(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187968
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】トナー
(51)【国際特許分類】
G03G 9/097 20060101AFI20221213BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G03G9/097 368
G03G9/097 365
G03G9/087 331
G03G9/087 325
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010387
(22)【出願日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2021096099
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 隆之
(72)【発明者】
【氏名】磯野 直也
(72)【発明者】
【氏名】久島 浩史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正郎
(72)【発明者】
【氏名】長岡 朋弥
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500AA03
2H500BA11
2H500BA32
2H500CA03
2H500CA06
2H500CA24
2H500CA40
2H500CB01
2H500CB06
2H500CB08
2H500CB17
2H500EA23A
2H500EA39B
2H500EA42B
2H500EA42C
2H500EA46C
(57)【要約】
【課題】低温定着性、耐ホットオフセット性、保存安定性、及び現像性に優れ、光沢ムラの発生が抑制されたトナーを提供すること。
【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子を含有するトナーであって、トナー粒子は、さらに、R1-[OCH2CH2]n-OH、式中、R1は炭素原子数8~22の直鎖状
又は分岐状のアルキル基を表し、nは1~3の整数、で表される化合物と、マグネシウム元素、カルシウム元素、アルミニウム元素、ホウ素元素、及び鉄元素からなる群から選択される少なくとも一つの多価元素とを含有し、トナー中の多価元素の含有量が100質量ppm以上5000質量ppm以下であることを特徴とするトナー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂を含有するトナー粒子を含有するトナーであって、
前記トナー粒子は、さらに、
下記式(1)で表される化合物と、
マグネシウム元素、カルシウム元素、アルミニウム元素、ホウ素元素、及び鉄元素からなる群から選択される少なくとも一つの多価元素と、
を含有し、
前記トナー中の前記多価元素の含有量が100質量ppm以上5000質量ppm以下であることを特徴とするトナー。
R1-[OCH2CH2]n-OH (1)
[式(1)中、R1は炭素原子数8~22の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、nは
1~3の整数である。]
【請求項2】
前記トナー中の前記式(1)で表される化合物の含有量が、5質量ppm以上500質量ppm以下である、請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記トナーに含有される前記式(1)で表される化合物のモル数Aと前記多価元素のモル数Bとの比(A/B)が、0.0010以上0.1000以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記トナーに含有される前記式(1)で表される化合物のモル数Aと前記多価元素のモル数Bとの比(A/B)が、0.0010以上0.0200以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項5】
前記式(1)において、R1が炭素原子数12~22の直鎖状のアルキル基である、請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項6】
前記式(1)において、nが1である、請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項7】
前記多価元素がアルミニウム元素、ホウ素元素、及び鉄元素からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項8】
前記多価元素がホウ素元素である、請求項1~7のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項9】
前記結着樹脂がポリエステル樹脂を含有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項10】
前記ポリエステル樹脂が非晶性ポリエステル樹脂であり、
前記結着樹脂中の前記非晶性ポリエステル樹脂の含有量が50質量%以上であり、
前記非晶性ポリエステル樹脂中の式(2)で表される構造の含有量が5.0質量%以下である、請求項9に記載のトナー。
【化1】
(式中、R
2及びR
3はそれぞれ独立にエチレン基又はプロピレン基である。x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、xとyの和の値は、1以上5以下である。)
【請求項11】
前記多価元素を含むイオン又は前記多価元素から生じるイオンと、前記式(1)で表される化合物及び前記結着樹脂からなる群から選択される少なくとも一つとの架橋体を含有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のトナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子写真法などを利用した記録方法に用いられるトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンターなどの画像形成装置は、装置の高速化や省エネルギー化が進んでいる。これらに対応するために、より低温定着性に優れたトナーに対する要求が高まっている。トナーの低温定着性を向上させるためには、トナーの融点を下げる方法が挙げられる。しかし単にトナーの融点を下げると、トナーの保存安定性が低下する。また高画質化の要求も大きく、写真画像等の高品位な画像形成の要求に対しては、鮮明な高光沢画像を提供することが求められている。高光沢画像を得るためには、トナーをしっかり溶融させて画像表面を平滑にする必要があるが、その場合、ホットオフセットが起こりやすいという課題があった。
【0003】
ホットオフセットを防止する方法として、特許文献1では、離型剤をトナー表面近傍に配置して、定着時に瞬時にトナーから露出させ、定着部材への融着を防止する方法が開示されている。一方、特許文献2では多価金属塩化合物を添加することで、耐熱性、耐破砕性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-160660号公報
【特許文献2】特開2016-218208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のトナーでは、ある程度のホットオフセットの抑止効果は得られるものの、現像機中で攪拌されるうちに離型剤を起点とした融着が起こり、離型剤が現像部材へ付着することで、トナーの帯電量が低下しやすくなるという課題があった。また、特許文献2に記載のトナーは、多価金属塩化合物を添加し、結着樹脂を金属架橋することによって、耐破砕性、耐熱性を向上させているが、架橋部分によって光沢が低下して、光沢ムラが発生するという課題があった。本開示は、低温定着性、耐ホットオフセット性、保存安定性、及び現像性に優れ、光沢ムラの発生が抑制されたトナーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、結着樹脂を含有するトナー粒子を含有するトナーであって、
前記トナー粒子は、さらに、
下記式(1)で表される化合物と、
マグネシウム元素、カルシウム元素、アルミニウム元素、ホウ素元素、及び鉄元素からなる群から選択される少なくとも一つの多価元素と、
を含有し、
前記トナー中の前記多価元素の含有量が100質量ppm以上5000質量ppm以下であることを特徴とするトナーに関する。
R1-[OCH2CH2]n-OH (1)
式(1)中、R1は炭素原子数8~22の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、nは1~3の整数である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、低温定着性、耐ホットオフセット性、保存安定性、及び現像性に優れ、光沢ムラの発生が抑制されたトナーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施態様を詳細に説明するが、本開示は以下の説明に限定されるわけではない。本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。また、数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
【0009】
本開示は、結着樹脂を含有するトナー粒子を含有するトナーであって、
前記トナー粒子は、さらに、
下記式(1)で表される化合物と、
マグネシウム元素、カルシウム元素、アルミニウム元素、ホウ素元素、及び鉄元素からなる群から選択される少なくとも一つの多価元素と、
を含有し、
前記トナー中の前記多価元素の含有量が100質量ppm以上5000質量ppm以下であることを特徴とするトナーに関する。
R1-[OCH2CH2]n-OH (1)
式(1)中、R1は炭素原子数8~22の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、nは1~3の整数である。
【0010】
本発明者らは、上記構成のトナーを採用することで、低温定着性、耐ホットオフセット性、保存安定性、及び現像性に優れ、光沢ムラの発生が抑制されたトナーを提供できることを見出した。この理由について、本発明者らは以下のように推察している。
【0011】
本開示のトナーは、特定の多価元素を100質量ppm以上5000質量ppm以下含むことで、低温定着性に優れた融点の低い結着樹脂を使用した場合でも、多価元素から生じるイオン又は多価元素を含むイオンが結着樹脂と架橋構造を形成し、保存安定性、耐ホットオフセット性、及び現像性が向上する。また、式(1)で表される化合物が、定着溶融時に多価元素から生じるイオン又は多価元素を含むイオンとも架橋構造を形成し、結着樹脂中の架橋構造を均一にし、かつ、画像表面を平滑にすることにより、ホットオフセットを抑制するとともに、定着画像における光沢ムラの発生が抑制された均一な高光沢画像が得られるものと推察している。
【0012】
以下、本開示の構成要件について詳細に説明する。
本開示のトナーは、トナー粒子中に、マグネシウム元素、カルシウム元素、アルミニウム元素、ホウ素元素、及び鉄元素からなる群から選択される少なくとも一つの多価元素を含有する。また、トナー中の多価元素の含有量は、100質量ppm以上5000質量ppm以下である。トナー中の多価元素の含有量は、150質量ppm以上2500質量ppm以下であることが好ましい。トナー中の多価元素の含有量が100質量ppm以上であると光沢ムラの発生が抑制され、かつ、ブロッキングが発生しにくくなるなど保存安定性が向上する。一方、トナー中の多価元素の含有量が5000質量ppm以下であると、光沢ムラの発生が抑制され、かつ、優れた低温定着性を得ることができる。
【0013】
トナー粒子は、多価元素として、マグネシウム元素、カルシウム元素、アルミニウム元素、ホウ素元素、及び鉄元素からなる群から選択される少なくとも一つを含有する。また、トナー粒子は、マグネシウム元素、カルシウム元素、アルミニウム元素、ホウ素元素、及び鉄元素からなる群から選択される少なくとも一つの多価元素を含む化合物を含有して
もよい。該多価元素はトナーの製造過程や定着溶融時に架橋のためのイオンを生じさせることができる。それにより、トナー粒子の製造過程において、又は、トナーの定着溶融時に、トナー粒子は、多価元素から生じるイオン又は多価元素を含むイオンと、式(1)で表される化合物及び結着樹脂からなる群から選択される少なくとも一つとの架橋体を含有するとよい。これらのうち、好ましくは、アルミニウム元素、ホウ素元素、及び鉄元素からなる群から選択される少なくとも一つである。より好ましくはホウ素元素である。アルミニウム元素、ホウ素元素、及び鉄元素は価数が高いため、生じるイオン価も高く、式(1)で表される化合物又は結着樹脂との架橋構造の密度を高くすることができ、耐ホットオフセット性がより良好になり、かつ、光沢ムラの発生をより抑制することができる。特に、ホウ素元素は生じるイオン半径が小さく、通常の環境では水と即座に反応し、ホウ酸イオン B(OH)4
-を生じるため、多価元素がホウ素元素である場合、より架橋密度がより高くなり耐ホットオフセット性がより向上し、光沢ムラの発生をより抑制することができる。
【0014】
マグネシウム元素、カルシウム元素、アルミニウム元素、ホウ素元素、及び鉄元素からなる群から選択される少なくとも一つの多価元素をトナー粒子中に含有させる方法は特に限定されない。例えば、トナー粒子の製造過程において、該多価元素を含有する化合物を添加すればよい。簡便な具体例としては、多価元素を含有する化合物を結着樹脂などのトナー粒子用組成物に直接添加する方法や、水系媒体中でトナー粒子を製造する場合などでは、多価元素を含有する化合物を、pH調整剤、凝集剤、安定剤などとして添加してもよい。トナー中の該多価元素の含有量の調整を容易にする観点から、トナー粒子用組成物に直接添加する方法や凝集剤として添加する方法が好適に例示できる。該多価元素を含有する化合物としては、ホウ砂、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、ポリシリカ鉄等を挙げることができる。
これらを使用すれば、トナー中の多価元素の含有量、多価元素の種類などを容易に調節することができる。多価元素を含有する化合物の添加量は、トナー中の多価元素の含有量が100質量ppm以上5000質量ppm以下となるような添加量であることが好ましく、150質量ppm以上2500質量ppm以下となるような添加量であることがより好ましい。
【0015】
トナー粒子は、下記式(1)で表される化合物を含有する。(1)R1-[OCH2C
H2]n-OH。式(1)中、R1は炭素数8~22の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。R1が炭素数8~22の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることで、結着樹脂との相溶性を向上させることができ、画像表面を平滑にし、定着画像の光沢ムラの発生を抑制することができる。また、耐ホットオフセット性、保存安定性及び帯電性を向上させることができる。式(1)中、R1は、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。R1の炭素数は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、12以上であることがさらに好ましい。また、R1の炭素数は、22以下であることが好ましく、14以下であることがより好ましい。また、式(1)中、nは1~3の整数である。nが該数値範囲であることで、結着樹脂との相溶性が良好になると共に、多価元素から生じるイオン又は多価元素を含むイオンと架橋構造を形成しやすくなり、結着樹脂中の架橋構造を均一にし、かつ、画像表面を平滑にすることにより、耐ホットオフセット性、保存安定性及び帯電性を保ちつつ、定着画像における光沢ムラの発生を抑制することができる。nは1であることが好ましい。
【0016】
トナー中の式(1)で表される化合物の含有量は、2質量ppm以上630質量ppm以下であることが好ましく、5質量ppm以上500質量ppm以下であることがより好ましく、10質量ppm以上400質量ppm以下であることがさらに好ましい。式(1)で表される化合物の含有量を上記数値範囲とすることで、耐ホットオフセット性、保存
安定性及び帯電性を保ちつつ、定着画像における光沢ムラの発生をより抑制することができる。
【0017】
トナーに含有される式(1)で表される化合物のモル数Aと、多価元素のモル数Bとの比(A/B)は、0.0003以上0.1200以下であることが好ましく、0.0010以上0.1000以下であることがより好ましく、0.0010以上0.0200以下であることがさらに好ましく、0.0015以上0.0045以下であることが特に好ましい。A/Bを0.0003以上にすると、定着時に多価元素の凝集が抑制されやすくなり、定着時の光沢ムラの発生をより抑制することができる。また、A/Bを0.1200以下にすることで、式(1)で表される化合物の染み出しが抑制されやすくなり、保存安定性及び帯電性がより向上し、また、式(1)で表される化合物と多価元素から生じるイオン又は多価元素を含むイオンとの架橋構造が適度に形成されることで耐ホットオフセット性がより向上する。
【0018】
<結着樹脂>
結着樹脂は、公知のトナー用樹脂であれば特段の限定なく用いることができる。また、多価元素を含むイオン又は前記多価元素から生じるイオンとの架橋構造の形成の観点から、結着樹脂はカルボキシ基、カルボニル基、水酸基などの官能基を有していることが好ましい。具体的には、ポリエステル樹脂;スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体などのスチレンアクリル樹脂などが挙げられる。
また、低温定着性に優れた、融点の低い樹脂を製造しやすい点や、多価元素を含むイオン又は多価元素から生じるイオンとの架橋構造の形成の観点から、結着樹脂はポリエステル樹脂を含有することが好ましい。また、ポリエステル樹脂は非晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。結着樹脂中のポリエステル樹脂の含有量、特に非晶性ポリエステル樹脂の含有量は50質量%以上であることが好ましい。結着樹脂中のポリエステル樹脂の含有量の上限は100質量%以下であるが、95質量%以下であることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールの縮重合により得られる。多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物等が挙げられる。多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物等が挙げられる。多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等)、複素環式ジオール(スピログリコール、イソソルビド、又はそのアルキレンオキサイド付加物等)が挙げられる。多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。多価アルコールは、1
種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
また、非晶性ポリエステル樹脂中の式(2)で表される構造の含有量は、5.0質量%以下であることが好ましい。該含有量の下限値は0.0質量%以上であるが、該含有量は0.0質量%であることが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂中の式(2)で表される構造の含有量が5.0質量%以下の場合、低温定着性を向上させやすくなる。また、ポリエステル樹脂と多価元素を含むイオン又は多価元素から生じるイオンとの間に架橋構造を形成させやすくなり、耐ホットオフセット性がより向上する。
【化1】
(式中、R
2及びR
3はそれぞれ独立にエチレン基又はプロピレン基である。x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、xとyの和の値は、1以上5以下である。)
【0021】
結着樹脂中のポリエステル樹脂又は非晶性ポリエステル樹脂の含有量は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂又は非晶性ポリエステル樹脂の含有量が50質量%以上である場合、ポリエステル樹脂と多価元素を含むイオン又は多価元素から生じるイオンとの間に架橋構造を形成させやすくなり、耐ホットオフセット性がより向上する。該ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20000~300000であることが好ましく、30000~200000であることがより好ましく、40000~100000であることがさらに好ましい。
【0022】
結着樹脂は、本開示の効果に影響を与えない範囲で様々な樹脂を含有することができる。例えば、以下の樹脂を例示することができる。ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;
ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これらは単独又は混合して使用できる。
【0023】
<着色剤>
トナー粒子は、着色剤を含有してもよい。着色剤は特に限定されず、例えば以下に示す公知のものを単独もしくは併用して使用することができる。
【0024】
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。
【0025】
マゼンタ着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
【0026】
マゼンタ着色染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1などの油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料。
【0027】
シアン着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。
【0028】
シアン着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
【0029】
イエロー着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
【0030】
イエロー着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
【0031】
上記着色剤の含有量は、トナー粒子に対して3.0質量%~15.0質量%であることが好ましい。
【0032】
<離型剤>
トナー粒子は分離性の観点から離型剤を含有することが好ましい。例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
【0033】
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸など
の脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどのアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般的に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
【0034】
これらの離型剤の中でも、低温定着性及び耐ホットオフセット性を向上させるという観点から、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス、又はカルナバワックスなどの脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。
離型剤の含有量は、トナー粒子に対して3.0質量%~15.0質量%で使用されることが好ましい。離型剤の含有量がこの範囲にあるとき、耐ホットオフセット性を効率的に発揮することが可能となりやすい。
【0035】
<荷電制御剤>
トナー粒子は荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては特に制限されず、公知のものが使用できる。特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添してもよい。
【0036】
荷電制御剤として、トナー粒子を負荷電性に制御するものとしては、例えば以下のものが挙げられる。有機金属化合物及びキレート化合物として、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、又はエステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーンが挙げられる。
【0037】
一方、トナー粒子を正荷電性に制御する荷電制御剤としては、例えば以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
【0038】
これら荷電制御剤は単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。トナー粒子中のこれらの荷電制御剤の含有量は、0.01質量%~10質量%であることが好ましい。
【0039】
<外添剤>
トナー粒子は、外添せずにトナーとすることもできるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、いわゆる外添剤である流動化剤、クリーニング助剤などを外添してトナーとしてもよい。外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
外添剤のBET比表面積は、10m2/g~450m2/gであることが好ましい。BET比表面積は、BET多点法に従って、動的定圧法による低温ガス吸着法により求める。具体的には、比表面積測定装置(商品名:ジェミニ2375 Ver.5.0、(株)島津製作所製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することにより、BET比表面積(m2/g)を算出する。
【0041】
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部~10質量部、より好ましくは0.1質量部~5質量部である。
【0042】
<現像剤>
トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。キャリアとしては、例えば鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金など、公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。これらの中ではフェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。キャリアとしては、体積平均粒径が15μm~100μmのものが好ましく、25μm~80μmのものがより好ましい。
【0043】
(トナーの製造方法)
トナー粒子の製造方法は、どのような方法であっても構わない。例えば、多価元素を含有する化合物、式(1)で表される化合物及び結着樹脂、並びに、必要に応じて、着色剤及び離型剤などを含むトナー粒子用組成物を溶融混練した後に粉砕してトナー粒子を得てもよい。また、多価元素を含有する化合物、式(1)で表される化合物及び結着樹脂を形成するモノマー又ポリマー、並びに、必要に応じて、着色剤及び離型剤などを含むトナー粒子用組成物を水系媒体中で混合し、それらを含む液滴又は粒子を形成し、重合又は凝集させてトナー粒子を得てもよい。以下、これら製造方法の中で乳化凝集法によるトナー粒子の製造方法を例示して詳細に説明する。乳化凝集法とは、目的とするトナー粒子径に対して、十分に小さい樹脂粒子分散液を前もって準備し、その樹脂微粒子を水系媒体中で凝集することによりトナー粒子を製造する方法である。本開示のトナーの製造方法(乳化凝集法)の一態様としては、結着樹脂及び式(1)で表される化合物を含有する樹脂粒子を水系媒体に分散して、樹脂粒子分散液を調製する工程、該樹脂粒子をマグネシウム元素、カルシウム元素、アルミニウム元素、ホウ素元素、及び鉄元素からなる群から選択される少なくとも一つの多価元素を含有する化合物で凝集して凝集体粒子を形成する工程を含むとよい。また、該凝集体粒子を加熱して融合する工程を含んでもよい。また、融合する工程の後に、冷却工程、洗浄工程及び乾燥工程などを有してもよい。
【0044】
(分散液調製工程)
樹脂粒子分散液は、例えば、以下のようにして調製するとよい。即ち、樹脂粒子における樹脂が、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等行うことにより、ビニ
ル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液を調製することができる。樹脂粒子における樹脂が、ポリエステル樹脂などのビニル系樹脂以外の樹脂の場合には、イオン性界面活性剤や高分子電解質を溶解した水系媒体に樹脂を混合して混合液を得る。その後、この混合液を融点または軟化点以上に加熱して溶解させ、ホモジナイザー等の剪断力の強力な分散機又は攪拌機を用い、樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液を調製することができる。分散させる手段としては、特に制限はないが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの公知の分散装置が挙げられる。
【0045】
また、分散液を調製する方法として転相乳化法を用いてもよい。転相乳化法は、結着樹脂及び式(1)で表される化合物を、これらを溶解しうる有機溶媒と混合、加熱して溶解し、必要に応じて中和剤や分散安定剤を添加して、撹拌下にて、水系溶媒を滴下して、乳化粒子を得た後、樹脂分散液中の有機溶媒を除去して、樹脂粒子を得る方法である。このとき、中和剤や分散安定剤の投入順は変更してもよい。分散させる樹脂粒子の個数平均粒径としては、通常1.00μm以下であり、0.01μm以上1.00μm以下であることが好ましい。
【0046】
着色剤の分散液は、少なくとも着色剤を分散剤中に分散させてなるものである。着色剤の粒子の個数平均粒径としては、0.5μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。
【0047】
離型剤の分散液は、少なくとも離型剤を分散剤中に分散させてなるものである。離型剤の粒子の個数平均粒径としては、2.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましい。
【0048】
結着樹脂、着色剤、及び離型剤の組み合わせとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜自由に選択することができる。
【0049】
結着樹脂分散液、着色剤分散液、及び離型剤分散液のほか、分散剤中に適宜選択した粒子を分散させてなる粒子分散液を更に混合してもよい。粒子分散液に含まれる粒子としては、特に制限はなく目的に応じ適宜選択することができ、例えば、内添剤粒子、荷電制御剤粒子、無機粒子、研磨材粒子などが挙げられる。なお、これらの粒子は、結着樹脂分散液中や着色剤分散液中に分散させてもよい。
【0050】
結着樹脂分散液、着色剤分散液、離型剤分散液、粒子分散液等に含まれる分散用媒体としては、例えば、極性界面活性剤を含有する水系媒体などが挙げられる。水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。極性界面活性剤の含有量としては、一概に規定することはできず、目的に応じて適宜選択することができる。
【0051】
極性界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤などが挙げられる。アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、これらの極性界面活性剤と、非極性界面活性剤とを併用することもできる。非極性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、
多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0052】
着色剤粒子の含有量は、後述する凝集工程において形成された凝集粒子分散液中の結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部~30質量部であることが好ましい。離型剤粒子の含有量は、凝集工程において形成された凝集粒子分散液中の結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部~25質量部程度であり、5質量部~20質量部であることが好ましい。
【0053】
さらに、得られるトナーの帯電性をより詳細に制御するために、帯電制御粒子及び結着樹脂粒子を凝集粒子が形成された後に添加する場合もある。なお、結着樹脂分散液中の樹脂粒子、着色剤分散液中の着色剤粒子、離型剤分散液中の離型剤粒子、粒子分散液中の粒子等の粒径測定は堀場製作所製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920を用いて行うとよい。
【0054】
(凝集工程)
凝集粒子を形成する凝集工程は、結着樹脂粒子、着色剤粒子、離型剤粒子等を含む水系媒体中で、結着樹脂粒子、着色剤粒子、及び離型剤粒子等を含む凝集粒子を形成する工程である。凝集粒子は、例えば凝集剤、pH調整剤、安定剤等を水系媒体中に添加し混合し、温度、機械的動力等を適宜加えることにより該水系媒体中に形成することができる。ここで、上記多価元素を含有する化合物を凝集剤として用いるとよい。
【0055】
pH調整剤としては、アンモニア、水酸化ナトリウム等のアルカリ、硝酸、クエン酸等の酸が挙げられる。凝集剤としては、ナトリウム、カリウム等の1価の金属塩;カルシウム、マグネシウム等の2価の金属塩;鉄、アルミニウム等の3価の金属塩等;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。
【0056】
安定剤としては、主に極性界面活性剤そのもの又はそれを含有する水系媒体などが挙げられる。例えば、各粒子分散液に含まれる極性界面活性剤がアニオン性の場合には、安定剤としてカチオン性のものを選択することができる。
【0057】
凝集剤等の添加、混合は、水系媒体中に含まれる樹脂のガラス転移温度以下の温度で行うのが好ましい。この温度条件下で混合を行うと、凝集が安定した状態で進行する。混合は、例えばそれ自体公知の混合装置、ホモジナイザー、ミキサー等を用いて行うことができる。また、凝集工程において、凝集粒子の表面に、第2の結着樹脂粒子を含む結着樹脂粒子分散液を用いて、第2の結着樹脂粒子を付着させ、被覆層(シェル層)を形成することによりコア凝集粒子表面にシェル層が形成されたコア/シェル構造を持つ凝集粒子を得ることも可能である。なお、この際用いる第2の結着樹脂粒子は、コア凝集粒子を構成する結着樹脂粒子と同じであってもよく、異なったものであってもよい。なお、凝集工程は、段階的に複数回に分けて繰り返し実施してもよい。
【0058】
(融合工程)
融合工程は、得られた凝集粒子を加熱して融着する工程である。融合工程に入る前に、トナー粒子間の融着を防ぐため、pH調整剤、極性界面活性剤、非極性界面活性剤等を適宜投入することができる。加熱の温度としては、凝集粒子に含まれる樹脂のガラス転移温度(樹脂の種類が2種類以上の場合は最も高いガラス転移温度を有する樹脂のガラス転移温度)乃至樹脂の分解温度であればよい。したがって、加熱の温度は、結着樹脂粒子の樹脂の種類に応じて異なり、一概に規定することはできないが、一般的には凝集粒子に含まれる樹脂のガラス転移温度以上140℃以下である。なお、加熱は、公知の加熱装置・器具を用いて行うことができる。
【0059】
融着の時間としては、加熱の温度が高ければ短い時間で足り、加熱の温度が低ければ長い時間が必要である。即ち、融合の時間は、加熱の温度に依存するので一概に規定することはできないが、一般的には30分以上10時間以下である。
【0060】
上記の各工程を経ることにより得られたトナー粒子は、公知の方法に従って固液分離し、トナー粒子を回収し、次いで、適宜の条件で洗浄、乾燥等することができる。
【0061】
(外添工程)
得られたトナー粒子は、そのままでトナーとすることもできるが、トナーの帯電性、流動性及び保存性等を調整する観点から、必要に応じて外添剤を添加してトナーにしてもよい。外添処理を行う攪拌機としては、トナー粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されない。例えば、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)、ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)等の混合攪拌可能な装置を用いて外添処理することができる。
【0062】
トナー、トナー粒子及び原材料の各種物性の測定方法について以下に説明する。
<結着樹脂の同定と定量>
結着樹脂の構成組成と比率の同定には、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析計(以下、「熱分解GC/MS」とも称する)及びNMRを用いる。樹脂の構成化合物の種類の分析には熱分解GC/MSを用いる。樹脂を550℃~700℃で熱分解させた際に生じる、樹脂の分解物の成分のマススペクトルを分析する事で構成化合物の種類を同定する。具体的な測定条件は以下の通りである。
【0063】
<熱分解GC/MSの測定条件>
熱分解装置:JPS-700(日本分析工業)
分解温度:590℃
GC/MS装置:Focus GC/ISQ (Thermo Fisher)
カラム:HP-5MS 長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
注入口温度:200℃
フロー圧:100kPa
スプリット:50mL/min
MSイオン化:EI
イオン源温度:200℃ Mass Range 45-650
【0064】
続いて同定した樹脂の構成化合物の存在量比を、1H-NMRで測定・算出する。構造決定は、FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)[1H-NMR 400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて行う。
【0065】
<1H-NMRの測定条件>
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :1024回
測定温度 :25℃
試料 :測定試料50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロ
ホルム(CDCl3)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
【0066】
得られたスペクトルの積分値から各モノマー成分のmol比を求め、これを基に組成比(質量%)を算出する。
【0067】
<結着樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定方法>
結着樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。まず、室温で24時間かけて、結着樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
【0068】
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
【0069】
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソ-社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
【0070】
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
【0071】
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1,600μAに、ゲインを2に、電解水溶液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。具体的な測定法は以下のとおりである。
【0072】
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として下記の希釈液を約0.3mL加える。
・希釈液:「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力が120Wである下記の超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記希釈液を約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が15℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「算術径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、分析/個数統計値(算術平均)画面の「算術平均径」が個数平均粒径(D1)である。
【0073】
<トナー中の式(1)で表される化合物の同定と含有量の測定方法>
<抽出サンプルの作製>
サンプル管にトナーを2g、エタノールを18g加え、手振りで均一化した後、5min間超音波照射する。その後、60℃の恒温槽内で一昼夜静置し、さらに室温で3日間静置する。静置後のサンプルの上澄みを採取してPTFE製のシリンジフィルター(孔径250nm)で濾過し、濾液を抽出サンプルとする。
【0074】
<GC/MS分析>
GC/MS装置は、GC TRACE―1310(Thermo Scientifi
c社製)、検出器は、シングル四重極分析計MS ISQ LT(Thermo Scientific社製)、オートサンプラーは、TRIPLUS RSH(Thermo Scientific社製)を使用する。測定は、下記に示す条件で行う。
【0075】
サンプル量:1μL(液打ち)
カラム:HP5―MS(Agilent Technologies社製)
長さ:30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
スプリット比:10
スプリットフロ―:15mL/min
MSイオン化:EI
カラム温度条件:40℃で3min保持し、続いて10℃/minで300℃まで上昇させ、10min間保持する。
イオン源ソース温度:250℃
Mass Range:m/z45-1000
搬送ライン温度:250℃
【0076】
<検量線の作成>
エタノール溶液中における式(1)で表される化合物の濃度が、10ppm、50pp
m、100ppm、250ppmとなるように検量線作成用サンプルを調製する。これらのサンプルを前記条件にて測定し、式(1)で表される化合物に由来するピークの面積値から検量線を作成する。
【0077】
サンプルをFT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)[1H-NMR 400MHz、CDCl3、室温(25℃)](13C-NMR等も併用する)を用いて分析することで、式(1)で表される化合物の構造を決定する。上記方法で得られた情報をもとに式(1)で表される化合物の同定と含有量を測定する。
【0078】
<トナー中の多価元素の含有量の測定方法>
トナー中の多価元素の含有量の測定に関しては、蛍光X線で測定し、検量線法で求める。多価元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119-1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と測定条件設定および測定データ解析をするための付属ソフト「SuperQ
ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mmとする。また軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
【0079】
[ホウ素元素の検量線の作成]
トナー中の多価元素の含有量を求めるための検量線を作成するためのペレットとして、バインダー[商品名:Spectro Blend、成分:C 81.0、O 2.9、H 13.5、N 2.6(質量%)、化学式:C19H38ON、形状:粉末(44μm);(株)リガク製]100質量部に対して、ホウ砂[Na2(B4O5(OH)4)・8H2O]が0.10質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合したも
のを専用のプレス用アルミリングの中に4g入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで60秒間加圧し、厚さ2mm、直径39mmに成型したペレットを用意する。同様にして、ホウ砂が0.50質量部、1.00質量部、5.00質量部、10.00質量部となるように混合・ペレット成型したものをそれぞれ作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=41.75°に観測されるB-Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、32kV、125mAとし、測定時間は10秒とする。
得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のホウ砂添加量から算出されたホウ素添加濃度を横軸として、一次関数の検量線を得る。
【0080】
[トナー中のホウ素元素の定量]
トナー中のホウ素元素含有量を定量するために、トナー4gを専用のプレス用アルミリングの中に入れて、検量線作成用試料と同様にペレット成型を行う。成型されたトナーのペレットを検量線サンプルと同様の条件で測定し、作成していた検量線より、トナーに対するホウ素元素の含有量(質量ppm)を求める。また、トナーに対する含有量からモル数を算出する。
【0081】
[アルミニウム元素の検量線の作成とトナー中のアルミニウム元素の定量]
ホウ砂の代わりに水酸化アルミニウム(Al(OH)3)に変えて、検量線用サンプルを作成し、X線発生装置の加速電圧、電流値を32kV、125mA、測定時間を10秒として、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=144.8°に観測されるAl-Kα線の計数率(単位:cps)を測定し、アルミニウム元素添加濃度に対する一次相関に検量線を得る。
トナー中のアルミニウム含有量の定量については、ホウ素元素の定量と同様にトナーサ
ンプルを作成し、検量線サンプルと同様の条件で測定を行い、アルミニウム元素の検量線よりトナー中の含有量(質量ppm)が求められる。また、トナーに対する含有量からモル数を算出する。
【0082】
[マグネシウム元素の検量線の作成とトナー中のマグネシウム元素の定量]
ホウ砂の代わりに水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)に変えて、検量線用サンプルを作成し、X線発生装置の加速電圧、電流値を32kV、125mA、測定時間を50秒として、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=22.93°に観測されるMg-Kα線の計数率(単位:cps)を測定し、マグネシウム元素添加濃度に対する一次相関に検量線を得る。
トナー中のマグネシウム含有量の定量については、ホウ素元素の定量と同様にトナーサンプルを作成し、検量線サンプルと同様の条件で測定を行い、マグネシウム元素の検量線よりトナー中の含有量(質量ppm)が求められる。また、トナーに対する含有量からモル数を算出する。
【0083】
[カルシウム元素の検量線の作成とトナー中のカルシウム元素の定量]
ホウ砂の代わりに水酸化カルシウム(Ca(OH)2)に変えて、検量線用サンプルを作成し、X線発生装置の加速電圧、電流値を32kV、125mA、測定時間を10秒として、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=113.0°に観測されるCa-Kα線の計数率(単位:cps)を測定し、カルシウム元素添加濃度に対する一次相関に検量線を得る。
トナー中のカルシウム含有量の定量については、ホウ素元素の定量と同様にトナーサンプルを作成し、検量線サンプルと同様の条件で測定を行い、カルシウム元素の検量線よりトナー中の含有量(質量ppm)が求められる。また、トナーに対する含有量からモル数を算出する。
【0084】
[鉄元素の検量線の作成とトナー中の鉄元素の定量]
ホウ砂の代わりに酸化鉄(Fe2O3)に変えて、検量線用サンプルを作成し、X線発生装置の加速電圧、電流値を60kV、66mA、測定時間を10秒として、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=57.48°に観測されるFe-Kα線の計数率(単位:cps)を測定し、鉄元素添加濃度に対する一次相関に検量線を得る。
トナー中の鉄含有量の定量については、ホウ素元素の定量と同様にトナーサンプルを作成し、検量線サンプルと同様の条件で測定を行い、鉄元素の検量線よりトナー中の含有量(質量ppm)が求められる。また、トナーに対する含有量からモル数を算出する。
【0085】
<式(1)で表される化合物のモル数Aと、多価元素のモル数Bとの比(A/B)>
同定されたトナー中の式(1)で表される化合物の含有量からモル数Aを算出し、同定されたトナー中の多価元素の含有量から多価元素のモル数Bを算出することで、式(1)で表される化合物のモル数Aと、多価元素のモル数との比(A/B)を算出する。
【0086】
<トナーからの、結着樹脂の分離>
トナー粒子中の結着樹脂の取り出しは例えば、テトラヒドロフラン(THF)を用いた抽出物を溶媒グラジエント溶出法により分離することで行う。調製方法を以下に示す。
トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.84)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出し、抽出液を脱溶剤して得られた固体がTHF可溶分である。THF可溶分には結着樹脂が含まれる。これを複数回行い、必要な量のTHF可溶分を得る。
【0087】
溶媒グラジエント溶出法には、グラジエント分取HPLC(島津製作所製LC-20AP高圧グラジエント分取システム、Waters社製SunFire分取カラム50mm
φ250mm)を用いる。カラム温度は30℃、流量は50mL/分、移動相には貧溶媒としてアセトニトリル、良溶媒としてTHFを用いる。抽出により得られたTHF可溶分0.02gをTHF1.5mLに溶解させたものを分離のための試料とする。移動相はアセトニトリル100%の組成から開始し、試料注入後5分経過した時点で毎分4%ずつTHFの比率を増加させ、25分かけて移動相の組成をTHF100%とする。得られた分画を乾固させることで成分を分離することができ、これにより結着樹脂を得ることができる。どの分画成分が結着樹脂であるかは後述する13C-NMR(固体)測定により判別することができる。必要に応じて溶媒グラジエント溶出を繰り返すことで、必要な量の結着樹脂を得る。また、得られた結着樹脂の質量と、結着樹脂の取り出しに用いたトナー粒子の質量との比を、トナー粒子中の結着樹脂の含有量(質量%)とする。
【0088】
<トナーから分離した結着樹脂の構造の確認、及びトナー粒子中における結着樹脂中の式(2)で表される構造の含有量の測定>
結着樹脂における、式(2)で表される構造の含有量は、13C-NMR(固体)測定などの公知の分析方法により確認することができる。
【0089】
(13C-NMR(固体)の測定条件)
装置:JEOL RESONANCE製 JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料量:150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
【0090】
前記測定により得られたピークを、結着樹脂中の単量体単位の種類により分離し、それぞれを同定する。また、式(2)で表される単量体の構造を同定し、含有量をピークの積分比より算出する。
【実施例0091】
以下に、実施例を挙げて本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例中及び比較例中の各材料の「部」は、特に断りがない場合、全て質量基準である。
【0092】
(ポリエステル樹脂1の製造)
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び減圧装置を備えた反応容器に、以下の成分を添加して、撹拌しながら温度130℃まで加熱した。
テレフタル酸: 100.0部
無水トリメリット酸: 3.3部
エチレングリコール: 17.1部
イソソルビド: 48.4部
ビスフェノールAエチレンオキサイド5モル付加物: 7.0部
【0093】
エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシドを前記反応容器に加えたモノマー成分の合計量に対して0.3%投入した後、窒素ガス気流下で温度235℃まで1時間かけて昇温し、3時間反応させた。その後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧させ
ながら所望の分子量となるまで反応させてポリエステル樹脂1を得た。求められる分子量になった時点で反応を終了させてポリエステル樹脂1を得た。ポリエステル樹脂1の重量平均分子量(Mw)は、50000であった。また、ポリエステル樹脂1中の式(2)で表される構造単位の割合は、4.0質量%であった。
【0094】
(ポリエステル樹脂2の製造)
・フマル酸: 100.0部
・無水トリメリット酸: 4.4部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド5モル付加物: 37.9部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド5モル付加物: 36.3部
反応器に加えるモノマー成分を上記の成分とした以外は、ポリエステル樹脂1と同様にしてポリエステル樹脂2を得た。得られたポリエステル樹脂2の重量平均分子量(Mw)は44000であった。また、ポリエステル樹脂2中の式(2)で表される構造単位の割合は、45.6質量%であった。
【0095】
(スチレンアクリル樹脂分散液1の製造)
・スチレン: 78部
・n-ブチルアクリレート: 22部
・アニオン界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム): 3部
・エチレングリコールモノドデシルエーテル: 0.0021部
・イオン交換水: 80部
上記成分を容器中に投入し、ホモジナイザーを用いて単量体乳化液Aを作製した。
【0096】
・イオン交換水: 200部
・アニオン界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム): 0.5部
重合用反応容器に上記成分を投入し、還流管を設置し、窒素を注入しながらゆっくりと撹拌し、75℃まで重合用フラスコをウォーターバスで加熱し、保持した。
【0097】
前記重合用反応容器中に、上記単量体乳化液A 10部を、定量ポンプを用いて10分間掛けて滴下した。次いで、過硫酸アンモニウム1.05部をイオン交換水20部に溶解
し、重合用フラスコ中に定量ポンプを用いて10分間掛けて滴下した。この状態で、1時間撹拌を続けた。更に、残りの単量体乳化液Aを、定量ポンプを用いて2時間掛けて滴下した。全て加え終わったのち、更に3時間撹拌を続け、その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が25.0%になるように調製し、スチレンアクリル樹脂分散液1を得た。
【0098】
(スチレンアクリル樹脂分散液2の製造)
・スチレン: 126部
・n-ブチルアクリレート: 14部
・アニオン界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム): 4部
・イオン交換水: 59.2部
上記成分を容器中に投入し、ホモジナイザーを用いて単量体乳化液Bを作製した。
【0099】
・イオン交換水: 133部
・アニオン界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム): 0.6部
重合用反応容器に上記成分を投入し、還流管を設置し、窒素を注入しながらゆっくりと撹拌し、75℃まで重合用フラスコをウォーターバスで加熱し、保持した。前記重合用反応容器中に、上記単量体乳化液B 10部を、定量ポンプを用いて10分間掛けて滴下した。次いで、過硫酸アンモニウム1.05部をイオン交換水10部に溶解し、重合用フラ
スコ中に定量ポンプを用いて10分間掛けて滴下した。この状態で、1時間撹拌を続けた。更に、残りの単量体乳化液Bを、定量ポンプを用いて2時間掛けて滴下した。全て加え
終わったのち、更に3時間撹拌を続け、その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が40.0%になるように調製し、スチレンアクリル樹脂分散液2を得た。
【0100】
(ポリエステル樹脂分散液1の調製)
・ポリエステル樹脂1: 100部
・メチルエチルケトン: 60部
・イソプロピルアルコール: 10部
・エチレングリコールモノドデシルエーテル: 0.0021部
撹拌機を備えた反応容器中に、上記成分を投入し、60℃にて溶解させた。溶解を確認した後、反応容器を35℃に冷却した後、10%アンモニア水溶液3.5部を添加した。次いで、イオン交換水300部を3時間掛けて反応容器中に滴下し、ポリエステル樹脂分散液を作成した。次いで、エバポレーターにてメチルエチルケトン及びイソプロピルアルコールを除去した。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が25.0%になるように調製し、ポリエステル樹脂分散液1を得た。
【0101】
(ポリエステル樹脂分散液2~18の調製)
ポリエステル樹脂分散液1の調製において、使用するポリエステル樹脂及び式(1)で表される化合物の種類や添加量を表1のように変更した以外は同様にして、ポリエステル樹脂分散液2~18を得た。
【0102】
【0103】
表中、式(1)で表される化合物のR1及びnは、それぞれ式(1)で表される化合物におけるR1及びnを示す。
【0104】
(離型剤分散液の調製)
・炭化水素系ワックス(日本精鑞(株)社製、商品名:FNP0090、融解温度Tw=90.2℃): 270部・アニオン界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム): 10.5部
・イオン交換水: 700部
上記成分を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザ)で、内液温度120℃にて離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで360分間分散処理し、冷却して、離型剤分散液を得た。この離型剤分散液の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-950)を用いて測定したところ、含まれる離型剤粒子の体積平均粒径は220nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20.0%になるように調製した。
【0105】
(着色剤分散液1の調製)
・C.I.ピグメントレッド122: 200部
・アニオン界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム): 13部
・イオン交換水: 750部
上記成分をすべて投入した際に液面の高さが容器の高さの1/3になる大きさのステンレス容器に、イオン交換水280部とアニオン界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム) 13部を投入し、充分に界面活性剤を溶解させた後、C.I.ピグメントレッド122 200部を投入し、攪拌機を用いて濡れていない顔料がなくなるまで攪拌した。その後、イオン交換水 470部を加え、更に攪拌して充分に脱泡させた。脱泡後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5,000rpmで10分間分散した後、攪拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した。脱泡後、再度ホモジナイザーを用いて、6,000rpmで10分間分散した後、攪拌器で1昼夜攪拌させてさらに脱泡した。その後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は、トータル仕込み量と装置の処理能力とから換算して25パス相当行った。得られた分散液を72時間放置して沈殿物を除去し、イオン交換水を加えて、固形分濃度を15%に調製し、着色剤分散液1を得た。この着色剤分散液中の粒子の体積平均粒径は110nmであった。
【0106】
(着色剤分散液2の調製)
使用する着色剤をC.I.ピグメントブルー15:3に変更する以外は、着色剤分散液1の調製と同様にして、着色剤分散液2を得た。この着色剤分散液中の粒子の体積平均粒径は90nmであった。
【0107】
(着色剤分散液3の調製)
使用する着色剤をC.I.ピグメントイエロー180に変更する以外は、着色剤分散液1の調製と同様にして、着色剤分散液3を得た。この着色剤分散液中の粒子の体積平均粒径は120nmであった。
【0108】
(着色剤分散液4の調製)
使用する着色剤をカーボンブラックに変更する以外は、着色剤分散液1の調製と同様にして、着色剤分散液4を得た。この着色剤分散液中の粒子の体積平均粒径は、50nmであった。
【0109】
<トナー1の製造>
(トナー粒子1の製造)
・ポリエステル樹脂分散液1 450部
・スチレンアクリル樹脂分散液2 50部
・着色剤分散液1 65部
・離型剤分散液 70部
反応器(容積1リットルフラスコ、バッフル付きアンカー翼)にポリエステル樹脂分散液1、スチレンアクリル樹脂分散液2、及び離型剤分散液を仕込み、均一に混合した。一方、500mLビーカーに着色剤分散液1を均一に混合しておき、これを撹拌しながら前記反応器に徐々に添加し混合分散液を得た。得られた混合分散液を撹拌しながら5質量%のホウ砂水溶液 8.0部を滴下し、凝集粒子を形成させた。
滴下終了後、窒素を用いて系内を置換し、50℃にて1時間、さらに55℃にて1時間保持した。その後昇温して90℃にて30分保持した。その後、63℃まで降温したのち3時間保持させ、融合粒子を形成させた。所定時間終了後、毎分0.5℃の降温速度にて40℃になるまで冷却を行い、冷却後、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径(D4)が6.5μmのトナー粒子1を得た。
【0110】
(トナー1の製造)
上記より得たトナー粒子1の100部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.5部を加え、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機社製)を用いて混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー1を得た。得られたトナー1の物性等を表2に示す。
【0111】
<トナー2~29の製造>
ポリエステル樹脂分散液、スチレンアクリル樹脂分散液、着色剤分散液、及び凝集剤の種類や添加量を表2に示すように変更すること以外はトナー1と同様の製造方法で、トナー2~29得た。
【0112】
【0113】
表中、含有元素のppmは、トナー中の多価元素の含有量(ppm)を示す。(A/B
)は、トナー中に含有される式(1)で表される化合物のモル数Aと、前記多価元素のモル数Bとの比(A/B)を示す。式(1)で表される化合物のR1及びnは、それぞれ式
(1)で表される化合物におけるR1及びnを示す。式(1)のppmは、トナー中の式(1)で表される化合物の含有量(ppm)を示す。ポリシリカ鉄(PSI-100)は、ポリシリカ鉄(南海化学株式会社製、商品名:PSI-100)を示す。
【0114】
[実施例1~23、比較例1~6]
トナー1~29の各々について行った評価について、その方法を以下に述べる。なお、評価結果については表3に記載する。評価に際しては、改造した市販のカラーレーザープリンター[HP LaserJet Enterprise Color m553dn]を使用した。前記カラーレーザープリンターを、1色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するように改造した。また、定着器を任意の温度に変更できるようにも改造した。さらに、マゼンタトナーカートリッジからトナーを抜き取り、それぞれトナー1~20及び24~29 150gに詰め替えた。さらにまた、シアンカートリッジからトナーを抜き取り、トナー21 150gに詰め替えた。また、イエローカートリッジからトナーを抜き取り、トナー22 150gに詰め替えた。さらに、ブラックカートリッジのトナーを抜き取り、トナー23 150gに詰め替えた。詰め替えたトナーカートリッジをプリンターのステーションに装着し、他のステーションにはダミーカートリッジを装着して、下記の画像出力試験を実施した。
【0115】
<光沢ムラの評価>
XEROX4200用紙(XEROX社製75g/m2)上に30mm×30mmサイズのベタのパッチ画像を9ヶ所出力し、加熱部設定温度170℃、プロセススピード300mm/秒の条件にて通紙を行った。光沢ムラの観点から、1枚通紙した際の画像中9ヶ所のグロス値の中で最大値と最小値の差を評価した。光沢度測定器として日本電色工業製のPG-3D(入射角θ=75°)を使用し、標準面は光沢度96.9の黒色ガラスを使用した。グロス値の中での最大値と最小値の差(グロス差)の程度に応じて以下の4ランクで評価した。
A:グロス差が5未満
B:グロス差が5以上10未満
C:グロス差が10以上15未満
D:グロス差が15以上
【0116】
<低温定着性>
XEROX4200用紙(XEROX社製75g/m2)先端部に、トナー担持量が0.5mg/cm2である帯状の未定着画像を形成し、常温常湿環境下(温度23℃、相対
湿度60%)、プロセススピードを250mm/sに設定し、初期温度を100℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で前記未定着画像の定着を行った。
【0117】
低温定着性の評価基準は以下の通りである。低温側定着開始点とは、低温オフセット現象(トナーの一部が定着器に付着してしまう現象)が観察されない下限温度のことである。その程度に応じて以下の4ランクで評価した。
A:低温側定着開始点が140℃未満
B:低温側定着開始点が140℃以上150℃未満
C:低温側定着開始点が150℃以上160℃未満
D:低温側定着開始点が160℃以上
【0118】
<耐ホットオフセット性>
定着温度を上げ、目視でオフセット現象の発生しない最高温度を高温オフセットフリー温度とし、耐オフセット性の指標とした。その程度に応じて以下の4ランクで評価した。
A:高温オフセットフリー温度が190℃以上
B:高温オフセットフリー温度が180℃以上190℃未満
C:高温オフセットフリー温度が170℃以上180℃未満
D:高温オフセットフリー温度が170℃未満
【0119】
<耐ブロッキング性(保存安定性)>
外添処理後のトナーをポリカップ中に10g入れ、53℃の環境下3日間放置し、その程度に応じて以下の4ランクで評価した。
A:傾けると容易に崩れる
B:ダマが存在するが振とうで容易に崩れる
C:傾けると容易に崩れるがほぐれないダマが存在する
D:傾けても崩れない
【0120】
<高温高湿環境下での耐久カブリ評価(現像性)>
カブリは、高温高湿環境下(30℃/80%RH)で評価した。評価紙として、XEROX4200用紙(XEROX社製75g/m2)を用いた。高温高湿環境下において、印字率1%となるE文字画像を4秒ごとに2枚出力する間欠耐久印字を15000枚実施した。その後、ベタ白画像を出力して、評価を行った。測定は、反射濃度計(リフレクトメーター モデル TC-6DS 東京電色社製)を用いて行い、白地部反射濃度最悪値をDs、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、Dr-Dsをカブリ値とした。カブリ値が小さいほどカブリレベルが良いことを示す。その程度に応じて以下の4ランクで評価した。
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.5%未満
C:1.5%以上3.0%未満
D:3.0%以上
【0121】