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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187918
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20221213BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20221213BHJP
【FI】
A01B69/00 303Q
G05D1/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096163
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹倉 裕真
【テーマコード(参考)】
2B043
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB01
2B043BB13
2B043DA17
2B043EA16
2B043EA26
2B043EA34
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043ED13
2B043ED16
5H301AA03
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG14
5H301QQ08
(57)【要約】
【課題】先行する作業車両の作業が停止した場合に、作業効率の低下を抑制する作業車両を提供すること。
【解決手段】実施形態の一態様に係る作業車両は、走行車体と、走行車体に取り付けられた作業機と、自動運転によって作業を行う先行車両によって作業が行われた作業地で走行車体および作業機を自動運転する制御装置とを備える。制御装置は、先行車両の作業が停止した場合、走行車体および作業機によって作業可能な作業地の作業可能範囲を算出し、走行車体および作業機によって作業可能範囲まで作業を行わせる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体と、
前記走行車体に取り付けられた作業機と、
自動運転によって作業を行う先行車両によって作業が行われた作業地で前記走行車体および前記作業機を自動運転する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記先行車両の作業が停止した場合、前記走行車体および前記作業機によって作業可能な前記作業地の作業可能範囲を算出し、前記走行車体および前記作業機によって前記作業可能範囲まで作業を行わせる、
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記制御装置は、前記先行車両の作業が停止し、かつ作業可能な他の圃場がある場合、前記他の圃場に前記走行車体を移動させて、前記他の圃場で作業を行わせる、
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記制御装置は、前記他の圃場での作業中に、前記先行車両の作業が再開された場合、前記他の圃場における作業が完了するまで前記他の圃場の作業を継続させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記制御装置は、前記他の圃場における作業が完了した場合、前記作業地の圃場まで前記走行車体を移動させて、前記作業地の圃場で作業を行わせる、
ことを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記制御装置は、前記先行車両に不具合が発生したことで前記先行車両の作業が停止した場合、前記不具合の種類に応じて前記走行車体および前記作業機を制御する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の作業車両。
【請求項6】
前記制御装置は、前記不具合の種類に応じて、前記走行車体を現在の圃場に待機、または前記走行車体を他の圃場に移動させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測位衛星システムによって位置情報を取得し、自動運転可能なトラクタを複数用いて圃場の作業を実行する制御システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/129671号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術の制御システムによって、同一の圃場を複数のトラクタによって作業し、先行するトラクタに、例えば不具合が生じ作業が停止した場合、後続のトラクタは、作業を継続することができず、作業が停止される。そのため、制御システムでは、作業効率が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、先行する作業車両の作業が停止した場合に、作業効率の低下を抑制する作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の一態様に係る作業車両(1b)は、走行車体(Bb)と、走行車体(Bb)に取り付けられた作業機(Wb)と、自動運転によって作業を行う先行車両(1a)によって作業が行われた作業地で走行車体(Bb)および作業機(Wb)を自動運転する制御装置(40)とを備える。制御装置(40)は、先行車両(1a)の作業が停止した場合、走行車体(Bb)および作業機(Wb)によって作業可能な作業地の作業可能範囲(A)を算出し、走行車体(Bb)および作業機(Wb)によって作業可能範囲(A)まで作業を行わせる。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、作業車両は、先行する作業車両の作業が停止した状態であっても、作業効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る作業車両の制御システムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る作業車両の制御システムを示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る制御システムと情報処理装置との構成例を示す図である。
図4図4は、先行車両(後続車両)の制御系の一例を示すブロック図である。
図5図5は、先行車両に不具合が発生した一例を説明する図である。
図6図6は、実施形態に係る後続車両の同一圃場作業処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本願の開示する作業車両の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、図1を参照して実施形態に係る作業車両1の制御システムSの全体構成について説明する。図1は、実施形態に係る作業車両1の制御システムSの構成例を示す図である。なお、以下では、作業車両1としてトラクタ1を例に説明する。
【0011】
作業車両1であるトラクタ1は、圃場などで自動運転(自律走行ともいう。)によって作業を行う農業用トラクタである。すなわち、トラクタ1は、操縦者(作業者ともいう。)が搭乗せずに圃場内を走行し、作業を行う。トラクタ1は、後述する制御装置40(図4参照)を中心とする制御系による各部の制御により、圃場内を自律走行しながら所定の作業を実行する。また、トラクタ1は、操縦者が搭乗して圃場内を走行しながら所定の作業が実行されてもよい。
【0012】
また、以下において、前後方向とは、トラクタ1の直進時における進行方向であり、進行方向の前方側を「前」、後方側を「後」と規定する。
【0013】
また、左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向である。以下では、「前」側へ向けて左右を規定する。すなわち、トラクタ1の操縦者が操縦席に着席して前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。
【0014】
また、上下方向とは、鉛直方向に平行する方向である。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交する。なお、各方向は説明の便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
図1に示すように、制御システムSは、第1のトラクタ1aと、第2のトラクタ1bとを有する。また、第1のトラクタ1aおよび第2のトラクタ1bは、所定の通信ネットワークNを介して双方向の通信が可能に接続される。第1のトラクタ1aおよび第2のトラクタ1bは、圃場において、協調して牧草の集草作業および梱包作業を行う。具体的には、第1のトラクタ1aは、第2のトラクタ1bに先行して、地面に拡散した牧草を集草し、第2のトラクタ1bは、集草された牧草を回収してロール状に梱包する。なお、以下では、第1のトラクタ1aを、先行車両1aと称し、第2のトラクタ1bを、後続車両1bと称する。
【0016】
先行車両1aは、走行車体Baと、走行車体Baに連結される作業機Waとを備える。後続車両1bは、走行車体Bbと、走行車体Bbに連結される作業機Wbとを備える。走行車体Ba、Bbは、車輪や、ボンネット、エンジンE(図4参照)、操縦席等を備える。
【0017】
作業機Waは、先行車両1aの後方に装着され、地面に拡散した刈草を集草する、いわゆる、レーキである。作業機Waは、先行車両1aが備える図示しないPTO(Power Take-off)軸によって駆動される。PTO軸は、エンジンEから取り出した動力を作業機Waへ伝達する部材である。なお、作業機Waを、集草作業機Waと称する場合がある。
【0018】
作業機Wbは、後続車両1bの後方に装着され、先行車両1aによって集草された刈草を回収して牧草ロールRを生成することで、ロール状に梱包する、いわゆる、ロールベーラである。作業機Wbは、後続車両1bが備える図示しないPTO軸によって駆動される。PTO軸は、エンジンEから取り出した動力を作業機Wbへ伝達する部材である。なお、作業機Wbを、梱包作業機Wbと称する場合がある。
【0019】
先行車両1a、および後続車両1bは、図2に示すように、予め設定された走行経路Lに沿って自律走行する。先行車両1a、および後続車両1bは、各車両に設けられた測位装置30(図4参照)から取得される位置情報と、走行経路Lの情報とに基づいて、走行経路Lに沿って自律走行する。図2は、実施形態に係る先行車両1a、および後続車両1bの圃場における走行例を示す図である。なお、後続車両1bは、先行車両1aが実際に走行した走行軌跡に沿って自律走行してもよい。
【0020】
また、制御システムSは、図3に示すように、複数のトラクタ1が通信ネットワークNを介して少なくとも1つの情報処理装置3と互いに接続可能な状態で構築される。図3は、実施形態に係る制御システムSと情報処理装置3との構成例を示す図である。各トラクタ1は、情報処理装置3からの指示に従って、圃場間を自律走行可能である。すなわち、各トラクタ1は、作業者による操作無しに、圃場間を移動可能である。また、各トラクタ1は、情報処理装置3から走行経路Lに関する情報を取得してもよい。
【0021】
情報処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置、さらには、入出力装置が設けられたコンピュータなどである。
【0022】
情報処理装置3は、圃場の場所を示す圃場地図情報、および圃場における作業情報を記憶する。また、情報処理装置3は、圃場間を移動する際に用いられる圃場間走行経路を記憶する。情報処理装置3は、各トラクタ1の作業状態を記憶する。
【0023】
次に、図4を参照して制御装置40を中心とする先行車両1a(後続車両1b)の制御系について説明する。図4は、先行車両1a(後続車両1b)の制御系の一例を示すブロック図である。なお、作業機Wa、Wbの種類が違うことを除いて、先行車両1aおよび後続車両1bの制御系は同じであるため、以下では、先行車両1aを例に挙げて説明する。
【0024】
図4に示すように、制御装置40は、エンジンECU(Electronic Control Unit)41と、走行系ECU42と、作業機昇降系ECU43とを備える。エンジンECU41は、エンジンEの回転数を制御する。走行系ECU42は、駆動輪の回転を制御することで、先行車両1aの走行速度を制御する。作業機昇降系ECU43は、昇降装置12を制御して作業機Waを昇降制御する。
【0025】
制御装置40は、電子制御によって各部を制御することが可能であり、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理部をはじめ、各種プログラムや圃場ごとに予め設定された先行車両1a(後続車両1b)の走行経路Lなどの必要なデータ類が記憶される記憶部などを備える。
【0026】
制御装置40には、測位装置(GNSS)30、エンジン回転センサ23、車速センサ24、切れ角センサ25、障害物センサ20(前方センサ21および後方センサ22)、リフトアームセンサ26などの各種センサ類が接続される。なお、エンジン回転センサ23は、エンジンEの回転数を検知する。車速センサ24は、先行車両1aの走行速度(車速)を検知する。切れ角センサ25は、操舵輪である前輪の切れ角を検知する。切れ角センサ25は、先行車両1aの旋回を検知する。
【0027】
制御装置40には、測位装置30から圃場などにおける先行車両1aの位置情報、エンジン回転センサ23からエンジンEの回転数、車速センサ24から先行車両1aの走行速度、切れ角センサ25から前輪の切れ角、障害物センサ20から障害物の検知結果、リフトアームセンサ26から作業機Waの高さがそれぞれ入力される。制御装置40は、先行車両1aを自律走行させる場合、切れ角センサ25の検知結果を用いて、前輪の切れ角をフィードバックしながらステアリングホイールに連結されたステアリングシリンダを制御することで、ステアリングホイールを自動操舵する。
【0028】
また、制御装置40には、エンジンECU41がエンジンEに接続され、走行系ECU42が、操舵装置51、変速装置52および制動装置53などに接続され、作業機昇降系ECU43が昇降装置12に接続される。
【0029】
このうち、作業機昇降系ECU43は、昇降装置12に向けて作業機昇降信号を出力する。昇降装置12は、作業機昇降系ECU43から出力された作業機昇降信号に基づいて作業機Waを昇降駆動する。
【0030】
また、制御装置40は、たとえば、作業者が携行可能な情報処理端末100(情報端末)と無線接続される。制御装置40は、作業者の操作による情報処理端末100からの指示信号に基づいて先行車両1aの各部を制御する。また、制御装置40は、先行車両1aの機体情報データベースを保持し、型式などの情報の受け渡しを情報処理端末100などからも行うことができるように構成してもよい。また、情報処理端末100は、作業機Wa、Wbの各種パラメータを設定することができる。
【0031】
例えば、情報処理端末100は、集草作業機Waの作業幅(集草位置の幅)や、梱包作業機Wbの作業位置(刈草の回収位置および範囲)を設定可能である。
【0032】
また、制御装置40は、トラクタ1が自律走行しつつ作業を行うモードである「自動運転モード」を有する。制御装置40は、自動運転モードにおいては、作業機Waによる作業内容に応じた走行経路Lが予め圃場ごとに定められ、データ化されて記憶部に記憶され、測位装置30の測定結果に基づいて、記憶された走行経路Lに沿って走行するように、エンジンE、操舵装置51、変速装置52、制動装置53および昇降装置12などの各部を制御する。なお、走行経路Lは、圃場の形状、大きさ、圃場内に形成された畝の幅、長さおよび本数、さらには作物の種類などに応じて設定される。
【0033】
また、制御装置40は、後続車両1bの制御装置40と無線接続される。制御装置40は、先行車両1aの作業状態の情報や、先行車両1aの走行軌跡の情報や、作業機Waの集草位置の情報、後続車両1bの走行経路L(必要に応じて)の情報等を、後続車両1bの制御装置40へ送信する。そして、後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aの制御装置40から受信した情報に基づいて、各ECUを制御して後続車両1bを、例えば、走行経路Lに沿って自律走行させる。
【0034】
先行車両1aの作業状態は、先行車両1aの作業機Waが作業を行っているか否かの状態を含む。例えば、先行車両1aに不具合が発生した場合、先行車両1aでは作業機Waが停止する。すなわち、先行車両1aの作業状態は、先行車両1aにおける不具合の発生状態を含む。
【0035】
不具合の発生状態は、先行車両1aにおける不具合の種類を含む。不具合の種類は、不具合のレベルとして分けられてもよい。例えば、不具合の種類は、「重度」、および「軽度」に分けられる。重度の不具合は、例えば、エンジンEにトラブルが発生した場合や、エンジンEの状態を検出するセンサの値が異常値を示した場合を含む。軽度の不具合は、例えば、燃料不足が発生した場合や、DPF(Diesel Particulate Filter)において再生処理が実行される場合を含む。
【0036】
後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aに不具合が発生した場合、後続車両1bによって作業可能な作業地の作業可能範囲Aを算出する。
【0037】
例えば、図5に示すように、先行車両1aに不具合が発生し、圃場において作業を行う走行経路L上に先行車両1aが停止し、作業を停止した場合、後続車両1bの制御装置40は、作業可能範囲Aを算出する。図5は、先行車両1aに不具合が発生した一例を説明する図である。図5では、圃場における走行経路Lのうち、先行車両1a、および後続車両1bによる作業が行われていない走行経路Lを破線で示し、先行車両1aによる作業が行われ、かつ後続車両1bによって作業が行われていない走行経路Lを一点鎖線で示す。また、先行車両1a、および後続車両1bによる作業が行われた走行経路Lを実線で示す。
【0038】
具体的には、後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aによって作業が行われた走行経路Lに対して、1工程分空けた走行経路Lの作業地を作業可能範囲Aとして算出する。後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aと後続車両1bとの接触を抑制するために、先行車両1aによって作業が行われた走行経路Lに対して、1工程分空けた走行経路Lの作業地を作業可能範囲Aとして算出する。
【0039】
後続車両1bの制御装置40は、作業可能範囲Aまで作業機Wbによって作業を実行した後に、不具合の種類に応じた制御を実行する。
【0040】
具体的には、不具合が重度の不具合であり、かつ後続車両1bによって作業可能な他の圃場がある場合、後続車両1bの制御装置40は、後続車両1bを他の圃場に移動させて、他の圃場で作業を行わせる。例えば、後続車両1bの制御装置40は、後続車両1bの走行モードを、圃場間移動モードとし、他の圃場まで後続車両1bを移動させる。圃場間移動モードによる後続車両1bの移動は、圃場間移動経路に沿った自律走行によって行われる。
【0041】
作業可能な他の圃場は、例えば、後続車両1bによる作業を行う圃場として設定された圃場であり、他のトラクタ1がいない圃場であり、かつ先行車両1a(他の先行車両1aを含む。)による作業が完了している圃場である。
【0042】
なお、他の圃場の情報については、情報処理装置3から後続車両1bの制御装置40に送信される。他の圃場までの圃場間移動経路は、情報処理装置3によって生成されてもよく、また、後続車両1bによって生成されてもよい。
【0043】
後続車両1bの制御装置40は、他の圃場に到着すると走行モードを、自動運転モードとし、他の圃場における作業を実行させる。自動運手モードとされた後続車両1bは、自律走行によって作業を行う。
【0044】
後続車両1bの制御装置40は、他の圃場における作業が完了するまで、他の圃場の作業を継続させる。例えば、不具合が発生した先行車両1aの不具合が、他の圃場における作業中に解消し、先行車両1aの作業が再開された場合であっても、後続車両1bの制御装置40は、他の圃場の作業が完了するまで、他の圃場の作業を継続させる。
【0045】
後続車両1bの制御装置40は、他の圃場の作業が完了した場合、元の圃場、すなわち、先行車両1aが作業を行った作業地がある元の圃場まで、後続車両1bを移動させて、元の圃場で作業を行わせる。
【0046】
元の圃場まで移動した後続車両1bは、他の圃場に移動する前の作業中断位置、具体的には、作業可能範囲Aの終点まで移動し、作業中断位置から作業を再開する。
【0047】
なお、後続車両1bの制御装置40は、他の圃場の作業が完了した場合、走行モードを圃場間移動モードにする。後続車両1bの制御装置40は、他の圃場における圃場間移動待機位置に移動し、いったん停止してもよい。さらに、後続車両1bの制御装置40は、元の圃場における先行車両1aの状態を再度確認してもよい。
【0048】
先行車両1aの不具合が重度の不具合であり、かつ後続車両1bによって作業可能な他の圃場がない場合、または先行車両1aの不具合が軽度の不具合である場合、後続車両1bの制御装置40は、作業可能範囲Aまで作業機Wbによって作業を実行した状態で待機させる。
【0049】
次に、実施形態に係る後続車両1bの同一圃場作業処理について図6を参照し説明する。図6は、実施形態に係る後続車両1bの同一圃場作業処理を説明するフローチャートである。
【0050】
後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aに不具合が発生したか否かを判定する(S100)。先行車両1aに不具合が発生した場合には、先行車両1aから不具合に関する情報が後続車両1bに送信される。なお、先行車両1aの不具合に関する情報は、情報処理装置3を介して後続車両1bに送信されてもよい。
【0051】
後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aに不具合が発生していない場合には(S100:No)、先行車両1aと同じ圃場において、先行車両1aに続いて走行経路Lに沿って作業を行う(S101)。
【0052】
後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aに不具合が発生した場合には(S101:Yes)、作業可能範囲Aを算出する(S102)。
【0053】
後続車両1bの制御装置40は、作業可能範囲Aまで後続車両1bによる作業を実行させる(S103)。後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aの不具合が重度の不具合であるか否かを判定する(S104)。
【0054】
後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aの不具合が重度の不具合ではない場合(S104:No)、すなわち、先行車両1aの不具合が軽度の不具合である場合、後続車両1bを待機させる(S105)。これにより、後続車両1bは、作業可能範囲Aの終点において待機する。後続車両1bは、作業可能範囲Aにおける作業が完了すると停止する。
【0055】
後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aの不具合が重度である場合(S104:Yes)、後続車両1bによって作業可能な他の圃場があるか否かを判定する(S105)。後続車両1bの制御装置40は、情報処理装置3から、他の圃場に関する情報を取得し、後続車両1bによって作業可能な他の圃場があるか否かを判定する。
【0056】
後続車両1bの制御装置40は、後続車両1bによって作業可能な他の圃場がない場合(S105:No)、後続車両1bを待機させる(S106)。
【0057】
後続車両1bの制御装置40は、後続車両1bによって作業可能な他の圃場がある場合(S105:Yes)、後続車両1bを他の圃場に移動させる(S107)。
【0058】
他の圃場に移動した後続車両1bは、他の圃場における作業が完了するまで、他の圃場における作業を継続する。他の圃場における作業中に、先行車両1aの不具合が解消した場合には、他の圃場における作業が完了した後に、元の圃場に移動する。
【0059】
実施形態に係る作業車両1の効果について説明する。
【0060】
作業車両1である後続車両1bは、走行車体Bbと、作業機Wbと、制御装置40とを備える。作業機Wbは、走行車体Bbに取り付けられる。制御装置40は、自動運転によって作業を行う先行車両1aによって作業が行われた作業地で走行車体Bbおよび作業機Wbを自動運転する。制御装置40は、先行車両1aの作業が停止した場合、走行車体Bbおよび作業機Wbによって作業可能な作業地の作業可能範囲Aを算出し、走行車体Bbおよび作業機Wbによって作業可能範囲Aまで作業を行わせる。
【0061】
これにより、例えば、先行車両1aに不具合が発生し、先行車両1aの作業が停止した場合に、作業可能範囲Aまで後続車両1bによって作業が行われるため、作業効率の低下を抑制することができる。
【0062】
後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aの作業が停止し、かつ作業可能な他の圃場がある場合、他の圃場に走行車体Bbを移動させて、他の圃場で作業を行わせる。
【0063】
これにより、後続車両1bが他の圃場における作業を行うことで、作業効率の低下を抑制することができる。
【0064】
後続車両1bの制御装置40は、他の圃場での作業中に、先行車両1aの作業が再開された場合、他の圃場における作業が完了するまで他の圃場の作業を継続させる。
【0065】
これにより、後続車両1bが作業を開始した他の圃場における作業を完了させることで、作業効率を向上させることができる。
【0066】
後続車両1bの制御装置40は、他の圃場における作業が完了した場合、元の圃場まで走行車体Bbを移動させて、元の圃場で作業を行わせる。
【0067】
これにより、後続車両1bは、先行車両1aの作業が再開された圃場における作業を行うことができる。
【0068】
後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aに発生した不具合の種類に応じて、後続車両1bの走行車体Bb、および後続車両1bの作業機Wbを制御する。具体的には、後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aの不具合の種類に応じて、後続車両1bの走行車体Bbを現在の圃場に待機、または後続車両1bの走行車体Bbを他の圃場に移動させる。
【0069】
これにより、後続車両1bは、先行車両1aに発生した不具合の種類に応じた処理を実行し、作業効率を向上させることができる。
【0070】
なお、後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aに不具合が発生し、先行車両1aの作業が停止した場合、現在の工程の作業が完了した後に、停止し、作業可能範囲Aを算出してもよい。例えば、後続車両1bは、停止後に、停止したことを示す情報を情報処理装置3に送信してもよい。
【0071】
後続車両1bの制御装置40は、他の圃場に移動する場合に、圃場間移動経路による移動に支障が無いか否かを判定してもよい。例えば、後続車両1bの制御装置40は、他の圃場による作業を行う場合に燃料が不足するか否かを判定する。また、例えば、後続車両1bの制御装置40は、圃場間移動経路に障害物があるか否かを判定する。後続車両1bの制御装置40は、圃場間移動経路による移動に支障がない場合に、後続車両1bを他の圃場へ移動させる。後続車両1bの制御装置40は、圃場間移動経路による移動に支障がある場合には、後続車両1bを他の圃場へ移動させずに、待機させる。
【0072】
後続車両1bの圃場間の移動は、他のトラクタ1の圃場間移動よりも優先的に行われてもよい。
【0073】
先行車両1aの不具合が解消され、先行車両1aにおける作業が完了し、先行車両1aの走行モードが圃場間移動モードなっている場合、先行車両1aによる圃場間の移動を優先させてもよい。この場合、他の圃場による作業を行っていた後続車両1bの圃場間移動は、先行車両1aの圃場間移動の後に行われる。すなわち、後続車両1bは、他の圃場における作業が完了した場合に、先行車両1aの圃場間移動が完了するまで、他の圃場で待機する。後続車両1bは、例えば、先行車両1aの圃場間移動が完了し、先行車両1aの走行モードが、圃場間移動モードから自動運転モードなどに変更されると、元の圃場への移動を開始する。
【0074】
なお、元の圃場への後続車両1bの移動は、他のトラクタ1よりも優先的に行われる。
【0075】
後続車両1bの制御装置40は、元の圃場まで後続車両1bを移動させて場合に、後続車両1bを圃場待機位置に待機させてもよい。
【0076】
後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aに重度の不具合が発生し、かつ後続車両1bにより作業を行う予定の他の圃場(以下、「作業予定圃場」と称する。)がある場合、後続車両1bを現在の圃場で待機させる。作業予定圃場は、後続車両1bによる作業を行う圃場として設定された圃場であり、不具合が発生した先行車両1aとは異なる先行車両1aが存在する圃場である。
【0077】
後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aが作業予定圃場から移動し、作業予定圃場が、作業可能な他の圃場になると、後続車両1bを作業可能な他の圃場に移動させる。後続車両1bの制御装置40は、作業可能な他の圃場に移動した後、作業可能な他の圃場における待機位置において一時停止し、先行車両1aの状態を確認してもよい。
【0078】
後続車両1bの制御装置40は、作業可能な他の圃場がない場合、後続車両1bの燃料値を確認する。後続車両1bの制御装置40は、燃料値が所定値以上である場合、エンジンEを停止させる。後続車両1bの制御装置40は、燃料値が所定値よりも少ない場合、後続車両1bを燃料補給位置へ移動させて、エンジンEを停止させる。
【0079】
後続車両1bの制御装置40は、先行車両1aの不具合が軽度の不具合である場合、作業可能範囲Aにおける作業を完了し、後続車両1bを停止させたタイミングで、後続車両1bの燃料値を確認する。後続車両1bの制御装置40は、燃料値が所定値よりも少ない場合、後続車両1bを燃料補給位置へ移動させて、エンジンEを停止させずに待機させる。後続車両1bの制御装置40は、燃料値が所定値以上である場合、作業可能範囲Aの終点で、エンジンEを停止させずに待機させる。後続車両1bの制御装置40は、所定時間が経過した後に、エンジンEを停止させる。後続車両1bの制御装置40は、情報処理端末100における受信状態を確認してもよい。後続車両1bの制御装置40は、情報処理端末100における受信状態が正常である場合、エンジンEを停止させず、情報処理端末100における受信状態が異常である場合、エンジンEを停止させてもよい。
【0080】
なお、後続車両1bの制御装置40は、エンジンEを停止させる場合、盗難防止機能をONにする。
【0081】
後続車両1bの制御装置40は、作業可能範囲Aにおける作業が完了し、後続車両1bを停止させた後に、情報処理端末100からの指示、すなわち、作業者の操作に応じて、後続車両1bの動作を制御してもよい。後続車両1bの制御装置40は、後続車両1bを停止させた後に、情報処理端末100に報知し、作業者による情報処理端末100の操作に応じた制御信号を受信する。例えば、作業者は、(1)エンジンEを停止させずに待機する、(2)エンジンEを停止させる、(3)他の圃場へ移動する、の中から、所望する動作を選択する。情報処理端末100は、選択された動作を実行させる信号を生成し、後続車両1bに送信する。
【0082】
なお、先行車両1aの不具合が軽度の不具合である場合の後続車両1bの動作は、予め作業者によって設定されてもよい。
【0083】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 トラクタ(作業車両)
1a 第1のトラクタ(先行車両)
1b 第2のトラクタ(後続車両)
30 測位装置
40 制御装置
A 作業可能範囲
Ba 走行車体
Bb 走行車体
L 走行経路
Wa 作業機(集草作業機)
Wb 作業機(梱包作業機)
図1
図2
図3
図4
図5
図6