(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187951
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】芳香耳栓
(51)【国際特許分類】
A61F 11/08 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
A61F11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096231
(22)【出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】593148804
【氏名又は名称】川本産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191190
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 直文
(72)【発明者】
【氏名】永松 芳晴
(57)【要約】
【課題】香り成分により嗅覚が刺激されることによるアロマテラピー効果を所定量の香料液により得ることができ、且つ安全な芳香耳栓を提供する。
【解決手段】芳香耳栓10は、所定量の香料液を含浸した香料含浸体12を耳栓本体11の耳孔反挿入側端部11bに取り付けたものである。耳孔反挿入側端部11bには、香料含浸体12を挿着するための挿入穴11dが設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の香料液を含浸した香料含浸体を耳栓本体の耳孔反挿入側端部に取り付けたことを特徴とする、芳香耳栓。
【請求項2】
前記香料含浸体は棒状体であり、
前記耳孔反挿入側端部には、前記香料含浸体を挿着するための挿入穴が設けられている、請求項1に記載の芳香耳栓。
【請求項3】
前記香料含浸体は板状体であり、
前記耳孔反挿入側端部には、前記香料含浸体を貼着するための貼着面が設けられている、請求項1に記載の芳香耳栓。
【請求項4】
耳栓本体と、所定量の香料液を含浸した香料含浸体と、を有し、
前記香料含浸体を前記耳栓本体の耳孔反挿入側端部に取り付けることにより芳香耳栓を製造し得るように構成したことを特徴とする、芳香耳栓製造キット。
【請求項5】
所定量の香料液を香料含浸体に含浸させた後、当該香料含浸体を耳栓本体の耳孔反挿入側端部に取り付けることにより芳香耳栓を製造することを特徴とする、芳香耳栓の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香により嗅覚を刺激するべく香り成分を放散する芳香耳栓に関する。
【背景技術】
【0002】
耳栓本体の耳孔挿入側端面に設けた穴に円筒形状の挿入体を挿入した後、その挿入体に香料液を含浸させたアロマテラピー用耳栓は公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の耳栓は、挿入体に含浸させた香料液の揮発香気を耳孔内部に充満させて、香り成分を耳孔内皮膚及び鼓膜の毛細血管を流れる血液に浸透させることにより、自律神経を制御し速やかで安らかな入眠を促す、或いは集中力を増強する等の効果を発揮するものである。すなわち、特許文献1の耳栓は、香り成分を血流に乗せて脳に運ぶことにより、香り成分を脳神経系に直接作用させることを狙ったものであり、呼吸時に鼻から吸引した香り成分により嗅覚が刺激されることによる本来のアロマテラピー効果を発揮するものではない。
【0005】
また、特許文献1の耳栓は、香料液を含浸する挿入体が耳栓本体の耳孔挿入側端面に設けた穴に挿入されるため、耳栓着用時に挿入体が耳栓本体から外耳道内に脱落する危険性がある。
【0006】
また、特許文献1の耳栓は、耳栓を使用するに際し、耳栓本体の穴に挿入した状態の小径の挿入体にユーザが香料液を含浸させる必要があるため、香料液の含浸量が所定量に調節されるとは限らない。香料液の含浸量が少なすぎると、十分なアロマテラピー効果が発揮されない。香料液の含浸量が多すぎると、その分だけ香料液が無駄になるばかりか、余分な香料液が耳栓本体に含浸されてしまう。この場合、挿入体を取り替えて、先に使用した香料液とは香り成分の異なる新たな香料液を挿入体に含浸させたとしても、異なる種類の香り成分が混ざり合ってしまうため、リラックス効果、集中力を高める効果といったそれぞれの香り成分の固有のアロマテラピー効果は得られ難くなる。
【0007】
本発明の目的は、香り成分により嗅覚が刺激されることによるアロマテラピー効果を所定量の香料液により得ることができ、且つ安全な芳香耳栓を提供し、加えて、その芳香耳栓を製造するための芳香耳栓製造キット及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る芳香耳栓は、所定量の香料液を含浸した香料含浸体を耳栓本体の耳孔反挿入側端部に取り付けたことを特徴とする。
【0009】
上記のように構成された芳香耳栓は、耳栓本体の耳孔反挿入側端部に香料含浸体が設けられる。耳栓本体の耳孔反挿入側端部に設けられた香料含浸体に香料液が所定量含浸されているので、香り成分により嗅覚が刺激されることによるアロマテラピー効果を所定量の香料液により得ることができる。香料含浸体が耳栓本体の耳孔反挿入側端部に設けられるので、耳栓着用時に香料含浸体が耳栓本体から外耳道内に脱落することがなく安全である。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る芳香耳栓製造キットは、耳栓本体と、所定量の香料液を含浸した香料含浸体と、を有し、上記香料含浸体を上記耳栓本体の耳孔反挿入側端部に取り付けることにより芳香耳栓を製造し得るように構成したことを特徴とする。この芳香耳栓製造キットによれば、芳香耳栓製造キットに含まれる香料含浸体を芳香耳栓製造キットに含まれる耳栓本体の耳孔反挿入側端部に取り付けることにより、本発明の芳香耳栓を容易に製造することができる。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る芳香耳栓の製造方法は、所定量の香料液を香料含浸体に含浸させた後、当該香料含浸体を耳栓本体の耳孔反挿入側端部に取り付けることにより芳香耳栓を製造することを特徴とする。この製造方法により、本発明に係る芳香耳栓を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、香り成分により嗅覚が刺激されることによるアロマテラピー効果を所定量の香料液により得ることができ、且つ安全な芳香耳栓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図1に示す芳香耳栓を製造するための芳香耳栓製造キットの構成図である。
【
図4】
図1に示す芳香耳栓を製造するための芳香耳栓の製造方法のフローチャートである。
【
図6】
図5に示す芳香耳栓を製造するための芳香耳栓製造キットの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1及び
図2に示すように、第1実施形態の芳香耳栓10は、耳栓本体11と、香料含浸体12と、を有する。
【0016】
耳栓本体11は、耳孔に挿入される側の端部11aが丸みを帯び、耳孔に挿入される側とは反対側の端部、すなわち耳孔反挿入側端部11bの端面11cが略平坦面になっている弾丸形の部材である。耳栓本体11の素材には、例えば、ポリウレタン、弾性発泡ポリマ又はシリコン、等が用いられる。耳孔反挿入側端部11bには、香料含浸体12を挿着するための挿入穴11dが設けられている。
【0017】
香料含浸体12は、長手方向の寸法が挿入穴11dの深さよりも大きく、太さがマッチ棒ほどの角柱状又は円柱状の棒状体である。香料含浸体12の基材には、多孔質セラミック、木、紙、フェルト、等が用いられる。香料含浸体12には、香料液が所定量含浸されている。香料含浸体12は、挿入穴11dに挿入することにより耳栓本体11に取り付けられている。香料含浸体12の一部は、耳孔反挿入側端部11bの端面11cから突出して耳栓本体11の外部に露出している。
【0018】
具体的には、香料含浸体12の寸法は、直径約2mm、長さ約1.5~1.7mmであり、香料含浸体12の端面11cからの突出長は約5mmである。香料含浸体12に含浸されている香料液の量は約0.1cc~0.2ccである。
【0019】
上記のように構成された芳香耳栓10は、耳栓本体11の耳孔反挿入側端部11bに香料含浸体12が設けられる。香料含浸体12の一部は耳栓本体11の外部に露出しているので、この露出した部分から香り成分が放散される。耳栓本体11の耳孔反挿入側端部11bに設けられた香料含浸体12に香料液が所定量含浸されているので、香り成分により嗅覚が刺激されることによるアロマテラピー効果を所定量の香料液により得ることができる。香料含浸体12が耳栓本体11の耳孔反挿入側端部11bに設けられるので、芳香耳栓10の着用時に香料含浸体12が耳栓本体11から外耳道内に脱落することがなく安全である。
【0020】
図3に示すように、第1実施形態の芳香耳栓製造キット20は、複数(この例では4個)の耳栓本体11と、複数(この例では8個)の香料含浸体12と、を有し、これらを一つの包装箱(製造キット包装容器)21に収容して構成される。香料含浸体12は、開閉自在なチャック22aを備えた気密性の袋(香料含浸体容器)22に収容されている。
【0021】
この構成によれば、芳香耳栓製造キット20に含まれる香料含浸体12を、芳香耳栓製造キット20に含まれる耳栓本体11の挿入穴11dに挿入して取り付けることにより、
図1及び
図2に示す芳香耳栓10を容易に製造することができる。
【0022】
図4に示すように、第1実施形態の芳香耳栓の製造方法は、耳栓本体製造ステップS1と、香料含浸体製造ステップS2と、香料含浸体取付ステップS3と、を有する。
【0023】
耳栓本体製造ステップS1には、耳栓本体11を成型し、その耳孔反挿入側端部11bに挿入穴11dを設ける工程が含まれる。
香料含浸体製造ステップS2は、香料含浸体12の基材に香料液を所定量含浸させるステップである。
香料含浸体取付ステップS3は、香料含浸体製造ステップS2を経ることにより得られた香料含浸体12を、耳栓本体製造ステップS1を経ることにより得られた耳栓本体11の挿入穴11dに挿入して取り付けることにより芳香耳栓10を製造するステップである。
【0024】
上記製造方法により、
図1及び
図2に示す芳香耳栓10を容易に製造することができる。
【0025】
[第2実施形態]
図5に示すように、第2実施形態の芳香耳栓30は、耳栓本体31と、香料含浸体32と、を有する。
【0026】
耳栓本体31は、耳孔に挿入される側の端部31aが丸みを帯び、耳孔に挿入される側とは反対側の端部、すなわち耳孔反挿入側端部31bの端面(以下、「貼着面」と称す)31cが略平坦面になっている弾丸形の部材である。耳栓本体31の材質は、第1実施形態の耳栓本体11の材質と同様である。
【0027】
香料含浸体32は、径寸法が耳栓本体31の径寸法よりも若干小さい円板状の板状体である。香料含浸体32の基材には、多孔質セラミック、木、紙、フェルト、等が用いられる。香料含浸体32には、香料液が所定量含浸されている。香料含浸体32に含浸されている香料液の量は約0.1cc~0.2ccである。香料含浸体32は、貼着面31cに貼着することにより耳栓本体31に取り付けられている。香料含浸体32の貼着面31cと接する面以外の部分は露出している。
【0028】
上記のように構成された芳香耳栓30は、耳栓本体31の耳孔反挿入側端部31bに香料含浸体32が設けられる。香料含浸体32の貼着面31cと接する面以外の部分は露出しているので、この露出した部分から香り成分が放散される。耳栓本体31の耳孔反挿入側端部31bに設けられた香料含浸体32に香料液が所定量含浸されているので、香り成分により嗅覚が刺激されることによるアロマテラピー効果を所定量の香料液により得ることができる。香料含浸体32が耳栓本体31の耳孔反挿入側端部31bに設けられるので、芳香耳栓30の着用時に香料含浸体32が耳栓本体31から外耳道内に脱落することがなく安全である。
【0029】
図6に示すように、第2実施形態の芳香耳栓製造キット40は、複数(この例では4個)の耳栓本体31と、複数(この例では8個)の香料含浸体32と、を有し、これらを一つの包装箱(製造キット包装容器)41に収容して構成される。香料含浸体32は、開閉自在なチャック42aを備えた気密性の袋(香料含浸体容器)42に収容されている。
【0030】
香料含浸体32の片面には自己粘着層(図示省略)が設けられている。自己粘着層は剥離可能なカバーシート(図示省略)で覆われている。香料含浸体32は、カバーシートを剥がして、自己粘着層側の面を貼着面31cに位置合わせして接合させることにより、自己粘着層の粘着力により貼着面31cに貼着することができる。
【0031】
この構成によれば、芳香耳栓製造キット40に含まれる香料含浸体32を、芳香耳栓製造キット40に含まれる耳栓本体31の貼着面31cに貼着して取り付けることにより、
図5に示す芳香耳栓30を容易に製造することができる。
【0032】
第2実施形態の芳香耳栓の製造方法は、第1実施形態の芳香耳栓の製造方法と同様、耳栓本体製造ステップS1と、香料含浸体製造ステップS2と、香料含浸体取付ステップS3と、を有する(
図4参照)。
【0033】
第2実施形態において、耳栓本体製造ステップS1は、耳栓本体31を成型する工程を含み、香料含浸体製造ステップS2は、香料含浸体32の基材に香料液を所定量含浸させる工程を含む。香料含浸体取付ステップS3は、香料含浸体製造ステップS2を経ることにより得られた香料含浸体32を、耳栓本体製造ステップS1を経ることにより得られた耳栓本体31の貼着面31cに貼着して取り付けることにより芳香耳栓30を製造するステップである。この製造方法により、
図5に示す芳香耳栓30を容易に製造することができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態の芳香耳栓製造キット20、40では、複数の香料含浸体12、32を一つの香料含浸体容器22、42に収容しているが、複数の香料含浸体12、32を複数の香料含浸体容器22、42に分割して収容してもよい。複数の香料含浸体12、32を複数の香料含浸体容器22、42に分割して収容することにより、香り成分の異なる香料液を含浸させた複数種類の香料含浸体12、32を、種類別に香料含浸体容器22、42に収容して芳香耳栓製造キット20、40に含ませることができる。この構成によれば、ユーザは、その時の気分や用途に応じて香料含浸体12、32を使い分けることにより、リラックス効果、集中力を高める効果といったそれぞれの香り成分の固有のアロマテラピー効果を得ることができる。
【0035】
上記実施形態では、耳栓本体11、31の例として弾丸形ものを示したが、耳栓本体11、31は、円柱形、フランジ形などその他のものであってもよい。
【0036】
また、第1実施形態においては、香料含浸体12の例として、径寸法が全長に亘って略均一になっているものを示したが、
図7及び
図8に例示するように、香料含浸体12の端面11cから突出する側の端部12aの径寸法はその他の部分よりも大きくなっていてもよい。この構成によれば、第1実施形態の構成と比較して、香料含浸体12による香料液の含浸量を増やすとともに、香料含浸体12の露出部分の表面積を大きくすることができるので、香料含浸体12からの香り成分の放散量を増大させて、高いアロマテラピー効果を得ることができる。
【0037】
また、上記の例では、棒状の香料含浸体12の一部が耳栓本体11の外部に突出しているが、香料含浸体12の端面から放散される香り成分によって十分なアロマテラピー効果を得ることが可能であるならば、香料含浸体12の一部を耳栓本体11の外部に突出させることは必須ではない。
【0038】
また、上記実施形態に示した製造方法では、香料含浸体12、32の基材に香料液を所定量含浸させた後に、香料含浸体12、32を耳栓本体11、31に取り付けることにより芳香耳栓10、30を製造しているが、本発明の芳香耳栓は、上記実施形態に示した製造方法により製造されたものに限定されない。すなわち、本発明の芳香耳栓は、例えば、香料含浸体12、32の基材を耳栓本体11、31に取り付けた後に、香料含浸体12、32の基材に所定量の香料液を含浸させることにより製造されてもよい。耳栓本体11、31に取り付けた香料含浸体12、32の基材に香料液を所定量含浸させる方法の例として、注射器やスポイトなどによる所定量の香料液の注入又は滴下、スプレイ装置による所定量の香料液の吹き付け、等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0039】
10 芳香耳栓
11 耳栓本体
11b 耳孔反挿入側端部
11d 挿入穴
12 香料含浸体
12a 端部
20 芳香耳栓製造キット
30 芳香耳栓
31 耳栓本体
31b 耳孔反挿入側端部
31c 貼着面(端面)
32 香料含浸体
40 芳香耳栓製造キット
S1 耳栓本体製造ステップ
S2 香料含浸体製造ステップ
S3 香料含浸体取付ステップ