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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187958
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】軸シールユニット
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/3288 20160101AFI20221213BHJP
   F16J 15/22 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
F16J15/3288
F16J15/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163738
(22)【出願日】2021-10-04
(62)【分割の表示】P 2021096209の分割
【原出願日】2021-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】596116363
【氏名又は名称】三和テクノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517052792
【氏名又は名称】ライズテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101085
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 健至
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 知理
(74)【代理人】
【識別番号】100185258
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 宏理
(72)【発明者】
【氏名】福井 和郎
(72)【発明者】
【氏名】庄司 進
(72)【発明者】
【氏名】井上 和紀
【テーマコード(参考)】
3J043
【Fターム(参考)】
3J043AA16
3J043BA02
3J043BA06
3J043CA05
3J043CA12
3J043CB01
3J043CB30
3J043DA02
3J043DA09
3J043DA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】優れたシール性、低摩擦力で、高寿命で、簡便な構造の軸シールユニットの提供。
【解決手段】断面円形の円筒状空洞4を備えた外周パーツ2と、円筒状空洞内に配された円筒状回転軸従動部材6とを備えた回転体軸部用軸シールユニット1であって、該外周パーツは、その円筒状空洞内周面5上にシール部材3を備えており、該シール部材の内周表面部8は円筒状回転軸従動部材の外周面に当接しており、該円筒状回転軸従動部材は、その中心に回転軸挿入孔9を備え、回転軸の回転に追従する該円筒状回転軸従動部材と該外周パーツとの間の粉体の移動を規制するための、回転体軸部用軸シールユニット。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形の円筒状空洞を備えた外周パーツと、
円筒状空洞内に配された円筒状回転軸従動部材とを備えた回転体軸部用軸シールユニットであって、
該外周パーツは、その円筒状空洞内周面上にシール部材を備えており、
該シール部材の内周表面部は円筒状回転軸従動部材の外周面に当接しており、
該円筒状回転軸従動部材は、その中心に回転軸挿入孔を備え、
回転軸の回転に追従する該円筒状回転軸従動部材と該外周パーツとの間の粉体の移動を規制するための、
回転体軸部用軸シールユニット。
【請求項2】
シール部材は、外周パーツの円筒状空洞の内周面上を略一周するように配されたファブリックからなることを特徴とする、請求項1に記載の回転体軸部用軸シールユニット。
【請求項3】
シール部材のファブリックが織物あるいは編物からなることを特徴とする、請求項2に記載の回転体軸部用軸シールユニット。
【請求項4】
シール部材のファブリックがパイル地からなることを特徴とする、請求項3に記載の回転体軸部用軸シールユニット。
【請求項5】
シール部材のパイル地のパイルの先端部を粉体の侵入してくる側(規制したい側)へ傾倒させて円筒状回転軸従動部材と当接していること、を特徴とする請求項4に記載の回転体軸部用軸シールユニット。
【請求項6】
シール部材のパイル地のパイルの先端部を粉体の侵入してくる側(規制したい側)へと斜毛していること、を特徴とする
請求項4に記載の回転体軸部用軸シールユニット。
【請求項7】
シール部材のパイル地のパイルの先端部が円筒状回転軸従動部材の軸方向に傾いている請求項4~6のいずれか1項に記載の回転体軸部用軸シールユニット。
【請求項8】
シール部材のパイル地のパイルの先端部が円筒状回転軸従動部材の軸方向と回転方向のいずれに対しても斜向して傾いている請求項4~6のいずれか1項に記載の回転体軸部用軸シールユニット。
【請求項9】
外周パーツの円筒状空洞内に円筒状回転軸従動部材が挿入されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の回転体軸部用軸シールユニット。
【請求項10】
シール部材とこれに当接する円筒状回転軸従動部材との間の回転負荷トルクをN1とし、
回転軸挿入孔に挿通された回転軸と回転軸に従動する円筒状回転軸従動部材との間の回転負荷トルクをN2とするとき、
これらの関係がN2>N1であること、
を特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の回転体軸部用軸シールユニット。
【請求項11】
外周パーツは外形が直円柱状の円筒形状の薄板からなり、円筒の側面に母線方向のスリットを備えていること、
を特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の回転体軸部用軸シールユニット。
【請求項12】
外周パーツの周囲に外套支持部材を備え、回転軸を軸支していること、を特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の回転体軸部用軸シールユニット。
【請求項13】
外周パーツの少なくとも一方端に、さらに回転軸の軸受部を備えていること、を特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の軸受付きの回転体軸部用軸シールユニット。
【請求項14】
外周パーツの少なくとも一方端が回転軸の軸受部のアウターレースと一体であること、を特徴とする請求項13の軸受付きの回転体軸部用軸シールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、回転体の軸端部をシールする軸シール機構および軸シールユニットに関する。たとえば、粉体を取り扱う回転装置において、回転体の回転軸の端部から粉体が外部に漏洩しないようにシールする円筒状軸シール材、とりわけ、電子写真装置における画像形成装置のトナーの供給ローラや撹拌ローラなどの回転軸から、トナーの粉体が漏洩しないように回転体の軸端部をシールする軸シール機構や軸シールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を取り扱う回転装置では、回転体の回転軸の端部から粉体が外部に漏洩することは種々に支障をもたらす。すると、固着によりロックしたり、回転トルク上昇や寿命低下などを招来する。そこで、粉体が外部に漏洩しないようにシールするための円筒状軸シール材としては、これまでにも、オイルシールのようなゴム系のシール部材や、スポンジ系のシール部材あるいはフェルト系のシール部材が用いられている。
【0003】
もっとも、ゴム系のシール部材は粘弾性を有しており、摩擦係数が高い。そこで、高速回転になると摩擦熱を発生し、摩耗によるシール性能が低下し、寿命に問題が生じていた。さらに、摩擦熱の発生に伴い、電子写真装置のトナーなどのように樹脂よりなる粉体の場合には、シールされる粉体が摩擦熱により軟化して回転軸に固着し、装置をロックさせてしまう問題があった。また、回転体と面で接触するシール部材の場合にはトルクが上昇し、装置の寿命が短縮される問題が生じていた。
【0004】
スポンジ系のシール部材は、シール部材中に気泡の孔を有しており、圧縮させて使用することが一般的である。しかし、粉体がシール部材の気泡の孔の中に入り込んでしまうと、シール性能が低下してしまう。また、スポンジ系のシール部材では、ゴムシール部材の場合と同様に、粉体がトナーである場合に、高速回転では摩擦熱によりシール部材の孔の中に入り込んだトナーの樹脂が軟化して回転軸に固着して回転装置の回転軸をロックさせてしまう問題があった。
【0005】
フェルト系のシール部材では、ファイバーを圧縮して製作したフェルトが使用されている。ファイバーの向きが不規則であるため、粉体がシール内のファイバー間に入り始めると、粉体の入り込みの規制が困難となり、シール性能が低下しやすい、という問題が生じていた。
【0006】
また、パイル織編物を軸の周方向に円筒形状に形成させた軸シール材においては、シール材に挿入する軸の方向によっては、軸がパイルを押込むように挿入されることから、所望とするパイル方向が維持できないこととなりやすい。すると、シール性が不安定となるので、粉体の漏れを安定的に防止できない問題があった。
【0007】
さらにパイル織編物を用いた軸シール材において、パイル表面にオイルやグリスを塗布した場合には、粉体の侵入を抑えることができる。もっとも、オイルやグリスの粘性効果によって粉体が凝集しやすくなるので、凝集物が粉体容器の中に入ってしまう問題があった。
【0008】
このように粉体を扱う装置に適用するシール部材に求められる特性とは、とりわけ、電子写真の画像処理装置などのガラス転移温度の低い樹脂の粉体を取り扱う回転装置に適用するシール部材に求められる特性は、高いシール性と回転軸との低摩擦力とを有し発熱の低いシール材及びシール方法であること、かつ、高い寿命を有すること、そして、低コストであること、などである。
【0009】
そこで、本発明の発明者らは、これまでにもトナーを扱う装置に用いるシール材を提案している。
たとえば、電子写真の画像処理装置のトナーを取り扱う現像ローラなどの回転体用のシール材が、基布の表面からパイル糸を起毛させたパイル織物からなり、カットパイルが軸の回転方向に沿うように斜毛されている手段を提案している(特許文献1参照。)。
【0010】
さらに、電子写真の画像処理装置のトナーを取り扱う回転体用の軸シールとしてパイル織物を円筒状に形成した軸シール材が提案している(特許文献2参照。)。
【0011】
また、スポンジおよびフェルトからなるシール部材として、スポンジなどの発泡性の基材の表面にフェルトを配置し、フェルトの表面を現像ローラや感光ドラムの外周面に接触させてシールを行うもの、あるいは中空ファイバーまたは多孔性中空ファイバーによる糸をパイル用糸とし、回転体シール部材としているものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0012】
本発明者以外にもシール機能付き軸受け装置の提案がある。樹脂シートに孔を形成し軸受け部と一体化したシール機能付き軸受けであり、シートに形成された孔に軸を挿入してシートをリップ状に形成しシートを軸に当接せしめ粉体のシールを行い、軸受け部で軸を受けて軸が回転できるものが提案されている。(たとえば、特許文献4参照。)
【0013】
しかし、樹脂シートをリップ状に形成しシールを行う場合は面で当接させてシールすることは軸径に対しシートの孔径を小さくしなければリップ状に形成できない原理でありシートが伸びる素材で且つ孔径の精度が必要となる。さらに軸径とシート孔径において孔径を小さくしすぎると軸が挿入できない問題とシートの伸びで挿入可能な孔径にするとシートの孔部(エッジ部)が軸に当接するように構成されこの影響によりが金属の軸では問題がないが樹脂の軸の場合は樹脂同士の摺擦となり樹脂から形成された軸をこのシート孔の内面であるエッジ部で樹脂の軸を削ってしまう問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005-201427号公報
【特許文献2】特開2008-026729号公報
【特許文献3】特開2003-56713号公報
【特許文献4】特開2010-175020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
シール部材を回転軸に用いるとき、シール部材の取り付けの際に回転軸等によってパイルの先端が乱れてしまいやすく、パイルの先端の向きが乱れてしまうと、粉体の規制効果が低減してしまうことがあった。また、高速回転で摩擦熱が生じると、軟化した樹脂粉体が回転軸に固着したり、装置をロックさせてしまうことがあった。また、回転軸にかかるトルクが上昇し、シール部材や、回転装置の寿命が短くなってしまっていた。
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、回転体の軸部用の軸シールユニットを提供することで、粉体の移動を適切に規制しうること、すなわち、粉体が回転軸の箇所から装置内部への侵入を抑止すること、回転軸の箇所から外部への漏出を抑止すること、といった高いシール性を実現することである。とりわけ、粉体を用いる装置もしくは、樹脂粉体であるトナーを取り扱う電子写真の画像処理装置の回転装置のトナー供給ローラなどの回転体における、回転軸に軸封に適した粉体漏出防止用に好適な軸シールユニットを提供することである。
【0017】
そして、優れたシール性に加えて、樹脂粉体であるトナーを取り扱うのに適するような、低摩擦力で発熱しにくく、高い寿命を備えていること、簡便に低コストに敷設できる軸シールユニットの構造でありながら先端が乱れずに優れたシール性を発揮する軸シールユニットを提供することである。すなわち、優れたシール性を備え、低摩擦力で発熱しづらく、高寿命であって、簡便な構造の取り付け容易な軸シールユニットを提供することである。
【0018】
さらに摩擦係数の選定を可能とし、シール部における回転トルクを低減させつつ、高速回転でも粉体の漏れを防止でき、また温度上昇を抑えることができる軸シールユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
課題を解決するための第1の手段は、断面円形の円筒状空洞を備えた外周パーツと、円筒状空洞内に配された円筒状回転軸従動部材とを備えた回転体の軸部用の軸シールユニットであって、該外周パーツは、その円筒状空洞内周面上にシール部材を備えており、該シール部材の内周表面は円筒状回転軸従動部材の外周面に当接しており、該円筒状回転軸従動部材は、その中心に回転軸挿入孔を備え、回転軸の回転に追従する該円筒状回転軸従動部材と該外周パーツとの間の粉体の移動を規制するための、回転体軸部用軸シールユニットである。
【0020】
その第2の手段は、シール部材が、外周パーツの円筒状空洞の内周面上を略一周するように配されたファブリックからなることを特徴とする、第1の手段に記載の回転体軸部用軸シールユニットである。
【0021】
その第3の手段は、シール部材のファブリックが織物あるいは編物からなることを特徴とする、第2の手段に記載の回転体軸部用軸シールユニットである。
【0022】
その第4の手段は、シール部材のファブリックがパイル地からなることを特徴とする、第3の手段に記載の回転体軸部用軸シールユニットである。
【0023】
その第5の手段は、シール部材のパイル地のパイルの先端部を粉体の侵入してくる側(規制したい側)へ傾倒させて円筒状回転軸従動部材と当接していること、を特徴とする第4の手段に記載の回転体軸部用軸シールユニットである。
【0024】
その第6の手段は、シール部材のパイル地のパイルの先端部を粉体の侵入してくる側(規制したい側)へと斜毛していること、を特徴とする第4の手段に記載の回転体軸部用軸シールユニットである。
【0025】
その第7の手段は、シール部材のパイル地のパイルの先端部が円筒状回転軸従動部材の軸方向に傾いている第4から第6のいずれかの手段に記載の回転体軸部用軸シールユニットである。
【0026】
その第8の手段は、シール部材のパイル地のパイルの先端部が円筒状回転軸従動部材の軸方向と回転方向のいずれに対しても斜向して傾いている第4から第6のいずれかの手段に記載の回転体軸部用軸シールユニットである。
【0027】
その第9の手段は、円筒状回転軸従動部材が、プラスチック樹脂製である第1~第8のいずれか1の手段に記載の回転体軸部用軸シールユニットである。
【0028】
その第10の手段は、外周パーツの円筒状空洞内に円筒状回転軸従動部材が挿入されていることを特徴とする、第1~第9のいずれか1の手段に記載の回転体軸部用軸シールユニットである。
【0029】
その第11の手段は、シール部材とこれに当接する円筒状回転軸従動部材との間の回転負荷トルクをN1とし、
回転軸挿入孔に挿通された回転軸と回転軸に従動する円筒状回転軸従動部材との間の回転負荷トルクをN2とするとき、
これらの関係がN2>N1であること、を特徴とする第1~第10記載のいずれか1の手段に記載の回転体軸部用軸シールユニットである。
【0030】
その第12の手段は、外周パーツは外形が直円柱状の円筒形状の薄板からなり、円筒の側面に母線方向のスリットを備えていること、を特徴とする第1~第11のいずれか1の手段に記載の回転体軸部用軸シールユニットである。
【0031】
その第13の手段は、外周パーツの周囲に外套支持部材を備え、回転軸を軸支していること、を特徴とする第1~第12のいずれか1の手段に記載の回転体軸部用軸シールユニットである。
【0032】
その第14の手段は、外周パーツの少なくとも一方端に、さらに回転軸の軸受部を備えていること、を特徴とする第1~第12のいずれか1の手段に記載の軸受付きの回転体軸部用軸シールユニットである。
【0033】
その第15の手段は、外周パーツの少なくとも一方端が回転軸の軸受部のアウターレースと一体であること、を特徴とする第14の手段記載の軸受付きの回転体軸部用軸シールユニットである。
【発明の効果】
【0034】
本発明の手段を用いることにより、軸挿入時によるパイルの乱れが簡便に抑制され、安定して粉体の漏れを防止でき、高寿命化することができる。また、シール性能が高く、トルクを抑えて摩擦による発熱を抑制していることから、高速回転への対応及び、樹脂製の回転軸部材を用いても発熱を抑制しつつシールすることが可能となるので、コストを低減できる。また、軸方向に対して回転方向に斜向するように斜毛させたパイルを用いると、パイルの規制角度による掃き出し効果によって回転動作にしたがって粉体がパイル先端に流動するように排出が促されるので、シール性が向上する。そこで、オイルの塗布を省くこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の回転体軸部用軸シールユニットの構成例1の断面模式図である。(a)はシール部材を備えた外周パーツに、鍔つきの円筒状回転軸従動部材を挿入する前の図であり、(b)は円筒状回転軸従動部材挿入後の回転体軸部用軸シールユニットの構成を示す断面模式図である。
図2】本発明の構成例1の軸シールユニットを粉体の入った容器の回転軸に漏出防止に用いる使用例を示した図である。図2(a)に、軸シールユニットを容器端部に組み込む様子を示す。図2(b)に、容器端部に組み込んだ軸シールユニットの回転軸挿入孔内に回転軸を挿し入れる手順を示す。図2(c)に、粉体の入った容器の回転軸と容器端部の隙間に軸シールユニットを組み込んだ様子を示す。
図3】本発明の回転負荷トルクの説明図である。(a)はシール部材の内部に円筒状回転軸従動部材が組み込まれる様子を分解して示した図であり、(b)はシール部材と接しながら回転する円筒状回転軸従動部材の、シール部材との回転負荷トルクをN1を示した模式図である。(c)は、回転軸に円筒状回転軸従動部材が嵌まる様子を示した分解図であり、(d)は回転軸に従動して回転する円筒状回転軸従動部材との回転負荷トルクN2を示した模式図である。
図4】本発明の構成例2の、軸受部を備えた軸シールユニットを示す。(a)は分解図、(b)は構成図である。
図5】本発明の構成例3の、軸受部を備えた軸シールユニットを示す。(a)は分解図、(b)は構成図である。
図6】本発明の構成例4の、直立するカットパイルが円筒状回転軸従動部材によって傾倒される構成の軸シールユニットを示す。(a)は分解図、(b)は構成図である。
図7】シール部材に使用する開繊された直毛繊維の円筒状軸シール材と外周パーツの構成図である。
図8】シール部材に使用する開繊された直毛繊維のカットパイルの拡大図である。
図9】開繊された直毛繊維のパイルが円筒状回転軸従動部材の挿入により先端が撓んで傾倒する様子を示した図である。
図10】本発明の構成例5の軸シールユニットの形態を示す。(a)は分解図、(b)は構成図である。パイル織編物のパイル先端があらかじめ傾倒している構成である。
図11】シール部材に使用するパイルが予め斜毛されて外周パーツに取り付けらえている様子を示した構成図である。(a)が軸方向からの図で、(b)は側面図、(c)は断面図である。
図12】シール部材に使用するパイルが予め斜毛となっている構成の拡大図であり、(a)(b)はパイルを上から俯瞰視した図であり、(c)は側面方向から示した図である。
図13】斜毛されたパイルに円筒状回転軸従動部材を挿入した様子を示した図である。
図14】構成例6の軸シールユニットのパイルの説明図である。軸方向に対して回転方向に斜向して斜毛されたパイルに関する、パイルの規制角度による掃き出し効果の説明図である。
図15】構成例6の軸方向に対して回転方向に斜向して斜毛された例である。シール部材に使用するパイルが規制角度を設けられて斜向して斜毛されている。
図16】シール部材に使用される独泡構成である発泡体のシール材で内側にグリス等を塗布保持させた例である。
図17】本発明の構成例8の軸シールユニットを示す図である。(a)と(b)は円筒状回転部材を挿入前の図であり、(c)と(d)は円筒状回転部材の挿入後の図である。
図18】本発明の構成例9の軸シールユニットを示す図である。(a)は円筒状回転部材を挿入前の図であり、(b)と(c)は円筒状回転部材の挿入後の図である。縦方向に2分割された左右の外套支持部材で挟み込むように囲いこんだ構成である。
図19】本発明の構成例10の軸シールユニットを示す図である。(a)は円筒状回転部材を挿入前の図であり、(b)と(c)は円筒状回転部材の挿入後の図である。横方向に2分割された上下の外套支持部材で挟み込むように囲いこんだ構成である。
図20】突起形状の円筒状回転軸従動部材の構成の例である。
図21】Dカットによる回転止めを備えた円筒状回転軸従動部材の構成の例である。
図22】形状の円筒状回転軸従動部材の構成の例である。
図23】本発明の回転体軸部用軸シールユニットの他の使用例であり、(a)は分解図、(b)は構成図である。
図24】(a)は、比較例であって、パイルの先端の毛先が逆向きである回転体軸部用軸シールユニットである。(b)は本発明の仕様を対比のために示している。
図25】粉体漏出試験の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施の形態について適宜図面及び表を参照しつつ以下に説明する。
【0037】
本発明のシール部材に用いるファブリックとは、織物、編物(以下、織物と編物を総称するときは、あわせて織編物ともいう。)、不織布、フェルト状素材のことをいう。以下では、織物を代表例として説明する。また、シール部材はほぼ円筒状をしており、ファブリックの裏面外周にアルミ板を基台として設けることで形状を保持しやすくして取り扱い性を良好とすることもできる。
【0038】
本発明のシール部材に用いるパイル地とは、パイル織物もしくはパイル編物のことをいう。さらに、パイルの輪奈は、ループ状、もしくは、ループの先端でカットされているカットパイルのいずれを用いることもできる。以下では、カットパイルを代表例として説明する。なお、直径10μm程度の微細な樹脂粉体をシールするパイル地としては、カットパイルであることがより好ましい。パイル地のシール部材は一定の荷重を加えた際に復元力により、均一に荷重を与え接することができるからである。さらにパイル先端を粉体が侵入してくる側、漏出してくる側に向けて、パイルが斜毛していることがより好ましい。
【0039】
本発明でいう円筒状回転軸従動部材は、プラスチック樹脂製、金属製、摺動性ゴム部材製のいずれも適用することができる。とりわけ生産コストに優れて軽量なプラスチック樹脂製が好適である。そこで、以下の構成例では、プラスチック製樹脂を用いた例で説明する。
【0040】
本発明でいう粉体の規制とは、回転軸部から装置内に粉体が侵入しないように、あるいは回転軸部から外部に粉体が漏出しないように、回転軸部からの粉体の侵入や漏出を抑制することである。
【0041】
シール部材のパイルの先端部を粉体の侵入してくる側(規制したい側)へ傾倒されているとは、円筒状回転軸従動部材に当接するパイルがパイルの先端を粉体の流入や漏出を規制するように粉体のある側に向けて傾倒させていることをいう。すなわち、粉体が侵入してくる方向に向けてパイルの先端を傾倒させるようにして円筒状回転軸従動部材と当接されている、もしくはパイルの先端を粉体が漏出しようとする方向に向けて傾倒させるようにして円筒状回転軸従動部材と当接されている。具体的には、回転軸の軸方向の一方にパイルの先端を傾けることとする。もしくは、図14のように回転軸の軸方向と回転方向の間の向きに傾けることで、回転に逆らわないように斜向させるように傾倒させることでもよい。
【0042】
外周パーツの円筒状空洞内に円筒状回転軸従動部材を挿し入れていくときに、外周パーツの円筒状空洞内周面に設けたシール部材のパイルの先端が、挿し込まれる円筒状回転軸従動部材によって倒されるので、挿入方向である軸方向にパイルの先端を向けて傾倒させた状態を形成させることができる。回転軸の軸方向と回転方向の間の向きにあらかじめ傾けた状態で、円筒状回転軸従動部材を毛並みに沿って挿しこむと、斜向したパイルを特に逆立てることもなく、回転にも逆らわないものとなるので、円筒状回転軸従動部材の回転動作によって侵入してきた粉体がパイルの先端へと自然と押し流されて排出が促されることとなる。
【0043】
また、シール部材のパイルの先端部が粉体の侵入してくる側(規制したい側)斜毛しているとは、パイルの先端が、基地から上方に直立するのではなく、パイルの先端が粉体を規制しようとする方向に予め向けておき、粉体の侵入側もしくは漏出側に向かって斜めに倒れるように配していることをいう。
【0044】
(構成例1)
図1に、構成例1の回転体軸部用軸シールユニットの模式図を示す。図1(a)はシール部材(3)を備えた外周パーツ(2)の円筒状空洞(4)内に、鍔(20)つきの円筒状回転軸従動部材(6)を挿入する前の図である。図1(b)は円筒状回転軸従動部材(6)を円筒状空洞(4)に挿入方向(14)の方向に挿入した状態の回転体軸部用軸シールユニット(1)の構成を示す断面模式図である。
【0045】
構成例1におけるシール部材(3)のファブリック(17)は、カットパイル地の織編物であって、外周パーツ(2)に設けられた円筒状空洞(4)の内周面(5)の略全周に渡って取り付けられている。この構成例では、図1(a)に示すようにあらかじめシール部材(3)のカットパイル(18)の先端(12)を図面左方向に傾斜させる癖付けがされて斜毛した状態となっている。
【0046】
この円筒状空洞(4)の中に、挿入方向(14)から、円筒状回転軸従動部材(6)が挿入されており、円筒状のシール部材(3)のパイルの先端部(12)と、円筒状回転軸従動部材(6)の外周面(7)が当接することで、回転する粉体(11)の移動を規制してシールしている。なお円筒状回転軸従動部材(6)の一端には、一方向に抜けていってしまわないように鍔(20)が設けられている。円筒状回転軸従動部材(6)はその軸心に回転軸挿入孔(9)を備えている。
【0047】
そこで、回転体軸部用軸シールユニット(1)の使用時には、回転軸挿入孔(9)に回転軸(10)が嵌まった状態で密着するように挿通されており、回転軸(10)が回転すると、円筒状回転軸従動部材(6)も追従して同方向に回転する。回転しない外周パーツに固定されているシール部材(3)は、そのパイル(18)の先端部(12)が回転する円筒状回転軸従動部材(6)と接して隙間をシールドするので、粉体(10)の移動が阻止されることとなる。特に図面1(b)の左から右へ粉体が移動することが規制されることとなる(図2(c)の粉体が規制される向き(13)参照。)。
【0048】
図2に、トナー等の樹脂粉体を収容する容器に適用する例を示す。図1に記載の本発明の構成例1の軸シールユニット(1)を図2(a)に示すように粉体の入った容器(21)の端部に取り付け、図2(b)(c)に示すようにインペラー(22)のついた回転軸(10)を軸シールユニット(1)の円筒状回転軸従動部材(6)の軸心の回転軸挿入孔(9)へと容器内から嵌め通してある。すると、回転軸(10)の回転に従動して円筒状回転軸従動部材(6)は、パイル(18)が円筒状回転軸従動部材(6)の外周面(7)に当接しながら、摺り動いて回転する。すると、インペラー(22)で攪拌される微細なトナー樹脂の粉体(11)は、容器左端の回転軸に設けられたパイル(18)によって漏出が阻止されるので、回転軸付近から外部に粉体(11)が漏れ出すこともない。なお、外周パーツの形状は、内部に円筒状空洞(4)を備えるのであれば、形状に限定はないので、容器の端部のパーツと一体的であってもよい。
【0049】
なお、この軸シールユニット(1)は、外周パーツ(2)および円筒状回転軸従動部材(6)のいずれもプラスチック樹脂製で製作が可能であるので、低コストであり、軸心に回転軸(10)を圧入するだけで使用することができる。
【0050】
さて、円筒状回転軸従動部材(6)の内周面は、図3(c)のように回転軸挿入孔(9)に圧入されることで、回転軸(10)と密着する領域を有するように構成されている。そこで、回転軸(10)の回転に従動して円筒状回転軸従動部材(6)は回転する。この回転軸(10)と円筒状回転軸従動部材(6)内面の密着による回転トルクを回転トルクN2とするとき、図3(b)に示すシール部材(3)と円筒状回転軸従動部材(6)表面の当接による回転負荷トルクN1との関係を、N2>N1となるように構成しておく。すると、回転軸(10)と円筒状回転軸従動部材(6)は同じ回転方向で略同じ回転数で回転することとなるので、軸を傷つける事がなく回転軸(10)を通じて軸方向への粉体の漏れを防止することができる。
【0051】
もちろん、シール部材(3)によって、外周パーツ(2)と円筒状回転軸従動部材(6)の隙間が密にシールされているので、この隙間からも漏出することはないが、このシール性が高いことから、その力に負けてしまえば、回転軸(10)のうえで、円筒状回転軸従動部材(6)が滑ってしまうこととなりかねず、滑るようだと、軸に傷などを生じせしめそこに粉体が侵入し易くなり漏出するといったトラブルを招来することも起こりうる。そこで、回転軸(10)に圧入する円筒状回転軸従動部材(6)の間のトルクN2とN1との関係を考慮して、N2>N1となるように構成しておくことで、円筒状回転軸従動部材(6)が回転軸(10)のうえで空滑りするようなことがなく、一体的に従動することとなるので、回転軸付近から粉体が漏出することも避けることができることとなる。
【0052】
なお、回転負荷トルクN1がN2以下である条件を満たすためには、円筒状回転軸従動部材(6)はナイロン、POM、PFA等のプラスチック樹脂成形部材または円筒状の金属部材であることが好ましい。コスト面からも、回転軸に嵌め合わせる圧入のハンドリング性から、樹脂成形からなる円筒状回転軸従動部材(6)がより好ましい。
【0053】
(構成例2)
他の構成例として、次に、軸シールユニット(1)が軸受部(15)を有するハウジング部と一体的に構成された構造の軸シールユニット(1)を図4に示す。この構成では回転軸(10)が、外周パーツ(2)と一体的となった樹脂製の軸受部(15)で支持されるので、コストを抑えることができる。このように、本発明の軸シールユニット(1)に軸受けとしての機能を加味することもできる。ここでいう軸受部(15)は回転軸(10)の回転を支持するものであればよく、機構的に単純なもの、たとえばベアリングを備えず、単に円筒の内周壁で回転軸(10)を周囲から支持するプラスチック製樹脂の滑りを利用するものも適用しうる。
【0054】
(構成例3)
図5は、図4の構成例2の軸受部(15)を備えた他の態様である。この構成では回転軸の回転数が高速で軸受部(15)に摺動性の良いベアリング(23)使用し、軸受部(15)との摩擦による摩擦熱の発生を抑えており、ベアリング(23)のアウターレース(16)のハウジング部と外周パーツが一体的に構成された構造の軸シールユニット(1)である。軸受部(15)にベアリング(23)を使用することにより回転軸の高速回転にも対応できる。このように一体的に構成することで軸受部(15)を兼ねた軸シールユニット(1)とすることができ、高速回転にも対応することができる利便性のよい軸シールユニット(1)となっている。
【0055】
(構成例4)
シール部材(3)が円筒状回転軸従動部材(6)の外周面(7)と密着することにより粉体の侵入を防止すること、回転軸を傷つけないこと、円筒状回転軸従動部材(6)は挿入された回転軸(10)と同じ回転方向で略同じ回転数で回転することに加えて、円筒状回転軸従動部材(6)との摩擦熱を抑えるためには、シール部材(3)に使用する素材自体の摩擦抵抗が低いことが好ましい。そして、粉体の侵入や漏出を防止するために、円筒状回転軸従動部材(6)の外周面(7)上でシール部材(3)が粉体の侵入しにくい状態で、均一に接し続ける構成であることが望ましい。そのためには、パイルの先端を粉体の侵入や漏出してくる側に向けて斜めに倒れて位置していることが好ましく、あらかじめ斜毛するか、癖づけて斜毛させておくか、あるいは、円筒状回転軸従動部材(6)の挿入時に傾倒させるなどする。
【0056】
そこで、図6に示す構成例4では、図6(a)では直立しているカットパイルのパイル織のシール部材(3)を、円筒状空洞(4)に挿入方向(14)から挿入する円筒状回転軸従動部材(6)によってパイルの先端部(12)を押し倒すようにして、傾倒させている。図6(b)では斜め左に先端部(12)が斜傾している。このように、円筒状回転軸従動部材(6)を円筒状空洞(4)に挿し込むだけで簡便にパイル(18)の先端部(12)が所望の方向に安定的に傾倒した状態となる。
【0057】
シール部材(3)内周に円筒状回転軸従動部材(6)を挿入した際に繊維は挿入方向へ押し倒されるように斜毛されることとなるので、従前のパイルのように、あちらこちらに先端がバラバラな方向に向くことがない。そこで、不揃いな起毛箇所がなく、粉体の移動を安定的に規制することとなる。すなわち、パイルが折り重なるように倒され、粉体の侵入しない状態で円筒状回転軸従動部材(6)に均一に接し続け、粉体の侵入を防止することができる。そして、シール部材の内周面(8)は円筒状回転軸従動部材(6)に当接しているので、円筒状回転軸従動部材(6)はパイル(18)と摺動して回転する。
【0058】
図6のほぼ円筒状のパイル織を用いたシール部材(3)は、以下のようにして得ることができる。まず、基台となるアルミ薄板の上に平面形状のパイル織地の基地(19)を載せて貼り合わせ、開繊された直毛繊維のカットパイル部(18)が上方に直立させた状態で、所望の短冊状に切断した後、この短冊状の切片をパイル先端を内側に、アルミ板が外側にくる向きで円筒形状に曲げ成形し、略円筒状の形状のシール部材(3)を得る。このようなアルミ薄板の基台を用いると、円筒形状に維持することが容易となる。
【0059】
図7に、パイル織編物からなるシール部材(3)と、このシール部材(3)を円筒形状に保持するための外周パーツ(2)であるアルミ等の金属薄板部材の基台(24)とで構成された、略円筒状軸シール部材(3)の構成図を示す。パイル構成からなるシール部材(3)は、シール部材(3)とアルミ等の金属薄板材を接着層で貼り合わせたものを短冊状にカットし、シール部材を内側にする向きで曲げ加工することでほぼ円筒形状に成形する。
【0060】
円筒形状に成形した際に、曲げ加工された外周パーツ(2)のアルミ薄板は、円筒の側面に母線方向のスリット(26)を設けるようにすることができる。すると、アルミ薄板のリングのスリットによる隙間は、ばねのように押し狭めることができる。そして、外周パーツ(2)のアルミ薄板リングの外径を、軸受部材(15)やアウターレース(16)や容器(21)または外套支持部材(25)に設けた取り付け孔の内径と同じ、もしくは取付け孔より若干大きい外径としておくと、外周パーツ(2)は取付け孔にスリット(26)の隙間を縮めるようにして圧入して取り付けることができる。
【0061】
縮んだスリット(26)が取付け孔内に挿入後にばねのように反力を有し、軸受部材(15)または外套支持部材(25)に外周パーツ(2)はしっかりと圧入されたようにして固定される。そこで、円筒状回転軸従動部材(6)に回転軸(10)を挿入し回転させた際にシール部材(3)及び外周パーツ(2)は、回転軸(10)に従動して供回りすることがなく、シール部材(3)は回転することなく、円筒状回転軸従動部材(6)のみが回転軸(10)に従動して同じ方向に回転運動をすることとなる。
【0062】
図8には、開繊された直毛繊維からなるカットパイル構成の部分拡大図を示す。このパイル地は、アルミ薄板からなる外周パーツ(2)を基台(24)としてその上に貼り合わされることとなる。図8に示すように基台(24)に貼り合わせた基地(19)から上方向へとカットパイルが開繊し、パイルの開き角度が互いに重なり合うようにして密に構成されている。そこで、隙間が生ずることがなく、粉体等の侵入を適切に排除することに好適となる。
【0063】
図9は開繊された直毛繊維からなるパイル地のシール部材(3)の内部の空洞に円筒状回転軸従動部材(6)を挿入した際の、パイルの先端(12)が傾倒しながら円筒状回転軸従動部材(6)と当接する様子を示した図である。円筒状回転軸従動部材(6)が図面右方向から左方向へと挿入されると、互いに重なり合うように開繊したカットパイル(18)は円筒状回転軸従動部材(6)で押し倒されることでパイル同士が密に折り重なって図面左方向に傾倒しながら円筒状回転軸従動部材(6)の外周面上と当接するのでシール部材(3)が粉体の侵入しない状態で、均一に当接し続けることとなる。そこで、円筒状回転軸従動部材(6)をシール部材(3)内の空洞に挿し入れるだけで、シール部材(3)のパイル先端(12)と円筒状回転軸従動部材(6)の外周面(7)の密な隙間のない当接が容易に形成できる。パイル先端が乱れてばらついたりしないので、容易かつ安定して粉体の侵入を防止することができる。
【0064】
(構成例5)
図10の構成例5の軸シールユニット(1)は、円筒状回転軸従動部材(6)が挿入されるより前の段階で、シール部材(3)のパイル(18)の先端(12)を粉体の侵入してくる方向(規制しようとする方向)へとあらかじめ斜毛させたパイル織編物からなるシール部材(3)を用いた例である。斜毛は、パイルの編みや、織り方で自然と倒れるように位置づけることもできる。また、パイルが斜めに倒れるよう癖づける加工をすることで斜毛とすることもできる。
【0065】
そして、シール部材(3)の内部空洞(4)に、円筒状回転軸従動部材(6)を挿入される際も、斜毛の毛並みに逆らわずに、毛並みに沿うように図10(a)の図面右から左へと挿入する。すると、図10(b)に示すように、パイル(18)が斜毛した状態が維持される。加えてパイル(18)の先端部(12)が圧縮されより図面左に押し倒されることにより、粉体の侵入しない状態で円筒状回転軸従動部材(6)に均一に当接し続けながら、円筒状回転軸従動部材(6)が回転することとなる。そこで、粉体の侵入防止に対し安定した効果を得ることができる。
【0066】
図11は、あらかじめ斜毛されたパイル構成からなるシール部材(3)と円筒形状に維持するためのアルミ等の金属薄板の外周パーツ(2)に貼り合わされた構成を示す。パイル構成からなるシール部材(3)は、円筒形状を維持するためシール部材(3)とアルミ等の金属薄板の外周パーツ(2)と接着層の両面テープやホットメルト又は接着剤などで貼り合わせた短冊状の切片を曲げ加工して、円筒形状に成形したものである。円筒形状に成形した際に、外周パーツ(2)には縮小可能なスリット(26)を備えており、スリットをばねのように縮めて外径を小さくすることができる。図4の軸受部材(15)や図17の外套支持部材(25)に取り付ける際には、外周パーツ(2)のアルミ薄板の円筒の外径サイズを取り付け孔と同じであるかもしくは取付け孔より若干大きい外径としておき、スリット(26)を縮小させてアルミ薄板のリング径を小さくしながら挿入して圧入して取付け孔に取り付ける。この構成により軸受部材(15)やアウターレース(16)や容器(21)または外套支持部材(25)に圧入されて外周パーツ(2)が固定されるので、円筒状回転軸従動部材(6)に回転軸(10)を挿入して回転させた際に、外周パーツ(2)と貼りあわされているシール部材(3)は、回転軸と供回りすることなく、シール部材(3)のパイル先端部(12)の表面を円筒状回転軸従動部材(6)が回転軸と同じ回転運動で摺動することとなる。
【0067】
図12はあらかじめ斜毛されたパイル構成の拡大図であり、(a)はパイルの一部を、(b)はパイル全体を上から俯瞰視した図であり、(c)は側面方向から示した図である。図12(c)のアルミ薄板からなる外周パーツ(2)の上に、同一方向へ折り重なるようにパイル斜毛角度を設けてあり、さらに、図12(a)に示すように、パイルの開き角度を設けておくと、図12(b)に示すように、パイル同士が密に重なり合うようにして斜倒することとなるので、より密な状態となりシール性が高まることとなる。
【0068】
図13は斜毛されたパイル地からなるシール部材(3)に円筒状回転軸従動部材(6)を挿入した際のパイルの状態を示した図である。互いに重なり合うように開繊したパイル(18)の先端部(12)は、円筒状回転軸従動部材(6)の図面右から左方向への挿入によって、さらに先端(12)が押し倒されることによりパイル(18)の先端(12)同士が密に重なり、円筒状回転軸従動部材(6)の外周面上でシール部材(3)が粉体の侵入しにくい状態で、均一に接し続けることができるので、シール部材(3)と円筒状回転軸従動部材(6)の外周面(7)からの粉体の侵入を防止することができる。円筒状回転軸従動部材(6)を挿入する前にパイルをあらかじめ傾けていることにより、円筒状回転軸従動部材(6)を挿入した際にパイルの斜毛した状態が無理なく維持されるので、さらに挿入によってパイルが圧縮され粉体収納方向へ押し倒される際にパイル先端が乱れることがない。そこで、パイル間の隙間が乱れて生ずることなく密となるので、粉体の侵入しない状態で円筒状回転軸従動部材(6)に均一に接し続けることとなる。そこで、粉体の侵入防止に対し安定した効果を得ることができる。
【0069】
(構成例6)
図14は軸方向(図1の(14)の向きと同じ方向。)に対して回転方向に斜向して斜毛されたパイル地のシール部材(3)の掃き出し効果について示す。円筒状回転軸従動部材(6)の挿入前に、あらかじめパイルを斜毛させ、角度を付けて(つまり軸方向に毛先が向く位置ではなく、斜向するように矩形のパイル地)を打ち抜くことにより、斜毛させる方向に角度を持たせて、軸方向に対して斜向させることができる。さらに円筒状回転軸従動部材(6)の回転方向に対して毛並みが逆らわない方向へと角度を付けることで、すなわち、斜毛の先端部(12)を回転方向と直交させるのではなく、先端部(12)を回転方向に逆らわないように回転方向に対して斜向して図14に示す規制角度の向きに斜毛させる。すなわち、軸方向に対して回転方向に斜向して斜毛されたものであって、回転軸の軸方向と回転方向の中間の角度にパイルの先端を傾倒させるようにする。すると、粉体がパイルの先端部(12)から侵入する際にこの角度を付けたパイル先端部分と円筒状回転軸従動部材(6)の接触面が摺動することにより、円筒状回転軸従動部材(6)の回転によって粉体が斜毛されたパイル面上を移動して、パイルの繊維の流れに沿って先端側に押し流され、回転方向に少し傾いて斜毛されたパイルの毛並みに沿って先端方向へ押し出されるので、回転動作による掃き出し効果を持たせることができる。
【0070】
図15は、掃き出し効果を持たせた斜向したパイル先端(12)を用いたパイル織編物からなるシール部材(3)と円筒形状に維持するためのアルミ等の金属薄板からなる外周パーツ(2)の構成を示している。パイル構成からなるシール部材(3)は、円筒形状を維持するためシール部材(3)とアルミ等の金属部材の外周パーツ(2)を接着層で貼り合わせ、円筒形状に成形している。
円筒形状に成形した際に、外周パーツ(2)には縮径が可能なようにスリット(26)が設けてあり、図4の軸受部材(15)や図17の外套支持部材(25)に取り付ける際には、外周パーツ(2)の外径が取り付け孔と同じであるかもしくは取付け孔より若干大きい外径となっているので、取付け孔にスリットを縮小させた状態で圧入して取り付ける。この構成により軸受部材(15)や外套支持部材(25)にシール部材(3)を挿入後に圧入固定されるので、回転軸(10)を挿入した円筒状回転軸従動部材(6)が従動回転しても、シール部材(3)は回転軸と供回りせずに、シール部材(3)内部を円筒状回転軸従動部材(6)が回転軸と同じ方向に回転運動をすることとなる。
【0071】
パイルを斜毛させ角度を付けて軸方向に対して(斜向するように)パイル生地を長方形に打ち抜き、パイルの規制角度を有して斜毛された直毛繊維からなるシール部材(3)は円筒状回転軸従動部材(6)を挿入した際にパイルが圧縮されパイル同士が折り重なり、円筒状回転軸従動部材(6)の外周面上でシール部材(3)が粉体の侵入しない状態で均一に接し続け、パイルの規制角度によって回転時に侵入してくる粉体を、角度を付けたパイル先端部分と円筒状回転軸従動部材(6)の接触面が摺動することにより、粉体が斜毛されたパイルに沿って押し流され、斜毛されたパイルの先端方向へ押し出すことができ、粉体侵入防止に対し高い効果を得ることができる。あらかじめ斜向して斜毛されているので、パイルの規制角度を持たせたまま円筒状回転軸従動部材(6)を挿入することができ、規制角度を維持した状態で自然と粉体の排出を促す機能を備えた、円筒状回転軸従動部材(6)表面からの粉体の侵入を防止する構成の軸シールユニット(1)の円筒状軸シール材である。
【0072】
円筒状回転軸従動部材(6)に接する箇所がパイルであると、従来のゴムシール材の面接触に比して、パイルは先端(12)の当接する線接触となる。そこで回転による摩擦抵抗が低く抑えられる。
【0073】
円筒状回転軸従動部材(6)に対し、均一に接し続けることができるシール部材(3)の素材として、パイル構成からなる繊維部材、繊維部材からなるフェルト、発泡体等の素材が挙げられる。
図16にシール部材(3)に発泡体を使用した場合の軸シールユニット(1)の例を示す。シール部材(3)に発泡体を使用する場合、粉体が通り抜けけることを避けるため発泡が独立している独泡構成であることが好ましい。図16のシール部材(3)の周囲に外周パーツ(2)となるカバーする部材、外周パーツと一体的な軸受のアウターパーツと組み合わせることもできる。円筒形状に打ち抜いた発泡体内径部分に円筒状回転軸従動部材(6)を挿入した際に、円筒状回転軸従動部材(6)と発泡体との摩擦係数が高く摩擦熱や供回り等が見られる場合、摺動性向上のグリスを塗布して使用することが可能な構成である。摺動性向上のためのグリスは樹脂材構成の円筒状回転軸従動部材(6)との摺動や、長時間の回転運動により外部へ流出しないことを考慮しシリコン系やフッ素系などの高粘度であることが望ましい。
【0074】
(構成例8)
図17は鍔の無い円筒状回転軸従動部材(6)を用いた場合の軸シールユニットの構成例で、外套支持部材(25)の内面にシール部材(3)を両面テープや接着剤等で固定し、シール部材(3)内部に鍔の無い円筒状回転軸従動部材(6)を弾性変形させて挿入した軸シールユニットの構成例である。図17では円筒状回転軸従動部材(6)をシール部材(3)内部に挿入後、回転軸(10)を挿入した際に軸シールユニット(1)から円筒状回転軸従動部材(6)が抜け出ないように外套支持部材(25)の両端にツメ(27)を設け、弾性変形可能な円筒状回転軸従動部材(6)を挿入時に変形せしめシール部材(3)内部に挿入後はツメ(27)が抜け止めの役割を果たし、回転軸(10)挿入後も円筒状回転軸従動部材(6)が抜け落ちないようにした構成の例である。このように外套支持部材にツメを設け円筒状軸従動部材(6)の抜け止めを施すことで円筒の成形部材もしくはパイプ形状の部材を用いてパイプ形状の部材から所望の巾に切断し円筒状軸従動部材(6)を製作することができ、パイプ形状の部材を切断することでより安価に軸シールユニットを提供することができる。
【0075】
(構成例9)
図18の構成例はシール部材(3)に鍔の無い円筒状回転軸従動部材(6)を挿入後、外套支持部材(25)で外周パーツ(2)及びシール部材(3)と円筒状回転軸従動部材(6)を挟み込み、左右2つの外套支持部材に設けたツメ(27)などにより回転軸挿入後も円筒状回転軸従動部材(6)が抜け落ちないようにした軸シールユニット構成の例である。すなわち、左右の外套支持部材で挟み込むように囲いこんで、外套支持部材(25)内の外周パーツ(2)及びシール部材(3)と、シール部材(3)内を摺動回転する鍔を有さない円筒状回転軸従動部材(6)からなる軸シールユニット(1)であり、左右に分割するように構成することで軸受けを有する軸シールユニットとすることもでき、これにより回転軸(10)を軸支することができる。
【0076】
(構成例10)
図19の構成例は軸シール材に鍔の無い円筒状回転軸従動部材(6)を挿入後、上下から外套支持部材(25)で外周パーツ(2)及びシール部材(3)と円筒状回転軸従動部材(6)を挟み込み、外套支持部材(25)に設けたツメ(27)により回転軸挿入後も円筒状回転軸従動部材(6)が抜け落ちないようにした構成の例である。すなわち、上下の外套支持部材(25)で挟み込むように囲いこんで、外套支持部材(25)内の外周パーツ(2)及びシール部材(3)と、シール部材(3)内を摺動回転する鍔を有さない円筒状回転軸従動部材(6)からなる軸シールユニット(1)であり、上下に分割するように構成することで軸受けを有する軸シールユニットとすることもでき、これにより回転軸(10)を軸支することができる。
【0077】
図17図18図19の構成例では鍔を有しない円筒状回転軸従動部材(6)を外套支持部材(25)にツメ(27)などを設け円筒状回転軸従動部材(6)の抜け止めとし、図18図19の構成例では円筒状回転軸従動部材(6)を両側から挟み込んで回転軸(10)挿入時に外套支持部材(25)から抜け出ない構成では円筒状回転軸従動部材(6)に鍔を施す必要は無く、回転軸(10)挿入後も円筒状回転軸従動部材(6)がシール部材(3)内側に配置された状態を維持し続けることができる軸受となる構成例である。以上の構成例において鍔の無い円筒状回転軸従動部材(6)は回転軸(10)が挿入された状態でシール部材(3)内部に保持され、回転軸(10)回転時に同じ回転運動を行うようにすることができる構成の軸シールユニット(1)の例である。
【0078】
本発明の構成で、図3に示すように、シール部材(3)と円筒状回転軸従動部材(6)表面の密着による回転負荷トルクをN1、回転軸(10)と円筒状回転軸従動部材(6)内面の密着による回転負荷トルクをN2とし、N2>N1の条件を満たす構成が本発明の構成条件である。円筒状回転軸従動部材(6)内径を回転軸外径未満にし、挿入時に回転軸(10)を圧入する構成にすることで密着による回転負荷トルクN2を得ることができ、回転軸(10)と円筒状回転軸従動部材(6)の隙間を無くし、回転軸(10)を通じての粉体の侵入を防止することができる。回転軸(10)の密着による回転負荷トルクを得るために円筒状回転軸従動部材(6)の内径を回転軸外径未満にして圧入し、圧入条件はN2>N1を満たす条件で適宜に選定される。
【0079】
図20は円筒状回転軸従動部材(6)の内側に回転軸と隙間を無くすように一部に突起(28)を設けることで回転軸挿入時に回転負荷トルクN2を十分に得ることができる形状を示す。
円筒状回転軸従動部材(6)内部に突起(28)を有する形状を設け、突起(28)が成す内径が回転軸径よりも小さくなるようにすることで、回転軸挿入時に回転負荷トルクN2を得ることができる。円筒状回転軸従動部材(6)内径を回転軸外径未満にし、挿入時に回転軸を圧入する構成に対して、回転軸(10)に圧入する領域が減り、回転軸挿入時の負荷が軽減され回転軸の脱着の際に円筒状回転軸従動部材(6)のみが外れることなく取り外すことが容易となる。円筒状回転軸従動部材(6)内面の密着による回転負荷トルクN2が、シール材と円筒状回転軸従動部材(6)表面の密着による回転負荷トルクN1以上であれば、突起(28)の形状に制限は設けない。円筒状回転軸従動部材(6)に鍔(20)を設ける場合、鍔(20)の箇所は剛性が高くなる傾向にあるため同じ突起形状でも他の箇所に比べ回転軸挿入時の負荷は高くなるので突起(28)を設ける箇所は図20のように鍔以外の箇所が好ましい。
【0080】
図21は円筒状回転軸従動部材(6)の内部を一部テーパー形状(29)にすることでの回転軸挿入時に回転負荷トルクN2を得ることができる形状を示す。前項の突起形状(28)と同様に円筒状回転軸従動部材(6)の内径の一部を回転軸外径未満にすることで回転軸(10)に対する回転負荷トルクN2を得ることができ、圧入される領域を減らすことで回転軸挿入の負荷を軽減することができる。テーパー形状(29)にすることで突起形状(28)よりも回転軸(10)に接する領域が増加し、テーパー(29)の角度や長さを変えることにより回転負荷トルクN2をシール部材(3)や回転軸の材質や形状に対して最適な値にすることができる。
【0081】
図22は回転軸(10)にDカットによる回転止めを施し、円筒状回転軸従動部材(6)の内側も対向する同様の嵌合凸部形状(31)にすることで回転軸(10)挿入時に回転負荷トルクN2を得ることができ、円筒状回転軸従動部材(6)と回転軸(10)が略同じ回転方向へ回転運動をすることができる。図22の構成例の場合、円筒状回転軸従動部材(6)と回転軸(10)の隙間からの粉体の侵入を防ぐため、回転軸(10)と密着する領域を設けることが好ましい。回転軸の形状はDカット形状(30)以外に、円筒状回転軸従動部材(6)の内径形状を変更することにより様々な形状に対応することが可能となる。
【0082】
図23は回転体軸部用軸シールユニットの他の使用例である。軸受け(15)を含む軸シールユニット(1)と取付け部(32)を有するハウジングに、軸シールユニット(1)が取付け部(32)から抜け落ちない条件で取り付けられた使用例を示す。粉体(11)をインペラー(22)で攪拌する回転軸(10)の端部に使用し、粉体(11)が内部から漏れでないようにする目的で使用する使用例を示す。
【0083】
図24(a)は、比較例であって、パイル(18)の先端(12)の毛先が逆向きである回転体軸部用軸シールユニットである。この比較例では、シール部材(3)は、回転軸(10)の挿入時にパイルが挿入方向(14)へ押し込まれてしまうため、パイル先端が乱れるうえに、粉体が充填された場合に押し込まれた領域に侵入してしまう。そして、押し込まれた箇所に粉体が侵入してしまうと、その箇所が回転軸と摩擦することによって摩擦熱を招来してしまうおそれがある。また、斜毛されたパイル構成からなる円筒状軸シール材に回転軸を挿入した時、パイルが挿入方向へ押し込まれパイルの斜毛状態、規制角度を維持できず粉体侵入防止性能が低下する。
【0084】
それに対し図24(b)の本発明の軸シールユニット(1)は回転軸(10)の挿入前に円筒状回転軸従動部材(6)でパイル先端部(12)が粉体(11)の収納方向へ斜毛される様に構成されており、シール部材(3)に回転軸(10)が一切触れないので、回転軸挿入時に規制角度を維持でき、粉体(11)が充填された状態で回転運動を行った際に安定した粉体侵入防止性能を有することができる。そこで、トナーカートリッジのような微細な粉体を大量に含有する容器の端部に本発明の軸シールユニットを適用しても、粉体が漏れ出さずに安定して使用できる。
【0085】
表1、および表2に記載の材質や形状のシール部材と、円筒状回転軸従動部材、回転軸の材質、パイルの斜毛する方向、トルクN1、N2の条件のもとで、上部の粉体(11)が回転軸(10)の回転によって、本発明の軸シールユニット(1)でシールされた装置から下方に漏出するかのシール性及び温度上昇の有無を確認をした(図25参照。)。結果を表1,2に示す。シール性、耐温度上昇性に優れている場合を〇、可を△、悪い評価を×で示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
表1に示すように、実施例1~7の構成の組み合わせでは、いずれもシール性が良好で、温度上昇もしにくい、ともに優れた結果となった。
【0089】
表2に示すように、比較例2~4では、N1トルクがN2を上回り、シール性に劣ったため、粉体が侵入し、温度が上昇した。比較例1は、パイルの毛先が逆向きであるため、粉体の侵入が認められたので、長期的なシール性に劣ると考えられる。
【0090】
上記表1、表2の実施例及び比較例に記載したように、シール部材と円筒状回転軸従動部材の回転負荷トルクN1と円筒状回転軸従動部材と回転軸の回転負荷トルクN2の関係をN2>N1とすることで粉体の漏れのないシール性、そして、軸の回転による温度上昇を抑える事ができ従来にない軸シールユニットとすることが出来る。
【符号の説明】
【0091】
1 軸シールユニット
2 外周パーツ
3 シール部材
4 円筒状空洞
5 円筒状空洞内周面
6 円筒状回転軸従動部材
7 外周面
8 内周表面部
9 回転軸挿入孔
10 回転軸
11 粉体
12 先端部
13 規制方向
14 挿入方向
15 軸受部
16 アウターレース
17 ファブリック
18 パイル
19 基地
20 鍔
21 容器
22 インペラー
23 ベアリング
24 基台
25 外套支持部材
26 スリット
27 ツメ
28 突起
29 テーパー
30 Dカットによる回転止め
31 嵌合凸部形状
32 取付け部
図1
図2
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