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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187932
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】通信装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/4401 20180101AFI20221213BHJP
   G06F 9/445 20180101ALI20221213BHJP
   H04L 69/32 20220101ALI20221213BHJP
【FI】
G06F9/4401
G06F9/445
H04L69/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096191
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】チュー ポーチュン
(72)【発明者】
【氏名】水谷 宣夫
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AE26
5B376AE43
(57)【要約】
【課題】装置の起動から通信処理を開始できるまでの待機時間を短くできる手段を提供する。
【解決手段】複合機10のCPU11は、USB I/F21を初期化する処理と、有線LAN I/F22及び無線LAN I/F23を含むネットワークI/Fを初期化する処理と、外部装置との間でデータを送受信する通信処理とを実行する。CPU11は、各通信I/Fを初期化する前に通信先情報を取得し、通信先情報で示される外部装置がUSB I/F21を介して接続された外部装置であることに応じて、USB I/F21の初期化処理が完了した後に、ネットワークI/Fの初期化処理の完了を待たずに、通信処理のデータの送受信を受け付け可能な通信待ち状態に遷移する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信インタフェースと、
第2通信インタフェースと、
コントローラと、を備えた通信装置であって、
上記コントローラは、
上記第1通信インタフェースを初期化する第1初期化処理と、
上記第2通信インタフェースを初期化する第2初期化処理と、
上記第1通信インタフェースを介して接続された第1外部装置、及び上記第2通信インタフェースを介して接続された第2外部装置の少なくとも一方との間でデータを送信又は受信する通信処理と、を実行し、
上記第1初期化処理の所要時間は、上記第2初期化処理の所要時間よりも短く、
上記コントローラは、
上記第1初期化処理及び上記第2初期化処理の実行前に通信先情報を取得し、上記通信先情報は、少なくとも上記第1外部装置及び上記第2外部装置の一方を含むものであり、
上記通信装置の起動を条件として、上記第1初期化処理及び上記第2初期化処理を実行し、
上記通信先情報で示される外部装置が上記第1外部装置であることに応じて、上記第1初期化処理が完了した後に、上記第2初期化処理の完了を待たずに、上記通信処理の上記データの送受信を受け付け可能な通信待ち状態に遷移し、
上記通信先情報で示される外部装置が上記第2外部装置であることに応じて、上記第2初期化処理が完了した後に、上記通信待ち状態に遷移する通信装置。
【請求項2】
上記コントローラは、上記データの送信先として設定されている外部装置を含む上記通信先情報を取得する請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
通信履歴を記憶し、
上記コントローラは、上記通信履歴に記憶されている外部装置を含む上記通信先情報を取得する請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
上記コントローラは、
上記通信先情報で示される外部装置に上記第1外部装置と上記第2外部装置とが含まれていることに応じて、上記通信履歴に基づきいずれかの外部装置を選択し、
選択された外部装置が上記第1外部装置であることに応じて、上記第1初期化処理が完了した後に、上記第2初期化処理の完了を待たずに、上記通信待ち状態に遷移する請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
上記コントローラは、上記通信先情報で示される外部装置に上記第1外部装置と上記第2外部装置とが含まれていることに応じて、上記第2初期化処理が完了した後に、上記通信待ち状態に遷移する請求項1から3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項6】
表示部をさらに備え、
上記コントローラは、
上記第1初期化処理及び上記第2初期化処理の実行前に予定送信モードを取得し、上記予定送信モードは、少なくとも上記データを送信する前に上記表示部にプレビュー画像を表示するモードを含むものであり、
上記予定送信モードにおいて上記プレビュー画像を表示するモードが有効であることに応じて、上記通信先情報に拘わらず、上記第2初期化処理の完了を待たずに、上記通信待ち状態に遷移する請求項1から5のいずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
上記コントローラは、
上記通信先情報で示される外部装置が上記第2外部装置であることに応じて、上記第2通信インタフェースが物理的に通信可能な状態であるかを判断し、
上記第2通信インタフェースが物理的に通信可能な状態でないと判断したことに応じて、上記第1初期化処理が完了した後に、上記第2初期化処理の完了を待たずに、上記通信待ち状態に遷移する請求項1から6のいずれかに記載の通信装置。
【請求項8】
上記コントローラは、
上記通信先情報で示される外部装置が上記第1外部装置であることに応じて、上記第1通信インタフェースが物理的に通信可能な状態であるかを判断し、
上記第1通信インタフェースが物理的に通信可能な状態でないと判断したことに応じて、上記第2初期化処理が完了した後に、上記通信待ち状態に遷移する請求項1から7のいずれかに記載の通信装置。
【請求項9】
上記第2通信インタフェースは、有線ネットワークインタフェース又は無線ネットワークインタフェースであり、
上記コントローラは、
上記通信先情報で示される外部装置が上記第2外部装置であることに応じて、上記第2通信インタフェースが上記有線ネットワークインタフェースであるか、上記無線ネットワークインタフェースであるかを判断し、
上記第2通信インタフェースが上記有線ネットワークインタフェースであると判断したことに応じて、上記第2初期化処理の上記無線ネットワークインタフェースの初期化処理の完了を待たずに、上記通信待ち状態に遷移し、
上記第2通信インタフェースが上記無線ネットワークインタフェースであると判断したことに応じて、上記第2初期化処理の上記無線ネットワークインタフェースの初期化処理が完了した後に、上記通信待ち状態に遷移する請求項1から8のいずれかに記載の通信装置。
【請求項10】
第1通信インタフェースと、
第2通信インタフェースと、
コントローラと、を備えた通信装置であって、
上記コントローラは、
上記第1通信インタフェースを初期化する第1初期化処理と、
上記第2通信インタフェースを初期化する第2初期化処理と、
上記第1通信インタフェースを介して接続された第1外部装置、及び上記第2通信インタフェースを介して接続された第2外部装置の少なくとも一方との間でデータを送信又は受信する通信処理と、を実行し、
上記コントローラは、
上記第1初期化処理及び上記第2初期化処理の実行前に通信先情報を取得し、上記通信先情報は、少なくとも上記第1外部装置及び上記第2外部装置の一方を含むものであり、
上記通信装置の起動を条件として、上記第1初期化処理及び上記第2初期化処理を実行し、
上記通信先情報で示される外部装置が上記第1外部装置であることに応じて、上記第1初期化処理が完了した後に、上記通信処理の上記データの送受信を受け付け可能な通信待ち状態に遷移し、
上記通信先情報で示される外部装置が上記第2外部装置であることに応じて、上記第2初期化処理が完了した後に、上記通信待ち状態に遷移する通信装置。
【請求項11】
第1通信インタフェースと、第2通信インタフェースと、コントローラと、を備えた通信装置において、上記コントローラによって実行されるプログラムであって、
上記プログラムは、
上記第1通信インタフェースを初期化する第1初期化処理と、
上記第2通信インタフェースを初期化する第2初期化処理と、
上記第1通信インタフェースを介して接続された第1外部装置、及び上記第2通信インタフェースを介して接続された第2外部装置の少なくとも一方との間でデータを送信又は受信する通信処理と、を上記コントローラに実行させ、
上記第1初期化処理の所要時間は、上記第2初期化処理の所要時間よりも短く、
上記プログラムは、
上記第1初期化処理及び上記第2初期化処理の実行前に通信先情報を取得する取得処理を上記コントローラに実行させ、上記通信先情報は、少なくとも上記第1外部装置及び上記第2外部装置の一方を含むものであり、
上記通信装置の起動を条件として、上記第1初期化処理及び上記第2初期化処理を上記コントローラに実行させ、
上記通信先情報で示される外部装置が上記第1外部装置であることに応じて、上記第1初期化処理が完了した後に、上記第2初期化処理の完了を待たずに、上記通信処理の上記データの送受信を受け付け可能な通信待ち状態に遷移する処理を上記コントローラに実行させ、
上記通信先情報で示される外部装置が上記第2外部装置であることに応じて、上記第2初期化処理が完了した後に、上記通信待ち状態に遷移する処理を上記コントローラに実行させるプログラム。
【請求項12】
第1通信インタフェースと、第2通信インタフェースと、コントローラと、を備えた通信装置において、上記コントローラによって実行されるプログラムであって、
上記プログラムは、
上記第1通信インタフェースを初期化する第1初期化処理と、
上記第2通信インタフェースを初期化する第2初期化処理と、
上記第1通信インタフェースを介して接続された第1外部装置、及び上記第2通信インタフェースを介して接続された第2外部装置の少なくとも一方との間でデータを送信又は受信する通信処理と、を上記コントローラに実行させ、
上記プログラムは、
上記第1初期化処理及び上記第2初期化処理の実行前に通信先情報を取得する取得処理を上記コントローラに実行させ、上記通信先情報は、少なくとも上記第1外部装置及び上記第2外部装置の一方を含むものであり、
上記通信装置の起動を条件として、上記第1初期化処理及び上記第2初期化処理を上記コントローラに実行させ、
上記通信先情報で示される外部装置が上記第1外部装置であることに応じて、上記第1初期化処理が完了した後に、上記通信処理の上記データの送受信を受け付け可能な通信待ち状態に遷移する処理を上記コントローラに実行させ、
上記通信先情報で示される外部装置が上記第2外部装置であることに応じて、上記第2初期化処理が完了した後に、上記通信待ち状態に遷移する処理を上記コントローラに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の通信インタフェースを備えた通信装置、及び通信装置のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類の通信インタフェースを備えた通信装置として、USBインタフェースとネットワークインタフェースとを備えた複合機(Multi-Function Peripheral:MFPと略称される)が知られている。ネットワークインタフェースには、有線ネットワークインタフェースと無線ネットワークインタフェースとが含まれる。通信装置は、起動時(例えば、電源投入時)に、通信インタフェースの初期化を含む各種の初期化を行う。通信装置は、各種の初期化が完了した後に、外部装置との間のデータの送受信を受け付け可能な状態(以下、通信待ち状態と称される)に遷移する。
【0003】
特許文献1には、電源投入時に通信インタフェースを初期化する印刷装置の例が開示されている。特許文献1に記載の印刷装置の制御手段は、ホスト装置と通信を実行するためのインタフェースの初期化が完了したことに応じて、印刷手段の初期化中に発生したエラーをホスト装置に通知するための第1の論理ポートを開き、印刷手段の初期化が完了したことに応じて、印刷データをホスト装置から受信するための第2の論理ポートを開く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-108545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通信インタフェースの中には、初期化の所要時間が長いものと、初期化の所要時間が短いものとがある。このため、複数種類の通信インタフェースを備えた通信装置では、複数種類の通信インタフェースの間で初期化の完了タイミングに差異が生じる。したがって、複数種類の通信インタフェースを備えた通信装置において、すべての通信インタフェースの初期化が完了した後に通信待ち状態に遷移した場合、装置の起動から通信処理を開始できるまでの待機時間が長くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の起動から通信処理を開始できるまでの待機時間を短くできる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では様々な開示を行う。開示例の一例である通信装置は、第1通信インタフェースと、第2通信インタフェースと、コントローラと、を備えている。上記コントローラは、上記第1通信インタフェースを初期化する第1初期化処理と、上記第2通信インタフェースを初期化する第2初期化処理と、上記第1通信インタフェースを介して接続された第1外部装置、及び上記第2通信インタフェースを介して接続された第2外部装置の少なくとも一方との間でデータを送信又は受信する通信処理と、を実行する。上記第1初期化処理の所要時間は、上記第2初期化処理の所要時間よりも短く、上記コントローラは、上記第1初期化処理及び上記第2初期化処理の実行前に通信先情報を取得し、上記通信先情報は、少なくとも上記第1外部装置及び上記第2外部装置の一方を含むものであり、上記通信装置の起動を条件として、上記第1初期化処理及び上記第2初期化処理を実行し、上記通信先情報で示される外部装置が上記第1外部装置であることに応じて、上記第1初期化処理が完了した後に、上記第2初期化処理の完了を待たずに、上記通信処理の上記データの送受信を受け付け可能な通信待ち状態に遷移し、上記通信先情報で示される外部装置が上記第2外部装置であることに応じて、上記第2初期化処理が完了した後に、上記通信待ち状態に遷移する。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、装置の起動から通信処理を開始できるまでの待機時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る複合機10を含むシステムの構成を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る複合機10のブロック図である。
図3図3は、本実施形態に係る複合機10による通信インタフェースの初期化の所要時間を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る複合機10の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、本実施形態に係る複合機10のUSB優先初期化処理のフローチャートである。
図6図6は、本実施形態に係る複合機10のネットワーク優先初期化処理のフローチャートである。
図7図7は、変形例に係る複合機のUSB優先初期化処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。例えば、後述する各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
【0011】
[システムの構成]
図1が参照されて、本実施形態に係る複合機10を含むシステムが説明される。図1に示されるシステムは、複合機10と、3台の外部装置1~3とを備えている。複合機10は、プリント機能、スキャン機能、FAX機能等を有する。複合機10と外部装置1~3とは、互いに異なる通信インタフェース(以下、I/Fとも記載される)を用いて通信可能に接続されている。図1に示されるシステムでは、複合機10と外部装置1とは、USBを用いて接続されている。複合機10と外部装置2とは、有線LANを用いて接続されている。複合機10と外部装置3とは、無線LANを用いて接続されている。
【0012】
外部装置1~3は、複合機10と通信可能な任意の装置である。外部装置1~3は、例えば、パーソナルコンピュータ、ビジネスコンピュータ、端末装置、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等である。外部装置1~3は、データサーバ、データストレージ、プリンタ、ファクシミリ装置、通信用の中継装置等であってもよい。
【0013】
[複合機10の構成]
複合機10は、図2に示されるように、CPU11、メモリ12、入力部13、表示部14、プリント部15、スキャン部16、FAX部17、USB I/F21、有線LAN I/F22、及び無線LAN I/F23を備えている。これらの要素は、内部バス18を用いて接続されている。USB I/F21、有線LAN I/F22、及び無線LAN I/F23は、通信I/Fである。このうち、有線LAN I/F22、及び無線LAN I/F23は、ネットワークI/Fである。複合機10は、通信装置の一例である。
【0014】
CPU11は、複合機10の動作を制御する。CPU11は、入力部13を用いて入力されたユーザからの指示や情報、通信I/Fを介して接続された外部装置1~3から受信された各種の情報等に基づき、メモリ12に記憶された制御プログラム31を実行する。CPU11は、通信装置のコントローラの一例である。
【0015】
メモリ12は、CPU11が実行する制御プログラム31と、制御プログラム31の実行に必要なデータ或いは情報とを記憶している。メモリ12は、例えば、RAM、ROM、EEPROM、HDD、複合機10に着脱されるUSBメモリ等の可搬記憶媒体、CPU11が備えるバッファ等、或いはこれらの組み合わせによって構成される。制御プログラム31は、通信装置のコントローラが実行するプログラムの一例である。
【0016】
メモリ12は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0017】
入力部13は、ユーザが操作して複合機10に指示や情報等を入力するための要素である。入力部13は、例えば、タッチパネル等である。表示部14は、複合機10の状態やメッセージ等を画面に表示する要素である。表示部14は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等である。表示機能を有するタッチパネルは、入力部13及び表示部14として機能する。
【0018】
プリント部15は、通信I/Fを用いて受信したデータに基づき用紙に印刷を行う要素である。プリント部15は、例えば、インクを吐出して画像を記録するインクジェト方式で印刷を行うものでもよく、他の方式で印刷を行うものでもよい。プリント部15は、白黒印刷とカラー印刷とを行うものでもよく、白黒印刷だけを行うものでもよい。
【0019】
スキャン部16は、複合機10の読み取り部(不図示)に載置された用紙上の画像を光学的に読み取り、画像データを出力する要素である。スキャン部16は、白黒画像のスキャンとカラー画像のスキャンとを行うものでもよく、白黒画像のスキャンだけを行うものでもよい。
【0020】
FAX部17は、スキャン部16から出力された画像データを通信I/Fを介して接続された外部装置1~3に送信する機能と、通信I/Fを介して接続された外部装置1~3から受信した画像データに基づき用紙に画像を再現する機能とを有する。画像の再現には、プリント部15が使用される。
【0021】
通信I/Fは、外部装置1~3との間でデータを送受信するインタフェース回路である。USB I/F21は、USBを用いて接続された外部装置1との間でデータを送受信するインタフェース回路である。有線LAN I/F22は、有線LANを用いて接続された外部装置2との間でデータを送受信するインタフェース回路である。無線LAN I/F23は、無線LANを用いて接続された外部装置3との間でデータを送受信するインタフェース回路である。USB I/F21は、第1通信インタフェースの一例である。有線LAN I/F22、及び無線LAN I/F23は、第2通信インタフェースの一例である。有線LAN I/F22は、有線ネットワークインタフェースの一例である。無線LAN I/F23は、無線ネットワークインタフェースの一例である。外部装置1は、第1外部装置の一例である。外部装置2、3は、第2外部装置の一例である。
【0022】
USBを用いて通信を行うために、USB I/F21に電気的に接続されたUSBポート24には、USBケーブル25が接続される。USBポート24には、USBメモリ(不図示)等が直接接続されてもよい。有線LANを用いて通信を行うために、有線LAN I/F22に電気的に接続されたLANポート26には、LANケーブル27が接続される。無線LANを用いて通信を行うために、複合機10には無線LANアンテナ28が実装され、無線LANアンテナ28は無線LAN I/F23に電気的に接続される。無線LANアンテナ28は、例えば、無線LANアンテナ28を有する回路基板を複合機10のスロットに挿入することにより、複合機10に実装される。
【0023】
上述されたように、メモリ12は制御プログラム31を記憶し、CPU11はメモリ12に記憶された制御プログラム31を実行する。入力部13、表示部14、プリント部15、スキャン部16、FAX部17、USB I/F21、有線LAN I/F22、及び無線LAN I/F23は、CPU11からの制御に従い動作する。これにより、複合機10は、プリント動作、スキャン動作、FAX動作等を実行する。
【0024】
[通信I/Fの初期化]
複合機10は、電源投入時や、リセット時等に起動される。複合機10の起動時に、CPU11は、制御プログラム31を所定の位置(メモリ12の所定のアドレス)から実行する。制御プログラム31の当該位置には、複合機10を初期化するプログラムコードが含まれている。CPU11は、複合機10の起動時に、このプログラムコードを実行し、通信I/Fの初期化を含む各種の初期化を行う。
【0025】
CPU11は、複合機10の起動時に、USB I/F21、有線LAN I/F22、及び無線LAN I/F23を初期化する。これら3種類の通信I/Fの間では、初期化の所要時間に差異がある。一般に、USB I/F21の初期化の所要時間は短いのに対して、無線LAN I/F23の初期化の所要時間は長い。無線LAN I/F23の初期化では、無線LANのアクセスポイントを探す処理等が行われるからである。
【0026】
図3に示される例では、3種類の通信I/Fの初期化は、時刻t0において同時に開始される。USB I/F21の初期化は、時刻t1において完了する。これに対して、有線LAN I/F22の初期化は時刻t1よりも遅い時刻t2において完了し、無線LAN I/F23の初期化は時刻t2よりも遅い時刻t3において完了する。有線LAN I/F22の初期化の所要時間T2は、USB I/F21の初期化の所要時間T1よりも長い。無線LAN I/F23の初期化の所要時間T3は、有線LAN I/F22の初期化の所要時間T2よりもさらに長い。
【0027】
このように3種類の通信I/Fの間で初期化の所要時間に差異がある場合において、すべての通信I/Fの初期化が完了した後で、CPU11が通信待ち状態(通信処理のデータの送信又は受信を受け付け可能な状態)に遷移した場合、複合機10の起動から通信処理を開始できるまでの待機時間が長くなる。すなわち、電源投入や、リセットを指示したユーザが、複合機10に対してデータの送信を指示可能な状態となるまでの待機時間が長くなる。本実施形態に係る複合機10によれば、この課題を解決できる。
【0028】
[複合機10の動作]
図4から図6が参照されて、複合機10の動作が説明される。特に、複合機10の初期化処理が説明される。本明細書のフローチャートは、基本的に、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「決定」、「指示」、「確認」、「遷移」、「取得」等の処理は、CPU11の処理を表している。なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU11が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPU11がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0029】
複合機10の初期化処理では、通信I/Fの初期化を実行する前に、メモリ12に記憶された情報が参照される。この情報には、設定送信先、通信履歴、及び予定送信モードが含まれる。複合機10では、例えば、ユーザがデータの送信先を予め設定しておくことにより、起動後にデータを送信する送信先の外部装置がデフォルトとして予め決定されている場合がある。設定送信先は、起動された複合機10が最初にデータを送信する送信先の外部装置を示す情報である。通信履歴は、複合機10が行った過去の通信処理に関する履歴情報である。通信履歴には、複合機10が過去にデータを送信した外部装置、及び複合機10が過去にデータを受信した外部装置が含まれる。
【0030】
複合機10では、例えば、ユーザが予定送信モードを予め設定しておくことにより、起動後にデータを送信するときの予定送信モードがデフォルトとして予め決定されている場合がある。予定送信モードには、データを送信する前に表示部14にプレビュー画像を表示するかを示すプレビュー画像表示モードが含まれる。プレビュー画像表示モードが有効な場合、CPU11は、ユーザから通信処理のデータの送信指示を受けたことに応じて、当該データを送信する前にプレビュー画像を表示部14に表示させ、データの送信を待機する。CPU11は、プレビュー画像を表示部14に表示させた後に、ユーザからプレビューの確認操作を受けたことに応じて、当該データを送信する。
【0031】
図4に示されるように、複合機10の起動時に、CPU11は、制御プログラム31の実行に必要な各種の初期化を行う。CPU11は、まず、ファームウエアOSを初期化する(S1)。ファームウエアOSは、制御プログラム31を実行するために複合機10に搭載されるOSである。次に、CPU11は、ドライバを初期化する(S2)。S2では、USBを用いた通信、有線LANを用いた通信、無線LANを用いた通信、スピーカ制御、表示パネル制御等に使用されるドライバの初期化が行われる。次に、CPU11は、ライブラリを初期化する(S3)。S3では、制御プログラム31から呼び出される各種の下位プログラムのデータが初期化される。
【0032】
次に、CPU11は、メモリ12から予定送信モードを取得する(S11)。次に、CPU11は、S11で取得した予定送信モードに含まれるプレビュー画像表示モードが有効かを判断する(S12)。CPU11は、プレビュー画像表示モードが有効でないと判断したことに応じて(S12:No)、設定送信先と通信履歴との少なくとも一方に基づく通信先情報を取得する(S13)。通信先情報は、起動された複合機10が行う通信処理の通信先の外部装置を示す。
【0033】
設定送信先として特定の外部装置が設定されている場合には、CPU11はデータの送信先として設定されている外部装置を含む通信先情報を取得してもよい。また、CPU11は、通信履歴に記憶されている外部装置を含む通信先情報を取得してもよい。
【0034】
通信先情報は、外部装置1~3のうち、1台以上の外部装置を含んでいる。通信先情報は、少なくとも、USB I/F21を介して接続された外部装置1、及びネットワークI/Fを介して接続された外部装置2、3の一方を含んでいる。通信先情報は、データの送信先として設定されている外部装置や、通信履歴に記憶されている外部装置のすべてを必ずしも含む必要はない。
【0035】
次に、CPU11は、S13で取得された通信先情報に基づき、通信先情報が示す外部装置に接続された通信I/Fについて判断する(S14)。CPU11は、通信I/FがUSB I/F21であるか、又は通信I/Fがないと判断したことに応じて(S14:USB/なし)、図5に示されるUSB優先初期化処理を実行する(S17)。CPU11は、通信I/FがネットワークI/Fである(有線LAN I/F22又は無線LAN I/F23である)と判断したことに応じて(S14:ネットワーク)、図6に示されるネットワーク優先初期化処理を実行する(S18)。S14では、例えば、設定送信先が設定されておらず、且つ通信履歴がまだ記憶されていない場合や、設定送信先や通信履歴に不具合等が発生した場合等に、通信I/Fがないと判断される。
【0036】
CPU11は、S14において通信I/FにUSB I/F21とネットワークI/Fの両方が含まれると判断したことに応じて(S14:両方)、通信履歴に基づきいずれかの外部装置を選択する(S15)。CPU11は、例えば、複合機10の前回の起動時の最後の通信先として通信履歴に記録されている外部装置を含む通信先情報を取得してもよい。或いは、CPU11は、現時点から遡って所定の時間内に最も頻繁に通信したことが通信履歴に記録されている外部装置を含む通信先情報を取得してもよい。次に、CPU11は、S15で選択された外部装置に接続された通信I/Fについて判断する(S16)。CPU11は、通信I/FがUSB I/F21であると判断したことに応じて(S16:USB)、図5に示されるUSB優先初期化処理を実行する(S17)。CPU11は、通信I/FがネットワークI/Fであると判断したことに応じて(S16:ネットワーク)、図6に示されるネットワーク優先初期化処理を実行する(S18)。
【0037】
また、CPU11は、S12においてプレビュー画像表示モードが有効であると判断したことに応じて(S12:Yes)、図5に示されるUSB優先初期化処理を実行する(S17)。この場合、CPU11は、通信先情報に拘わらず、図5に示されるUSB優先初期化処理を実行する。
【0038】
CPU11は、S17又はS18において、USB I/F21を初期化する第1初期化処理、及びネットワークI/Fを初期化する第2初期化処理を実行する。CPU11は、S17又はS18を実行した後、電源が切断されるまで、入力部13を介して入力されるユーザの指示、又は外部装置1~3からの指示に応じて、通信処理を繰り返し実行する(S19)。CPU11は、S19において、USB I/F21を介して接続された外部装置1、及びネットワークI/Fを介して接続された外部装置2、3の少なくとも一方との間でデータを送信又は受信する。
【0039】
図5に示されるUSB優先初期化処理において、CPU11は、まず、3種類の通信I/Fの初期化開始を指示する(S21)。CPU11は、S21において、3種類の通信I/Fに対して同時、或いは所定の順序で初期化開始指示を出力する。CPU11は、例えば、1番目にUSB I/F21に対して初期化開始指示を出力し、2番目に有線LAN I/F22に対して初期化開始指示を出力し、3番目に無線LAN I/F23に対して初期化開始指示を出力する。
【0040】
USB I/F21は、CPU11から初期化開始指示を受け取ると、USB I/F21内の回路を初期化し、初期化が完了したときに初期化完了状態になる。有線LAN I/F22及び無線LAN I/F23も、同様に動作する。各通信I/Fの初期化では、主に回路のリセットが行われる。無線LAN I/F23の初期化では、無線LANのアクセスポイントの探索等も行われる。初期化開始は、CPU11が各通信I/Fのコマンドレジスタに初期化開始を指示する値を書き込むことにより指示される。各通信I/Fは、回路の初期化が完了したときに、各通信I/Fのステータスレジスタに初期化完了を示す値を書き込み、初期化完了状態になる。CPU11は、各通信I/Fのステータスレジスタの値を繰り返し調べることにより、各通信I/Fの初期化完了を確認する。
【0041】
次に、CPU11は、USB I/F21の初期化完了を確認する(S22)。CPU11は、USB I/F21が初期化完了状態になるまでS22で待機する。次に、CPU11は、USB I/F21について通信待ち状態(通信処理のデータの送受信を受け付け可能な状態)に遷移する(S23)。CPU11は、S23において、USB I/F21を用いた通信処理のデータの送受信を受け付け可能になったことを表示部14に表示させる。CPU11は、S23を実行した後、USB I/F21を用いた通信処理のデータの送受信を受け付け可能な通信待ち状態となる。
【0042】
次に、CPU11は、有線LAN I/F22の初期化完了を確認する(S24)。CPU11は、有線LAN I/F22が初期化完了状態になるまでS24で待機する。次に、CPU11は、無線LAN I/F23の初期化完了を確認する(S25)。CPU11は、無線LAN I/F23が初期化完了状態になるまでS25で待機する。次に、CPU11は、ネットワークI/Fについて通信待ち状態に遷移する(S26)。CPU11は、S26において、ネットワークI/Fを用いた通信処理のデータの送受信も受け付け可能になったことを表示部14に表示させる。CPU11は、S26を実行した後、ネットワークI/Fを用いた通信処理のデータの送受信も受け付け可能な通信待ち状態になる。CPU11は、S26を実行した後、図5に示されるUSB優先初期化処理を終了し、呼び出し元に戻る。
【0043】
図5に示されるUSB優先初期化処理は、S13で取得、又はS16で選択された通信先情報に基づき、複合機10の起動後にUSB I/F21を用いた通信処理が行われる場合(或いは、USB I/F21を用いた通信処理が行われると予測される場合)に実行される。一般に、USB I/F21の初期化の所要時間は、ネットワークI/Fの初期化の所要時間よりも短い。CPU11は、図5に示されるUSB優先初期化処理において、USB I/F21の初期化が完了した後、ネットワークI/Fの初期化の完了を待たずに、通信処理のデータの送受信を受け付け可能な通信待ち状態に遷移する。これにより、通信先情報で示される外部装置がUSB I/F21を介して接続される外部装置1である場合に、複合機10の起動から通信処理を開始できるまでの待機時間を短くできる。
【0044】
図6に示されるネットワーク優先初期化処理において、CPU11は、まず、前回使用したネットワークI/Fについて判断する(S31)。ここで、前回使用したネットワークI/Fとは、複合機10の起動前に最後に通信処理のデータの送受信に使用されたネットワークI/Fを意味する。前回使用したネットワークI/Fは、有線LAN I/F22、及び無線LAN I/F23のいずれかである。なお、S31では、例えば、前回使用したネットワークI/Fが不明である場合や、ネットワークI/Fを用いた通信処理を行ってから所定以上の時間が経過した場合等に、前回使用したネットワークI/Fがないと判断される。
【0045】
CPU11は、前回使用したネットワークI/Fが有線LANであるか、又は前回使用したネットワークI/Fがないと判断したことに応じて(S31:有線LAN/なし)、有線LAN I/F22の状態を取得する(S32)。S32で取得される有線LAN I/F22の状態には、複合機10が有線LANに接続されているかを示す情報(例えば、LANポート26にLANケーブル27が接続されているかを示す情報)が含まれている。この情報は、有線LAN I/F22が物理的に通信可能な状態にあるかを示す情報の一例である。
【0046】
次に、CPU11は、S32で取得された状態に基づき、複合機10が有線LANに接続されているかを判断する(S33)。CPU11は、有線LANに接続されていると判断したことに応じて(S33:Yes)S41へ進み、有線LANに接続されていないと判断したことに応じて(S33:No)S61へ進む。
【0047】
CPU11は、S31において前回使用したネットワークI/Fが無線LAN I/F23であると判断したことに応じて(S31:無線LAN)、無線LAN I/F23の状態を取得する(S34)。S34で取得される無線LAN I/F23の状態には、無線LANアンテナ28が複合機10に実装されているかを示す情報(例えば、無線LANアンテナ28を備えた回路基板が複合機10のスロットに挿入されているかを示す情報)が含まれている。この情報は、無線LAN I/F23が物理的に通信可能な状態にあるかを示す情報の一例である。
【0048】
次に、CPU11は、S34で取得された状態に基づき、無線LANアンテナ28が複合機10に実装されているかを判断する(S35)。CPU11は、無線LANアンテナ28が実装されていると判断したことに応じて(S35:Yes)S51へ進み、無線LANアンテナ28が実装されていないと判断したことに応じて(S35:No)S61へ進む。
【0049】
CPU11は、S41において、3種類の通信I/Fの初期化開始を指示する。CPU11は、S41において、3種類の通信I/Fに対して同時、或いは所定の順序で初期化開始指示を出力する。CPU11は、例えば、1番目に有線LAN I/F22に対して初期化開始指示を出力し、2番目に無線LAN I/F23に対して初期化開始指示を出力し、3番目にUSB I/F21に対して初期化開始指示を出力する。
【0050】
次に、CPU11は、有線LAN I/F22の初期化完了を確認する(S42)。CPU11は、有線LAN I/F22が初期化完了状態になるまでS42で待機する。次に、CPU11は、ネットワークI/Fについて通信待ち状態に遷移する(S42)。CPU11は、S42において、ネットワークI/Fを用いた通信処理のデータの送受信を受け付け可能になったことを表示部14に表示させる。CPU11は、S42を実行した後、ネットワークI/Fを用いた通信処理のデータの送受信を受け付け可能な通信待ち状態になる。
【0051】
次に、CPU11は、無線LAN I/F23の初期化完了を確認する(S44)。CPU11は、無線LAN I/F23が初期化完了状態になるまでS44で待機する。次に、CPU11は、USB I/F21の初期化完了を確認する(S45)。CPU11は、USB I/F21が初期化完了状態になるまでS45で待機する。次に、CPU11は、USB I/F21について通信待ち状態に遷移する(S46)。CPU11は、S46において、USB I/F21を用いた通信処理のデータの送受信も受け付け可能になったことを表示部14に表示させる。CPU11は、S46を実行した後、USB I/F21を用いた通信処理のデータの送受信も受け付け可能な通信待ち状態になる。
【0052】
CPU11は、S51において、3種類の通信I/Fの初期化開始を指示する。CPU11は、S51において、3種類の通信I/Fに対して同時、或いは所定の順序で初期化開始指示を出力する。CPU11は、例えば、1番目に有線LAN I/F22に対して初期化開始指示を出力し、2番目に無線LAN I/F23に対して初期化開始指示を出力し、3番目にUSB I/F21に対して初期化開始指示を出力する。
【0053】
次に、CPU11は、有線LAN I/F22の初期化完了を確認する(S52)。CPU11は、有線LAN I/F22が初期化完了状態になるまでS52で待機する。次に、CPU11は、無線LAN I/F23の初期化完了を確認する(S53)。CPU11は、無線LAN I/F23が初期化完了状態になるまでS53で待機する。次に、CPU11は、ネットワークI/Fについて通信待ち状態に遷移する(S54)。CPU11は、S54において、ネットワークI/Fを用いた通信処理のデータの送受信を受け付け可能になったことを表示部14に表示させる。CPU11は、S54を実行した後、ネットワークI/Fを用いた通信処理のデータの送受信も受け付け可能な通信待ち状態になる。
【0054】
次に、CPU11は、USB I/F21の初期化完了を確認する(S55)。CPU11は、USB I/F21が初期化完了状態になるまでS55で待機する。次に、CPU11は、USB I/F21について通信待ち状態に遷移する(S56)。CPU11は、S56において、USB I/F21を用いた通信処理のデータの送受信も受け付け可能になったことを表示部14に表示させる。CPU11は、S56を実行した後、USB I/F21を用いた通信処理のデータの送受信も受け付け可能な通信待ち状態になる。
【0055】
CPU11は、S61において、3種類の通信I/Fの初期化開始を指示する。CPU11は、S61において、3種類の通信I/Fに対して同時、或いは所定の順序で初期化開始指示を出力する。CPU11は、例えば、1番目にUSB I/F21に対して初期化開始指示を出力し、2番目に有線LAN I/F22に対して初期化開始指示を出力し、3番目に無線LAN I/F23に対して初期化開始指示を出力する。
【0056】
次に、CPU11は、USB I/F21の初期化完了を確認する(S62)。CPU11は、USB I/F21が初期化完了状態になるまでS62で待機する。次に、CPU11は、USB I/F21について通信待ち状態に遷移する(S63)。CPU11は、S63において、USB I/F21を用いた通信処理のデータの送受信を受け付け可能になったことを表示部14に表示させる。CPU11は、S63を実行した後、USB I/F21を用いた通信処理のデータの送受信を受け付け可能な通信待ち状態になる。
【0057】
次に、CPU11は、有線LAN I/F22の初期化完了を確認する(S64)。CPU11は、有線LAN I/F22が初期化完了状態になるまでS64で待機する。次に、CPU11は、無線LAN I/F23の初期化完了を確認する(S65)。CPU11は、無線LAN I/F23が初期化完了状態になるまでS65で待機する。次に、CPU11は、ネットワークI/Fについて通信待ち状態に遷移する(S66)。CPU11は、S66において、ネットワークI/Fを用いた通信処理のデータの送受信も受け付け可能になったことを表示部14に表示させる。CPU11は、S66を実行した後、ネットワークI/Fを用いた通信処理のデータの送受信も受け付け可能な通信待ち状態になる。
【0058】
CPU11は、S46、S56、及びS66のいずれかを実行した後、図6に示されるネットワーク優先初期化処理を終了し、呼び出し元に戻る。
【0059】
図6に示されるネットワーク優先初期化処理は、S13で取得された通信先情報に基づき、複合機10の起動後にネットワークI/Fを用いた通信処理が行われる場合(或いは、ネットワークI/Fを用いた通信処理が行われると予測される場合)に実行される。CPU11は、図6に示されるネットワーク優先初期化処理において、ネットワークI/Fの初期化が完了した後に、通信処理のデータの送受信を受け付け可能な通信待ち状態に遷移する。
【0060】
[実施形態の作用効果]
本実施形態に係る複合機10では、CPU11は、通信先情報で示される外部装置がUSB I/F21を介して接続された外部装置1であることに応じて、USB I/F21の初期化が完了した後に、ネットワークI/Fの初期化の完了を待たずに、通信待ち状態に遷移する(S24及びS25の前にS23を実行)。CPU11は、通信先情報で示される外部装置がネットワークI/Fを介して接続された外部装置2、3であることに応じて、ネットワークI/Fの初期化が完了した後に、通信待ち状態に遷移する(S42の後にS43を実行、S53の後にS54を実行)。
【0061】
したがって、本実施形態に係る複合機10によれば、通信待ち状態に遷移するタイミングを、通信先情報で示される外部装置がいずれの通信I/Fを介して接続されているかに応じて切り換えることにより、CPU11をできるだけ早く通信待ち状態に遷移させて、複合機10の起動から通信処理を開始できるまでの待機時間を短くできる。
【0062】
また、通信先情報にUSB I/F21を介して接続された外部装置1と、ネットワークI/Fを介して接続された外部装置2、3とが含まれている場合に、CPU11は、通信履歴に基づきいずれかの外部装置を選択する(S14:両方→S15)。選択された外部装置がUSB I/F21を介して接続された外部装置1である場合に、CPU11は、USB I/F21の初期化が完了した後に、ネットワークI/Fの初期化処理の完了を待たずに、通信待ち状態に遷移する(S24及びS25の前にS23を実行)。これにより、通信待ち状態に遷移するタイミングを利用形態に応じて好適に切り換えることができる。
【0063】
また、プレビュー画像表示モードが有効である場合には、ネットワークI/Fの初期化は、ユーザがプレビュー画像を確認している間に完了する。したがって、この場合には、CPU11は、通信先状態に拘わらず、ネットワークI/Fの初期化の完了を待たずに、通信待ち状態に遷移する(S24及びS25の前にS23を実行)。したがって、ユーザが送信指示を入力した場合、ユーザがプレビュー画像を確認した後に、CPU11は速やかに送信処理を実行できる。
【0064】
通信先情報で示される外部装置がネットワークI/Fを介して接続された外部装置2、3である場合でも、ネットワークI/Fが物理的に通信可能な状態でない場合には(S33:No、及びS36:No)、ユーザが通信先をUSB I/F21を介して接続された外部装置1に切り換える可能性がある。この場合に備えて、CPU11は、ネットワークI/Fの初期化の完了を待たずに、通信待ち状態に遷移する(S64及びS65の前にS63を実行)。これにより、複合機10の起動から通信処理を開始できるまでの待機時間を短くできる。
【0065】
有線LAN I/F22の初期化の所要時間は、無線LAN I/F23の初期化の所要時間よりも短い。このため、起動された複合機10が最初に有線LAN I/F22を用いた通信処理を行う場合には、CPU11は、無線LAN I/F23の初期化の完了を待たずに、通信待ち状態に遷移する(S43の前にS42を実行)。これにより、通信処理を開始できるまでの待機時間を短くできる。また、起動された複合機10が最初に無線LAN I/F23を用いた通信処理を行う場合には、CPU11は、無線LAN I/F23の初期化が完了した後に、通信待ち状態に遷移する(S53の後にS54を実行)。これにより、ユーザが送信指示を入力してから、CPU11が送信処理を開始するまでの時間を短くできる。
【0066】
[変形例]
本実施形態に係る複合機10については、各種の変形例を構成できる。例えば、CPU11は、図5に示されるUSB優先初期化処理に代えて、図7に示されるUSB優先初期化処理を実行してもよい。
【0067】
図7に示されるUSB優先初期化処理において、CPU11は、まず、USB接続状態を取得する(S111)。S111で取得されるUSB接続状態には、複合機10がUSB接続されているかを示す情報(例えば、USBポート24にUSBケーブル25が挿入されているかを示す情報)が含まれている。この情報は、USB I/F21が物理的に通信可能な状態にあるかを示す情報の一例である。
【0068】
次に、CPU11は、S111で取得されたUSB接続状態に基づき、複合機10がUSB接続されているかを判断する(S112)。CPU11は、USB接続されていると判断したことに応じて(S112:Yes)、S121からS126を実行する。S121からS126では、図5に示されるS21からS26と同じ処理が実行される。
【0069】
CPU11は、S112においてUSB接続されていないと判断したことに応じて(S112:No)、3種類の通信I/Fの初期化開始を指示する(S131)。CPU11は、S131において、3種類の通信I/Fに対して同時、或いは所定の順序で初期化開始指示を出力する。CPU11は、例えば、1番目に有線LAN I/F22に対して初期化開始指示を出力し、2番目に無線LAN I/F23に対して初期化開始指示を出力し、3番目にUSB I/F21に対して初期化開始指示を出力する。
【0070】
次に、CPU11は、有線LAN I/F22の初期化完了を確認する(S132)。CPU11は、有線LAN I/F22が初期化完了状態になるまでS132で待機する。次に、CPU11は、無線LAN I/F23の初期化完了を確認する(S133)。CPU11は、無線LAN I/F23が初期化完了状態になるまでS133で待機する。次に、CPU11は、ネットワークI/Fについて通信待ち状態に遷移する(S134)。CPU11は、S134において、ネットワークI/Fを用いた通信処理のデータの送受信を受け付け可能になったことを表示部14に表示させる。CPU11は、S134を実行した後、ネットワークI/Fを用いた通信処理のデータの送受信を受け付け可能な通信待ち状態になる。
【0071】
次に、CPU11は、USB I/F21の初期化完了を確認する(S135)。CPU11は、USB I/F21が初期化完了状態になるまでS135で待機する。次に、CPU11は、USB I/F21について通信待ち状態に遷移する(S136)。CPU11は、S136において、USB I/F21を用いた通信処理のデータの送受信も受け付け可能になったことを表示部14に表示させる。CPU11は、S136を実行した後、USB I/F21を用いた通信処理のデータの送受信も受け付け可能な通信待ち状態になる。CPU11は、S126又はS136を実行した後、図7に示されるネットワーク優先初期化処理を終了し、呼び出し元に戻る。
【0072】
通信先情報で示される外部装置がUSB I/F21を介して接続された外部装置1である場合でも、USB I/F21が物理的に通信可能な状態でない場合には、ユーザが通信先をネットワークI/Fを介して接続された外部装置2、3に切り換える可能性がある。この場合に備えて、上記の変形例では、CPU11は、ネットワークI/Fの初期化が完了した後に、通信待ち状態に遷移する(S132及びS133の後にS134)。
【0073】
上記の実施形態では、CPU11は、プレビュー画像表示モードが有効と判断した場合のUSB優先初期化処理(図5)において、USB I/F21の初期化完了を確認した後に、USB I/F21について通信待ち状態に遷移することとした。これに代えて、変形例に係る複合機では、CPU11は、プレビュー画像表示モードが有効と判断した場合の初期化処理において、USB I/F21の初期化の完了を待たずに、USB I/F21について通信待ち状態に遷移してもよい。
【0074】
上記の実施形態では、CPU11は、S14において通信I/FにUSB I/F21とネットワークI/Fとの両方が含まれると判断したことに応じて、S15及びS16を実行することとした。これに代えて、変形例に係る複合機では、CPU11は、S14において通信I/FにUSB I/F21とネットワークI/Fとの両方が含まれると判断したことに応じて、S14及びS15を実行することなく、図6に示されるネットワーク優先初期化処理を実行してもよい。この場合、CPU11は、ネットワークI/Fの初期化が完了した後に、通信待ち状態に遷移する。或いは、CPU11は、S14において通信I/FにUSB I/F21とネットワークI/Fとの両方が含まれると判断したことに応じて、S14及びS15を実行することなく、図5に示されるUSB優先初期化処理を実行してもよい。どちらの初期化処理を実行するかは、複合機10において予め固定的に決定されていてもよく、或いはユーザによって選択されることとしてもよい。
【0075】
上記の実施形態では、CPU11は、3種類の通信I/Fに対して同時、或いは所定の順序で初期化開始指示を出力した後、各通信I/Fの初期化完了を確認することとした。これに代えて、変形例に係る複合機では、CPU11は、初期化開始指示の出力と初期化完了の確認とを通信I/F毎に順に実行してもよい。例えば、CPU11は、最初に、初期化完了の確認を最も高い優先度で実行すべき通信I/Fの初期化開始指示を出力する処理と、当該通信I/Fの初期化完了を確認する処理とを行い、次に、初期化完了の確認を2番目の優先度で実行すべき通信I/Fの初期化開始指示を出力する処理と、当該通信I/Fの初期化完了を確認する処理とを行い、次に、初期化完了の確認を3番目の優先度で確認すべき通信I/Fの初期化開始指示を出力する処理と、当該通信I/Fの初期化完了を確認する処理を実行してもよい。
【0076】
上記の実施形態では、複合機10において、メモリ12に記憶された制御プログラム31をCPU11が実行することによって、本発明のコントローラが実行する各処理が実現される例を説明した。しかしながら、コントローラの構成はこれに限定されず、その一部又は全部を集積回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0077】
また、本発明は、複合機10として実現できるだけでなく、複合機10のCPU11に処理を実行させる制御プログラム31として実現してもよい。そして、当該プログラムは、non-transitoryな記録媒体に記録されて提供されてもよい。non-transitoryな記録媒体は、CD-ROM、DVD-ROM等の他、通信ネットワークを通じて複合機10及び外部機器に接続可能なサーバに搭載された記憶部を含んでもよい。そして、サーバの記憶部に記憶されたプログラムは、当該プログラムを示す情報或いは信号として、インターネット等の通信ネットワークを通じて配信されてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1・・・外部装置(第1外部装置)
2、3・・・外部装置(第2外部装置)
10・・・複合機(通信装置)
11・・・CPU(コントローラ)
21・・・USB I/F(第1通信インタフェース)
22・・・有線LAN I/F(第2通信インタフェース)
23・・・無線LAN I/F(第2通信インタフェース)
31・・・制御プログラム(プログラム)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7