値を大きくし、前記操作速度の絶対値が前記第3閾値以下で第4閾値より大きい時に前記制動パラメータの絶対値を一定にし、前記操作速度の絶対値が前記第4閾値以下の場合には前記操作速度の絶対値が小さくなるに従って前記制動パラメータの絶対値を小さくする、請求項2に記載の手術支援システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作の加速時において、
前記操作速度の絶対値が第5閾値より小さい時に前記操作速度が大きくなるに従って前記制動パラメータの絶対値を大きくし、前記操作速度の絶対値が前記第5閾値以上で第6閾値よりも小さい時に前記制動パラメータを一定にし、前記操作速度の絶対値が前記第6閾値以上で第7閾値より小さい時に前記操作速度の絶対値が大きくなるに従って前記制動パラメータの絶対値を小さくし、前記操作速度の絶対値が前記第7閾値以上の場合には前記制動パラメータをゼロにする、請求項2~4のいずれか1項に記載の手術支援システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記操作の減速時の前記制動パラメータの絶対値の最大値を、前記操作の加速時の前記制動パラメータの絶対値の最大値よりも大きくする、請求項2~5のいずれか1項に記載の手術支援システム。
【請求項7】
前記制動パラメータを記憶する記憶部を、さらに備え、
前記制御部は、前記操作速度と、前記制動パラメータとが対応付けられたテーブルを基に前記制動パラメータを決定する、請求項2~6のいずれか1項に記載の手術支援システム。
【請求項8】
前記制動パラメータの大きさの選択を受け付ける制動パラメータ選択部をさらに備える、請求項2~7のいずれか1項に記載の手術支援システム。
【請求項9】
前記制動パラメータ選択部は、前記操作者側装置に設けられている、請求項8に記載の手術支援システム。
【請求項10】
前記操作部は、複数の回転軸を含み、
前記駆動部は、前記複数の回転軸の各々に対応するように複数設けられており、
前記制御部は、複数の前記駆動部のうちの少なくとも1つの前記駆動部に対して、前記操作部に対する前記操作の減速時およびまたは加速時に、前記制動力を大きくするように制御する、請求項1~9のいずれか1項に記載の手術支援システム。
【請求項11】
先端に医療器具が取り付けられるアームを含む患者側装置を動作させる操作者側装置であって、
操作者による操作を受け付ける操作部を含む前記操作者側装置と、
制御部と、を備え、
前記操作部は、前記操作者による前記操作を補助するための駆動部を含み、
前記制御部は、前記操作部に対する前記操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を働かせるように前記駆動部を制御する、操作者側装置。
【請求項12】
先端に医療器具が取り付けられるアームを含む患者側装置と、操作者による操作を受け付ける操作部を含む操作者側装置と、を備え、前記操作部は、前記操作者による前記操作を補助するための駆動部を含む、手術支援システムの制御方法であって、
前記操作部に対する前記操作を受け付けるステップと、
前記操作部に対する操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を働かせるように前記駆動部を制御するステップとを備える、手術支援システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、手術支援システム、操作者側装置および手術支援システムの制御方法に関し、特に、操作者による操作を受け付ける操作部を含む、手術支援システム、操作者側装置および手術支援システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作者による操作を受け付ける操作部を含む手術支援システムが知られている。例えば、特許文献1には、マスタ制御装置に設けられた操作部が受け付けた操作量に基づいて、スレーブとしての多関節ロボットアームに設けられる医療器具の移動を制御する技術が開示されている。特許文献1において、ツールは、外科部位である患者の体内において移動する。
【0003】
また、特許文献1では、マスタ制御装置に設けられた操作部は、複数のリンクを含む多関節アームにより構成されている。また、多関節アームは、L字状に屈曲された状態で上方から吊り下げられている。また、多関節アームにはモータが設けられている。これにより、操作者が手によって操作部を支えなくても、重力に抗するようにモータのトルクを発生させることによって、多関節アームのL字状に屈曲された状態が維持される。
【0004】
また、特許文献1では、モータとマスタ制御装置との間に設けられる歯車などの摩擦力を補償するように、操作者による操作部の操作速度に応じてモータが力を発生する。これにより、操作者による操作部の操作を軽くすることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0243110号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、多関節アームのモータに力を発生させることにより操作部の操作を軽くするように補助した場合、操作者が意図した適切な位置に操作部を停止させられない場合がある。そこで、マスタ制御装置の操作部を適切な位置に停止させることが望まれている。
【0007】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この開示の1つの目的は、操作者側装置の操作部を適切な位置に停止させることが可能な手術支援システム、操作者側装置および手術支援システムの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この開示の第1の局面による手術支援システムは、手術支援システムであって、先端に医療器具が取り付けられるアームを含む患者側装置と、操作者による操作を受け付ける操作部を含む操作者側装置と、制御部と、を備え、操作部は、操作者による操作を補助するための駆動部を含み、制御部は、操作部に対する操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を働かせるように駆動部を制御する。
【0009】
この開示の第1の局面による手術支援ロボットでは、上記のように、操作部は、操作者による操作を補助するための駆動部を含み、制御部は、操作部に対する操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を働かせるように駆動部を制御する。これにより、減速時に制動力が働くことにより、操作部を急停止しようとしたときの操作部の慣性に起因するオーバーシュートが抑制される。また、加速時に制動力が働くことにより、操作部が急停止された際の反動などに起因する操作部の移動が抑制される。これらにより、操作者側装置の操作部を適切な位置に停止させることができる。なお、オーバーシュートとは、操作部が適切な停止位置よりも行き過ぎることを意味する。
【0010】
この開示の第2の局面による操作者側装置は、先端に医療器具が取り付けられるアームを含む患者側装置を動作させる操作者側装置であって、操作者による操作を受け付ける操作部を含む操作者側装置と、制御部と、を備え、操作部は、操作者による操作を補助するための駆動部を含み、制御部は、操作部に対する操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を働かせるように駆動部を制御する。
【0011】
この開示の第2の局面による操作者側装置では、上記のように、操作部は、操作者による操作を補助するための駆動部を含み、制御部は、操作部に対する操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を働かせるように駆動部を制御する。これにより、減速時に制動力が働くことにより、操作部を急停止しようとしたときの操作部の慣性に起因するオーバーシュートが抑制される。また、加速時に制動力が働くことにより、操作部が急停止された際の反動などに起因する操作部の移動が抑制される。これらにより、操作者側装置の操作部を適切な位置に停止させることが可能な操作者側装置を提供することができる。
【0012】
この開示の第3の局面による手術支援システムの制御方法は、先端に医療器具が取り付けられるアームを含む患者側装置と、操作者による操作を受け付ける操作部を含む操作者側装置と、を備え、操作部は、操作者による操作を補助するための駆動部を含む、手術支援システムの制御方法であって、操作部に対する操作を受け付けるステップと、操作部に対する操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を働かせるように駆動部を制御するステップとを備える。
【0013】
この開示の第3の局面による手術支援システムの制御方法は、上記のように、操作部に対する操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を働かせるように駆動部を制御するステップを備える。これにより、減速時に制動力が働くことにより、操作部を急停止しようとしたときの操作部の慣性に起因するオーバーシュートが抑制される。また、加速時に制動力が働くことにより、操作部が急停止された際の反動などに起因する操作部の移動が抑制される。これらにより、操作者側装置の操作部を適切な位置に停止させることが可能な手術支援システムの制御方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、操作者側装置の操作部を適切な位置に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態による外科手術システムの構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態による医療用マニピュレータの構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態による遠隔操作装置の操作部の構成を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態による操作ハンドルの構成を示す図である。
【
図5】第1実施形態によるフットペダルの構成を示す図である。
【
図6】第1実施形態による医療用マニピュレータのアームの構成を示す図である。
【
図8】第1実施形態による医療用マニピュレータの操作部の構成を示す斜視図である。
【
図11】アームの並進移動を説明するための図である。
【
図12】アームの回転移動を説明するための図である。
【
図13】第1実施形態による医療用マニピュレータの制御部の構成を示すブロック図である。
【
図14】第1実施形態による遠隔操作装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【
図15】第1実施形態による加速時の制動パラメータを示す図である。
【
図16】第1実施形態による減速時の制動パラメータを示す図である。
【
図17】第1実施形態による遠隔操作装置の制御部の制御ブロック図である。
【
図18】第1実施形態による加速時および減速時の制動パラメータを示す図である。
【
図19】第1実施形態による制動パラメータ選択部を示す図である。
【
図20】第1実施形態による遠隔操作装置の制御フローを示す図である。
【
図21】第2実施形態による減速時の制動パラメータを示す図である。
【
図22】第2実施形態による加速時および減速時の制動パラメータを示す図である。
【
図23】変形例による加速時および減速時の制動パラメータを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1~
図20を参照して、第1実施形態による外科手術システム100の構成について説明する。外科手術システム100は、患者P側装置である医療用マニピュレータ1と、医療用マニピュレータ1を操作するための操作者側装置である遠隔操作装置2とを備えている。医療用マニピュレータ1は医療用台車3を備えており、移動可能に構成されている。遠隔操作装置2は、医療用マニピュレータ1から離間した位置に配置されており、医療用マニピュレータ1は、遠隔操作装置2により遠隔操作されるように構成されている。医師などの操作者は、医療用マニピュレータ1に所望の動作を行わせるための指令を遠隔操作装置2に入力する。遠隔操作装置2は、入力された指令を医療用マニピュレータ1に送信する。医療用マニピュレータ1は、受信した指令に基づいて動作する。また、医療用マニピュレータ1は、滅菌された滅菌野である手術室内に配置されている。なお、外科手術システム100は、手術支援システムの一例である。
【0018】
遠隔操作装置2は、たとえば、手術室の中または手術室の外に配置されている。遠隔操作装置2は、
図3に示すアーム121および操作ハンドル21を含む操作部120と、フットペダル22と、タッチパネル23と、モニタ24と、支持アーム25と、支持バー26とを含む。操作部120は、医師などの操作者が指令を入力するための操作用のハンドルを構成する。
【0019】
また、
図3に示すように、操作部120は、医師などの操作者から見て、左側に配置され、操作者の左手により操作される操作部120Lと、右側に配置され、操作者の右手により操作される操作部120Rと、を含んでいる。なお、操作部120Lと操作部120Rとの構成は、同様である。
【0020】
操作部120は、略L字状のアーム121を含む。アーム121は、第1リンク部121aと、第2リンク部121bと、第3リンク部121cとを有する。第1リンク部121aの上端側は、鉛直方向に沿ったA1軸回りに回動可能に遠隔操作装置2の本体に取り付けられている。第2リンク部121bの上端側は、水平方向に沿ったA2軸回りに回動可能に第1リンク部121aの下端側に取り付けられている。第3リンク部121cの一方端側は、水平方向に沿ったA3軸回りに回動可能に第2リンク部121bの下端側に取り付けられている。第3リンク部121cの他方端側には、A4軸回りに回動可能に操作ハンドル21が取り付けられている。
【0021】
アーム121は、操作ハンドル21を所定の3次元操作範囲内で移動可能に支持する。具体的には、アーム121は、上下方向、左右方向および前後方向に、操作ハンドル21を移動可能に支持する。アーム121の3次元的な操作に対応するように、アーム60が3次元的に移動される。
【0022】
操作ハンドル21は、医療器具4を操作するように構成されている。また、操作ハンドル21は、医療器具4に対する操作量を受け付ける。操作ハンドル21は、医師などの操作者から見て、左側に配置され、操作者の左手により操作される操作ハンドル21Lと、右側に配置され、操作者の右手により操作される操作ハンドル21Rと、を含んでいる。
【0023】
また、
図4に示すように、操作ハンドル21は、リンク部21a、リンク部21b、リンク部21c、医師などの操作者が操作するリンク部21dとを含む。リンク部21aは、A4軸周りに回動する。リンク部21bは、リンク部21aに対して、A5軸周りに回動する。リンク部21cは、リンク部21bに対して、A6軸周りに回動する。リンク部21dは、リンク部21cに対して、A7軸周りに回動する。
【0024】
また、操作ハンドル21は、操作ハンドル21によって受け付けられた操作量に対してアーム60および医療器具4の移動量が変更される。この変更を、スケーリングという。たとえば、移動量の倍率が1/2倍に設定されている場合、医療器具4は、操作ハンドル21の移動距離の1/2の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を精確に行うことができる。
【0025】
図5に示すように、フットペダル22は、医療器具4に関する機能を実行するように複数設けられている。また、複数のフットペダル22は、基台部28に配置されている。フットペダル22は、切替ペダル22aと、クラッチペダル22bと、カメラペダル22cと、切開ペダル22dと、凝固ペダル22eとを含んでいる。切替ペダル22aと、クラッチペダル22bと、カメラペダル22cと、切開ペダル22dと、凝固ペダル22eとは、操作者の足により操作される。また、切開ペダル22dは、右側のアーム60用の切開ペダル22dRと、左側のアーム60用の切開ペダル22dLとを含む。また、凝固ペダル22eは、右側のアーム60用の凝固ペダル22eRと、左側のアーム60用の凝固ペダル22eLとを含む。
【0026】
切替ペダル22aは、操作ハンドル21で動作させるアーム60を切り替えるように構成されている。第1実施形態では、クラッチペダル22bは、アーム60と操作ハンドル21との操作接続を一時切断するクラッチ操作を実行するように構成されている。クラッチペダル22bが操作者によって踏み込まれている間、操作ハンドル21による操作が、アーム60に伝達されなくなる。また、カメラペダル22cが操作者によって踏み込まれている間、操作ハンドル21によって、内視鏡6が取り付けられたアーム60を操作することが可能になる。切開ペダル22dまたは凝固ペダル22eが操作者によって踏み込まれている間、図示しない電気手術装置が起動する。
【0027】
図1に示すように、モニタ24は、内視鏡6によって取り込まれた画像を表示するためのスコープ型表示装置である。支持アーム25は、モニタ24の高さを医師などの操作者の顔の高さに合わせるようにモニタ24を支持する。タッチパネル23は、支持バー26に配置されている。モニタ24近傍に設けられた図示しないセンサにより操作者の頭部を検知することにより医療用マニピュレータ1は遠隔操作装置2による操作が可能になる。操作者は、モニタ24により患部を視認しながら、操作ハンドル21およびフットペダル22を操作する。これにより、遠隔操作装置2に指令が入力される。遠隔操作装置2に入力された指令は、医療用マニピュレータ1に送信される。
【0028】
医療用台車3には、医療用マニピュレータ1の動作を制御する制御部31と、医療用マニピュレータ1の動作を制御するためのプログラムなどが記憶される記憶部32とが設けられている。そして、遠隔操作装置2に入力された指令に基づいて、医療用台車3の制御部31は、医療用マニピュレータ1の動作を制御する。
【0029】
また、医療用台車3には、入力装置33が設けられている。入力装置33は、主に施術前に手術の準備を行うために、ポジショナ40、アームベース50、および、複数のアーム60の移動や姿勢の変更の操作を受け付けるように構成されている。
【0030】
図1および
図2に示す医療用マニピュレータ1は、手術室内に配置されている。医療用マニピュレータ1は、医療用台車3と、ポジショナ40と、アームベース50と、複数のアーム60とを備えている。アームベース50は、ポジショナ40の先端に取り付けられている。アームベース50は、比較的長い棒形状を有する。つまり、アームベース50は、長尺形状を有する。また、複数のアーム60は、各々のアーム60の根元部が、アームベース50に取り付けられている。複数のアーム60は、折り畳まれた収納姿勢をとることが可能に構成されている。アームベース50と、複数のアーム60とは、図示しない滅菌ドレープにより覆われて使用される。また、アーム60は、医療器具4を支持する。
【0031】
ポジショナ40は、たとえば、7軸多関節ロボットにより構成されている。また、ポジショナ40は、医療用台車3上に配置されている。ポジショナ40は、アームベース50を移動させる。具体的には、ポジショナ40は、アームベース50の位置を3次元に移動させるように構成されている。
【0032】
また、ポジショナ40は、ベース部41と、ベース部41に連結された複数のリンク部42とを含む。複数のリンク部42同士は、関節部43により連結されている。
【0033】
図1に示すように、複数のアーム60の各々の先端には、医療器具4が取り付けられている。医療器具4は、たとえば、取り換え可能なインストゥルメント、手術部位の画像grを取り込むための
図9に示される内視鏡6などを含む。
【0034】
図6に示すように、インストゥルメントには、アーム60のホルダ71に設けられたサーボモータM2によって駆動される被駆動ユニット4aが設けられている。また、インストゥルメントの先端には、鉗子4bが設けられている。
【0035】
また、
図7に示すように、インストゥルメントは、エンドエフェクタ部材104aおよび104bの基端側を先端側でJT11軸周りに回転可能に支持する第1支持体4eと、第1支持体4eの基端側を先端側でJT10軸周りに回転可能に支持する第2支持体4fと、第2支持体4fの基端側に接続されるシャフト4cとを含む。被駆動ユニット4aと、シャフト4cと、第2支持体4fと、第1支持体4eと、鉗子4bとは、Z方向に沿って配置されている。JT11軸は、シャフト4cが延びる方向であるZ方向に対して直交する。また、JT10軸は、シャフト4cが延びる方向においてJT11軸と離間しかつシャフト4cが延びる方向およびJT11軸に対して直交する。
【0036】
第1支持体4eには、JT11軸の軸線周りに回転するように鉗子4bが取り付けられている。また、第2支持体4fは、第1支持体4eをJT10軸について回転可能に支持している。つまり、第2支持体4fにはJT10軸の軸線周りに回転するように第1支持体4eが取り付けられている。また、第1支持体4eの先端側であるZ1方向側の部分は、U字形状を有している。第1支持体4eのU字形状の先端側の部分のJT11軸の軸線における中央部にツールセンタポイントとしてのTCP1が設定されている。
【0037】
また、医療器具4としての鉗子4bは、シャフト4cの回転軸としてのJT9軸と、鉗子4bの開閉軸としてのJT12軸とを備えている。なお、シャフト4cの回転軸は、シャフト4cが延びる方向に沿った軸である。なお、アーム60のホルダ71に設けられたサーボモータM2は、複数設けられており、複数のサーボモータM2によって、被駆動ユニット4aの回転体が駆動される。これにより、J9軸~J12軸周りに、医療器具4が駆動される。なお、サーボモータM2は、たとえば、4個設けられている。
【0038】
また、
図9に示すように、内視鏡6のTCP2は、内視鏡6の先端に設定されている。
【0039】
次に、アーム60の構成について詳細に説明する。
【0040】
図6に示すように、アーム60は、アーム部61と、アーム部61の先端に設けられる並進移動機構部70とを含む。アーム部61は、ベース部62、リンク部63および関節部64を含む。アーム60は、アーム60の根元側のアームベース50に対して先端側を3次元に移動させるように構成されている。また、アーム部61は、7軸多関節ロボットアームから構成されている。なお、複数のアーム60は、互いに同様の構成を有する。
【0041】
図6に示すように、アーム60は、回転軸としてのJT1~JT7軸と、直動軸としてのJ8軸とを備えている。JT1~JT7軸は、アーム部61の関節部64の回転軸に対応する。また、JT7軸は、並進移動機構部70の基端側リンク部72に対応する。JT8軸は、並進移動機構部70の先端側リンク部73を基端側リンク部72に対してZ方向に沿って相対的に移動させる軸に対応する。すなわち、
図13に示すサーボモータM1は、アーム60のJT1~JT7軸に対応するように設けられている。また、サーボモータM3は、JT8軸に対応するように設けられている。
【0042】
並進移動機構部70は、アーム部61の先端に設けられるとともに医療器具4が取り付けられている。また、並進移動機構部70は、医療器具4を患者Pに挿入する方向に並進移動させる。また、並進移動機構部70は、医療器具4をアーム部61に対して相対的に並進移動させるように構成されている。具体的には、並進移動機構部70には、医療器具4を保持するホルダ71が設けられている。ホルダ71には、
図13に示すサーボモータM2が収容されている。
【0043】
また、
図8に示すように、医療用マニピュレータ1は、アーム60に取り付けられ、アーム60を操作する操作部80を備えている。操作部80は、イネーブルスイッチ81と、ジョイスティック82とスイッチ部83とを含む。イネーブルスイッチ81は、ジョイスティック82およびスイッチ部83によるアーム60の移動を許可または不許可とする。また、イネーブルスイッチ81は、看護師、助手などの操作者が操作部80を把持して押下されることによりアーム60による医療器具4の移動を許可する状態となる。
【0044】
また、スイッチ部83は、医療器具4の長手方向に沿った医療器具4を患者Pに挿入する方向側に医療器具4を移動させるスイッチ部83aと、医療器具4を患者Pに挿入する方向と反対側に医療器具4を移動させるスイッチ部83bとを含む。スイッチ部83aとスイッチ部83bとは、共に、押しボタンスイッチから構成されている。
【0045】
また、
図8に示すように、操作部80は、アーム60に取り付けられた医療器具4の移動の
図12に示される支点となるピボット位置PPを教示するピボットボタン85を含む。ピボットボタン85は、操作部80の面80bに、イネーブルスイッチ81に隣り合うように設けられている。そして、
図9に示される内視鏡6または
図10に示されるピボット位置教示器具7の先端が、患者Pの体表面Sに挿入されたトロカールTの挿入位置に対応する位置まで移動された状態で、ピボットボタン85が押下されることによりピボット位置PPが教示され、記憶部32に記憶される。なお、ピボット位置PPの教示において、ピボット位置PPは、1つの点として設定され、ピボット位置PPの教示は、医療器具4の方向を設定するものではない。
【0046】
また、
図1に示すように、複数のアーム60のうちの一つの、たとえば、アーム60cには内視鏡6が取り付けられ、残りの、たとえば、アーム60a、60bおよび60dには、内視鏡6以外の医療器具4が取り付けられる。具体的には、手術において、4つのアーム60のうちの1つのアーム60に内視鏡6が取り付けられ、3つのアーム60に内視鏡6以外の医療器具4としての鉗子4bなどが取り付けられる。そして、内視鏡6が取り付けられているアーム60に対して、内視鏡6が取り付けられた状態でピボット位置PPが教示される。また、内視鏡6以外の医療器具4が取り付けられるアーム60に対して、ピボット位置教示器具7が取り付けられた状態でピボット位置PPが教示される。なお、内視鏡6は、互いに隣り合うように配置されている4つのアーム60のうちの、中央に配置される2つのアーム60bおよび60cのうちのいずれかに取り付けられる。すなわち、ピボット位置PPは、複数のアーム60毎に個別に設定される。
【0047】
また、
図8に示すように、操作部80の面80bには、アーム60の位置を最適化するためのアジャストメントボタン86が設けられている。内視鏡6が取り付けられたアーム60に対するピボット位置PPの教示後、アジャストメントボタン86が押下されることにより、他のアーム60およびアームベース50の位置が最適化される。
【0048】
また、
図8に示すように、操作部80は、アーム60に取り付けられた医療器具4を
図11に示される並進移動させるモードと、
図12に示される回転移動させるモードとを切り替えるモード切替ボタン84を含む。また、モード切替ボタン84の近傍には、モードインジケータ84aが設けられている。モードインジケータ84aは、切り替えられたモードを表示する。具体的には、モードインジケータ84aが点灯は、回転移動モードを表し、消灯は、並進移動モードを表す。
【0049】
また、モードインジケータ84aは、ピボット位置PPが教示されたことを表示するピボット位置インジケータを兼ねている。
【0050】
図11に示すように、アーム60を並進移動させるモードでは、医療器具4の先端4dが、X-Y平面上において移動するように、アーム60が移動される。また、
図12に示すように、アーム60を回転移動させるモードでは、ピボット位置PPが教示されていない時は、鉗子4bを中心に回転移動し、ピボット位置PPが教示されている時は、ピボット位置PPを支点として医療器具4が回転移動するように、アーム60が移動される。なお、医療器具4のシャフト4cがトロカールTに挿入された状態で、医療器具4が回転移動される。
【0051】
また、
図13に示すように、アーム60には、アーム部61の複数の関節部64に対応するように、複数のサーボモータM1と、エンコーダE1と、減速機とが設けられている。エンコーダE1は、サーボモータM1の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータM1の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0052】
また、
図13に示すように、並進移動機構部70には、医療器具4の被駆動ユニット4aに設けられた回転体を回転させるためのサーボモータM2と、医療器具4を並進移動させるためのサーボモータM3と、エンコーダE2およびエンコーダE3と、減速機とが設けられている。エンコーダE2およびエンコーダE3は、それぞれ、サーボモータM2およびサーボモータM3の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータM2およびサーボモータM3の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0053】
また、ポジショナ40には、ポジショナ40の複数の関節部43に対応するように、複数のサーボモータM4と、エンコーダE4と、減速機とが設けられている。エンコーダE4は、サーボモータM4の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータM4の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0054】
また、医療用台車3には、医療用台車3の複数の前輪の各々を駆動するサーボモータM5と、エンコーダE5と、減速機とが設けられている。エンコーダE5は、サーボモータM5の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータM5の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0055】
医療用台車3の制御部31は、指令に基づいて複数のアーム60の移動を制御するアーム制御部31aと、指令に基づいてポジショナ40の移動および医療用台車3の前輪の駆動を制御するポジショナ制御部31bとを含む。アーム制御部31aには、アーム60を駆動するためのサーボモータM1を制御するためのサーボ制御部C1が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C1には、サーボモータM1の回転角を検出するためのエンコーダE1が電気的に接続されている。
【0056】
また、アーム制御部31aには、医療器具4を駆動するためのサーボモータM2を制御するためのサーボ制御部C2が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C2には、サーボモータM2の回転角を検出するためのエンコーダE2が電気的に接続されている。また、アーム制御部31aには、並進移動機構部70を並進移動するためのサーボモータM3を制御するためのサーボ制御部C3が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C3には、サーボモータM3の回転角を検出するためのエンコーダE3が電気的に接続されている。
【0057】
そして、遠隔操作装置2に入力された動作指令が、アーム制御部31aに入力される。アーム制御部31aは、入力された動作指令と、エンコーダE1~E3により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、位置指令をサーボ制御部C1~C3に出力する。サーボ制御部C1~C3は、アーム制御部31aから入力された位置指令と、エンコーダE1~E3により検出された回転角とに基づいて、トルク指令を生成するとともに、トルク指令をサーボモータM1~M3に出力する。これにより、遠隔操作装置2に入力された動作指令に沿うように、アーム60が移動される。
【0058】
また、
図13に示すように、制御部31のアーム制御部31aは、操作部80のジョイスティック82からの入力信号に基づいてアーム60を操作するように構成されている。具体的には、アーム制御部31aは、ジョイスティック82から入力された入力信号と、エンコーダE1により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、位置指令をサーボ制御部C1に出力する。サーボ制御部C1は、アーム制御部31aから入力された位置指令と、エンコーダE1により検出された回転角とに基づいて、トルク指令を生成するとともに、トルク指令をサーボモータM1に出力する。これにより、ジョイスティック82に入力された動作指令に沿うように、アーム60が移動される。
【0059】
制御部31のアーム制御部31aは、操作部80のスイッチ部83からの入力信号に基づいてアーム60を操作するように構成されている。具体的には、アーム制御部31aは、スイッチ部83から入力された入力信号である動作指令と、エンコーダE1またはE3により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、位置指令をサーボ制御部C1またはC3に出力する。サーボ制御部C1またはC3は、アーム制御部31aから入力された位置指令と、エンコーダE1またはE3により検出された回転角とに基づいて、トルク指令を生成するとともに、トルク指令をサーボモータM1またはM3に出力する。これにより、スイッチ部83に入力された動作指令に沿うように、アーム60が移動される。
【0060】
また、
図13に示すように、ポジショナ制御部31bには、ポジショナ40を移動するサーボモータM4を制御するためのサーボ制御部C4が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C4には、サーボモータM4の回転角を検出するためのエンコーダE4が電気的に接続されている。また、ポジショナ制御部31bには、医療用台車3の前輪を駆動するサーボモータM5を制御するためのサーボ制御部C5が電気的に接続されている。また、サーボ制御部C5には、サーボモータM5の回転角を検出するためのエンコーダE5が電気的に接続されている。
【0061】
また、入力装置33から準備位置の設定などに関する動作指令が、ポジショナ制御部31bに入力される。ポジショナ制御部31bは、入力装置33から入力された動作指令と、エンコーダE4により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、位置指令をサーボ制御部C4に出力する。サーボ制御部C4は、ポジショナ制御部31bから入力された位置指令と、エンコーダE4により検出された回転角とに基づいて、トルク指令を生成するとともに、トルク指令をサーボモータM4に出力する。これにより、入力装置33に入力された動作指令に沿うように、ポジショナ40が移動される。同様に、入力装置33からの動作指令に基づいて、ポジショナ制御部31bは、医療用台車3を移動させる。
【0062】
また、
図14に示すように、遠隔操作装置2は、制御部110を備えている。制御部110には、アーム121および操作ハンドル21を含む操作部120の回転軸であるA1~A7軸に対応するように設けられたサーボモータM6a~M6gを制御するためのサーボ制御部C6a~6gが電気的に接続されている。また、サーボ制御部C6a~6gには、サーボモータM6a~6gの回転角を検出するためのエンコーダE6a~E6gが電気的に接続されている。なお、サーボモータM6a~M6g、サーボ制御部C6a~6g、および、エンコーダE6a~E6gは、操作部120Lと、操作部120Rとに各々設けられている。なお、サーボモータM6a~M6gは、駆動部の一例である。
【0063】
ここで、制御部110は、操作部120の姿勢に応じて、サーボモータM6a~M6gの回転軸A1~A7に発生する重力トルクを打ち消すようなトルクを発生するように、サーボモータM6a~M6gを制御する。これにより、操作者は、比較的小さい力で操作部120を操作することが可能になる。
【0064】
また、制御部110は、操作部120の操作に応じて、サーボモータM6a~M6gの回転軸A1~A7にトルクを発生させ、操作者の操作をアシストするようにサーボモータM6a~M6gを制御する。これにより、操作者は、比較的小さい力で操作部120を操作することが可能になる。
【0065】
ここで、第1実施形態では、制御部110は、操作部120に対する操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を働かせるようにサーボモータを制御する。具体的には、
図15に示すように、制御部110は、操作部120に対する操作の加速時に、制動力を働かせるようにサーボモータを制御する。すなわち、制御部110は、加速時に、制動力をソフトウェア的に働かせる。また、制御部110は、複数のサーボモータのうちの少なくとも1つのサーボモータに対して、操作部120に対する操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を大きくするように制御する。具体的には、制御部110は、アーム60によって医療器具4を移動させる回転軸に対応するサーボモータに対して、操作部120に対する操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を働かせるように制御する。詳細には、制御部110は、A1、A2、およびA3軸に対応する、サーボモータM6a、M6b、およびM6cに対して制動力を働かせるように制御する。サーボモータM6a、M6bおよびM6cは、アーム60を3次元的に移動させるための操作に対応する。なお、制御部110は、A1、A2、およびA3軸以外に適用しても良い。例えば、制御部110は、A7軸に対応するM6gに対して制動力を働かせるように制御する。サーボモータM6gは、シャフト4cに沿った軸周りに鉗子4bを回転させる操作に対応する。
【0066】
具体的には、
図17に示すように、制御部110には、操作部120の操作速度ωが入力される。操作速度ωとは、A1、A2またはA3軸周りに回転される回転速度を意味する。制御部110は、入力された操作速度ωに対して、
図17においてLPFと示されるローパスフィルタをかける。また、制御部110は、入力された回転速度の差分より加速度を算出するとともに算出した加速度に対してローパスフィルタをかける。そして、制御部110は、操作速度ωおよび算出された加速度に基づいて、操作部120が加速されているか、または、減速されているかを判定する。また、制御部110は、加速または減速の判定に基づいて、制動パラメータτを決定する。そして、制御部110は、決定した制動パラメータτに対応する電流指令値にローパスフィルタをかけた後に、電流指令値をサーボ制御部C6a、C6bおよびC6に出力する。これにより、サーボモータM6a、M6bおよびM6cに対して制動力が働く。
【0067】
第1実施形態では、制御部110は、操作部120に対する操作速度に応じて、サーボモータM6a、M6bおよびM6cの制動パラメータτを決定し、決定後の制動パラメータτを用いて制動力を働かせるようにサーボモータM6a、M6bおよびM6cを制御する。なお、以下の説明では、A1、A2およびA3の各々の軸周りの一方側の回転を正の方向の回転とし、他方側の回転を負の方向の回転とする。
【0068】
第1実施形態では、
図15に示すように、制御部110は、操作の加速時において、操作速度ωの絶対値が第5閾値より小さい時に操作速度ωが大きくなるに従って制動パラメータτの絶対値を大きくし、操作速度ωの絶対値が第5閾値以上で第6閾値よりも小さい時に制動パラメータτを一定にし、操作速度ωの絶対値が第6閾値以上で第7閾値より小さい時に操作速度ωの絶対値が大きくなるに従って制動パラメータτの絶対値を小さくし、操作速度ωの絶対値が第7閾値以上の場合には制動パラメータτをゼロにする。具体的には、制御部110は、操作の加速時において、操作速度ωが閾値ω
a1より小さい時に操作速度ωが大きくなるに従って制動パラメータτを大きくし、操作速度ωが閾値ω
a1以上で閾値ω
a2よりも小さい時に制動パラメータτを一定のτ
aにし、操作速度ωが閾値ω
a2以上で閾値ω
a3より小さい時に操作速度ωが大きくなるに従って制動パラメータτを小さくし、閾値ω
a3以上の場合には制動パラメータτをゼロにする。制御部110は、操作の加速時において、閾値-ω
a1より大きい時に操作速度ωが大きくなるに従って制動パラメータτを大きくし、操作速度ωが閾値-ω
a2以上で閾値-ω
a1よりも小さい時に制動パラメータτを一定である-τ
aにし、操作速度ωが閾値-ω
a3以上で閾値-ω
a2より小さい時に操作速度ωが大きくなるに従って制動パラメータτを小さくし、閾値-ω
a3以下の場合には制動パラメータτをゼロにする。なお、閾値ω
a1および閾値-ω
a1は、第5閾値の一例である。また、閾値ω
a2および閾値-ω
a2は、第6閾値の一例である。閾値ω
a3および閾値-ω
a3は、第7閾値の一例である。
【0069】
また、操作速度ωが負の場合は、サーボモータが逆回転することを意味する。
【0070】
また、操作速度ωが、閾値-ωa1から閾値ωa1までの間は、線形的に制動パラメータτが増加する。また、操作速度ωが、閾値ωa2から閾値ωa3までの間は、線形的に制動パラメータτが減少する。また、操作速度ωが、閾値-ωa2から閾値-ωa3までの間は、線形的に制動パラメータτが増加する。操作速度ωが0の時は、制動パラメータτは0である。
【0071】
また、第1実施形態では、
図16に示すように、制御部110は、操作部120に対する操作の減速時に、制動パラメータτを働かせるようにサーボモータを制御する。すなわち、制御部110は、減速時に、制動パラメータτをソフトウェア的に働かせる。具体的には、制御部110は、操作の減速時において、操作速度ωの絶対値が第1閾値より大きい時に制動パラメータτを一定とし、操作速度ωの絶対値が第1閾値以下の時に速度が小さくなるに従って制動パラメータτの絶対値を小さくする。詳細には、制御部110は、操作の減速時において、操作速度ωが閾値ω
bより大きい時に制動パラメータτを一定であるτ
bにし、操作速度ωが閾値ω
b以下の時に操作速度ωが小さくなるに従って制動パラメータτを小さくする。制御部110は、操作の減速時において、操作速度ωが閾値-ω
bより小さい時に制動パラメータτを一定である-τ
bにし、操作速度ωが閾値-ω
b以上の時に、操作速度ωが大きくなるに従って制動パラメータτを大きくする。なお、閾値ω
bおよび閾値-ω
bは、第1閾値の一例である。
【0072】
詳細には、操作速度ωが閾値ωbから0までの間は、線形的に制動パラメータτが小さくなる。操作速度ωが閾値-ωbから0までの間は、線形的に制動パラメータτが大きくなる。操作速度ωが0の時は、制動パラメータτは0である。
【0073】
また、第1実施形態では、制御部110は、操作の減速時の制動パラメータτ
bの絶対値の最大値を、操作の加速時の制動パラメータτ
aの絶対値の最大値よりも大きくする。たとえば、第1実施形態では、
図18に示すように、点線で示される操作の減速時の制動パラメータτ
bの最大値は、実線で示される操作の加速時の制動パラメータτ
aの最大値の4倍である。
【0074】
また、第1実施形態では、
図1に示すように、制動パラメータτを記憶する記憶部111が設けられている。記憶部111は、たとえば、遠隔操作装置2に設けられている。そして、制御部110は、操作速度ωと、制動パラメータτとが対応付けられたテーブルを基に制動パラメータτを決定する。すなわち、
図15および
図16に示される操作速度ωと制動パラメータτとの関係がテーブルにされた状態で記憶部111に記憶されている。
【0075】
また、第1実施形態では、
図19に示すように、制動パラメータτの大きさの選択を受け付ける制動パラメータ選択部23aが設けられている。制動パラメータ選択部23aは、遠隔操作装置2に設けられている。具体的には、制動パラメータ選択部23aは、遠隔操作装置2のタッチパネル23である。
【0076】
次に、
図20を参照して、外科手術システム100の制御フローについて説明する
【0077】
ステップS1において、操作部120に対する操作が受け付けられる。これにより、受け付けられた操作に対応する操作速度ωが制御部110に入力される。
【0078】
ステップS2において、制御部110は、入力された操作速度ωから加速度を算出する。そして、制御部110は、入力された操作速度ωと、算出した加速度とに基づいて、現在の操作が、加速時に相当するか、減速時に相当するかを判定する。具体的には、操作速度ωが正で、加速度が正の場合は、加速時と判定される。操作速度ωが正で、加速度が0の場合は、加速時と判定される。なお、加速度が0とは、一定速度を意味する。操作速度ωが正で、加速度が負の場合は、減速時と判定される。操作速度ωが0で、加速度が正の場合は、加速時と判定される。操作速度ωが0で、加速度が0の場合は、加速時と判定される。操作速度ωが0で、加速度が負の場合は、減速時と判定される。操作速度ωが負で、加速度が正の場合は、減速時と判定される。操作速度ωが負で、加速度が0の場合は、減速時と判定される。操作速度ωが負で、加速度が負の場合は、加速時と判定される。
【0079】
ステップS2において、加速時と判定された場合、ステップS3に進む。ステップS3では、入力された操作速度ωに応じて
図15に示される加速時に対する制動パラメータτを決定する。そして、ステップS5に進む。
【0080】
ステップS2において、減速時と判定された場合、ステップS4に進む。ステップS4では、入力された操作速度ωに応じて
図16に示される減速時に対する制動パラメータτを決定する。そして、ステップS5に進む。
【0081】
ステップS5において、制御部110は、決定された制動パラメータτで制動力を働かせるように、サーボモータM6a、M6b、および、M6cに対する電流指令値をサーボ制御部C6a、C6b、および、C6cに出力する。なお、上記のステップS2~S5は、たとえば、制御部110の制御周期毎に行われる。
【0082】
次に、操作者が操作部120を停止させようとしたときに働く制動力について説明する。
【0083】
まず、操作者が操作部120を停止させようとしたとき、操作速度ωが減速する。この場合、操作部120に対して減速時の制動力が働く。そして、操作速度ωが閾値ωb以下になった場合、操作速度ωの低下とともに制動力は小さくなる。その後、操作部120は、停止する。このように、減速時に制動力が働くので、操作者が操作部120を急停止しようとしたときの操作部120の慣性に起因するオーバーシュートが抑制される。
【0084】
また、操作者が操作部120を操作する手を静止させようとしても手が意図せず動いてしまう場合がある。たとえば、操作者の手の筋肉のけいれんや操作者の呼吸に起因して、手が意図せず動いてしまう場合がある。また、慣性により、操作者が停止させようとした位置よりもさらに進んだ場合、操作者は操作部120を意図しないで所望の位置に戻そうとする場合がある。このような場合は、操作部120が加速状態となる。そして、加速時において、操作速度ωの増加に伴って大きくなるように制動力が働くことにより、上記のように意図せず操作部120が動いてしまうことを抑制することが可能になる。
【0085】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0086】
第1実施形態では、上記のように、制御部110は、操作部120に対する操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を働かせるようにサーボモータM6a、M6b、およびM6cを制御する。これにより、減速時に制動力が働くことにより、操作部120を急停止しようとしたときの操作部120の慣性に起因するオーバーシュートが抑制される。また、加速時に制動力が働くことにより、操作部120が急停止された際の反動などに起因する操作部120の移動が抑制される。これらにより、遠隔操作装置2の操作部120を適切な位置に停止させることができる。
【0087】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部110は、操作部120に対する操作速度に応じて、サーボモータM6a、M6b、およびM6cの制動パラメータτを決定し、決定後の制動パラメータτを用いて制動力を働かせるようにサーボモータM6a、M6b、およびM6cを制御する。これにより、制動パラメータτを調整することにより、適切に制動力を働かせることができる。
【0088】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部110は、操作の減速時において、操作速度ωが閾値ωbより大きい時に制動パラメータτを一定にし、操作速度ωが閾値ωb以下の時に操作速度ωが小さくなるに従って制動パラメータτを小さくする。また、制御部110は、操作の減速時において、操作速度ωが閾値-ωbより小さい時に制動パラメータτを一定にし、操作速度ωが-閾値ωb以上の時に操作速度ωが大きくなるに従って制動パラメータτを大きくする。これにより、操作速度ωがゼロ付近で制動パラメータτの正負切替による、操作の違和感を抑制することができる。
【0089】
また、第1実施形態では、上記のように、操作の加速時において、操作速度ωが閾値ωa1以下の時に操作速度ωが大きくなるに従って制動パラメータτを大きくし、閾値-ωa1以上の時に操作速度ωが大きくなるに従って制動パラメータτを大きくするので、操作速度ωがゼロ付近で制動パラメータの正負切替による、操作の違和感を抑制することができる。また、閾値ωa3以上または-ωa3以下の場合には制動力がゼロになるので、高速時の操作を軽くすることができる。
【0090】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部110は、操作の減速時の制動パラメータτの絶対値の最大値を、操作の加速時の制動パラメータτの絶対値の最大値よりも大きくする。これにより、減速時に制動力が比較的大きくなるので、操作部120をより迅速に停止させることができる。
【0091】
また、第1実施形態では、制御部110は、操作速度ωと、制動パラメータτとが対応付けられた記憶部111に記憶されるテーブルを基に制動パラメータτを決定する。これにより、制御部110は、記憶部111に記憶されるテーブルを参照することにより、容易に、制動パラメータτを決定することができる。
【0092】
また、第1実施形態では、上記のように、制動パラメータτの大きさの選択を受け付ける制動パラメータ選択部23aを設ける。これにより、制動力の大きさを、操作者の好みに合わせて調整することができる。
【0093】
また、第1実施形態では、上記のように、制動パラメータ選択部23aは、遠隔操作装置2に設けられている。これにより、遠隔操作装置2を操作する操作者の近傍に制動パラメータ選択部23aが配置されるので、操作者は、容易に制動パラメータ選択部23aを操作することができる。
【0094】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部110は、サーボモータM6a、M6bおよびM6cに対して、操作部120に対する操作の減速時およびまたは加速時に、制動力を大きくするように制御する。これにより、アーム60によって医療器具4を移動させる際に、遠隔操作装置2の操作部120を適切な位置に停止させることができる。
【0095】
[第2実施形態]
図21および
図22を参照して、第2実施形態による制動パラメータτについて説明する。
【0096】
第2実施形態では、
図21および
図22に示すように、制御部110は、操作の減速時において、操作速度ωの絶対値が第2閾値より大きい時に制動パラメータτをゼロとし、操作速度ωの絶対値が第2閾値以下で第3閾値より大きい時に、操作速度ωの絶対値が小さくなるに従って制動パラメータτの絶対値を大きくし、操作速度ωの絶対値が第3閾値以下で第4閾値より大きい時に制動パラメータτの絶対値を一定にし、操作速度ωの絶対値が第4閾値以下の場合には操作速度ωの絶対値が小さくなるに従って制動パラメータτの絶対値を小さくする。具体的には、制御部110は、操作の減速時において、操作速度ωが閾値ω
c3より大きい時に制動パラメータτを0とし、操作速度ωが閾値ω
c3以下で閾値ω
c2より大きい時に、操作速度ωが小さくなるに従って制動パラメータτを大きくし、操作速度ωが閾値ω
c2以下で閾値ω
c1より大きい時に制動パラメータτを一定のτ
cにし、操作速度ωが閾値ω
c1以下の場合には操作速度ωが小さくなるに従って制動パラメータτを小さくする。また、制御部110は、操作の減速時において、操作速度ωが閾値-ω
c3より小さい時に制動パラメータτを0とし、操作速度ωが閾値-ω
c3以上で閾値-ω
c2より小さい時に、操作速度ωが大きくなるに従って制動パラメータτを小さくし、操作速度ωが閾値-ω
c2以上で閾値-ω
c1より小さい時に制動パラメータτを一定のτ
cにし、操作速度ωが閾値-ω
c1以上の場合には操作速度ωが大きくなるに従って制動パラメータτを大きくする。なお、閾値ω
c1および閾値-ω
c1は、第4閾値の一例である。また、閾値ω
c2および閾値-ω
c2は、第3閾値の一例である。閾値ω
c3および閾値-ω
c3は、第2閾値の一例である。
【0097】
また、操作速度ωが、閾値ω
c3から閾値ω
c2までの間、および、閾値-ω
c3から閾値-ω
c2までの間は、線形的に制動パラメータτの絶対値が増加する。また、操作速度ωが、閾値ω
c1から0までの間、および、閾値-ω
c1から0までの間は、線形的に制動パラメータτの絶対値が減少する。操作速度ωが0の時は、制動パラメータτは0である。なお、第2実施形態の加速時の制動パラメータτは、
図15に示す上記第1実施形態と同様である。つまり、第2実施形態では、加速時の制動パラメータτと、減速時の制動パラメータτとが同じように変化する。なお、
図22に示すように、減速時の制動パラメータτ
cの絶対値の最大値は、加速時の制動パラメータτ
aの絶対値の最大値よりも、たとえば4倍以上大きい。
【0098】
たとえば、
図18に示すように、減速時の制動パラメータτが高速時に、上記第1実施形態のように比較的大きな一定の値τ
bであり、加速時の制動パラメータτが高速時に、上記第1実施形態のように0である場合において、操作部120に対する操作の加速の状態と減速の状態とが切り替わった場合、減速時の制動パラメータτ
bと加速時の制動パラメータ値の0との差が大きいことに起因して、操作部120に対する操作に違和感が生じる場合がある。そこで、第2実施形態では、
図21に示すように、減速時の制動パラメータτを高速時に0にすることによって加速時の制動パラメータτと同様にすることにより、加速の状態と減速の状態とが切り替わる際の操作の違和感を抑制することが可能になる。
【0099】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0100】
第2実施形態では、上記のように、操作部120に対する操作の減速時において、減速時の制動パラメータτと加速時の制動パラメータτとの差を小さくすることにより、操作の違和感を低減することができる。また、操作速度ωが閾値ωc1以下の場合には操作速度ωが小さくなるに従って制動パラメータτが小さくなり、閾値-ωc1以上の場合には操作速度ωが大きくなるに従って制動パラメータτが大きくなるので、操作速度ωがゼロ付近で制動パラメータの正負切替による、操作の違和感を抑制することができる。
【0101】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更または変形例が含まれる。
【0102】
たとえば、上記第1実施形態では、操作の加速時において、操作速度ωが閾値ωa3よりも大きい時または閾値-ωa3よりも小さい時に制動パラメータτを0にする例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、操作速度ωが閾値ωa3よりも大きい時または閾値-ωa3よりも小さい時において、制動パラメータτを0以外の値にしてもよい。
【0103】
また、上記第1実施形態では、操作速度ωが閾値ωa1と閾値ωa2との間、および、閾値-ωa1と閾値-ωa2との間は、制動パラメータτが一定になる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、操作速度ωが閾値ωa1よりも大きくなった場合に制動パラメータτを減少させ、閾値-ωa1よりも小さくなった場合、制動パラメータτを増加させるようにしてもよい。
【0104】
また、上記第2実施形態では、操作速度ωが閾値ωc1と閾値ωc2との間、および、閾値-ωc1と閾値-ωc2との間は、制動パラメータτが一定になる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、操作速度ωが閾値ωc1よりも大きくなった場合に制動パラメータτを減少させ、閾値-ωc1よりも小さくなった場合、制動パラメータτを増加させるようにしてもよい。
【0105】
また、上記第1および第2実施形態では、操作の減速時の制動パラメータτの絶対値の最大値は、操作の加速時の制動パラメータτの絶対値の最大値よりも大きくなる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、操作の減速時の制動パラメータτの絶対値の最大値と、操作の加速時の制動パラメータτの絶対値の最大値とを同じにしてもよい。
【0106】
また、上記第1および第2実施形態では、制動パラメータ選択部23aは、遠隔操作装置2に設けられている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、制動パラメータ選択部23aは、遠隔操作装置2以外の装置に設けられていてもよい。
【0107】
また、上記第1および第2実施形態では、遠隔操作装置2の制御部110により制動力を働かせる制御が行われる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、遠隔操作装置2以外の制御部により制動力を働かせる制御が行われてもよい。
【0108】
また、上記第1および第2実施形態では、操作速度ωが小さくなっていくときと、操作速度ωが大きくなっていくときとで、制動パラメータτの変化が同じである例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、
図23に示すようなヒステリシスを、上記第1および第2実施形態の制動パラメータτに適用してもよい。つまり、操作速度ωが正側から負側に変化する場合と、負側から正側に変化する場合とで、制動パラメータτの変化を異ならせて、操作速度ωが0の近傍では、制動パラメータτを変化させないようにしてもよい。これにより、操作速度ωが0の近傍で正側と負側とで振動するように変化した場合でも、操作速度ωが0の近傍では制動パラメータτが変化しないので、操作の違和感を抑制することができる。なお、操作の違和感とは、たとえば、振動するような違和感である。
【0109】
また、上記第1および第2実施形態において、制御周期のサイクルの前後において、制動パラメータτの変化を所定の値以上大きくならないようにしてもよい。これにより、制動パラメータτの大きさが大きく変化することに起因する振動するような操作の違和感を抑制することができる。
【0110】
また、上記第1および第2実施形態では、アーム60が4つ設けられている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、アーム60の数は、少なくとも1つ以上設けられていれば他の任意の数であってもよい。
【0111】
また、上記第1および第2実施形態では、アーム部61およびポジショナ40が7軸多関節ロボットから構成されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、アーム部61およびポジショナ40が7軸多関節ロボット以外の軸構成の多関節ロボットなどから構成されていてもよい。7軸多関節ロボット以外の軸構成とは、例えば、6軸や8軸である。
【0112】
また、上記第1および第2実施形態では、医療用マニピュレータ1が、医療用台車3と、ポジショナ40と、アームベース50とを備えている例を示したが、本開示はこれに限らない。たとえば、医療用台車3と、ポジショナ40と、アームベース50は必ずしも必要なく、医療用マニピュレータ1が、アーム60だけで構成されてもよい。
【0113】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【符号の説明】
【0114】
1 医療用マニピュレータ(患者側装置)
2 遠隔操作装置(操作者側装置)
4 医療器具
23a 制動力選択部
60 アーム
110 制御部
120 操作部
100 外科手術システム(手術支援システム)
M6a~M6g サーボモータ(駆動部)
ωa1、-ωa1 閾値(第5閾値)
ωa2、-ωa2 閾値(第6閾値)
ωa3、-ωa3 閾値(第7閾値)
ωb、-ωb 閾値(第1閾値)
ωc1、-ωc1 閾値(第4閾値)
ωc2、-ωc2 閾値(第3閾値)
ωc3、-ωc3 閾値(第2閾値)