(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187994
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】スクレーパ・バー、キット、及び設備
(51)【国際特許分類】
D21F 1/52 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
D21F1/52
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022086899
(22)【出願日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】A 50464/2021
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(71)【出願人】
【識別番号】595101137
【氏名又は名称】クラウス・バルテルムス
【氏名又は名称原語表記】Klaus Bartelmuss
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・バルテルムス
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055CE49
4L055CE50
4L055EA15
4L055FA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】所望の長さに対して個別の適合が可能なスクレーパ・バーを提供する。
【解決手段】シーブベルトを用いた巻き取り紙の製造のための設備において使用するためのスクレーパ・バー(3b)であって、シーブベルト(1)は、スクレーパ・バー(3b)の長さ方向の大きさに関して横行方向にスクレーパ・バー(3b)の上を移動可能であり、スクレーパ・バー(3b)は、シーブベルト(1)に向かって面する摩耗要素(5b)を有し、それが、支持バー(4b)上にマウントされ、かつスクレーパ・バー(3b)の長さ方向の大きさの方向に順々に配される。支持バー(4b)は、長さ方向の大きさにおいて順々に配され、好ましくは互いに接続され、かつ摩耗要素(5b)が上に固定される支持バー要素を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーブベルト(1)を用いた巻き取り紙の製造のための設備において使用するためのスクレーパ・バーであって、
前記スクレーパ・バー(3a、3b)は、長さ方向の大きさを有し、
前記シーブベルト(1)は、前記長さ方向の大きさに関して横行方向に前記スクレーパ・バー(3a、3b)の上を移動可能であり、
前記スクレーパ・バー(3a、3b)は、摩耗要素(5a、5b)であって、支持バー(4a、4b)上にマウントされ、かつ前記スクレーパ・バー(3a、3b)の前記長さ方向の大きさの方向に順々に配され、かつ前記シーブベルト(1)に向かって面する摩耗要素(5a、5b)を有し、
前記支持バー(4a、4b)が、前記長さ方向の大きさの方向において順々に配され、好ましくは互いに接続され、かつ前記摩耗要素(5a、5b)が上に固定される支持バー要素(9a、9b)を有する
ことを特徴とするスクレーパ・バー。
【請求項2】
前記摩耗要素(5a、5b)がセラミック・プレートである
ことを特徴とする請求項1に記載のスクレーパ・バー。
【請求項3】
前記長さ方向の大きさの方向において測定された摩耗要素(5a、5b)の長さが前記支持バー要素(9a、9b)の長さに対応する
ことを特徴とする請求項1に記載のスクレーパ・バー。
【請求項4】
前記支持バー要素(9a、9b)上において、2つ、または2を超える数の摩耗要素(5)が前記長さ方向の大きさの方向に順々に配される
ことを特徴とする請求項1に記載のスクレーパ・バー。
【請求項5】
前記支持バー要素(9a、9b)が、端面(11a、11b)を有し、隣接する前記支持バー要素(9a、9b)がそれにおいて当接する
ことを特徴とする請求項1に記載のスクレーパ・バー。
【請求項6】
前記支持バー要素(9a、9b)が、前記端面(11a、11b)のうちの一方または両方に形状的に嵌まり合うジオメトリ(13)を有し、それが、隣り合う支持バー要素(9a、9b)の前記形状的に嵌まり合うジオメトリ(13)に係合する
ことを特徴とする請求項5に記載のスクレーパ・バー。
【請求項7】
前記支持バー要素(9a、9b)が、それらの前記端面(11a、11b)において互いに接着結合される
ことを特徴とする請求項5に記載のスクレーパ・バー。
【請求項8】
前記形状的に嵌まり合うジオメトリ(13)が、好ましくは前記シーブベルト(1)の移動方向と平行に延びる突出部を有する
ことを特徴とする請求項6に記載のスクレーパ・バー。
【請求項9】
前記支持バー要素(9b)が、前記摩耗要素(5b)とは反対の側に凹部(14)を有し、好ましくはそれが、前記長さ方向の大きさの方向に延びる
ことを特徴とする請求項1に記載のスクレーパ・バー。
【請求項10】
前記凹部(14)が、T字形状または台形の断面を有する
ことを特徴とする請求項9に記載のスクレーパ・バー。
【請求項11】
シーブベルト(1)用いた巻き取り紙の製造のための設備において使用するためのキットであって、
- 請求項1に記載の2つまたは2を超える数のスクレーパ・バー(3a)であって、互いに平行に隣りに配されるスクレーパ・バーと、
- 前記スクレーパ・バー(3a)の下に横行して配される2つまたは2を超える数の横行部材(17)を有する枠(16)と、
- 前記横行部材(17)に接続され、かつ前記スクレーパ・バー(3a)と平行に配される2つの長さ方向部材(18)であって、それらの間に前記スクレーパ・バー(3a)を受け入れる長さ方向部材(18)と、
を特徴とする、キット。
【請求項12】
前記長さ方向部材(18)上に切欠き(21)が配され、前記横行部材(17)の端部が前記切欠き内に受け入れられる
ことを特徴とする請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記横行部材(17)上に、ピン(23)が中に配された切欠き(20)が配され、前記ピンが孔(24)と協働することと、好ましくは前記ピン(23)が前記孔(24)内において接着結合される
ことを特徴とする請求項11に記載のキット。
【請求項14】
前記スクレーパ・バー(3a)の端の領域において、前記スクレーパ・バー(3a)の間にシール要素(25)が配される
ことを特徴とする請求項11に記載のキット。
【請求項15】
前記シール要素(25)が2つの緊張要素(26、27)を有し、それらが、前記長さ方向の大きさの方向に連続して配され、前記長さ方向の大きさに関して90°と等しくない角度(α)が付けられた斜めの表面(28)において互いに当接する
ことを特徴とする請求項14に記載のキット。
【請求項16】
前記緊張要素(26、27)が、緊張ねじ(29)によって互いに対して引き締められる
ことを特徴とする請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記緊張要素(26、27)のうちの少なくとも1つが、隣り合う支持バー要素(9a)の溝(33)またはタングと係合する前記長さ方向の大きさの方向に延びるタング(32)または溝を有する
ことを特徴とする請求項15に記載のキット。
【請求項18】
シーブベルト(1)およびスクレーパ・バー(3a、3b)を用いて巻き取り紙を製造するための設備であって、
前記シーブベルト(1)は、前記スクレーパ・バー(3a、3b)上を横行方向に移動可能であり、
前記スクレーパ・バー(3a、3b)は、摩耗要素(5a、5b)であって、支持バー(4a、4b)上にマウントされ、かつ前記スクレーパ・バー(3a、3b)の前記長さ方向の大きさの方向に順々に配され、かつ前記シーブベルト(1)に向かって面する摩耗要素(5a、5b)を有し、
前記スクレーパ・バー(3a、3b)が、請求項1~10のいずれか1項に記載のとおりに具体化される
ことを特徴とする、設備。
【請求項19】
シーブベルト(1)およびスクレーパ・バー(3a)を用いて巻き取り紙を製造するための設備であって、前記シーブベルト(1)は、前記スクレーパ・バー(3a)上を横行方向に移動可能であり、前記スクレーパ・バー(3a)は、摩耗要素(5a)であって、支持バー(4a)上にマウントされ、かつ前記スクレーパ・バー(3a)の長さ方向の大きさの方向に順々に配され、かつ前記シーブベルト(1)に向かって面する摩耗要素(5a)を有し、それにおいて、前記設備が、請求項11~17のいずれか1項に記載のキットを包含することを特徴とする、設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーブベルト(漉しベルト)を用いた巻き取り紙の製造のための設備において使用するためのスクレーパ・バーに関し、それにおいてスクレーパ・バーは、長さ方向の大きさを有し、シーブベルトは、当該長さ方向の大きさに関して横行方向にスクレーパ・バーの上を移動可能であり、かつ、スクレーパ・バーは、摩耗要素であって、支持バー上にマウントされ、かつスクレーパ・バーの長さ方向の大きさの方向に順々に配され、かつシーブベルトに向かって面する摩耗要素を有する。
【0002】
さらにまた本発明は、巻き取り紙の製造のための設備において使用するためのキット、および巻き取り紙の製造のための設備(プラント)に関する。
【背景技術】
【0003】
巻き取り紙の製造のための周知の設備は、本質的に閉じたシーブベルトを有し、それが、コンベア・ロールを用いて循環態様で移動され、当該設備の始まりにおいて、その上に繊維状の原料がスプレーされる。設備の第1の領域において、シーブベルトが、スクレーパ・バーの上、およびスクレーパ・バーを伴って形成された吸引ボックスの上で移動され、それによって繊維状の原料から出て来た液体が削ぎ落とされ、吸引される。設備のその先の領域においては、シーブベルト上で製造された巻き取り紙がフェルト・ベルトによって乾燥される。
【0004】
その種の設備内に配置されている、シーブベルトの移動方向に関して横行して向き付けされているスクレーパ・バーは、金属から、またはプラスチックから製造されたバーであり、そのトップ側が作用位置においてシーブベルトに向かって面し、耐摩耗材料から作られた、特に表面研磨セラミック・プレートから作られた支持体または摩耗要素を有する。この種のセラミック・プレートは、特に酸化アルミニウムから、酸化ジルコニウムから、窒化ケイ素から、おより炭化ケイ素からなる。シーブベルトは、1m/秒~40m/秒の速度でスクレーパ・バーの上を移動する。摩耗要素は、スクレーパ・バーとシーブベルトの間における摩擦に起因して摩耗する。
【0005】
したがって、規則的な時間間隔でスクレーパ・バーを交換する必要性がある。すべての商的に入手可能なスクレーパ・バー、特にセラミック摩耗要素を伴うそれは、最長で12mの長さを有することもあるが、一本ものの形式であり、抄紙機のそれぞれの幅に正確に適合されている。したがって、それらの製造は、個別になされなければならない。この個別の構造は、高価であり、長い引き渡し時間を必要とし、かつ見込み生産が可能でないという欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、所望の長さに対して個別の適合が可能なスクレーパ・バーを提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有するスクレーパ・バーによって達成される。
【0008】
従属請求項は、本発明の好ましい実施態様を提供する。
【0009】
本発明に従ったスクレーパ・バーは、支持バー要素を有し、それが、たとえば0.5m、1m、または2mの長さを有することができる。本発明によれば、当然のことながら、示された長さの間において任意の所望の長さを有する支持バー要素、またより短い、またはより長い支持バー要素を製造することも可能である。したがって、多様な長さのモジュラ部品をあらかじめ作ることが可能であり、それらから実質的に任意の所望の長さのスクレーパ・バーを製造できる。たとえば、全長8.5mを有するスクレーパ・バーは、たとえば2mの長さを有する4つの支持バー要素と、1つの0.5mの支持バー要素から製造できる。
【0010】
支持バーの長さ方向の大きさに見られるとおり、それぞれの場合において、1つ、2つ、または2を超える数の摩耗要素が支持バー要素上に固定される。
【0011】
それぞれの場合において、1つまたは複数の摩耗要素を伴うモジュラ部品として製造される支持バー要素は、自動化された態様で製造することが可能である。この方法においては、この製造ステップが、もはや直接注文関連ではなくなり、専用製造ラインにおいて大きく自動化されることが可能になる。これらのモジュラ部品は、見込み生産が可能であり、かつスクレーパ・バーは、複数のこれらの部品から遅滞なく顧客のために組み立てることが可能である。
【0012】
個別の支持バー要素の互いに対する正しい位置決めを確保するために、本発明の好ましい実施態様においては、支持バー要素が、隣接する支持バー要素に当接する端面を有し、それにおいて支持バー要素は、一方または両方の端面に、隣り合う支持バー要素の形状的に嵌まり合うジオメトリ内に係合する形状的に嵌まり合うジオメトリを有する。
【0013】
本発明の好ましい実施態様においては、形状的に嵌まり合うジオメトリがリブまたは突出部を有し、好ましくはそれが、シーブベルトの移動方向と平行に延びる。これは、互いに隣り合う支持バー要素の摩耗要素の限界高さが、したがって厳密に定義されることから好都合である。
【0014】
さらにまた、本発明に従った目的は、請求項11の特徴を有するキットによって達成される。
【0015】
この種のキットは、本発明に従ったスクレーパ・バー要素を組み立てて、単純かつ厳密な態様でスクレーパ・バーを形成することが可能であり、かつ枠内にマウントされ、設備内に取り付けることが可能であるという利点を有する。
【0016】
本発明においては、スクレーパ・バーの端の領域において、スクレーパ・バーの間にシール要素が配されると好ましい。シール要素は、負圧の設定が可能になるように、シーブベルトの方向においてキットの縁の領域を封じるために使用される。
【0017】
本発明のさらなる好ましい実施態様においては、シール要素が2つの緊張要素を有し、それらが、長さ方向の大きさの方向に連続して配され、長さ方向の大きさに関して90°と等しくない角度が付けられた斜めの表面において互いに当接する。これらの緊張要素を互いに押し付ける結果として、それらが互いに関して水平方向に移動し、その結果、シール要素の有効幅が増加し、シール要素がスクレーパ・バーの間に固定される。
【0018】
さらにまた、本発明の目的は、本発明に従ったスクレーパ・バーと、可能性としては本発明に従ったキットを有する巻き取り紙を製造するための設備によって達成される。
【0019】
本発明のさらなる特徴および利点は、保護範囲を限定しない、添付図面を参照した以下の本発明の好ましい例示的な実施態様の説明から明らかになる。図面は、次のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】スクレーパ・バーの上を移動し、その下方に吸引ボックスが配置されるシーブベルトを用いた巻き取り紙の製造のための設備の長さ方向の部分断面図である。
【
図2】スクレーパ・バーの上を移動し、その下方にボックスが配置されるシーブベルトを用いた代替実施態様の巻き取り紙の製造のための設備の長さ方向の部分断面図である。
【
図3】
図2の実施態様に使用されるときの、本発明に従ったスクレーパ・バーの第1の実施態様を示した図である。
【
図4】
図3の実施態様の支持バー要素を拡大して示した図である。
【
図5】
図1の実施態様に使用されるときの、本発明に従ったスクレーパ・バーの第2の実施態様を示した図である。
【
図6】組み立てられた状態における本発明に従ったキットを示した図である。
【
図7】
図6のキットの端部を拡大して示した図である。
【
図8】
図7のキットの端部を示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、巻き取り紙の製造のための設備内のシーブベルト1(漉しベルト)の部分を図解しており、前記シーブベルトは、それの上に配置される繊維状の原料2の層を有し、スクレーパ・バー3aの群の上を矢印の方向へ移動する。繊維状の原料2は、シーブベルト1上へ、前記シーブベルトの始まりにおいてスプレーされる。スクレーパ・バー3aは、支持バー4aと、前記支持バーのトップ側に固定されて、シーブベルト1に向かって面する耐摩耗材料から作られた摩耗要素5aと、を有する。
【0022】
図1に図解されているとおりの本発明の実施態様は、好ましくは、ある程度まで繊維状の原料がすでに脱水された設備の一部に使用される。したがって、スクレーパ・バー3aの下方に、内部空間7に約-2ミリバールから約-700ミリバールの負圧が広く行き渡っている吸引ボックス6が配置される。吸引ボックス6の内部空間7内に広く行き渡っている負圧は、繊維状の原料2に吸引力を作用させ、それが、前記繊維状の原料内に存在する液体Fを取り除く。繊維状の原料2から出て来た液体Fは、シーブベルト1を通過してシーブベルト1の下側に到達し、前記液体は、スクレーパ・バー3aの上をシーブベルト1が移動する間に下側から前記スクレーパ・バーによって削ぎ落とされて吸引ボックス6内に入り、そこから排出される。
【0023】
本発明のこの実施態様においては、スクレーパ・バー3aが、吸引ボックス6のトップ側に解放可能に固定される枠16の上にマウントされている。
【0024】
図2は、繊維状の原料2が、まだ非常に高い割合の液体Fを含んでいる設備の一部に好ましく使用されるスクレーパ・バー3bを伴う本発明の実施態様を図解しており、液体Fは、負圧を伴わなくてさえも、シーブベルト1をその下側まで通過し、スクレーパ・バー3bによる削ぎ落としが可能になる。したがって、
図1の実施態様にあるような吸引ボックス6の代わりに、削ぎ落とされた液体Fを排出するだけの働きに供されるボックス8が備えられる。
【0025】
図2に図解されている本発明の実施態様においては、スクレーパ・バー3bもまた、支持バー4bと、前記支持バーのトップ側に固定されて、シーブベルト1に向かって面する耐摩耗材料から作られた摩耗要素5bとを有する。
【0026】
シーブベルト1は、最長で約50mの長さにわたって延びることができ、通常、2mから最大で12mの幅を有し、設備内に配置されたコンベア・ロールを介してスクレーパ・バー3a、3bの上を、たとえば1m/秒から40m/秒の速度において移動される。
【0027】
スクレーパ・バー3a、3bの上をシーブベルト1が移動する間にわたって、すなわち、スクレーパ・バー3a、3bの摩耗要素5a、5bの表面の上をシーブベルト1がスライドする間にわたって高い摩擦抵抗が生じ、シーブベルト1を移動させるためにはシーブベルト設備内に配置されたコンベア・ロールによってそれが克服されなければならない。これはまた、シーブベルト1および摩耗要素5a、5bに高い摩耗を生じさせ、それにより、シーブベルト1が短いサービス寿命を有し、スクレーパ・バー3a、3bが限られたサービス寿命を有するという結果がもたらされる。
【0028】
支持バー4a、4bは、必然ではないが、通常、グラスファイバ強化プラスチックから、耐酸ハイグレード鋼から、またはポリエチレン等のプラスチックから作られる。
図1の実施態様の吸引ボックス6および
図2の実施態様のボックス8もまた、概して、耐酸ハイグレード鋼から作られる。
【0029】
支持バー4a、4bの上に配置される摩耗要素5a、5bは、好ましくはセラミック材料、たとえば酸化アルミニウム(硬度HV 0.5 18000N/mm2)、酸化ジルコニウム(硬度HV 0.5 12700N/mm2)、窒化ケイ素(硬度HV 0.5 18800N/mm2)、炭化ケイ素(硬度HV 0.5 28150N/mm2)から作られたプレートとする。セラミック・プレートは、スクレーパ・バー3a、3bの長さ方向の大きさにおいて、たとえば12mm~230mmの長さ、スクレーパ・バー3a、3bに関して横行方向に、たとえば12mm~100mmの幅、またたとえば、2mm~10mmの高さを有する。スクレーパ・バー3a、3bの上におけるシーブベルト1の移動の間にわたって生じる摩擦抵抗を可能な限り低く維持するために、スクレーパ・バー3a、3b、特にセラミック・プレート5a、5bの表面は、従来技術に従って表面研磨され、それにおいてそれらは、0.15μm~0.7μmの表面粗度値Raを有する。
【0030】
図3は、本発明に従った、支持バー要素9bからなるスクレーパ・バー3bの第1の実施態様を図解しており、それにおいて図解されているこの実施態様のスクレーパ・バー3bは、4つの支持バー要素9bを有する。2つの中央の支持バー要素9bは、たとえば2mの長さを有し、2つの外側の支持バー要素9bは、たとえば1mの長さを有する。
【0031】
図4には、
図3の最左翼に配される支持バー要素9bが、それと隣り合う支持バー要素9bとともにより詳細に図解されている。スクレーパ・バー3bの長さ方向の大きさにおいて、複数の摩耗要素5bが固定されて支持バー要素9bのトップ側に、たとえば形状的に嵌まり合う要素(図示せず)を用いて接着結合されており、前記トップ側は、シーブベルト1に向かって面する。同様に図面には図解されていないが、長さ方向の大きさに関して横行方向に2つの、必要であれば2を超える数の摩耗要素が存在することも可能である。
【0032】
支持バー要素9bのそれぞれは、2つの端面11b、12bを有する。中央の支持バー要素9bは、2つの端面11bを有し、
図4から理解可能なとおり、それらは、形状的に嵌まり合うジオメトリ13を有するが、これは、隣り合う支持バー要素9bの端面11bの形状的に嵌まり合うジオメトリ13と対応する。図解されている実施態様においては、一体に継がれる支持バー要素9bがそれらの形状的に嵌まり合うジオメトリ13を介して歯状の態様で互いに係合するように、形状的に嵌まり合うジオメトリが、水平方向に、言い換えると摩耗要素5bと平行に向き付けされたリブまたは突出部からなる。これは、互いに隣り合う支持バー要素9bの摩耗要素5bのトップ側が、それらの高さに関して正確に整列することを保証する。当然のことながら、上に固定される摩耗要素5bとともに正確に整列される支持バー要素9bの向きが、水平方向においても提供されるように形状的に嵌まり合うジオメトリ13を具体化することもまた可能であるが、そのことの重要性はそれほど高くない。
【0033】
好ましくは、支持バー要素9bが設備内に取り付けられる前に、それらの端面11bにおいてそれらが互いに接着結合される。代替として、支持バー要素9bを、取り付けの過程で互いに接着結合することもできる。しかしながら、接着結合は、当然のことながら絶対的に必要というわけではない。
【0034】
特に
図4から理解可能なとおり、スクレーパ・バー3bの端部に配される支持バー要素9bは、隣接する支持バー要素9bとの形状的な嵌まり合いを形成する必要がないことから、滑らかな端面12bも有することができる。
【0035】
それらの下側、言い換えると摩耗要素5bとは反対の側において、支持バー要素9bは、それらの長さ方向の大きさの方向に延びる凹部14を有し、図解されている実施態様においてはそれがT字形状のジオメトリを有する。対応するT字形状のバー10がボックス8に固定され、その上に支持バー要素9bが押し込まれる。
【0036】
図5は、
図2および3の実施態様に類似した、
図1の実施態様における支持バー要素9aの第2の実施態様を図解しており、これは、
図6~8を参照して説明を後述するとおり、好ましくは、必須ではないが、本発明に従ったキット15に関連して使用される。
【0037】
以下において別段の記述がない限り、
図3および4のスクレーパ・バー3bの実施態様に関して行った説明が、基本的に
図5~8のスクレーパ・バー3aに対しても適用され、その逆も同じである。
【0038】
キット15は、横行部材17と長さ方向部材18と、からなる枠16を有し、その上に複数のスクレーパ・バー3aがマウントされる。長さ方向部材18は、実質的にL字形のジオメトリを有し、長さ方向部材18の実質的に水平方向に向き付けされた翼部19には、スロット21の形式で切欠きが作られている。これらのスロット21は、図解されている実施態様では平らな横行部材17の端部を、それらが長さ方向部材18の長さ方向において固定されるように受け入れる。それに加えて、横行部材17は、長さ方向部材18を通って横行部材17の端面にねじ留めされるねじ22を用いて長さ方向部材18に固定される。
【0039】
スクレーパ・バー3aは、このように作られた安定した枠16内に挿入することが可能である。横行部材17の互いからの距離は、一方において支持バー要素9aの長さに依存し、各支持バー要素9aが少なくとも2つの横行部材17上に載るように選択される。他方においては、吸引ボックス6内の負圧による期待荷重によって横行部材17の距離が決定される。
【0040】
横行部材17は、それらの上縁に切欠き20を有し、それらの中央部にピン23が備わる。支持バー要素9aは、下側に孔24を有する。取り付けられた状態においては、スクレーパ・バー3aが横行部材17の切欠き20内に収まり、横行部材17のピン23が支持バー要素9aの孔24内に突き出る。支持バー要素9aは、孔24に接着剤を充填することによって横行部材17に固定される。
【0041】
横行部材17の切欠き20の間には、シール要素25のための支持としての働きを提供する広めの平らなウェブ30がある。これらのシール要素25は、両側のスクレーパ・バー3aの端面の端部の間に配される。図解されている実施態様においては、シール要素25が2つの緊張要素26、27からなり、それらは、それぞれの場合に、スクレーパ・バー3aの長さ方向の大きさに関して90°と等しくない、好ましくは45°と60°の間の角度αが付けられた斜めの表面28において互いに当接する。
【0042】
緊張要素26、27は、一方の緊張要素26内の貫通孔を通って案内され、他方の緊張要素27内に螺合する緊張ねじ29によって互いに向かって引き寄せられる。当然のことながら、両方の緊張要素26、27内に貫通孔を提供し、ナットを用いて緊張ねじ29を締め込むことも可能である。緊張ねじ29の締め込みに起因して、斜めの表面28に沿って互いに緊張要素26がスライドし、その結果として、シール要素25の有効な合計の幅が増加し、シール要素25がスクレーパ・バー3aまたはそれらの端側の支持バー要素9aの間に固定される。
【0043】
緊張要素26、27の両側面31には、緊張要素26、27が正しい位置に固定されるように、支持バー要素9aの両側面34の溝33と係合するタング32が配されている。
【符号の説明】
【0044】
1 シーブベルト
2 繊維状の原料
3a,3b スクレーパ・バー
4a,4b 支持バー
5a,5b 摩耗要素
6 吸引ボックス
7 内部空間
8 ボックス
9a,9b 支持バー要素
10 T字形状のバー
11a,11b 端面
12a,12b 端面
13 形状的に嵌まり合うジオメトリ
14 T字形状の凹部
15 キット
16 枠
17 横行部材
18 長さ方向部材
19 翼部
20 切欠き
21 スロット
22 ねじ
23 ピン
24 孔
25 シール要素
26 緊張要素
27 緊張要素
28 斜めの表面
29 緊張ねじ
30 ウェブ
31 緊張要素の両側面
32 タング
33 溝
34 支持バー要素の両側面
F 液体
【外国語明細書】