(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018799
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】ネジ類供給装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20220120BHJP
B65G 47/14 20060101ALI20220120BHJP
B25B 23/04 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
B23P19/06 A
B65G47/14 B
B25B23/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122159
(22)【出願日】2020-07-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [展示会名] 2019国際ロボット展 [開催日] 2019年12月18日から2019年12月21日 [刊行物等] [展示会名] 第6回自動車部品&加工EXPO [開催日] 2020年 1月15日から2020年 1月17日
(71)【出願人】
【識別番号】503193889
【氏名又は名称】株式会社エデックリンセイシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】大山 和美
【テーマコード(参考)】
3C038
3F080
【Fターム(参考)】
3C038BA03
3F080AA24
3F080BA01
3F080BA02
3F080BA04
3F080BB05
3F080BC01
3F080CA02
3F080CC04
3F080CF07
3F080CF08
3F080DB04
(57)【要約】
【課題】ネジ類供給装置の薄型化を可能にする。
【解決手段】ネジ類供給装置1は、本体部10の左側壁11に近接させて溝付きレール40を配置し、切り出し部50には、切り欠き部71,72,73を外周部に沿って等角度間隔となる様に備えた回転円盤70を、一つの切り欠き部71の開口を前方に向けて停止させた位置を取り出し位置TPとして停止させたとき、他の一つが本体部10に向かって斜め後方に開口する位置で停止する関係となる様に設け、溝付きレール40は、斜め後方に開口する位置で停止した切り欠き部に向かってネジ類を排出し得る様に排出端側が屈曲されている。本体部10内には、溝付きレール40に向かって下り傾斜となるタンク底板21を溝付きレール40との間に隙間をあけて設置し、この隙間を通過して昇降する昇降板23でネジ類を溝付きレール40の上に持ち上げる機構を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジ類を収容する収容部と、ネジ類を溝部に吊り下げた状態で移動させる溝付レールと、前記収容部から前記溝付レールへとネジ類を供給するネジ類供給機構と、を備えた本体部と、前記溝付レールを介して前記本体部から排出されるネジ類をドライバビット等による取り出し位置へと一本ずつ切り出す切り出し部と、を備えた装置であって、さらに、以下の(1A)又は(1B)の少なくとも一方の構成を備えていることを特徴とするネジ類供給装置。
(1A)前記切り出し部には、ネジ類を吊り下げた状態で受け止め可能な切り欠き部を外周部に沿って等角度間隔となる様に複数個備えた回転円盤を、一つの切り欠き部の開口を前方に向けて停止させた位置を取り出し位置とする様に前記本体部の前面側に配置すると共に、前記複数個の切り欠き部は、一つを取り出し位置に停止させたとき、他の一つが前記本体部に向かって斜め後方に開口する位置で停止する関係となる様に設置すると共に、前記溝付きレールは、前記斜め後方に開口する位置で停止した切り欠き部に向かってネジ類を排出し得る様に排出端側が屈曲されていること。
(1B)前記収容部として、前記溝付きレールに向かって下り傾斜となるタンク底板を、前記溝付きレールとの間に所定幅の隙間をあける様に設置すると共に、前記ネジ類供給機構として、前記隙間を通過して昇降する昇降板を、上昇端においてその上面が前記溝付きレールの上面より上となる位置まで上昇させ、下降端においてその上面が前記タンク底板の下方に隠れる位置まで下降させる昇降機構を備え、前記昇降板の上面は前記溝付きレールに向かって下り傾斜となる様に構成され、前記溝付きレールの上面は、前記昇降板において下り傾斜とされた上面と重なる範囲について、溝部の中心に向かって下り傾斜となる斜めカット部を備えていること。
【請求項2】
さらに、以下の構成をも備えることを特徴とする請求項1に記載のネジ類供給装置。
(2)前記切り出し部には、ネジ類を吊り下げた状態で受け止め可能な切り欠き部を外周部に沿って等角度間隔となる様に複数個備えた回転円盤と、当該回転円盤が出力軸に取り付けられた回転用モータと、前記回転円盤の切り欠き部に受け入れられたネジ類が取り出し位置に到達したことを検出する第1の検出手段と、前記取り出し位置においてネジ類が取り出されたことを検出する第2の検出手段とを備え、前記回転用モータを、前記第1の検出手段からの検出信号に基づいて回転を停止し、前記第2の検出手段からの検出信号に基づいて回転を開始する制御手段を備え、前記回転円盤の裏面には、前記複数個の切り欠き部のそれぞれに対応する複数個の突起ドグを等角度間隔となる様に備えたドグ部材が固定されており、前記第1の検出手段は、いずれかの突起ドグを検出することによって当該突起ドグに対応する切り欠き部が前記取り出し位置に到達したことを検出する手段となる様に設置されていること。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のネジ類供給装置。
(3)前記切り出し部には、ネジ類を吊り下げた状態で受け止め可能な切り欠き部を外周部に沿って等角度間隔となる様に複数個備えた回転円盤と、当該回転円盤が出力軸に取り付けられた回転用モータとを備え、前記回転用モータは、前記回転円盤を、前記取り出し位置に向かって上り傾斜となる様に、前記出力軸が垂直軸に対して傾きを持った状態で設置され、前記本体部から排出されたネジ類を受け止めた切り欠き部が前記取り出し位置まで回転移動する間に当該切り欠き部の開口を塞ぐ様に前記回転円盤の周囲を取り囲む円弧状凹部を備えた天板が、当該回転円盤の傾斜と対応する上り傾斜となる様に設置されていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジ類を一本ずつ取り出せる様に供給するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、収容部に設置されたレールの溝に吊り下げ状態で整列させたネジを取り出し位置へと移送し、一つずつ取り出せる様にした装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の装置は、スリット円盤のスリットを検知することでネジ収納用の凹部を備えた回転円盤を90度刻みで間欠的に回転・停止させ、取付位置へと一本ずつネジを切り出せる様にしている。
【0003】
この種の装置においては、レールの両側に設置した揺動式のスクイ板や(特許文献2)、レールを取り囲む様に設置した回転ドラム(特許文献3)等により、レールの上方からネジを供給し、レールに正しく吊り下がらなかったネジは揺動ブラシで収容部へ戻している(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5813183号
【特許文献2】特許第2997865号
【特許文献3】特許第5513964号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら従来技術では、収容部内でネジを上方から落下させてレールに供給する構造であるため、レールを収容部の中央付近に設置する必要があり、小型化、特に、薄型化が難しいという問題がある。また、揺動ブラシは耐久性に問題があり、レールに対して正しく吊り下がっていないネジを送ってしまい、移送不良を来す恐れがある。
【0006】
また、特許文献1の装置は、ネジの切り出しを適確に実施できる代わりに、回転円盤とスリット付き円盤の回転軸に対する取付角度の精度を高めるための組み立て工数の増大、取り出し位置におけるネジの脱落防止用のストッパーやバネの組み付けによる組み立て工数・部品点数の増加が避けられない。
【0007】
そこで、本発明は、ネジ類供給装置の薄型化を第1の目的とし、併せて、組み立て工数の削減を可能にしつつネジ類の適確な切り出しを可能にすることを第2の目的とし、さらに、部品点数の削減をも可能にしつつネジ類の適確な切り出しを可能にすることを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の目的を達成するためになされた本本発明のネジ類供給装置は、ネジ類を収容する収容部と、ネジ類を溝部に吊り下げた状態で移動させる溝付レールと、前記収容部から前記溝付レールへとネジ類を供給するネジ類供給機構と、を備えた本体部と、前記溝付レールを介して前記本体部から排出されるネジ類をドライバビット等による取り出し位置へと一本ずつ切り出す切り出し部と、を備えた装置であって、さらに、以下の(1A)又は(1B)の少なくとも一方の構成を備えていることを特徴とする。
(1A)前記切り出し部には、ネジ類を吊り下げた状態で受け止め可能な切り欠き部を外周部に沿って等角度間隔となる様に複数個備えた回転円盤を、一つの切り欠き部の開口を前方に向けて停止させた位置を取り出し位置とする様に前記本体部の前面側に配置すると共に、前記複数個の切り欠き部は、一つを取り出し位置に停止させたとき、他の一つが前記本体部に向かって斜め後方に開口する位置で停止する関係となる様に設置すると共に、前記溝付きレールは、前記斜め後方に開口する位置で停止した切り欠き部に向かってネジ類を排出し得る様に排出端側が屈曲されていること。
(1B)前記収容部として、前記溝付きレールに向かって下り傾斜となるタンク底板を、前記溝付きレールとの間に所定幅の隙間をあける様に設置すると共に、前記ネジ類供給機構として、前記隙間を通過して昇降する昇降板を、上昇端においてその上面が前記溝付きレールの上面より上となる位置まで上昇させ、下降端においてその上面が前記タンク底板の下方に隠れる位置まで下降させる昇降機構を備え、前記昇降板の上面は前記溝付きレールに向かって下り傾斜となる様に構成され、前記溝付きレールの上面は、前記昇降板において下り傾斜とされた上面と重なる範囲について、溝部の中心に向かって下り傾斜となる斜めカット部を備えていること。
【0009】
(1A)の構成を備えたネジ類供給装置によれば、斜め後方に開口する切り欠き部に対して排出端が屈曲された溝付きレールから排出されるネジ類が受け止められることとなるから、溝付きレールは、回転円盤に対して回転中心よりも一方側に偏った配置となる様に本体部に設置することができる。そして、一つの切り欠き部の開口を前方に向けて停止させた位置を取り出し位置とする様に記切り出し部を本体部の前面側に配置したから、回転円盤を中心として溝付きレールを一方側に偏った配置とすることができ、装置全体を薄型化することが可能となる。
【0010】
また、(1B)の構成を備えたネジ類供給装置によれば、収容部において、ネジ類はタンク底板の傾斜によって溝付きレール側に集まる様に収容される。そして、溝付きレール側に集まる様に収容されたネジ類の内、昇降板の上面に持ち上げられたネジ類が溝付きレールの上に供給される。昇降板の上面が溝付きレール側に傾斜しているから昇降板の上面が溝付きレールの上面を越えるまではネジ類は溝付きレールの内側側面に当接する状態となり、昇降板の上面が溝付きレールの上面を越えたときに溝付きレール側へと滑り落ちあるいは転がり落ちる様にして受け渡される。このとき、溝付きレールの上面に受け渡されたネジ類はカット部に受け止められ、頭部を中心に溝部に軸を嵌まり込ませる様にして吊り下げられる。これにより、溝付きレールの両側からネジ類を供給する必要がなくなり、溝付きレールを一方側に偏った配置とすることができ、装置全体を薄型化することが可能となる。
【0011】
そして、(1A)及び(1B)の構成を共に備えたネジ類供給装置によれば、上述の作用・効果が相俟って、溝付きレールを一方側に偏った配置とすることによる装置全体の薄型化をより確実に可能ならしめる。
【0012】
ここで、本発明のネジ類供給装置は、さらに、以下の構成をも備えることができる。
(2)前記切り出し部には、ネジ類を吊り下げた状態で受け止め可能な切り欠き部を外周部に沿って等角度間隔となる様に複数個備えた回転円盤と、当該回転円盤が出力軸に取り付けられた回転用モータと、前記回転円盤の切り欠き部に受け入れられたネジ類が取り出し位置に到達したことを検出する第1の検出手段と、前記取り出し位置においてネジ類が取り出されたことを検出する第2の検出手段とを備え、前記回転用モータを、前記第1の検出手段からの検出信号に基づいて回転を停止し、前記第2の検出手段からの検出信号に基づいて回転を開始する制御手段を備え、前記回転円盤の裏面には、前記複数個の切り欠き部のそれぞれに対応する複数個の突起ドグを等角度間隔となる様に備えたドグ部材が固定されており、前記第1の検出手段は、いずれかの突起ドグを検出することによって当該突起ドグに対応する切り欠き部が前記取り出し位置に到達したことを検出する手段となる様に設置されていること。
【0013】
かかる構成をも備えたネジ類供給装置によれば、回転円盤とドグ部材とを一体化しているから、複数個の切り欠き部と突起ドグとの位置関係は自ずと適正な状態で回転用モータの出力軸に固定される。回転円盤とドグ部材の固定作業は、出力軸への取付とは切り離した作業にて実行することができる。これらにより、本発明のネジ類供給装置によれば、本体部から排出されるネジ類を一本ずつ取り出し位置へと適確に供給する動作を実現するための組み立て工数を節減することができる。よって、第1の目的に加えて第2の目的をも達成することができる。なお、第1,第2の検出手段は、発光素子と受光素子とを対面する様に配置したものとすることができる。
【0014】
これら本発明のネジ類供給装置は、さらに、以下の構成をも備えることができる。
(3)前記切り出し部には、ネジ類を吊り下げた状態で受け止め可能な切り欠き部を外周部に沿って等角度間隔となる様に複数個備えた回転円盤と、当該回転円盤が出力軸に取り付けられた回転用モータとを備え、前記回転用モータは、前記回転円盤を、前記取り出し位置に向かって上り傾斜となる様に、前記出力軸が垂直軸に対して傾きを持った状態で設置され、前記本体部から排出されたネジ類を受け止めた切り欠き部が前記取り出し位置まで回転移動する間に当該切り欠き部の開口を塞ぐ様に前記回転円盤の周囲を取り囲む円弧状凹部を備えた天板が、当該回転円盤の傾斜と対応する上り傾斜となる様に設置されていること。
【0015】
かかる構成をも備えたネジ類供給装置によれば、本体部から排出されて回転円盤の切り欠き部に受け止められたネジ類は、回転円盤が取り出し位置まで回転移動する間は回転盤の周囲を取り囲む円弧状凹部によって開口を塞がれた状態となるから、当該切り欠き部から脱落することなく取り出し位置へと移動する。取り出し位置においては、回転円盤が上り傾斜となっていてネジ類は切り欠き部の奥に当接する位置に保持されることになるから、切り欠き部の開口を塞ぐバネ付きストッパーなどを設置しなくてもよい。よって、余分な部品の取り付けを不要とし、部品点数の削減にも寄与し、第1の目的に加えて第3の目的をも達成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ネジ類供給装置の薄型化を可能にすることができる。また、請求項2の発明によれば、組み立て工数の削減を可能にしつつネジ類の適確な切り出しをも可能にすることができる。さらに、請求項3の発明によれば、部品点数の削減をも可能にしつつネジ類の適確な切り出しをも可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1のネジ類供給装置を示し、(A)は斜視図、(B)は本体部内の様子を示す模式的平面図である。
【
図2】実施例1のネジ類供給装置の要部を示し、(A)は昇降板が下降した状態の本体内部の斜視図、(B)は昇降板が上昇した状態の本体内部の斜視図である。
【
図3】実施例1のネジ類供給装置の要部を示し、(A)は溝付レールにネジ類が吊り下げられた状態の斜視図、(B)は横倒しに載ったネジ類を排除するための機構を示す斜視図、(C)はネジ類を排除するための円盤の構造を示す分解斜視図、(D)は昇降機構の動作を制御するためのセンサの取付状態を示す斜視図である。
【
図4】実施例1のネジ類供給装置において溝付レールに横倒しに載ったネジ類を排除するための機構を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【
図5】実施例1のネジ類供給装置の切り出し部を示し、(A)は平面図、(B)は内部構造を示す側面図である。
【
図6】実施例1のネジ類供給装置の切り出し部を示し、(A)は組み付け状態を示す要部の側面図、(B)は回転円盤の構造を示す側面図である。
【
図7】実施例1のネジ類供給装置の制御部を示し、(A)はブロック図、(B)はフローチャートである。
【
図8】他の実施例において溝付レールに横倒しに載ったネジ類を排除するための機構を示し、(A)は実施例2の斜視図、(B),(C)は実施例3の斜視図である。
【
図9】さらに他の実施例において溝付レールに横倒しに載ったネジ類を排除するための機構を示し、(A)~(C)は実施例4の斜視図、(D)は実施例5の斜視図である。
【
図10】実施例のネジ類供給装置を多列レイアウトにて設置した状態を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明する。
【実施例0019】
実施例1のネジ類供給装置1は、
図1(A)に示す様に、本体部10と、切り出し部50とを備える。本体部10は、ネジ類2を投入するための蓋10aを上面に備え、切り出し部50を前面に備えている。本体部10の内部には、
図1(B)に示す様に、ネジ類2を収容する収容部20と、ネジ類2を吊り下げた状態に整列させて切り出し部50へと移送するための溝付きレール40と、が備えられている。
【0020】
溝付きレール40は、
図1(B)に示す様に、本体部10の左側壁11に近接する位置に設置され、本体部10から突出した部分が切り出し部50の中央方向へと斜めに120度屈曲されている。また、溝付きレール40のレール上面41は、
図2(A),(B)に示す様に、本体部10の背面側から前面に向かって傾斜し、ネジ類2が、本体部10から切り出し部50へと、自重によって滑り降りていく様に構成されている。また、
図3(A),(B)に示す様に、傾斜の緩やかな部分においては、溝付きレール40のレール上面41は溝に向かって傾斜する斜めカット部41aを備えている。そして、この斜めカット部41aから前端に掛けての範囲について、外側レール42の左側面に接する垂直壁45が備えられている。
【0021】
収容部20は、
図1(B)に示す様に、本体部10の右側壁12と溝付きレール40との間に設定されている。この収容部20の底は、
図2(A),(B)に示す様に、本体部10の右側壁から溝付きレール40に向かって下り傾斜とされたタンク底板21によって構成されている。この結果、収容部20に投入されたネジ類は、溝付きレール40の内側レール43の垂直壁に向かって滑り落ち、あるいは転がり落ちる様にしてタンク底板21の上に収容される。
【0022】
タンク底板21は、
図2(A),(B)に示す様に、左端で垂直下方に折り曲げられた垂直部21aを備え、溝付きレール40の内側レール43の垂直壁に沿って一定幅で伸びる隙間22を形成した状態となる様に設置されている。そして、この隙間22を通過可能な厚さの昇降板23が内側レール43の垂直壁に沿って昇降可能となる様に設置されている。なお、内側レール43と昇降板23、及び昇降板23とタンク底板21の垂直部21aは、昇降動作に支障ない程度にほぼ当接した状態となっている。この昇降板23の昇降板上面23aは、
図2(B)に示す様に、ネジ類2を下方から受け止めることのできる厚さを有すると共に、溝付きレール40のレール上面41と同様に前下がり、かつ、タンク底板21と同様の左下がりの傾斜面で構成されると共に、ネジ類2がさらに前方へと滑り落ちるのを防止する突起23bが前端部において上方に向かって突設されたものとなっている。また、昇降板23の背面側には、
図2(A),(B)に示す様に、直角に折り曲げられた背面板23cが備えられている。昇降板23は、この背面板23cが、タンク底板21の背面端に形成した切り欠き部21bに嵌まり込んだ状態で昇降可能に組み付けられている。背面板23cは、昇降板23の昇降動作を安定させると共に、昇降板23の上昇時に収容部20の後方に停滞しているネジ類2の状態を崩し、昇降板23へネジ類2が乗る効率を上げる役割を担っている。なお、
図2(A),(B)に示す様に、タンク底板21の前方側には、下端をタンク底板21側に下り傾斜となる様に折り曲げたタンク前板21cが設置され、前方に落下したネジ類2をタンク底板21へと戻す様にしている。
【0023】
昇降板23の下端には昇降カム24が取り付けられている。この昇降カム24にはモータ軸アーム25が係合されている。このモータ軸アーム25は、昇降用モータM1の出力軸に取り付けられている。昇降用モータM1は、減速機を内蔵したギアドモータであり、一定の速度で回転することにより、モータ軸アーム25と昇降カム24とのカムフォロワ動作により、昇降板23に所定のインターバルに従った昇降動作を実行させる。この昇降動作において、昇降板上面23aは、上昇側ではレール上面41を所定量越える位置まで上昇し、下降側ではタンク底板21の傾斜面よりも下方に隠れる位置まで下降する様に動作範囲が設定されている。
【0024】
昇降板23の前端下部にはL字型ブラケット26が取り付けられている。このL字型ブラケット26の垂直部には、ラックギヤ27が垂直方向に伸びる様に取り付けられている。このラックギヤ27は、
図2(A),(B)及び
図3(A)に示す様に、溝付きレール40の上方において当該溝付きレール40と直交する方向に伸びる水平軸28に対してワンウェイクラッチ28aを介して取り付けられた平歯ギヤ29に噛み合わされている。この結果、昇降用モータM1を駆動することにより、昇降板23と共に昇降動作を繰り返すラックギヤ27が平歯ギヤ29を正逆方向に回転させ、水平軸28は、ワンウェイクラッチ28aの作用によって一方向にのみ回転する間欠的な回転動作を実行する。
【0025】
水平軸28には、
図3(A)に示す様に、2枚の排除用円盤31,32が取り付けられている。これら2枚の排除用円盤31,32には、
図3(B),(C)に示す様に、それぞれ四つの爪31a~31d,32a~32dが円周方向90度間隔で突設されている。そして、左側壁11側の排除用円盤31に180度間隔で突設された二つの爪31a,31cは、反対側の排除用円盤32に向かって屈曲されている。また、これら排除用円盤31,32は、
図3(B)に示す様に、溝付きレール40の上方に所定距離をあけた位置となる様に配置されると共に、間に邪魔板33が配置されている。この邪魔板33は本体部10の上面裏に上端を固定されている。
【0026】
また、
図3(A),(B)に示す様に、溝付きレール40のレール上面41は、背面側から前面側に向かう下り傾斜の角度が途中から急になる様に構成されている。上述の排除用円盤31,32は、この下り傾斜が急になる位置の前方側に設置されている。また、邪魔板33の下端は、
図3(B)に示す様に、排除用円盤31,32の周縁よりも飛び出さない様に設置されている。そして、
図4(A)に示す様に、邪魔板33は溝付きレール40の溝40aの上に位置し、排除用円盤31,32は溝40aよりも外側に位置する様に設置される。このとき、排除用円盤31,32は、円周方向に突設された爪31b,31d,32a~32dがレール上面41に当接せず、屈曲された爪31a,31cは溝付きレール40に正しく吊り下げられた状態のネジ類の頭部に当たらない高さとなると共に屈曲端が溝付きレール40の溝40aまで達する様に設置される。
【0027】
この結果、昇降用モータM1を駆動することにより、タンク底板21の上に収容されているネジ類2の内、内側レール43に接する位置にあるものは昇降板上面23aによって持ち上げられ、溝付きレール40のレール上面41よりも若干上がった位置まで持ち上げられる。この間、昇降板上面23aは左下がりの傾斜面となっており、昇降板23の左側面は内側レール43の右側面にほぼ接する状態となっているから、ネジ類2は内側レール43の右側面に当接した状態で溝付きレール40の上面よりも若干上がった位置まで持ち上げられる。すると、ネジ類2は、左下がりの傾斜面で構成された昇降板上面23aから、溝付きレール40のレール上面41へと滑り出し、あるいは転がり出す様にして受け渡される。このとき、多くのネジ類は、斜めカット部41aに受け止められ、軸部を溝に落とし込ませて吊り下げられた状態にて溝付きレール40に保持される。しかし、全てのネジ類がこの様な吊り下げ状態とはならず、溝付きレール40に受け渡されたネジ類において、
図4(A),(B)に示す様に、一部のネジ類2aは溝40aに軸部を落とし込ませる様にして溝付きレール40に吊り下がった状態となり、他のネジ類2b,2cは溝付きレール40のレール上面41に横倒しに乗り上げた状態となる。なお、昇降板23に持ち上げられたネジ類には、この昇降板23の上昇動作の途中で、あるいは下降動作の途中でタンク底板21側へと落下するものもある。
【0028】
溝付きレール40のレール上面41は前下がりの傾斜面とされ、昇降板23の昇降動作に伴う振動が伝わり、溝付きレール40に受け渡されたネジ類2a,2b,2cは装置の前方へと移動していく。このとき、正しく吊り下がったネジ類2aは邪魔板33の下を通ってさらに前方へと移動する。一方、正しく吊り下げられずに横倒しに乗り上げた状態となっているネジ類2b,2cは、間欠的に回転する排除用円盤31,32の爪31a~31d,32a~32dに当たり、レール上面41からタンク底板21側へと落とされる。このとき、
図4(B)に矢印で示す様に、排除用円盤31,32が、昇降板23が下降動作を行う間に実行する間に、横倒しに乗り上げた状態となっているネジ類2b,2cを、爪31a等によって弾き落とす方向への回転を実行する様に、ワンウェイクラッチ28aが取り付けられている。
【0029】
排除用円盤31,32は、十分な厚さの金属板から打ち抜きプレスによって製造されており、ネジ類2b等を弾き落とす動作を繰り返し実行しても変形や損傷を来さないものとなっている。この結果、本実施例によれば、収容部20に収容されたネジ類2を溝付きレール40に対して適確に吊り下がった状態に整列させ、取り出し位置へと移送する動作を長期にわたって実行し続けることができるものとなっている。ここで、本実施例においては、溝付きレール40の溝40aに整列状態のネジ類が十分に供給された状態になったら昇降用モータM1を停止させて省エネ化を図るため、
図3(D)に示す様に、排除用円盤31,32よりも出口側となる位置にフォトセンサSE3を設置している。フォトセンサSE3は、溝40aにネジ類が存在するとき、光路が遮断された状態でOFF信号を出力し、ネジ類が取り出されて光路が開放された状態でON信号を出力する。そして、昇降用モータM1を、フォトセンサSE3がON信号を出力している間だけ駆動することにより、無駄な電力消費を抑制する制御を実行している。以下、フォトセンサSE3を「昇降停止センサSE3」という。
【0030】
次に、切り出し部50について説明する。
図1(A)に示す様に、切り出し部50は、本体部10の前面壁13の下部に配置された直方体状の筐体51を備えている。筐体51の上面には、ドライバガイド5、供給準備センサSE1、及び回転円盤70が取り付けられている。回転円盤70は、
図5(A)に示す様に、回転中心が筐体51の幅方向中心となる様に取り付けられている。この回転円盤70の円周部には、中心に向かって切り込まれたU字状切り欠部71,72,73が120度間隔で備えられている。
【0031】
ここで、筐体51の天板51aは、
図5(B)に示す様に、前端に向かって上り傾斜とされており、回転円盤70の回転軸75は、天板51aに対して直交する様に垂直軸に対して後方に倒れ気味の角度で設置され、回転円盤70を、天板51aの前上がりの傾斜と一致する様に前端に向かって上り傾斜となる様に支持している。また、回転円盤70は、その上面と天板51aの上面とが面一となる様に支持されている。
【0032】
筐体51の天板51aには、前端の幅方向中央から後方に向かって伸びる直線状溝部52が形成されている。この直線状溝部52は、その幅がU字状切り欠き部71,72,73の幅以上であって、その切り欠き底部がU字状切り欠き部71,72,73の切り欠き底部の深さ以上となる様に形成されている。
【0033】
これら三つのU字状切り欠き部71,72,73のいずれかの開口部が前方を向き、直線状溝部52と重なる位置へと回転円盤70を回転させて停止することにより、取り出し位置TPへのネジ類の移送が完了する。
図5(A)は、U字状切り欠き部71に収容したネジ類2xが取り出し位置TPに移送された状態を示している。
【0034】
ここで、本実施例においては、回転円盤70は、
図5(A)において反時計方向に回転されている。また、溝付きレール40は、次に取り出し位置へと回転されるU字状切り欠き部72の停止位置に前端が到達する様に、筐体51の天板51aの中心方向に屈曲されている。そして、天板51aには、この溝付きレール40の溝40aと重なる第2の溝部53が形成されている。この第2の溝部53は、
図5(A)における溝40a及びU字状切り欠き部72に重なり、溝付きレール40に吊り下げられて滑り降りてくるネジ類2yをU字状切り欠き部72へと受け渡すことが可能な寸法・形状を有している。なお、溝付きレール40のレール上面41は、
図5(B)に示す様に、本体部10の外側において継続して傾斜とされている。
【0035】
また、天板51aには、直線状溝部52と第2の溝部53とを連通させる様に、回転円盤70の周縁に対応する円弧状凹部54,54が備えられている。この結果、回転円盤70のU字状切り欠き部71,72,73は、第2の溝部53から直線状溝部52まで移動する間は、開口部分が円弧状凹部54,54の縁によって塞がれ、ネジ類の脱落が防止された状態となる。
【0036】
供給準備センサSE1は、溝部52を挟んで対面する様に設置された発光素子と受光素子とから構成され、光路が遮断されたことを検知した後に再び光路が開かれたことを検知することにより、取り出し位置TPに移送されたネジ類2xの取り出し完了を検出し、回転円盤70の次の回転動作を開始させる契機を与えるための信号を出力する役割を担っている。
【0037】
回転円盤70の裏面には、
図6(A),(B)に示す様に、三つの突起ドグ81,82,83を備えたドグ部材80が固定されている。これら三つの突起ドグ81,82,83は、三つのU字状切り欠き部71,72,73に対して正反対の方向に向かって伸びる様に位置決めピン85で位置決めされ、回転円盤70と一体化されている。突起ドグが一体化された回転円盤70は、筐体51の天板51aに直交する様に傾斜して設置された回転軸75の先端部に固定される。回転軸75は、筐体内に天板51aと平行に設置された傾斜ブラケット76に回転可能に支持されている。また、回転軸75は、減速機を内蔵したギアドモータで構成された回転用モータM2の出力軸に取り付けられている。
【0038】
また、
図5(B),
図6(B)に示す様に、切り出し部50の筐体内には回転位置決めセンサSE2が設置されている。この回転位置決めセンサSE2は、上下方向に対面する様に設置された発光素子と受光素子とから構成され、三つの突起ドグ81,82,83のいずれかによって光路が遮断されたときに回転用モータM2を停止させるための信号を出力する。回転用モータM2は、「供給準備センサSE1から光路が再開したときに出力される信号によって回転を開始し、回転位置決めセンサSE2から出力される信号によって停止する動作」を繰り返す様に構成されている。
【0039】
次に、本実施例における動作制御の概要を説明する。本実施例のネジ類供給装置1は、
図7(A)に示す様に、スタートスイッチSW1、供給準備センサSE1、回転位置決めセンサSE2、昇降停止センサSE3、昇降用モータM1、及び回転用モータM2との間で信号を入出力する制御回路100及び電源回路110を備えている。
【0040】
スタートスイッチSW1をONにすると、制御回路100は、
図7(B),(C)に示す処理を開始する。
図7(B)は、昇降用モータM1に対する制御処理であって、制御回路100は、まず、昇降停止センサSE3がONを出力しているか否かを判定する(S10)。SE3=ONのときは(S10:YES)、昇降用モータM1を起動する(S20)。一方、SE3=OFFの場合は(S10:NO)、昇降用モータM1を停止する(S30)。制御回路100は、以上の処理を、スタートスイッチSW1がOFFになるまで繰り返し実行する。この結果、溝付きレール40に十分な量のネジ類が整列されるまでは昇降用モータM1が駆動し続けて昇降板23の昇降によって収容部20内のネジ類が溝付きレール40へと持ち上げられ、横倒しに載ったネジ類を排除用円板31,32でタンク底板21側へと落下させる動作が繰り返される。この動作が繰り返されることによって溝付きレール40に十分な量のネジ類が整列して吊り下がった状態となり、昇降停止センサSE3の出力信号がONからOFFへと変化したら昇降用モータM1を停止する。そして、溝付きレール40に吊り下がったネジ類が取り出されて昇降停止センサSE3の出力信号が再びONに変化したら、昇降用モータM1を起動して溝付きレール40へのネジ類の補給を再開する。
【0041】
図7(C)は、回転用モータM2に対する制御処理であって、制御回路100は、まず、供給準備センサSE1がONを出力しているか否かを判定する(S50)。供給準備センサSE1は、取り出し位置TPにネジ類が存在するときは「OFF」、存在しないときは「ON」を出力する。SE1=ONのときは(S50:YES)、所定時間待機した後(S60:YES)、回転用モータM2を起動する(S70)。一方、SE1=OFFの場合は(S50:NO)、回転位置決めセンサSE2がONとなっているか否かを判定する(S80)。回転位置決めセンサSE2は、突起ドグを検出したときに「ON」を、検出していないときに「OFF」を出力する。SE2=ONのときは(S80:YES)、回転用モータM2を停止する(S90)。一方、SE2=OFFのときは(S80:NO)、回転用モータM2に対して新たな指令を出力することなく本処理の最初に戻る。
【0042】
以上の制御処理を実行することにより、装置が起動されてから停止されるまでの間、昇降用モータM1は、昇降板23の昇降動作を休止状態を適宜介在させつつ繰り返し実行する。一方、回転用モータM2は、いずれかのU字状切り欠き部が取り出し位置TPに到達するまで回転円盤70を回転させ、いずれかのU字状切り欠き部が取り出し位置TPに到達したときに回転円盤70を停止させる。このとき、他のU字状切り欠き部が斜め後方からネジ類を受け入れ可能な位置に停止する。そして、取り出し位置TPにおいてネジ類の取り出しが完了すると、回転用モータM2が起動され、回転円盤70が回転を開始する。そして、次のU字状切り欠き部が取り出し位置TPに到達したとき、回転用モータM2は停止する。これにより、次のU字状切り欠き部に保持されたネジ類の取り出しとさらに次のU字状切り欠き部へのネジ類の受け入れが可能な状態となる。以下、装置自体が停止されるまで、回転用モータM2は上述の間欠的な起動・停止を繰り返し実行する。
【0043】
なお、装置の起動直後においては、ネジ類の取り出し動作が実行されたか否かに拘わらず、S80がYESとなる。S70による所定の待機時間が介在されているから、ネジ類を受け入れ可能な位置にネジ類が排出され始めると、以下、一本ずつネジ類の切り出しが実行されることになる。
【0044】
本実施例によれば、三つのU字状切り欠き部71,72,73に対して三つの突起ドグ81,82,83が正反対に向かって伸びる様に位置決めピン85によって位置決め固定された回転円盤70を用いている。この結果、回転軸75に対して回転円盤70を取り付けるだけで正確な回転角度制御が可能となる。
【0045】
また、回転円盤70及び天板51aは前上がり傾斜を有する様に備えられているから、ネジ類2xはU字状切り欠き部の切り欠き底部に自然に当接する状態で取り出し位置TPに停止される。また、取り出し位置TPにおいては、U字状切り欠き部の開口端よりも先の伸びる様に直線状溝部52が存在している。この結果、取り出し位置TPにおいてバネ付きストッパなどでネジ類2xを押さえていなくても脱落することがない。よって、部品点数を節減することができると共に、組み立て工数も削減することができる。
【0046】
また、本体部10内において、溝付きレール40に向かって下り傾斜とされたタンク底板21の上方に収容部20を設定し、タンク底板21を、その下端と溝付きレール40との間に一定幅の隙間22を形成する様に設置し、この隙間22を昇降動作する昇降板23で収容部20のネジ類を下から上へと持ち上げながら溝付きレール40の上に供給する構成を採用すると共に、溝付きレール40が本体部10から突出する部分を切り出し部50の中心方向に向かって斜めに屈曲させ、U字状切り欠き部71,72,73が斜めに向いた位置で回転円盤70を停止させてネジ類の受け渡しを実行する構成を採用したから、溝付きレール40を本体部10内で左右一方に偏った配置とすることが可能となった。この結果、本実施例によれば、本体部10の薄型化を達成できる。これにより、装置の小型化が可能となる。